【読者様参加型冒険小説】異世界転移はベータポリスと共に! チートは貰えなかったけど俺には5千人の味方がいた!

まさかライトノベル作家のジョブ?
俺たちはいつもの様に授業を受けていた。

どこにでもある何時もの光景。

この学校は進学校ではない、かといって不良校でもない。

皆、普通に授業を静かに受けている。

そして、午前中の授業が終わり、昼休みがきた。

仲の良い者同士が集まって昼飯を食って、その後は仲の良い者同士で集まって楽しそうに話をしている。

俺はというと弁当を急いで食べると、教科書を枕に寝ていた。

本当に寝てしまっている訳ではない。

寝むりながら小説のネタを考えているんだ。

俺の趣味はライトノベルを書く事。

別に小説家という訳では無い、ネットの世界には『ベータポリス』という小説の投稿サイトがある。

このサイトは凄く親切でPCかスマホがあれば誰でも投稿が出来る。

しかも凄い事に自分の小説の広告収入が作家にポイントとして還元されるんだ。

まぁ俺くらいのレベルじゃ1日300円~600円。

それでも、高校生の俺なら良いお小遣いだ。

更に言うなら、ポイントが1日で1500ポイント以上なら『出版申請』が出来るという優れもの。

こんなシステム他にはない。

つまり、お小遣いまでくれて、更に良い小説なら簡単に出版出来るチャンスがある。

凄いサイト、これが『ベータポリス』だ。

俺はこれに凄く嵌っている。

「今日の部活、どうする?」

「バックれて何処か遊びにいこうぜ」

こんな会話を皆がしているなか、俺は目をつぶり小説のアイデアを考えていた。

小説は教室では書かないようにしている。

あくまでアイデアを考えているだけ。

万が一、下書きでも見られたら、馬鹿にされるかも知れないからな。

その日もいつものように教室で寝たふりをしながら、今連載中の小説の続きを考えていた。

昨日は明け方まで小説を書いて3話連続投稿したから眠い。

気が付いたら、そのせいで熟睡していた。

次の授業迄に起きれば良いだろう、そう思っていたら、この日はいつもと違っていた。

「東山、起きろ」

「東山くんで最後だから早く女神様の所にいって」

「えっ女神様? ワイズ様! 何が…」

言ってしまって後悔した、ワイズ様は俺の小説の中の女神様の名前だ。

「東山が寝ているときに異世界の召喚で呼ばれたんだ、そして今は異世界に行く前に女神様が異世界で生きる為のジョブをくれるって話だ。」

「冗談はよせよ、そんな小説でもあるまえし…」

俺は周りを見渡した。 白くて光り輝く何もない空間のようだ。

嘘ではない、俺をだますためにこんな大掛かりな事はしないだろう。

「それじゃ、先に行くぞ、お前もジョブを貰ったら来いよ」

そういうと彼らは走っていってしまった。

どうやら、ジョブを貰った者から先に転移していくみたいだ。

俺は、女神様らしい女性のいる列に並んだ。

凄い美人だ、正にライトノベルの女神様が現れたそんな感じだな。

次々にジョブを貰っていく中、いよいよ最後の僕の番がきた。

「貴方は異世界で生きる為にどんなジョブが欲しい?.望みなさい、全ては叶えられませんが、この女神イシュタスが力を貸しましょう…あれ、可笑しいな、なんでジョブが無いのよ」

うん、どうした?

まさか、この女神様、何か失敗したのか?

「今、ジョブが無いと聞いたのですが、まさか無いとか言いませんよね」

「言わない、言わない、大丈夫、君には特別に『自分のなりたいジョブ』をあげるわ」

《不味いわ、なんで異世界のジョブが1人分足りないの?…そうか、そうよ教師の分を忘れて計算していたのだわ…不味いわ》

なりたいジョブか…『ライトノベル作家』なんてね。

「解りました、貴方がなりたいのはライトノベル作家ですね、特別にそのジョブをあげましょう…フムフム、ベータポリスで書きたいのですね…いいでしよう? ハーイ…これで貴方には、希望のジョブをあげました…特別です」

「待って下さい」

「待ちません、最後なのでとっといけですわ!」

「本当に待って下さい!」

「なんですか?」

「あの、女神さま…どうしても異世界に行かなくてはなりませんか.」

ライトノベル作家じゃ異世界に行っても死ぬだけじゃないか?

「ジョブを受取ったのだから、無理ですよ?」

「何でですか?」

「異世界で魔王が現れ困っている、そしてその国の王族が勇者召喚をして君たちを呼ぼうとしたの…解るかな?」

「何となく小説とかで読んだ話に似ています」

「うん、同じような小説が最近はあるよね! まさにそれ! それで私は女神イシュタスって言うんだけど、そのまま行ってもただ死ぬだけだから、向こうで戦ったり暮らせるようにジョブをあげているのよ…」

「そうですか、俺元の世界に戻りたいのですが」

ライトノベル作家じゃ死ぬだけだし….

「この召喚魔法はクラス全員に掛かっているから無理ね、話は終わり、さぁ行きなさい」

そう言うとこの女神、俺を無理やり光り輝く魔法陣に突っ込んだ

こうしてクラスの最後の1人として俺は異世界へと転移した。

ライトノベル作家のジョブ!? どうすれば良いのだろうか?
俺が目を覚ますとクラスのみんなは既に一か所に集まっていた。

その前に、明かに中世の騎士の様な恰好をした見慣れない人物がいて、その先には綺麗な少女と多分王様なのだろう、偉そうな髭を生やした人物が椅子に座っていた。

「最後の一人が目覚めたようです」

騎士の報告を受け、王の前にいた美少女がこちらの方に歩いてきた。

「ようこそ、異世界の皆さん、私はこの国アレフロードの王女マリンと申します、後ろ座っているのが国王エルド六世です」

俺のクラスの担任の緑川が代表で一歩前に出た。

「こちらの国の事情は女神様に聞きました。そして我々が戦わなくてはならない事も…だが私以外の者は全員我々の世界では子供だ..できるだけ安全なスタンスで戦わせて欲しい。そして生活の保障と全てが終わった時には元の世界に帰れるようにして欲しい」

「勿論です、我々の代わりに戦って貰うのです。戦えるように訓練もします。そして、生活の保障も勿論しますご安心下さい。 元の世界に帰れる保証は今は出来ません。ですが宮廷魔術師に頼んで送還呪文も研究させる事も約束します」

「解りました、それなら私からは何もいう事はありません、ほかのみんなはどうだ? 聞きたい事があったら遠慮なく聞くんだぞ」

同級生が色々な事を聞いていた。

どうやらここは魔法と剣の世界、俺の世界で言うゲームの様な世界だった。

クラスメイトの一人、工藤信也が質問していた。

「僕たちはただの学生です、戦い何て知りません、確かにジョブを貰いましたが本当に戦えるのでしょうか?」

「大丈夫ですよ、ジョブもそうですが召喚された方々は召喚された時点で体力や魔力も考えられない位強くなっています、しかも鍛えれば鍛えるほど強くなります。この中で才能のある方は恐らく1週間位で騎士よりも強くなると思いますよ」

「それなら安心ですね、有難うございました」

他の皆はそうだろうな。

だが、俺はどうしたらいいんだ?

