伝説の悪党は今の虐めは甘すぎると笑う。

生きていくのが辛い。
生きていくのが辛い…原因は解らないが僕は学校で虐めにあっている。

教科書を破かれたり、靴を燃やされるのは日常茶飯事。

だから基本、僕はスリッパを履いている。

机は悪口が彫刻刀で彫られれている。マジックじゃないからでこぼこして文字が書きにくい。

トイレの大に入ろうものなら、上から水がバケツ事降ってくる。

だが、この位ならまだいい方なんだ。

酷い時には無理やり裸にされ女子更衣室に放り込まれる。

僕が暴力を振るわれたうえで放り込まれているのに…女の子は。

「気持ち悪い…死ね」

教師は…

「裸で女子更衣室に入るなんて変態だ」

と笑っていた。

流石に大事にすれば問題になるから、ただ馬鹿にしただけで終わるが。

僕は何度屋上に立ったか解らない。

下を見ると、ここから飛び降りたら楽になるのかな。そんな事ばかり考えている。

だって、飛び降りたら楽になれそうなんだもの。

だけど、僕は飛び降りる勇気もない。

だから、いつも僕はここでただぼうっとしているだけ。

追い詰められて
今日は何時もと違っていた。

朝から、僕を虐める人達が殺気立っている。

僕はとばっちりが来ない様にしていたが…駄目だった。

クラスの虐めの中心人物、尾上哲也に捕まった。

「てめぇー田向、殴らせろや!」

「いやだ…助けて」

「そうか…なら土下座しろ」

僕は躊躇しないで土下座をした。

本当はしたく無い…だがしないと容赦なく殴られる。

だから、いつも直ぐ土下座をする様にしていた。

「男の癖に土下座なんてダサっ…本当にキモイわ。少しはプライド持った方がいいじゃない?」

俺を馬鹿にしている女..こいつが湯浅萌子。

元は黒髪の大人しい子だったが…今や茶髪にミニスカートの立派な不良だ。

哲也の彼女なのを良い事に、したい放題で女子を仕切っている。

口答えなんてしたら…何倍にもなって返ってくるから、逆らえない。

このまま、土下座をしていればすぐに終わる…そう思っていたが…この日は違っていた。

「バ~カ…もうサービスタイムは終わりだ…何時も土下座で済むと思うな」

哲也が僕を蹴ってきた。

「グボッ…ゲホッ…いやめて…」

ドカッ、バキッ、ドガガガガッ

蹴りが止まらない、まるでヤクザが蹴り上げる様な感じ..痛いっ、痛いっ。

「止めて、止めてーーやめてくれーーっ」

動けなくなるまで蹴られた。

「助けて…助けて…」

「良いぜ、明日までに10万持って来れば許してやるよ」

「うちは貧乏だから…」

「関係ない…持って来ないなら殺すぞーーっあん」

「お金持ってきた方が良いと思うよ? あまり痛い思いしたく無いでしょう?」

「萌子さん…助けて…」

「だから~うるせえんだよ~ お金持ってくれば終わりにしてくれるって哲也が言っているでしょう? 持って来れば助かるんだよ? これ教えてあげたじゃん」

うちは母子家庭で貧乏なんだよ…そんな金ある訳ない。

「哲也に逆らうんじゃねーよ」

「お前が払わないと、俺達が困るんだ」

「田向君…金払った方が良いよ」

自分達にとばっちりが来ると思って…助けてくれない。

「助けてーーーーっ」

「田向…お前逃げるんじゃねぇーーーっ」

僕は一瞬のスキを見て教室から飛び出した。

ヤバイ…逃げちゃ駄目だった…捕まったらきっと、今より酷い事になる。

それが解っているのに…

気がつくと僕は屋上に来ていた。

そして…

『死んだ方が幸せだな』

勢いをつけて飛び降りた。

ガサガサッ ドガッ…

「あはははっ…死ねなかった」

糞っこの銀杏の木が邪魔しなければ…死ねたのに。

目覚めた獣
「チクショウーーッ、たかが女輪姦した位で鉄パイプ背負わせやがってよーーっふざけんなーーっ…えっ、此処何処だよ」

なんだ、此処は…俺は…そうだ…鉄パイプでぶん殴られて死んだ筈だ。

俺は…田向竜二で会っているよな?

なんだこの華奢な体は…まぁ元からこんな物か?

嘘だろう…何で刺青が無いんだ…気のせいか、少し若い気がする。

鏡を見た。

俺は茶髪で短髪の筈なのに…何で黒毛でロン毛なんだよ!

すげーーっだせーーっ。

それになんだ? なんで俺が中学で虐められているんだ…なんだこの記憶はよーっ。

本当にダサっ。

それで、俺は竜二なのか良治なのか…解んねーーっ。

だがよ…まぁ良いぜ。

どっちでも…俺は俺だ。

自由気ままに生きるだけだ。

「良治ちゃん、大丈夫」

いきなり…婆ぁが入ってきやがった。

此奴は、母親だな…昔は美人だったのかも知れねーが今はくたびれてやがる。

「大丈夫だよ、郁美母さん」

「もう、お母さん無理して学校に行けなんて言わないから…だから、こんな事やめて」

あはははっ…間違ってもしねーよ。

俺が人を殺す事はあっても、自殺なんてしねーよ。

「大丈夫、明日から強く生きるから」

「そう…無理をしないでね…最悪転校も考えるからね」

「解かったよ」

サイフの中身は3000円か…まぁこれだけあれば中坊位簡単だな。

その後、医者から体に問題はないと言う事でそのまま家に帰った。

さぁ、明日からが楽しみだ。

獣の登校
「それじゃ母さん行ってきます」

「良治、本当に大丈夫?」

「うん、平気だから気にしないで」

良い親じゃないか? 死んでしまった親父を含み本当に良い親だ。

俺の記憶にある親は、薬中毒でチンピラの親父に薬中のピンサロ嬢だった母親だ。

俺の記憶にある親は薬とSEXと暴力…そのどれかの姿しか知らねー。

まぁ心配させる必要もねーから、笑顔で登校だ。

「良治~お前10万持ってきたか~っ!」

「放課後までには用意するからさぁ…勘弁してよ」

「おっ、用意出来るのか? それなら、放課後迄は虐めないでやるよ! だが、用意出来なかったら殺すかんな。萌子、良治が金持って来るらしいから…放課後スマホ代払ってやるよ」

「流石、哲也、愛してるよ!」

「ああっ、あとお前達にも何か奢ってやるから、放課後裏庭に来いよ」

「流石、哲也さん太っ腹」

「あざっす」

男三人に女一人、まぁ余裕だな。

あっという間に放課後か。

哲也の影響か誰も絡んで来なかったな。

俺は哲也に呼び出された通り、裏庭に行った。

裏庭の近くの小さな倉庫、そこが哲也たちのたまり場だ。

哲也が仕切っているのは1年生。

更に上には2年生、3年生それぞれ中心人物がいる。

今の世の中じゃ番とか言わないらしい。

まぁ良いけどな。

「良治よ~金は持ってきたか?」

しかし、4人とも馬鹿だな。

座っていやがる。いわゆるウンコ座りだ。

「持って来てねーよ…馬鹿っ、これから処刑の時間だぁぁぁぁーーっ哲也、目が大切なら目を瞑れーっ」

俺はあらかじめ化粧瓶に移したジッポのオイルを哲也の顔にぶっかけた。

「てめーっ、こんな物かけやがってふざけるなぁぁぁぁぁーーー、えっぎやぁぁぁぁぁーーっ」

オイル掛けたんだぜ…火をつけない訳ないじゃん。

「おめーら、逃げんじゃねーぞ、これは哲也と俺の喧嘩だかんなぁ」

顔を押さえて蹲る哲也に連続蹴りをする。

所謂、ヤクザキック…止まらない蹴り。

「だせーーっ。凄くだせーなっ、顔を焼かれた気分はどうだ? イケメン顔もこれだけ火傷したら終わりなんじゃねーの」

「や、やめろーっ哲也が死んじまう」

「貴様ぁーー」

二人して殴りかかってきたが、用意していた小刀(800円)でサクッと腕を刺した。

「痛てぇぇぇぇーーーーっ」

「何だよ…いきなりナイフで刺すなんて」

これ小刀な…金がないからナイフは買えなかった…

「馬鹿じゃねーの! 相手は4人なんだぜ、刺すのが当たり前じゃねーか!」

しかし、ガキなんだな…まだ一人居るのに、ガタガタ震えていやがる。

「それでよー、久保田君さぁ…これ誰が悪いんだ? あん!」

「誰がって…」

バキッ。

軽く顔面にパンチを入れてやった。

「あのよ…哲也がたばこを吸っていて、馬鹿やって火傷、石川は小刀で遊んでいて自分で刺した…おい、哲也、なに逃げよーとしているんだよ…なぁ、その顔は自分でしたんだよなぁーーーーっ!」

そう言いながら、焼け残った髪を引っ張り押し倒した。

「ヒィッ」

「お前が勝手に火傷したんだよな? 違うなら言ってくれ? 多分今度は、お前の姉ちゃんが勝手に火傷するか、お前の母親が焼け死んじまうかもしらねーけど? どうだ?」

「俺が…自分でやりました…それで良いんだろう..」

「あんっ! だろう?」

「自分でやりました..ハァハァ…」

「石川も自分で刺したんだよな?」

「…はい」

まぁこんなもんだ…な。

「それで、お前達『貸してくれ』って俺から200万持っていったよな?」

「違うっ…そんなには」

「違くねーよ! 利子だ利子…ローンで良いから明日から毎日2万、4人で持ってこいよ…それでもう不幸は多分、起きねーけど? どうする?」

「解かった、払う」

「ハァハァ…頼むから医者に行かせてくれ」

「払うから勘弁してくれ」

「わ、私も払うの?」

ハァ~この体になってからしてねーから溜まっているわ…

「萌子は、残れ!」

「な..なんで私が残らないといけないの? 」

「お前さぁ…哲也から金や物を貰っていただろう? あれは、俺の金からだよなぁ? だったら少し位付き合う義務はあるんじゃねーか?」

「私は…哲也の彼女だよ? そんな事出来ないよ…」

「あのさぁ…断るなら、まだ終わらないなぁ…まだオイルはあるからな、哲也君バーベキューにしようか? それとも萌子も燃やされたいのかなぁ?」

「ヒィ…萌子」

「良いよ…解った、カラオケ位付き合うよ」

「解かった…それなら、これで解散だ…取り敢えず財布の中身は全部置いていけよ」

馬鹿じゃねーの、カラオケで終わるわけ無ぇーじゃん。

【解説】1
昭和の時代…ジッポのオイルを使って喧嘩する人間が結構いた。

相手が複数の場合は武器を持つのは当たり前だった。

小刀は、ナイフと違い、警察に捕まった場合、刃渡りが短く言い訳が効く為、中学生の不良で持ち歩くのが流行った。

最も、ちゃんとした不良は、ジャックナイフやライオンヘッド等、銃刀法に引っかかるレベルの物を平気で持ち歩いた。

ちょっと危ない不良は普通に手足位はナイフで刺した…流石に腹や胸を刺すレベルは不良ではそうそう居ない。

田向は…本来はもっと危ないが、今回は中坊の喧嘩に合わせた感じに書いてみました。

負けたら犯される…当たり前だ。
「あの、良治…こっちはカラオケじゃないよ?」

「そうだな、ラブホだな!」

「ふざけないでよ! そんな所行くわけがないじゃない」

「ふざけてねーよ! 片目が無くなるのと、入るのどっちが良い?」

俺はシャーペンを目の前に突き出した。

「嘘だよね? そこ迄酷い事しないよね?」

「今なら片目で終わらせてやる…あっ逃げたらお前の妹、哲也みたいにバーベキューにするぜ? まぁ本当に怒らせたら、家ごと燃やすけどな…どうする」

「は、入るだけで良いんだよね…変な事は…」

「それは、入ってからの交渉だ、少なくとも入ったら…そうだな、家族と家の無事は保証してやるよ」

「解かったよ…」

本当に馬鹿みてぇ…ただホテルに入るだけで泣いてやがんの。

入ったら、やらねーわけないだろうが…本当に馬鹿だな。

「入ったよ…これで満足! 私もう帰る」

馬鹿だな、ラブホの部屋まで来て帰すわけねーじゃん。

「誰が帰って良いって言った…まずはめんどくせーから、自分で服を脱げよ」

「いや..冗談は止めて…」

バキ、ドカッ 俺は萌子の顔の右側を殴った。

萌子はよろけて倒れた。

「痛いっ、何するの?」

俺はそのまま馬乗りになりに右側の顔を叩き続ける。

「痛いっ、最低っ、女に手をあげるなんて、嫌、痛いっ痛いーーーっ」

口が切れて血が出ているがお構いなしにビンタした。

「お前さぁ、俺から取り上げられた金で哲也と遊んでいただろう? その金があれば風俗に何回いけると思っているの? その分体で返せ…それだけだぜ…どうする? びりびりにスカートから服を引き千切ってやろうか? そうしたらお前帰りはすっぽんぽんだぜ」

「嫌、いやぁぁぁぁーーやめてよ、謝るから、もう二度としないからーーーっ」

俺はスカートから手を突っ込んでパンティを引き千切るように脱がした。

実際は破れた。

「嫌ぁぁぁーーやめてお願い」

「あのよ…パンツならまだ普通に歩けるけど? 他を破いたらもう終わりじゃねーか? それにこれ以上逆らうなら…これだ」

俺はジッポのオイルを頭から振りかけた。

「嫌ぁいやぁぁぁぁぁーーー止めて、それだけはやめて…お願い」

俺はライターを手に持って近づける。

「顔を焼かれるのと、俺に抱かれるの、好きな方を選んで良いぜ?」

「焼かれるのは嫌ぁぁぁぁーーっ」

「だったら、服を脱ぐしかねーな」

此奴、本当に不良なのか?

泣きながら服を脱いでいやがる。

まさか、こんだけ派手に虐めをやっていて処女って訳ねーよな。

「これで良いよね…もう何もしないよね」

俺はズボンとパンツを脱ぐと..

