異世界転移…貰えない
その日もいつものように教室で寝ていた。
昨日はうちで親の手伝いをさせられて疲れていた。
俺から率先して手伝っていたのだから文句は言えないな。
そのせいで熟睡していたようだ。
だがこの日はいつもと違っていた。
「理人(りひと)、起きろ」
「理人くんで最後だから早く女神様の所にいって」
「えっ女神だと? 何が起きたというんだ?」
「理人が寝ているときに異世界の召喚に呼ばれたんだ、そして今は異世界に行く前に女神様が異世界で生きる為のジョブとスキルをくれるっていう話だ。」
「冗談だろう.」
俺は周りを見渡した。 白くて何もない空間のようだ。
嘘ではない、俺をだますためにこんな大掛かりな事はしないだろう。
こんな大掛かりな術式…俺は知らない。
俺の父さんや母さんでもこんな事は出来ない。
神がやった。
そうなのか?
「それじゃ、先に行くぞ、お前もジョブとスキルを貰ったら来いよ」
そういうと彼らは走っていってしまった。
どうやら、ジョブとスキルを貰った者から先に転移していくみたいだ。
俺は、女神らしい女性のいる列に並んだ。
次々にジョブとスキルを貰っていく中、いよいよ最後の俺の番がきた。
だが、ここで急に女神様がおかしな事を言いだした。
「可笑しいわ…なんでかな、貴方にジョブやスキルが入らないわ」
目の前にいるのが神ならばそれは『解る』
俺の家族は神から『祝福』は受けられない。
「そうかも、知れません。俺は前の世界では神職ですから」
「そう神職なのね、余程信仰しているのね、羨ましいわ。他の子もそれなりに信仰はあるけど、普通に受け入れたのに….先にこちらの事情から話をさせて貰うわね。異世界で魔王が現れ困っている、そしてその国の王族が勇者召喚をして君たちを呼ぼうとした…ここまでは解る?」
「何となく小説とかで読んだ話に似ています」
「理解は早いわね…だけど困った事があるのよ…」
「何でしょうか?」
「貴方の信仰が強すぎて、私から何も授けてあげられないのよ! 流石に翻訳と収納この二つはどうにか入ったけど…他は無理みたい」
「あの、女神様?」
「どうしよう?なんの加護も入らない…こんなの初めてだわ。」
「それなら、元の場所に戻してくれませんか?」
「この魔法はあの場に居た全員に掛かっているから無理だわ…私が行使した物じゃないからキャンセルも出来ないの」
「そうですか、それでは俺をどうすればよいんですかね」
「幾ら考えても、どうしようもないわね…そのまま何も与えずに異世界に送る事にしかできないわ…だけど、それって地獄の様な生活が目に映るわ、どうしよう? 今から謝っておくわ…ごめんなさい」
「ハァ~、それなら、せめて女神様から教会あてに手紙をつけて貰えませんか?」
「手紙?」
「召喚に巻き込まれただけだから、加護が与えられない。だから魔族と戦えないから解放してあげて欲しい…そんな感じで、駄目でしょうか?」
「そうね…その位の事はしてあげるわ…しかし、凄い信仰ね、女神の私が『ステータス』を見れないなんて…一応は入った感覚はあるから翻訳と収納魔法は入った感覚はあるけど…まぁ向こうでなら自分で見れると思うわ。収納に手紙を入れてあげるわ…ごめんね」
女神の済まなそうな顔とは裏腹に俺は少しだけ『異世界転移』が楽しみだった。
召喚先で!
俺が目を覚ますとクラスのみんなは既に一か所に集まっていた。
その前に、明かに中世の騎士の様な恰好をした人物がいて、その先には綺麗な美少女1人と何だか残念そうな少女1人、多分王様なのだろう、偉そうな人物が椅子に座っていた。
「最後の一人が目覚めたようです」
騎士の報告を受け、王の前にいた美少女がこちらの方に歩いてきた。
「ようこそ、勇者の皆さん、私はこの国アレフロードの第二王女マリンと申します、後ろに立っているのが第一王女のマリア、後ろに座っているのが国王エルド六世です」
担任の赤川が代表で一歩前に出た。
「こちらの国の事情は女神様に聞きました。そして我々が戦わなくてはならない事も…だが私以外の者は生徒で子供だ..できるだけ安全なマージンで戦わせて欲しい。そして生活の保障と全てが終わった時には元の世界に帰れるようにして欲しい」
「勿論です、我々の代わりに戦って貰うのです。戦えるように訓練もします。そして、生活の保障も勿論しますご安心下さい。 元の世界に帰れる保証は今は出来ません。ですが宮廷魔術師に頼んで送還呪文も研究させる事も約束します」
「解りました、それなら私からは何もいう事はありません、ほかのみんなはどうだ? 聞きたい事があったら遠慮なく聞くんだぞ」
同級生が色々な事を聞いていた。
どうやらここは魔法と剣の世界、僕の世界で言うゲームの様な世界だった。
クラスメイトの一人須藤君が質問していた。
「ですが、僕たちはただの学生です、戦い何て知りません、確かにジョブとスキルを貰いましたが本当に戦えるのでしょうか?」
「大丈夫ですよ、ジョブとスキルもそうですが召喚された方々は召喚された時点で体力や魔力も考えられない位強くなっています、しかも鍛えれば鍛えるほど強くなります。この中で才能のある方は恐らく1週間位で騎士よりも強くなると思いますよ」
残念ながら俺にはその恩恵には預かれていない。
貰って無いのだから仕方が無いな。
「それなら安心です…有難うございました」
今は様子を見るしかないな。
俺には、そのジョブもスキルも無い。
そして恐らくあの様子じゃ筋肉の強化も無いだろう。
だが、それでもこの世界は魅力的だ。
きっと父さんも母さん来たかっただろうな…
「もう、聞きたい事はありませんか? それならこれから 能力測定をさせて頂きます。 測定といってもただ宝玉に触れて貰うだけだから安心してください…測定が終わったあとは歓迎の宴も用意させて頂いております、その後は部屋に案内しますのでゆっくりとくつろいで下さい。そして明日はどちらの王女の配下になりたいか意見をお伺い致します。」
俺は測定しても意味が無い。
俺だけ自分のスキルやジョブが無いからだ。
だが、他の人とどの位力の差があるか…知る為に様子位は見た方が良いだろう。
それと…どうもあの二人の王女には、問題が色々ありそうな気がする。
俺は『イービルアイ』を唱えた。
するとマリンが醜く見え、マリアが気が強そうな三白眼の奇麗な美少女に見えた。
決まった…もし城から追い出されなかったら『マリア』に仕える…そう決めた。
ルーツ
俺がジョブやスキルが貰えなかった理由は想像がついた。
それは俺が魔術師だからだ。
異世界や漫画とは全く違う。
本物の魔術師…正確には魔術研究家。
俺の父親は黒魔術師、母親は呪術師の家系だった。
お互いが立場や容姿、その生まれに惹かれた二人は恋に落ちて結婚。
その後は『魔術』にのめり込み世界中を回りながら魔術の研究をしている…それが俺の両親だった。
俺の両親以外もそこ迄では無かったが全員が『黒魔術』に関わっている。
そして、お金には困って無かった。
俺も詳しくは知らないが『政治家』『実業家』と裏で繋がっていたり、親族には100パーセント当たる易者も居て…うちの親のバックアップをしているそうだ。
無論結婚式も悪魔式? 俺が生まれた時の祝福も悪魔にしていた俺の親。
親から聞いた話では俺が生まれたときはアマゾンに居て、呪術が得意な酋長が行う儀式にヨーロッパの呪術を二重掛けしたそうだ。
そんな俺に『女神の祝福』であるジョブやスキルが貰えるわけはないだろう。
よくまぁ、翻訳や収納だけでも貰えたもんだ。
本当にそう思う。
異世界でうまく生活できるだろうか?
不安で仕方が無い…
だが、俺が両親から教わった魔術が異世界でも通用するのか?
そして、本物の魔王や魔物に頻繁に会えるこの世界に来れた。
これは素晴らしい事だ…そう思うとわくわくが止まらなかった。
※ 区切りの関係で少し短めです。
その代わりもう一話追加更新予定です。
俺の能力
地球という世界の魔術師には制限が多い。
何か媒介にする物を使ったり道具を使用しないと殆どの事は出来ない。
常時、使える能力は僅かしかない。
その一つが『イービルアイ』だ。
これは目が悪魔的な物に変わる。
その中でも特に女性を全く違う様に見えるようになる。
例えば、凄い美少女で、心の清らかな処女の女が居たとしよう…この目で見れば生贄の材料にしか見えなくなる。
逆に、みだらで、ふしだらな女で心が汚い女が居たら…この目で見たら妖艶な美女に見える。
つまり、善人より悪人の方がより『美少女』『美女』に見える。
流石に女神の前では怖くて使って無いが…さぞあの女神は醜く見えたに違いない。
二人の王女だが…普通の人間なら、マリンが美少女に見えて、マリアは並み以下の容姿に見える。
だが、イービルアイを使った俺から見たら、それが逆転して見える。
マリアがきつそうな感じの美少女、マリンは…生贄にしか見えない。
王女だから処女の筈だが…ああっきっと優秀な妹にすべて奪われ、さぞ心が病んでいるんだろう…
そういう歪んだ人間こそが…俺には奇麗に見える。
子供の頃はこの能力を恨んだが…魔術に人生を捧げている両親のせいですっかり慣れた…ちなみに両親はお互いに愛し合っていて普段は清楚だが…そこは魔術関係者、サバトの時にはかなり乱れている。
儀式の時には俺とも…まぁそれは良い。
他には…めちゃくちゃモテる。
俺は生まれて二重の魔術で加護を受けたせいか『凄い美少年』だ。
だが、この美少年というのが凄く可笑しい。
どんな美少年でもその外見が嫌いという人物がいるはずだが…俺には適用されない。
母親曰く『恐らくは生贄を手に入れやすい様にと貴方に悪魔が加護をくれたんだと思うわ』との事。
誰から好かれて…15分も口説けば肉体関係を結べる。
この美貌が2つ目の能力。
騒がれては困るので髪はボサボサにして便底眼鏡をかけているが…それでも偶に漏れる。
定期的に繁華街にいき一夜の遊びで抜いていた。
そして3つ目
それは俺の爪が自由に伸ばせるという事。
只の爪じゃない、最大で30センチほどまで伸ばせてその爪は簡単に車のボディ位なら貫通する。
アマゾンの村の酋長曰く、祀っている悪魔が気に入った人間には自分の体の分身を与える事があるそうだ。
『この子はまさに悪魔#$%&‘様(人には正確に聞こえない)の生まれ変わりだ』そう言っていたそうだ。
これには両親は凄く歓喜していた。
これらの能力が果たして異世界で活かせるのか?
果たして、俺の知っている悪魔と魔王や魔物の関係。
実に興味深いな。
測定
その後すぐに水晶による能力測定の儀式が始まった。
これは異世界から召喚した者たちのスキルとジョブ、能力が見て取れるものだそうだ。
俺は一番後ろに並んだ。
どうせ何も貰えていない。
何も変わって無い事は解っている。
測定を終えた皆は、はしゃいでいた。
「僕は白魔法使いだった、しかも白魔法のジョブがあったんだこれアタリじゃないかな?」
「私も魔導士だった、最初から土魔法と火魔法が使えるみたい」
「いいなぁ私は魔法使いだって、どう見ても魔導士より下よね、魔法も火魔法しか無いんだもの」
そうか、てっきりみんな自分のジョブやスキルは解っていると思っていたんだけど、何を貰ったのかここに来るまで解らなかったんだ…測定して初めて解る、そんな所か。
だが、異世界の女神半端ねーな。
俺や両親が世界を回り、研究に研究を積んでようやく手に入れた魔術。
それが一部とはいえ簡単に手に入る…恐るべき女神、いや恐るべきは異世界か。
「気にする事はありませんよ! この世界では魔法使いになるには沢山の修行をして初めてなれるのです。魔法使いでも充分に凄い事です。」
「本当? 良かった!」
この世界でも魔法は研鑽して身に着ける物なのか?
そうでなくちゃな。
だが、異世界人限定で女神が簡単に与えている? そういう事か。
なんの対価も無しに…どういう事だ?
会話を聞く限り、魔法使いや騎士等が多いみたいだが、それだって俺の考えなら…簡単に手に入る物じゃない。
そしてアタリの魔導士。更に大当たりは恐らく勇者、聖女辺の能力は魔術を目指す者なら喉から手が出る程欲しい。
黒魔術だけでなく白魔術も研究したが…小説で読んだような能力だとしたら…その一つを行使するのにかなりの対価が必要だ。
ジョブの恩恵凄いな。
聞き耳を立てて聞いている限りでは、大当たりと思えるようなジョブは今の所「魔導士」位しかでて無さそうだった。
「やった、私、大魔道だってさ、魔法も最初から4つもあるよ..当たりかなこれは」
どうやら魔法を使う、最高のジョブは大魔道か、そうすると魔導士は中アタリだな、大アタリは 勇者、聖女、大魔道、大賢者当たりだろう。大魔道のジョブを引いた北条さんを見た時に担当の人が驚いた表情を見せていたから、間違い無いだろう。
「北条さん、大魔道なんて凄いね…俺はこれからなんだけど、どれだけ凄いのか気になるから教えてくれないかな?」
「理人くん良いよ、その代わり理人君の測定が終わったら私にも見せてね、絶対だからね」
北条さんは『普通の俺の目』で見れば美少女だ。
イービルアイで見た事は無い。
流石に俺でもクラスメイトは生贄にしようとは今の所は思わない。
「うん、わかった」
「それじゃあ、はい」
北条 紀子
LV 1
HP 180
MP 1800
ジョブ 大魔道 異世界人
スキル:翻訳.アイテム収納、闇魔法レベル1 火魔法レベル1 風魔法レベル1 水魔法レベル1
「比べる人がいないから解らないけど..何だか凄そうだね」
というか…異世界人というだけでこんな凄い素質が手に入るのか?
凄いな異世界。 凄いな大魔道。
「うん、何でも五大ジョブらしいよ!だけど、まだ他のジョブ 勇者も聖女も大賢者、聖騎士も出ていないから理人君にもチャンスはあると思う」
「そうだね」
まぁ、俺はジョブなんて無い…だが、自分の状態は果たしてどう反映されるのか気になるな。
「うん? 私の顔をみてどうしたの? もしかして『愛の告白』かな?」
「ああっそういう目で見た事ないから安心して」
「そうかぁ…残念」
まぁ冗談だろうな。
◆◆◆
「これは凄い、勇者のジョブがでたぞ」
なんで勇者が大樹なんだよ。
女神…目が節穴だな。
あれには正義感のかけらも無い。
聖騎士が大河
大賢者が聖人
聖女が塔子。
あの女神は頭が腐っているのか?
どう見ても俺側の人間だ。
どうしてあいつ等を選んだんだ。
そしてとうとう俺の番になった。
「なんだ、これはまさか『無能』がいるなんてな」
やはり、そういう事になったな。
まぁ、後で『手紙』でも見せるか?
理人
LV 1
HP 17
MP 14
ジョブ:無し
スキル:翻訳.収納
本当にこれならもう詰んだな。
『イービルアイ』
理人
LV 1
HP 1600
MP 16000
ジョブ:無し(#$%&‘)
スキル:翻訳.収納、魔術の(&%$#9)
どうやら、一部文字化けしているが読み取ることが出来た。
LVが1なのも解らない。
だがこれなら、城を追い出されてもどうにかなりそうだ。
王と話し合い
北条さんには約束だから俺のステータスを伝えた。
「どうして、こんな事に?」
「まぁ、仕方がないさ、家は代々信仰心が強いから『恩恵』が受けられなかったみたいだ」
「そうだったんだ…頑張ってね」
「ああっ」
北条さんとは別に親しい訳じゃない。
ただのクラスメイトだ。
彼女は誰にでも優しい。
誰もが『優しくて可愛い女の子』そう思うだろう?
だが、それは『作られた顔』かもしれない。
そんな風に思える時がある。
俺がこんな風に嫌悪感が無く話せる…それが引っかかるのだ。
俺は『本当に素晴らしい人間』を本能的に嫌うからな。
まぁ、今の所は、態々調べる事はしない。
◆◆◆
この後宴が開かれるのだが…俺だけ別室に連れていかれた。
「理人殿、ちょっとこちらへ」
騎士が来たが、顔が険しい。
まぁ、想像はつく。
俺にはジョブやスキルが無いからな、不思議に思うのは当たり前だ。
「これはどういう事なのだ!まさかお前は魔族側の人間なのか?」
王様が居て、マリン王女とマリア王女が居る。
召喚の時と違って優しい顔ではない。
まぁ疑いが掛かっているならそうなるな。
「俺は特殊らしくて、女神様より手紙を預かってきております」
「そう…なのか? なら見せてみよ」
俺はあらかじめ預かっていた手紙を近くの騎士に渡した。
手紙はそのまま王へと手渡された。
「これは間違いなく女神紋…本物だ」
そういうとエルド6世は手紙を開いた。
教会宛の手紙の筈なのに良いのだろうか?
王は一通り手紙を読むと憐れむような顔となり、手紙をマリンに渡した。
「これは…お父様」
「かなり大変な話だ」
しかし、傍から見てもマリアは蚊帳の外だとはっきり解る。
悔しそうに悲しそうに二人を見ている。
「それでだ、理人殿、この世界はジョブとスキルで成り立っている、そうだな小さい頃から死ぬ気で剣を学んだ者が居たとしよう、だがそんな努力も、ジョブで騎士や剣士を貰った者には敵わない。最もそんなジョブを授かるには努力も必要だが『持つ者と持たざる者』その差はまるで大人と子供位の差がある…これが現実だ」
「こんなケースは初めてなのです…勿論、国として呼び出してしまった以上は、それなりに保護するつもりですが、皆と同じという訳にはいきません」
普通に考えれば当たり前だ。
これから『戦う人間』と『ただ巻き込まれた人間』待遇の差は当たり前だ。
「おれは前の世界ではそこそこの生活を送っていました。だからそうですね、マリア王女にお試しで仕えさせて頂いて、他の同級生と学ばせて頂き様子を見て頂き『使い物にならない』そう判断されたら当座の生活費を頂いて下城させて頂ければと思いますが如何でしょうか? 」
「それで良いのか? それで良いのなら此方は問題は無い。もし下城する時は、3か月の生活費と身分証明、それは約束しよう。そしてその日が来るまでは他の者と同じ扱い…それで良いのだな」
「はい」
「それなら、私も問題ないわ…しかし何故私でなくお姉上なのですか? 言っておきますが姉上は王位継承権も低く、更に権限は低いですよ?」
明らかに不満そうな顔をしているな。
「あの…妹の方が…」
マリアが何か言おうとしたがエルド6世が遮った。
「何処まで頑張れるかは理人殿しだいだ、マリアの下に着く事も希望通り許そう…下がって良いぞ。 宴もゆっくり楽しんでくれ…疑って済まなかった」
「願いを聞いて頂きありがとうございます」
何故か裏がありそうな気もするが…俺はお礼を言いその場を立ち去った。
月夜の晩に
その日の夜、宴が予定どおり行われていた。
立食パーティー形式だ。
北条さんを含む『勇者組』は沢山の王やマリン王女、そして明らかに高位貴族に見える存在に囲まれていた。
その他のクラスメイトや赤川先生は、身なりからして多分、少し身分が低い気がする貴族に囲まれている。
俺の所にはだれも来ない。
これはこれで良い。
美味しい食事を好きなだけ食べられる。
それで十分だ。
沢山の肉を皿に乗せ、飲み物を持ちテラスへ向かった。
異世界に来て俺は良かったのかも知れない。
魔術でもしクラスメイトを生贄に捧げなくてはならない運命が来たら、俺は躊躇なく殺すだろう。
友情は無くても顔見知りを殺すのは…後味は良くない。
それでも『その時が来たら』俺は躊躇なく殺すだろうからな。
月明りで一人食事をしているとマリア王女が見えた。
幾ら権力が無くても王女だ、普通は取り巻き位は居るだろう?
何故、彼女が一人なのか、さっぱり解らない。
《イービルアイ》
しかし、凄い美少女だ。
悪魔的な目で見た彼女は燃えるような赤毛にで褐色の肌、大きな胸にメリハリのある体。
貪りたい位のセクシーな体に見える。
勿論、本来のマリアは地味で胸はかなり貧相だ。
悪魔という存在は…清楚な女やお淑やかな女を嫌う。
最も、そういう女を淫らな欲まみれの女に変えて行くのも楽しむが。
俺の目に『こんな風に映る』という事は…マリアの本性はかなりの悪女と言えるかも知れない。
但し、今の段階で当人が気が付いているかどうかは解らない。
「マリア様」
驚いた顔でこちらを見つめてきた。
「貴方はリヒトさん…」
「はい」
とびっきりの笑顔で返した。
「貴方も随分と貧乏くじを引きましたね」
「貧乏くじ?」
「そうですわ…私は妹と違って何も実権がありませんもの。まぁ、誰も宛がわない訳にはいきませんから、1人役立たずが自分から私を希望したので、今頃二人は喜んでいると思いますわ」
やはり『訳アリ』なんだな。
「我々の世界では第一王女と第二王女であれば、普通に考えて第一王女が後を継ぐと思うのですが、まぁ男児が居なければですが…この世界は違うのですか?」
「まぁ普通はそうですわね…ですがこの世界は貴方の世界と違い、王の権力が強いのですわ。そして王である父が本当に愛したのはマリンの母で、私の母とは政略結婚でしたの」
詳しく話を聞けば、エルド6世が王でなく王子だった時に心から愛する女性が居た。 それがマリンの母親だった。
だが、当時は今より魔族との戦いが激戦化しており、国同士の結びつきを強くする為にマリアの母親と結婚する必要があり、第三王女であるマリアの母親と当時の王から強制的に結婚させられたらしい。
それから数年後、マリアの母親の国は魔族の進軍であっさりと無くなってしまった…利用価値の無くなった母子共々…そこからは地獄の様な日々を送っていたらしい。
心労からかマリアの母親は死に…それを機会にマリンの母親と結婚。
そしてマリンが生まれた。
「私は父である王に嫌われていますから、実質王族とはいえ、何の権力も無い…寧ろ嫌われている分だけマイナスですわ」
多分、彼女は半分人生を諦めているようだが、その反面、王やマリンを恨んでいる。
だからこそ、悪魔的な目に『美しく映った』のだろう。
「マリア様…もし王やマリンに復讐するチャンスがあれば行いますか?」
「するわ…あの二人はお母さまの仇です」
「今はきっと何もできません。ですが、そのチャンスをいつか私が作ります」
「無能の貴方が?」
「確かに能力は無いかも知れませんが、いつか必ず」
そう伝え俺は眼鏡を外した。
「嘘…凄く奇麗…」
「まぁ、直ぐに何か出来るか解りませんが、貴方の為に…」
「解ったわ、なら公式の場所以外はマリアで良いわ…味方の居ない私の唯一の味方…それが貴方なのですから」
「それじゃ夜風が寒いですから、そろそろ部屋に戻りますか」
俺は眼鏡をつけマリアの手を引いた。
「折角の美貌なのに、また隠してしまうのね」
「あまり、人には見せたくないので…」
「まぁ、その顔を私が独占しているみたいで嬉しいわ…二人の時はその無粋なメガネは外してくれますわね」
「良いですよ」
少しだけマリアが笑顔になった気がした。
夜を楽しむ
騎士に話して外に行きたいと言ったら、中庭ならと許して貰った。
しかしこの世界の空気は美味しい。
吸い込むだけで魔素が体を循環する。
もし地球でこれだけの魔素を集めるとしたらパワースポットやそれこそ沢山の人間を殺してスポットを作らなければ集まらない。
凄く恵まれているな…この世界。
俺は悪魔からのギフトである『鋼鉄の爪』を伸ばした。
この名前は俺が勝手につけた。
このギフトをくれた悪魔の存在は両親も知らない。
だが『大昔にサタン様に仕えていた悪魔になんでも切り裂く名前も今は解らない悪魔が居た…その方なのでは無いか?』
そんな話だった。
アマゾンの酋長も、その様な悪魔の存在は知っていたが名前は解らなかった。
だがこの爪を両親やその知り合いは喜んだ。一部の人は『先祖返りの悪魔様だ』と言い手を合わせる様な人さえいたが…そこ迄ではないような気がする。
爪を伸ばし、近くの岩を切り裂いてみた。
やはりこの世界は魔素が濃いせいか…能力もかなり強化されている気がする。
前だと車のドアみたいな薄い板は貫通は簡単にしたが、岩や石などは砕く、欠ける事は出来てもこんな簡単に引き裂けなかった。
この爪ならきっと、鎧や剣すら簡単に斬れるはずだ。
最も異世界だから、ミスリルやオリハルコンなんて出鱈目な存在に通用するかは解らない。
この体はもしかしたら爪以外も悪魔的ななにかが宿っているのかも知れない。
試しに走ってみたが疲れもしない。
跳ねてみたら軽く20メートル近く飛べた気がする。
これなら、何も気にする必要はないな
此処を出ても十分冒険者で生活は可能だな。
この世界で『黒魔術』を使ったらどうなるのか…
簡単な物を行使して見ることにした。
中庭とはいえかなり広い生贄は….蛇が居た。
俺は蛇を捕まえて、簡単な魔方陣を作った。
蛇の首を跳ねて魔方陣の真ん中に置く。
『汝に災いある事を願う、サターンの名に置いて』
これは本当の遊び程度の黒魔術。
呪われた相手に小さな不幸が降り注ぐ物。
もし、この世界にも『呪い返し』みたいな物があったら不味いから自分に返ってきてもいい様にこれにしてみた。
まぁ最小なら足の小指を箪笥の角にぶつける位、最大でも骨折もしない位の事故に会う…その程度だ。
対象はマリンにしてみた。
まぁ、これから仕えるマリアの敵だから丁度良いだろう。
俺は生贄をかたづけて…しばし夜の寒さを楽しむと城の中に戻って行った。
謎の痣
「ふぅ~無能がマリアを指名してくれてよかったな」
「だけど、あの方、何か勘違いしてないか心配です」
「異世界では先に生まれた子供が優先されると言うからな…だが、こちらからでは無く、自分から指名したんだ。責任は当人にある」
「そうですね! まったくあの異世界人はなんでお姉さまを選んだんだか」
「まぁ、マリアに『一番欲しくない異世界人』を渡せたのだから良かったのではないか?」
「確かにそうとも言えますが…ですが、なんだか気に食わないです」
「まぁそう言うな、あれでもマリアは家族ではあるのだ」
「そうですね」
◆◆◆
しかし、気分が悪いですね。
あの異世界人、私ではなくマリアを選ぶなんて。
確かに戦力にもならないし欲しい人材では無いですが、それでもマリアが、私より良いなんて心外だわ…まったく。
えっ…なんでこんなところで…
「きゃぁぁぁぁぁぁー――――っ」
気が付くと私は階段から転げ落ちていました。
「姫様大丈夫ですか?」
「私は一体…」
一体何が起きたのでしょう?