ライトノベル作家だぞ?

そんなジョブで戦える訳が無い。

「もう、聞きたい事はありませんか? それならこれから 能力測定をさせて頂きます。 測定といってもただ宝玉に触れて貰うだけですから、安心してください…測定が終わったあとは歓迎の宴も用意させて頂いております、その後は部屋に案内しますのでゆっくりとくつろいで下さい」

俺は測定が不安で仕方なかった、何故なら俺だけはどう考えても戦えるジョブでは無かった。

そんな俺の不安をよそに、すぐに水晶による能力測定の儀式が始まった。

これは異世界から召喚した者たちのスキルと能力が見て取れるものだそうだ。

俺は失望した状態で一番後ろに並んだ。

測定を終えた者はみんな、はしゃいでいた。

「私は賢者だった、しかも聖魔法が使えるんだからね、これアタリじゃないかな?」

「俺は魔導士だった、最初から土魔法と火魔法が使えるみたい」

「いいなぁ私は魔法使いだって、どう見ても魔導士より下よね、魔法も火魔法しか無いんだもの」

そうか、てっきりみんな自分のジョブは解っていると思っていたんだけど、何を貰ったのかここに来るまで解らなかったのか?
あの女神が異世界で戦えるジョブをランダムに渡していたのかも知れないな。

「気にする事はありませんよ! この世界では魔法使いになるには沢山の修行をして初めてなれるのです。魔法使いでも充分に凄い事です。」

「本当? 良かった!」

会話を聞く限り、魔法使いや騎士等が多いみたいだが、それでもハズレではなくこの世界で充分に凄いジョブらしい。

そしてアタリが恐らく、賢者や魔導士なのだろうか、そう考えると大当たりは勇者、聖女辺りの様な気がする。

実際には、聞き耳を立てて聞いている限りでは、凄いと思えるようなジョブは今の所「賢者」と「魔導士」位しかでて無さそうだった。

「やった、私、大魔道だってさ、魔法も最初から4つもあるよ..当たりかなこれは」

どうやら魔法を使う、最高のジョブは大魔道かな、そうすると賢者や魔導士は中アタリだな、大アタリは 勇者、聖女、大魔道、大賢者当たりだろう。大魔道のジョブを引いた平城さんを見た時に担当の人が驚いた表情を見せていたから。

『大当たりがどの位凄いのか知りたい』

「平城さん、大魔道なんて凄いね…俺はこれからなんだけど、どれだけ凄いのか気になるから教えてくれないかな?」

「セレス君かー 良いよその代わりセレス君の測定が終わったら私にも見せてね」

「約束するよ!」

「はい」

平城 綾子
LV 1
HP 180
MP 1800
ジョブ 大魔道 異世界人
スキル:翻訳.アイテム収納、闇魔法レベル1 火魔法レベル1 風魔法レベル1 水魔法レベル1

「比べる人がいないから解らないけど..何だか凄そうだね」

「うん、何でも五大ジョブらしいよ!だけど、まだ他のジョブ 勇者も聖女も大賢者、聖騎士も出ていないからセレス君にもチャンスはあると思う」

「そうだね(俺のジョブはハズレ決定なんだがな)」

「これは凄い、勇者のジョブがでたぞ」

やっぱり、勇者は大樹が引いたな、そう考えるとそれぞれの性格を考慮してジョブが決まっている気がする、そうすると聖騎士が大河、大賢者が聖人、聖女が塔子かな。

俺の読みはおおよそ当たった。

そしてとうとう俺の番になった。

「あれっ可笑しいな…こんなジョブ見た事が無いぞ..それに数値が余りに低すぎる!?」

「やっぱりそうですか?」

最初からそれは解り切った事だ。

「それが、計測の水晶が可笑しいのか、こんなジョブ見たことがありません、数値も凄く低く兵士位だ…これがどういうジョブか解りますか?」

「解ります」

東山セレス
レベル 1
HP 32
MP 50
ジョブ:ライトノベル作家
所属:ベータポリス
スキル:黒の石板(ライトノベルの投稿等可能)翻訳、アイテム収納

駄目だな、これでどうやって戦えと言うのだよ。

「考えている所すまないが、これはどういうジョブなんだね」

「すみません、この世界に『小説家』とか『物書き』みたいな仕事ありますか?」

「あるにはあるが、まさか?」

「はい、一番近いのが、それになります」

「そうか…辛いだろうが頑張り給え」

そうだよな、絶対に辛い展開しかないよな。

俺…どうすれば良いんだ。

僕はその後何度も自分のステータスを見直した。

間違いなく、何度見ても

レベル 1
HP 32
MP 50
ジョブ:ライトノベル作家
所属:ベータポリス
スキル:黒の石板(ライトノベルの投稿等可能) 翻訳、アイテム収納

だった。

これ以上困らすのもいけないと思い、俺は担当の人にライトノベル作家について説明した。

「この世界で言う所の『童話作家』みたいですね、ですが異世界人で、ここまで低い事なんて事は普通に考えて無い事です。これじゃ戦えないな、ちゃんと王にもその事は伝えますから安心して下さい!」

「ちなみにこのステータスだとどの位でしょうか?」

「そうですね、絶望するレベルでは無いですよ? 門番や初級冒険者位の能力はありますから」

これは不味いのでは無いかな。

この世界の人間が勝てないから異世界人を呼び出したんだよな。

それなのに、普通の人と同じ詰んでないかな?

「そうですか、教えて頂き有難うございました」

「気を落とさないで下さい」

約束は約束だ…悲しいけど平城さんには見せないといけない。

「平城さん、俺のステータスなんだけど…」

「あっセレス君も終わったんだね、どれどれ えっ本当なのこれ!」

「悲しいけど、これが俺の現実なんだ。」

「なんて言って良いか解らないけど『夢は叶った』そう思った方が気は楽だよ」

「剣と魔法の世界でだけどな、他の人のステータスについて知ってる?」

「うん、さっき騎士の工藤君と魔法使いの法子のステータスを見せて貰ったんだけど…こんな感じだったと思う」

工藤 祐一
LV 1
HP 200
MP 50
ジョブ 騎士 異世界人
スキル:翻訳.アイテム収納、剣術レベル1  水魔法レベル1

坂本 典子
LV 1
HP 60
MP 190
ジョブ 魔法使い 異世界人
スキル:翻訳.アイテム収納、火魔法レベル1 水魔法レベル1 

「全然違う!」

「そうだよ、やっぱり、セレス君には戦うのは無理だと思う」

「やっぱり、そうだよね、ありがとうな」

「どういたしまして、あっゴメン呼ばれたから」

「引き留めて悪かった」

平城さんは手を振りながら去っていった。

これ絶対に戦闘職のステータスじゃないでしょう?

