成り上がり女神の憂鬱 人間が嫌いになって来たから、もう人間助けるのやめようかな?【リクエスト作品】

信仰は預金みたいな物です!
私の名前はゴーゴラン。

人間の知っている名称で言うなら「女神」と言われているわね。

皆んなが知っている話だと「勇者」とか「聖女」を使わして魔王と戦う話とかかしら?

最近はね..「凄く人間が嫌いになってきているのよ」

本当に嫌いになるのも時間の問題かしら?

だって、信仰心が無さすぎるわ…神の力は信仰なのよ…どれだけ信仰されるかで力が増減するわけね。

昔は、お願いごとだけじゃなくて、朝晩のお参りをする人や、貢物を持ってくる人が多かったわ。

神だって人間に近い物はあるのよ..小忠実に顔を出されると、見る回数が増えるのよ..

例えば「あの人どうしたのかな?」とか..

毎日顔を出してお祈りしているお婆さんが居たとするじゃない?

そんな人がある時から、祈りに来なくなる。

そうすると私も「何かあったのか気になる訳」ね。

様子を見て、病気に苦しんでいたら、「助ける」のよ。

まぁ、寿命とか治せないレベルもあるけど、その場合は「楽に死ねる」とか出来る範囲でするわ。

更にこういうお婆さんの場合は「信仰という名の積み立て」があるのよ。

何時も祈ってくれるからね。

「信仰=私の力」だから、神の奇跡を起こせる位の事ができるわけ。

そして、無事に治したら、またお祈りにきて貰えるから、積み立てが始まるの。

幾ら女神でも「無い袖は振れない」わ。

普段から「祈り」もしないし、挨拶もしない、そんな人間が困った時に「女神様」?

はぁって感じよ..だって、こういう人は「信仰という積立」が無いんだもの..

使う力が元から私は貰って無いのよ、どうしろって言うのよ!

まぁ、本当に世界が困るとか、その人が居ないと困る..そう言う場合は仕方なく助けるけど..

その場合は貸付みたいな物よ..その後、信仰の欠片も無いと「不幸」という取り立てが始まるわ。

神って簡単に言うならお金でなく、信仰を取り扱う、銀行みたいな物…それが一番近いかもしれないわ。

蛇神?

女神とか神には大きく分けて二通りあるのはご存知かしら?

1つ目はね、生まれつき神や女神なの。

皆んなが知っている神や女神の殆どはこれなのよ。

正直、大きな力を生まれつき持っているし、美貌もあって羨ましいわ

最初から傅かれて羨ましいし..妬ましいわ..

ある意味、究極の依怙贔屓ね、最初から神なんて幸せ以外の何があるのかしら?

2つ目は、成り上がりの神や女神

私はこれ、これなのよ!

はっきり言って辛いわよ..だけどね、頑張れば誰でも神に成れるわ。

だってただの蛇が「女神」になれたんだから..人間が成れない訳無いわ。

私は、最初蛇に生まれた。

どれ位、蛇の人生を送ったか解らないわ..前世なんて蛇には解らないから。

ある時、私が池の傍にいると、1人の男が私の尾っぽを踏んだのよ。

頭に来たから、私はその男に噛みついたわ..まぁ蛇だから。

当然、男は持っていたナイフで私を切り裂いた..もう死ぬしか無いわね。

だけど、その男も私の毒で死んだ訳。

そうしたら、

「嘘だろう、盗賊、黒腕のズランが死んでいるぞ!」

「散々、女を犯し、金を盗んできたんだ..いいざまだ」

「領主様…ズランが死んでいます」

「どうして死んだのだ」

「蛇が…」

「そうか、これはきっと蛇が倒してくれたのだ..この池の傍に祠を建ててこの蛇を祭ろう」

可笑しいな、私は引き裂かれて死んだ筈なのに..なんでここに居るのだろう?

まぁいいや..死んでないなら..だけど..此処から何で出られないんだろう?

良く見ると体も透けているし..

出られない物は仕方ないわ..

次の日、人間が卵を持ってきた。

「蛇神様、お参りに参りましたですじゃ..」

そういって、卵を持ってきた。

凄く旨そうだ..可笑しい、食べられるけど..卵は無くならない..だけど一度食べた卵はもう一度食べても味がしない。

美味しくない..

蛇神様?

それが私の名前なのかな?