何もない筈の所で急に足を取られた気がしました。
「階段から足を踏み外して転がり落ちたそうです。悲鳴を聞いて騎士が駆けつけ此処に運びました」
「そ、そうなの」
可笑しい。
今まで一度も階段なんて踏み外した事なんてない。
しかも、気のせいかも知れませんが『何かに足を掴まれた気がします』
「はい」
「私誰かに足を掴まれた気がするのですが?」
「姫様、それはあり得ませんわ、一体誰が姫様を傷つけると言うのです?」
「そうよね」
私を恨むような存在は居ませんし…居たとしても私に気が付かないように足を掴むなんてできません。
「それより姫様…その足ですが…」
「私の足がどうかしたのですか? あれっ可笑しい感覚がありません…すぐにヒーラーを呼んでヒールを掛けさせて下さい」
「姫様、そのヒールどころかハイヒールを掛けてあります」
ですが…どう見ても足首に黒い痣が出来ていて治っているように見えません。
「ですが、この通り黒い痣が出来て、足の調子が可笑しいのです」
「それは大変です、直ぐにまたヒーラーを呼んで参ります」
その後、上級ヒーラーが何度か回復魔法を掛けてようやく足の不具合は治りましたが、痣は消えませんでした。
この痣が何なのか…理由は宮廷魔術師でも解りません。
凄く心配ですし…見ていると悲しくなります。
食堂にて
「異世界の勇者の皆さん、昨日は眠れましたか?」
俺が朝食を頬張っているとマリン王女が現れた。
この西洋肉じゃがもどき…なかなか美味しい。
他の皆はマリン王女に注目しているが、マリアを選択した俺には関係ない。
だから、俺は食事の手を止めずに食べ続けた。
マリンの右足に目がいった。
包帯を巻いているのが凄く目立った。
この世界でも問題なく黒魔術は使える。
まだまだ様子見だが、もしかしたら防ぐ方法が無いのかも知れない。
この辺りはまだ調べる必要がありそうだ。
クラスの男子も女子もマリンの話に対して「眠れなかった」「おかげさまで眠れました」等と気さくに話している。
あれはもう駄目だな。
特に大樹(たいき)大河(たいが)と聖人(せいと)はデレデレだ。
それを面白く無そうに塔子が見ている。
塔子と大樹は付き合っているという噂もあった。
塔子は白銀財閥の娘だ。
異世界に来なければ『お嬢様』としてチヤホヤされていた。
だが…ここは異世界『本物のお姫様』が居る…多分、嫉妬でもしているのかも知れない。
『あ~あ、随分可愛くなったな』
俺の考え方は悪魔的だから…清楚、清純、そんな女は好みじゃない。
幾ら綺麗でも『生贄』にしか見えない。
あの今にも噛みつきそうな目…凄く奇麗だ。
歪んだ性格、恨みがあり、淫らな女等…そういう女こそが、俺には美しく見えるんだ。
塔子の奴向こうでは『生贄』にしか見えなかったが…こっちに来て随分良い顔するようになったじゃないか….
「マリン様凄い人気者だね」
北条さんが俺に話し掛けてきた。
「そうだな、今まで『白銀』の取り巻きだった奴もみーんな向こうに行っていそうだ」
一瞬、塔子が俺を凄い形相で睨んだが…可愛いとしか思えない。
「それで理人くんはどちらの仲間になるか決めた?」
「俺はマリア様一択だな」
「え~となんで?」
「決めた事だ」
◆◆◆
「それで皆さん、どちらの方に仲間になるか決まりましたか? 私はこれまで王女として様々な勉強をしてきました。皆さんをしっかりサポートさせて頂きます。勿論、姉の方に行かれても問題はありません。ですが、宮廷魔法師団長も騎士総長も『私と仲が良い』ので、こちらの仲間になっております。私としては是非皆様を迎え入れたいと思います。勿論、手柄を立てれば出世も褒美も思いのままですよ」
流石、王女言っている事がエグイな。
この勧誘ならマリアに行く者は少ないだろう。
それでも此奴の中には『悪』の1文字も見えてこない。
マリアは此処に居ない。
こういう目敏さが全く無いんだな….だが、それは美徳じゃねーよ。
俺がこれ以上話を聞いていても仕方が無い。
飯も食い終わったから、部屋に戻った。
お願いしますね
午後になり、王の前でマリンとマリアのどちらの仲間になりたいのか? その意思表示をする時が来た。
「まぁ予想どうり、貴方だけでしたわ」
「そうだな」
殆どの者はマリンの方に行き談笑している。
まぁ完全にマリン派だな。
だが、驚いた事に、その《マリン派》で1人離れようとする奴が居た。
成程。
確かに彼奴にとってあそこは居心地が悪いだろうな。
「本当にもうやっていられませんね」
「本当にあんなパチモンの何処が良いのでしょう? 男も女も本当に見る目が無いわ」
そうぶつぶつ言いながら塔子がこちらに向かってきた。
「私、こちらの方に入ります」
『もしかしたら』そう思っていたがやはり来たか。
取り巻き全部奪われちゃ気分が良く無いよな。
「白銀さんもこっちに来るの?」
「いけないかしら? どちらに入るのも自由の筈です!」
確かにそうだが…大丈夫なのか?
良くは解らんがゲームや小説なら『勇者』『聖女』『賢者』『剣聖』『大魔道』が一緒にパーティを組んで魔王と戦うよな…そのうちの1人が抜けて大丈夫なのか。
「だけど白銀さんは『聖女』不味くないですか?」
「そんなの私は知らないわ。私はあんな所に居たくないのよ!」
「大樹君を取られて、悔しいからかな?」
多分、そんな所だ。
「違うわよ! そんなんじゃない!」
そう言いながら顔を歪めているじゃないか?
だが『いいね、この顔』 前みたいにすました美少女じゃない。
憎しみの籠った様な目…『凄く綺麗だ』
「そう? だけど白銀さんって大樹君と付き合っていたんでしょう?」
凄い、凄い…更に目が怖くなっていく。
良いな、この目…凄く綺麗だな。
『イービルアイ』
嫉妬に狂う黒髪の美少女…あはははっもう生贄とは思えない。
綺麗で美しい。
もっと顔を歪めてくれると、もっと綺麗に見えるんだろうな。
「付き合って無いとは言わない…だけど大樹から付き合ってと告白したから付き合っただけよ」
「そう、なら未練はないのかな?」
「あるわけないでしょう? あんな女にデレデレしちゃって、本当に願い下げよ」
そう言いながら、顔は更に悔しそうな顔になっていく。
「あの、白銀さんは私の仲間に入って下さるのですか?」
「そのつもりだけど?」
「そうですか? 少しお聞きしたいのですが何故大樹殿に惹かれるのです?」
「大樹は凄くカッコよいし…」
「もしかしてそれだけの事ですの?」
確かに大樹の良い所なんて、ルックス位だろうな。
後は金持ちで女に優しい位だ…だが金持ちという事なら白銀の方が上だし、優しいという性格も今はマリン王女にデレデレしていて半減していそうだ。
「そうよ? 悪い!」
「外見だけで良く、他の男で良いなら理人殿で良いのではありませんか?」
「ハァ~なんでこんな陰キャラ…王女様ふざけてます」
「まぁ、もうこちらには誰も来ませんわね…それならテラスに行きませんか?」
「別に構わないけど」
何となくマリアの考えが解ったが…まぁ聖女が手に入るなら仕方ないか。
◆◆◆
「こんな所に何かあるの?」
「美形の男友達が欲しいのなら、目の前に居るのですわ」
「ハァ~陰キャラの理人がですか? それともこういうパッとしない男がこの国で美形なのですか?」
「仕方ありません『聖女』が味方に付くかどうかです。理人さん、さぁその眼鏡を外すのですわ」
やはりこれか…まぁ良い。
聖女の塔子をこちら側に取り込むのは『面白い』
俺は眼鏡を外し髪をかき上げ、塔子を見つめた。
俺の美貌は悪魔に起因する…聖女ジョブを持つ塔子には聞かないかも知れない。
「どうかな?大樹くんには届かないかも知れないけど、割といけているでしょう?」
結果は…
「…ううそ、理人くん、そんな顔だったの? 凄い美形じゃない」
どうやら効いたようだな。
「ああっ、昔しそのまま歩いていたらスカウトの人が煩いからこうしていたんだ…ああっ中身はいつもの俺となんだ変わらないぞ」
『理人くん』ね、完全に効いているな…これ。
「話し方も違うじゃない? いつも皆を騙していたの? うん、凄くカッコいい」
「そう…気に入って頂けたなら、何より…」
「白銀さん、私の仲間は理人さん1人なのですわ。仲間に入れば二人で行動することも多くなりましてよ」
「私は最初からマリア様の仲間になるつもりでしたよ! それじゃマリア様に理人くん、お願いしますね」
結局、俺は マリア様、塔子と仲間を組むことになった
女獣:塔子
あの後、軽くミーティングをして解散となった。
マリアの話では、明日一日休んで、明後日から訓練や座学が始まるそうだ。
マリンとマリアで別に待遇の差は無く合同で練習を行う。
具体的な待遇の差が出るのは『城を出てから』らしい。
まぁ始まるのは明後日から…そういう事だな。
◆◆◆
「それで白銀さんはなんで此処に居るのかな?」
「私達のチームは二人きりじゃない? 城を出てからも二人で過ごすんだから、今からでも良いんじゃないかな…そう思って…嫌?」
顔を見せたんだから仕方ないか。
「別に嫌じゃないけど…白銀さんの方こそ良いのか?」
「理人、相手なら構わないわ」
やはりこうなったか…
「そう、それなら歓迎するし、サプライズを用意するから少し待って」
「なぁに焦らす気?」
「そんな事ないって」
◆◆◆
俺はまた許可を貰い、裏庭に出た。
何か良い草は無いかあたりを見てみた。
異世界だから違う可能性もあるが黒魔術で使う草に似たものが幾つかあった。
舐めた感じでは、同じように感じる。
簡単なパッチテストもしたから問題ない。
地球の魔術使いは植物学者に近い要素もある。
そして快楽には貪欲だ。
魔術は綺麗ごとじゃない。
サバトの時には30人を超える男女で薬物を使い、飲酒をし更に生贄と言う名の殺しをしながらSEXする。
それじゃなくても薬物を使うのは当たり前の事だ。
そうすることで快感が何倍にもなる。
今回は儀式ではない。
だが、折角ならと葉を探しにきた。
その後、香油を分けて貰い部屋へと帰っていった。
「理人なにそれ?」
『理人』ね…もう効果が出て来てるのか…目がとろ~んとしている。
「これはこれから『薬油』を作ろうと思って…待って今から作るから」
俺は採取してきた草を潰して貰ってきた香油と混ぜた。
「薬油?」
「そう…体の疲れが取れたり、精神的にリラックスできるんだ…できた」
「それどうするの? 塗ってあげるよ…気持ち良いよ」
「そうなんだ。へぇ~…もしかして塗ってくれるの?」
「勿論」
凄いな…躊躇なく脱ぎ始めて…下着姿になるなんて。
流石はお嬢様ってところだな….白いレースの高級そうなブラにパンティを身に着けている。
「どうすれば…ハァハァ良いの?」
「ベッドでうつ伏せになってくれる」
「解った…ハァハァ」
早速、作った『薬油』を背中から腰にまで刷り込むように両手で塗り始めた。
「はぅはぁぁぁぁぁん….何これ、凄く気持ちよい…こんなのエステでハァハァ無い」
顔を赤くしながら口を開き気味で話す塔子が色っぽい。
こうなるのは当たり前だ…この薬油は魔術師や魔女がサバトで使う物に近い筈だ…空を飛んだような快感に幻覚がおき…性感度は数倍に跳ね上がる。
「気に入って貰って嬉しいよ…それじゃこれも取っちゃうね」
「ハァハァ…駄目…そんな事したら胸が…ハァハァ」
ゆっくり丁寧にブラを外した。
駄目と言いながら、邪魔一つしないで、抜き取りやすい様に体を少し浮かしている。
本当ならハッシッシか大麻、もしくアヘンとか欲しいが無いので仕方ない…
そのまま薬油をお尻の谷間に垂らし、手を入れながら肛門から股の間を少し強引に撫でた。
「ああっあああっああああー――ん、駄目っ駄目ああああー――っ」
ブシュゥゥゥ…チョロチョロ
それだけで塔子は果てて絶頂して失禁した。
「嘘、嘘、嫌ぁいやぁぁぁぁぁー――っ、ハァハァ…はぁはぁ、あぁぁぁぁぁぁー――」
多分、これは拒絶じゃなくて、男の前で失禁したという恥ずかしさだ。
赤かった顔が真っ青になっていて、この世の終わりみたいな表情をしている。
「気にしなくていいよ! 気持ち良かったんでしょう…それにこの先、二人してもっと恥ずかしい事を見せ合わなくちゃならないから…」
「ハァハァ…どういう事…」
口から涎を垂らしながら話す塔子が愛おしく思える。
「だって、一緒に旅に出れば、トイレの時場所によってはお互いが見張りながら済まさなくちゃならない…と思う。恐らく年単位の旅なんだから、こんなの比べ物にならない位恥ずかしい経験をすると思うよ…二人なんだから」
「ハァハァ…確かに…そうね…うん、そうだわ…ハァハァだけど、凄く切ないの…お願い…」
そう言いながら塔子はうつ伏せから仰向けになった。
そのまま俺が薬油を垂らしながら、胸をもみながら股間にてを伸ばし、さする様に擦る。
「ハァ~もう駄目、うんぐハァハァ、凄く切ないの、うんぐううんううん、ハァハァうんぐー-っ」
自分からキスをしはじめ濃厚なフレンチキスをし始めた。
拙いから…多分経験は無いのだろう。
塔子は薬油の器に手を突っ込むと、俺の体に油を塗り始めた。
「今度は…ハァハァ私の番よ…ハァハァ」
幻覚症状がおき始め、まるで雲の上に居るようにフワフワする。
やはり香油や薬物を使った行為は、通常のSEX等比べ物にならない。
俺の方も油断していると声が上がってしまう。
「はぁう! ああああー――っ あん、あんあん、あうあうわぁぁぁー-うん、気持ち良いー-っ」
俺が何をするでなく、自分から俺にまたがり挿入して腰を振り始めた。
股間から破瓜の証しである血が流れているが、そんなのお構い無しだ。
薬油が俺にも効いてきたのか、塔子の中でいってしまった。
だが、その状態でも塔子は抜かないで腰を動かし続ける。
これも悪魔からの恩恵なのか『俺は果てない』
異世界風で言うならまるでオークの様に『いった後も縮まない』。
塔子は…まるで狂ったように腰を振り続け….
「ああん、あああっあはっあああー-ん、うぐううんハァハァ…ああぁぁぁぁー-っ」
快感を貪りながら、白目をむいていって一瞬気絶をし、涎を垂れ流しながら腰を振り続ける。
AVなんかと違い…痙攣を繰り返し白目になり、獣の様になる女。
多分多くの男は引くに違いない、だがこの姿こそが俺にとっては美しく綺麗に見える。
もう何処にも『お嬢様』の塔子は居ない。
何処にも『清楚で大人っぽい美少女』は居ない。
『高嶺の花』『聖女』の塔子も居ない。
此処に居るのは俺を貪る『女獣』だ。
俺は軽く髪を撫でた。
「はぁぁん、うぐっああぁぁぁぁぁー-ん」
俺の上であえぐ塔子が凄く美しく愛おしく思えた。
塔子は…本当の意味でも、仲間だ。
※魔術てきなアダルト表現を使いたいので R15→R18に変更しました。
塔子の暴走(食堂にて)
結局、あの後朝方まで行為は続いた。
薬油をつかった行為は麻薬を使った快感すら超えるから当たり前と言えば当たり前だ。
「おはよう…理人」
可愛らしく笑顔で塔子は話してくるが、実際は俺のお腹の上に顔を置き、俺の下半身を触っている。
しかも…このベッドの惨状、メイドはきっと驚くだろう。
「おはよう、塔子…それじゃ、かたずけようか?」
「えっ…そうね」
何だか残念そうな顔をしているが、いつまでもこのままじゃ不味いだろう。
窓を開けて換気をしてシーツと毛布は折りたたんでおいた。
広げれば解るがこの位はしないとな。
話を聞きながらも塔子はぼーっとしたように動かない。
初めての体験があれじゃそうなる気も解らなくも無いな。
ある程度整えたら…それで良い。
あとは、綺麗な塔子の部屋に移ればそれで良いだろう。
「理人様…お食事の用意が出来ました…あっ」
「すみません、かなり部屋を汚してしまって、後かたずけお願いいたします」
俺は転移する時に持っていた財布から500円を取り出しメイドさんに渡した。
「これは何でしょうか?」
「俺の国のお金で、何かお世話になった時にチップと言って渡す物です」
「そうですか…そういう事なら頂かせて頂きます」
「それじゃ、宜しくお願いいたします」
後の事はメイドに任せて食堂に向かった。
「それで今日は何しようか?」
「部屋でゆっくりしていれば良いんじゃないか?」
「理人も一緒に居てくれるのよね?」
「明日から訓練だから今日は、ゆっくりと」
「一緒にゆっくりしようね!」
そう言いながら塔子は俺の腕に腕を絡めてきた。
此処迄来たら仕方ないな…
だが、塔子は凄く目立つから…トラブルは覚悟しないとな。
◆◆食堂にて◆◆
「はい、理人あ~ん」
「塔子、それ必要ないよ…食事は一緒だし、お代わりも自由に出来るから」
「こういうのは気分の問題よ…私と理人は仲良しだよね! まさか違うとか言わないよね!」
良い意味で『独占欲』が育っている。
欲がある…それは良いことだ。
「なんで塔子さんが悪代君と一緒にいるの?」
「それよりあれはまるで付き合っているみたいに見えるけど…塔子さんは大樹君と付き合っていたんじゃないの?」
「なんで陰キャラの悪代とあんなに親しそうなんだよ」
当たり前だ、魔術の力は絶対だ…此処は異世界だから解らないが地球ではそうだった。
悪魔の祝福を受けた俺の体と『薬油』を使ったんだ…もう塔子は他の男じゃ感じる事すらできず、抱かれても苦痛でしかない筈だ。
周りがそんな話をしていると、大樹と大河、聖人がこちらを見ていた。
塔子の様子をじっと見ると、三人とも不機嫌な顔になり、三人してこちらに向かってきた。
「塔子、何でそんな陰キャラとつるんでいるんだよ! こっちにこいよ!」
「馬鹿じゃない! 私はマリア様の仲間になったのよ? 理人と一緒に居るのが当たり前じゃない」
「なぁ、お前は『聖女』じゃないか俺は『勇者』大河は『剣聖』聖人は『賢者』だ…俺らと一緒に旅立つのは当たり前だろう?」
「そんな決まり無いわ…どちらに行くのも私の自由よ!」
「塔子ちゃん、少しは大樹の事も考えてくれよ、彼女の塔子ちゃんが別の班に行ったら嫌に決まっているだろう」
「僕もそう思うよ」
「あのさぁ…三人ともマリン王女にデレデレして居たじゃない? それに勇者が魔王を倒したら、マリン王女との婚姻の話もあるのよ? 異世界にきた時点で消滅よ、消滅!」
「えっ、そうなのか?」
「絶対とは言わないけどね、もし元の世界に帰れないなら、そういう事もある筈よ…他の二人も貴族の令嬢と婚姻、そういう事もある…」
「だからって、態々他の方に行く必要は無いだろうが!」
「そうね…だったら、貴方達がこちらに移れば良いじゃない?」
「それは…」
「態々待遇の悪そうな方に行く意味ないだろう?」
「そうだ、実質この国の王女はマリン様1人みたいな者じゃないか?」
「あのさぁ、大樹、そこ迄言うなら、クラスメイト全員に誓えるかな? マリン王女から求愛を受けても、貴族の令嬢から結婚を申し込まれても絶対に断って、私を正室にするってさぁ…もし破ったら『殺されても文句ない』って誓える!」
「…」
「これで解ったでしょう? 御覧の通り、大樹は即答できない。 今までの子供みたいな恋愛はもう終わり、大樹も私も新しい恋愛をするべきだわ。 私は独占欲が強いのよ! 側室なんてなりたくないわ…即答で答えられなかった時点で終わりよ! 終わり」
「だけど、俺たちは幼馴染でもあるんだ、一緒に来てくれても良いだろう?」
「そうだよ、マリン様も来て欲しいって言っているよ?」
「大河、此処は異世界だし、今後を考えたら幼馴染は解消するべきだわ。今は一緒でもあんた達三人もそのうち別れが来る。それに大河や聖人は『大樹の為に死ねる』」
「なんで俺の為に大河や聖人が死ななくちゃならないんだよ」
「当たり前じゃない? 貴方は勇者なんだから…最早命に序列があるのよ…貴方が魔王にたどり着くためには、恐らく犠牲がでるわ…そんな事も解らないの? 少なくとも私は大樹の為には死にたいと思わないわ」
「塔子」
「塔子ちゃん」
「大河や聖人もちゃんと考えた方が良いわ」
「塔子だからって、何で悪代と仲良くするんだよ」
「そんなの決まって居るじゃない? 理人が私の恋人だからよ! おままごとじゃなくて、本当の恋…その相手が理人なのよ!」
そういうと塔子は俺にしだれかかってきた。
「「「塔子(ちゃん)」」」
「塔子、食べ終わったし、そろそろ行こうか?」
「そうね」
唖然とする三人を尻目に俺たちは食堂を後にした。
ミーティング
「なんだか二人とも随分仲良さそうですわね」
「ええっ、すっかり理人と仲良くなりまして…いつも一緒に居るんですよ」
「そうですの…それはそれは…良いことですわ」
何でだか、二人の後ろに何故か竜と虎が見えるし顔が笑っていない。
マリアの顔にはなぜか青筋が見える。
『嫉妬』こういう姿を美しい、可愛いと思えてしまう俺はやはり悪魔的に性格が破綻していそうだ。
ゾクゾクする。
我慢しない方がより美しいのに…
「これはミーティングなんだろう? 明日からどうすれば良いんだ?」
「大した事ありませんわ、しばらくは体力作りと基礎訓練です、この辺りは組み分け関係なく合同で行います…ですが気を付けて下さい!」
「どうかしたのですか?」
「妹のマリンは『聖女』の塔子さん欲しさに何をしてくるか解りませんから十分な注意が必要ですわ」
この先は解らない。
魔王と俺が信仰する悪魔達との関係は解らないが『聖なる存在』は俺の敵だ。
向こうから仕掛けてくるなら『潰す』口実になる。
悪いことばかりじゃない。
「まぁ、塔子に何かして来たら、俺がどうにかするさ、ただ権力的な何かをされたらどうしようもないぞ!」
「理人、ありがとう!」
「理人さん…貴方無能ですわよね? 元の世界じゃどうか解りませんが、この世界ではジョブがある者と無い者では雲泥の差がでますわ」
確かに普通はそうなのだろう…だが、俺には、それすら軽く覆す力がある。
だが、将来を考えたら『勇者たち』は化け物の様に強くなるのかも知れない。
魔王…もしその存在が俺の知っている悪魔達より上の存在だとしたら、それと戦う勇者は恐ろしく強い事になる。
天使を悪魔に変える『堕天』みたいな方法があれば良いが…
考えつかない…現状『殺す』それが一番良いのかも知れない。
「マリア様、もし、俺が、大樹達と揉めるような事があっても問題にならない様に事前に手を打って欲しいのですが…何か手は無いでしょうか?」
一瞬マリアは首をかしげると笑顔で答えた。
「それなら大丈夫ですわ。勇者とは負けない者です。騎士やこの国の兵士に経験不足で負けるのは平和な世界から来たのだから問題ありませんわ。ですが、五大ジョブの人間が下のジョブの人間に負ける事はあり得ませんわ…もし、万が一負けたり殺されたりすることがあれば…それは教義的に『偽勇者』そういう扱いになりますわ。まして貴方は『無能』一番弱い人間なのですから…絶対に戦ってはダメですわ、もし戦ったら死ぬのは理人さんなのですから」
俺が普通の人間なら…絶対にそうだな。
だが…そうはならない。
俺には魔術もあるし、悪魔から祝福されたこの体もある。
『今ならどうにかなるだろう』
「そうですね…どうしようも無くならない限り揉めるのは避けます」
「それが良いわ」
「そうよ理人は弱いんだから」
「そうだな」
早期決戦…早めに揉めた方が良さそうだ。
二人目の仲間
いよいよ訓練が始まる。
手を抜くのか? 抜かないのか?