「そうだな、それじゃまずこれを咥えてしゃぶって貰おうか?」

「嫌、そんな事出来ない…私、そういう経験ない..許して」

パーンっ、右側の面をひっぱたく。

「やらねーなら、次はグーで行くぞ、グーで」

萌子は泣きながらしゃぶりだした。

「あむ、うんうぐっうううん、うん、スンスンスン、グスッあむうん」

絵面は良いが、全然気持ち良くならねー。

此奴多分、処女だな。

「駄目だな、全然気持ち良く成らねーな」

「そう、それじゃ終わりで…」

「馬鹿じゃねーの、これからが本番じゃねーか」

俺は萌子の足を掴み引き寄せた。

「止めて、お願い..本当に止めてーーーっ、私まだ経験がないのーーっ」

「知らねーよ」

そのまま無造作に突っ込んだ。

「嫌ぁ嫌ぁーーー助けて嫌ぁぁぁぁーーー」

股の間から血が流れている。

今迄と比べ物にならない位萌子が暴れだした。

「うるせーっ死にたいのか? あーーーんっ」

俺は萌子の首を絞めた。

「苦しーーい、殺さないで…お願い…します」

「だったら…逆らうんじゃねーよ」

「はい…」

死んだ魚の目みたいな目しやがって。

鼻水と鼻血出して、顔が腫れているから、美少女もブスも同じだな。

「哲也..助けて…ああっあああ…助けて」

つまんねーな。

そうだ..

「お前、これから「良治愛している」「もっとして」「気持ち良い」この三つを交互に言えよ…それ以外禁止な…逆らったら..」

「ヒィ..解りました…殴らないで」

俺はスマホの録音機能をそっと入れた。

「グスっグスッ良治愛している…」

嫌がりながら言ってやがるの…おもしれーな。

俺は腰を動かした。

「ハァハァハァ、嫌…もっとして」

一応は処女だ…締りは良いな。

「あああっいや、いや気持ち良い…」

そろそろ、一回出しておくか?

「そろそろいきそうだ…思いっきり出してやるぜ」

「嫌ぁ嫌ぁぁぁぁぁーーーそんな中は止めていやぁぁぁぁ、嫌だよーーっ」

無理矢理萌子は抜こうとしたが、そのまま腰を掴み、中にしっかり出した。

「そんな、そんな…妊娠したらどうするの…」

「そうしたら、責任取ってやるから」

「ふざけないで」

萌子はノロノロと動こうとしたが、俺が萌子の手を掴んだ。

「もう良いよね…終わりで」

「1回で終わる筈ねーだろうが」

「嫌、嫌いやぁぁぁぁーーーっ」

気がつくと俺は9回も中だしをした。

ゴムはあったが使わなかった。

まぁ妊娠したら、カンパでも集めておろさせれば良いだけだ。

「ああっあああん気持ち良いよーー」

「良治、愛している…愛してるよ」

此奴、頭が可笑しくなったのか、途中から声が嫌がってねーし、自分から腰を振る様になった。

今なんて騎乗位で腰を振ってやがる。

案外チョロいのか?

【解説】2
昭和の頃、女は負けたら取られて当たり前、そういうルールが一部にあった。

その為、余程強い不良以外は女を連れて喧嘩はしない。

その事を解っていた為に案外強い不良でも女連れの時は詫びを入れて喧嘩しない事が多かった。

女の不良は喧嘩で負けたら犯されて当たり前。そういうルールもあった。

よく昔のドラマや小説で「好きにしな」そういうクール系のスケバンが居たと思う。

そして犯されるのだが…そこにはルールがある。

基本的に「覚悟を決めた」そう評価して、女はマグロで良かった。

その為、だだ抱かれるだけで済ます。そういう暗黙の了解があった。

そこで騒ぐと何でもありになる。

最も、当時のスケバンはけた違いに残酷で、剃刀で顔を斬る。体中切り刻む等、かなり残酷な喧嘩をしていたし、女は武器を使って当たり前、そんな時代だった。

顔を二枚刃の剃刀で切られた男も結構いたし、スケバンに捕まって体中切り刻まれた。乳首を斬り落とされた。 マン毛と一緒に女性器を焼かれた(通称ドテ焼き)。男の場合は陰毛ごと性器を焼かれる。肛門や女性器に火のついたタバコを入れる。そういうリンチが普通にあった。
実際、余りに酷いリンチで子供が産めない体になる…そこ迄のリンチも多くあった。

玉を潰したり、竿をナイフで切られる…そんな事すらあった時代だからこそ、女は女で負けた時の覚悟を決めていた。

ホテルにて
「うっうっひくうわぁぁぁぁーーん」

なんだ此奴、さっき迄よがってた癖に。

股から精子と血を垂れ流しながら、顔は腫れているし、元が美少女でも萎えるな。

女で不良していて、たかが犯された位で泣くなんてふざけている。

輪姦されても平然と出来ねーなんてカスだな。

まぁ良いや…こんな覚悟も出来ねークズなら、暫くは『俺の者』にして置くか。

俺はスマホで、写真を撮った。

「嫌ぁ、いや、写真はいやぁぁぁぁーーーっ」

「お前、今日から俺の物な! 毎日気が向いたら抱かせて貰うわ」

「いや、いや嫌ぁぁぁぁーー」

「あのよーーっ、俺が今迄止めてくれって言って止めた事ねーだろうがーーっ。俺の者になるか? 顔を潰されて不細工になるか? それとも、毎日売りやらせられるか、好きなの選べ」

「ううっ..そんな…」

泣いても終わるわけねーだろうが。

「選べねーなら、俺が選ぼうか? 顔潰しにするか?」

俺が拳を振り上げると…

「ヒィ…なります、なりますから…良治の者になりますから…うぐっひぐっ」

「それじゃ、彫刻宜しく」

俺は笑顔で小刀を取り出し…右肩と背中に俺の名前を刻んだ。

【田向良治 命】【田向良治 専用】ってな。

「嫌ぁ、いやぁぁぁぁぁーーっ痛い、痛いよーーっ」

「それじゃ、これでお前は俺の女だ、これからも宜しくな…此処は支払ってやるから、気が済んだら家に帰れよ、親にも上手く誤魔化せよ…ばれたら、まぁお前の親が死ぬだけだけどなぁ」

「ひくっひくっうわぁぁぁぁぁーーん」

泣く位なら不良気取るんじゃねーよ。

まぁ、俺の名前刻んじまったから、もう他の男の前で裸になんてなれねーよな。

『哲也…ご愁傷さまって』感じだな。

田向竜二の伝説
田向竜二、元は全日本黒狼会、真夜中の狼の特攻隊長。

腕力は無いが、その残虐性から『強い』ではなく『怖い』と言われる。

人望は無い…頭と副リーダーからは「うちから出すと何をしでかすか解らないから」と追放出来ないでいた。

だが、副リーダーの彼女を寝取り、尚且つ妊娠させたが、責任をとりたくない竜二は歩道橋で彼女を蹴り飛ばし流産、下半身不随に追い込んだ。

当時の頭の徳丸が呼び出しをし、制裁を加えるも…隠し持っていたナイフで滅多刺しにし逃亡。

歌舞伎町で水商売をしていたが、チンピラに絡まれ、半死半生になる。

だが、田向はそのチンピラが立ち去る際に、後ろから近くにあったレンガを持って滅多うちにした。

結果、チンピラは下半身不随になり、前科者になる。

出所後、ヤクザになり、全身に刺青を入れた。

その残虐性から「怖い男」として名をはせるも…入所中の兄貴分の嫁を犯し、いわゆる豆泥をしヤクザを破門。

それを気に食わなかった田向は、組長を刺した。

その結果、あちこちから追われる事になる。

だが、その反面、田向の傍若無人な態度は半グレに人気がで、気がつくと半グレのカリスマ的存在になる。

仲間と一緒に、自分を破門にしたヤクザの組長の娘を攫い、輪姦したが…

ヤクザに捕まり『楽には殺さない』その結果…鉄パイプを背負わされて殺された。

獣と教室

次の日、哲也も久保田も石川も学校に来なかった。

萌子は…来ていたが、体を震わせている。

「湯浅さん、おはよう!」

俺は、笑顔で挨拶をしてやった。

「…おはよう」

なんだか、顔色が悪いな。

まぁ、昨日、犯された後だから当たり前か…

しかも、此奴には、もし学校を休んだら『家に行く』そう言い聞かせているから、無理にでも通ってくるだろう。

しかし、痛々しいね…顔が無茶苦茶腫れていやがる。

「萌子~自分の男に連れないなぁ~、少しは明るくしないか? 折角助けてやったのに」

「ひぃ…」

「あれ、違うのか?」

「違わないです…」

わざと、周りに聞こえる様に大きな声で言ってやった。

クラスの連中は、その声に驚いている。

このクラスで好みの違いはあるだろうが、萌子は3本の指に納まる程可愛い。

しかも、哲也と付き合っている事は全員が知っている。

その萌子が、クラスで最低辺の俺と付き合っている。

そう言っているんだ…まぁ驚くな。

しかも、萌子は顔半分に大怪我をしているんだからな。

「田向よぉ~お前適当な事ふかしてんじゃねーよ」

「あん? 沖山くんよぉ~それ、俺に言ったのか?今迄散々殴ってくれたよなぁ~今一発返しておくわぁ~」

俺はカイザーナックルを嵌めた、黄金の左を軽く振るった(笑)

良くマンガなんかでカイザーナックルを嵌めて、本気で殴るシーンがあるがあれは嘘だ。

本気で顔を殴ったら、鼻にあたれば確実に鼻の骨が折れる。

目のあたりにあたれば眼底出血を起こし、失明すらあり得る。

テンプルなんかにあたれば…死ぬな。

流石に、そこ迄はしねーよ。

中坊のガキだしな…

軽く、顎に当てる様に優しく殴った。

顎だって本気で殴れば折れて飯すら食えなくなる。

これ位優しくしても運が悪ければ、顎の骨が折れたり、割れる。

「ぎゃぁぁぁーーーっ、うごっうわぁぁぁぁーーー痛ぇぇぇぇぇぇーーーっうがっ」

「沖山くん、沖山ょぉ~、今迄俺はお前に散々殴られても、チクった事ねーよな? それにお前も『男だったらチクんじゃねー』って言っていたんだから、チクるなよ? 他の奴らもよ? 散々、『俺にしたんだ』狩られる立場になってもチクるなよ! 解っているよな?」

「あがががっあがっ ペッ、あああああーーーっ」

歯が4本折れているのか吐き出した。

「お前、ななんらぁあああーーっ」

「辞めただけだ…今迄は『良い奴』で居てやろうと思っていたが、図に乗り過ぎたな、お前等が俺にしてきた事はしっかり、証拠をとっているから…何時でも人生終わらせられるかんなーーーっ…取り敢えず、お前は『ただ転んだだけだよな?』」

「何をいって、いうんだ?」

「なぁ、関ちゃんよぉ~ 沖田は転んだだけだよなーーーっ!」

俺は胸倉をつかんだ状態で怒鳴った。

まぁ、優等生もどきの関ちゃん(女)なら逆らう訳ねーな。

「うん…転んだんだよ」

「なぁ…沖山『お前は転んだ』それだけだ」

「あう、わかぅった」

まぁ、殴るそぶりしていりゃこうなるか?

