異世界は大きな被害を受けました。(鬱注意)改定版

異世界は大きな被害を受けました。(鬱注意)
突然異世界に召喚された。

ある日の事、授業中クラス全員が光に包まれ女神の元に連れ去られた。

「勇者の方々ようこそ! 私は女神ユートリアと申します!」

何故か体も動かないし、喋る事も出来ない。

「ちなみに反抗や反論が出来ないように動きを封じています」

「ちゃんと効いているようですね」

僕たちの意思を無視して女神は話だす。

内容を聞くと。

女神に対してユースリアという国が祈りを捧げた。

魔王が復活したので勇者を召喚したいから力を貸して欲しい。

そういう事だった。

「それでね、ユースリアは私を信仰する国だから、その訴えに応じて勇者を与えようと思ったのよ..それでその勇者候補として貴方達を呼び出したわけ」

そんな事自分達で解決しろよ。

「ちなみに、貴方達の考えは口に出さなくても伝わってくるから気をつけなさい」

僕たちのクラスは反抗的だったという事で碌な能力も与えられず、そのまま異世界送りとなった。

多分、僕を含み真面な能力は与えらえなかった。

僕が貰ったのは「物品取り寄せ」これだけだ、これで異世界でどうしろと言うんだ。

勇者召喚なので王国での初日は歓迎された。

しかし、次の日に能力検査を受け、碌な力が無いと解ると対応がいきなり変わった。

女の子で顔が良い者は貴族や王族が無理やり引き取り、その他の者は奴隷として扱われる事になった。

僕は、下手に出ていたから、王宮には残れた物の扱いは奴隷だ。

そして、反抗が激しかった本間くん達は鎖で繋がれ鉱山に送られた。

本間くんは橘さんと恋人同士だったから、それが貴族に「性処理奴隷」として連れ去られるのが我慢できなかったのだろう。

僕の初恋で今でも好きな本田さんは次の日見た時は、目が腫れていた。

多分、犯されたのだろう、しかも服装は殆ど下着だ。

清楚な彼女には耐えられないだろうな..だけど、「物品取り寄せ」じゃ助けられない。

何か元気づけられないか、そう思い能力を使ってみたら..元の世界の駄菓子が取り出せた。

女神が与えたから少しだけ優れていたのかも知れない。

「本田さん、こんな物だけど良かったら食べて」

「今村くん、これ20円チョコだね..どうして持っているの?」

「うん、能力で取り出せたんだ..まぁ小さい物しか無理みたいだけど」

「ありがとう」

少しだけ元気になったみたいだ。

僕には何も出来ない。

少しでも彼女が笑顔になれば、そう思いお菓子を出し続けた。

僕の能力は低い、頑張っても板チョコ一日一枚が限度だった。

彼女に何が起きているか知っている。

だけど、世界が敵だから助けられない。

いつも彼女は泣いていた。

本間くん達は反抗的だから結局鉱山で殺されたらしい。

他の皆も殺されたり、戦闘スキルのある者は戦争に送られ死んでいった。

一日ある僅かな時間本田さんと話す。

それだけが唯一の楽しみだった。

「今村くん、私の事好きだったでしょう?」

「うん」

「今ではどう? もう汚れちゃったけど?」

「好きだよ」

「私も今村くんが好き、だから頑張って生きようと思うの」

「うん、僕も頑張るしかないな」

「それでね、この国だと24歳位でもう行き遅れとか言われるんだって」

「そうなんだ」

「だから、24歳で性処理奴隷としての価値が無くなるからポイされるんだってさ」

「その後、どうなるの?」

「自由みたい、ただ異世界だから外はもっと悲惨みたいだけど..それでね、こんなゴミみたいな私で良かったら24歳で結婚しない?」

「本田さんはそれで良いの? それなら僕も頑張って24歳までに出られる方法を考えて見るよ」

「うん..頑張ってね」

兵隊の給仕をする時に自由になる方法について聴いてみた。

女は難しいけど、男は案外簡単だった。

「お前は16歳だろう? 5年も一生懸命頑張れば解放してくれるんじゃないか? もし解放されなかったら..俺が2人纏めて買ってやるよ、お前も女もただ同然だ、実家にお袋がいるから、その介護奴隷としてな..」

《悪いが、お前はともかく、その女は無理だ..その前に多分殺される》

「有難うございます」

「頑張れよ」

この世の地獄だけど、「生きる目標が出来た」

だが..