まぁ良いや..卵もくれるしね。

しかし人間って面白いわね..私に色々頼み事してくるのよ..ただの蛇なのに。

だけど、気が付くと、私の体が白くなっていたのよね。

今思えば、これが多分本当に「蛇神」になったそういう事なのかも知れない。

死に掛けの少女を抱えた女が居たわ。

娘が病気で死に掛けている事を凄く悲しんでいたわ..

「何でもするから娘を治して欲しい」そう願っていた。

体が白くなってからだけど、何だか不思議な力が身に着いた気がしたのよ。

もしかしたら治せるのかしら?

何でもするって言ったわね?…そうだわ肉が食べたい..卵ばかりじゃなく肉が食べたい。

(肉が食べたい..肉をくれるなら..治してあげる..)

「解りました、肉を差し上げますから、娘を娘を助けて下さい」

(解ったわ..)

私が、娘を治すように..祈ると私の体から光が溢れてきた。

そして娘に降り注いでいた。

これで多分、治る筈よ..何だか疲れたけど..

「娘が、娘が..治っている..蛇神様有難うございます」

(治したわ、約束の肉を頂戴..肉)

「はい..」

服を脱ぎだして何をしているのかしら?

えっ..何でナイフを胸に刺しているの?

鹿とか猪の肉で良いのに..

「約束の肉でございます..どうか..」

貴方が貢物ってわけね..解ったわ、頂くわ。

モシャモシャ….あああ久しぶりのお肉..美味しいわ..

相変わらず、減らないけど..食べた部位はもう一度食べても味がしないのね..

ずるずる..うぐっもしゃもしゃ、肉何て本当に久しぶり..美味しい。

蛇神? 女神見習い
どれ位経ったのかしら?

色々な人が私の祠にお参りに来たわ。

「雨を降らして下さい」

(降らしますよ..安心して下さい)

少女二人分のお肉が貰えた。

「村が盗賊に襲われているんです、助けて」

(良いわ、助けてあげる)

私は村に行き..盗賊たちを丸呑みしてあげた。

此処頃には、私の体は大きくなり、大蛇と言える大きさになっていた。

最も顕現さえしなければ、祠の中に居られるし、周りから見えないから問題は無い。

村からはまた娘の肉が貰えた。

最近になり、気が付いたんだけど..肉も美味しいけど、祈られるのが凄く嬉しい事が解った。

美味しい肉(主に人間の女性)を食べて、その代わりに願い事を聞いていると…神が現れた。

見た瞬間から私より強そうなのが解る。

「お前が邪神だな..生贄を取り、人々を苦しめる悪神め、退治してくれよう」

「ちょっと待って..私は、自分から求めた事無いわ..お願いを聞いてあげて、その代わりに肉を貰うのは悪い事なの?」

「お前は、もしかして、成り上がりか?」

「成り上がりって何かしら?」

「人間や他の生き物が..何かしらの力をつけて神に至る者だ」

「私は見ての通り..蛇よ」

「蛇か? それでは人間や神の常識を知らないのは仕方ないか..」

「蛇の私が肉を食べるのは当たり前の事だわ..ちゃんと対価は与えているわよ..」

「蛇だから仕方ないのか…まぁ良い、お前はこのまま行くと邪神になる..私が天界に連れて行ってやる、そこで常識を覚えると良い」

「そう、ついて行くわ」

最初は、女神や神の半分使い魔として生活していた。

どの位の月日か解らない..気が付くと私は、蛇から人間の姿に近づいて行った。

そして、最後は完全に人間の形になった。

「よくぞ、頑張りました..今の貴方はもう蛇神ではなく女神です」

「私がですか?」

「そうよ、此処に来た時は蛇でしたが、その姿は正に女神です..此処からは一つの世界を任せるから..実地で更に精進しなさい」

「解りました」

こうして私は「見習い女神」になった。

勇者探し
私は蛇神から女神になる時にきつく言われた事が2つかる。

1. 人間を食べてはいけない。

  人を守るのが女神の仕事だから当たり前の事だ、女神になった時に「食欲」その物が無くなったから大丈夫なはず。
  「食」は神にとっての嗜好品にしかならないので無くても良い物だ。

2. むやみに人を殺してはいけない

   私は元が蛇なので殺戮衝動に駆られる事がある..注意が必要だ

実は、それ以外が、凄く神によって曖昧なのだ。

試練と称して、災害を起こす神も居れば、人間に混じり生活している神もいる。

天上神様にどうすれば良いか聞いたら..