「それじゃ、先公には『怪我したから早退した』そう関ちゃんが伝えておいて」

「…解かったわ」

恐怖で顔が引きつってやがる。

沖山は顔を押さえながら早退した。

俺は萌子のセーラー服に手を突っ込み胸を揉んだ。

「嫌ぁ…止めて…」

顔が真っ青になってやがんの。

「という訳で此奴は俺の女だ…あと、これからはやられた分、しっかりやり返すかんな、覚えておけ!」

様々な表情のクラスの奴の顔を見ながら俺はにやりと笑った。

【解説】3
昭和の当時は、色々な武器を通販や繁華街で購入して持つのが不良の間で流行った。

ただ、護身用に持つだけで、余程の事が無いと使う事は無い。

特に、カイザーナックルはボクシング漫画の影響で流行ったので持っていた人間も多い。

威力が更にあるのは、握り込む部分があるタイプ。

マンガでは、良く振り回しているが、本当なら、顔面にあたったら…まず喧嘩は終わる。

こんな物を顔面に喰らったら…恐らくは人生は終わる。

眼底骨折や顎が複雑骨折等、一生障害が残る。

もしくは打ち所が悪く死ぬ…そんな事件が結構あった。

顔面に喰らっても、痛いですむのは漫画や小説の世界だからだ。

萌子 マジでチョロすぎ。

本当にメンドくせ―なぁ。

彼奴ら三人して休みやがってよー。

今日、集金して帰らなくちゃならねーじゃんか。

スゲームカつくな。

まぁ、その分利子をつけて貰わねーとな。

それはそうと…

「うんぐっ、ううん、うううんぷはぁ、嫌、いやぁぁぁぁ」

「そう、そうその調子で頑張れ」

「嫌ぁ、これ苦しいの、嫌ぁぁぁーー うんぐ!?」

俺は哲也たちが良くたむろしていた用具置き場で萌子を使っていた。

「お前、休んでんじゃねーよ!」

そう言いながら、更に喉奥に突っ込んだ。

「ぐはっ、ううんグボっげほげほっ、うんぐううん、ううん、うぇ」

涙目になって鼻水まででやんの。

「本当に下手糞だなぁ」

「ハァハァハァ…いやぁぁぁぁ…こんなの…学校は許して…」

「口でするのが嫌なら、穴を使うしかないな」

「そんな…ハァハァここ学校だよ…見られたらどうするの? 嫌ぁぁぁぁ」

馬鹿な奴、俺が止めるわけねーのに、学習しないのかね。

「真っ裸にされたく無ければ、スカートめくってパンツ脱いでそこに手をつけな」

「嫌、そんな事したくない! 私が女だ、彼女だって言うなら、もう少し優しく、ひぃ」

俺がジッポのオイル触った途端に顔色がかわりやがった。

泣きながらパンツを脱いで、スカートめくって手をついた。

「最初から、そうしていれば怖い思いをしないで良かったのにな」

「こ、これで良いんでしょう…ああっ、ああいやぁぁぁぁ」

俺は後ろから萌子に突っ込んだ。

嫌だと言いながらも萌子の股間はかなり濡れていて俺の物をあっさり受け入れた。

「嫌だと言いながらも体は正直だな…簡単に受け入れているじゃねーか」

「そんな、私は…いや」

「なぁ萌子、お前はすげー可愛いし、性格だけ良ければ良い女だ、これでも俺は自分の女には優しいからな…抵抗すんな…なぁ!」

「いや、いや…ハァハァ、お願い、学校だけは、学校だけは止めて」

「気にすんな、もし見られても俺がぶん殴って口止めしてやるから、お前は俺の言いなりになればいいんだよ…もし妊娠してもよ、責任はとってやるからな」

「ハァハァ…いや…ああっああん、いや」

この前の時もそうだが、此奴案外感じやすいのな。

嫌と言いながら、もう感じはじめているし、自分で腰を振り始めている。

「萌子、お前本当は俺の事が好きなんじゃねーの…自分から擦り付け始めているぜ」

「いや…そんなこと無い、絶対にない…ああっああん」

まぁ良いや、これ絶対に落ちているな。

「だったら、止めようか? さてと…」

「そんな…いや…解ったよ…私は…嫌いじゃない」

「そうか? それなら『良治、大好き』そう言ったら、続けてやるよ」

「良治、大好き…これで良い?」

「ああっ、それで構わない、自分から言ったんだから、もう止めてやらねーからな」

「ああっあああーーーっ」

なんだ此奴…マジでチョロすぎ。

「良治、好き..ああっ大好き…あむ」

一旦タガが外れた萌子は、好きや大好きを連呼しながら、キスが好きなのか自分からしている間にキスを繰り返してきた。

此奴、この間まで処女で、たった今までSEXを凄く嫌がっていたのに…

精子だらけの萌子が満足そうに横に転がった時は既に昼休みは終わり3時になっていた。

【解説】4

昭和の頃は不順異性交遊はかなり頻繁で、中学3年生でシングルマザーになるような女の子も数少ないがいた。

未成年の堕胎の件数も多く「命を大事にしよう」そんなポスターや、コンドームをしっかり使う為の講習まであった。

堕胎を繰り返し、子供が産めなくなる様な未成年の少女も少なからずいた。

実際に32歳~34歳で高校生の子供がいるヤンママも多くいて、そんなヤンママの特集があるヤンキー雑誌もあった。

有名な話では、芸能人の女の子が中学時代に酒とたばこをしながら、乱交した写真がスクープされ、番組降板という話があった。

良く、昔のヤンキー漫画に「あたいは安売りしねーんだよ」そんなセリフがあるが…このセリフをよく考えれば、もう処女ではなく経験はある。

更に言うなら「簡単に安売りする」そういう身持ちが軽い女も多く居る…その証拠になる。

今思えば…凄い時代だった。

回収

萌子にスマホから電話を掛けさせ状況を聞いた。

哲也は入院しているようだ。

たかが顔の火傷で大袈裟だな。

灯油やガソリンと違いジッポのオイルは思った程の大火傷にはならない。

顔に一生残る位の火傷はするが、それも皮を張り替えて整形すれば治るレベルだ。

目でもあけていなければ、後遺症などはそんなに残らない筈だ。

顔はもう…整形でもしなければ絶望だな。

もうあいつをイケメンと呼ぶ奴はいねーや。

萌子に俺と居るとは言わせないで、久保田と石川に電話を掛けさせた。

どうやら、2人とも家に居るようだった。

俺から見たら両方共同じ様に思えるが、金は回収できる可能性の高い者の方に行った方が良いな。

「萌子さぁ、久保田と石川、どっちが金持ってそうかな?」

「そうだなぁ~多分久保田の方が金持ってそうな気がするよ」

「それじゃ、久保田の家に集金に行くかぁ? 萌子はどうする? ついて来るなら、何か奢ってやんよ」

なんだ此奴? 気のせいか笑っている気がするな。

「そう? それじゃ欲しい物もあるし着いていくわ」

マジか?

俺はこれから久保田に酷い事をするかも知れないのに良いたまだ。

「それじゃ行くか」

「うん」

随分と軽いな。

◆◆◆

なかなかの家じゃねーか。

此奴、結構金のある家の奴じゃねーか。

「萌子、此奴の家、親はいるのか?」

「良くは解らないけど…確か両親とも働いているから多分居ないと思う」

こういう時、相手側の身内が居ると助かるな。

状況が簡単に解るからな。

しかも萌子の話によれば父親は会社役員で、母親は趣味でお店をしているそうだ。

貧乏でパートという訳じゃないらしい。

俺は、相手が貧乏なら、許してやろう…そう考えていた。

貧乏だから…誰かから奪う。

それは俺的には当たり前だからだ。

だが、金もあるのに遊び半分でやるなら地獄を見せてやる。

此奴の家は裕福だ。

止まっている車はレクサスにベンツ…どう考えても貧乏な訳ない。

「それじゃ、萌子インターホン押して」

「そうね」

俺だと警戒されるといけないから、萌子にインターホンを押させた。

「久保田君いるかな? ちょっと哲也の事で相談があってさぁ~」

「ああっ良治の事だよな? 今あけるから」

俺は萌子の横から俺は駆け寄りドアの間に足を入れた。

「久保田くんよ~、学校休むなんてどういう了見? まぁ哲也は入院しているから仕方ないけどよ~、お前等元気そうジャン? 三人で2万円、なんで持って来なかったの?」

「良治…ああっ」

「ああっじゃねーよ! 学校に来なかったから延滞遅延金な…そうだ併せて6万円で良いや」

「ちょっと待てよ、三人で2万円の筈だろう…」

「あのよ~バックレたら遅延金がつくんだ当たり前だろう?」

「そんな金ないよ…有り金全部で3万円も無い…」

取り敢えず、その3万円は貰うとして…

「それじゃ、上がらせて貰うわ」

「待て、出て行け」

「お前な…俺に借金があるんだ、まずは有り金の3万は貰うとして足りない金は物で貰うしかねーだろうが? 取り敢えず、お前の部屋に案内しろや」

「あっ」

「あっじゃねーよ…案内しねーなら、適当に持っていくぞ…金目の物はと…そうだ萌子貴金属とかに興味ねぇかな? 此奴の親の部屋に行こうぜ」

「うん、そうね、何か良い物あるかなぁ」

「待ってくれ止めてくれよーーっ」

「あのよ…勘違いすんなよな? お前達は俺を脅して結構な金を俺から奪っていたよな?…その時に『貸してくれ』そう言って持っていったよな? ちゃんと手帳につけてあるんだぜ」

「待てよ、確かに脅し取ったが精々が20万だろうが?」

「あのさぁ…俺は三人で200万返せって言っているんだ? お前が幾らじゃねーんだよ。哲也が一番高額だが、三人合わせりゃ、その位行くとも思えねーかな…まぁ俺にはお前達に金を貸した証拠もあるんだ。これは正当な取り立てだよ..逆らうなら、お前も哲也と同じになるぜ」

あはははっガタガタ震えてやがる。

「そんな…」

「これ表にでたら困るのはお前じゃね? まさか一流会社の役員の息子が恐喝していましたってな」

「それじゃ、お前の部屋に案内しろ」

「ああっ解かった」

「解かっただ? あん?」

「ひぃ…解りました」

「まずは3万円だせ…」

「はい..」

「萌子、これで帰りに何か奢ってやんよ、約束だからな」

「流石、良治太っ腹だね」

「まぁ約束だからな」

「萌子、お前…」

「ああっ、此奴はもう俺の女だ、そうだよな?」

「そうね、あ.た.し.は良治の物だよ」

なんだ此奴、涙目になって、萌子は哲也と付き合っていたんだよな?

まさか此奴も気が合ったのか?

まぁ良い。

「萌子、このゲーム機とか欲しいか?」

「え~私興味ないなぁ~」

「俺も興味ないな…テレビも要らないし、此奴目ぼしい物持ってねーな…仕方ない他の部屋見に行くか?」

「そうね..行こうか」

あちこち見て回るとウオークインクローゼットの中に結構なブランド物があった。

「萌子、これってエルサスのパーキンって言う奴じゃね?」

「うん、そうだね、凄い、私これを持つのが夢だったんだよ」

「そうか? なら俺と付き合った記念にプレゼントしてやるよ」

鞄 1個 8000円と。

「馬鹿言うなよ、それはお袋が大切にしているバッグで200万位するんだぞ」

「そうか、そうか…そんな大切な物をお前は盗んで俺にくれたのか..まぁ良い、他にはこのネックレスは男物か良いね…貰いと」

ネックレスは 5000円と。

「止めてくれ…もう」

「知らねーよ、文句言うなら殺すぞ、あん?」

俺は本当に軽くカイザーナックルで頭を小突いた。

「いて、痛ぇぇぇぇーーーーっ」

「今回は軽くしてやったけどさぁ…本気で殴っていたら死んじゃうかもな、お前は俺のATM、一切逆らうな、解ったか?」

「いてーーっ、ヒィ」

「死にたく無かったら、今後一切逆らうな…解ったか? あん?」

あーあっまだ転がっていやがんの。

まぁ今回はこんな物か?

俺は、書類を2枚書いた。

金200万円の利子として 金3万円 バッグ1つ ネックレス1つ回収しました。

こんな感じで良いだろう。

「おい、久保田、いい加減起きろや、これ書いたからサインしろ」

「こ、これは…」

「お前の借金に関する書類だ、忘れるな…俺はお前達が『俺から持っていった金』の回収をしているだけだ…お前達みたいに恐喝して無理やり巻き上げたわけじゃねーよ…返して貰っているだけだ」

「こんな訳ないだろうが…」

「あのさぁ…死にたいのか? 哲也の時にはあの位にしたけど…なんだったらここで殺しても良いんだぜお前だって『殺してやる』って俺を脅したよな? 俺とお前の違いは、本当にするかしないかだな…あと、もしバレたらお前が上手く誤魔化しておけ…バレたらお前の恐喝の事、学校から警察にバラすからな」

まぁバレたら折角の金ずるが無くなるから、バレたくねーがな。

「解かった…」

結局、久保田はサインをした。

「そう、久保田くんが素直で良かったよ…逆らったら中年女の残酷レイプショーしなくちゃならなかったからな」

「良治…それって、あああっーーー」

「そうだよ、お前の母親、面が確か良かったよな…体で返して貰おうかと思ってなぁ…お前がちゃんと払うもん払えば、そんな不幸は起きないぜ」

「解かったよ…明日からちゃんと払うから…ハァハァ、それはしないでくれ」

「そう、素直が一番だぜ」

そう言い捨てると俺は萌子と久保田の家を後にした。

貧乏なら仕方ねーな

「約束だから、何か買ってやるよ、と言っても現金は3万しかねーから、そんな高い物は駄目だ」

「それなら、物は要らないから、スマホ代払ってくれない?」

「それって幾ら?」

「6000円ちょっと…駄目かな?」

え~と…此奴金が無いのか?

「あのよ~萌子ってもしかしたら金ねーのか?」

「あはははっ、うん…うちは母子家庭だからお金は無いよ」

「その割にはお金に困って無さそうだったが」

「それは…ほら哲也が良治からさぁ…ね」

そうか、哲也が俺からカツアゲした金の一部が此奴にいっていた…そういう事だな。

「まぁ貧乏なら良いや…それじゃ、今日もラブホにでも行くか?」

「全く、良治も好きだね…良いよぉ~あっだけど折角ならカラオケがある部屋が良いなぁ~」

此奴を犯した後、本当に少しだけ良心の呵責に苛まれたけど…すぐによがるし…ある意味スゲーな…としか思わなくなった。

「お前を犯った俺が言うのもなんだが…哲也はもう良いのか?」

「仕方ないじゃない? 私もう良治の女にされちゃったしさぁ~ 体にこんなもん刻まれちゃ、もう良治以外と付き合えないじゃん…責任取るんでしょう? なら良いんじゃない?」

なんだ…此奴…こんなんで良いのか?

基本、不良の女って言えば…硬派な奴しか俺は知らねーぞ。

犯そうが輪姦しようが…惚れた男の元に帰る奴ばかりだった。

硬派なスケバンだと男がご法度で、男が出来たら辞めなくちゃいけない…そんな所が多かった筈だ。

その時には大体リンチに掛けられる。

女の方が凄くえぐくてなぁ…ドテ焼き(性器をライターで焼かれる)尻の穴や性器に火のついたタバコの火のついた方を全員に1本ずつ刺される様な拷問に近い事もやっていたな。

更に厳しい所だと顔に二枚刃で一生消えない傷をつける決まりや、乳首を1つ切り落とす。

そんな所もあった筈だ。

何が言いたいのかと言えば…ここ迄一途な女が多かった筈で、こんな簡単には『不良女』は寝取れない筈なのだが…

「あのよ…お前本当にそれで良いのか? いっちゃなんだが、俺は自分の女を簡単には手放さねーよ…浮気したら、相手の男もお前もフルボッコするぞ」

「う~ん、確かに良治ならしそうだね…良いよ」

何だか、凄く軽いな…

「あのな…」

「良治…言って置くけど、家は凄く貧乏だし、同じ母子家庭でも良治より凄くお金が無いんだよ? だから、高校には行かないのは決定。 もし裕福なら勉強も頑張ったかも知らないけどさぁ~高校に行かないなら頑張る必要もないじゃん…まぁ母さんは馬鹿だけど、働き者でパートを掛け持ちしているけど…パートだからたかが知れているね」

何だか苦労してそうだが…それがどうしたんだ…

「それが何か関係あるのか?」

「あのね…だから、哲也との恋愛ごっこは中学で終わり…哲也も石川も久保田も高校に行くから、そこで恐らく終わりだと思うんだよね?  だけど、良治は違うでしょう? 正直最初の出会いはお互い最悪だけどね…最初から責任とるって言っているし…一生を通した付き合いになる…そう思ったよ? だって生で出し放題だし避妊なんて考えないし…体に自分の名前まで彫るんだからさぁ、半端な事考えてないでしょう」

ヤバイ…此奴、結構重い奴だったのか。

「まぁ、そうだな」

「『そうだな』違うよね? 赤ちゃんが出来たら私産むからね! ちゃんと養ってくれるんだよね」

まぁ仕方ねーな。

女にする言っちまったかんな。

「そうだな、ちゃんと『責任』はとるぜ、安心しな」

「そうそう、責任をとるなら良いよ!…それじゃコンビニでスマホ代払って、その後はホテル行こうか?」

「そうだな」

貧乏なのかよ…だったら仕方ねーな。

結局、俺は萌子のスマホ代を払ってからホテルに直行した。

暫く、カラオケを楽しんだ後、一緒に風呂に入って…やる事やって家まで送ってやった。

【解説】5

社会的に硬派が流行った時代があり、色々な漫画や雑誌で『硬派』が取り上げられた時代があった。

当時の不良の中で『男一心硬派とは女1人を愛するべし』『女一心硬派とは男一人を愛すべし』そんな言葉が流行った。

スケバンの中には肩や太腿にナイフで男の名前を彫る者もいた。

私は実際に彫ったのを見たことがあるが…結構深くえぐったような感じだった。

こう言った行為で男に一途さを見せた。

最近の漫画や小説に良くNTRってあるが、当時の『硬派』を気取った不良少女は輪姦されようが、体にナイフで傷をつけられようが…元の男を裏切らないのが美徳だった。

男の方も、案外『心が俺だけの物なら良い』

そんな感じの男も多く居た。

少なくとも『硬派』を気取るタイプの不良は一途だった。

その反面『軟派』は普通に女(男)をとっかえひっかいしていた。

湯浅萌子SIDE 恋愛観

なんていうのかな?

正直言ってしまえば、哲也や久保田、石川とつるんでも面白くない。

だって、あいつ等中学の後に高校に進学するんだからさぁ…所詮は、なんちゃって不良なんだよね。

石川は兎も角、哲也も久保田も良い家の子だし、高校に入ったら『不良なんて知らないよ』そう言って真面目になりそうだし….