考えた末、俺は手を抜かない方を選ぶことにした。
大樹、大河、聖人は学園の中心人物でプライドが高い。
塔子の事もある。
そのプライドが潰されれば…向こうから早いうちに仕掛けてくるだろう。
「いよ、今日から訓練が始まるな『無能』は真面に動けないんじゃないのか」
「そうそう、そんなんで塔子を守れるのかい?」
「お構いなく、塔子は俺が守りますから、なぁ塔子」
「そうね、理人がいるから要らないわ」
魔術の力は凄い…塔子は根拠が無くても『俺が守る』という言葉を信じて、顔を赤くしている。
「そいつ『無能』なのに大丈夫なのかい? 勇者の俺が傍にいた方が安心じゃないか?」
「そうだよ…それに剣聖の俺に賢者の聖人がいる…安心だ」
「そうだ、そうだ」
あれっ、そういえばもう一人の五大ジョブ、北条さんがなぜ一緒に居ないんだ。
「あのさぁ…なんで北条さんは一緒に居ないんだ」
「はぁ~なんで俺たちがあんな『固い女』をパーティに入れなくちゃいけないんだ?」
「そうだ、紀子ちゃんあげるから塔子ちゃん返してくれない?」
「北条さんは道具じゃない、そんな物みたいにあげる、あげないなんて言えないだろう? それは塔子も同じだ」
わざと『塔子』と呼び捨てにしておいた。
『北条さん』『塔子』これで俺たちがそれなりの関係にある事が解っただろう。
「あのさぁ、マジでしつこい! わ.た.し.は理人が好きなの、更に言うなら髪の毛からつま先まで全部理人の物なんだからね…とっとと諦めてよね、しつこい男は嫌われるよ!」
「ちっ…行くぞ」
「そうだな」
「どうなっても知らないよ」
捨て台詞を吐くと三人はあさっての方に離れていった。
◆◆◆
「さぁ今日から訓練だ! 体力作りと剣技の担当をするソルバだ! まずは走り込みだ…『無能』はきっとついても来れないから、自分のペースで良いぞ」
三人が俺を見るとにやりと笑った。
「はい…そうします」
この世界は魔素が濃い。
俺の体の調子が異常な程良い…きっと今の俺ならバイクや車ですらぶっちぎれる。
多分特撮ヒーローも瞬殺だ。
「塔子、それじゃ一緒に走ろうか?」
「そうね…うん」
塔子に合わせて最初はゆっくり走った。
「理人大丈夫なの?」
塔子は『聖女』の加護を持っている。
当然、他の皆を引き離し…少し後ろに北条さん、前には、あの三人しか居ない。
「この位は余裕だって」
「ジョブが無いのに?」
「黙っていたけど、小さい頃は長距離走が得意で大きな大会に出た事もあったんだ」
この世界にスマホは無い。
調べる事は出来ないから、安心だ。
本当の俺は…転校ばかり繰り返し、目立たないように静かに暮らしていた。
「だからなの? 凄いじゃない! 元から理人は凄いって事だよね、流石は理人…凄い、凄いー-っ」
その声が聞こえていたのか…大樹達が下がってきた。
「走るのに自身が随分あるみたいだね? 俺たちと勝負しないか?」
「大樹、貴方は勇者なんだからズルいじゃ無い…理人、相手しないで良いわ」
「塔子にカッコよい所見せたいから…良いよ受けてあげるよ! 三人相手に勝てば良いのか?」
「ああっ、負けたら二度と塔子と話すなよ」
「それは無理だね! 塔子は俺の者だからさぁ、それにもし俺にそれを言うなら『釣り合う物』が必要だ…塔子は俺の命みたいな者だから…三人が、死んでくれるとか? どうだ…」
三人が顔を見合わせている。
「それは無理だ…だから、そうだ北条を賭ける…それでどうだ?」
「北条さんの意見次第だな…塔子、今の話しを北条さんにしてきてくれ」
「え~私は二人っきりが良いから、嫌よ!」
「そんな事言わないで、頼むよ、北条さんが仲間に入れば、俺たちの旅は助かるんだ」
「仕方ないな~それで理人は負けたらどうするの? 私と離れる事になるんだよ!」
「負けない…死んでも負けないから安心して」
「そう、解った」
塔子はしゆっくりと下がっていき北条さんと話し始めた。
暫くすると塔子は俺に手で丸を作って見せた。
OKという事だろうな。
◆◆◆
後で反故にされたら困るので、大樹達に話して立ち止まって貰った。
他のクラスメイトは不思議そうにこちらを見ている。
幸いな事に今日は初めての訓練のせいか、マリンもマリアも訓練を見に来ている。
騎士に話してこちらに来てもらう。
「なるほど、それで理人さんが負けたら、もう『塔子さんと話さない』勝ったら『北条さんをこちらの方に頂ける』そういう勝負という事ですわね? 北条さんが良いなら構いませんわ。北条さんはどうなのですか?」
この勝負、マリアは損をしない。
塔子と俺が話せなくなるだけで『誰も失わない』そこが味噌だ。
「お姉さま、それは少し不公平です」
「ですが、勝負と条件はこちらではなく『勇者達』が決めて理人さんが受けただけですわ。それに理人さんは無能ですわ。 勇者の大樹さんが負けるならそれこそ問題ですわね。勝って当たり前の勝負、不公平というなら理人さんが不利なので、元から凄く不公平ですわ」
マリンが恨めしそうに大樹達を見ている。
馬鹿か…マリンとしては勝ったら『塔子が貰える条件』が欲しかったのに…『話をしないだけ』にしてしまった。
馬鹿な大樹達は笑顔でVサインを送っている。
「勇者側からつけた条件なら仕方ありませんね…それで北条さんも塔子さんも良いんですね」
「構わないわ」
「大丈夫です」
北条さんが断らないのは解っていた。
自分を馬鹿にして賭けの対象にする男達なんて怖くて一緒に居たくないだろう。
「それでルールはどうします?」
騎士の提案で訓練場を20周、早い者勝ちと決まった。
少しだけ、本気を出した俺に三人はついてこれず…余裕で俺の勝ちだった。
「嘘…勇者が無能に負けるなんて」
「言うだけあって凄いのですわ」
「流石、私の理人だわ」
「お願いしますね、悪代くんに白銀さん」
固まっているマリンを他所に北条さんがこちらの陣営に加わる事が決まった。
マリン 嫉妬
ハァ~頭が痛い。
またお父様に怒られる。
只でさえ、聖女の塔子さんをお姉さまに取られたせいで怒られたのに…今度は大魔道の紀子さんまで…頭が痛い。
塔子さんの時も…
「お前は何を考えているんだ! 他の者なら兎も角五大ジョブの回復の要『聖女』を取られるなんて大失態だぞ! 勇者の次に貴重な存在を、何でつなぎ留めなかったんだ」
あの目は失望した目だった。
お父様の信頼を失うのが…怖い。
だけど、仕方ないじゃない…こちらに惹きつける為には愛想を振りまかなくちゃならない…
勿論、それを嫌う存在だっているわ。
その存在が今回は塔子さんだったそれだけだった。
これは確かに『仕方が無い』
だが…今回は大きな失態だ。
『聖女』についで今度は『大魔道』を取られてしまった。
しかも、こっちの仲間になっていた状態から取られてしまった。
こんな原因を作った者は処罰を与えるべきですが…
よりによって『勇者』です。
『剣聖』に『大賢者』も一緒なんて…罰する事も出来ません。
本当に最悪です…足には黒い痣まで出来るし…
白くて美しい私の足にあんな忌まわしい物が急に出来たのですから…人前で我慢しましたが、本当は泣きたくて仕方ありませんでした。
本当に何かに呪われた様に悪いことばかりおきます。
しかもあの『無能』以外に使えます。
初日だからと見学したら…無能に見えません。
誰にも追いつけない筈の無能が、普通に走れて、あまつさえ賭けの時には勇者達すらも追い抜いたのです。
あの後、他の召喚者に話を聞いてみました…確かに向こうの世界で優秀な存在であれば、最初のうちは通用するかも知れません。
ですが…
「理人ですか? そんなに凄くない筈ですが」
「少なくとも大会で活躍した話は無いですよ…本当なら俺より遅い筈です」
可笑しい事に彼は至って普通の存在でした。
ソルバに話を聞いてみたら「騎士並みの体力がありますね」と言っていました。
そこから考えられる事は…彼は『密偵』みたいな事をしていたのではないか?
そんな考えが浮かびました。
ですが、異世界人の話では、そういう存在は日本という国にはもう居ないそうです。
まさか、昔いたという『忍び』の末裔という事でしょうか?
まぁどうでも良いです。
お姉さまの陣営の要は確実に彼でしょう。
ならば…早いうちに『潰してしまいましょう』
あの無能さえ潰せば…すべて上手く行くような気がします。
「リュークを呼びなさい!」
「はい、姫様」
リュークは闇騎士…いわゆる汚れ仕事専門の騎士…
素行に問題はありますが腕は確かです。
もし無能が騎士並みの力があっても…間違いは起きないでしょう。
彼ならきっと速やかに『片付ける』筈です。
◆◆◆
マリンは『聖女』『大魔道』をマリアに取られ焦っていた。
その結果、彼女本来の優しさやカリスマは隠れてしまい、知らないうちに嫉妬に染まり…一線を越えようとしていた。
今のマリンを理人が見たら…美しいと言うに違いない。
元腐女子 紀子
「今日から私の事はメス豚、もしくは雌犬とお呼びくださいね! ご主人様!」
北条さんが…狂った!
塔子もマリアも唖然としている。
まだ手も出していない。
アブノーマル処かノーマルな事もしていない。
『ただ、素顔を見せただけだ』
「あの…北条さん、なんでそんな事を言うのかな?」
心辺りはある。
それは、俺が北条さんを嫌いじゃないという事だ。
悪魔的な感情を持つ『俺が好む』という事は『真面目で清純ではない』という事だ。
つまり、彼女には『かなり醜い部分を持っていた』そういう事だ。
「だって! だって! 理人様ってどう見ても私の推しの『BL漫画の主人公、鬼畜イケメン腹黒王子デューク様』にしか見えないんですもの! まさかBLの王子様に現実世界でお会いできるなんて、幾らBL好きの私でも恋に落ちてしまいます…服脱いで跨りますか? それとも靴を脱がせて足を舐めますか?」
流石…欲望丸出し…これが彼女の『欲望丸出し』の姿か。
どうりで俺が好ましく感じるはずだ。
『性欲』『独占欲』 これが清楚に見えていた彼女の本性。
生贄に見えず可愛く見えていたはずだ。
「そんなに俺がBL小説の主人公『鬼畜王子』に似ているのか?」
本当は似てないのかも知れない。
だが、俺の容姿は悪魔からの贈り物。
ルシファーは誰が見ても美しく見えるのと同じように『誰からも理想の美少年』に俺は見える。
北条さんには『理想の男性』になっているのかも知れない。
「紀子…あなた腐女子だったの?」
「塔子さん、腐女子ってなんですか?」
塔子は一生懸命マリアに『腐女子』の説明をし始めた。
「確かに腐女子かも知れません…ええっ、認めますよ。似ているも何も私には『推しが目の前に居る』そうとしか思えません…まさか理人くん、いえ、理人様が、私の理想のBLの王子様、その者だったなんて…服を脱ぎましょうか? なんなら裸でいつもいましょうか? それともこの舌でお体を綺麗にしましょうか?」
「これが腐女子…変態ですわね」
「腐女子は…此処迄変態じゃないです…北条さんが度を越した変態なだけです」
「なんとでも言って下さい! ですがこれは腐女子ではありません! 腐女子とは男の絡みを愛でる存在 『推しが実在し、恋に落ちた私は腐女子ではありません』『いたんですから本物が』こうなるのは当たり前です! 私の髪の毛からつま先まで、望むなら胸でもお尻でも全部理人様の物です!」
欲望に凄く忠実だったんだな。
イービルアイを使わなくても俺(悪魔的)に魅力的だ。
なら、対応は簡単だ。
「だったら、紀子はもう俺の物でいいんだな! それなら四つん這いになれ!」
「はう! はい」
直ぐに紀子は四つん這いになった。
わざわざ『奴隷みたいになりたい』そういうのだから北条さんと思う必要は無い。
俺は紀子を椅子代わりにして座った。
「ハァハァ~幸せ~ ハァハァ」
本当にドMなんだな。
「ちょっと理人、何しているの?」
「そうです、流石に女性に座るのは酷いと思いますわ」
「だが、これが紀子の希望なら仕方が無いだろう? 当人が希望して喜んでいるんだから」
「そっそうね」
「しかし…まぁ今は何も言いませんわ」
「それで紀子はこっちに来て良かったのか?」
「ハァハァ、お尻の感触がたまりません…推しの王子、いえ理人様が居るのですから、此処が私の居場所です!(キリッ)」
鼻血を出して喜んで居るんだ…これで良かった筈だ。
挑発
「今日は男子の方には本格的な訓練を行う…女子は座学だ」
「えーっ可笑しく無いですか? 女子にだって『騎士』のジョブ持ちがいるのに」
悟が言ったが…
「馬鹿野郎、戦場では女の方が危ないんだ…守ってやらなくてどうする!」
そう言うソルバの顔は伏せ気味だ。
正直な性格なのだろうな…後ろめたいという事か。
差し詰め俺の仲間二人は『女』だ。
切り離しをしたいのだろう…
「それで、勇者達と無能は俺ではなく、別の者が今日の訓練を担当する、それではリューク先輩お願いいたします」
「初めまして、勇者様達、無能 俺の名はリューク、宜しくな!」
「はじめまして」
「おい『無能』なんだ、その挨拶はー-っ なぜ、すぐに返事を返さない!」
「俺は返した…大樹達は…」
「勇者様達は良いんだよ、俺が言っているのは『無能』お前の事だ。俺は名乗ったのに…なんで『無能』のお前が黙っているんだ? お前はこの城の中で一番下の存在なんだぞ? 解っているのか?」
大樹達は俺を見てニヤニヤしている。
こう言う虚栄心を持った醜い奴らは嫌いじゃない。
悪魔的な歪み方した人間…こういう奴も嫌いじゃない。
だが、敵になるなら話は別だ。
「この国は『誘拐犯』ではなく被害者を責める。恥知らずな国だったようだな…このような対応をとるとは、王にも王女にも聞いてない『国王や王女に騙された』そういう事か?」
「貴様…王や王女を愚弄する気か?」
「お前の言った事が本当なら、馬鹿にされても仕方ないんじゃないのか?」
「貴様ぁぁぁぁー-っ。ふぅ、まぁ良い。そこ迄言うのならさぞかし腕に自信があるのだろうな!」
恐らく、此奴より俺の方が強い…だが、どうせなら今のうちに『勇者達』をどうにかしたい。
「そうだな、そこの役立たず…三人よりは『今なら』強いと思うぞ!」
「お前、よりによって『勇者』を馬鹿にするのか? 良いか、元は兎も角、勇者様達はこの世界で急激に成長し強くなる…もうお前みたいなゴミは勝てない」
確かにそうだろう…こんな魔素の強い世界に来たせいか俺は数倍強くなった気がする。恐らく俺ほどじゃないがジョブを貰った人間にも同じような事があるのかも知れない。
「そうでしょうか? なぜか今の俺には貴方も含み、雑魚にしか思えません、多分4対1でも負ける気がしない…もしかして『大樹達が偽勇者』だったりして」
これで良い…此奴、何故か俺に絡んでくる。
『好都合だ』
今なら確実に大樹達に勝てる。
強くなる前に叩く…それが最善だ。
「お前、今『勇者たちが偽物』そう言ったな…それでお前は俺を含んだ4人相手にも勝てると?」
「ああっ言ったな…余裕だ。俺は前の世界ではパルクールの達人だ」
「無能のお前は4人どころかこの中の1人にも勝てない」
「それじゃ、もし勝てたら? 此奴ら三人が『偽物』であんたは責任でも取るのか?」
「ああ、良いぜ…そんな奇跡は絶対に起きないからな」
「ならば乗った!」
「此の事は王や王女に話す…もう後戻りは許さない」
今まで黙っていた大樹達がにやりと笑った。
「墓穴を掘ったな…これで堂々とお前をやれる」
「楽に死ねるとおもうなよ」
「僕は優しいから、泣いて土下座してくれたら許すよ…あはははっだけど、僕が許しても…二人が許さないから無理だね」
「…」
殺すか、再起不能にするか…いずれにしても二度と戦えない様に叩く。
偽りの理由
何もしなくてもリュークは話を大事にしていった。
大樹や大河、聖人はクラスメイトに『勇者じゃない』と侮辱されたと吹聴していた。
「自分が無能だからって酷いな」
「大樹が羨ましいからって…言って良いことと悪い事がある」
「妬むのもいい加減にしろ!」
「大樹や大河が偽物なわけないだろうが」
直接、言ってはこないが、遠くからこちらを睨むようにブツブツと言っている。
こんな状態だから訓練は一旦中止。
この場には女子が居ないから『俺の味方』は誰も居ない。
更に言うなら塔子が俺にべったりで大樹から寝取ったという噂まで流れているから…やっかみもあるだろう。
ああっ嫉妬に染まった顔に…
怒りに満ちて…憤怒した顔…
本当に溜まらない。
更に絶望した顔や、泣き叫ぶ悲しみに満ちた顔も『見てみたい』
その顔を見れたなら…
俺は凄く幸せだ。
◆◆◆
結局は2時間の時間を置いて4対1の決闘を行う事になった。
2時間待つことになったのは、マリンとマリアが今手を離せないからだ。
女性陣に連絡しないのは、多分此奴らの悪意だろう。
恐らくは俺を『孤立』させて二人が居ない状態で追放、あるいは場合によっては殺したいのかも知れない。
時間がある事は良いことだ。
俺は魔方陣を描き黒魔術を事前につかった。
体が熱くなり、関節が変な方に簡単に曲がる状態に体がなる。
他には他の人には解らない独特な匂いがしたりする。
これはサバト等で『悪魔が降臨』し体に宿った証拠だと言われる。
良くはは解らないが…自分の力が増したことだけは解った。
俺くらいの術者じゃ『手をかして貰えた』そこ迄は解るが…それ以上はどうしようもない。
偉大なるソロモン王のようにはいかない。
来ていただいた悪魔だけは解ったので、俺はお願いをした。
果たして要望どおりにしてくれるかどうかは『悪魔次第』だ。
◆◆◆
「お時間です、修練場の方に来てください」
呼びに来たメイドもどこかよそよそしい。
勇者と俺が揉めている。
もう、その話が使用人にまで伝わっているのかも知れない。
「お前は、何をしておるのだ! 女神様からの手紙を持っていたから温情を掛け城に居させておるのに! 勇者様達が偽物等と無礼であろうが!」
国王であるエルド6世が顔を赤くしてこちらに怒鳴ってきた。
怒りの表情…ああっ凄く良い。
傍であの三人もニヤニヤしている。
あのリュークという騎士も同じだ。
「ご説明させて頂きます! 俺が悪しき存在でない事は女神様からの、あの手紙で証明済みです。女神様は恐らくこの時の為に私を遣わしたのかも知れません…仲間に紛れ込んだ魔族側の存在をあぶりだせと」
女神に口なし。
この世界の女神は余程の事でなければ、この世界に口出しをしない。
だからこそ…幾らでも捻じ曲げられる。
「それはどういう事だ! 説明せよ!」
あの三人の顔とリュークの顔が驚きに満ちている。
自分たちの思ったのと違う方向に話が向かっている…それは驚くだろう。
「今回の異世界召喚の際に『魔族側』の邪魔が入ったようです。その為、このクラスメイトの中の何人かが魔族側の存在と入れ替わってしまったようです…最も入れ替わった存在は自分でもその事に気がついていません」
マリンはかなり動揺しはじめた。
多分、今回の、俺への嫌がらせの首謀者は此奴か。
「だが…なぜ『無能』のお前に、その存在が解るのだ」
完璧な嘘だがな。
「俺は少し感が良いのです…但し絶対にそうかは私にも解りません。ですが一緒に暮らしていたせいか、なんとなく『違うのでは』程度の違和感はあります。それだけです…ですが女神様は『私に頼るしかなく、私に証明するすべを教えて頂けました』」
「女神様はなんと!」
「もし『違和感がある存在が居たら決闘しろ』と。もし女神様からの祝福である本来のジョブやスキルを貰っているなら、貴方は絶対に勝てない…もし、偽物なら『最低の祝福』しかあげていない貴方ですら最初の頃なら殺せる…そう言われました」
全部嘘です…はい。
「それが理人殿が『無能』である理由か…確かに言われてみれば、無能である其方にも言語と収納がある…それが『最低の祝福』であると言うのなら頷ける。それでどうしたいのでしょうか?」
王である、エルド6世の言葉使いが変わった。
これは信用した…そういう事だ。
「そこの三人とそこの騎士4人と決闘をしたい、文字通り命がけのです。ただし、リューク殿は後で…出来たら俺の方は『命の保証』を下さい」
「なんだ、その条件は『命の保証』」
「はい、もし三人が本物なら、俺は殺されてしまう…死にたくはありません! 勿論、罰があると言うのなら罰は受けます。ですが、万が一、その三人が魔族側の存在なら、消せる数少ないチャンスです」
「なるほど、筋はたっておる…その条件認めよう」
「ちょっと待ってお父様、そんな無能のいう事を信じるのですか?」
「お恐れながら」
「無能が私の言葉を遮るのですか!」
「マリン、話を聞いてあげて下さい…命がけの話ですわ」
「命がけ? 自分の命の保証をした決闘が?」
「本物の無能なら…勇者の一撃で死ぬこともありますわ」
「そうね…聞くだけ聞くわ」
「まだ、解りませんが、最近足に痣が出来たと聞きました、それも悪しき存在の仕業かも知れません…この決闘で…もしかしたら治るかもしれません」
「本当でしょうか?」
「かも知れない…としか言えません」
「まぁ良い…決闘を認めよう…そうすれば解る事だ」
三人は顔色が変わっていた。
これで良い…
決闘の始まりだ。
決闘…結末
「貴方死にますわよ」
命の保証はして貰っているし…何より負ける気がしない。
「マリア様、此処であの三人が潰れたら、かなりこちらの陣営は有利になりませんか?」
「確かにそうですわ、間違いなく妹に一泡吹かせられますが…5職のうちの3職を相手に貴方が勝てると思えませんわ」
普通はそうだが、俺の体は普通ではない。
更に言うなら先ほどの儀式でアスタロトが俺に力を貸してくれる事になった。
これで負ける事はどう考えても無い。
「勇者が強くなればそうでしょう…ですが、今ならまだ勝てる可能性があります」
「それでも、貴方よりも強い筈です、しかも自分より強い相手三人…無謀ですわ」
「その答えは直ぐにでます」
今なら簡単に勝てる…その自信はあった。
心配するマリアとは裏腹にマリンは複雑そうにこちらを見ている。
痣が消える。勇者たちが偽物。色々考えすぎてどうして良いのか解らないのだろうな。
◆◆◆
「用意は良いか? これから勇者様三人と無能の決闘を始める、準備は良いか?」
明らかにこれは酷いな。
騎士たちは完全に大樹達の味方だ。
恐らくだが三人の装備は見た感じミスリルだ。
それに対して俺の剣はただの鉄だ。
これは誰が見ても明らかだ。
これに気が付かないなら、全員ボンクラだ。
まぁ良い『聖剣』じゃなければ問題ない。
「どうした? 理人、顔色が悪いぞ」
「この剣でお前を殺してやる」
「魔法で焼き殺してやる」
そう言いながら三人は震えている。
今まで人を殺した事が無い…ここでようやく、その怖さが解ったのだろう。
俺は今まで赤ん坊から老人まで殺した数は10人を超える。
見ていた数なら200じゃきかない。
この差は大きいだろう。
「魔族の間者…俺が成敗してやる」
此処で俺は言い切った。
「「「なっ」」」
完全に言い切った。
周りが青ざめ驚いている。
そのタイミングで決闘はスタートした。
「はじめー――っ」
俺は素早く大樹の懐に潜り込んだ。
そして、剣を首元水平に斬りつけた…その剣は吸い込まれるように首にあたり、そのまま何事も無い様に振り抜けた。
そのまま首は胴体からずり落ちていき音をたてた。
『ボトリ』
その瞬間、血しぶきが舞った。
俺は自分の剣を捨てて、倒れる前に大樹の剣を奪い取った。
流石に首を斬り落とされたら、この世界の魔法でも復活は無理だろう。
ただでさえ、確実に此奴らを上回っている俺がアスタロトの力すら借りているんだ当然だ。
更にアスタロトから支援なのか落ちた首の顔が醜く老人の様に変わった。
「嘘だ…本当に魔族の間者だったのか…」
決闘の立ち合いをしていた騎士の顔が青ざめている。