「愛があれば大丈夫」と言われた..解らないよ

愛を司る女神に聞いたら「愛の形は様々なのです」そう言われた。

更に聞いたら..「貴方にも解る時が来ます」だそうだ…

幾ら聞いても解らないまま、私は一つの世界を任さられる事になった。

私が任さられる世界はルーティシア..そして私の名前は女神、ルーラ。

この名前は前の女神から貰った物だ、前の女神がどうなったか知らない。

だだ、居なくなったから継いで欲しい、そう言われた。

この世界には「魔王」という存在が居て、「魔族」や「魔物」がいる。

それらから、人間を守る為の存在「勇者」「聖女」「賢者」「剣聖」を作り最終的には「魔王」を倒して平和をもたらす事。

それが出来たら、一人前の女神になれる、そういう事らしい。

人間を助けるなら…私が大蛇に変わって魔族を根絶やしにしたら良いんじゃないか?

そう思った。

その事を聞いたら..「人が自分の力で倒してこそ価値がある」

そう他の神に言われた。

それに、貴方が出れば「相手は邪神が出てきます」

「邪神共々、殺してしまえば良いのでは」そう思ったら、邪神の能力は神と同じだそうだ。

つまり、殺せない。

なんだか、凄くめんどくさい…

私は考えるのが苦手なのに..まぁやらなくてはいけない、ならやるしかない。

「魔王を倒す」「信仰を集める」それ以外は自由らしい。

ルーティシアと繋がる空間に私は来た。

此処からはもう私一人だ..

出来るだけ早く、世界を託す子供を探さなくてはならない。

小さいとはいえ「世界だ」こんな中から..出来るだけ「勇者」に相応しい子を探さなくちゃならないのだ。

凄い作業だと思う。

他の女神に聞いたら「気楽にやりなよ..5回位連続で負けない限り大丈夫だから」なんて言っていた。

また「余り、勇者達に感情移入しない方が良いわよ」とアドバイスされた。

まぁ心に止めて置こう。

どんな人が勇者に良いのだろうか?

私が考えるに

1.強い

弱くちゃ意味が無い

2.残酷な人間である事

敵に情けなんて掛けたら殺されてしまう、確実に人が殺せるような人間じゃなくちゃ駄目だ

3.粘着質な人間である事

蛇は一度狙った獲物はトコトン追い詰める、そういう事が出来る人間。

こんな所か、まずはこんな人間を探す、そこからだ。

勇者降臨
結局、私は1人の人間を選んだ。

凄い逸材よ!

何しろ、皆んなから盗賊王と呼ばれる、父親の息子だし、母親もまた「殺戮」なんてあだ名を持つ残酷な女。

まだ、14歳なのに裏切者は簡単に殺す強い心を持っているし、実際にこの歳で20人も殺している。

素晴らしいわ、親の教育が良かったのか、凄く強いし..この子なら簡単に魔族を駆逐しそう。

何しろ、「情けを掛けるな、殺して奪え」なんて事を親が教えている位だから、最高よね。

うん「気に決めたわ」この子しか、勇者は居ないわ。

15歳になり、アモンは成人の儀式を受けた。

盗賊なので、田舎の教会で誤魔化して受ける..

この世界は、ジョブが無いと生きるのが辛い..だから犯罪者でも誰でもこの儀式は受ける。

大体が、田舎の教会でお金を握らせて..お互いに黙っているのが暗黙の了解だ。

近隣からきた5人と一緒にアモンが並ぶ。

神官様から紙を貰い神官の杖に合わせて祈りを捧げる。

すると、紙に自分のジョブが出てくる。

普通はそれだけだ。

だが、アモンの時は天使が降りて来た。

周りの人は嬉しさで興奮しているけど..当のアモンは顔色が良くない。

天使が降りてきて…真っすぐにアモンの方に向かった。

天使はアモンを見て、青い顔をし..嫌そうに手を握った。

こんな嫌そうな天使は見た事が無いだろう。

天使が来る、これは4大ジョブの場合に起こる現象だ。

恐らく、アモンは「勇者」「賢者」「剣聖」のどれかのジョブになる。

(聖女は女専門のジョブなのでありえない)

アモンのジョブは「勇者」だった。

「これは凄い、何とアモン、いやアモン様のジョブは勇者だ」

「勇者…」

アモンは戸惑いのなか、司祭や他の皆んなに囲まれていた。

俺が勇者?

何でだ! 女神は気がふれちゃったのか?

人を殺し、女だって犯した..それが「勇者」..

どう考えても「盗賊」とかじゃねのかよ..

