クラスでも嫌われて、神様にも嫌われた僕は神になれなかった妖怪の力ですべてを手に入れた。だけど悲しかった。

クラスでも嫌われて、神様にも嫌われた僕は神になれなかった妖怪の力ですべてを手に入れた。だけど悲しかった。

僕の名前は弱井勇士(よわいたけし)。
勇者の様に強い男になって欲しい。そういう思いで親が付けた名前だ。
だが、僕は苗字の方に引きずられたのか、弱い人間に育った。
今は絶賛虐めに遭っている。
「おい弱井、今日は朝からむしゃくしゃするんだ。一発殴らせろ。」
「嫌だよ」
「逆らうんじゃねよ。」
結局、逆らえる訳もなく逆らった僕は一発でなく五発殴られた。
そんな僕に手を手を差し伸べてくれる者はいない。
むしろ、今日は他の人が加わらないだけついていた。
クラスの女子からはたけし菌とか言われて触る事はおろか話しすらしてくれない。
何でも僕が触った物は汚いので捨てなくてはいけないそうだ。
しかもいじめっ子の中に地元の有力者を父に持つ人間が居るから教師も助けてくれない。
ホームルーム中や授業中までは流石に虐められないので、ホームルーム開始が待ち遠しかった。
だが、この日は違っていた。
いきなり何かの紋章が現れると教室が光に包まれた。
「あっこれ異世界に飛ばされる奴だ」
ライトノベルが好きな僕はそう思った瞬間意識が無くなった。

「おやようやく目が覚めたようだね。」
「ここは何処ですか? 貴方は誰ですか?」
「ここは君たちの言うところの神界という所だね。そして僕は天使クロだ。」
「天使様ですか?」
「そうだ、君が最後だから説明を急ぐよ。」
「はい。」
「君たちはこれから異世界へと飛ばされる。そしてそこで皆んなで力を合わせて魔王を討伐して貰う。」
「元の世界には帰れないのですか?」
「帰れない。片道召喚だからな。」
「でも、僕は何の力もありませんよ。」
「それは大丈夫だよ、神界に入った時にステータスは上がったはずだから。後、神様たちから戦うのに必要なスキルが貰えるから問題ない。」
「そうですか」
(やったよこれ、勇者召喚だ。僕でも活躍の場があるかな)
「まずはステータスオープンと唱えてみな、自分の凄さが解るよ。」
「ステータスオープン」
勇士
LV 1
HP 10
MP 10
クラス 
スキル:鑑定.異世界言語
「どれどれ、なんだこれは。」
「どうかしたのですか?」
「低い、異常に低すぎる。」
「そんなに低いのですか?物凄く不安なんですが」
「低いなんて物じゃない。君の前までで一番低い物でもこれの数十倍はある。まぁこんな感じだったな」
みどり
LV 1
HP 800
MP 650
クラス 
スキル:鑑定.異世界言語
「それじゃ僕は」
「ああっ神界に入ったのに何の変化もない。元のままだ。」
「これじゃ異世界に行っても死ぬだけじゃないですか」
「その通りだな、だがまだチャンスはあるよ。これから神様の所でスキルとクラスを貰える。良いスキルを貰ったり、良いクラスを貰えればステータスが跳ね上がる事もある。そこに期待だな。」
勇士は天使についていった。
「遅いじゃないか、今まで何をしていたんだ。」
他の天使がクロを責めた。
「彼が倒れていたので起きるまで待っていました。」
「このクズが、とっとと行け、そいつが最後だ。」
僕は何故か違和感を感じた。良く見るとクロの羽だけが白ではなく片側だけが黒かった。
「お前とっと神の所へ行き」
「はい、頑張って来いよ。」
クロだけが僕にエールを送ってくれた。

「お前が最後の一人だな。サッサとそちらから出て行きたまえ。」
美少年の姿の神が勇士を怒鳴りつける。
「あのっ、ここでスキルやクラスを頂けると聞いたのですが」
「お前にはやらない」
「えっ何でですか?」
「他の者から聞いたぞ、お前随分と悪い事をしていたそうじゃないか?」
「僕は悪い事はしていません。」
「嘘を言うなよ、他の奴ら29人全員が言っていたんだ。」
「僕はただ、虐められていただけです。」
「まぁいいや、もしあいつらが嘘を仮に言っていたとしてもどうすんだよ。」
「どうするって」僕は震えながら答えた。
「解ってないな。こっちは魔王を倒して貰わないと困るんだよ。だれも味方の居ないお前なんか何の役にも立たないだろう。このゴミが。」
「だからと言ってあんまりだ。これでは死にに行くようなもんじゃないか。」
「とっとと死ねば良いじゃないか? いいかよく聞けよ。もしあいつらが嘘をついていたとしても29人の有能な人間とたった一人の役立たずどっちを取れば良いか解るよね?もし、お前を庇って29人がへそ曲げて魔王と戦ってくれなかったらどうする。一つの世界が滅びちゃうんだぞ。その責任をお前がとれるのか?おい役立たず。」
声を聴いていたクロが飛び出してきた。
「神様、それじゃあんまりだ。せめて彼にまともなスキルとクラスをあげてくれませんか」
「ふん、黒羽の忌まわしい奴が何を言うんだ。」
「クラスもスキルも与えない神なんて過去にはだれも居なかったはず。貴方は本当に神なんですか」
「貴様、天使として言ってはいけない事を黙れ」
「黙りません。」
「そこまで言うならそいつにクラスとスキルをくれてやるよ。それで良いんだろう?」
「はい」
神は不気味にニヤリと笑う。何故か僕は鳥肌がたった。
「ほれ、スキルもステータスもやったこれで良いんだろう?見て見ろ一切文句は言わさん。」
「はい、ありがとうございます。ステータスオープン」
勇士
LV 1
HP 10
MP 10
クラス 詐欺師
スキル:鑑定.異世界言語.隠ぺい