遠巻きに見ていたクラスメイトや王、マリン、マリアや貴族は驚きで声も出ない。
「うわぁぁぁ死ねぇぇー――っ」
大河が思いっきり斬りこんできたが…ただ速いだけだ。
軽く躱し、剣を立てに振る。
流石ミスリルの剣良く斬れる。
そのまま、大河の両腕は地べたに落ちた。
「うわぁぁぁぁぁー――痛ぇぇぇぇぇー――っ」
痛さで大河が転がりまわっているが、ゆっくりと近づき蹴りを入れる。
「うがぁぁぁぁー――っ」
アスタロトからの支援で大河の顔も醜くゴブリンの様に変わった。
転げまわる大河の心臓を一突きした。
こんな姿の大河に回復魔法を掛ける相手は居ないだろうが、念の為首を斬り落とし高々と掲げる。
「二人目の間者も討ち取ったぞ~」
「ひぃっ…来るな、来るなー――っ」
魔法も使わず叫びながら逃げている。
俺はゆっくりと近づいていくが…
「この魔族の手先が俺たちを騙しやがって…死ね」
「よくも俺たちを騙しやがったな…」
「止めろー-っ、僕は魔族なんかじゃないー-っ」
聖人の弁解も届かず、そのまま騎士たちに斬りつけられ惨殺された。
俺は、こっそりとマリンの呪いを解除した。
本来は魔方陣を使い呪文を使わなければ無理だが、アスタロトから力を借りている俺には簡単だった。
そして、全てが終わった後、俺の背後にアスタロトが姿を現した。
悪魔とはいえアスタロトは『堕天使』だ。
その為、顕現する際に『美しい天使』の姿で現れる事がある。
『ごくろうであった、我が僕よ! そして力を貸してくれた者よ。 敵はまだまだ多い…他にも紛れ込んでいる者を…あぶりだせ! 我も他の者も期待している』
それだけ伝えると消えていった。
堕天使…元は天使だったからその姿は実に神々しい。
天使にしか見えない存在に声を掛けられた騎士は感動に震えていた。
この世界で女神や天使が顕現することは無い。
神の使いに声を掛けられた騎士が感動しないわけが無い。
「天使様に褒められた…これは末代までの自慢になるぞ」
「行動して良かった…今の話では、まだ『紛れ込んでいる様だ』」
「ならばリュークも同じ筈だ」
「あいつは偽勇者を先導していたぞ!」
「なっ、姫様!」
マリンに助けを求めるように目を向けたが…
「この男も取り押さえ、処刑しなさい!」
「そんな、私は、姫様に…」
「黙りなさい! 魔族の手先め…さっさとこの男も処刑するのです!」
マリンがそういうと、待ってましたという様にリュークはとり抑えられた。
「やめろ、やめてくれー-っ俺は魔族の間者じゃない!」
その声は届かず、あっけなく処刑された。
◆◆◆
王が司祭の様な男性と話している。
それが終わると王自らがマリン、マリアを伴って司祭の様な男性とこちらに来た。
「理人殿、済まなかった、この通りだ赦して欲しい! 今後は貴殿を無能と罵った者には厳重な罰を与える事にする! まさか天使様が自ら『僕』であると言われるような存在とは思わなかったのだ…今後は最大限の優遇する扱いにする事を約束しよう」
「初めまして、私はこの国で枢機卿をしている者です。たった今、教皇様に通信水晶で連絡をしました。教皇様は凄く喜ばれ『天使の僕』であるなら『それは人間の範疇を超える』という事で…魔族の手先、間者に対しては『教皇様と同等』という権利を与える事が決まりました。 理人様が『魔族』とみなした場合は相手が『王』であっても斬り捨てて良い。そういう権限を与えるという事です」
「ありがとうございます」
俺はお礼を言い、頭を下げた。
「頭など下げないでください! 貴方は一部とはいえ『教皇様と同等』の権限を持つ方。そして天使様に直接仕える様な方なのです。教会関係者から見たら…憧れです」
「それじゃ言葉を変えて…礼を言う」
「お言葉、ありがとうございます」
「理人様、本当にありがとうございました。私の呪いも解けました。流石は『天使様の僕』です。この感謝は一生忘れません」
そう言いながらマリンはスカートを少し捲り、足を見せた。
「呪いが解けて良かったです」
まぁ、完全なマッチポンプだが…
「あの、わたくしはこれからどうすれば良いのでしょうか?」
「これまで通りで良いと思います」
「そういう訳にはいきませんわ」
「『無能』という扱いを受けた私に普通に接してくれた…その恩は忘れません」
周りの人間が目を伏せた。
続けざまに伝える。
「だから、これまで通りでお願いします」
「理人様がそう言うなら…そうさせて頂きますわ」
マリアを恨みがましい顔で見たマリンの姿を俺は見逃さなかった。
待遇の差
「天使の僕なんて驚きでしたわ…もしかして女神様にも会ったことがありますの?」
転移の時に会っただけだな。
「女神様には転移の時にあっただけです。ただ実は両親が神学者で、前の世界では世界中旅をして色々な神や儀式に触れていました」
悪魔を神に変えて伝えた。
それで良い筈だ。
「神学者…神について学ぶ者ですか?」
「そういう仕事というか…それが両親のライフワークでしたから」
マリアと此処迄話していると…急に王とマリンが割り込んできた。
「そういう事でしたか? この世界の女神以外に沢山の神について学んでいた…そして加護を既に頂いていたから女神様からのジョブやスキルが貰えなかったという事ですな…素晴らしい話です」
「まさか、既に天使様に仕えていたなんて…『無能』どころか素晴らしすぎます。痣を消してくれた恩もありますし、私の陣営に来ませんか? 最大限のおもてなしをさせて頂きます」
◆◆◆
待遇ががらりと変わった。
だが、今現在、もう王にすら頼る必要は俺にはない事を枢機卿から聞いた。
教会が今後のサポートを全面的にしてくれるそうだ。
だが、やはり悪魔側に居る俺としては、それはそれで落ち着かない。
元から『異世界人』という事でそれなりの部屋だったが…
「今日からこちらをお使い下さい!」
そう言って用意されたのは…これぞまさに王様の部屋、そう思えるほどの豪華な部屋だった。
部屋と言うよりマンションに近い6LDKって感じで驚くことに部屋にお風呂まであった。
キッチンが無いだけだ。
そして…
「話はきいたわ、流石わ.た.しの理人凄いじゃない!」
「塔子ちゃんのじゃないじゃない? わ.た.しのご主人様です!」
そう言いながらキョロキョロ見ている。
流石にお嬢様の塔子でもこの部屋は凄いのかも知れない。
だけど…良いのか?
俺が大樹や大河、聖人を殺した事は聞いたはずだ。
「話し中悪いが、大樹達の事は大丈夫なのか?」
俺は三人を殺した…その事は大丈夫なのだろうか?
「確かに、大樹達を殺したとしたら考えてしまうけど…大樹達は魔族に入れ替えられていたんでしょう? 姿が大樹達でも気にする事は無いわ…それにあの三人、親が仲が良いし仕事の付き合いもあるから付き合う選択しかなかったけど、それを除いたらただの友達よ? もしかして焼きもち焼いていた?」
「私はご主人様の僕みたいな物です…殺すなら言って欲しかったです…勿論一緒に殺しちゃいますよ!」
塔子の方は『本物じゃないから』気にならない…そんな感じか。
逆に紀子は本物でも殺しそうで、より悪魔的だ。
紀子の目は狂気をはらんでいる。
出来る出来ないは兎も角…殺すという意思はありそうだ。
「そうか…それなら良かった」
俺はこの件には触らないようにしようと思った。
塔子の話を聞いていると…案外リア充だと勝手に周りが思っていただけで…そんなでも無いのかも知れない。
「しかし、このベッド凄いわ…これなら今日も楽しめるね」
「楽しみって何ですか? まさか、もうお二人はそういう関係なんですか? それなら私も混ぜて下さい」
「「えっ」」
俺はサバトで沢山の女性を相手にした事はある。
まぁ幼いころから葉っぱを決めながらやっていたから、特に思わないが紀子の口から出るとは思わなかった。
「そうか? それならベッドも大きくなった事だし、今日は三人で楽しむか?」
「ちょっと何考えているのよ! 駄目よ!駄目! 理人は私だけの者なんだから!」
「塔子さん、この世界は一夫多妻が当たり前の世界ですよ! 私を仲間にしてくれるなら側室でも良いんですよ? 今回の兼で理人さんは有名人です…他の人に取られたくないならガッチリガードが必要です! 1人占めすると持っていかれちゃいますよ?」
「そんな」
「マリン王女も狙ってくるかも知れませんよ? 仲間が必要だと思いませんか?」
「ううっ解ったわよ」
今夜が楽しみだ。
◆◆◆
「なんで俺たちがこんな所に」
「そうよ…普通の部屋に見えるけど、檻がついて居るじゃない」
「申し訳ございません…皆様の中になりしました魔族がいる…それが解ったのでこの部屋に入れさせて貰います。檻がありますが身分の高い者の為の部屋ですから設備はしっかりしています。部屋から出られない、それ以外は食事も含み、しっかり対応させて頂きますからご安心を」
「そんな…」
決闘騒ぎで異世界人の中に『魔族の間者』が居る…そう判断した事により貴人用とはいえ召喚者たちは牢屋に入れられる事になった。
魔族と悪魔 あるいは燃えた日
その日の夜には同じように『薬油』を使い塔子、紀子と楽しんだ。
紀子はなんでも受け入れ、俺どころか塔子にまで舌を使い…本当に初めてなのかと疑いたい位のド変態だった。
何も言わないのに…塔子の肛門にまで舌を入れようとするとは思わなかった。
「あっあっあはははっー-あん、あっあははははっ気持ち良いー-っ」
「そんな事迄しなくて…良いわ..あっそんな」
「あははっそんな事言わないで良いんですよ? メス豚な私はどんな事でもしますよ…そしてどんな事でも受け入れますから…あっあっあああああー-っ」
凄いな、相手が望むことをしながら自身も快感を貪る。
貪欲に胸やお尻を使い…白目を剥く迄腰を振り続け、気がついたら口に頬張る。
俺の頭の中には『SEXモンスター』という文字が浮かぶ。
サキュバスでも紀子程じゃない気がする…まぁこれはあり得ないが。
結局、俺も塔子も殆ど動かなくても紀子が口や胸、股を使い奉仕続け…それは紀子が気絶して眠る迄続いた。
股の間からの血が紀子が純潔だった証として流れているが…これが無ければ信じられない。
塔子は先に気絶して、そのまま体をびくつかせながら寝ている。
流石に俺は…サバトでもっと凄い経験をしているから平気だが、充分満足した。
薬油だけで、葉っぱも使わずにここ迄の快感を貪る。
どうりで最初から『俺と仲良くなれそう』なだけあるな。
そして…朝を迎えた。
ベッドはこの前所じゃ無い位乱れ…栗の木の様な匂いが部屋に充満している。
またメイドの目が気になるが…気にしても仕方ない。
塔子も紀子も涎を垂らして半分白目をあけた状態で寝ている。
こんな状態でも腰を小刻みに動かし股間をもぞもぞしている紀子は…ド変態なのだろう。
「ほら…起きろー-っ」
「嘘…まさか…見てました?…そんな恥ずかしい」
「う~ん、ご主人様、満足してくれましたか? 折角だから、あ~む」
俺の股間に手を伸ばして咥えようとしてきた。
「しないで良い…急いでシャワーを浴びよう」
「それじゃ…お掃除だけ、うんぐ、ううん、はい綺麗になったよ」
「紀子…あんた、とんでもない変態だったのね」
「そう言いながらよがっている塔子さんも同じですよ」
「絶対に違うわ…一緒にしないで」
「良いからシャワー浴びよう…流石にこの姿は見られたくないだろう?」
「そうね」
「私は一向に構いませんよ? 理人様専用に肉便器でもメス豚でも構いませんから…」
「俺、専用っていうなら、一緒に手早くシャワーを浴びて着替えてくれ」
「はい、ご主人様が言うなら、そうします」
言うだけあって命令ならすぐに動くんだな。
◆◆◆
大樹達を倒してから…俺は凄く強くなった気がする。
これで俺が悪魔側の人間だという事が解った。
つまり、俺は魔物ではなく、人間それもジョブが良い人間を狩るとレベルアップするみたいだ…これで完全に悪魔側の人間だという事が解った。
後は…
◆◆◆
「魔物を見に行きたいのですか?」
俺はマリアの所に相談に来た。
「ああっ、俺の仲間は女二人だから俺が守る必要があるだろう…だからどういう存在か見に行きたいんだ」
「理人様なら遅れをとる事は無いから大丈夫でしょう…他の方の訓練も今中止していますわ…そうですね明日にでも騎士と一緒に出掛けられる様に手配しておきますわ」
「ありがとうございます」
「それで、理人様の部屋からなかなか大きな声が夜聞こえてくるという話があるのですが…」
「そうですね」
「結構、部屋が乱れているという話もありますわ」
別に隠す必要も無いだろう。
「まぁ若いですから」
口をパクパクしているマリアを置いて俺は廊下へと出た。
◆◆◆
これで俺のモヤモヤが消えるかも知れない。
俺の知っている悪魔と魔王、魔族の関係…
果たして繋がりがあるのか?
全く別物なのか?
ようやく手がかりが掴めるかも知れないな。
人間よりゴブリンの方が大切だ
騎士たち二人に連れられて半日。
山にある岩場に来た。
「つきました理人様、此処がゴブリンの岩場です…あの洞窟にゴブリンが住んでいます」
確かに漫画や小説で見るゴブリンの住みそうな洞窟があった。
「此処にゴブリンが居るんだな…一人で行かせて貰って良いか?」
「そんな、理人様に怪我でもさせたら…私たちが責任を負わされます」
「離れるわけにはいきません」
だが、俺は『どうしても1人で行く必要があった』
「大丈夫だ、俺には天使様の加護がある…それが本物かどうか試したい」
しつこくお願いを繰り返しようやく一人で行かせて貰えることになった。
そのまま洞窟を進んでいくとゴブリンに会った。
やはりレベルがあがり、能力が向上してより悪魔的になったのだろう。
イービルアイを使わなくても、ゴブリンが可愛らしく思えた。
あくまで外見ではなく『心情的に』な。
凄く魔力のある魔女は普通に悪魔と性行をする。
だから、悪魔側の人間に外見は関係ない。
頭が山羊の者や人の形でもない者と交わる事が出来る位だからな。
人間同士のサバトでも老人から10にも満たない相手に普通に交わる。
まだ敵なのか、どうかは解らない。
そのままゴブリンの前に出た。
《魔族様…? 人間?…いや人間じゃない魔族様だ》
俺は両腕の爪を伸ばして見せた。
《やはり魔族様だ》
しっかり意思疎通が出来た。
「こんにちは」
やった…本物の魔物だ。
凄いなぁ~
俺ぐらいの術者じゃ、あちらではゴブリンなんて召喚出来ない。
いきなりゴブリンがひれ伏した。
「まさか、魔族の方がお越しになるなんて思いもしませんでした。今回は何の御用でしょうか?」
正直に話すべきだ。
「俺はこの世界じゃなく別の世界から来た、悪魔を信仰する者だ…この世界の魔族や魔物との関係を知りたくてな…」
「それでは…そうだキングと…話して下さい」
そのまま奥に通され…大きな個体のゴブリンの前に連れていってもらえた。
多分、彼がゴブリンキングだ。
「どうしたというのだ、息せききらせて、まさか人間が襲ってきたのか?」
あれっ?
気がついたらもう普通に話せている…
やはり悪魔と魔族の間には何かある…そうとしか思えなかった。
「それが魔族様らしい方がこの洞窟を訪ねてきました」
「なっ…魔族様?」
至って友好的な気がする。
「その事について聞きたくて此処に来たんだ」
俺は自分の爪を伸ばして見せたあとゴブリンキングと話し始めた。
そして自分の今までと今現在までの全てを離した。
「成程。まず貴方様は魔族様となんら変わりません。風格、気配すべてがそうです。特に爪を出された時には私が大昔あった『上級魔族様』の様に思えました。私たちが…仕える存在であることは確かです」
やはりそうか?
「それで悪魔についても何か解らないかな?」
「それは流石に解りませんが…我々が崇める魔王様は異世界の魔王様の眷属だと言っています。確か名前は…ルシファー様だったと思います」
これは凄い発見だ。
この世界の魔王は俺の知っている『堕天使ルシファー』の眷属の可能性が高いという事だ。
「私が異世界で信仰している存在…それがルシファー様だ。という事は俺とこの世界の魔族のルーツの根源は一緒という事だ…ありがとう」
「いえ、魔族様に近い存在に会えて光栄です」
その後はゴブリンキング自ら案内をしてくれた。
宝物庫から好きな物を好きなだけお持ちくださいと言われたので1振りの剣と2つのブローチと金貨を数枚貰った。
「それだけで良いのですか? 何ならすべて持って行って貰っても構いません」
「これだけで大丈夫だ」
「そうですか? それなら苗床を使っていきますか? 英雄色を好む…ちょうど7人居ますからご自由に遊んでいかれてはいかがですか?」
うわぁぁぁ、精液まみれで気絶している女が鎖で繋がれているよ。
「たた助けて…」
「「「「「「た.す.け.て」」」」」」」
流石にばっちく感じるからこれは抱きたくないな。
「今は良い…そのうち借りるかもな」
「使いたくなったら何時でもお越し下さい」
「ああっ…そうだ、この場所はもう人間に感づかれているから逃げた方が良いぞ」
「人間等、恐れるに足りませんが…」
「今、城には異世界人が居る、恐らくはその訓練として使われる可能性が高い」
「異世界人…」
「勇者たちは俺が殺したが、まだ聖騎士クラスが沢山いるが大丈夫か」
「それは…戦ってみないと解りません」
「俺は君たちに友人の様に感じている、人間なんてどうでも良い君たちに死んで貰いたくないんだ」
やはり俺は、悪魔側の人間なのが良く分かった。
ルーツがルシファーにある。
それが解った事で、最早人間よりゴブリンの方に親しみを覚える。
さっき苗床の女を見た時も『助けたい』そんな気持ちも起きなかった。
頭に浮かんだ事は『汚い』『苗床ってこんな感じなんだ』という知的好奇心だった。
「有難き幸せにございます…確かに異世界人相手は心もとないです、我々は撤退させて頂きます…勇者討伐、ありがとうございます、他の魔族の方にお会いする機会がありましたらお伝えさせて頂きます」
「それじゃ人間に感づかれる前に、俺は帰る…色々な話しありがとう」
「またどこかで会えたら親交を深めましょう」
俺はお礼を言いながら巣穴を後にした。
撤退した後は恐らく彼等には会えないかも知れない。
地球では滅多に会えない魔物に会えた…
両親にもこの光景を見せてあげたい。
異世界は俺にとって理想の世界だ。
希望と絶望
「理人様、ゴブリンはどうでしたか?」
「その様子だと無傷ですね、流石は理人様」
自分の立ち位置が解ってしまった。
俺は完全に魔王側の人間に決まった。
薄々は解っていた。
大樹達勇者を殺した時に経験値が手に入りレベルが上がった。
ソルバから前に話を聞いた限りでは普通は『人を殺しても経験値』は手に入らない。
だが、俺は明らかに大樹達を殺した時にレベルが上がった。
見た目は人間だが、体や精神は恐らく魔族に近い、いやもしかしたらゴブリンキングの話から考えると『違う進化をした魔族』なのかも知れない。
アスタロトから力を借りられたという事は地球で契約した悪魔達との契約もそのまま残っているという事だ。
最早俺の立ち位置は決まった。
魔族側につき『人間を殺す事』だ。
俺や魔族や悪魔に都合の良い人間以外は敵とみなして良いだろう。
「加護があるせいか、なんて事は無かったな」
「そうですか? それで理人様はどうされるのですか?」
「討伐されないのですか?『なんて事ない』相手であれば我らで討ち取りましょう」
そうだな…面白い事を考えた…
「そうだな、確かに苗床にされている女もいるようだし、君たちが手を貸してくれるなら討伐しよう!」
俺は騎士二人と一緒にゴブリンの巣へ向かった。
「あっ ゴブリン」
「待て」
ゴブリンが殺されちゃ可哀そうだ…俺は騎士から見えないようにゴブリンに逃げるように指示した。
そして口元に指をあて黙る様に指示した。
「なぜ止めるのですか?」
「もし苗床に行かれて女が襲われたら不味いだろう? 数も結構多い…とりあえず、女を助けて脱出が最優先だ」
「確かに、女優先…その通りですね」
ゴブリンは俺を見るとさっきの一人が連絡でもしたのか逃げていく。
きっとこっちの意思を察してくれたのだろう。
此方を見ると一目散に逃げだした。
「なんだ、俺たちに恐れをなしているようだな」
「理人様、狩ってしまいましょう」
馬鹿だな此奴ら。
「多分、此処がそうだ」
騎士二人がドアを開けて中に入った。
「なんて匂いだこれは…それになんて惨い」
「大丈夫か君たち!」
「た.す.け.て」
「助けて下さい!」
女が助けを求めている…当然だ。
「もう大丈夫だ! 我々が来たからには安心しろ、すぐに助けてやる」
「ああっ、此処にいる理人様は天使の僕だ…もう安心だ」
「ありがとう…ありがとうございます!」
「これで助かるの…ううっ良かった…良かったよー-っ」
だが、一人の少女がこちらを見ている。
解ったようだ…
「その人…えっうわぁぁぁぁぁー――っ」
「どうしたんだい? 大きな声を出して」
俺は剣を抜き一人の騎士の首を跳ねた。
今、まさに少女に手を出し励ましていた騎士の首が宙を舞った。
「理人様、何を?」
馬鹿か驚いている暇があれば俺に斬りかかれってくれば良いのに…
俺は驚いた顔の騎士の首を跳ねた。
「うわぁぁぁぁぁー-っ騎士様の首がぁぁぁぁー-」
「嘘、嘘、嘘信じないよ、こんな悪夢信じない」
「あははははっ! その顔が見たかったんだよ! 一瞬だけでも希望が見れて良かったね! どう? 絶望した! 絶望した!」
「魔族様が騎士を連れて引き返してきたと聞きましたが…こういう事だったのですね」
「そうだよ…男だから美味しくないかも知れないけど…まぁ食べてくれ」
「人の肉は食物ですから、此処暫く食してないから皆が喜びます」
この声は人間には意味が解らない…だが苗床女たちが再び絶望したように泣き始めた。
やはり、俺は悪魔側…この絶望した顔が奇麗に見える。
「そうだ、悪いがこの騎士の肉、少し貰えるか?」
「これは魔族様が狩った物ですから構いません」
俺は騎士の腕を斬り落とし苗床の女の方に放り投げた。
「もし、この腕を自分から喜んで食べる事ができたなら『仲間』と認める…さぁ凄いチャンスだぞ!(笑)」
周りにはゴブリンキングも居る。
「魔族様…何を!」
「ああっ女達に、もしこの腕を食う事が出来たら『仲間にしてやる』そう言ったんだ」
「成程、それはなかなかの趣向ですな」
1時間近く待ったが誰も食べようとしない。
「時間切れだな…今日はこの苗床女眠らせないで使ってやれ」
「ぐわはっはっはははははー―――っ」
「なっ何を…?」
「今日はいつもより念入りにお前たちの穴を使ってくれるそうだ」
「「「「「「「嫌ぁぁぁぁぁぁー―――っ」」」」」」」
その日、女たちの悲鳴とすすり泣く声が洞窟にこだました。
VS冒険者 ある女冒険者の悲劇
このまま帰ったら騎士二人が死んだ事で何か問題が起きるかも知れない。
騎士二人殺してみたが…ほんの僅かに経験値が入っただけみたいだ。
やはり、経験値稼ぎには『同級生』を狩るしかないか。
そういえばゴブリン達がいるのだからこの辺りに村とかあるのか。
「そういえば、この辺りに人は居るのか?」
「小さな村があります…人数が少ない上に凄腕の冒険者が居るので手を出していませんが」
「それじゃ、サクッと狩っちゃわないか? その凄腕の冒険者とやらは俺が引き受けるから…一人残らず男は殺して食って、女は苗床でどうだ!」
「それで良いのですか? 魔族様に得は無いような気がしますが」
「ああっ、俺は一旦城に戻り、再び潜入して『残りの異世界人』を狩る予定だ…だから騎士が死んだ理由が欲しい。 それには村を襲ったゴブリンを倒そうとしたが返り討ちにあってしまった。それが都合が良い」
「それでも魔族様の立場が悪くなりませんか?」
これは少し心が痛むが….