「勇者様..どちらへ..」

「これから、領主様が挨拶にきますからお待ちを」

(不味い..逃げないとヤバイぞ)

アモンは逃げるようにして..教会を出て行った。

勇者の死

親父とお袋に話したらゲラゲラ笑われた。

「お前が勇者? 流石に誰も信じないって..」

「お前が勇者なら、わたしゃ聖女だって」

「それじゃ、俺は賢者様ってか?」

俺だって冗談だと思うよ..だけど、仕方ないじゃないか本当なんだからな..

夜中にこっそりと教会を訪れてみた。

どうして、俺が「勇者」なのか女神に聞いてみたかった。

祈りを捧げると声が聞こえてくる

(どうかされたのですか? 勇者アモン)

「俺は貴方に聞きたい…何故俺が勇者なのか」

(強いからですね..)

「確かに、俺は他の人間より強い、だが、盗賊で、人殺しで、女だって犯した事がある..良いのかよ!」

(それが何か問題になるのでしょうか?)

「盗み、殺し、犯し..本当に良いのかよ!」

何が悪いのか私には解りませんが、悩んでいるように思えます。

私だって蛇の時には鳥の卵を盗んだし、卵を守る親鳥を食べました。

他の動物の話ですが、強いオスがメスを独占するのは当たり前です。

そうやって、強い種族を残すのが当たり前です。

弱いオスにはメスを得る資格はありません..メスは強いオスについて行く、それによって生き残る確率も上がります。

外敵から守る、そう考えたら…問題無いでしょう。

「魔族から(外敵から)人間を守るのですから良いでしょう..」

「俺は人を殺すぞ!」

(何人殺すのでしょうか?)

「沢山殺すぞ」

(具体的に、何人殺されるのですか?)

「沢山だ..」

(1000人でしょうか? 1万人でしょうか?)

「…..」

(そこ迄では無いのですね..なら問題ありません)

この世界には30億の人間がいます、そして1年に5000万人が生まれて3000万人が死んでいく。

なら100万人位殺しても問題は無い気がします。

私は120人の村を守るのに、生贄として年に2人から6人貰っていました。

そう考えると、7500万人殺しても良いでしょう。

それに、負けたら種の存続の危機なのです。

良いんじゃないでしょうか?

「盗むぞ」

(世界を救うのだから良いでしょう..寧ろ出させるべきです)

「犯すぞ」

(強い男が、女を手に入れるのは当たり前の事です)

「女神のあんたを犯すといったら」

(虫けらが? 私は貴方の数百倍は強いのです..弱い男に言われても)

「そうか、おもしれーな、女神さん..良いぜ..勇者やってやるよ」

(仲間の希望はありますか)

どうせならと仲間の要望をアモンに合わせた。

その結果、

勇者 アモン (盗賊王と殺戮の息子)

聖女 ララア (大量殺人者と快楽殺人者の娘)

賢者 ザンコック (大量毒殺犯罪者と頭の可笑しい魔術師の息子)

剣聖 ラーミア (暗殺者と残酷剣士の娘)

そういうパーティーになった。

うん、このパーティーなら魔王や魔族なんて目じゃない。

なのに、何故か、私の所に「教皇」や「司祭」から文句や嘆きの祈りが届く。

どう考えても良いじゃん..絶対に強いよ?

実際に彼らは凄かった。

魔族の村の井戸に毒を投げ込んだり、魔獣の森に火を放ち焼け野原にしたり、着々と進軍していった。

他の女神の勇者はこんな事はしない、何で「優しさ」や「正義感」何かで私は選ぶのか理解できなかった。

世界が掛かった戦いなんだよ..アモンみたいな奴じゃ無いと勝てないよ?何でそれが解らないのかな?