詐欺師=人をだます事に特化したスキル。このスキルの称号を持つものを信用する者はいない。
隠ぺい=自分のステータスを人から見えないように出来る。鑑定でも見破る事は出来ない。

「ほら、スキルもクラスも上げたから文句ないだろう?とっと行け。」
「どうしたんだ、勇士顔が真っ青だぞ。なんだこれは、神様、、何でここまでするんだ。」
「たしかに、スキルもクラスも上げない神は居なかったな!だが、詐欺師も隠ぺいもちゃんとした物だこれで文句はいえまい。」
「神様いいかげんに、、、」
「いいよ、クロもう、ありがとうな怒ってくれてクロが怒ってくれただけで僕は満足だよ。すぐに死んじゃうかも知れないけど頑張ってみるよ。じゃあね。」
「まっすぐに歩いて見つかった湖に飛び込めば皆の所にいけるぞ、まぁ君は嫌われていたから地獄じゃないかな。そんなクラスの者と聖女や勇者のクラスを持つ者どっちを信じるだろうか?しかもゴミステータスじゃ放り出された死ぬんじゃないかな? ぜいぜいもがいてみな」
神はひらひらと笑いながら手を振っていた。
クロはなんとも言えない悲しい顔をしていた。

僕は門をでて森を進む。
すると、血を流して死にかけている老人を見つけた。
「どうしたのですかお爺さん。」
「儂に声を掛けるとは珍しいな、お主儂が怖くないのか?」
「確かに不気味に見えるけど、それだけですよ。姿形が美しくても怖い奴もいますから。糞神のように。」
「うむ、良く分解っているな。」
「治療とかしてあげたいけど、僕は何も持ってなくてごめんなさい。」
「いいんじゃよ、これは神にやられたからもう治らんよ。」
「あの糞神にですか。僕だけじゃなく貴方も被害者なんですね。」
「まぁな儂みたいな妖怪が神の領域に近づいたのが気に入らなかったようじゃ、天使と神とよってたかってこの通りじゃ。」
「妖怪なのですが?」
「うむ、名前をあぎょうさんさぎょうごと申す。」
「あの、あぎょうさんですか? あれは答えと同じで嘘じゃないんですか?」
「人が信じればそれは本当になるんじゃよ。」
「そうなんですね。死ぬ前に都市伝説の大妖怪にあえて良かったです。」
「なんじゃ、お前も死ぬのか」
「というか、多分生きていけないと思います。」
「酷い事するの。どうせ儂はもう永くない。だったら儂のすべての力をお主にやろう。神すら恐れたこの力を」
「そんな事したら。」
「別に死ぬ訳じゃない。お主の中で今暫くは生きている。どっちでも同じじゃ。」
「それならお願いします。」
「うむ手を出すがよい」
僕の体に物凄い力が流れてくるのが解る。それと同時に老人はロープだけ残して消えた。
早速、ステータスを確認した。
「ステータス」
(あぎょうさん)勇士
LV 1
HP 10(2000)
MP 10(3000)
クラス 詐欺師 (都市伝説の魔物)
スキル:鑑定.異世界言語.隠ぺい
神魔法:あぎょうさんLV1

詐欺師=人をだます事に特化したスキル。このスキルの称号を持つものを信用する者はいない。
隠ぺい=自分のステータスを人から見えないように出来る。鑑定でも見破る事は出来ない。
あぎょうさんLV1=すべての相手の言い分をウソに変える。発動させるには「相手の言葉が必要」
「これが、あぎょうさんの力!だけど、思ったよりHPやMPは余り無いな。」
「無くて悪かったな。儂は特殊な魔法一つで戦うタイプだからなな。」
「確かにこれは凄いけど、これじゃ」
「なあに、下に降りる前にレベルを上げればいいんじゃよ。」
「そうですね。」