勇者や大賢者じゃ無くても構わない、せめて騎士程度にはなりたかったわ。

多分、俺の活躍の場は無い。

今後の身の振り方を早急に考えなければ絶対に不味い事になるよな。

これしか出来ないのか? だが…
その日の夜には予定通りの宴が行われた。

普通に立食形式でバイキングに近い感じだった。

幾人かのクラスメイトは貴族の方や王族の方としゃべっていたが俺は元から話すのが苦手なのでひたすら食べる方に没頭した。

俺の部屋も他の者達と同じ待遇の1人部屋だ。

『ライトノベル作家』なんて戦いに使えないジョブだと、ベータポリスの作品や俺の作品であれば、追い出されたり、迫害を受ける可能性が高いが、そんな事は無く、差別は一切なかった。

俺は急いで食事をすませて、部屋に戻った。

俺には気になった事がある。

他の人には無いスキルがあった。

このスキルの意味は、聞いてみたが、この国の騎士にきいても解らなかった。

ならば、物凄く凄いスキルかも知れない。

東山セレス
レベル 1
HP 32
MP 50
ジョブ:ライトノベル作家
所属:ベータポリス
スキル:黒の石板(ライトノベルの投稿等可能)← 翻訳、アイテム収納

この『黒の石板』というスキルだ。

このスキル次第では俺にも活躍の場があるかも知れない。

スキルの使い方は、それとなく騎士から聞いた。

心の中で振り絞るように念じる『黒の石板』

すると光に包まれ、俺の前に黒い板の様な物体が現れた。

それは、俺が良く見た物体だった。

「何だ!これは?どう見てもただのノートパソコンじゃないか!」

思わず、自分で自分に突っ込んだ。

いや待てよ、このノーパソがネットに繋がっているなら、知識無双が出来るじゃないか?

GOGRU、かYAHAAに繋がれば凄い事が出来るかも知れない。

ノーパソに電源を入れた。

『やった、WIFIに繋がっている』これなら…あれっ。

検索エンジンは元より何処にもつながらない。

メールソフトも入っているが、誰にも送れない。

入っていたアプリやソフトも、文章作成ソフトしかなくなっていた。

『どういう事だ』

色々触ってみたが、インターネット接続サイト、EIZIのお気に入りに一つだけ入っていた。

入っていたサイトは『ベータポリス』だった。

そういう事?

俺のジョブが『ライトノベル作家』所属が『ベータポリス』だから、このサイトだけは繋がる訳か。

成程、確かにこの状態じゃなくちゃ、ライトノベル作家はできんよな。

サイトを触ってみると『投稿』や『更新』を始め全部出来る。

マイページもしっかりと表示され『投稿インセンティブ』もあるがポイントはどうすれば良いんだ?

疑問は沢山あるが、『ベータポリス』のサイトの機能はフルに使えるようだ。

流石に今日は疲れたから、此処からの検証は後日にする事にした。

他には、俺には異世界人なら、誰もが持っている、翻訳とアイテム収納しかない。

戦う事はもう無理な様な気がする。

次の日から魔法の練習やら訓練が始まった。

座学については一生懸命学んだ。

そして、訓練は一緒に行っていたが初日からもうついていけなかった。

「ハァヒュー、ハーヒュウ、ハァハァハァ」

本当に情けない、今の俺は全然ついていけない。

女の子が笑いながら走っているのに、俺は既に膝が笑っている。

最も、前の世界でいうなら、校庭20周位は走っているから当たり前だ。

ジョブの恩恵が無いとここ迄差が出るのか。

余りに俺の能力が低いので、一日訓練を休んで、さらに細かい測定ができるアカデミーみ検査を受けにいった。

実際にはこの前の測定で解ること以外に 体力や耐性、防御力等の数値もあるそうだ。

異世界から召喚された者は、それら能力は確実に高いので測定はしないのが通例らしい。

殆どの者が例外なく訓練さえすればこの国の騎士や宮廷魔術師を超える能力を楽々手に入れるのだそうだ。

だけど、俺は違った。

「測定の結果、この国の平均的な15才位の男の子と同じ位ですね」

だそうだ、簡単に言うならこの世界の普通の人間と何ら変わりない。

良くあるライトノベル作品ならここで仲間に見放されて殺されたり、国から追放されるのだろう、だが、そうはならなかった。

「貴方は前の世界では平和に暮らしていた、それを攫うようにつれて来たのは我々だ…気にする必要は無い…君がこの世界で生きて行けるようにバックアップしよう」

この国は優しかった。

座学は一緒だけどもう訓練には参加しなくなった。

走るだけで無理なのだから仕方ない。

試しに剣を振らせて貰ったら、他のクラスメイトは簡単に剣を振れるのに、俺だけは真面に振れない。

クラスメイトは何も言わない、虐めも何も無い、ある意味模範的なクラスで本当によかった。

結局、俺だけが別に訓練する事になった。

それでもちゃんと騎士が一人ついて色々と教えてくれた。

それから2週間がたった。

クラスメイトはもうこの城の騎士すら相手にならない位強くなりレベルも5~10位迄上がっているのに、俺だけは何も変わらなかった。

それでも待遇はあくまでも他のクラスメイトと同じだった。

そして、今日俺は王女マリンと話しをする事になった

「セレス殿、これから先はどうしますか? 他の仲間は恐らく後1か月位で旅立ちますが」

「もしかしたら俺は、追放されるのでしょうか?」

「そんな野蛮な事しません…私もこの国もそんな恥知らずな事はしません。 ですが、今の貴方には戦うという事は出来ないでしょう?」

「確かにそうですね」

認めるしかない。

俺は、俺だけはこの世界ではただの人だ。

俺は沢山の夢を小説に書いてきた。

大好きな異世界転移、なのにこれからクラスメイトは光り輝く舞台に立つ。

だが、俺は、その世界のただの住人になる、悔しいな。

「セレス殿は何かやりたい事や夢はありますか?」

「特にはありません」

「そうですか、父と考えた事をそのままお伝えします。良いですか?」

「はい」

やっぱり何か不味い事になるのだろうな?