一生懸命誘ってくるけど『真剣みが全く無いし』、やりたいだけなのは明かなんだよ。

そんな奴と最後まで行くわけ無いじゃん。

まぁ、お金を貢いでくれるから、付き合ってあげている。

そんな状態…だからキス以上はする気にはなれない。

私を置いて高校生になり、大学生になっていく…そんな奴に真剣になるわけないじゃん。

万が一、高校にも行かないで、働いて養ってくれる…そういう覚悟があるなら…私だって真剣に考えるよ?

だけど、周りの男は絶対に違う…ただやりたいだけのクズしかいねーじゃん。

しかも、さぁ三人を含んで皆、ヘタレだから、二年や三年の怖い先輩に睨まれたら、平気で女を差し出しそうじゃん…

そんな状態で真剣に恋愛なんて出来ないよね。

私の家はお金が無いから、私は中卒で働かないと多分いけない。

仕方ないから、中学卒業後は美容師にでもなろうと思う…まだ解らないけどね。

そんな状態で…私は哲也の巻き沿いで、犯された訳…本当最悪。

だけど…良治って可笑しいんだよね。

無理矢理酷い事したのにさぁ…体に名前まで彫られて、写真迄撮られて。

本当に悪魔みたいな奴なのに…気がついたら、本当に『好き』になっちゃった。

何故かは解らないけどさぁ…哲也みたいなパチモンじゃないと言うか…本物というかよくわからない。

最初は本当に辛くて、死のうとさえ思っていて…触られるのも嫌だったのに…なんでかな?

最近はまるで宝物みたいに大切に触ってくるし…一生懸命いかそうとしてくるんだよね。

体の相性が良いっていうのかな?

最近じゃ良治に抱かれるのが…うん、凄く気持ち良い。

多分、他の男に抱かれても、こんな感じにならない気がするよ。

田向良治だから…気持ち良いんだと思う。

ただ、それだけじゃなくて…同級生なのに可笑しいんだよね。

何だか『良治にお父さん』を感じちゃうんだ…

彼氏、まぁ私の『男』なんだけど…抱かれていると『お父さん』に抱かれている気がするんだよね。

よく考えたら、良治も私と同じ母子家庭だし…なんか運命すら感じるしさぁ。

他の人と違って『妊娠』や『赤ちゃん』の話をしても嫌な顔しないしさぁ…

『責任とる』っていうし…

まぁ私も自分が良く解らない…

だけど…どう考えても悪魔の様な田向良治が…何故か凄く好き。

それだけは…解る…本当に可笑しいんだけどさぁ。

尾上哲也SIDE 逃げるしかない。
尾上哲也SIDE 終わった。

糞っ良治の奴、許せねーっ。

絶対にやり返してやる…

ここ迄する事ねーだろうが。

いきなり顔面に薬品掛けて燃やすなんて…常識ねーだろうが。

だが…もう俺は終わりだ。

この顔の火傷の後は一生残ると言われた。

あの悪魔が『目を瞑れ』そう言った意味が解った。

恐らく、俺が目を素直に瞑れば…視力を失う事は無かったのかも知れない。

だが、俺は怖さから片目をあけてしまった…その結果が片目が焼けてしまい視力を完全に失ってしまった。

この顔じゃ…もう女は諦めるしかないだろう…整形でもしない限り無理だ。

チクショウ…中学で適当に遊んで、高校からは不良を卒業するつもりだった…

だが…それももう終わりだ。

「哲也、一体何をしたのよ…お母さん..」

「うるせいな糞ババア」

「糞ババア?」

「あっ、違うんだ、母さん…ごめん、俺実は…」

「知っているわ、危ない遊びをしていたんでしょう…違う」

糞、糞、糞―――っ。

良治はやっぱりヤバイ。

もし、俺が良治の事を話したら…あいつは制裁を受ける事になる。

だが、それは『彼奴に今迄してきた事も全部バレる』 事を意味する。

どうなるんだ…

『恐喝』『暴行』『傷害』…全部明るみに出る可能性が高い。

それに…彼奴…

『お前が勝手に火傷したんだよな? 違うなら言ってくれ? 多分今度は、お前の姉ちゃんが勝手に火傷するか、お前の母親が焼け死んじまうかもしらねーけど? どうだ?』

そう言っていた。

彼奴は何処か可笑しい。

頭が狂っているとしか思えない…不味い…

『絶対にやり返してやる…』

俺は何を考えているんだ。

俺は彼奴を殺せるのか? 殺せない…もし殺せても警察に捕まり人生が終わる。

だが、ただやり返しただけなら…彼奴は必ず仕返しに来る。

そして、次は姉さんか母さんの顔が焼かれ…場合によっては殺される。

俺に此処までしたんだ…やらない保証は無い。

そこまですれば彼奴も警察に捕まるかもしれないが…俺の家は終わりだ。

彼奴の目は狂っていた。

二年や三年の先輩が怖いなんてレベルじゃない。

暴走族…いやヤクザと話している気がした。

彼奴と揉めるとしたら…本当に家族が殺される可能性がある。

俺が尻尾巻いたら萌子はどうなる…久保田は? 石川は?

見捨てるしかないだろう…

彼女なんて言っているが、萌子だって所詮は他人だ。

久保田や石川だって親友と言っているが…所詮は遊び友達だ。

家族じゃない。

姉さんは最近婚約が決まった…相手は父さんの取引先の重役の子息だ。

ただでさえ、俺がグレたって最近は怒っているのに…姉さんや母さんがそんな事になったら…家を追い出されるかも知れない…

仕返しを諦めるしか…ない。

「母さん、俺、たばこ吸って…強い酒を飲んでいて、それに引火したんだ…ごめん、もうしないよ」

「そんな事やっていたの? まぁ何も言わないわ…もう充分体で悪い事したのが解かったでしょうから」

「ああっ、それで母さん、もう悪い友達や先輩と手を切りたいんだ…もう二度としないから転校させてくれないかな?」

「転校…そうね、貴方の事は母さんに一任されているから…良いわ、私のお父様に頼んであげる。退院したらお爺ちゃんの所に行きなさい。だけど、これが最後のチャンスよ。お父さんには私と謝るのよ…良いわね」

「母さん、ありがとう」

「良いのよ、貴方は私の大切な子供だもの」

逃げた方が良い…あんな奴に関わったら、人生が終わりかねない。

彼奴相手じゃ、先輩に泣きついても無駄な様な気がする。

逃げるしかねー。

悪だくみ

「萌子~迎えに来てやったぞ」

「えっ、良治…どうしたの?まさか迎えにきてくれたの?」

まぁ一応、俺の女だ…この位してやっても良いだろう。

「まぁな」

「へ~、何だか可愛い」

「揶揄うなよ」

そう言いながら腕を突き出すと萌子は腕を絡めてきた。

「そう言えば、哲也、引っ越すらしいよ」

「それを萌子が何で知っているんだ…」

「ああっ哲也のお母さんがうちのお母さんに電話してきていたからね、哲也とはもう関係ないから安心して」

「そうか…まさか家族全員で引っ越すのか、あの野郎何処に行く気だ!」

「いや違うよ、哲也一人がお爺いちゃんの家に引っ越すみたい」

彼奴は馬鹿か?

哲也の家族は両親+姉と哲也の4人暮らしだ。

哲也が居なくなれば、両親が働いているから、自然と姉が家に居る事が多くなるだろう。

それに母親が帰ってきて…一番遅く帰ってくるのは親父。

金額は兎も角、俺に彼奴は借金がある。

そして、その証拠もある…逃げなければ毎日2万円を三人だから1日7000円で済んだんだぜ。

これからは久保田が1万円、石川が1万だ。

逃げるなら、女二人にその責任をとらせるしかねーな。

まぁ萌子も良いが所詮は中坊だ、まだ発育がな…

20代の女に人妻熟女も悪くねーな。

「良治、悪い顔している」

「そうか? まぁ、色々と考えているだけだ…」

「色々って?」

「色々は、色々だ…金儲けをな」

時代が違うせいか、シンナーやトルエンで金が設けられないな…

マジックマッシュルームもねえし…

合法ドラッグ、脱法ドラッグは合法ハーブって名前を変えて売っているが…かなりあぶねーな。

なにか薬物に変わる物を手に入れてーけど…なかなか無い。

最悪、一気に麻薬に手を出すのもありか…

まぁ、それはさておいて、まずは刺青だな…

スマホで調べたら、タトゥーマシン(刺青機)が思ったより簡単に手に入るようだから、手に入れておくか。

「金儲け?」

「ああっ、折角不良するんだからよ…金にしないと勿体ねーよ」

「不良ってお金になるの? 信じられない…そうか脅して金をとるんだぁ~」

「まぁ、それもするけどさ(笑)そんな小銭じゃなくて…もっと大きくいかねーとな」

「大きく?」

「ああっ、月に最低で50~100は稼がねーと」

「そんなに…出来るの?」

「出来るんじゃねぇよ、やるんだよ」

「そうかぁ~ 稼いだら分け前くれる?」

「やるけど…手を貸せよ」

「うん、解った」

軽いけど、本当に大丈夫か…まぁ良い。

気がつくと、もう既に学校についていた。

そのまま、腕を組んだまま教室に向う…さて今日は何をするかな…

まずは石川と久保田から…集金だ。

獣の給食
「久保田…集金だ」

クラスにつくと、直ぐに呼び出して金を請求した。

「あっ…はい」

「何で、1万円しか無い訳? 三人で2万円の約束だよな!」

「三人で2万円なら、俺だけで1万で充分…」

なに此奴口ごもっているんだ?

「違うな、哲也が学校に来ない…石川も来ていない…ならお前が2万円払うしかねーな!」

「あの…田向くん…哲也は火傷で学校にこれないし、石川は今日も足が痛いって休んでいるんだ」

石川刺したの忘れていたわ…

「それで…俺は三人でって言ったよな? 来ない以上お前が立て替えるのが筋じゃねーか? あん?」

「だけど…田向くんは俺の家に取り立てに来たじゃないか…だったら…」

本当にイラつくな。

「あっ、そ…解った、2人からは俺が取り立てるよ、良く解ったよ『久保田が取り立てろ』そう言っていた…そう二人には言っておくわ…いって良いよ」

しかし『くん』ね。

随分態度が変わったな。

「そんな…」

「そんなじゃねーよ。お前のせいで二人が不幸になるんだ…お.ま.えのせいだ。キッチリ取り立ててやるからな、延滞金つきで、ほら行っていいぞ」

俺が手をヒラヒラと振ると久保田は教室に帰っていった。

哲也の追い込みはまだ良い。

先に石川を追い込むか…まぁ金が無さそうだが仕方がねーな。

◆◆◆

「おい、これ誰がやったんだーーっふざけるなよ、やった奴は名乗り出ろ!」

おーおーこわっ。

散々、人がやられている時に遊びで済ませたのに…自分がやられると怒鳴るのね。

緑川せんせ…と。

「それは俺が、やりましたが、問題でも?」

「お前か、俺の給食に…チョークの粉を入れたのは!」

「それがどうかしたのか? これは『先生曰く、子供の遊び』なんでしょう? 同じ事を俺がされた時に、笑ってやりすぎるなよって言ったよなぁぁぁぁーーーーっ、さぁ、せんせ、食わないの? チョークの粉は美味しいぞーーーってな」

「貴様ぁぁぁーーーふざけるなぁぁぁーーあがぁぁぁーーっ」

ムカつくわ…この先公…だからつい手が出るのも仕方ないな(笑)

「ふざけているのはお前だろう緑川ぁぁぁぁーーっ。俺がされていた時は、笑って見ていたじゃねーか? なぁ? もし食わねーなら良いよ? 俺の怒りはお前の家族に向うだけだ! なぁ、お前の幼稚園の子供だっけ? いきなり車で敷かれたりしてな? お前の奥さんの顔がさぁ…二目と見れない火傷を顔におったら悲しくないか?」

「貴様ぁぁぁーー教師を脅すのか」

「脅しじゃねーよ? 俺は俺がやられていた事を『お前とお前の家族』にするだけだ…だって『あれは遊び』だから目くじら立てなくて良い…そう言ったのはお前だよな? だったらお前の娘や家族に俺がしても…『遊んであげただけ』せんせは怒らないよな」

「おい…お前は本当に良治なのか?」

「今迄は、友達、仲間と思っていたから『手を出さなかった』それだけだぜ。ここ迄やられちゃ…流石に我慢しねーよ」

まぁ嘘だけどな。

これで決定打となったな…

クラスの奴、全員でこちらを見ている。

にこやかな顔でこっちを見ているのは萌子だけだ。

「お前…」

「あのよーーっ此処は中学だから義務教育だから退学にはならねー…家族が大事なら…それ食えよ、言いたければ校長に言っても良いんだぜ? 今迄の証拠があるから、これよりも何倍も酷い事されたのに…『遊び』だったんだから、遊びで済ませ…そいう言うだけだ…そうそうこの教室には『俺が自殺するまで虐めを止めない』そう言って『自殺ゲーム』だって言っていた奴もいたんだけどさぁ…せんせやせんせの家族も『自殺』に追い込んでも遊びで済ますんだよな」

そう言いながら、素手で顔を叩いた。

ぱーーんっ。

「お前…」

「どうする?」

「俺は、そこ迄の事だなんて知らなかった…」

「なら、此処のクラスの奴、全員停学にできるのか? 少なからず関わっているんだ」

まぁ…かなり大袈裟にしてある。

互いに誰が何をしたかなんて…誰も把握してない。

「田向くん…私は何もしてないわ」

「したよ…『虐めは無かった』そうアンケートに答えただろう…なぁこれってお前を例えば犯すとするじゃん…それで周りの人間が『此奴は犯されていない』って答えて加害者が何も咎められなかったら恨まないか? なんなら…仲間集めて輪姦してやろうか?被害者にならないと解らないのかな、三上委員長」

「だけど、そんな酷い事、されて…」

「されていたよ、裸にされて、肛門に試験管を突っ込まれて蹴りいれられた…知っているか? もし試験官が割れたら、真面にウンコが出来なくなるんだ…運が悪ければ垂れ流し…それがお前等のせいで無かった事にされた」

これは嘘だ…しいて言うなら俺が竜二の時に瓶でやった事だ。

「そんな…私はそこ迄とは知らなかったの…」

「別に良いよ…だってお前達が俺に同じ事をされた時に『あれは遊びの範疇だから』そう思って我慢してくれれば良いだけだ」

「そんな..」

「それで委員長、俺の子妊娠するのと肛門が使えなくなるの…どっちが良い?」

「いや、いや、私は…」

「だったらもうムカつく言い方やめろよ、目立たなければ、俺も暇じゃないし、お前みたいなブス態々犯さねーからな」

「…ごごめんなさい…」

馬鹿だな…関わらなければ良いのに…

「それで、せんせ…いい加減食べるかどうか決めてくれませんか」

「食べる…それで良いんだろう…」

「あっ、せんせ、此処で食べて下さいね」

俺は緑川の給食を床に置いた。

床にに這いつくばり給食を食べる緑川の姿は正に犬だった。

壊すしかない。
緑川は他の教師には話さなかったのか、特に職員室に呼ばれる事は無かった。

教室の奴らあれからは腫れものでも触るかの様に静かだ。

こちらから話掛けない限り、向こうから話しかけて来るのは萌子位だ。

「この教室に、田向良治って奴いるか?」

いきなり、2年生の森崎が教室に入ってきた。

「俺がそうだけど?」

「お前が…そうか? 哲也や石川に相当酷い事した様じゃないか?」

「それは」

「何でお前話しているんだ? 今は俺が話しているんだろうがぁぁぁーーあん」

「…」

此奴、俺に話させないつもりか?