「これは本当に悪いが、お前の片腕をくれるか?」
ゴブリンキングの体は直ぐに再生する。
「それくらい構いませんが…」
「ならこれで良いな、村から欲しい物を全部奪って、此処に異世界人が訓練で来る前に お前たちはずらかった方が良いだろう」
◆◆◆
「ゴブリンが襲ってきたぞー――っ」
村の奴ら驚いているな…
すぐに冒険者らしい奴らが飛び出てきた。
男二人の女が一人。
「あれが件の冒険者か?」
「はい…あいつ等三人さえ居なければ、こんな村簡単なのですが」
ちなみに今話しているのはキングじゃない。
ゴブリンキングは『先に腕を渡しておきます』と言い俺にすぐに腕を渡して今回の件は参戦していない。
此奴はゴブリンジェネラル。
キングの片腕だ。
「あれさえ倒せば、後はお前ら任せで大丈夫か?」
「お任せ下さい」
◆◆◆
「冒険者の方ですか?」
「貴方は?」
冒険者の恐らくリーダーの者が聞いてきた。
「俺は異世界からの転移者です。城から訓練を兼ねてゴブリンの巣の見学に来たのです」
「ああっ、最近召喚された異世界の方でしたか? 私は冒険者のアル…一応これでもA級冒険者でウルフというパーティのリーダーです」
「僕の名前はソル、同じくA級冒険者」
「あたしの名前はライラ同じく…」
名乗る必要もない。
此処で『二人は死ぬのだ』
「ご丁寧に…それじゃこれでも食らえー-っ」
俺は剣を抜き一瞬で男二人の首を跳ねた。
A級と言うから少しはヤル…そう思ったのは間違いだった。
騎士となんだ変わらなかった。
やはり『同級生』じゃ無ければ経験値は僅かしか上がらないな。
「な…何をするの! なんで」
こんな馬鹿な事言う位なら直ぐに掛かって来いよ。
だからこうなる…
「嫌ぁぁぁぁー-っ、アル、ソルー-っこんな…あああー-っ」
ようやくナイフを構えようとしたライラの両腕を斬った。
両腕はそのまま放物線を描き飛んでいった。
「おい、お前達、此奴らに恨みがあるんだろう…そのうち出血で死ぬだろうが…死ぬまで『使ったら』良いんじゃないか?俺は要らないから」
「嫌、嫌いやぁぁぁぁぁぁぁー―――」
手が無いライラに対抗する手段は無く、無数のゴブリンにしがみつかれて裸にされていた。
もう終わりだな。
「助けてぇぇぇ…こんなのは嫌ぁぁぁぁー――」
俺は三人が持っていた収納袋を見た。
中にはゴブリンの耳が結構入っていた。
「なぁ、これは貰っても良いか?」
「別に構いません…死んでしまったらそれまでですから」
これで良い…この耳は応戦した証拠になる。
「沢山のゴブリンが村に入っていく…もうこれで終わりだな」
騎士二人は多勢に無勢で死亡…俺は勇敢に戦ったが追い払った時には生存者がほとんで居なかった…これで良い。
後は死体関係だが…村ごと燃やして貰えば良いか。
「…た.す.け.て」
「これでもう大丈夫か?」
「はい、この冒険者たちが居なければ怖い者はありません」
「そうか、よく食べ、楽しんだら、最後は火を放って村を燃やしてくれ」
「畏まりました…そしてありがとうございました、魔族様」
「それじゃ今度こそ俺はいくわ」
「いやぁぁぁぁー-っ、嫌だよー-っひくっひくっあああああー―――っ」
女の悲鳴を聞く中、ゴブリン達にお礼を言われ、俺はその村を後にした。
偽りの報告
「どうしたのですか? 理人様…なぜお一人なのですか?」
出来るだけ焦ったように…悲しそうに話した方が良いだろう。
「ううっゴブリンを見に行ったあと近くの村を見せて貰ったのですが、突然多くのゴブリンが襲ってきて…」
「そんな、ちょっとお待ちください! 直ぐに王や王女に取り次ぎます」
休む間もなく俺は王の間に通された。
直ぐにエルド六世とマリン、マリアが来た
「ゴブリンに村が襲われていたとは誠か?」
「はい、その場にいた冒険者と騎士二人と一緒に共闘したのですが多勢に無勢でどうすることも出来ませんでした…どうにか追い払った時には村は全滅し火を放れました…騎士も冒険者も死なせてしまいました…申し訳ございません」
これでどうなるか…
「ゴブリンは追い払えたのだな」
「はい…ちりぢりバラバラに逃げていきました」
「そうか…理人殿、よくぞ生き延びてくれた…」
此処で爆弾投下だ。
「それが申しにくいのですが、俺たちがあの地に訪れる事がばれていた可能性があります」
「それはどういう事ですか? 詳しくお教え下され」
「はい、ゴブリンの中に一際大きい個体が居たのですが、そのゴブリンが確かに『異世界人め殺してやる』そう言ったのです」
「そんな…理人殿があの地にいく事は、この城の中の者しか知らぬ…これは早急に魔族の間者を探さなければ大変な事になる」
「お父様…洗い出しを急がないと大変な事になります」
「それではマリン…その件はお前に任せる」
「はい、お任せ下さい」
大樹達を失ったから汚名返上の為焦っているな。
「して、その大きな個体のゴブリンとは『ナイト』か『ホブ』か?」
俺は収納から腕を取り出した。
「俺には判断がつかないので逃がした折に腕を斬り落としたので見て下さい」
「こ、これは…騎士や冒険者が勝てない訳だ…まさかゴブリンキングまで居たとは…理人殿が腕を斬り落としたのですか?」
「物凄く強く…仕留められず逃げられました」
「それは仕方が無い…まだ訓練も終えていない者がキングを退けた…十分な快挙だ…気にする必要は無い…理人殿も疲れただろう…明日は休んで良いから十分疲れを癒してください」
「ありがとうございます」
俺は下がり、部屋へと戻った。
これで、更に転移者への猜疑心が強まっただろう。
適当な『偽の証拠』でも作れば、処刑という名で殺す事が出来る。
誰を陥れるか…考える必要があるな。
出来るだけ良いジョブを持ち強い者から…やる必要がある。
最初に殺すのは…
『担任の赤川』が良い。
今の異世界人の中心は赤川だ。
彼奴が居なくなれば…烏合の衆になる可能性が高い。
「理人お帰り!」
「ご主人様帰りなさい!」
此処暫くご無沙汰だったからな、明日は休みだし楽しむとするか。
しかしなんで紀子はメイド服なんか着ているんだ。
多分もう裏切れない
「紀子、なんでメイド服なんて着ているんだ?」
「私はご主人様の物ですから、仕えるという意味でこれに着替えました」
「理人が…そう言うのが好きなら私も着ても良いよ」
「いや、そういうのに興味は無いから、服は気にならないな」
「え~そんな、ご主人様が望むなら、もっと際どいのも着ますから、少しは興味を持って下さいよ」
「ちょっと待って、理人が喜ぶなら私も…」
「俺が一番好きなのは…裸だな…」
「「…そう(ですか)」」
結局、その日も朝まで眠らず、獣の様にやりまくる事にした。
帰りに新しい薬草を手に入れたので薬油は更に強い物になった。
大麻に似たような植物も手に入れたが、タバコ臭いのは流石に不味いから今回は使ってない。
「ああっ、あんあんああああー―――っ、理人ぉー――ぉぉぉー-」
「あん、うぐっううむ、あん…ハァハァご主人さまぁぁぁー-」
初めてのSEXから薬油を使っている。
この薬油には幻覚作用や快感を倍増させる作用に媚薬、そして麻薬成分が含まれる。
魔女がサバトで使う物に近い…
こんな物を使われたら、他の男じゃもう感じなくなるだろう。
ある意味中毒に近い。
地球の魔術師や魔女の歴史は魔法だけでなく、こういった『薬』によるものも多い。
「二人とも聞いて欲しい…もし、俺が魔王側について人間を皆殺しにしたいって言ったらどうする?」
「ハァハァ…ご主人様ぁ~ 紀子はご主人様の物です、どんなハァハァ あむっはぁはぁ命令でも従いますよ」
「理人ぉ~私だってそうだよ…ハァハァ、本音で言うなら…理人以外、何も要らないわ、ハァハァ…あん…本当にそうしたい、そう思うなら、好きにすれば良いよ、死んでも私は…あああっ離れないからね」
二人とも顔を赤くしながら俺の股間をまさぐったり口を使いながら自分から股間を押し付けたり、胸を押し付け、快感を貪っている。
香油を使いながらのSEXによる高揚感…そして一体感。
これを繰り返せば、やがてはこの快感欲しさに家族すら裏切り殺すようになる。
多分、もう大丈夫だ…此処迄嵌まってしまえば、多分もう裏切れない。
俺が選択したら、魔族側に寝返る筈だ。
だが『まだその時ではない』…この快感は依存するから、続けていけば更に快感欲しさになんでもするようになる。
何回も失神し体を痙攣させ、漏らし…今は白目を剥いて涎を垂らしながら二人とも寝ている。
普通の人間なら100年の恋も冷める所だが…サバトの後はこんなもんだ。
快感を貪りつくした後はこんなもんだし、この姿を俺は可愛いとさえ思える。
塔子に紀子…回復魔法のエキスパートに攻撃魔法のエキスパート。
あと一人可能なら騎士みたいな存在が欲しい。
二人と相性の良い友人がいるか聞いてみるか。
その他はもう要らないな。
俺は二人の髪を優しく触った。
くすぐったそうに二人は微笑んだ気がした。
新しい仲間 綾香
「赤川先生…」
「おう…理人じゃないか? 最近随分活躍しているみたいじゃないか? それで…他にも入れ替わった人間がいるのか?」
リーダーシップがあり、虐めを許さない素晴らしい先生。
悪魔的には…残念ながら一番要らない人間だ。
生贄にするにも…齢を食いすぎている。
もうこれ殺すしかないだろう?
「それがまだ解らないんです、困っています。先生は何か変わった様子の生徒に心当たりはありますか?」
「そうだな、特には気が付かないな」
そりゃそうだ…本当は居ないんだからな。
「そうですか?」
「なぁ、大樹や大河…そして聖人は本当に魔族の間者だっいたのか?」
「はい、間違いないですね…先生も知っての通り五職、特に大樹は勇者です…もし本物なら最強の存在、俺が勝てるわけないでしょう」
「確かにな…だが、それなら本物の大樹達は…」
「言いたくないですが、多分もう殺されていると思います。もしあれが大樹達だとしたら、もう乗っ取られた状態で多分戻せなかった…」
まぁ全部嘘だ。
「すまないな…嫌な役をさせてしまって…しかし女神や天使も酷いことするものだ、こんな子供に友人を殺させるなんてな…こんな役は大人の私がするべきなのだ」
本当に良い先生だ。
悪魔的には正義感があり…本当に気に入らない相手だ。
同級生3人に騎士二人殺したばかりだ。
余りやりすぎると足がつく可能性がある。
慎重さが必要だ。
その為には『濡れ衣』を着せないとならない。
赤川に何か弱みは無い物か?
塔子や紀子になにか証言させた所で『俺側』の人間だから怪しまれる可能性が高い。
そう考えたらもう一人こちら側に巻き込む人間が欲しい。
戦力的に欲しいのは騎士か剣士だ。
剣聖が理想だが…もう殺したから居ない。
「いえ、先生これは俺の使命みたいな物だから…」
「そうか、厄介事を押し付けて悪いな」
赤川も含み、未だ異世界人は軟禁状態にある。
城を自由に動けるのは俺と塔子紀子だけだ。
「気にしなくて本当に良いですよ…それじゃ先生また」
「おう、またな!」
忌々しい程すがすがしいな。
◆◆◆
「塔子に紀子ちょっと良いか?」
「どうしたの? 理人? 真剣な顔をして」
「ご主人様、私にそんな言葉は無用ですよ? 『すぐ来い』で充分です」
俺は途中から自分の状態が気になってよく見てなかった。
「測定の儀式の時に、剣士か騎士のジョブを貰った奴で女の子の記憶は無いか?」
「そうね…3人居たわ」
「確かに両方合わせると3人居ましたね、騎士が2人で剣士が1人だったかな」
「そう…その中で二人が仲が良い奴居ないかな?」
二人とも首を横に振った。
そうか、居ないのか…
「それじゃ、嫌いな奴は居る?」
それぞれが1人の名前を挙げたので残りは1人…決まった。
「そうか残ったのは…南条綾香か…丁度良いな」
「あの…理人、まさかと思うけど、綾香を仲間にするつもり?」
「ああっ、そのつもりだ」
「あの…あの子は汚いですよ、ご主人様が抱く価値なんて無いです…」
「俺たちが生き延びる為には前衛が必要だ、塔子は聖女 紀子は大魔道、まぁ俺は剣も使えるが、もう一人二人を守る奴が必要だろう? そう考えたら、騎士か剣士がどうしても必要なんだ」
「だけど、綾香は、その…」
「ご主人様が欲しいなら仕方ないですね」
女からしたら嫌かも知れないな。
南条綾香は水泳部でおかっぱ頭に肉付きが良く、日焼けが良く似合うグラマラスな女の子だ…巨乳で大柄。
彼女たちが嫌う理由は、彼女が水泳部の肉便器だったからだ。
水泳部は本来は男女別だったが、女子が1人しか入らない年があり、男女が統合された。
その1人の女子が南条綾香だった。
ある日、南条綾香が遅くまで訓練をしているのを見た水泳部のOB三人が彼女を犯した。
そして、その時の動画で脅され彼女は…呼び出され毎日の様に犯され続けた。
此処迄なら、単なるレイプ被害者だが…そこで彼女は目覚めてしまった。
快感に目覚め、自分から腰を振る『淫乱』な女になり、水泳部全員の相手をする肉便器になってしまった。
そればかりか…彼女は水泳部の相手をしないときは、自分から相手をしてくれる男を探していた。
優しい声を掛けてあげれば誰でとでも寝る女…そういう噂の女だ。
そこ迄下から子供も何回も降ろしたり性病に掛かったから…今では子供が作れない体らしいという話だ。
しかも、事件が起きてすぐに小学校から付き合っていた幼馴染のプラトニックな彼氏が居たが…意地悪く振ったそうだ。
最も、この事は学校中で知れ渡り、学校側が対処しておさまった。
かなりの人数が退学になったが…彼女は被害者という事になり処分はされなかった。
その代り彼女は女子全員に嫌われ、孤立。
男子も彼女に関わると女子から嫌われる事と性病を恐れて『ばい菌』あつかいだ。
あはははっ、こちらに引き込むには最高な奴だった。
何で今まで抜けていたんだかな。
「あのさぁ…紀子、悪いが綾香を連れてきてくれるか?」
「本気ですか? あの奉仕して欲しいなら私がしますよ」
「そうよ…私達でするわ」
「悪いが、今がチャンスなんだ、これから先、旅にでるなら絶対に前衛が必要なんだ、嫌われているならラッキーだ、彼女の価値に皆が気が付く前に貰う必要がある」
「ねぇ理人、それは綾香ともするっていう事?」
「ご主人様…」
「ああっ、嫌か? だけど、これから先二人を守る為に必要だ」
「理人が言うなら仕方が無いな…良いよ」
「私はご主人様の者だから良いですよ」
◆◆◆
「わざわざ、私を部屋に呼ぶなんて、溜まっているの? 彼女さん二人居るのに?」
『イービルアイ』
やはりな、此奴は…噂とは違う。
この顔は『諦め』と『悲しみ』の顔だ。
「そうだと言ったらどうする?」
俺は塔子と紀子に下がる様に合図をした。
「物好きだなぁ~ 私なんて誰も抱かないよぉ~ 病気、エイズかも知れないけど良いのかなぁ~」
笑っているけど…此奴泣いている。
イービルアイには本当の感情も見えるからな。
これが解れば充分…イービルアイは解除した。
「ああっ、構わない」
「そう、物好きだね…それじゃしてあげる!あむむぐううん、ううんはむうんハァハァ…どう?」
綾香はブラウスをいきなり脱いで胸で俺の物を挟みながら咥えた。
やはり、此奴は噂とは違う気がする。
その証拠に本当に淫乱なのではなく、どことなく嫌々している気がするし…目には涙が溜まっている。
「…あ」
「どう、おっぱい気持ち良いでしょう、フェラもあんうぐうううっうんうんぷはぁ~うん」
「綾香、悪いけど俺がしたのはこれじゃない」
「ああっ、やっぱり気持ちよく無かった…こんな女にされても気持ちよく無いか…ごめんね…だけどしたかったんだよね?」
やはり違うな…此奴。
「俺からさせて貰って良い?」
「えっ? うんぐううんうん…ぷはぁ何?」
俺は綾香を抱きしめキスをした。
「キスしただけだよ?」
「ききキスなんて、随分されたこと無いよ…なんで? 私…汚いよ」
やはりそうか…此奴『使われていた』だけだ。
「あのさぁ綾香、俺は本当の意味で綾香が欲しい、一生傍にいる仲間として欲しいんだ、ある意味結婚に近い関係だ、うんぐうんうん」
「ううっううううっ…それどういう事? ハァハァ」
そういった綾香は顔が赤い。
さっきまでと違い目が死んで無いし普通に表情が豊かだ。
「今現在、俺には塔子と紀子という仲間が居る。その仲間として綾香が欲しい。多分この仲間とは死ぬまで離れる事はないと思う」
「あの…それでどうして私なの? 私皆に嫌われているし…そのもう子供も産めない体だし、沢山の男に抱かれた汚い女だよ、理人くんって綺麗だから、幾らでもむぐっううん、喋れないよ…」
話させる必要は無いな。
「俺は綾香が良い…これで最後3人目の仲間は綾香が良い…綾香がどんな生活を送っていたか知っていて誘ったんだから気にしないで良いよ…俺は綾香が好きだううんはぁはぁ」
再び俺は綾香の口を塞いだ。
「なんでキスしてくれるの? 私なんかに」
「愛情表現…ただ性欲処理する便器じゃなく、綾香として抱きたいから」
爛れた関係、乱交…悪魔的な俺からみたら良い女だ。
処女なんかより余程良い…
「あの…そう言うの解らない」
「今はただ俺に任せてくれれば良いよ」
俺は薬油を綾香に塗った。
「ああっ、これなに..あっあっああっ体が熱い」
「うん、よくエステで使うローションみたいな物だよ、気持ち良いでしょう?」
俺は刷り込むように薬油を綾香に塗った。
そして股間に手を伸ばす…
「ああっあああん、あんあん、そこは汚いよ、汚いから…」
やはりそうだ『此奴は使われていただけ』だ。
SEXには三通りある。
自分が楽しむSEX
相手を楽しませるSEX
お互いが楽しむSEXだ。
此奴は『自分が楽しむSEX』しかされたことが無い。
まぁ便器扱い、ビッチ扱いじゃそうなる。
だから、人を喜ばすテクニックはあるが受けが弱い。
だから、簡単に付け込める。
手で股間を愛撫するだけでこれだからな…だったら。
「嫌ぁ嫌ぁいやぁぁぁぁー汚いから、ああっああんホントに汚いからそんなことしないでぇー-っ」
俺は綾香の股間に首をうずめ舐めた。
「はぁはぁはぁうん、はぁはぁ…綾香だって口でしてくれたでしょう? だからねはぁはぁあむむぐっ」
「あああっこんなのって、こんなのってああん、ああん」
首で嫌々しながらも綾香は俺の頭を押さえて股間に押し付けている。
「どふぅ、きもひひひ?」
「ああっ、ああっ気持ち良いよー-っあああっああっああー-駄目っー-」
ぷしゅー-っ チョロチョロシャァァァー-ッ。
勢いよく潮を吹いたあとにおしっこも漏らした。
「ああっいやぁぁぁぁぁー――――っ」
俺に掛けてしまった事で綾香は顔を真っ青にして震えだした。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ぶたないで許してー――っ」
「あのさぁ…なんで俺がぶつの?」
「ぶたない?怒ってないの?」
やっぱりな。
「ああっ、俺がした事で綾香が気持ちよくなってくれただけじゃない? 怒るわけないじゃないか…それに綾香だってその…飲んでくれるだろう?」
「…うん、そうだね」
これで良い…これでもう半分落ちた。
「今まで綾香はやっぱりSEXなんて経験して無いよ」
「そんなこと無い…私は沢山の男に抱かれた汚い」
「SEXってキャッチボールと同じだと俺は思う。相手を喜ばせる為にする物で嫌々するものじゃないと思う…お互いが相手が喜ぶようにするものだよ…今まで男に抱かれて苦痛だったんじゃないか? こんな風に気持ちよくなんて成らなかったんじゃないかな?」
「うん…そうだね、私の事なんて考えてくれなかった」
まぁレイプされて便器扱いじゃな…
サバトはお互いが快感を貪るものだ…決して一方通行じゃない。