「まずはここに残って文官を目指すのはどうでしょうか? 幸い、座学は優秀で特に数学は秀でています。頑張れば将来、徴税管になれるかもしれません。」

確かに戦えない俺にはそういう道しかないだろう。

「他の皆は?」

「明後日から演習訓練に行きます、そしてその後はそれぞれがパーティーを組んで最終訓練を行い、その後、魔族との戦いに行きます、誰かが魔王を倒すまで帰ってきません」

「そうですか」

危ない世界だとは思う、だが皆がこれから表舞台で戦う。

だが、俺はその舞台にはたてない。

「他の方からも頼まれました、貴方が困らないようにお城で面倒を見てくれないかと」

「解りました、ですがこれからの人生が掛かっていますから考えさせて下さい」

「それは当たり前の事です、ゆっくりと考えて下さい」

「有難うございました」

暫くのうちに俺は結論を出さないといけない。

城をでるのかどうか?

今後の生活をどうすれば良いのか?

本当にどうすれば良い?

実は俺には考えがあった。

上手くいくかは解らない。

だが、これしかない。

俺は自分に起きた事を、そのまま小説に書いて投稿した。

そして、小説の最後に※印を書いてこう書いた。

※感想欄からアドバイスを下さい、主人公の行動の参考にさせて頂きます。

俺には沢山の仲間がいる、彼等は、異世界について前の世界に限定すればエキスパートの筈…だよな。

きっと何か考えてくれると思う。

※次回に重要な告知があります、宜しくお願い致します。

この作品は【読者様参加型小説】です:お知らせ
今回のお話しは実は「読者参加型」にしてみようと思い書いてみました。

主人公のセレスは「ライトノベル作家」です。

これから先、彼は自分の生活を小説に書き、感想を貰い、その内容を参考にして行動を起こします。

では、この感想欄から助けてくれる方は誰でしょう?

それは、皆さまです。

勿論、感想が殆ど無ければ、私の方で勝手に書いていきます。

あれば、

『読んで頂いた方から俺に感想アドバイスが届いた。

石のやっさん
どうだろうか? 此処はやはり『冒険者』になった方が良いのではないだろうか?

通りすがり人
此処は、お城に残る一択でしょう』

こんな感じに小説にアドバイスを書き、その内容を参考に主人公は行動します。

(勿論、見たからと言って、必ずしもその通りと動くかは解りません)

この作品の感想を書く場合は
(セレスに対する感想)

(この作品に対する感想)

勿論、どちらか片方でも大丈夫です。
そんな感じで書いて下さい。

※その際に『名前』をそのまま使って良いかご指示下さい。
使って良い場合は、作中にセレナに感想欄からアドバイスをくれた方として、出演させて頂きます。

宜しくお願い致します。

PS、何か変わった事をしたくて実験的にやっています。
  宜しくお願い致します。
  あくまで実験的な企画ですので、どうなるか解らない状態ですが。

                                      石のやっさん

最初の感想
『チュン、チュン、チュン』

朝か、昨日の夜投稿したばかりだけど、早速チェックしてみるか?

黒い石板もといノートPCを取り出してみた。

『あなたへのお知らせ』を見ると新しい感想が2件ありますと書かれていた。

やった!

もしかしたら、何か良いアドバイスがあるかも知れない。

早速、ポチッてみた。

◆◆◆感想欄◆◆◆

るしあん

大衆娯楽が 少なそうなので この国の人向けに 物語を 書く言うのは どうでしょうか ?
例えば 子供達様に 『桃太郎』『シンデレラ』などを アレンジして だしたり
大人用に『 オリジナル』や 『三國志』などの アレンジ作品 など
確か ベーター ポリスさん では ある程度人気が あり ポイントが1500あると
書籍化の 可能性が ありますよね
それを 利用して 異世界で 小説家デビュー すると いうのは どうでしょうか

砂原 行
投稿インセンティブでスキルやステータスを買えたりとか?

◆◆◆

るしあんさんは、俺の投稿を見てファンになってくれた方で、最近自分でも投稿して小説を書き始めた方だ。
熱心に感想をくれる方なのでやはり1番最初はるしあんさんだった。

たしかに、俺は『ライトノベル作家』というジョブを持っているから、この話は悪くない。
だが、書籍化申請のシステムがまだよくわからない。
この世界にベータポリスという出版社が無い。
そう考えたら、本だけ向こうで出版され、印税だけこちらの可能性もある。
だが、気が付かなかったが、俺は前の世界の沢山の物語を知っている。
それをアレンジして本を出す。
悪くない、いや凄く良い。
だが、これは先々の話で、今は参考にしか出来ないな。
あとで、誰かに小説家になるという選択は出来るのか、聞いてみよう。

砂原 行さんのアイデアは、これがもし、俺が手にした力なら凄い事になる。
もし、これが本当なら凄いな。
確かに投稿インセンティブは考えてなかった。
早速、『支払い申請』を押してみたが、そのページは『工事中』になっていた。
だが『見込みスコア』に780ポイント『確定スコア』は28000ポイントあった。
何かしら使える可能性が高い。
工事中が外れた時が見物かも知れない。
俺は2人に感想のお礼の返信を書いた。
アドバイスが貰える。
本当にありがたい、そう思った。

自分なりの決意

残り約1か月。

俺は自分なりに考えてみた。

クラスの皆は1か月後に旅立つ。

その後は魔族と本格的に戦う。

今もその為の訓練で演習に出掛けている。

そう考えたら、皆は1か月後には自分達の力で生きていく。

皆が命懸けで戦っているのに、俺がまだ、誰かに頼って生きていくのは如何な物だろうか?

だから俺がこの国の王家にお世話になるのは皆と一緒の1か月後に決めた。

そこからは、少なくとも『自分で稼げる人間』自立した人間になる。

これがまず『俺の期限』だ。

これからどうするか?

それはまだ考えられない。

それとなく『小説家』になりたいと言う事を騎士の1人に話してみた。

だが、書物を書いての生活は相当難しく

「言ってはなんですが、本は貴重品であり、一般人にはなかなか買えない位貴重です。その為、数が凄く少なく高価です。専門書ならまだしも、娯楽となるとかなり難しい物だと思います。」

確かにそうだな、印刷技術が進んで無いこの世界じゃ部数はかなり少ないのだろう。

早速、挫折になるのか…
「かなり難しそうですね」

「私は騎士ですから、それ程詳しくはありません。それでも、もし、それで食べていくなら、それこそ劇の脚本家になれる様なレベルが必要だとは想像がつきます、ですが、セレス様にはジョブがありますから、解りませんが」

確かに、元の世界より遙かに狭き門なのかも知れない。

「かなり難しそうですね」

「すみません、さぁそれより訓練です」

「はい」

クラスの皆は演習で居ない。

俺は一か月までには自立したい、その旨を騎士に伝えた。

「この世界は危ない事も多いですし、最低限の力は必要です」

といわれ、ナイフによる戦い方を教えて貰っている。

「ハァハァ、ゼーゼ―」

「ほら頑張れよ、一か月でゴブリンを倒せる位の力は身に付けさせてやるからな」

ゴブリンを倒せる、その位の事が出来ないと冒険者にもなれないらしい。

たしかに、冒険者になれば『兼業小説家』にもなれるかも知れない。

多分、現状で考えるなら『兼業』これは避けられない気がする。

「ハァハァ、有難うございます」

「まぁ、こんな物だな、異世界人なのに戦闘系のジョブじゃないなんて大変だな、だがよ、異世界人には、俺たちと違ってスキルやジョブがあるだけ良いんだぞ、まぁお前でも俺達からしたら、まだましだ」

「そうですか」

「そうだぞ」

今日の訓練が終わった。

ノーパソを立ち上げて、此処までの俺の話を小説にして更新した。

そして気になる『投稿インセンティブをクリックした。

あれっこの間と違って支払い申請がある。

これなら、何かポイントと交換できるのか?