「まぁ、良い、石川から話は聞いた、お前、放課後裏庭に来い、解ったな」

「先輩に関わりたくないから逃げますよ」

「逃げたら、萌子ちゃんが犠牲になるかもな?」

石川が…俺が萌子と付き合っている事話したのか?

金が無いと聞いたから手加減しようと思ったが…チクったんならもう手加減の必要はないな。

「仕方がない…行きますよ」

「そうそう、人間素直じゃなくちゃな? なぁに素直になるなら殺さないよ、俺は優しいからな」

卑怯な方法取りやがって…笑えるな。

馬鹿な奴、萌子はこの教室に居る。

俺が同じ方法をとるなら、まず女は抑える…そして犯した後にボコる。

その状態から交渉する…そうすれば相手に怖さを伝えられるし『危ない奴』だと相手に認識させられる。

馬鹿な奴だ(笑)

「悪い、萌子、今日は1人で帰ってくれ」

「良治大丈夫?」

「萌子が捕まらなければ、俺は負けねーから、大丈夫だ」

「そう、それなら平気だね」

俺は万が一に備えて、萌子を早退させた。

門まで送っていったから大丈夫だろう。

◆◆◆

放課後になった。

俺は1人で裏庭に行った。

正確には裏庭の物置小屋の中だ。

森崎がそこで待っていた。

此奴、なんで一人なんだ?

最低でも三人はいると思っていたが。

「お前さぁ、喧嘩は仕方ねーにしろ、武器は駄目だろうが」

「先輩、相手は3人ですよ…どっちが卑怯なんだか」

「あん、何口答えしてんの? それを決めるのは俺、お前じゃねーよ!」

「ハイハイ、で、俺は何をすれば良いんですか? グハッ」

此奴いきなり腹を殴ってきやがった。

「何で俺が一人で来たか解るか? お前がそう言う事を言うと思ったからよ…だから一人なんだよ…取り敢えずは半殺しだ」

「グ八ッ うえええーーっ」

「オラ、オラ…どうだ? 俺は格闘技を幾つか習っているからな、卑怯な事しなくても強ぇぇぇんだよ」

糞っ、此の体弱ぇぇな。

ちょっと腹を殴られた位で吐くなんて。

「すいません」

「なんだ、お前ぇ、石川が恐ろしく強いって言っていたが..弱ぇぇじゃん、オラよぉぉーーっ」

吐いて蹲ったら蹴りかよ。

案外えげつがねーな…痛てぇーな。

この馬鹿が絡んで来なければ、今日は石川から集金してまた萌子とホテルにしけこむつもりだったのによーーっ。

まぁ良い、喧嘩は勝てば良いんだ。

「森崎先輩…ハァハァ勘弁してくだ…さい」

「もう詫びいれるんかぁーーっあん、だが止めねーよ」

「グハッ、ハァハァもう勘弁してください…」

「いあや、まだだ、だが詫びる気があるなら土下座しろ…土下座」

「解りました…」

俺は森崎の前で土下座した。

「最初から、素直に謝れば良いんだよ…根性無しが ぺっ」

汚ねーな唾かけやがった。

「すみません」

俺は隠し持っていたカイザーナックルで目の前の膝の皿を殴った。

思いっきり…

「ぎゃぁぁぁーーっ、貴様ぁぁぁ卑怯だぞハァハァ」

俺は手を緩めない。

そのまましがみ付き、左膝の皿から脛迄力いっぱい殴った。

「ハァハァハァ」

「ぎゃぁぁぁぁーーっ離せ、話せよーーーーっ」

此奴は空手をはじめ幾つかの格闘技を習っている。

だから…壊すしかない。

そうしないと…次は負ける。

本当なら殺してしまうのが一番良いが…流石にそれは不味い。

『だから、弱くした』

膝の皿から脛迄力強く殴った。

ここ迄すれば、もう終わりだ。

現実は漫画や小説と違う。

此奴はこれで暫くはギブス生活…そして多分、障害は残る。

もう此奴は怖くない。

治ってもローキック1発で倒せる。

「ハァハァ、離してやるよ」

俺の腕を振りほどいたと同時に森崎はその場で倒れ込んだ。

「痛ぇぇぇぇl――っ」

「馬鹿みたいだ…大物ぶるからこうなるんだよ、先輩…もうあんた、スクラップだよ。そこまで壊せばもう、真面に格闘技なんかできねーな、終わりだ」

「田向――っ、貴様ぁぁぁーー殺うんぐっ?」

「そう言う事は言わねー方が良いのにな、俺は小刀を横にして口に入れ少しだけ引いた」

森崎の口がほんの僅かだが裂けた。

「いはいぇぇぇぇーーつ、おうえの口がぁぁぁーーっ」

「馬鹿だな、そんなに暴れるから、手元が狂って結構裂けたし、舌も切っただろうが、まぁ自業自得だ」

「そうな..」

「先輩、もう片足は真面に下手したら生涯動かねー、詫びるなら今がチャンスですよ、もう先輩は1年の女子にすら勝てない位弱いんすから….先輩、俺に謝った方が良いんじゃねーか」

「すまない」

「先輩、それじゃ駄目だろう? 先輩が言ったように土下座だよ土下座」

「足が、痛くてハァハァ無理だ…」

「知らねーよ」

俺は、森崎の近くまで行くと、耳を少しだけ切った。

ミチっ。

「あああっ、耳が耳が…俺の耳―――っ」

「少し切れ込みを入れただけですよ…先輩、今の所問題はないですが..この状態で思いっきり引くと簡単に耳が千切れるんだぜ」

「止めて、止めてくれ」

「あのさぁ、先輩どう言う風に聞いたから知らねーけど、元は彼奴らが俺を虐めて金をとったんだぜ…それは誰に聞いても知っている、今の俺は返済して貰っているだけだ、それで誰が悪いんだ? 教えてくれよ..」

「俺は知らなかったんだ、ハァハァ」

「な.ら.ば….口を挟むべきじゃ無かったな…それでさぁ…石川が悪いって言うのは解かったんだよな? 今度から石川の返済が遅れたら、森崎先輩が払えよ」

「何で俺が…ハァハァ」

「だって先輩、石川の仲間なんだよな…なら仕方ねーじゃん」

そう言いながら俺は森崎の足を踏んだ…

「いたっぎゃぁぁぁぁーーっ」

「先輩、よろしくな」

石川…本当にムカつく。

折角、手心加えてやったのによ…

潰すに限る

「取り敢えず、森崎先輩よーーっ有り金貰うな! 石川の分の返済金…チェ、しけてやんな~たったの3万円か」

馬鹿だ此奴…中途半端…覚悟もねぇ―癖にシャシャリ出るからこうなる。

「俺は関係ない..うわぁぁぁぁーーっ」

最早此奴はスクラップ、この足のせいで最早未来は無い。

不良やチンピラとしては此処を蹴れば立てない位の障害は残るだろうし、スポーツ関係はもう無理だ。

「先輩さぁ…もうお前はこの中学じゃ最弱だぜ、女にも多分勝てねーよ? なんなら萌子とタイマン張ってみる? 多分秒殺されるんじゃねーかな…逆らわない方が良いんじゃねーか?」

「ああん、そんな訳ねぇ~痛ぇぇぇーーっ止めて、止めてくれーーーっ」

「なぁ? もうその足は元には戻らねーよ…お前の人生はもう終わりだ。もはやこの中学じゃ底辺だぜ…あっ、その足は自分でやったんだよな?」

「そんな訳あるか…チクってやる、ここ迄やったんだ、警察だって」

「そうか…一端の不良を気取ってそれ…良いぜ、言いつければ、だが、それを言ったら、俺は過去の虐めについて語っちまうよ? 哲也に石川に久保田…それに三年の先輩迄吊し上げだ…なぁ、先輩たちの進学や就職をふいにしたら、お前恨まれるよな。多分この中学全部に関わる問題だから、恐らく教師は俺を守るぜ。事実、俺の虐めは無かった、そうした学校だからだ。その結果、お前は本人たちだけじゃなく、教師に親達からも恨まれて、もうこの街に住めねーんじゃねーか?  泣き寝入りするのが一番だぜ。 大体この学校のルールじゃ『チクらない』それがルールだろう」

「この野郎…覚えておけ、俺の裏には先輩、そしてこの辺りを仕切る暴走族が…ぎゃぁぁぁーーっ止めろーーっ」

「おーこわっ…怖いから足だけじゃ心配だから…手も奪っておくわ(笑)」

カイザーナックルを嵌めた状態で、此奴の右手を床につけた状態でおもいっきり殴った。

グシャッと音を立てて、手が潰れた。

骨も飛び出しているから、もう終わりだな。

「うわぁぁぁぁーーーーーっ」

「俺の事がもしバレたらさぁ…お前の家族が同じ思いをすると思うな…それに今度は『殺しちゃうかも知れないぜ』それで…?」

「ハァハァ、これにお前は関係ない…これで良いんだろう?」

「あれ…なんだそれ、俺はお前が怪我しているのを見て声を掛けた親切な人じゃねーのか? 先輩だいじょうぶですかーーっ、早退して病院行った方が良いですよ?」

「ああっ…大丈夫だ、早退して病院に行くから」

「そうですか…お大事に」

一応は不良なのか…よれよれしながらも立ちあがって去っていった。

此奴は『案外化けた』かもしんねー。

叫びはしたがここ迄して涙を流してねーからな。

まぁ、それも此処で終わりだ..もうスクラップ。

ここからはもう這い上がれねーな。

終わりだ、終わり…強くなる可能性のある奴は『そうなる前に潰す』それに限る。

トレジャーハンター

俺はすぐに、石川の家に行った。

本当にこいつ等ムカつくなぁ~。

散々ぱら虐めていた時は『逃がさねー』とか言っていた癖に自分がその立場になったら逃げやがって…本当にふざけてやがる。

ピンポーン。

しかし、萌子の奴、石川は貧乏だって言ってやがったが…普通じゃんか。

確かに哲也や久保田みたいな金持ちじゃねーが、これどう見ても持ち家だろうが。

まぁ小さいけど、ガレージには車もある…軽だけどな新しいお洒落な奴だ。

萌子や俺みたいな本当の貧乏じゃねーよ。

ピンポーン。

居るのは解っているんだ、早く出ろや。

ピンポーン。

俺はインターホンに一方的にしゃべった。

「居留守使うなら構わねーけどさぁ、この車のミラーをもぎ取って、お前の妹に責任負わせるぜ。幼稚園児には流石に俺は惨い事したくねーんだけど!」

直ぐに扉をあけに来た。

やっぱり、居たじゃねーか?

居留守使いやがって。

「良治..お前…馬鹿な奴だ、俺の裏には森崎先輩がついているんだ、その顔は早速、焼き入れられて謝りにきたのか? 俺は情け深いから許してやるかもしれねーぞ、まずは土下座しろや」

スマホもあるのに連絡も、まぁ森崎も病院送り、連絡は無理だな…多分此奴は森崎に頼んで方がついたと思っているんだろ…

「お前さぁ、あの狂犬みたいな先輩に頼んだのか…」

態と殊勝な態度に出てやった。

まぁ俺も怪我しているから『負けた』ように見えるだろうしな。

「ああっそうだぜ、流石のお前も…うがああっ」

「おかげでその狂犬をぶっ倒すのによー怪我しちまったぜ、今日は萌子とデートする筈がパーだ、なぁ、借金踏み倒して、狂犬までけしかけた、お前は哲也や久保田位じゃすまさねーよ…これから地獄を味わせてやるかんよー」

ぷっははは、此奴泣きそうな顔してやがんの。

「まさか、森崎先輩が負けた…のか」

「ああっスクラップだな、もう真面に歩けねーかも知れないし…手も使えねーよ、全部お前のせいだ…完全に恨まれるな…ああっお前は森崎位じゃすまさねーよ、ほらよ」

俺はジッポのオイルを思いっきり、ぶっかけた。

「あああっ、ああ止めてくれ…それは嫌だぁぁぁぁーーーっ」

流石に哲也の状況を考えたら怖えか?

「場合によっては考えるぜ…お前の家は貧乏そうだしトレジャーハンターさせてくれればいいぜ」

「それは…なんだ」

「簡単な事だ、お前の家から俺が好きな物を5個貰う、それをお前が許可するだけで助けてやるよ」

「待ってくれ…まさか通帳とかは」

「そういう物は手を出さない、クレカや通帳は対象外で良いぜ、だが宝石や時計は貰うよ」

「そんな…」

俺はジッポを取り出した。

そのまま…

「ヒィ..解かった」

「それじゃお前は自分の部屋から出るなよ…探すのに気が散るからな。持っていくときにちゃんと受け渡し書類も作るから安心しろ、お前にも見せて確認するから」

「解かったよ…それで見逃してくれるんだな」

「ああっ、今日の所はいいぜ」

さてと、石川は部屋に帰ったし…探すとするか…

大体こう言う家の奴は何処にも預けずに持っている筈だ。

寝室のクローゼットとかに…あはははっビンゴ。

家と土地の『登記済証(識別情報)』あると思った。

良くドラマでヤクザが持っていく定番だがこれだけじゃ意味が無い。

本当に換金したければ『実印』と『印鑑登録カード』この3つが無ければ意味が無い。

逆をかえせば、この3つがあれば裏で金に換えられる。

流石にガキの喧嘩に此処までしたく無かったが此奴が悪いんだぜ。

借金踏み倒した挙句、あんな駄犬(笑)けし掛けたんだ…

洋物のエロ本があるじゃん、親父のか?