そして、僕は再び神殿へと戻った。
そこには仲間の天使に袋叩きにされているクロが居た。
「クロッこれは一体」
「神に逆らったのだこうなるのは当たり前だろう」
笑いながら神が現れた。
「このやろう、お前なんて神じゃない」
「僕が神じゃなきゃ誰が神だって言うんだい。正真正銘の神だ。」
(まだタイミングじゃない。)
「貴様、殺してやる。」
「ほざくな人間の出来損ないのくせに。お前に神が殺せるもんか!もう君要らないやここで処分してやるよ。」
(あぎょうさーん僕は心の中で呪文を唱えた。)
神はまだ何も気が付いていない。
僕は殴りかかった。
「はん、逆上したか人間、神に触れられるものか」
僕のパンチが神にまともにあたる。神の悲鳴が響き渡る。
「ぎゃー痛い。貴様この神になにをした。」
簡単な事だ、あぎょうさんの力で神の言った事をウソにしたのだ。
「お前に神が殺せるもんか」これが嘘になると→「お前なら神は殺せる」になる。
僕は憎しみを込めて神を殴り続けた。
「僕が悪かった。そうだ勇者のスキルをやる。だから辞めてくれ。」
「うるさいよお前」
僕は更に馬乗りになって殴り続ける。
「解かったから、もう解かったから辞めてくれ、そうだ勇者のクラスに賢者のクラス、ついでに全属性魔法もつける。なぁこれなら良いだろう。」
僕は一瞬手を止めた。許して貰えたのかと思ったのか神が笑った。
だが僕は今度は蹴り始めた。
「わかった、天使、天使にするから、、、じゃぁ下級神にするよ。それなら良いだろう?」
僕は無言で蹴り続けた。
「解かった、本当に解った。あいつら29人に罰を与えるよ。もし気に入らないなら天使に殺させる。これでどうだ。これなら良いだろう。」
僕は黙って目をえぐった。そして頭を何回か大理石の床に打ち付けるとグチャという音と共に神は何も言わなくなった。
暫くすると急激にレベルが上がる感覚があった。

(あぎょうさん)勇士
LV 1(99999)
HP 10(無限)
MP 10(無限)
クラス 詐欺師 (神に到った魔物)(神殺し)(神)
スキル:鑑定.異世界言語.隠ぺい
神魔法:あぎょうさんLV MAX 創造魔法LV MAX 消失魔法LV MAX
魔法:全属性魔法LV MAX 

詐欺師=人をだます事に特化したスキル。このスキルの称号を持つものを信用する者はいない。
隠ぺい=自分のステータスを人から見えないように出来る。鑑定でも見破る事は出来ない。
あぎょうさんLV MAX= 嘘にしたいと思った。すべての事を嘘に出来る。
創造魔法LV MAX= 制限なく、何でも作れる。剣、薬、魔法、スキル、クラス、アイテム 
全属性魔法LV MAX=すべての魔法使用可能
消失魔法LV MAX=気に入らない物は何でも消し去ることが出来る。

「あぁぁ貴様 神様に何てことを」
「うるさいな、ハイ消失」
「あぁっ神が居なくなった。貴様何をしたんだ。」
「本当にうるさい。お前、、僕のステータスを見せてやるよ。」
あぎょうさんを除く全ての隠ぺいを外して見せた。
「神殺しだとこの大罪人が」
「お前、その横を見て見ろ。」
「神、、、神だと、いえ神様でしたか。」
「だったら何だ」
(神を殺して神になったとは思わないのだな。)
「我々は大変失礼な事を、、もう塩飽御座いません。」

「クロ大丈夫か?」
「どうにかね」

「クロは傷だらけだ」「クロの羽は黒い」「クロは大天使ではない」「クロは天使長ではない」
(あぎょうさーん)
「勇士僕を馬鹿にして楽しいの?」
途端に光に包まれクロの傷が綺麗に治っていく。そしてクロの羽が純白に変わっていく、少年のような姿だったのが綺麗な女性の姿に変わる。
「クロ女の子だったの?」
「僕は元から女の子だよ。それより僕どうなっちゃたの?」
「僕が神様になったから、大天使にして天使長にしたんだ。」
「勇士ありがとう。」クロは抱きついてきた。
クロの姿を羨ましそうに他の天使は見ていたが天使の中では階級は絶対的な物なのだろう。
クロにも天使たちは膝磨づいていた。
「クロ、ここは任せたよ。」
「うん任された。ただ勇士は神なんだからちゃんといつか帰ってきてね。」
「解かった。」
「絶対だよ。」
(あぎょうさん)
(うむ、お別れの時じゃな、儂と話す事もう暫くしたら出来なくなるだろう。お前が次のあぎょうさんだ。神を倒してくれてありがとう。これで心残りは無い。さよならじゃ。)
(貴方が居なければ僕は死ぬだけでした。本当にありがとうございました。)
(お前があぎょうさんをただの妖怪から神に到る魔物にしたんじゃ。感謝しかないぞ。こちらこそ感謝じゃ)
もう、あぎょうさんの声は聞こえない。

「待っていろよ29人これから僕が地獄を見せてやる。」

僕は晴れやかに歩き始めた。