おおっ、工事中では無くなったぞ。

ベータコイン
ベータポリスの小説、漫画、PCブラウザゲームで使用できるベータコイン(AC)に交換します。お手続きから支払いまでの期間 即時

アルンダギフト券
 メールにてギフトコードをお送りします。アルンダ(異世界店)サイトで商品が購入できます。

ギルド銀行
 ポイントをお金に変更してギルドカードに振り込みます

ギルドマネー
 ポイントを使って各種ギルで使えるお得な商品券と交換します。

やった、これならこの世界で生きていけ…ないな。

だって、今書いている小説だと1日のスコアは良くて1000位。
お金に換算しても1000円。

駄目じゃん!

ただ、本家のベータポリスとは違い、1日当たりの交換制限が無いのが地味に嬉しい。

さて、今日も感想欄を見なければ。
何か良いアドバイスあれば良いのだけどな。

おっ5件もある。

◆◆◆感想欄◆◆◆

エルエル

やはりルートとしては城にいるよりギルドに行って冒険者の方が話が広がりそうですね。インセンティブでレベルが上がるというのもいいですね。後は感想の件数や閲覧した件数もレベル上がったりスキルが増えるのも。

にゅにゅ
ベータポリスに小説を書いて、元の世界からたくさんコメントを貰えたら、二世界をつなぐ回路が太くなって道になり、行来が自由に出来るようになる。元の世界でインセティブを使って現金化し、魔王に対抗出来る道具(殺虫剤とか?)を買い、討伐するという案は如何でしょうか?

砂原 行
お城に図書館とか書庫とかあるならとりあえず見せて貰うのはどうでしょう? 作家なら取材取材。

名無しさん
王女さまから「文官になっては」と誘われたので乗ってみる。ただし、業務は書類整理ではなく、国威掲揚のため、国民向けに、異世界勇者たちの活躍を(誇張ありで)定期的に文章で伝えること。それと並行して、魔族側にも出鱈目情報が届くよう画策する。要は、卓越した文章を駆使し、世論誘導や情報操作を行い、敵味方の行動をコントロールする!ペンの方が剣より強し!戦争は武力だけでするものではないという思想を王国に広めるというのはどうでしょうか?笑

名無しさん
作者さんや読者さんが当たり前のように受け入れていますが
「翻訳スキル」もチートなので、それを生かしてみてはどうでしょう?
例としては
・異世界で通訳ができます
地方の方言や、遠い他国とのやりとりも楽になります。これは外交官補佐向きのお仕事です
・古文書や他種族の文書を解読できます
さすがに固有名詞や専門用語は専門家にお任せするしかないですが、文官向きのお仕事になりそうです
 
・異世界の物語を翻訳してベータポリスに投稿し、地球の人に読んでもらう
一から設定を考えずに済むのが一番のメリットです(○○王国の物語シリーズとして投稿)
まずはこれでポイント稼ぎ&ファン数増加を狙ってみるのも悪くないかもしれません

◆◆◆

エルエルさんからきている。

異世界に来ているせいか、感想欄からしか繋がってないけど、こうして意見が聞けるのは嬉しいな、この方は熱心なファンで沢山感想をくれた方だ。

確かに今の俺じゃ、此処を出るとしたら『冒険者』しかないな。

投稿インセンティブ、感想や閲覧数でレベルが上がる?

これは盲点だった…戦いで他の仲間がレベルが上がるなら、俺の場合はそれで上がる可能性もあるんじゃないか? 

見落としていた。

どうしたら、俺のジョブでレベルが上がるのか考えなくてはいけない気がする。

にゅにゅさんの考えは、うんそうなったら嬉しい。

帰れるだけでそれで元の生活が送れるのだから。

何か物を買って魔王討伐か、多分無理だろうな、だけどアルンダから物が自由に買えるなら、簡単な討伐に使える品とか手に入るかも知れない。

これは活用できるかも知れない。

砂原 行さんの意見は、これはすぐに、やらなくちゃいけないな。

本が貴重品だと言うのであれば、多分お城から出てしまったらそう簡単に読めないかも知れない。

それなら、折角のチャンスだ、お城にいるうちに沢山の書物を読まないと。

確かに取材できる数少ないチャンスだ。

名無しさんの意見は

確かに、その道もある。

文官になって、情報操作、この城に残るなら良いかも知れない。

元から文章を書くのが好きだし、俺が文章を書く事で皆を助ける事が出来るなら、それはそれで良い事だ。

一考の価値がある。

名無しさんの意見は、確かにそうだ。

翻訳スキルがあるのだから、通訳は最低出来る。

そして俺には『本物』を見るチャンスがある。

ポイントをお金にする方法があるのだから、確かにこちらで話を書かなくても、ベータポリスで書いてヒットすれば、そのお金で生活が出来る。

もう、そろそろ方針を決めないといけないかも知れない。

此処までの意見から考えると。

? 冒険者になる
? 此処で文官になり皆の援護射撃
? 投稿インセンティブの活用
? 図書館などで情報収集
? 翻訳家、もしくは通訳になる
? そして、本物を見られるのだから小説に集中