基本的に女神は、スキルを与えた後は神託位しかやる事は無い。

私が神託で下したのは「魔族の女は犯したら殺せ」それだけだ。

もし、勇者の遺伝子で、魔族側に強い者が生まれたら困る。

アモンは複雑そうな顔をしていたけど。

「よくぞ来た、勇者アモン、貴様をこの手で引き裂いてくれよう」

「魔王よ、これを見よ」

アモンは記録水晶を見せた。

そこには鎖で繋がれ裸にされた魔族の少女が映っていた。

「….なぜ余の娘がそこにおるのじゃ..」

「人質だよ、人質..お前が俺に逆らったら..ザンコックが犯して殺すそういう手はずだ」

「勇者ともあろうものが..卑怯な手を..」

「さぁどうする? 10数える間に決めろ..」

「それじゃ、私が数えるよ..10.9.8」

「娘を助けてくれ..逆らわない」

身動きをとらない魔王を、アモンとラーミアで切り刻んでいった。

「卑怯者め..だがこれで娘を助けてくれるな..」

「あっ、お前の娘な..魔族だから、犯して殺したわ..わりぃもう死んでいるわ」

「貴様、呪ってやる..」

「いやぁ、俺は助けてやっても良かったんだが、女神が、魔族は犯しても良いが殺すよう言うからさぁ…もう良いだろう、死ね..」

こうして無念のまま魔王は死んでいった。

魔王を殺すまで1年も掛からなかった..

「あの、何で私がここに呼ばれているのでしょうか?」

「魔王討伐は良い事です、ですがあの勇者はなんですか!」

「何か問題でも?」

「問題ありです、あんな品の無い勇者を選ぶなんて、貴方は正気ですか?」

優秀だと思うんだけどな…

「何か問題があるのでしょうか?」

「あの人物には、「正義」「愛」そう言った物が欠如しています..そういう者を勇者に選ぶのは良くありません」

「ですが、迅速に魔王を倒しました」

「まだ、貴方は..良いでしょう..その後どうなって行くか見守りなさい」

勇者アモンは殺されてしまった。

あれ程の手柄を立てたと言うのに..たかだか王女を犯したという罪で火あぶりにされた。

裸で女の傍で眠っている所を後ろから剣で刺された。 その状態で縛りあげられ火にくべられた。

他の聖人も同じ様に不意を突かれて殺された。

勇者を殺したのは..魔族ではなく人だった。

魔族は、魔王が居ない状態でありながら、「汚い方法で魔王が殺された」事により結束が固まっていた。

もし、勇者アモンが達が居たら、対抗出来たかも知れない。

だが、勇者を失った人間は対抗手段が無かった。

私より偉い女神が「あのような勇者を選ぶからこういう事になるのです」そう言うが私には理解できなかった。

自分達を救う勇者をたかが、女1人犯した罪で殺す..そういう人間が理解できなかった。

自分達が安全な所で惰眠をむさぼっていた時、アモン達は戦っていた。

戦いもしなかった者に、アモンを裁く権利は無い。

少なくとも彼は、魔王を倒した。

彼が居たから、沢山の人間の命が助かった。

戦わないオスは、戦って守ったオスにメスを差し出せ..そう思った。

「王女だろうが、差し出すべきだ」少なくとも、アモンは強いオスなのだから。

こうして人類にとって地獄のような時代が5年以上続いた。

納得できない
勇者も死んでしまい。

魔王も居ない..

次に、魔王が復活するまで勇者を生み出す事は出来ない。

魔族の相手は普通の人間がやるしか無いのだ。

仕方なく、勉強の為に人間の世界を覗き続けた。

人間とは凄く馬鹿な生き物だと私は思った。

例えば、冒険者だ。

身の丈2m22?、まるで原人の様な男、ガルム。

オークとオーガを掛け合わせた様な体躯。

その拳は岩をも砕く、実際にオーガを殴り殺した事すらある。

私から見たら凄く理想に思える。

だが、全く人気が無い..全然人気が無い。

彼がもし、獅子に生まれたら10人以上のメスに囲まれたハーレムを形成しただろう。

身の丈1m80?、ただ痩せていて、金髪、ブルーアイの男、ケイン。

ガルムが殴れば1檄で死ぬ。

岩は勿論、板すら割れない..冒険者の等級も低い。

私から見たらただのゴミだ。

だが、凄く人気がある..凄く人気がある。

毎日、女をとっかえひっかいして種付けをしている。

馬鹿か…人間って馬鹿な種族だ。

弱い男をメスが選ぶのは..種として間違っている。

それは、私は罪だと思う。

最大の罪だ。

考えて欲しい..10人の女が優男を選んで子供を作った。

その子供は優男の様に弱い遺伝子の子供になる。

その10人がまた弱い異性を選んだら..弱い人間だらけになる。

だが、その10人の女がもし、ガルムの様な男を選んでいたら。

10人の強い子供が生れる。

そして、その10人がまた強い異性を選べば、種として強い人間になる。

そんな事も解からない。

そう考えたら「弱い相手を伴侶に選ぶのは罪」なのだ。

こんな生物は他には居ない。

ちゃんと強い伴侶を求めていればもしかしたら、今頃オーク位には強くなっていたかも知れない。

盗賊に馬車が襲われていた。

商人の伴侶が殺されて女が泣いている。

そして、盗賊に連れ攫われて行こうとしている。

泣いて騒ぐが…間違っている。

弱いオスを殺してくれて強いオスが奪ってくれたのだ..喜ぶべきなのだ。

そのオスより強いオスが来ない限り守って貰える。

そして、強い子供を産む為に喜んで股を開くべきなのだ。

これは見過ごせない。

私は神託を下す事にした。

(奴隷制度を廃止し、お金で人を買う事を許さない)

そう、神託を下した時、教皇や司祭は涙を流していた..だが..