「特別に貰ってきてやった..俺に出来るのはこれ位だ」

僕の目の前にあったのは本田さんの死体だった。

特にお腹には何回も刺されたのか凄い刺し傷があった。

顔も凄く傷つけられていた。

あの可愛らしい笑顔が切り刻まれていた。

「何があったんですか..」

「ああ」

簡単に言うと本田さんを「性処理奴隷」として手に入れたのはこの国の第三王子だった。

毎日の様に玩具にしていたから、本田さんは妊娠した。

本田さんの子供は王子との子、つまり王位継承権が絡んでくる。

その事を考えた王家は本田さんを殺した。

そして王子の婚約者のシャロンが、本田さんが王子の子を宿した事を知り、顔を切り裂いた。

そういう事だ。

「俺も悪いがこの国の人間だ、これをお前にやる事、それしか出来ない」

「弔ってあげたい..」

「いいぜ」

兵隊は、火を使う魔術師を呼んでくれた。

「悪いな、この奴隷は顔見知りなんだ、焼いてやってくれ」

「まぁこの奴隷は一生懸命だった、その奴隷と仲が良かった..良いよ」

火で本田さんが燃えていく。

まるで火葬されたように肉が焼け、骨になっていく。

その骨を火傷するのも気にしないで集めてボロ袋に入れた。

「うっうっ…本田さん」

涙が出て来た、止まらない程の悲しみが心を壊していく。

「何で何でなんでででだあああああああああああああっ、全て我慢したじゃないか? 生きる為に地獄で生きたじゃないか..こんな小さな夢さえ壊すのか..女神なんて..異世界なんて..滅びてしまえ」

殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す

「今のは聞かなかったことにする」

「私もそうしてやる、お前の辛さは解る」

「はぁはぁ..もう大丈夫です」

「もし、本当に耐えられなくなったら来い」

「どうかしてくれるのですか?」

「楽に死ねる毒をやる」

「大丈夫です、僕は行きます」

必ず殺してやる、女神も王族もこの世界も。

次の日から僕はお菓子の代わりに小瓶を取り寄せた。

ただの一見何も入っていない小瓶。

「オウレンジの皮貰えますか?」

給仕の時にコックに聞いた。

「何に使うんだ」

「それは見てのお楽しみです」

小瓶に絞り、入れた。

「良い香りがするでしょう」

「良い香りだな..どうするんだ?」

「撒くんですよ」

「お前達の文化か」

この世界には芳香剤という文化が無かった。

案外、この行為は受け入れられた。

良い香りがするからと「香師」という仕事が僕の仕事になった。

花や果物を貰える権利と自由に撒く権利が貰えた。

王族、貴族にも気に入られて王族の居住区にも撒く事が許された。

第三王子にも会った。

「お前、良い特技があったんだな、もう少し早くこういう事をしてくれたら、あの玩具、子供だけ降ろしてくれてやったのに」

「有難うございます」

殺したい..だが我慢だ。

「王子様、失礼」

「無礼者、何をするんだ」

「いえ、今日の香りは紫の薔薇です、王子に相応しいので直接つけました」

「何だ..確かに良い香りだ」

「この花の花言葉は王者です、お似合いかと」

「そうか気が利くな..」

第三王子が噂をしたから、自分にも直接香りをつけてくれと貴族や王族からも依頼があった。

女神の像にもばら撒いた。

暇さえあれば撒いた。

ある時司祭からも声を掛けられた。

何でも女神からの神託で「素敵な香りをありがとう」だそうだ。

女神様なら死人が蘇らせる事が出来るか聞いてみたが..流石にそういう奇跡は無いそうだ。

なら、いい。

それから暫くして僕は熱がでた。

それでも、僕は働いた..最近では悪寒がして痘痕も出来た歩くのも辛いがそれでも働いた。

第三王子やシャロンも倒れたらしい。

手の施しようがないらしく、せめて楽しめるように、よい香りをと頼まれた。

僕はいつも以上に撒いた。

「ありがとうございます」

「俺は君に酷い事を..すまない」

死に掛ると悪人も善人になるというのは本当らしい。

だが、そんな言葉は僕にはもう届かない。

特に醜く死ぬのは女にとってさぞかし苦痛だろう。

もう暫くしたら僕は死ぬ、そしてお前らも全員死ぬ。

僕の代わりに瓶と一緒に取り寄せた「天然痘」が仇を討ってくれるさ。

その後、異世界では1000万人を超える死人が出た。

これは魔族との戦争で死ぬ数を遙かに超え、さらに魔族も同じ様に死人が出た

そして、神界でも多数の神が死んだ。