この辺りだな、確かにそうだ。

まず最初に、考えなくてはいけないのは、『此処を出るかどうか』」『なんの職に就くか』その辺りかも知れない。

残り時間は短い。

早目に決めないとな。

思ったようにうまくはいかない。
駄目だ、全然強くなった気はしない。

「ハァハァ~ヒューヒュー」

「かなりマシになったな、これならゴブリンを3体まで同時に狩る事は出来るな、冒険者には成れるから、最低限の生活は出来るぞ」

「そうですか? 有難うございます」

ジョブが無いと言うのは此処まで大変だったとは。

これでも、かなり筋は良いらしい。

結局、剣は重くて振れないから、ナイフに獲物を持ち替えてどうにか、冒険者になれる位にはしてくれた。

息も上がるし、スタミナもこんなだ、どう見ても演習に行く前の女子にすら負けている。

その事を相談したら、

「戦闘用のジョブじゃないから仕方ないだろう? まぁお前は良く頑張った!」

だそうだ。

確かに最初に見たあのステータスの差があったら仕方ない。

この時点で俺TUEEEは無理な事が解かった。

折角なので感想欄から貰ったアドバイスを生かして見ようと行動を起こしてみた。

まず、文官についてだが、

あの後もう一度、王女マリンと話す機会があったのだが、簡単に言えば無理だ。

王女が言っていたのは『あくまで文官を目指す』だった。

最も、王が自ら雇うのだから、採用は確定している。

本来なら、文官の登用は狭き門でまず市民がなるには、日本とは比べ物にならない試験を受けて晴れて『見習い』になる。

何が言いたいのかと言うと日本に直すなら『国家三種公務員試験』に無試験で受からせてくれる。

それだけの事だ。

勿論、上司もいて、更に上には貴族しかつけない役職もある。

その中で軍に関わり影響を持てるようになるには、優秀な物でも10年は掛かるそうだ。

10年も待てば、クラスメイトの戦いは終わっている可能性も高い。

「すみません、『軍司』『司令官』のジョブをお持ちなら可能だったのですが…」

「無理言ってすみませんでした」

考えが甘かった、寧ろ気を使わせてしまって申し訳ないとしか言えない。

その際に図書館について聞いてみたら、書庫があるらしい。

「禁書庫は別にあるので問題無いですよ、許可します、ですが物語とかは有りませんよ」

そう言って案内してくれた。

簡単に見させて貰うと専門書ばかりで、小説みたいな物は何もなかった。

俺が興味を持ったのは歴史書だが、膨大過ぎて此処を出るまでには読み終わらないだろう。

「物語とか、書かれた小説は何故無いのですか?」

「その手の本は個人の所有物ですね、私も数冊はありますが、一般的に沢山は流通しません」

聞いてみたら、この世界での出版は絶望的な気がする。

この世界の小説や物語の出版部数は200部位、王女が言うには1000部も売れたら大ヒットらしい。

パトロン無くして、食べて行くには、それこそ演劇の原作者レベルで無いと無理との事だ。

「大体の物書きは貴族のパトロンがいますね、『物書き』それだけで食べるのは無理ですよ、セレスさんが『物書き』をするのであれば、私がパトロンになりますよ? 面白い作品を書いて頂ければ、見させて頂いて、良い作品なら私が買い取って、本にして他の貴族に送り物にします、如何でしょうか?」

小説とか売れないの?

言われて見れば、普通に考えて200部じゃ本屋に並ぶなんて考えにくいよな。

この世界には印税も無さそうだし、『物書き』は辛そうだ。

王都には古本屋はあるが新書を売る本屋も無いらしい。

専門書以外は「貴族の仲間内の同人誌」そんな感じのようだ。

そこで面白いと思われた物が、話題になり『面白いから演劇にしようか』そんな話らしい。

ちなみに演劇になれば、それなりにプラスしてお金をくれる。

更に有名になれば、パトロンから貰えるお金も増える。

この世界じゃ余程の存在にならないと食べていけない。

ショックを覚えながらも他の事も聞いてみた。

「そう言えば、異世界人には翻訳、アイテム収納というスキルがあるのですが、これは貴重ではないのですか?」

「貴重ですね、異世界人には絶対に必要なスキルです」

なんだか、温度差がある気がする。

「通訳と翻訳の仕事についたり出来ないでしょうか?」

「それは何の仕事ですか?」

詳しく説明してみた。

「基本的にこの世界には複数の言葉はありません、魔族とも話せる高等な種族とは話せます、蛮族とか未開地の人間とは話せませんが、基本的に交流がありませんし、古代語は多分、今迄の経験から訳せないと思います」

うん、今は使えない。

結局頂いた感想欄から考えた結論は。

? 期間が過ぎたらお城を出る。
? 冒険者をしながら、小説をベータポリスに投稿し、投稿インセンティブを活用
? マリン姫にパトロンになって貰ってこの国でも小説を書いてみる

こんな感じだ。

取り敢えず『小説家兼業冒険者』これを目指す、この方針で行こうと思う。

ポイントは冒険者になって使う為に貯めて今は使わないで置いた方が良いだろう。

お城にいる間は、書庫で本を読みながら、小説のネタ集め、冒険者の腕前をあげる、そんな所か。

その方向性をマリン姫に話した。

「それが確かに堅実かも知れません」

そう言って貰えてホッとした反面、今も演習で戦って、その後は戦いにでるクラスメイトに後ろめたさを感じた。

夕食の時間までまだ時間があるから、今日の分の投稿をした。

よく見るとWEBのお気に入りに『アルンダ』のサイトがあった。

欲しい気持ちを押さえて今は我慢する事にした。

感想欄に感想が一つ来ていた。

◆◆◆感想欄◆◆◆

名無しさん

感想欄からアドバイスを貰うというのは新たな手法として悪くないが、大雑把に意見求めるのではなく、選択肢をいくつか提示して、多かった方を採用するという方法に変更した方がいいかと。
理由としては、様々な意見取り入れるのは一見公平にみえるが、選ぶ以上好みから偏るし、採用されない場合の不満というかモヤモヤがかなり残るから。

◆◆◆

確かにそうだ、実際の俺は困り果てて、何でも良いからアドバイスが欲しかったが、俺にとってはリアルでも、読者にとっては『主人公の行動』に繋がる話だ。

それなら、作品として考えるならこちらからある程度、提案をしてその幾つから選んでもらう、そうしないと言う通りになるかも知れない。

感想欄からお礼を返信した。

次からは自分でどうしたいか考え提案をして、幾つか選択肢を書いて、その中から選んで貰う。

そういう方法に変えた方が良いのかも知れない。

反映方法の変更について:お知らせ? ※注意

感想欄から意見を頂きましてありがとうございます。

今迄漠然として『実験的に』スタートしましたが、大雑把に意見を求めると取集が付きにくくなる事に言われて見て気が付きました。

そこで、此処から先は『主人公の選択肢』を選ぶお手伝いに変えてみようと思います。

「この先主人公に冒険者を続けさせて良いか迷っています」

こんな感じに書いた後に

A. 此処は頑張って続けるべきだ。
B. 止めて暫くは休もう
C. 止めた後は商業ギルドへ相談だ

みたいな感じに選択肢を用意します。

その中から選んで頂き、感想欄からその理由を添えて御感想を下さい。
感想が沢山くるなら、可笑しな内容にならないなら多数決。
数があまりに少ない場合は来た内容を頭にいれて私なりに書いていきます。
1件も無ければ、私が独断で書こうとおもいます。