逆を言えば、そこ迄淫らにならなければ、快感を得なければ悪魔的な何かなんて出来ない。
麻薬にアルコール、全て使い快感を貪る。
そこには『愛』以上の物がある。
「俺は本当のSEXがしたい…だから綾香を大切に気持ちよくなって貰うようにする…だから」
「解ったよ、私は理人が喜ぶように頑張れば良いんだね」
「そうだ」
「解った…て、駄目だよそこは…あっあああ、ああん、本当に汚い、そこは汚いんだからぁぁぁ駄目、もう仕方ないよあむむぐあむあむうんぐー-っうむうむ」
俺は肛門の中に舌を差し込んだ。
小さい頃からサバトに出ていた俺は別に気にならない。
これで騒ぐという事は後ろの方は経験が無いのかも知れない。
今の状態は69状態だ。
さっきまでとは違う。
俺が快感を与えると綾香が更にそれ以上に奥まで咥えてくる。
「うんぐううんうん…ごくごくっううんうんハァハァ、沢山出たね
」
「ああっ、だけどほら、綾香の方がすごいじゃん」
「言われてみればそうだね…理人くん、これが本当のSEXなら今までのは違うよ…悲しくて苦しいだけだったもん」
「あのさぁ…これまだSEXじゃないよ…してないじゃない」
「あはははっそうだね、それじゃきて…理人、あっ凄いあああっうんぐううん…凄い理人くん、今の私にキスが出来るんだね…ああっ」
サバトで慣れているからな、まぁ普通は精子出した口にはキスは出来ないよな。
結局、俺は綾香の全ての穴を使い、失神するまで快感を与えた。
途中から綾香も狂ったように俺を求めてきていた。
◆◆◆
「理人くん…私ね…」
綾香は自分にあった事を話し始めた。
OBに犯された事…その後は水泳部全員にその動画を渡されてしまった事、全員から脅されてどうしようもなかった事。
そして、どうして教師や警察へなぜ訴えなかったか…それは。
「あの時ね、私恋人が居たの小さい頃からの幼馴染…知られたくなかった…そして邪魔もしたくなかったの」
恋人はスイマーとして優秀で地区大会で優勝しインターハイに出る所だった。
もし、こんな不祥事が解ったら大会に出られなくなる。
だから、犯されようが黙っているしかなかった。
水泳部以外の男に抱かれたのは無理やり売春させられたそうだ。
「私ね、おもちゃだったんだ。内緒にしてって頼んだのに、最後に彼氏にバラされて…『お前みたいな汚い女彼女じゃない』って彼氏に言われたの…馬鹿だよね」
「確かに過激な話だし、酷い話だけど、良い女で結婚まで処女なんて女は居ない…過去は気にするなとは言えないけど、これから先は俺と一緒に楽しく過ごせそう」
「そうだね『本当のSEX』も知ったしね」
「気持ち良かっただろう?」
「うん…こんなの初めて…初めて気持ちよくなって、何回も何回もいかされちゃった」
「それじゃ、俺たちの仲間になってくれるかな?」
「なるよ…勿論、その代り…これからも愛してくれる」
「ああっ、俺と塔子と紀子以外に絶対に抱かせないし、抱かれるなよ」
「そこは『俺以外に抱かせないし、抱かれるな』でしょう? まぁだけど仕方ないか、理人くんカッコよいし、三人でも仕方ないよね…良いよ…だけど理人くん…良いの、私二人みたいに綺麗じゃないよ?」
「綺麗だよ、うんぐ」
「ううん、もうズルいんだから」
こうして俺は新しい仲間を手に入れた。
但し、扉の向こうで二人の般若が睨みつけている。
あとのフォローが大変だな。
赤川の最後
「きゃぁぁぁぁー――っ止めてー-っ」
走っている、綾香の声が聞こえてきた。
そちらを見ると、その後ろから赤川が走ってきて綾香は騎士の後ろに隠れた。
「どうかしましたか?」
「酷いんです、先生が先生が、私に無理やり関係を迫ろうとして…脅してきて」
そういう綾香の服は胸がはだけていた。
騎士が赤川を睨みつけている。
「赤川さん、貴方一体何をしているんですか?」
「違う、私は何もしていない…話があるからって言うから話を聞いていたら、急に自分で服を引きちぎって走り出したんだ」
「そんな…酷い、私が幾ら…だからって、酷いよ…」
そう言って綾香は泣き始めた。
「どう考えても、私にはそういう風には見えません。しかし、貴方は異世界人の代表で教師だ、判断は上に任せる…お嬢さんもう大丈夫だからね」
「ありがとうございます…うぐっすん」
「本当に私は何もしていない!南条さんもちゃんと本当の事を言ってくれ、そんな嘘をつかないで…」
クラスの皆は軟禁状態とはいえ、流石に自由時間もあるし夜貴人用の牢屋に入る以外はかなり自由だ。
牢屋と言ってもまるで応接室、お風呂まであり高級ホテルに近いけどな。
その自由時間にこの事件は…起きた。
当然、周りに他の生徒もいる。
「私、嘘なんてついていません。私の過去を知ってるからって…グスッ…どうせ沢山の男と関係があるなら良いだろうって、グスッ…もうあんな事したく無いのに…うわぁぁぁん」
「赤川…あの件を持ち出したのか?」
「幾らなんでも教師でしょう…校長先生が居ないとこれなのね」
「馬鹿じゃないの、あの綾香よ、どうせ赤川先生を誘って断られたから騒いでいるんじゃない?」
「まぁなぁ…ビッチで性病までした女だし」
「赤川先生が抱こうとするわけないじゃん」
「赤川先生だって男だから、そういう事したいんじゃないかな? 誘える様な女は綾香しかいないじゃない」
「確かにな」
綾香の水泳部の事件は有名で皆が知っている。
『犯され脅された事』『ビッチという噂』『性病に掛かっていた事』
本当の綾香の事はそれでも誰も知らない。
だから、赤川養護派も居れば、赤川最低派も居る。
赤川は、本当に欠点のない教師だ。
だからこそ、こんな状況でも生徒は信じている。
だが、此処で状況が動く。
俺が介入した。
「待ってくれ、赤川先生はそんな事をする人じゃない」
「理人は、信用してくれるのか?」
助かった、そう思ったようだ…
「そんな悪代君は私が嘘をついたって言うの? そんな幾ら私が…昔し…ひくっ酷いぃぃー-」
「違うよ! 昨日話してみて解ったんだ…赤川先生、あなたも魔族側の間者だった違うか?」
「違う…私は違う!」
「なぁ考えてくれ、南条さん、普段の赤川先生がこんな事すると思うか?」
「…しない、そう信じたいです」
「これで解った筈だ…お前は何者だ!」
「私は赤川…教師だ」
「そうか、それじゃこれだ…」
俺はあらかじめ用意していた『聖水』を掛けた。
この聖水は塔子からあらかじめ貰った物だ。
ちなみにこの世界の魔物には聞くが…俺の世界の悪魔や魔女には聞かない。
だが、あらかじめ赤川には悪魔がついていて、水を掛けたら虚言を話すように頼んである。
報酬は赤川の魂だ。
「女を抱いて何が悪いんだ? そいつは淫乱で誰とでも寝るんだろう?」
カルニウェアンという猥褻、厚顔無恥を司る悪魔…丁度良いからあらかじめお願いしていた。
「なっ、やはり赤川さん、あんた生徒を襲っていたのか?」
「違う、私じゃない…勝手に口が」
「これで解っただろう」
「違う、私は違う魔族側の間者じゃないんだー-っ、信じてくれ」
俺は剣を抜き、皆の目の前で赤川の首を跳ねた。
俺は魔族に関してだけは『殺す』権利を持っている。
魔族の味方にこんな権利与えたら…こうなるのは解っていただろう。
国との話し合いは赤川が殆どしていた。
これで『中心人物』は全員潰れた。
しいて言えば、同級生に影響を与える事が出来る人物は塔子だけだ。
「そんな、赤川先生、本当に魔族の間者だったの?」
「すぐ傍に魔族側の人間が居たなんて…本当に大丈夫なのか?」
「お前は違うよな」
これで結束も崩れて疑心暗鬼だ。
やはり異世界人は経験値が違うようだ。
赤川1人殺しただけでレベルまで幾つか上がった気がする。
「南条、お前そこじゃ居づらいだろう? 良かったら俺のパーティーの方に来るか?」
「良いんですか?」
「塔子と紀子はどうだ?」
「私は構わないわ」
「私も構いません」
「それじゃ決まりだ、南条さん宜しくな!」
「宜しくお願い致します」
こうして俺のパーティーに綾香が加わった(笑)
◆◆◆
「確かに、理人様にはその様な権限もありますが、一言位、相談があっても良いじゃないですか?」
マリア王女は少し機嫌が悪い。
マリアを巻き込むとリスクが高まるから、確かに相談しなかった。
一応はマリアに仕えている形だから…報告はするべきだ。
「確かにすまなった…急ぐ必要があったんで三人で直ぐに動いたんだ、すみません」
「ハァ~ まぁ良いですよ! 妹のマリンは赤川先生が悪魔だった事でショックを受けちゃいましたわ。上級騎士のジョブを持つ南条さんまでとられて寝込んでいますわよ」
綾香ってただの騎士じゃなくて『上級騎士』だったんだ。
「それは良かったですね」
「何が良かったのですか?」
「マリア様、顔が笑っていますよ」
「あら嫌だ!つい笑ってしまいましたわ」
マリアも偶然だけどマリンに一泡吹かせて…嬉しそうだな。
殺されて当たり前の人間
「どう? 私上手くやれた?」
「上出来だよ…ありがとう!」
「私、理人くんの為なら何でもするからね、あっちの方もね」
そう言いながら綾香は俺の股間に手を伸ばしてきた。
「駄目、ご主人様に気安く触らないでください!」
紀子が綾香の手を払いのけた。
「そうよ、理人に気安く触らないで! 淫乱女」
「あらっ? 淫乱で何が悪いの? だけどね、少しだけ間違っているよ! わたしは理人くんにだけ淫乱になるの…今までの男はそうね…野良犬に噛まれただけなのが解った、本物のSEXをした相手は理人くんだけだよ…ねっ理人くん!」
「そうだな」
「もう、酷いなぁ~、そこはこう、もっと…」
「綾香ちゃん駄目、そういう役目は私の仕事です、ご主人様のお世話は全部紀子がします!」
「ちょっと紀子、全部って何? 理人が本当に好きなのは私よ! 将来、正妻になるのは私なんだから」
「そんなの決まってないじゃないですか?」
「紀子、最初にそんな話し貴方が…」
「それ、証拠あります? 無いですよね?」
「紀子、貴方…だましたの?」
「状況が変わっただけです! あの時は2人、今は三人での取り合いですからね…それより塔子さん、今はお互いにこんな事している時じゃありません、今ご主人様にくっついているのは綾香ちゃんですよ?」
「そうよね…」
仲間だから適度な嫉妬にじゃれあい…この位で充分だ。
幾ら悪魔側の人間で人の醜さを好む俺でも、仲間うちでは流石にそれは望まない。
一応は俺は人ではあるのだ。
綾香を仲間にしたのにはもう一つ理由がある。
それは赤川だけでなく、あと3人…処刑が出来るからだ
この世界の神は女神、彼らを拒む理由は簡単につく。
さぁ、どうやって殺すか?
マリアに一声掛けて置いた方が良いだろうな…
◆◆◆
「他にも魔族側の間者が解ったのですか?素晴らしいですわね」
「はい、三人程ですが、恐らくそうです」
「恐らくという事はまだ確定していない…そういう事ですわね」
「はい、ですが、簡単に正体を暴くことが出来ます」
「それでは早速、裁いて処刑して頂いて大丈夫ですわ」
「折角なので、王やマリア様にマリン様の前で行った方が良いと思いますが、如何ですか?」
「まぁ妹の前で…そんな残酷な事、私は」
王様じゃなくて妹ね…
そう言いながら顔は、笑顔だ。
「マリア様、顔…凄く楽しそうに笑っていますよ!」
余程不満がたまっていたんだな…こういう悪魔的な笑顔、俺は好きだ。
「理人様は感づいていると思いますが、私虐げられていましたの。能力が無い、地味で華が無いとか言われて、今回も勇者を率いる華のある仕事は妹にとられましたわ。ですが蓋をあけてみれば勇者たちは魔族の間者で、理人様は本当は天使に仕える僕、五職のうち残った2人はこちら側…更に妹のほうだと最大戦力になる筈の1人上級騎士まで来ていただいて…生まれてから今まででこんな愉快な事なんてありませんでしたわ。本当に理人様には感謝しかありませんわ…感謝の意を込めて、お盛んな理人様の夜の宴にお礼を兼ねて参加させて頂きますわね」
嘘だろう…王族は不味いだろう。
妊娠でもしたらどうするんだ。
「マリア様、夜になにしているかは解っていますよね」
「ええっ、一応、枢機卿を通して教皇様にも聞いて頂いたのですが『天使に仕える方ですから聖人扱い、王女であっても交わる事に問題なし』だそうですわ。まぁお父様には流石に言いませんが…ばれたても、そんなだから問題ありませんわ」
絶対、やったあと…『その権限はお父様にありません』そう言いそうだな。
その証拠にまた目が笑っている。
◆◆◆
「まだ、魔族側の間者が居たのですか?」
「そんな…此処からまた戦力が減るのですか…もう魔族と戦える戦力なんてないのに、そんな」
王もマリン王女も顔色が悪い。
当たり前だな人類の希望である『勇者』たちがいつの間にか魔族の間者に入れ替わっていた状況でこれだ。
「ですが、早急に魔族の間者は処刑しないと不味いことになりますわ」
「解った…だが証拠はあるのじゃな…こちらでは可笑しな点は何もなかった」
「そうよ」
しかしマリアいきいきしているな。
「それは俺が説明します…前の世界の振舞いで、絶対にイシュタス様が許さない罪を背負った者が居るのです」
「その者は一体何を犯したというのだ」
この世界の神は女神だ…それゆえにこの行為を一番嫌う。
「女性を脅し犯しました。 その様な行為をした者を女神様が世界を救う為に選ぶわけがありません」
青ざめているな『笹川』『久保田』『鮫島』 笹川は水泳部、久保田と鮫島は動画を貰って無理やり関係を持った。
「確かに女神様はその様な行為を嫌い、この国、この世界では厳罰です。本当にその様な恥知らずがこの中にいるのですか? 私は信じられません」
「マリン様…この間の赤川の事を思いだしてください、綾香が脅された原因はなんですか?」
「ああっ、そういえば…解りました、確かにこの中にその原因がいるのですね」
「そういう事です」
「待ってくれ…確かに俺はそれに加わったが、ちゃんと罪はつぐなった」
「そうだ」
「俺も償った」
馬鹿な奴…この世界じゃ重罪なんだよ。
停学位じゃ罪を償ったって言えないんじゃないか?
「この世界の神は女神様だ、だから『停学』位で罪を償った事にならない…大方、女神様が召喚から弾いた存在になりすましていたのだろう…魔族の間者め」
「違う、俺は違う、人間だ」
「俺だって違う、ちゃんと女神様からジョブやスキルを貰ったんだ」
「俺は謝った…そして償った」
そんな訳ねーだろう…まぁ俺の敵じゃ無ければ、良い意味でクズなんだけどな…悪魔的には嫌いじゃないが。
経験値が欲しいし仲間の敵だから…悪いね。
「お前らが、その後も自慢気に武勇伝として語っていたのは、此処にいる皆が知っている…お前たちを裁くのは俺じゃない、天使様だ…天使様が無罪と言ったら無罪、ただし有罪と言ったら有罪だ」
「天使様が裁く…ならそれは正しい、言い逃れは出来ない」
「天使様が降臨するのですか」
王も枢機卿もこれから人が死ぬのに目をキラキラさせている。
笑顔のマリアを他所に此処で沈んでいるのはマリンだけだ。
俺は祈るふりをした。
レベルが上がった事でかなりの魔術や悪魔との交渉が出来るようになっていた。
俺があらかじめ交渉してお願いした悪魔は悪魔クロケル。
堕天する前は能天使、本物の天使だった。
それにこの悪魔は元から人を惑わす為に天使の姿で現れる。
光り輝き神々しい天使が舞い降りる。
「その者達は魔族であることは明白、元の咎人はもう死んでいる」
それだけ言うとクロケルは消えていった。
これで報酬は魂三人の魂。
凄く得だよな…一言現れて言うだけなんだから。
「これで明白だ…斬る」
「待ってくれ悪代――っ」
「クラスメイトだろうー-っ」
「償う…ちゃんと償いから」
俺はお前達みたいなクズは嫌いじゃない。
だが、敵だから…仕方ないだろう。
死んで、俺の経験値となれ…
俺は剣を抜いて一瞬で三人の首を跳ねた。
同級生の首が飛ぶ瞬間を見た生徒たちはもう戦えないんじゃないか? 特に女性徒は泣いているから無理そうだ。
もう俺以外、他の人間には見えなくなったクロケルが魂を手に入れていた。
彼らの魂はきっと食われる…もう生まれ変わりも何もなく消える。
まぁ俺には関係ない。
「凄い…二人目の天使様を顕現させるなんて、勇者どころじゃない理人様こそが真の救世主なのだ」
顔を赤くして興奮する枢機卿、笑顔のマリアや王に対してマリンはただ一人顔を青くしていた。
これで教師1人生徒6人を葬った。残りの生徒は24人。
目ぼしいジョブの人間はもう少ない。
これはもう魔王討伐なんて出来ないんじゃないか…
24人も怯えているから今の状態じゃ満足に戦えないだろう。
この辺りで『魔族の間者』は終わりにして良いかも知れない。
これから城での訓練を終えて外での実践訓練が暫くしたら始まる。
殺すチャンスは沢山ある。
マリン 絶望
なんでこうなったの?
私は次期女王が決まっていた筈なのに…
最近は何もかもが上手く行かない。
地味で華が無い『姉』
本来なら王族や貴族は同性であるなら『先に生まれた方が勝ち』
それが当たり前なのよ…
だけど『姉』が地味で華が無いから。
そして後ろ盾を失ったから、私に沢山のチャンスが回ってきた。
その結果…私が次期女王に決まった。
私が次期女王だから、私と結婚した殿方は『王配』となる。
その為お見合いの相手もよりどりみどり…そして私に嫌われているお姉さまにはお見合いすらない。
まぁ、当然よね。
お姉さまは、王であるお父様にも愛されていないんだから…
◆◆◆
これでもう終わりね。
勇者召喚の後、私が勇者たちを率いる事が決まったわ。
勇者を率いて戦う事はこの国だけじゃない『全世界に知れ渡る名誉』だ。
もう私の立場は盤石…そのはずだった。
姉のマリアには『無能』を押し付けて勇者と共に世界を平和にする。
この話が進んだら、次期女王として大々的に発表するはずだったのに…
聖女と大魔道はなぜか無能側についていき。
勇者パーティーの中心人物3人が魔族の間者だと『無能』が騒ぎ出しました。
そして決闘になりました。
普通であれば勇者たちの勝ちで終わる筈が…
あっさり、勇者たちは負け…偽者である事が証明されたました。
無能だと思っていた存在が『天使の僕』で神に一番近い人間でした。
私の痣を治してくれたのは嬉しいのですが、素直には喜べません。
しかも、枢機卿が教皇様に話したら『天使に直に仕えている人間』だから自分より上と認めてしまいました。
今の召喚者たちではもう絶対に魔王軍には敵いません。
何か逆転の一手を考えなければ、恐らく異世界人は魔族に負けます。
その責任をとるのは私であり…それだけでなく暗黒の時代が続き沢山の人間が死ぬことになります。
幾ら考えても勝てる見込みはかなり低いですが、異世界人と共に宮廷魔術師団、騎士総隊長と共に戦えば…とようやく光明が見えてきた時でした。
その指揮をとる筈だった赤川が…女性を襲ったと言うのです。
赤川は能力こそ低いですが、人格に優れた人物です。
彼ならきっとやり遂げてくれるでしょう…そう思っていたのに。
まさか、女生徒を襲うなんて…信じられません。
そこから理人殿、いえ理人様が、赤川も悪魔の間者だと言い出し、正体を暴きました。
赤川は処刑され、被害者の女性は理人様のパーティーに…
虎の子の上級騎士も取られてしまったのです。
そして、更に前の世界で彼女を襲った3人は当然ながら魔族の間者でした。
◆◆◆
「理人様を私の方に頂けませんか?」
恥を忍んでお父様に頼みました。
「お前は何を言っているのだ、理人様は、私より立場は上、その様な事、頼めるわけなかろう? マリアと仲も良いんだ無理だな」
その時解ってしまったのです。
あの興味の無いような目。
今までお姉さまを見る目がそれでした。
そんな…
何時からでしょうか?