こいつに登記済証を挟んでとおっと、コンドームがあった。別に要らねーけどこの箱に実印と印鑑登録カードを入れたらこれで2つと。

あとは適当に 時計に金のネックレスにこの指輪で良いか。

これで5個..ああっこれで良いな。

『借金の返済の一部に時計、ネックレス 指輪 エロ本 コンドームを押収する』

そう書いた書類を作った。まぁ後半に少し余白を入れたけどな。

「待たせたな、石川これを貰っていくわ…これで今日の所は勘弁してやる」

「そんな、その指輪とネックレスは出来たら止めてくれ」

「駄目だな、今回は制裁だから、どうしてもって言うなら明日10万持ってくるなら、指輪とネックレスと時計は止めてやるよ」

「10万ならどうにか預金があるから、必ずおろして持っていく…それで良いか? コンドームとエロ本も止めてくれないか..親から変に思われる」

どうせ、この三つはダミーだ。

別に返しても問題無い

「そいつは駄目だ、今回の罰は『お前が親からの信頼を無くす』その制裁だ。だからこの二つは無理な相談だ。父親のエロ本と親のコンドームを盗む息子…ははは笑えるな、それと10万で取り敢えずは手うちだ…明日の分は負けてやる、その代わり明後日から三人で2万、もう忘れるなよ…今度は燃やすからな」

「ああっ、解ったよ…」

「あん?解りましただろうが! やっぱり森崎に殴られて痛かったから一発殴るか?」

「解りました…スイマセンでした」

「次はねーからな」

「はい」

俺は書いた書類からネックレス、指輪、時計を消して書類にサインさせ、エロ本とコンドームを鞄に入れると石川の家を後にした。

【解説】6

【解説】6

良くヤクザが『土地の権利書寄こせや』と脅しをかけるシーンがあるが、実際には実印と印鑑登録カードと3つ揃わないと意味が無い。

その為、この3つを持って来させる事件は結構あった。

これはどちらかと言えば闇金の話しだ。

だが、昭和の頃の事件に暴走族が学生を脅してこれらの書類を持って来させる事件があった。

昭和の頃は結構学生に追い込みをかける大人は少なからず存在した。

顔つなぎ
今日は少し働くか…

俺は働かないで金が欲しいんだが…仕方ないな。

バイクも車もガキだから運転できねーし、本当につまらねーな。

ここ迄やれば、次は三年、その後は族とか出てくるかーーっ。

族の中に1人暮らししている奴とか居ねーかな!

そうしたら、部屋が手に入ってラッキーなんだが。

中学生じゃ部屋も借りられねー…本当に不便だ。

◆◆◆

新宿の風俗街の裏道に来た。

こう言う場所には闇金がある。

闇金と言っても『普通の闇金』(笑)は案外真面な所も多くグレーゾーンを保っている会社も多い。

そう言う所は危ない事に手を出さない。

だから、本当に真っ黒の会社。

トイチどころかカラス銭の会社を探す必要がある。

※カラス銭とは1日待たないで利子が1割つく会社。カラスが鳴く頃(夕方)には利子がつくからこう呼ばれた。

そんな会社に権利証なんて預けたら、まぁおしまいだが、所詮は他人…どうなっても知らない。

風俗街の雑居ビル、明かに真面じゃない場所にそう言う会社はある。

『他店で断られた方』『風俗、水商売OK』そんな事が書いてある会社を探す。

必ずしも、そうとは限らないが、かなりの率でビンゴだ。

あった。

『ローズ』

どう見ても金融とは思えない怪しい名前、明かにやばそうな雰囲気。

だが、それが良い…ドアをあけた。

「なんだ、お前、ガキがなんのようだ?」

いいねーこれ。

いきなり、強面のヤクザばりの人間がすごむ。

これなら期待が高い。

「いや、土地の権利証の買い取りをお願いしてーんだ。訳ありだからトリ1で構わない」

「ほう? トリ1? お前こう言う事は初めてじゃねーな」

「社長どう見てもガキですよ」

社長と呼ばれた男以外にも若くチンピラの様な男もいる。

まるで何処かの街金の映画の様な雰囲気だ。

「まぁ、良い話してみな!」

俺は嘘と本当の話しを混ぜて話した。

簡単に言えば、自分は未成年だが、こういう危ない橋を渡っている。

今迄は知り合いを通して売っていたが『その知り合い』が居なくなって困っている。
まぁ、こんな感じだ。

「成程な…だが、家や土地の権利書だけじゃ二束三文だ」

「解っている…ちゃんと印鑑登録も実印もある」

「ガキの癖にやるなぁ~」

「おい、ガキじゃねーよ。ちゃんと商売になるならお客様だ、言葉に気をつけろ」

「すいません、お客様も勘弁な」

「別に気にしてないぜ、本当にガキだからな…それよりこれだ」

「ほう~本当に書類が全部揃っているな、これなら金になる。あの辺りでこれなら2500万って所だな。トリ1で250万、手数料ひいて220万でどうだ! 勿論、詮索は一切無しだ」

詮索無しなしで初めての相手にこれなら良心的だ。

文句は無い。

「今回は顔つなぎも含んで、200万で構わない、そのかわり現金でくれないか」

「お客さん、随分場慣れしているな…解かった。持っていきな」

「有難う、これからも宜しく頼む」

まぁこんな物か。

俺は今の時代の事は余り知らねー。

昔と同じ様な金融があって良かったとしか思えねー。

しかも『これで困った事が起きた時』に利用できる相手が出来た。

良い人脈が手に入ったぜ。

この時代、シンナ―もトルエンもガキはやらねーみたいだから…かわる物が後は欲しいな。

とりあえずは金が手に入った。

今日はお袋に土産を買って帰って、明日は萌子と遊びに行くか。

俺は全額銀行口座に入れた。

土産の金なら充分あるし、明日は10万手に入る…これは今は使わねーで良いな。

クズでもクズなりの恩義はある。
確か『今の母親』はシュウマイが好きだった筈だ。

今の俺は良治だが、竜二の記憶の方が強い。

だが、良治の記憶もしっかりと残っていて記憶している。

俺の今の母親 郁美は竜二だった時の母親と全然違い良い人だ。

貧乏ではあるが、沢山働いて金を稼いで俺を育ててくれていた。

俺は自他ともに認めるクズだが『養ってくれた親』に恩義を感じない程のクズじゃない。

前の親がクズ過ぎて、今の親とは比べ物にならない…

だが、今の母親が『良治』を愛している…その位は解かる。

俺は善人には絶対になれねー。

俺は俺のやり方で恩義は返すつもりだ。

まぁ、ガキの状態じゃ…大した事は出来ないがな。

確か、今の母親詩織が好きなのは横浜中華のシュウマイ弁当だった筈だ。

これは新宿駅でも駅弁として売っていたから買いだ。

それと服とかは流石にサイズは解らねーし、指輪のサイズも解んねーな。

見た感じだとサイフがかなりくたびれていたから、買ってやるか?

余り高いのを買うと怪しまれるかんな。

コーチャー位のブランドで良いだろう…予算は2万位だ。

これ位なら、虐めっこに立ち向かって『金をかえして貰った』それで済む筈だ。
しかし…哲也にしても久保田にしても石川にしても本当にクズだな。

なんで俺みたいな貧乏人から奪うんだ?

良治もクズだ…母子家庭で金がねーのに、母親が一生懸命働いた金を財布から抜いて渡していたんだからな…そんな事する位なら、死ぬ気で喧嘩しろって言うんだよ。

更に、死ぬなら遺書でも書いて…全員の名前を乗せてからせめて死ねよ。

まぁ良いか?

良治が虐められていたせいで、幾らでも『復讐』のネタはある。

これから更に好き放題出来るから…そこだけは感謝だな。

石川はもう終わりだろう…土地や家の権利証に印鑑証明や実印は普段は使わないから無くなった事にはそう簡単に気がつかない。

彼奴らが行動を起こす時にはもう名義は変わっている。

多分『何も知らないで買い取った、善意の第三者に化ける』だろうから、もう石川家に家も土地も戻らない。

どうしても欲しいなら買い戻すしかねーが、あの雰囲気なら買い戻せねーだろうな。

石川は明日10万持ってきて、後は搾れるだけ搾ったら…もう終わりだな。

家なき子になるし、哲也と違って、家族全員で引っ越すはめになるんじゃねーかな。

次は哲也だ…自分一人で逃げようとした結果何が起こるか…思い知らせてやる。

◆◆◆

「お姉さん、シュウマイ弁当の量が多い方二個と18個入り一つくれ」

「はい畏まりました」

これで弁当は手に入った…あぶねーあぶねー、最後の三個だった。

案外この弁当人気があるんだな。

次はと…

「お姉さん、予算2万円位で30代後半の女性が使う様なサイフで良さげなの頼むわ」

「そうですね、こんなの如何ですか?」

コーチャー独特の模様の入った生地に茶色の皮…こんな所か。

「良いね、これ買いますから包んで下さい」

「はい、お買い上げ有難うございます」

流石、デパートの店員中坊相手にこのスマイル。

プロだな。

さて用事もすんだし、買う物買ったから…帰るか。

逃げ得は許せねー
「ただいま~母さん」

「良治ちゃん、お帰りなさい、嘘、怪我しているじゃない。また母さん学校に抗議しにいくわ」

親が抗議して終わるなら虐めなんて発生しない。

「大丈夫だよ!母さん、俺だって虐められっぱなしじゃない、これからはやり返すから安心して」

ああっ、歯が浮く…やり返すってよりは『おもちゃ』だな。

今迄搾り取られた分は、何百倍にして返して貰う…それだけだ。

「本当に、大丈夫? その顔は…凄く怪我しているじゃない」

「そりゃ、男の子だからね…ほら母さん」

俺は、サイフとシューマイ弁当を差し出した。

「良治…これ?」

「ああっ、やり返したら、奪われた分の一部のお金を返してくれたんだ、それで買った。サイフはプレゼントだ。シューマイ弁当も買ってきたから、食べよう」

「良治ちゃん、頑張ったんだね。お母さん嬉しいわ」

いきなり抱き着かれた。

凄くうざい。

だが、これは愛情表現なのは解かる。

だから、目くじら立てる必要はないだろう。

「母さん苦しい」

「そんな事言わないの、母さん良治がしっかりしてくれて嬉しいんだから」

仕方ない。

この母親、郁美は良い母親だこれ位は我慢だな。

◆◆◆

「おはよう萌子」

「良治…流石に森崎先輩は無理だったかぁ~まぁ仕方ないよね」

そう言いながら腕を絡めてきた。

俺が負けてもあっけらかんとしていて、それでいて離れていこうとしない。

俺みたいな悪党には『良い女』だ。

「いや、ちょっと苦戦したけど、森崎はスクラップだ、勝ちか負けかなら俺の勝ちだ」

「森崎先輩に勝った…すごいじゃん」

「まぁな…だが、これだけ怪我しちまった」

「それで森崎は?」

もう『先輩』もつけねーのな、なかなか良い根性している。

「もう、真面に歩けねーし、物も満足に持てねーかな…まぁ人生真っ暗だな」

「凄いじゃん!勝ったって事だよね!流石に大袈裟だけど…」

本当にスクラップなんだが…それを誇張して言う意味はねーな。
「そんな訳で戦利品もあるし、別に金も入ってくる予定もある。今日はカラオケでも何でも萌子のいきたい所連れていってやるよ」

「やった~今日はカラオケは良いや、何か惜しい物食べに連れていってくれない」

「ああっ良いよ、連れていってやるよ」

そのまま学校に行くと、クラスの人間の様子は一変していた。

「おはよう」

「おはようございます…田向さん…失礼します」

「おはよう田向くん、それじゃ」

俺が挨拶する度に目を伏せて直ぐに目の前から立ち去ろうとする。

俺が怖いのか…うわはははっ怖ぇよな。

『森崎』ってあれでもこの辺りじゃ有名な不良だったんだぜ。

それがもうスクラップなんだからな。

もしかして噂を聞いたのか?