宜しくお願い致します。

冒険者ギルドと初めての選択肢投稿

感想欄から感想が2件入っていた。

待ちきれずにすぐに見る事にした。

◆◆◆感想欄◆◆◆

砂原 行
定番すぎるからか今までサラッと流されてきているけど、アイテム収納のスキルについて検証してみてほしい。
大荷物を持たずに行動できるなんて普通ではまずあり得ないチートだし、冒険者をするにも有用だけど、副業で行商っぽいことも出来るかもしれない。

にゅにゅ
プラス冒険者をしながら吟遊詩人みたいに、物語をこの世界の人に歌って広めて欲しい。なにか楽器でもひけたら尚良し。

◆◆◆

砂原 行さんの話は実はもう話を聞いている。

言ってくれた通りチートではあるが、騎士から話を聞いたら『プチチート』みたいだ。

この世界には似た魔法と似たアイテムがある。

『魔法は空間魔法』そしてアイテムは『収納袋』だ。

空間魔法は習得が難しく、収納袋は非常に高価で一般人では手には入れられないらしい。

だから貴重ではあるが『同じ事が出来る方法』がある事はある。

但し、この世界には『ポーター』という荷物を運ぶ仕事があり、それに着く事が出来るそうだ。
しかも、異世界人のアイテム収納はかなり大きくちょっとした倉庫並みにあるそうだ。

「これはいける!」思わず声に出してしまったが、そうすんなりはいかないらしい。

その欠点について騎士は教えてくれた。

「まずは、ポーターになりたいなら信頼! 預ける方からしたら持ち逃げの恐れがあるのだからな」

確かにそうだ、実際にほとんどの商会では、何代も付き合いのある専属ポーターが居るらしい。
しかも、俺達、異世界人のアイテム収納には最大の欠陥があり、本人が死んだら取り出せなくなるらしい。

その為、護衛を1人さく必要がある分不利なのだそうだ。

俺が少ししょげていると

「それでも、冒険者ギルドに登録すれば、辻ポーターの仕事はある、俺達に比べたら有利なのは間違いない、君が強く成れば護衛をさく所か、持ち物を守る護衛付になるから依頼も多く来る可能性もある、大昔には伝説のポーターが居て、依頼があればどんな場所からも持って帰り、どんな場所にも届ける女ポーターが居たとか」

このスキル、割と良いかも知れない。

にゅにゅさんの吟遊詩人の話は面白い。

だが、俺には音楽の才能が無い。

だけど、物語の語り手として話す、それは有かも知れない。
吟遊詩人は難しくても、紙芝居等他にもある。

◆◆◆

俺は、今、冒険者ギルドに来ている。

お城から出たのではなく、今日一日外出許可を貰った。

今のうちに社会勉強をして置くのも良いだろう。

見た感じは酒場が併設されていて、いかにも荒くれ者が集う場所、そんな感じがした。

俺はカウンターへと向かって歩いていった。

産まれて初めて見た冒険者ギルド、数々のライトノベルの主人公は此処からスタートしたんだ。

そう考えると感慨深い物がある。

俺が感動していると受付嬢が声をかけてきた。

はじめて見た受付嬢は美人だった。

「初めて見る方ですね!今日はご依頼ですか?」

普通に考えて大人になってからの登録する者は少ないな。

騎士の話では、食えなくなった農民や没落貴族等、少数しか居ないと言っていた。

(この世界は寿命が60才位なので高校生は普通に大人です)

「登録を頼みたいのですが、お願い出来ますか」

「はい、登録ですね、こちらの用紙にご記入お願いします。文字は書けますか?」

「はい大丈夫です」

流石はプロだ、大人の俺の登録でも笑顔は崩れない。

「これで宜しいでしょうか?」

俺は

セレス

特技:収納術、ナイフが少し使える。

家族は居ない。

それだけしか書いていない。

というか、それ位しか書けることが無い。

「構いませんよ、冒険者ギルドは来るものは拒まずです。 訳ありの方でも犯罪者で無い限りどなたでもOKです」

ちなみに、どういう仕組みか解らないが犯罪歴があると紙が赤くなり、ギルマスと面接になるらしい。

軽い犯罪なら、なれると考えると案外敷居は低いのかも知れない。

「ありがとうございます!」

「但し、自己責任の厳しい世界だという事は頭に置いて下さい」

「解りました」

「それではご説明させて頂きますね」

説明内容は、
冒険者の階級は 上からオリハルコン級、ミスリル級、金級、銀級、銅級、鉄級、石級にわかれている。
そして、案外上に行くのは難しく、銀級まで上がれば一流と言われている。