(代わりに、強い男はその力で、他人の女を奪って良い..そして相手の男を殺すのが好ましい)

何度も、間違いなのかと教皇が祈ってきたが

「間違いありません」

その様に答えた。

その結果、あちこちで、争いが起きた。

うん、実に好ましい。

ある、盗賊団は街から女を略奪して苗床のようにしている。

あの中からはきっと、同じ盗賊の様な強い子供が生まれるだろう。

ガルムを気にして見ていたら、ケインを殺してその女を奪っていた。

これで、あのメスも強い子供が産める..本当の幸せを掴めるだろう。

「がはははっ女神様のお許しが出たんだ、幾らでも女は犯し放題だ」

「あいつも、此奴も全部、俺の女だ」

「パン屋のルーシア..俺の物にしてやる」

うん、頑張れ、思わず応援したくなる。

そのうちある女騎士が祈りに来た。

「男ばかり不公平だ..女には権利が無いのかと」

直ぐに神託を下した。

確かに、強いメスにも権利は与えるべきだ。

(貴方の願いは正当な物として認めましょう、強き女にも男を奪う権利はある、女神として認めましょう)

「有難うございます、女神ルーラ この騎士アマンダ、より一層女神様への信仰を誓います」

(励みなさい)

「アマゾネス騎士団、女神様は認めて下さった、これより、王妃や王女を殺して王子を奪いに行くぞ、第二王子は私の物だが、他は各自自由にするが良い」

「「「「「「「「おーっ」」」」」」」

「さぁ、進軍だ..抜刀」

弱いくせに威張っている人間を私は好みません。

これで種族として、人間は少しは強くなる筈です..

ですが…

何で私はまた此処にいるのでしょうか?

「貴方は、また何をしているのですか?」

上位の女神に怒られています..私の何処が悪いのか解りません。

「より、強い人間を作る為に..」

「それは女神のする事ではありません..女神なら慈愛の心を持ちなさい」

「….」

「良いですか? 人を救い、導いてこその女神ですよ..」

よってたかって..私を何故貶めるのでしょう?

私に信仰があつまるのが癪に障るのでしょうか?

私のやり方なら、種族が強くなり将来的には勇者さえも要らなくなるかも知れないのに。

到底納得できなかった。

終わり
結局、私の作った世界は、ベテランの女神がきて神託を下し、元に戻された。

しかもご丁寧にマニュアル迄置いていった。

私のやり方は、他の女神には受け入れられなかったようだ..

仕方なく、私は不本意ながら他の女神の様に振舞う事にした。

アホクサイ..確実に助かる道があるのに..

あえて遠回りする。

私は、他の女神の進言に合わせて、「美しく」「正義感が強く」「慈愛に満ちた」勇者や仲間を次から選んだ。

もう人間なんてどうでも良い。

だって、こんな、失敗作を選んだら、凄く喜ぶのだ。

アモンなら1年で終わらせられる戦いに5年も掛かる..場合によっては負ける。

最近になって解った事がある、人間は神が作った失敗作なのではないかと..

他の動物に神は余り介入しない..勇者が居なければ、生き残れない程弱い種族。

もう人間を助ける意志はない..

こんな種族は私は好きでない..

助けるのをやめようかな?

まぁ..女神である以上は..最低限の仕事はするけどね…

あとがき
どうでしたか?

女神の話を書いて欲しい..そういうリクエストから書かせて頂きました。

実は、女神を主人公にした作品は何作か書きましたが、上手く書けなくて削除しました。

今回の作品は、女神でも徳の低い女神も居る、その辺りがテーマです。

実際に、獣や蛇から神になった者は沢山居ます。

身の回りにも、稲荷神社、蛇を祭る神社等あると思います。

その辺りからヒントを得て書きました。

応援本当に有難うございました。

またどこかで 

石のやっさん