まぁ良い…

「よっ石川…ちゃんと持ってきたか?」

「…はい…10万円…あの、森崎さんが学校に来てなくて、その噂を」

「ああっ、森崎ならスクラップだ…人生終了だ」

なんだ此奴青い顔して…おおよその事は知っていただろうが。

「なぁ、田向…その森崎先輩、入院して手術するって聞いたんだ…学校中その噂で持ち切りなんだ…何したんだよ」

馬鹿か此奴、それを聞いてどうするんだ。

「ああっ、不良をしてれば怪我したり、死ぬのはあたり前だ…不良なんだからな…そんな気が無いなら不良なんて辞めちまえよ」

「おい…そんな物騒な事は…」

此奴は馬鹿か。

「あるんだよ、そういう世界だ」

「凄いね良治、本当に森崎先輩潰しちゃったんだ…流石」

「萌子、疑っていたのか? 俺は嘘は言わねーよ」

「そんな事ないよ…ちゃんと信じていたよ」

「なら、良いわ」

「あの…それじゃ俺行くから…」

「明日からちゃんと金持ってこいよ」

「解かった..」

石川はとりあえず、これで良い。

「久保田~」

「解っている..ほら1万円はいっている、これで許してくれ」

「まぁ良いよ…哲也は?」

「俺は知らねー…今日も学校に来てねーよ…」

もしかしてもう彼奴、転校手続きが終わる迄…来ないのか。

「そういえば、哲也の親父って家に余り居ないのか」

「そう言っていたよ」

萌子とのデートが終わったら行ってみるか…逃げ得はさせねーよ。

ディナー

萌子と一緒にフランス料理の店に来ている。

案外、当日でも予約ってとれるのな…

「良治…幾ら美味しい物って言っても此処は高過ぎない?」

女や仲間に見栄を張るなら高級な店に限る。

結構な門構えの店でも1人3万円見てればお釣りがくる場合も多い。

今日、予約入れたのは1万8千円のコースだ。

これでも上から2番目のコースで6品+デザートがつく。

最も飲み物は別、ワインを飲みたいが中坊だからジュースかウーロン茶だな。

「偶には良いんじゃねーか? 何時もお互いに貧乏しているんだからな」

「だけど、良治、本当に大丈夫?」

「気にするな…この位は何とかなる」

萌子と話していると店員が気がついたようだ。

「予約した田向です」

「ご予約頂いた田向様ですね、どうぞ」

ここはビルに入っていて景色が良い。

窓の近くの景色の良いテーブルに案内してくれた。

勿論、ドレスコードはあるが、ネクタイ着用までの厳しい物ではなくTシャツジーンズは駄目という軽い物。

案外、学生服とセーラー服は万能で厳しくないお店ならドレスコートをクリアしている。

あらかじめ、自分達が未成年であることは伝えてあるから、余計な詮索は無かった。

『親からのご褒美』そんな感じで予約をとった。

「お飲み物は何にしますか?」

「ウーロン茶を」

「コーラでお願いします」

萌子は何だか緊張しているな。

俺は、今は兎も角『慣れている』から大丈夫だ。

ヤクザを破門になる様な俺だが、悪い事するには『見栄』も必要だ。

弟分に見栄を張る為に、料亭もこう言う店も経験済みだ。

結構、厳しく…マナーが出来ないと『兄貴分や親分に恥をかかせた』と鉄拳制裁は当たり前だ。

座る位置を間違えたと言うだけで指が無くなる。

ヤクザも少し上になったら…案外マナーは出来ないと洒落にならない。

「メインはお魚とお肉から選べます、魚料理はヒラメの包み焼きで、肉料理は子牛のソテーです」

「それじゃ俺は肉料理で、萌子はどうする?」

「私も肉で」

「畏まりました」

それから、直ぐに前菜が出てきた。

「前菜はサーモンを使いクリーム状にムースにした..」

料理の説明が始まり…

「外側の小さなスプーンをお使い下さい」

最近はテーブルマナーも楽だ。

どれを使って食べれば良いかしっかりと説明してくれる。

食べる時に音でも立てなければ、マナー違反にはならない。

「なっ、萌子、余り気にしないで良かっただろう?」

「知らなかったぁ~ちゃんと教えてくれるんだ」

「ああっ、ドラマと違って料理の説明と同時に、ちゃんと説明してくれるんだぜ」

まぁ、あらかじめお願いすればだがな。

こんなサービスは普通にあるなんて知らない事の方が多いよな。

「案外らくだね」

「まぁな」

「お飲み物h如何ですか? パンの追加は如何でしょうか?」

「それじゃ、俺はウーロン茶とパンの追加お願いします」

「私はオレンジジュース、パンは大丈夫です」

「畏まりました」

楽しい食事の時間は案外早く終わった。

◆◆◆

「良治、ありがとう」

「俺の女だからな、これ位はしてやるよ」

「それじゃあ、私今日は頑張っちゃおうかな?」

「今日はそれは良い」

「嘘、まさか私に飽きちゃったとか言わないよね?」

「言わない、今日はこれから仕事だ、仕事、その代わり明日はこのホテルで一晩中返さないからな」

偶にはこう言うのも良いだろう。

「嘘、ここ高級ホテルだよ…高いよ」

「気にするな、その代わりちゃんと親に泊りの説明しておけよ」

「うん、ちゃんとしておくよ」

「なら良い」

俺は萌子を家まで送っていった。

しかし、何時も自分から腕を絡めてくるし、バカップルに周りから見える位いちゃついてくる。

哲也とは本当に付き合う…そこ迄いって無いかもしれないな。

「さようなら」

「また明日」

さぁ、これから哲也に追い込みを掛けないとな。

【解説】7
昭和から平成に変わると不良も一変した。

ヤンキーからチーマーに変わり『金を稼ぐ』のが得意な不良が台頭し始めた。

ヤクザも暴力から金の時代へ。

暴力もより複雑な物へ変わっていった。

クラブを借りきったり、一晩で数百万使う様な不良も現れた。

不良の世界にも、ドラッグや売春も入り込み、女に体を売らせて金にしたり、薬の売人の不良もいた。

タイマンや正々堂々も薄れ、集団リンチ等も多くなった。

ある意味未成年による残酷な事件はこの時代が多かった気がする。

哲也の家族

「嫌ぁぁぁぁー――やめてぇー-っ」

「娘、娘だけは勘弁して下さいぃぃぃー-っ」

馬鹿な奴ら、女二人しかいないのに説教なんてするからだ。

しかもよ…本当は自分の息子が悪い癖に俺を責めやがったからこうなるんだ。

『本当の馬鹿だ』これで、この女と結婚するまともな奴はいねーだろうな。

そしに婆ぁもおしまいだ。

時は少しさかのぼる。

◆◆◆

ピンポーン。

でやしねーし。

ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン。

「うるさいわね、一体何回、鳴らせば気が済むの」

ようやく出てきたわ。

しかし、金持ちだからか、たぶん此奴が哲也の母親だな。

確か千鶴とかいったよな。

「俺は田向と申します。哲也に用があってきたんですが」

「哲也に?ようがあるなら、私が聞くわ」

俺は哲也に金を貸していることを話した。

しかも、暴力をふるって持って行ったことも逐一だ。

「嘘言わないで! 哲也がそんな事するわけないでしょう?」

キンキン声で怒鳴ってきやがった。

俺はこのキンキン声が嫌いだ。

どうせ、哲也は『あの事』は話していないだろう。

此奴はこのまま自滅させてやろう。

「はぁ? 何言っているんだ、哲也は1年を取り仕切る大不良ですよ? この間だってたばこに薬物を仲間とつるんでやっていて火傷したんじゃないですか?」

「確かに火傷したけど、あれは…そう子供のちょっとした遊びで怪我したのよ、馬鹿な事言わないで」

キンキン声がむかつくが色っぽいなこの婆ぁ。

まぁ、おそらくは40歳超えているはずだが、まだ20台半ばに見える、スレンダーでなかなか…まぁ大人の色気があるな。

顔を歪ませて文句言うのはすげー、むかつくけどな。

「母さん、どうしたの大きな声で」

此奴が、哲也の姉貴の千春か…こっちは胸が大きくてエロイ。

顔は清楚だが体がすげーな。

「この子が、哲也のことを悪く言うのよ…本当に頭くるわ」

「哲也が悪いことするわけないわ!母さん、その子が哲也を虐めていた子じゃないの?」

「そうね、あなたが哲也を悪い道に引き込んだ子なのね…暴力的で絶対にそうだわ」

「だから、俺は哲也に脅されて金をとられたから、返して欲しい。それだけを」

「いい加減にして、哲也がそんなことするわけないわ」

「そうよ…ふざけないで、これだから不良は」

不良はお前たちの家族も同じだぜ。

「哲也は何処にいるんだ? 当人と話せばわかるはずだ」

「残念だったわね、哲也は引っ越して転校するのよ、もう何もできないわ」

「残念ね」

そうかよ…まぁ解っていたけどな(笑)

しかし、金持ちの家はしっかりしているな…防音もしっかりしているから多分『悲鳴も聞こえない』

俺は靴も脱がずにそのまま奥に入っていった。

「待ちなさい、何やっているの? 警察を呼ぶわよ!」

「これは不法侵入だわ、犯罪者」

馬鹿なやつ。

自滅しやがった。

玄関口、あそこが此奴らの唯一のチャンスだった。

あそこでどちらかが俺を止めて警察に電話を掛ければ『引き分け』だった。

まぁ、それでも『終わりだ』

俺は哲也の『いじめ』の証拠をもっているから、あいつも終わる。

だが…それも今はできない。

寝室の前の扉。

ここまで来たら、もう『逃げられねーよ』

俺は思いっきり千鶴を殴った。

さすがにカイザーナックルは使わない。

「きゃぁぁぁー――母さんに何するのよ! 許さないわ..あぁぁぁぁー―――っ痛いっ」

もちろん、千春にも蹴りを入れた。

そして、俺は哲也の『いじめ』の証拠をぶんなげた。

良治は『しっかり証拠』を持っていてくれたから楽勝だ。

「それ、見てみろよ、哲也がどれだけクズかわかるぜ」

「嘘よ、こんなの合成だわ」

「そうよ」

俺はスマホで哲也が恐喝している声を聴かせた。

「これは、本当に哲也は…ああっ」

「そんな」

「そんなじゃ無いですよ? 適当に誰でも良いから学生に聞いてみてくれ、哲也こそが1年の不良を束ねている悪人だ。俺は哲也に虐められて『自殺未遂』までしたんだ。第一、何回もうちの親が学校に行って苦情を入れたはずだ」

「確かに聞いているわ、だけど主人が対応したから知らないわ、主人からは『子供同士のたかが喧嘩』そう聞いたわ」

「子供同士よくあることでしょう?」

「恐喝と暴行が『たかが?』 俺はその地獄に長い間耐えてきた。だったら、それがどういうものか体験させてやる」

俺は二人の左側の顔面を殴りつけた。

片側に絞る事で鼻を避けるから重症にはならない。

それに反対側を向かせれば『醜く腫れた顔』を見ないですむからやる時に萎えない。

「やめて、やめて下さい。嫌ぁぁぁ誰か、誰かぁぁぁー-」

千春がいまドアから出ようとしたな。

「千春さんよー-っ! 逃げるのか? 別に良いぜ、だが、警察を呼んで来た時にはお前の母さん…死んでいるぞ、あん? それで良いなら逃げなよ…あぁあ可哀そうに、お前のせいで母親が死ぬんだ」

「千春、私は良いから、早く」

「うるせい、こらっ…はい千春さん、ジ.エンド。もう遅い…何逃げようとしているんだ!」

「嫌ぁぁぁー-やめて、やめてー-っ」

「お願いだから、謝ります、謝りますからぁぁぁぁー――っ」

馬鹿か此奴ら。

「止めるわけねーだろうが…はぁはぁ哲也だって止めた事はねーんだから」

まぁ、ここまでの暴力はあいつはしてねーけどな。

それでも良治を自殺未遂まで追いこんだ事は事実。

権力を使って『無かった事にした』それも事実。

「そんな…そんな..哲也がそんな」

「嘘よ、嘘…」

「嘘じゃねーよ、さっき証拠を見せただろうが…まずは金の話だ、哲也が俺から分捕った金返せよ。お前ら金持ちなんだろう?」

「解りました返します、返すから娘にひどいことしないで、娘は婚約中なの、だから」

「私もお金ですむなら…払うわだから止めて」

「『まずは』そういったよな?」

俺は二人の髪を引っ張り転がすと足錠を二人の手足に掛けた。

最近はこういうマニアックな物も通販で手に入って楽だな。

足錠は手錠の鎖を長くした物だが、もちろん手錠にも使える。

手錠を手足に掛けると『使うのに不便』だから余裕のあるこれの方が色々楽しめる。

その分、抵抗はされやすいがな。

「そうだな、まずは現金500万な?」

「500万、そんなお金哲也がとるわけないわ」

「それは嘘よ」

「確かに哲也が持っていったのは200万円弱だ、だがその金を俺がどうやって手に入れたと思う? 売春させられたのさ…それでも足りない分はやばいところから歳ごまかして借りた…だから利子が溜まって今じゃ500万円な訳だ? なぁこれって『子供の喧嘩』の範疇?」

「嘘だわ、あなた男じゃない」

「そうよ…」

『あいつらに金を払えば』本当に返却済みの借用書位用意してくれるだろう。

礼金に金をとられるだろうが。

「あのさぁ、千鶴さんに千春さんよー。俺はさぁ、哲也とその仲間に裸にされて女子の前で試験管を尻から入れられて蹴り入れられたんだよ? 俺のいじめの証拠には肛門の傷の診断書があったのはそれ…それが俺が異性の前で裸になった初めての体験だ。どう思う?それはさておき『男の売春』は女が相手じゃねーんだよ『相手は男だ』なぁ、暴力でそれをさせる、息子や弟をどう思う?」

まぁこれは真っ赤な嘘だ。

しいていうなら俺が昔やった事だ。

『男相手に体を売る偽ホストクラブ』にむかつくガキを売り飛ばした。

懐かしい思い出だ。

「そんな、そんな嘘よ、嘘よ」

「哲也がそんな事するわけ…ないわ」

「いくら言っても駄目だろう? 証拠があるんだ、まぁ全部じゃないけどな、多いときは1日7万だぜ、うちは母子家庭だから、あんたの所と違って金ねーんだよ。裕福なのに金をとるなんてゴミだろう? なぁ7万なんて金、体売らなけりゃつくれねーし、闇金から金借りなくちゃ払えねーよ」

「解ったわ、その500万、私が払います、それで許して頂戴」

「そう、払うわ、それで良いでしょう?」

「良いわけねーだろう? 俺さぁ、お前の息子や弟のせいで『すごく汚れちまった』 なぁ、男が男にフェラチオする気持ちが解るか? 臭いちんこ咥えた時は凄く惨めだったぜ。しかも俺の尻にぶち込まれたんだ…だからよ、お前たちにも体でも返してもらう…『女が男に犯される』それでも俺よりはまだ幸せな筈だ」