お父様はお姉さまに、昔私に期待していた目を向けているのです。
『いつの間に立場が変わってしまったんでしょうか?』
今の私にはもう絶望しかありません。
どう考えてもこれで魔王軍と戦うなんて無理です。
どうしたらよいのか…もう誰に聞いても答えてくれません。
今の私には『絶望』しかありません。
マリアと…
魔族の間者事件はこれで終息した。
牢屋からは出されて今まで通り自由に皆ができ、訓練も再開した。
だが、だれ一人明るい者はいない。
元の世界でクラス、いや学年の中心人物だった、大樹、大河、聖人はもう居ない…いつの間にか殺されていて魔族の間者と入れ替わっていた。
少なからず彼らに憧れ、中には恋心を抱いていた者も居たのだから仕方ないだろうな。
しかも彼等はこの世界でも『勇者パーティー』それが丸々殺され入れ替わってしまっていた事で、全員に恐怖が走った。
目の前で俺が殺した事もあり…『死』という物を意識したのだろう。
恐らくは赤川辺りが精神的フォローをして居たのだろうが…その人物も魔族の間者と入れ替わっていて死んで居た。
更に、前の世界で悪さをしていた三人も死んだ。
もう、此処には、異世界転移を喜んでいる者はいない。
自分より優れた能力を持つ存在が簡単に死ぬ世界。
それを実感したからだ。
簡単に首が飛び死ぬ世界…死ぬ世界。
そこはアニメや小説と違う。
命が無くなるのが当たり前の世界…
体は固くなり、剣は上手く振えなくなり…もう何処にも明るい声は聞こえてこない。
◆◆◆
「異世界人の多くが、こちらの方に移りたがってきていますわ…どうします?」
女は『使った後にゴブリンかオークの苗床』に使えるし『男は全員エサ』に出来る。
使い道はある。
正直言えばどちらでも良い。
必要な人材はもう居るし…増やす必要は無い。
俺を含んだ4人+マリア、これだけが俺の本当の仲間だが…使い道はある。
「そうですか、マリア様に任せます」
「そう言うと思いまして…断っておきましたわ」
「えっ?」
俺が驚いた顔でマリアを見ていると…
「そうね、理人くんには私たちが居るから要らないでしょう?」
「まさかご主人様、また人数増やそうとしていますか?」
「理人、流石にいい加減にして!」
この間綾香を加えた時も大変だった…それに【自分が使いたい】それを除けば…必要ない。
「そうだな、訓練や必要な戦いは『合同』ですれば良いし、断ってくれて正解です」
「それは良かったですわ」
そう言いながら目がすわっているというか、なんか…
「それで…ですね理人様、わたくしも、前に話した通り、今日から『夜の方にも』加わりますわ」
確かに前に話は聞いたが、本当に大丈夫なのだろうか。
「マリア様、本当に私たちが何をしているのか知っていらっしゃるのですか?」
「結構淫らで激しい事してますよ」
「しかも、皆が満足するまでかなり過激な行為しています…不味いんじゃないですか?」
普通に考えたらそうだよな。
継承権は無いとはいえ王族だ。
傷つけるのは不味いんじゃないか。
「それなら大丈夫ですわ、理人様は『天使の僕』ですから教皇様が許した状態ですので父とて文句は言えませんわ…それに、私は元から虐げられていますし、次期女王のマリンの顔色伺いで婚約者すらいませんわ…ですから何も問題はありませんわ」
本当に良いのかな…
待てよ…ここからマリンではなくマリアに王位継承させて、こちらの陣営に取り込めば…一国と魔族が裏で繋がれる可能性が出てくる。
この国は勇者召喚国として有名らしいから、魔族とつながれば人間側に大ダメージを与える事が出来るかも知れない。
マリンをどうにかしてマリアを女王に押し上げる…良いじゃないか。
◆◆◆
マリアから許可を貰ったので王城にある薬物倉庫の薬品を自由に使える事になった。
遠まわしに宮廷魔術師に聞いてみたが、あまり媚薬や麻薬については知らない様だった。
「確かに、一部ではそういう話もありますが、普通はそんな物使いませんね、一般人で使うような人物を私は知りません」
この世界では麻薬や媚薬は余程の好色家じゃなければ使わない。
そしてその製法は宮廷魔術師ですら知らないほど一般的じゃない。
良いことだ…
チョウセンアサガオっぽい物にナンテン、これは高麗人参かな、他にも幻覚効果のあるキノコと色々と使えそうな物がある…トカゲの黒焼きなんかもある。
案外生薬もあるんだな…
これならかなり強い媚薬が作れる。
色々調合してワインに入れ、ハチミツを足せば完成。
大麻の代用品になりそうな物もある。
薬油にも色々と足せた。
此処迄揃えば、本物のサバトで使う以上に快感を得る事ができるだろう。
早速調合してみた。
◆◆◆
三人の前に俺は用意した物を並べた。
前の世界ではタバコは嫌われていたから今回は並べていない。
媚薬と多くの薬油を置いてある。
「理人これは?」
「マリア様から薬物倉庫に入る許可が出たから、滋養強壮剤を作ってみたんだ、まぁ精力剤みたいなもんだよ」
「そんな知識もあるなんて流石は理人ね」
「ご主人様って薬の知識まであるんですね」
「理人くん、凄いよね、あっちの方も本当に凄いし、もうメロメロだもん…凄い」
まぁ、劣化版とはいえサバト並みに薬物を使っているからな。
そんな話をしていたらノックがした。
ドアを開けると…マリア王女が立っていた。
「理人様、きましたわ、私初めてですので優しくお願いいたしますわ」
凄いな、スケスケの紫のキャミソールに透けた下着。
異世界にもこんなのあるんだな。
黙って見ていると…
「恥ずかしいですわ、初めてなので王家に伝わる初夜の服を着てきましたの」
「ああっごめん、こんな下着、この世界にもあるのかと驚いていたんだ」
「まぁ」
確かに素材に乏しいこの世界じゃ、なかなかこんなのは作れないだろうな。
塔子、紀子、綾香は羨ましそうに見ている。
「今日からマリア様も加わるんですね、それなら早速こちらをどうぞ」
「これはいったいなんですの?」
「ご主人様が作ったドリンクです」
「そうですか…頂きますわ」
俺を含む5人全員で媚薬を飲んだ。
流石は異世界の材料で作った媚薬…元の世界の物より遥かに凄い。
その証拠に…俺の物は血走った様に立っている…
「ハァハァ…これなんですの…体が熱くなって、ハァハァ凄いことになっていますわ」
「これ凄すぎるわ、ハァハァ、あああー-っ何もしないのに体が熱くなって」
「ハァハァ、ご主人様お願いします」
「理人くん、もうハァハァ駄目、もう我慢できない、ハァハァうぐっううん、ハァハァぷはっ」
綾香が俺に抱き着いて押し倒してキスしてきた。
下着どころかスカート迄既に濡れている状態だ。
「ああっ、理人くん、いや」
俺は綾香を引きはがした。
「まだだよ綾香…ほらこれも使わないと」
「いきなり、何ですの…私は初めてハァハァなので…もう少しああっいやっ、そんなはしたないですわぁぁぁー-っ」
三人にマリアは下着をはぎとられていた。
多分、1人だけつけている高級下着が気に食わなかったのかも知れない。
そのまま、綾香がマリアに薬油を塗っていた。
股間からお尻迄べとべとになる位にぬり、指を使ってくちゃくちゃ音を立つくらいまで乱暴に擦っている。
「ああっ、こんなのって、そんなはしたないですわ…いや、そんないやですわ…あーあぁぁぁぁぁー-そんな止めて、やめて、酷いですわ」
三人で押さえつけて大股開きで俺の方にマリアは向けられていた。
媚薬と薬油の影響で、マリアは顔を赤くしている…そして口では嫌と言いながら腰が動いている。
口から涎を垂らしながら目はうつろだ。
そして目からは涙がながれている。
恐らく口づけすら経験のない王女がいきなりこれだ頭が理解して無いのだろう。
ぷしゃぁぁぁぁー-っ。ちょろちょろ..ぶしゅー-っ。
「嫌、嫌いやぁぁぁぁぁー――見ないで、見ないでください。いやぁぁぁぁぁー――っ。嫌ですわー――っ」
潮を吹いて盛大におしっこをした時に正気に戻ったのか涙で叫んでいた。
俺はその状態のマリアの股間に顔を突っ込み舐め始めた。
「いやっいや、本当に嫌ですわ…汚い、恥ずかしいですわ、ああああっあああー――っ可笑しくなりますわ、嫌なのにあぁぁぁぁっ」
「マリア様、こういう事は此処では普通の事ですよ…あーむっううんレロ」
そう言いながら紀子はマリアの乳首を口に含んだ。
「それじゃ私はキスでもしようかな?」
「待って下さいませキスはキスは..あむっうんぐ!うん」
綾香は口を奪うようにマリアにディープキスをした。
「それじゃ、私は此処でも攻めようか…」
塔子は薬油を指に塗るとお尻の穴に人差し指と中指をいきなり突っ込んだ。
「うんぐ、うんぐっぷはぁぁぁっ、嫌ぁぁー-酷いですわ、痛い痛いですわー-抜いてくださいまし、そこは汚いし嫌ですわー――っ」
「駄目ですよキスの時に口を離しては、うんぐっううんううん」
「うんぐっううん、いやいやううんぐっハァハァ、あああっぁぁぁぁー-駄目、また駄目ですわ…いやいやぁぁぁぁぁー――っ」
ぷしゅー――っ
「ああっ嫌だっていったのにそんなぁぁぁぁー-っ」
二回目のおもらしだ、しかも俺の顔に掛かった、ショックだろうな。
「そんなのは気にしないで良いからな、こういうのは楽しんだ者勝だ」
「そうですよ…今度はマリア様がするばんですよ」
「はい、口をあけて下さい」
「口をですか? うぐっ! くるしうぐっううんううん、ぷはっ苦しう…あむあむ、ハァハァくるひぃでふぁ、いきができまふえんわ…あぁぬいてぬいてくだうぐっうぐっ…げほごほっ苦しいですわ…いやぁうんぐ」
「マリア様、歯を立てちゃ駄目ですよ」
「息を口でしないで鼻ですると楽です、理人くん奥まで入れちゃいましょう」
「うんぐっ!うごうごうむうごぁぁぁぁうんぐううん…うんうん!うんっ…げへぎほっごほっ..うんぐ! あむあむごくりっ」
「そんな酷い…飲んでしまいましたわ..ゲヘっごほっハァハァ」
口の周りについた精子が悩ましいな。
「それじゃ理人、貫通させちゃおうか?」
「待って、待って下さい…まだ心が少しだけ…ああっああ痛いっ痛い壊れちゃいますわ、痛いのですわ、本当に痛いのですわ、千切れちゃいます、ああっああん、あああぁぁぁぁぁー-っなんですのこれー――っ、可笑しく、可笑しくなりますわー-ハァハァ、ああんああんあー-っ」
「「「それじゃ今度は私達も」」」
媚薬に薬油まで使ったから凄い事になっているな。
さっきまで処女だったマリアが普通に綾香の股間に顔を埋めて舐めているし、その前は紀子のお尻の穴を舐めていた。
俺を押し倒し騎乗位で楽しみながら、顔面騎乗を一人が楽しむ状態が続き、残った二人がレズの様に女同士で絡んでいる。
そんな状態なのに俺の股間は一向に萎まない。
これは病みつきになる。
今までのサバト処じゃない…同じものでもこちらの方が上物なのだろう。
全員が満足した頃にはもう夜が明けていた。
「理人様、皆、満足して寝てしまいましたから二人でしましょう…ですわ」
まさか、マリアが綾香よりも凄いなんて流石に思わなかったな。
イエスウーマン
俺の体はかなり強くて走るのは苦にならない。
だが、『出来る』事と『やりたい』という事は別だ。
「ハァハァ、結構きついわね」
「本当にきついですねご主人様」
「理人くん…もう駄目」
訓練は再開されて今は走り込みをしている。
しかし、ジョブの影響って凄いな、あの文系の紀子が水泳部の綾香より速く走れるんだからな。
やはり、あいつ等を殺しておいて正解だった。
塔子や紀子が訓練中に徐々に強くなっていくのが解る。
あのまま強くなっていったら…何処まで強くなるか解らない。
ゲームで言うならレベル1の状態だから殺せたに過ぎない。
レベル10だったら…レベル30だったら。
いつかは俺が負けるようになったのかも知れない。
昔、勇者とは『魔王すら倒せる究極の兵器』そんな言葉を聞いた気がする。
塔子や紀子ですら此処迄体力がつくなら、あの三人も同じように化けた可能性もある。
あそこで行動を起こしたからこその勝利だ。
この走り込み…本当につまらないな。
まるで体育会系の訓練その物だ。
俺たちはまだ良いが、他の同級生は…倒れている者まで出ている。
俺は完全に悪魔、魔族側の人間だ、せいぜい苦しんでくれ。
そう思いながら走った。
◆◆◆
その日の夜、俺は自分の事についてマリアを除く三人に告白した。
まぁ、色々とやりながらだ。
俺が悪魔側の人間とはいえ、肌を重ねた相手への思いは少なからずある。
もし、彼女たちが否定するのであれば『黙って此処を出て行こう』
そう思った。
だが…
「理人が悪魔側の人間、仕方が無い付き合いますか」
「塔子ちゃん、仕方が無いなら付き合わないで良いんですよ? 私がご主人様にはいますし…それにダークヒーロの方が私は好きなんですから、寧ろこっちの方が燃えます」
「紀子、あんたねぇ…揚げ足ばかり、理人違うからね、仕方なくじゃなく、しっかり付き合うから」
「理人くん…気にしないで良いよ、神様なんて碌な人居ないんじゃないかな、自分の人生振り返ればそう思う、だから、うん私は理人くんの味方だから」
「いいのか?」
「「「うん」」」
自分でも驚く程、簡単に告白は終わった。
頭の中で、全員がこちら側についてくれる、その算段はあった。
だが、塔子辺りは悩むと思っていたが『あっさり』即答するとは思ってなかった。
まぁ、揉めずに済んで良かった。
◆◆◆
理人は両親から学び、小さい頃から魔術師を目指していた。
黒魔術を含む色々な魔術を学び、そしてサバトに子供から参加。
そこで、最初から乱交に近い行いをし悪魔への信仰をしながら快楽を貪った。
そこには『悪魔への信仰』があり、それは揺るがない状態で快楽を貪る行いだった。
だが、三人は『それではない』悪魔への信仰は『理人』が喜ぶからであり、もし理人が『神側の人間』だったら神についただろう。
彼女たち三人の中にあるのは『理人への愛』実際に愛と言えるかは別として悪魔ではなく『理人への想い』に過ぎない。
簡単に言えば、考えられない位の快感や快楽を与えられた彼女たちは『理人中毒』になっていた。
理人その者が麻薬になっていた。
一見真面に見えるが、それは『理人に気に入られる為』
精神的には…既に狂い始め時間があれば『理人』の事、いや理人との行為ばかりを考えているジャンキー状態になっていた。
彼女たちはもう…完璧に『理人に依存』していた。
表向きは多少は飾り付けているが…今の彼女たちは理人に逆らわない。
それは理人が間違った答えを出しても従う存在…理人が1+1=6と言っても6だと逆らわない存在…
そうなっていた。
その事にまだ理人は気が付いていない。
マリアの本性
その勢いでマリアにも自分が何者であるか告白をした。
「そんな、理人様が魔王側の人間だったなんて…そう言うと思ったのですか? 何となく気がついてましたわ!」
気がついていたのか…
「私の父や妹はまさに『勇者排出国』それが自慢なのですわ。理人様が重大な事を打ち明けて下さったのであれば、私も本音を話しますわね…私はあの二人が大嫌いなのですわ!」
まぁ普通に考えたらそうだろうな…
「そうでしょうね」
「私達は運命共同体ですわ…国王とマリン、あの二人が居なくなれば、私がこの国の実権を握れますわ…私この国じたいも好きじゃないのですわ? いっその事、上手く二人を亡き者にしませんか? マリンが欲しいのであれば、あれはあれで顔は良いので足を斬り落として奴隷にして理人様に差し上げても良いですわね。
まぁどうにかして失脚させて貰えませんか? そうしたら何でも自由ですわよ…敵である貴方の同級生も性処理奴隷でも、殺してしまうでも自由自在ですわ」
最初に会った時から、何故かマリアに惹かれていた。
マリンについた方が後で何かするにしても有利。
だが、あの時の俺はマリアに惹かれた。
初めて会った時、イービルアイで見た、マリアは綺麗に見えた。
悪魔の目で見て綺麗という事は『悪女』という事だ。
今の俺の仲間で『この世界に詳しい人間』は居ない。
庇護者となる存在は欲しい。
王とマリンをどうにかすれば、この国はマリアの物。
そして『当人が潰す気』なので何でもできる。
最悪、マリア一代でこの国は終わりで良い。
それなら、この国の人間全員を犠牲に何か出来るかも知れない。
手を組まない理由はない。
「ありがとうございます、マリア様が女王になる為に手を御貸し致します」
「それでは、今から私たちは『真の仲間』ですわ。私が女王になった時には貴方の想いのままに事を進めるのに手を貸しますわ。その中には理人様が橋渡しをされるなら、魔族との同盟も含みますわ」
凄いな、マリア。
此処迄割り切れるのか?
いや、元から『憎しみ』が多大にあったのかも知れない。
だが、彼女にはどうする事も出来なかった。
それが、今…どうにかする手段がある。
行動を起こすのは当たり前か…
「それでは、俺は王とマリン二人をどうにか汚名を着せて殺害すれば良いのでしょうか?」
マリアは少し考えていたが…急に悪い顔になった。
「そうですわね、お父様は楽に殺して構いませんが、妹は出来るならさっき言った様に屈辱的な人生を歩ませて欲しいですわ、楽に殺すなんて、勿体ない『人間以下』の落して欲しいですわ…妹は敬虔な女神信徒です、それが悪魔側の理人様に犯される人生、それが見たいのですわ…より苦痛を与えるように犯して犯して犯し尽くすて下さいませですわぁぁぁー-」
完全に憎しみで狂っている。
だが、嫉妬、憎しみこれらを持っている人間は『美しくて可愛いい』
塔子に紀子は少し引いているが綾香だけが共感していたわ。
「その気持ち、よく解るよ…理人くん、何とかならない?」
「綾香さん、ありがとうございます、貴方は本当の親友ですわ」
そう言いながらマリアは塔子と紀子の方をちらりと見た。
「私も、ご主人様が抱くのは少し嫌ですが賛成です」
「私もそう、あの女見ていてムカつくのよね」
「塔子さんに紀子さんも、お友達になれそうですわね」
「それで理人様、何か良い方法はあります? より残酷に、より惨めな方法はありますの?」
「その方法はある…だが、最初にするのはマリンの転落、そして王の死だな」
「そのマリンの転落後の話を知りたいのですわ」
復讐が先に来ているのか?
悪魔的な何かを求めているんだろうな…
これは黒魔術じゃないが、偶然知った事だ。
「上手く出来るか解らないけど『うにうに』に挑戦してみようか?」
「うにうに? それは何ですの?」
「「「うにうに」」」
可愛らしい名前と裏腹に…女性にとってこれ以上残酷な物はないだろう。
うにうにとは
『うにうに』とは…
究極のだるま女の事である。
本来は赤ん坊の時に女の子の手足を切断して育てる。
その際には歯は全て抜歯する。
ハチミツを主成分として作ったエサで育てれば…
普通では考えられない位柔らかい抱き心地の良いだるま女が完成する。
体臭すらも香ばしく、性器の締まりも最高で、それこそ、最高の抱き心地らしい….
都市伝説という話だったが…実在する写真が何枚か見つかり…
昭和の頃には、うにうにの女性とのインタビュー動画も公開された。
※真偽は不明。
最高のだるま女…それがうにうにだ。
呪術
先にどうにかしないといけないのはマリンだ。
逆に王を先にしてしまうと、マリンが女王になり、手が出せなくなる。
マリンに汚名を着せて殺すのはそう難しくない。
魔族の間者扱いして処刑すれば良い。
だが…それだとマリンを殺す事は出来ても、マリアのリクエスト『苦しめる事』が出来ない。
どうした物か…
塔子、紀子、綾香に相談しても…
「理人が好きな様にすれば良いのよ」
「ご主人様の好きな様にすれば良いです…私は何でも従います」
「理人くんがやるなら何でも手伝うから、任せて」
違う…今、俺が欲しいのは『肯定』じゃなくて『意見』だが、誰も意見を出さない。
俺は、『長老』や『大魔術師』『大魔女』の事を少しだけ思い出した。
地球で『偉大なる存在』と呼ばれる魔術師には逆らう存在が居ない。
それは、序列があり上の人間には逆らえないのと…周りから依存されているからだ。
実際に俺に『生贄の為の赤ん坊を攫って来い』という命令が下された時、俺は体を震わせ泣いていたが、両親は少しだけ顔を悲しそうに歪めたが、それだけだった。
上の存在の命令には逆らえない。
それは大体黒魔術をはじめ魔術の世界では当たり前だ。
気がついたら、三人も『それと同じ』になっている。
そういう事だ。
不味いな、此処からは俺が判断しなくてはならない。
相談も難しいかも知れない。
◆◆◆
マリアが味方になった事で部屋が自由に使える。
つまり、魔方陣を使う儀式も使う事が出来る。
魔法と違い、準備してしっかり行うなら…魔術は万能だ。
特殊な薬を混ぜたオイルを5滴俺を囲むように垂らした。
その中心にあらかじめマリアから貰った、マリンの髪の毛を中央に置き、その上にヒキガエルの様な生き物を置きナイフで突き刺し殺した。
「これが、理人様の世界の魔術…」
「「「しーっ」」」
「すみません…」
魔術は厳粛な物…声を出してはいけない。
更に短刀で自分の指を傷つけ血をマリンの毛に垂らした。
「TUBIRUM DUBIRUMATOGUREED(出鱈目です、この呪文はありません)BUDORU…」
俺は呪文を唱えながら、マリンの頭を踏みつけて従わせるイメージを描いた。
「偉大なる悪魔の僕たる理人の名に置いて命じる、マリンの魂を貶め、父である王を殺せ…」
カエルから黒い靄が立ちあがり「うけけけっ」と声が響き渡った。
「これで終わりだ」
「それで終わりなのですか? そんな当人を前にしないで、何か出来る物なのでしょうか?」
確かに、ファンタジーではこんな魔法は余り使っているのは見ないな。
「ああっこれでマリンは恐らく王である、エルド6世を殺す…まぁ確実に殺せるかどうかは解らないが、行動はするな…マリア、今夜は出来るなら少し離れた所で過ごせ…」
「それなら今夜も理人様の部屋で過ごしますわ」
「ああっ、構わないが、俺はかなり疲れたから、多分熟睡しているぞ」
「別に、そう言うのが目的じゃありませんわ」
俺は塔子たちに肩を借り部屋に戻った。
◆◆◆
その日の夜事件は起きた。
「うけけけっけ…」
「マリン様、こんな夜にどうかされたのですか?」
「何でもありませんわ…うけけけけっ」
《可笑しい、あんな気持ちの悪い笑い方、マリン様はしない、しかもあの綺麗なマリン様が得たいの知れない化け物に思える…》
「そうですか…」
《王族に意見等言えない…気持ち悪い、この場所に居たくはない、俺は立ち去った》
何者かに操られる様に私はお父様の所に向かっています。
どうして…解らない。
だが、行くしかない…
何者かに憑りつかれるかの様に私は足を進めた。
「うけけけけっ…お父様….」
「こんな夜分になんのようだ…親子とは言え王と王女、礼節を考えなさい」
《なんだこの顔は…マリンの様でマリンじゃない…まるで爬虫類の様な顔に見える…マリンなのか》
「けけけっお父様…死んで貰います…うけけけけっ」
私は何をしようとしているの?
私がお父様を殺す?…私が? なんで。
「マリン、お前、何を考えているんだぁー――――っ」
「殺す、殺す…あひひぃぃぃお父様…殺す」
「誰か、誰かー――っ」
《嘘だ…なんでか、マリンの手が振り払えない》
ズブッ、ドス、ドス、ドス….
「マリン…やめ」
ドスッドスッ…ぐちゃっ…
「やめるのじゃ、うおぉぉぉぉー――っごふっごばぁっ」
《なぜじゃ…なぜ儂の腸を引きだして…》
「…止めるのじゃ…がはっごばっ」
くちゃくちゃくちゃ。
「くちゃくちゃくちゃ…お父様、美味しいわっ」
「…」
「くちゃくちゃっ…ああ美味いぐふふふふっ」
不味い…口の中から鉄の味がする…
私…何しているの?
何を食べているの…
「エルド王悲鳴が聞こえましたがっ、如何なさいましたか! マリン王女様?…一体何を、何をしているんですー――っ」
「えっ、私? 私…いやぁぁぁぁー―――っうえぇぇぇぇー-っげぼっ」
血だらけの中でなんで私…お父様を食べているの。
「嫌、いやぁぁぁぁぁー―――――っ」
マリンの叫び声がこだました。
マリン:きっと私は救われない
「マリン様、事の次第が解る迄、こちらに入って貰います」
「そんな、私はこの国の王女です! それがなぜ牢屋に入れられるのですか?」
「はぁ、今の自分の姿を見てそれが言えるのですか? 自分の口を見てから発言下さい…血だらけですよ! 王を殺して腸を引きずりだして食べていたのです…私には貴方が姫様だと思えない、化け物にしか見えません」
私にはうっすらしか記憶が無い…
確かに、私は本当に食べていた。
理由は解らない…解らないからどう弁解して良いか解らないわ。
確かに私は…お父様を食べていた。
「あああっ…私は、私は…違う」
「気持ち悪い…あとの判断はマリア王女と理人様に委ねます」
そんな、マリアが…マリアが決めるの…私の運命を。
◆◆◆
「マリア、マリア、私は…どうかしていたのよ、何故こんな事したのか解らないのよ」
マリアの傍には理人様に枢機卿が居る。
「我が妹ながらなんて事に、解っているわマリン、貴方が本当にした事じゃない、貴方は魔族に憑かれていたのよ」
「私が魔族に憑かれていた…そう言うの?」
「多分間違いなさそうです、騎士の話では様子がおかしかったそうですから、爬虫類か獣に見えたそうですから」
「理人様がそう言うなら間違いないでしょう」
そんな、私は魔族に憑かれていたというの?
だけど、そうじゃなければ辻褄が合わない。
「それなら私はどうすれば良いのでしょうか?」
「マリア様…」
何で理人様が言い淀むのですか…
「構いません、どんな残酷な事でも受け入れます、言って下さい」
「はい、魔族に憑りつかれた存在は、今みたいに祓われてもまたすぐに魔族に憑りつかれる…簡単に言うと憑かれやすい体になってしまっています…可愛そうですが処刑するしか無いですね」
「待って、待って下さい…私は、私は死にたくありません」
「ですが、マリン様は憑りつかれて王を殺して食べていたのです…また同じように憑りつかれる可能性が高くまた誰かを殺しかねません…やはり」
「お願いです、お願いですから殺さないで、殺さないでください!」
理人様は剣の柄に手を掛けています。
このままじゃ本当に殺されてしまいます。
確かに私は何者かに憑かれていました。
ですが…死にたくない。
「お願いします…何でもしますから、お願いです」
「理人様、私からもお願いします、妹を助けて下さい」
「マリア…ありがとう」
「仕方ありません、それでは憑りつかれても価値の無い様にするしかありません」
「あの」
「それで妹の命が助かるならお願いします」
「解りました…したくはありませんが…」
何でなんでマリアは…笑っているの。
私は理人様に何かをかけられ意識が遠ざかっていった。
◆◆◆
私は何をされたのでしょうか?
此処はまだ…牢屋。
寒い…なんで…凄く寒い。
暗くて何も見えない。
手があれ可笑しいな何だか可笑しい。
私は立とうとしたが立てない…それに凄く体が痛い。
そうだ…誰か呼ばないと
「助けて…だれか助けて」
こつん、こつん、こつん
足音が聞こえてくる…
二つの足音だわ。
誰?
蝋燭の明かりに照らされて見えたのは、マリアと理人さま?
「マリン、元気?」
「これは一体…」
「体を良く見るといいのですわ! マリン」
体…? 蝋燭で照らされ見えた体は…嘘。
「そんな、私の腕、私の腕が無い~っ何処、何処…あぁぁぁぁー-っ足も、足も無いわ、そんな、何でなんでよー―――っ、それになんで裸なのぉー――っ」
手は肘から先が両腕も無い…足は膝の所で両方とも無い。
しかもご丁寧にそこを綺麗に塞いである。
これじゃもうヒールやハイヒールでも治らない。
「どうかしたのマリン」
「どうかしたのってこれ何、何よー――っ」
「簡単じゃない、マリン馬鹿ですの? 手足が無ければ人は襲えないのですわ? 噛みつかれても不味いので歯も全部抜いてありますの…これで魔族に憑りつかれても大丈夫ですわ」
「マリア…それでなんで私は裸なの…」
「それはですね…その状態でもまた魔族に憑りつかれたら不味いので理人様にあげましたわ」
「あげたって」
嘘でしょう…それって奴隷?