殆どが、最高で銅級までだそうだ。

級を上げる方法は依頼をこなすか、大きな功績を上げるしか方法はない。

銀級以上になるとテストがあるそうだ。

ギルドは冒険者同士の揉め事には関わらない。

もし、揉めてしまったら自分で解決する事。

素材の買取はお金だけでなくポイントも付くので率先してやる方法が良いらしい。

死んでしまった冒険者のプレートを見つけて持ってくれば、そのプレートに応じたお金が貰える。

そんな感じだ。

「解りました」

「はい、これが石級冒険者のプレートです、再発行にはお金が掛かりますので大切にお持ちください」

「ありがとう」

お礼を言い立ち去ろうとすると受付嬢が話し掛けてきた。

「お辛いでしょうけど実績があれば上に昇り詰められます、頑張って下さい」

彼女なりの励ましなのかも知れない。

その後、街を少し見てからお城に返った。

クラスメイトが帰って来るまで10日間位だ。

最初は、クラスメイトの帰りを待ち、その後に旅立とうと思っていたが、先に旅立とうと思う。

その理由は『お互いに嫌な思い』をするかも知れないからだ。

俺からしたら、魔族と戦えるような力を身に着けたクラスメイトを見たら妬ましく思うと思う。

逆にクラスメイト、特に女子からしたら『戦わないで良い』俺が羨ましいかも知れない。

その事を考え伝え、俺の旅立ちは5日後にして貰う事にした。

此処までの事を小説に書いて、今度は選択肢を書いてアドバイスを貰う事にした。

『冒険者兼、小説家として主人公がお城から出るのですが、どちらが良いですか?』

A. 冒険者としてしっかりと下積みからスタート
B. 安全マージンをとってポーター冒険者からスタート
C. 5日間位何もしないで街を見て回る。

この3つに絞って見る事にした。

どんな感想が来るか、楽しみだ。

旅立ち

旅立ち迄の5日間、今更冒険者の修行をしても無駄なので、お城の中を見させてもらった。

本を読む事より、メイドさんや執事、そして宰相の様子を見ていた。

王女が『異世界人』担当だから、俺の世話をよく見てくれるが、ちゃんとこういった使用人や役人みたいな立場の人もいる。

こういう人の行動から学ぶ事も多いかも知れない。

外に出たら、家事から何まで全部1人でやらなくてはならないからな。

ギルドカードもあるし、多分これで『投稿インセンティブ』を使う準備は出来た筈だ。

此処で使って見るのも良いかも知れない。

ただ、この事は知られてしまうと、不味い事になるから、あくまで内緒だ。

俺は、アルンダギフト券を1000円分、投稿インセンティブのポイントを使って手に入れた。

すぐにノーパソにメールがきてキーコードが記載されていた。

これをアルンダの支払いの時に入力すれば良いだけだ。

最初に買う物は決めていた。

俺はアルンダのサイトからハ●●ルーペのパチもの、簡単に言えば拡大眼鏡を狙っていた。

マリン王女は読書家で目が悪いと聞いて気がする。

何かとお世話になったので、プレゼントしようと思った。

だったら『本物買えよ』とか言われそうだが、ポイントは大切に使わないと。

それに1000ポイントは今の俺にとっては1日から2日分のポイントだ。

凄く貴重なのだ。

アルンダでポチッたら、驚く事に、アイテム収納の中に入っていた。

時間のロスが無いのが異世界仕様なのか?

まぁ原理は解らないけど、これは凄く良い。

◆◆◆

「これを私にですか?」

「はい、お世話になったのでプレゼントです」

どうだろうか?

安物ではあるけど、この世界の技術に比べればかなり上の筈だ。

「レンズがついていますね、かなり貴重な物だと思いますが、どう使うのですか?」

「そうですね、細かくて見えづらい本を持って来て下さい」

「解りました」

お姫様なのに自分で取りに行くは凄いな。

「はい、お持ちしました」

「これは、こう使うのです、さぁ本を読んで下さい」

俺は眼鏡を掛けさせた。

「これは、凄いですね、文字がしっかりと大きく見えます、しかもこのレンズ、全然曇ってません」

うん、喜んで貰って良かった。

「これどうしたのですか? 凄く高かったのではないですか?」

安いとは言いにくいな。

「それは友人のプレゼントに買った物ですが、アイテム収納に入っていました、俺は目が良いので使いませんから良かったらお使い下さい」

「有難うございます、大切にしますね」

喜んでくれて良かった。

◆◆◆

いよいよ明日がお城から出ていく日だ。

マリン王女は眼鏡が嬉しかったのか、金貨10枚(約100万円)ものお金をくれた。

それとナイフと新しい服に靴まで用意してくれた。

最後まで凄く親切だ。

明日は朝から忙しくて見送りには出れないと言う事でこれで一度お別れとなる。

まぁ、パトロンではあるから『小説の持ち込み』した時に会えるかも知れない。

さぁ、出立前の最後の感想欄チェックだ。

◆◆◆感想欄◆◆◆

るしあん

Cを選択します
街や人々の観察は大事だと思います
なにか気が付くことがあるかも?

ざまさ

Cの「街を見て回る」で。正確に言うと、街に出て、この世界の常識や習慣、不文律等の知識を少しでも得ておくのです。できれば、冒険者として正式な行動する前に、情報代を払ってでも、ベテラン冒険者から「冒険のイロハ」を聞いておくべき。一度の失敗が落命に繋がりかねないことを、決して忘れないように・・・・!それと、どの質問への回答かを間違えないように『意見募集? 城から出てどうするか?』といったように番号や記号を入れてもらえると助かります。(『ざまさ』より)

◆◆◆

るしあんさんや、ざまささんのいう通りだな。

確かに観察は大切だし、お城で学んだとはいえ、常識や習慣はまだ理解しきってない。
そしてまだ冒険者についても完全に把握していない。
確かに命に係わる事だから、お金を出しても「冒険者のイロハ」は身に着けなくてはいけないな。
この辺りはギルドで相談して見た方が良いかも知れない。

書き方については、折角アドバイスを貰ったのだから、試しにその通りにしてみよう。

◆◆◆

ついにお城から出ていく日が来た。

天気も良い、これから俺の本当の意味での異世界生活が始まる。

クラスメイトのように活躍は出来ないが、それでも精一杯頑張るつもりだ。

ある小説家の人生

お金に余裕があるから、皆から頂いたアドバイスの通り、5日間~1週間。

場合によって、1か月間位は様子を見ながら暮らして見ようと思った。

宿屋を借りて冒険者として登録しての生活を考えていたが…

冒険者とは単純に『肉体労働者+便利屋』みたいな物だった。

ゴブリンは子供並みに弱い。

そんな話を聞いたが…無理だった。

前の世界で言うなら『毎日サルを殺して生活する』ような物だった。

結局、俺は、冒険者とは名ばかりで、何と言えば良いのかな。

『異世界作家、作家兼、商人になった』

どんな仕事をしているのかというと
? 折角の異世界なので、取材してベータポリスに投稿
? ポイントをアルンダの商品券に変えて物品を買う
? その商品を販売。
? この世界向けに作品を書く。

こんな感じを主軸に頑張ってみた。

その結果、俺は、この世界で、生活の基盤を作る事が出来た。
最初は宿屋で行っていた執筆活動は、お城に移る事になった。

「あの、此処まで早く小説を書ける様な人物は、他には知りません」

そのマリン王女の一言で城に戻る事になった。

よく考えたら俺のノーパソはベータポリスのサイトを見れるのだから『異世界図書館』を持っている様な物だ。

作品なんて幾らでも『参考』にすれば書ける。

◆◆◆

10年の月日がたった。

クラスメイトの8割が死んで魔王の討伐は終わった。

俺はというと、書いた小説が幾つも大当たりして、劇場公開も沢山された。

そしてベータポリスからも実は出版されたが、担当さんに会う事も出来ない為、印税を辞退した。 その代わり編集部も知らない覆面小説家として活動する事になった。
出版でお金は入らないが、有名になった事で、他の小説のポイントも急上昇した為これはこれで正解だった。

俺は生き残ったクラスメイトに定期的に、プレゼントを贈っている。
それはレトルト牛丼の詰め合わせだったり、カレー、カップ麺などだ。
これは辛い戦いで頑張っていた同級生に一緒に戦えなかった償いだ。

生き残ったクラスメイトは高い立場と沢山の冨を貰っていたが、それでも前の世界の物は凄く喜ばれた。

書いて書いて書き続けて、62歳で俺は死んだ。

これが死後【天才小説家】と呼ばれた、セレスの本当の姿だった。

                              FIN

あとがき

最後まで読んで頂き有難うございました。

この度は、この企画に参加してくださった皆さん、ありがとうございました。

ですが…これも余り上手くいきませんでした。

昔流行った紙のRPGゲームを皆でと考えたのですが、あまり受けなかったみたいです。

思ったより参加者も少なく、企画として成り立ちそうも無さそうないので此処で終わりとさせて頂きます。

実験的な企画へのご参加有難うございました。

                     石のやっさん