「だって仕方ないのですわ、マリンは魔族に憑りつかれたら虚言を吐くかも知れませんわ、だから王族の権利をはく奪しましたわ…それに王である父を殺してしまったから、皆に恨まれてますわね、その殺意からマリンを守る為には『理人様の物』にするしかありませんでしたわ」
「物って…」
「物は物ですわ…今のマリンは排便の処理から食事まで誰かに頼らなければ生きていけないのですから『奴隷以下』なのですわ…最も魔族が簡単に憑いて体に入る女なんて誰も欲しがらないですわね…貰ってくれた理人様に感謝するのですわ」
「こんな生き恥さらす位なら死を選びます」
「もう無理なのですわ『死にたくない、何でもする』そう言ったのはマリンなのですわ…願いは叶えましたわ、歯が無いから自殺も出来ませんわね…」
そんな私は死ぬことも出来ないの…
「私は、私は…」
もう終わりです…私はもう…普通の人生は…
『マリン、頑張って理人様に好かれる様にした方が良いのですわ…貴方の下の世話から食事までこれからお世話になるのですからね、体を使って男を満たしてあげた方が良いですわ…嫌われたら死よりも辛くなりますわ』
小さな声でマリアは私に言った。
「そんな、そんな嫌いやぁぁぁぁぁぁぁー――――っ」
《結局、むにむにには出来なかった、これじゃただのだるま女だ…餌で今後どこまで近づける…まぁ無理だろうな》
「余り欲しくはないな」
「まぁ、そう言わず、あれは理人様の物ですから、おもちゃとして使って飽きたら廃棄してしまえばいいのですわ」
いくら叫んでもきっと、私は救われない。
マリン 堕ちる
『あの日から私の人権は無くなってしまった』
「なんて破廉恥な事を、貴方達に羞恥心とかないんですか?」
馬鹿な女。
自分姿を見てから言えば良いのに…
「お前の方がよっぽど破廉恥だろう? 動くだけで尻穴から股までおっぴろげなんだから、尻なんか誘っているみたいにフリフリしているぜ」
「それは、貴方がこんな体に私をしたからじゃないですか…」
顔を赤くして抗議してくるが、最早人間じゃない、少しは態度を変えた方が良いだろうに…馬鹿か。
俺は此奴を犬扱いしている。
犬用のトイレみたいな物、皿、水飲みを用意して首輪をつけ部屋に閉じ込めている。
「確かにな? だが俺はお前のおしっこにうんちの始末、尻ふきまでしてるんだ! なに対等に話そうとしているわけ?」
「それは…こんな体にされて…すん、すんグスっ」
流石に泣き始めたな。
「それだけじゃないだろう? お前の方が淫乱じゃないか? 股をこんなにヌルヌルにして…よく言うわ」
そう言いながら俺はマリンの股間をまさぐった。
「あっあっ嫌いやぁぁぁぁぁー――――っ」
プシューっちょろちょろ….ぷしゃぁぁぁぁー――――
盛大に潮を吹いて失禁した。
「嫌、いやいやぁぁぁぁぁー――っ」
「これ位でほら、簡単によがるしよ、何おしっこ漏らしてんの? しかも顔を真っ赤にしてよがってんじゃん! 男の前でこれどっちが淫乱なんだよ潮迄吹いて」
「嫌、いやぁぁぁぁー-見ないで」
当たり前だ…マリンの食べ物には媚薬が入っている。
更に薬油を股間からお尻から塗っている。
その為いつもお尻や性器をいつもヒクヒクさせ、愛液で常にベトベトだ。
多分押し倒せば、自分から腰を振る。
だが、その状態で敢えて犯らない。
そんな状態で目の前で犯りまくっているのを見ているんだ。
結構、溜まってくるだろうな…
「グスッ…こんなの嫌…」
おしっこ垂れ流しで犬の様に体を丸めている、「ぐすぐすすん」と鳴き声が聞こえてきた。
俺は別に意地悪をしているわけでもない。
マリアみたいに恨みでしているわけでない。
マリンの中に居る…本当の姿。
優秀で優しくて誰もが素晴らしい女性とたたえられたマリン。
此奴の中の本性を見てみたい…それだけだ。
「くちゃくちゃぺっ…くちゃくちゃぺっ…そらマリンご飯だぞ」
俺は食べ物を口の中に含み噛んでマリンの皿に吐き出した。
マリンは歯が1本も無い。
だから噛んで砕いた物しか食べられない。
良くエロ漫画や小説で『だるま女』の話を見たりして欲しいと思うかも知れないが、実際のお世話は大変なんだぜ。
悔しそうな顔をして半泣きで無言で食べている。
「はぐっすん、すん、はぐっペロペロ…すん、すん」
「…お前、感謝の言葉も無いんだな」
俺はマリンの皿を取り上げた。
「あっ…そんな」
この中には媚薬以外にも色々入っている。
その為か、マリアは名残惜しそうにこちらを見ている。
そうだ、面白い事を思いついた。
「そんなに食べたいか?」
頭の中で葛藤しているのだろう…
「そんな物…要りません…」
「そうか…それならもう食事は一生無しで良いんだな」
「…そんな」
わざと食事は少な目にしてある。
「死ぬまでやらないからな」
そう言うと急に顔色が変わる。
俺がやらなければマリンは餓死するしかない。
それが解っているのだろう…
「…下さい」
小さな声で、そう言った。
「そうか…だが、散々世話してやったのに感謝しないから罰だな」
「何を…」
俺はマリンの前で寝ころびながら食事をかみ砕いた。
「くちゃくちゃむぐむぐうわぁん、マリン、食いたければ俺の口から直接くえ…嫌なら餓死するんだな」
「そんな酷すぎます…そんなのってあんまりです」
「要らないなら俺は別に構わない」
暫く様子を見ていた。
心の中で葛藤しているのが解る。
マリンはノソノソとこちらに近づいてきた。
そして、俺の顔に顔を近づけて『最後の葛藤』をしていた。
マリンの鼻息が掛かる位で更に葛藤していたが、ようやく決心したようだ。
「うんぐっううんちゅる、うんぐううんううんごくっべちゃうんぐっ」
俺の口へ口づけをし、ディープキスをしながら舌を差し込んで食料を貪っている。
「うんぐっうんうんぷはっ」
食べ物が俺の口から無くなると、マリンはこちらを物欲しそうに見ている。
「なんだまだ欲しいのか? 欲しならちゃんとした頼み方があるだろう?」
これは、普通に考えてキスだ。
王族は結婚までキスはしない…それを食事欲しさに捨てた。
ある意味、マリンは今一つまたプライドを捨てた。
「…下さい」
「何を言っているのか聞こえないな?」
「ごはんを下さい、お願いします」
「そうか、そんなに欲しいか仕方ないな、くちゃくちゃくちゃ…ほらよ」
俺はマリンを持ち上げた。
さっきまでは口と口だけでマリンは食べていた。
今は俺の上に完全に乗せた状態…見方によってはマリンが俺を押し倒してキスを貪っている様に見える。
「嫌です…こんな格好は、いや…」
「なら食事は終わりで良いんだな、くちゃくちゃくくああん」
俺は口をあけて見せた。
「ゴクリっ…すんすん、うぐっううん、ペロうううんぐっうん!うぐっ」
折角なので俺も舌を絡めてマリンの舌を味わった
一瞬動きを止めたが、マリンは気にせず舌を絡めて食べ続けた。
「うんぐううんっぷはっうんぐううんごくっごくっううん、ハァハァ」
もう食事は口の中に無い。
マリンはそれでも俺の口を貪っている。
股の間は常にトロトロだったが、更に愛液が増え、口が動くたびに小さな胸を押し付けながら、腰も自ら小刻みに動いている。
一心不乱に俺の口を貪り、もう食事でなく俺の舌を楽しみ唾や涎を飲み込んでいる。
「うんうぐっううんうんぷはっううんハァハァ」
「なんだお前犬みたいに発情しているのか? やっぱりお前の方が淫乱じゃないか?」
俺は腰を少し上げて先を股にあてがった。
「嫌ぁ、それは嫌ぁぁ」
「別に俺からはしない…お前がそのまま腰を下ろさなければ入らない、どうしたいか自分で決めろ」
実際は違う、マリンは手足が無いからここで踏ん張りはきかない。
だが『無理やりでなく自分からした』そう思わせた方が面白い。
俺は手の力を抜いた。
ズブッ ズブッツ
音を立てながらゆっくりと俺の物はマリンの中に入っていく。
「痛い、痛い…抜いて、抜いて下さい…いやぁぁぁぁだよ、いやぁぁぁぁ」
「なんだ自分から入れた癖に嫌だなんて可笑しいんじゃないか」
「嫌嫌…いやぁぁぁぁぁっ、あんあん、いや、こんなの嫌ぁぁー-」
そう言いながら一生懸命股から血を流しながら腰を振っている。
散々媚薬を食事に混ぜ、穴という穴に薬油を塗り続け…行為を見させていたんだ当たり前だな。
「嘘つくなよ、お前喜んで腰ふっているじゃないか」
「違う…違う…嫌、あああん、ああっああ、気持ふぃ良いよー-っ」
完全に落ちたな。
「やっぱり、淫乱だったじゃないか! まぁ良い…マリン、自分が淫乱な女だと認めろよ…そうしたら何時でも相手してやるぜ、更にもっと気持ちよくしてやる」
「ちが…ちがう…私は違う」
もう1押しだな。
「認めないなら良い…もう相手はしない、それにお前が淫乱じゃないなら、その穴は必要ないんだろうから、後で縫って一生使えなくしてやる」
「ああっ、そんな酷い、酷い…認めます、認めますよ、私は淫乱です…淫乱な女です、これで良いですか?ああっあああんあん、私は…淫乱、マリンは淫乱です…ハァハァ」
顔は泣いている、最後のプライドが多分この涙なのかも知れない。
「そうか、それならご褒美だ」
マリンを降ろして仰向けに寝かした。
その状態でゆっくりと入れていった。
「ああっ凄い、あんあんこれ凄く気持ちよい…あんああー-っ」
マリンは『うにうに』ではない。
幼児の頃から特殊なエサで育てる…その工程が無い。
それでも、薬を使い媚薬を普通に使う何倍もとらせたから、普通の女よりも使い心地が良い。
それこそ、幾らでも抱いていられる位に『穴』は最高だ。
紛い物でこれなら…本物を使ったらもう何もしたくなくなるかも知れない。
俺はもう『うにうに』は作らない。
マリンレベルで充分だ。
「ああっ、気持ひぃいいよー-っあんあんあー――っうんぐ、ハァハァ理人ぉぉぉー-もっともっと」
媚薬と薬油を限界まで使っていたせいか最早陰獣だな。
深夜までマリンを使い続け…俺は4人から、凄く焼きもちを焼かれた。
ハードな性かつ
「マリンの使用は当分禁止します!」
マリアにそう言われた。
「そうよ、最近、理人たんぱくだし…」
「ご主人様が他の女を抱くのは仕方ないですが、此処迄相手してくれないとすねちゃいますよ」
「理人くん、ちゃんとして『真実の愛あるSEX』してよ…」
4人とも顔が怖い。
「仕方ないじゃない? 私が一番のお気に入りなんだからね、マリアお姉ちゃん…そうだよね理人様」
にこりと笑うマリン…だが4人は凄く怖い顔をしている。
憎悪と嫉妬、悪魔的には凄く嬉しいが…自分に向くのは嫌だな。
しょうがないじゃないか?
皆とするには、その都度、雰囲気をつくったり夜まで待たないとならなかったりするんだからな…
その点マリンは常に裸で尻をフリフリして犬みたいに歩いていて何時でも出来る。
雑に扱っても誰も咎めないし…未完成とはいえ『うにうにモドキ』だから結構な名器だ…
何時でも使える『肉便器』があれば、つい使うのは仕方ないだろう。
「理人様、本当にそうなのですか?」
「いや、そうじゃない…これも、『うにうに』には必要だから…」
「そうですか? まぁ此処迄成れば、もう『うにうに』じゃなくても良いですわ…それに、それは理人様の物でどう扱っても構いませんがペットと恋人を履き違えないでくださいですわ」
前に少しだけ話した。
その時の話ではマリアと俺が将来婚姻をし俺は王配で他の三人は側室…そんな提案だったな。
「それは、将来の話では?」
「そうですね…ですが『人』と『ペット』は違います…だからマリンにはこれを付けますわ」
「ちょっとお姉ちゃん、それ嫌…止めて」
「駄目です!」
そう言いながら、三人でマリンを取り押さえ『貞操帯』を装着されていた。
「嫌、いや、いやぁぁぁぁー-っ、裸が良いの、いや、こんなのつけないでよ…理人様ぁぁぁぁー-助けてー-っ」
しかも、その状態で布の袋まで被せられ首だけ出した状態だ。
ミノムシみたいだな…
「マリン、悪いが無理だ」
「いや、いや、裸が良い、いやぁぁぁぁー-っ」
しかしマリンも変態になったものだ。
裸が良いなんてな、もう元の面影は全くない。
「まぁ良い…可哀そうだから、袋はやめてやれよ…その代り、今日から全員で寝よう、それで良いんじゃないか?」
「「「「えっ」」」」
これで暫く寝不足だ。
だが、全員での乱交は今までして来なかった。
これを機にしてみるのも良いかも知れない。
「全員でやれば、問題ないだろう? 今日から全員で寝ればよいだけだ…そもそもマリアが実質女王だから誰も文句は言わないだろう? それに暫くしたら俺たちは旅立つからな、そうしたら年単位でマリアとは会えなくなる、それまでは、親睦を深める為にその方が良いんじゃないか」
「そんな…私だけが会えないのね、すっかり忘れていましたわ」
「どうした?」
「理人たちは別に魔王を倒す必要は無いんだし、この城に居ればよいのですわ、魔王討伐は他の異世界人に頼みますわ」
確かにそうだが…俺は魔族に会いたい。
悪いが『旅に出る』これは確定だ。
「マリア、悪いが俺は『魔王に会いたい』それに魔族や魔物と親交を深めたいんだ」
「うっ、そうでしたわ」
「ああっなるべく早く済まして帰るからから待っていてくれ」
「そんな寂しいですわ…そうですわ、私も一緒に旅立てば良いのですわ」
「いや、幾ら何でもこの国の女王が…不味いだろう?」
「何とか頑張ってみますわ…それでいつ旅立つ予定なのですか?」
皆が未熟なうちが良い。
下手に強くなれば、魔物側に被害がでるだろう。
「そうだな、マリアの即位式が終わったら、旅だとうと思っている」
「そうですか? それなら急がなくちゃいけませんわね」
大丈夫なのか…まぁ良いか。
早速、その日の夜から…ハードな性かつが始まった。
※ あと数話でお城編が終わる予定です。
少し長くなってしまいました。
旅立ち
俺の同級生たちは真面な訓練を受けていない。
実際に訓練をはしているが『楽な訓練』にマリアがしている。
「流石は異世界の方凄いですね」
「神からの恩恵羨ましい」
と大した実力で無いのに褒めたたえその気にさせている。
実際は騎士にも劣る実力だ。
この状態で1週間位で旅立たせる事をマリンは決めた。
◆◆◆
1週間がたった。
「既に指導騎士から貴方達の実力は聞いております、異世界の方は実戦を積めば積むほど強くなります、もう此処で学ぶことはありません、旅立ちの時です!」
碌に訓練はされていない。
騎士ですら彼等より強い者は多くいる。
自分たちで勝てないからの異世界人。
この状態で見栄えは良いが脆い防具や武器を与えられて旅立つ。
もう半分詰んでいるな。
本来なら、騎士と一緒に何回か狩りをして慣れてから、ミスリルの装備で固めて旅立つんだからな…
こうしてクラスメイトは放り出される様に城から出て行った。
勿論、魔物たちには外出時にこの事を伝えてある。
近くの森でオーガが待機している筈だ。
本来、最初はゴブリンを狩り、オークを狩り力をつけるのがいきなり、オーガ…多分かなりの人数が此処で死ぬな。
◆◆◆
「それじゃ行ってきます」
「理人様、早く帰ってくださいまし」
「ああっ早ければ3か月、遅くとも6か月で帰ってくる」
「本当ですよ、早く帰って来てくださいますわね」
「ああ、すぐに帰ってくる」
俺たちは魔王に会うためにこれから旅立つ。
本来なら辛い旅になるだろうが、俺にとって魔物は味方みたいな者、ただの旅だ。
多分魔物より、敵は山賊とか人間なのかも知れないな。
まぁ楽な旅に違いない。
「お姉ちゃん可哀そう、行ってくるね」
「「「行ってきます」」」
今回の旅の目的はこの国が裏で魔族と繋がる話し合いだ。
その話し合いの手土産で『聖剣』を俺は手にしている。
魔王を倒す最大の武器がこれだ。
これを渡すことで、友好的な証明になるだろう。
その代り人類は魔族との戦いでかなり不利になる。
そして、もし同盟が組めたら、聖槍、聖杖なども次回は渡す約束をマリアとしている。
悪魔側の人間の俺には自分の仲間以外は死のうがどうなろうが構わない。
むしろ、街が魔族で埋め尽くされる姿を見てみたい位だ。
「それじゃな」
俺はしばしの別れをマリアに告げ城から旅立った。
(第一部 完)
第二部 旅たち編 スタート オーク達と
旅は楽しい
他の人間は周りを気をつけながら歩くが俺たちには関係ない。
ゴブリンやオークに出会っても、じっとこちらを見て笑顔で去っていく。
多分周りに人がいるから魔物なりの配慮なのかも知れない。
宿に泊まり夜になった。
ちょっと出かけてくる。
「えっ理人…今夜はしないの?」
紀子に綾香も少し寂しそうだ、マリンも同じようにこちらを見ていた。
「少し出かけるだけだ、すぐに帰るよ」
「そう…それなら良いけど早く帰って来てね」
「ご主人様、お待ちしていますわ」
「早く帰ってきてね」
「私も待っていますね」
4人に別れを告げて俺は出かけた。
◆◆◆
居るな…
良く勘違いをする人間が多いが、冒険者の中には夜行動する人間が多い。
巣などに押し入って討伐するには活動をしなくなる夜の方が都合が良いからだ。
俺は今晩、とある冒険者たちが行動を起こす事を聞いた。
今夜オークの巣の討伐を行うそうだ。
俺は悪魔側の人間だ。
『善良なオークさん』が襲われるのは黙っていられない。
だから俺はオークの味方をする事にした。
◆◆◆
「貴方様はもしかして魔族様ですか…」
この辺りは魔王に会わない限り、立ち位置は解らない。
「それに近い立場なのは確かだ、ほらな」
俺が爪を伸ばした瞬間にそのオークは安心したような目でこちらを見た。
「やはりそうですね、魔族様の中には人間に近い姿の方も多く偶に困ります…それで今日はどういったご用件で?」
「この巣を今夜多数の冒険者が襲うという話を聞いた、だから加勢にきたんだ」
急にオークは慌てだした。
「それは大変な話です…すぐにキングにお話しします」
「魔族様、ご報告ありがとうございます…ですがこの巣にはお恥ずかしい話し26体しかオークはいない状態です」
話を聞けば、ナイトクラスで2体、ジェネラルはいないそうだ。
「大丈夫…俺がまず露払いをします、残った奴を貴方達にはお願いいします」
「本当にそれで宜しいのでしょうか?」
「ああっ任せろ!」
前の世界では伝説の中に語られていた存在、オーク。
魔術に人生を捧げていた俺には凄く感慨深い物がある。
それを狩る存在…そっちが敵だ。
◆◆◆
暫くオークの巣がある洞窟の入り口に居ると松明の明かりが見えてきた。
数は…30位か。
もう暫く様子を見る。
この位で良いだろう。
この洞窟迄の一本道まで歩いていき、そこで俺は待った。
「お前、こんな所で何をしているんだ?」
「いや、オークを狩る奴がくると聞いてな」
「そうか…なんなら加わるか?」
「そうだな、俺も狩らせて貰おうか?」
「だったら後ろに」
俺はそのまま襲い掛かった。
俺の中の本能のまま爪を伸ばし首に斬りかかる。
あっさり、冒険者のリーダーらしい男の首は宙を舞った。
「此奴、人間じゃないぞ」
「まさかオークの味方か」
「ひぃ魔族…」
大して強くない…俺が強いのか此奴らが弱いのか解らない。
だが、こうも簡単に殺せるとは思わなかった。
俺が爪を振るう度に首が舞い。
相手はまるで止まって見える。
30人のうち22人は男だった。
「許してくれ、頼む見逃してくれ…」
助ける謂れはない…命乞いなど聞かずに殺した。
残った8人の女は足の健を斬り歩けなくした。
「なっ何をするの?」
一人の女冒険者が聞いてきたが…聞くだけ馬鹿だよな。
その頃になるとオークがこちらに来た。
「凄まじい物ですな、流石は魔族様です…まさか一人で全部倒してしまうとは…」
「はら、戦利品だ」
「ひぃっ…いやぁぁー-っ」
俺は女冒険者の一人をオークの方に放り投げた。
「魔族様は使わないので?」
「今回は要らない好きにするが良いぞ」
笑顔でオークたちは女冒険者たちを担いでいった。
「キング様が、祝杯の用意をされています、さぁ我らと共に来てください」
「ああっ」
◆◆◆
「魔族様、今回は本当にありがとうございました」
「気にしないでくれ、俺は魔族や魔物の味方だ、これから魔王城に魔王に会いにいく途中だ」
「魔族様なのに魔王様と会った事が無いのですか?」
「ああっ」
俺は自分の事について話した。
「凄いはなしですね、もうあの憎き勇者たちを討伐されたとは、まさに『我らの英雄』です」
「そうか」
俺はオークたちから沢山の感謝をされた。
料理は意外な事に美味しい。
材料は『人間』らしい。
恐らく俺の体は魔族に本当に近いのだろう。
禁忌はなく『美味しい』とさえ思う。
さて帰るか。
名残惜しいが、俺はオーク達に見送られながら巣を後にした。
完結 これから
魔王城にはあっさりついた。
魔物や魔族は全員が味方…人間には敵だと思われない。
最早、これはただの旅だ。
まぁ当たり前だな…
魔王に会い話した所、この世界の魔王は『悪魔の上の存在』では無かった。
俺の知っている『悪魔達』はこの世界で言うなら邪神や魔神、その中でも上位に入る存在だった。
その結果、俺は『魔王と同等』という扱いになってしまった。
可笑しいな…ゴブリンキングから聞いた話では、魔王はルシファーの眷属と聞いていたのだが…違うのか。
「ルシファーの眷属ではないんですか?」
そう聞いてみたら
「まさか、もし我が眷属であったら勇者などに遅れをとったりしません」
まぁ、確かにそうだ。
だが、流石は魔王…死んでもしばらくしたら復活出来る、転生の魔法すら使える。
俺なんか足元にも及ばない術者だ。
そう話していたら
「確かに術では我が上かも知れませんが、その体はまるで『悪魔様』その物…羨ましい位です」
と逆に褒められてしまった。
話し合いの結果…俺は魔族側では『勇者 アモン』という名前と地位を貰った。
そしてマリアと教会が話し合い人間側では『英雄 理人』という名前と地位を貰った。
これから先俺は魔王と共に世界を混乱に陥れていく。
転移の魔法は魔王側も使え…俺は両親を呼んで貰った。
最初は驚いたものの両親は俺を褒めちぎった。
魔術研究者が魔王や魔物に会えたのだ、そりゃ感動物だろうな。
これから先…この世界は魔族の物になるだろう…
俺の両親は俺処じゃない程…凄いからな。
それが今から楽しみだ。
FIN
あとがき
何時も応援して頂きありがとうございます。
また最後まで読んで頂きありがとうございました。
つい最近までこの話はもう暫く続けるつもりでしたが…数話プロットを書いたところ似たような描写の繰り返しになりそうだと思い…ここで終わる事にしました。
此処暫くの話は実は応援してくれる方の為に書いた作品です。
性描写や残酷なシーンを沢山いれていますので…この状態では、ほぼ確実に出版申請には通りません。
実は、大昔プロの方に「エロの描写」を覚えるべきだと指摘され…
エロ小説やエロ漫画を手に取り参考にして取り入れました。
少しは良くなりましたが…
その代り、感動の話が薄れた気がします。
今現在、ややスランプで10万文字書けない病にかかりつつあります。
立ちなれるように頑張りますので、これからも宜しくお願い致します。
次の作品は4月になります。
しっかりプロットから考えて、新しい事に挑戦して書く予定です。
多分、最初の数話は…これでなんで異世界なの、そう思うかも知れません。
次世代ファンタジーカップ向けに真剣に書いていきますので宜しくお願い致します。
最後までありがとう!