「止めて、私が相手します…だから娘だけは見逃して下さい…お願いよ、お願いだから…あなたがした事、された事全部して良い…だから娘だけは見逃して、お願い」

「嫌ぁ嫌ぁ嫌ぁぁぁー――っ助けて誠二さんー-っ」

「駄目だな…哲也だって止めてくれなかったんだから」

「娘だけはー-っ娘だけは止めてー-っ」

「嫌ぁぁぁぁー―――っ」

俺は千春の白いブラウスを剥ぎ取りそのままスカートとパンティを剥ぎ取り犯した。

「嫌ぁぁぁぁ止めて嫌ぁぁぁ、許して、許してよー-っ」

「そんな、千春ぅー-千春―――っ、娘は娘だけは許して…何でもしますから、私がしますからー-っ」

「うるせーな」

千春は結構抵抗したから、マジで顔面殴った。

顔は泣いていたせいか目が腫れて殴り続けたせいかかなり目が腫れてすげー不細工だ。

「誠二さん…誠二さん…たすけ…て」

そうだ、面白いこと思いついた…

「そうだ、これ以上逆らうなら、これから写真をとって誠二さんに送ってやろう…あった」

俺は近くに落ちていた千春のスマホを手に取った。

「ビンゴっ誠二さんのアドレスあるじゃん…そーれ」

「嫌、嫌嫌ぁぁぁぁー-撮らないでいやぁぁぁー―――っ」

10枚ほど写真を撮った。

「鬼よ、あなたは鬼よー――っ」

「お前の息子が俺を鬼に変えたんだよ…更にいうならお前の旦那だ…もみ消したりしないで罪を償っていたら…俺はこうならなかった」

「だけど、娘は関係ない、関係ないじゃないー-っ」

「姉弟だから関係ないわけないじゃねーか…それで千春どうする? 自分からしないなら『送信しちゃおうかな』」

「ううっ..ううんうぐっ..ううっ」

あはははっ、あきらめたのか、泣きながら咥えてやんの…さすがに婚約者にこんな写真送られたくねーよな。

「なんだ、下手糞だな…もう良いからさっさと入れろ」

「…はい…解りました…」

泣きながら跨って騎乗位…絵面は良いが…本当に気持ちよくねーな。

顔は腫れて不細工だしな。

まぁ処女みたいだから仕方ねーな。股から血流しているんだから。

「お前はつまらないから、変われ。 おばさん、おばさんは人妻だからこういうのは得意でしょう?」

「くっクソガキ」

「ああっ別におばさんのくたびれた体なんて使わなくても良いんだぜ、その場合は千春さんに頑張ってもらえば良いんだから…まぁいいや」

「嫌ぁぁぁぁ、痛いっ痛いっいやぁぁぁぁー-そこは嫌ぁぁぁ」

ミリっと音を立てて尻に少しだけ俺の物がはいった。

こっちも使ってやんよ。

「あははっお尻に入れられるのは痛いか…俺は」

「私が…私が代わります、だから千春には惨いことしないで…お願いします」

「だったらこれ口で奇麗にして」

「うんぐ、ううんうーんちゅぱっうぐうううー-ん」

此奴すげーな。

よく自分の娘のとはいえ、肛門に入った物躊躇なくしゃぶれるな。

本当は此奴、凄く淫乱なんじゃねーか。

「はぁはぁ…それじゃうううー――んっ、これで良いんでしょう」

自分から跨り何も言わないうちに入れちまった。

しかもトロトロに濡れていやがんの。

これは心はともかく『体はやりたくて溜まらない』そんな状態だ。

自分から腰振っているしな…

「あん、あんあー――ん、気持ち良いわ…あんあーん」

「お母さん…なに…しているの?」

横で娘が見ているのに構わずよがっていやがる。

確かに子供が二人いたら旦那が構ってくれないのかもしれねーし溜まっていたのか。

「私が…私が全部受け止めるから…はぁはぁそれで良いでしょう…ねぇ、だから千春は止めて…はぁはぁ」

馬鹿じゃねーの。

いくら体裁を繕っても無駄だ。

俺じゃなく千春ですら、楽しそうに腰をふるっているのが解るくらいよがっているんだからな。

「お母さん…」

「あん、あんあぁぁぁぁー-ん」

まぁ良い…これは『ついでだ』本当に俺がしたかった事は…これからだ。

俺は暗がりで二人を見ながらにやりと笑った。

全部奪ってやんよ

「ううっうう…誠二さん…嫌ぁ嫌ぁ嫌ぁぁぁー――っすん、グスっ酷いよ…」

「ああっハァハァ…」

千春は泣き疲れ、千鶴はさすがに疲れたのか肩で息しながら横たわっている。

もう何回も使ったから股からは精液垂れ流しだし、千春に至っては血が出て固まりこびりついている。

「あのよー、なんで泣くわけ?『これは子供の遊び』その範疇なんだよな? 楽しかっただろう?『遊び』なんだから」

確かに哲也はここまでしていない。

だが『良治』の精神はもう限界だった。

たぶん、良治のままだったら、遠くない将来『自殺していた』可能性は高い。

虐めは程度じゃ無いんだぜ。

やられた方が決めるんだぜ。

「こんなのって…こんなのってない…」

「ひどい、こんなのが知られたらもう娘は結婚できない…あははは」

「あのよ…お前たちは馬鹿なの? たった一日でなんで泣き喚くわけ? これって遊びなんだよな? これ以上酷いのが俺の日常だ」

「「…」」

なんだ、だんまりかよ。

だが、これからが本番だ。

これからが…『俺が本当にやりたい事』だ。

◆◆◆

「うぐっううううっうう」

「うぐっうううー-っ」

二人に猿轡を噛ませて転がしてある。

「暴れたら、容赦しないで殺す。ああっこれも哲也の真似だ、あの馬鹿もよく『殺してやる』『死ぬまで止めない』そう言っていたからな」

これは本当だ。

まぁ弱い奴や馬鹿なやつ程使う言葉だ。

本物は、あまり使わねーな。

俺はあらかじめ通販で買っていた『入れ墨セット』を取り出した。

俺は竜二の時に全身に入れ墨を入れていた。

最初は金を出して入れて貰っていたが、途中からは自分で入れ始めていた。

当時の俺の体には自分で入れた入れ墨も結構あった。

まぁ、気が付くと全身入れていたんだから半分『入れ墨中毒』だな。

とはいえ良治になってからは初めての経験だ。

だから『練習台』が欲しかった。

萌子や俺の体で失敗はしたくないからな。

「うぐっううううー-っ」

「ううっうううっうううー――っ」

さてと時間はたっぷりある。

さっき聞いた情報では、親父は今日は帰ってこないらしい。

俺は機械彫りで洋彫り…だから結構掘るのは早い。

どちらからやるか?

考えた末、俺は千春から掘ることに決めた。

「ううっううううー-っ」

馬乗りになり脅す。

「今から痛い事をするが、絶対に暴れるなよ!暴れたら取り返しのつかないことになるからな」

泣きながら頷きやがんの。

よくドラマや小説で浮気や寝取られの話しを聞くし、許して再構築しても再び浮気される話すらあるが…

これで解決じゃねーか?

実際に俺は知り合いに妻の浮気の相談をされた時に、その妻に『全身に彫ってやったら』もう二度とは不倫をしなくなった。

まぁ全身入れ墨の女を抱くきとくなやつはまず、いねーよな。

それはさて置き…何を彫ろうかね?

「うぐぅー-っ」

まずは太ももの内側にバラの入れ墨をワンポイントで入れてやった。

ここはかなり痛いからな、結構暴れやがったが、まぁ彫れた。

案外感覚は忘れてなくて簡単だったな。

「どうだ、薔薇だ奇麗だろう、背中や尻にも入れてやるからな..」

「うぐうー-っうがぁぁううううー-」

何言っているかわからねーな。

きっと喜んでいるんだな(笑)

更に、千春には両方の胸の上に骸骨に絡みつく蛇。

背中には大きくサキュバスを掘って『PLESE RAPE ME』と彫ってやった。
下腹部にはお洒落なハートマークをいれる。

場所が場所だけに卑猥に見えるな。

尻には花にとまる蝶々を彫って…こんな物だろう。

途中で気絶しやがったが、瞼がが泣きつくして腫れていて元は美女かもしれないが…見れたもんじゃねーな。

これでめでたく『婚約破棄』だな。

「さてと今度は…」

「うんぐうううー-っ」

流石にあっちは兎も角、これは怖いか…

千鶴には、背中に竜と般若を大きく入れて胸には同じく髑髏と蛇。 下腹部には蝶々からもじった模様を入れ…尻には十字架でも彫るか。

まぁこんな物だ…

「すん、すんすんうわぁぁぁぁー――ん」

「そんな、これじゃ…あぁぁぁぁー――っ」

「警察に訴えたかったら訴えていいぜ、だがその場合は哲也についてもしっかり言わせて貰うからな…いじめが元でレイプされたなんて凄い話だな、なぁ旦那の人生も終わるかもな? 俺は逃げも隠れもしねー、お前の家族と違ってな…明日またくるわ…旦那が居た方が話ははえーよ…それじゃ、俺は帰るわ」

もう朝か…怒られそうだ。

◆◆◆

俺は金があるくせに人から物を奪う奴が嫌いだ。

これはあくまで俺の考え方だが『金がない奴が悪いことすることは仕方がねー』だって持ってねーんだからな、奪いでもしなければ、何も手に入らねー。

だが、哲也たちはどうだ?

哲也や久保田は金持ちで、奪わなくても『良い生活ができる』それなのになぜ貧乏な俺から奪う必要がある。

石川だって二人に比べれば貧乏かもしれねーが持ち家だ。

普通に生活に困らねーよ。

石川がもし、哲也を虐めて金をとるなら解らなくもねぇ。

だが、より貧乏な俺から奪うんじゃねーよ。
今の俺はお前たちみたいに恵まれていない。

そんな俺から奪ったんだ…お前たちから全部奪ってやんよ。

なんだ此奴ら

しかし、まだばれてねーのか?

そろそろ、石川辺りはやべー筈だ。

幾らそうそう、土地の権利書を見たりしないとは『あいつら』だって金にするために動き出すはずだ。

久保田の方だって高級バッグをとったんだ、そのうちばれるだろうな。

それより先に片付けなきゃいけないのは…哲也だ。

あいつの家は久保田を上回る金持ちだ。

流石に昨日、あそこまで啖呵を切ったんだ、今日行かなくちゃならねー…よく考えたら萌子とホテルに泊まる約束とかぶっているな。

ホテルは予約したから…チャッチャと終わらせてホテルに向かうか。

「萌子~ホテルは予約しておいたからよ、先に行っていてくれ、田向良治で予約入れてあるからな、名前を言えば入れるからな」

「えっ、一緒じゃ無いの?」

「ああっ、俺は簡単な仕事を終わらせてから向かうから、少し遅れる」

「解ったよ…私お金なんて無いから絶対にきてよね」

「解っているって」

これで萌子の方はよし…あとは哲也の家族、尾上家をどうするかだ。

◆◆◆
ピンポーン

「どうぞ…」

俺の顔を確認したのか千鶴がドアを開けた。

顔色が悪いな…まぁ当たり前だ。

これで、けろっとしていたら逆に怖えよ。

「ああっ、邪魔する」

それだけ言うと俺は勝手に上がった。

しかし、こうしてみると、すごく部屋が多いな。

久保田の家も大きかったが比べ物にならない。

「主人はもう帰って来ていますから…こちらへ…」

さぁ、ここからどう出てくるかだ?

そればかりは直接会って見なければ…どうしようもない。

「君が田向君か? また随分な事をしてくれたね?」

名乗りもしない、挨拶もしないでこれか?

冷静に話しているようだが、かなり怒っているのが解る。

だが、敢えて此処は挑発する。

「あれれぇー-可笑しいな? 僕がされた時は『子供の遊びの範疇』それで終わったじゃないですか? それがなんで『随分な事』になるんですか? 大人の癖に馬鹿なんですか? 平等って言葉知っていますかね?」

「だが…どう考えてもレベルが違うだろう? ただ小突いた位の事でここまでの事をするのは異常だ、君はこの状態でどう責任をとるんだ? 娘はもうこれじゃ婚約破棄をするしかない..家内だってもう真面な生活は出来ない…君はどう見ても普通に生活しているよな」

此奴可笑しいぞ…ここまでされれば、普通は切れる…こんな普通には話さない。

冷静に話す意味は…恐らく録画、録音。

決定的な証拠を撮ろうとしているのか?

もしくは、裏に誰かが居るのか?

ならば、簡単だ。
「確かに…ですが普通の学生が1日に10万持ってこいと脅されてできないと鉄拳制裁『これが遊びの範疇』なんですよね? 1か月無事に過ごすなら300万払わないとね」

「だが、それは…」

これは録画、録音だな。

「裸にひん剥いて尻に試験管詰められて女の子の前で殴る、蹴る…もし割れていたら…俺は排便もできなくなる」

「だが、それでも、君は」

「確かに生きているし、問題ない様に見えますかね? だけど、自殺未遂をすること数回…俺が生きているのは運が良いだけですよ…最も、今の俺は死ぬ位なら尾上さん達を殺す…そう考えるようになりましたけどね」

「それが可笑しいとは思わないのか?」

「お前はあの時、判断を間違えたんだ…素直に『虐め』を認めてれば、俺は許したかも知れない…だが、あんたは親子で圧力をかけ虐めはなかった…そういう事にしたよな? その結果がこれだよ..自分が悪いと思わないかな?」

「親が子をかばうのは当たり前だ」

「そうだな、だから母さんは俺をかばう為に学校に掛け合ったが…なぜか虐めは無かった事にされた」

「だったら、虐めは無かったんだろう」

本当に腹が立つな此奴。

「あんたさっきから何が言いたいんだ?」

「もうめんどくさいから良いや…田向君とか言ったな会話はやめだ…お前みたいな低能の相手は出来ないな…お前にも地獄を味合わせてやる」

そういうと哲也の親父は手を3回叩いた。

すると奥から3人の男が現れた。

やべーな、どう見ても本職…やくざにしか見ない。

「息子が暴力を振るったから暴力でお前は返した…なら、私が暴力で君に返しても問題はない筈だ…このクソガキを半殺しにしろ」

…あれっ…

「社長解りました」

「ガキが生意気言いやがって五体満足で済むと思うなよ」

「死ぬような目に合わせてやるからな…それから」

そうか…此奴らがヤクザな訳ねーや。

今は『暴力団排除条例』や『暴力団対策法』があるから真面な会社は付き合いがない…恐らく偽物だ。

「子供の喧嘩にヤクザまで出すのか…」

「これが大人のやり方だ…家内と娘の分地獄を見てもらう」

「俺はまだ死にたくない…だから死ぬ気で抵抗させて貰う」

馬鹿か此奴…もう詰んだぞ。

「このガキ、死にやがれー――っおらよっ」

バキッ

糞、空手かなんかやっているのか…

俺は手にこっそりとカイザーナックルを嵌めた。
「痛ぇぇぇぇー――っこの野郎がー-っ」

メリッ

「がぁぁぁぁー―――っ痛ぇえぇぇぇー-っ」

空手の防御かなんか知らんが腕で防げるわけねーじゃん。

「死にたくない、ヤクザこえぇぇー-」

腕を抱えるよう抑えている男をそのまま滅多うちした。

「うげぇぇぇぇー-っ、やめ、やめ、あがぁぁぁぁー-っ、助けえ」

そりゃ顔面お構いなしにカイザーナックルで滅多打ちしていればこうなるな。

やっぱ、此奴らヤクザじゃねーや。

此奴らが本物なら、もう後ろからドスで刺されている。

「ハァハァ、ヤクザ野郎、一人ぶったおした…あと二人だ」

血まみれのカイザーナックルを見た二人は青い顔になった。

なんだ此奴…ヤクザでもないし…こんなんじゃ警備員でもねーな。

「「…」」

「どうした?掛かって来ないのか? ならこっちから行く」

カイザーナックルの反対側にナイフを持って駆け寄った。

「この…痛ぇぇぇー-」

そりゃ、足を刺されれば痛ぇよ…馬鹿な。

だが、足なんか抑えていると…

バキメリッ…顔面に食らっちまうぜ..

「あと一人だな…」

「勘弁してくれー-っ」

まぁ良いや…脅かすなよ…流石にまだヤクザとはやりたくねーよ。

「ああっ、そうそれじゃ腕を出せ」

「はい..」

俺は手錠を掛けて蹴とばした。

「あわわわっ」

「あわわじゃねーよ? 中学生相手にヤクザけしかけたんだ…殺されても文句いえねーよ(笑)」

俺は笑いながら、哲也の親父をぶん殴った。

さぁ…ここからが本当の地獄だ。

哲夫
スマホの録画を切った。

画像はほとんど撮れてないが、音声だけで十分だな。

今、俺は4人をズボンと下着を脱がし、転がし手錠で拘束している。

女二人は少し離れたところでぶるぶる震えている。

まぁこの二人は何もできないだろう。

「あんたらさぁ…本当はヤクザじゃねーだろう?」

「俺たちは…」

満足にしゃべれーのか?

俺はジッポのオイルを1人の男の足に垂らして火をつけた。

「熱いっぎゃぁぁぁぁー―――っ、消して、消してくれー――っ」

後ろ手に手錠を掛けているから、消せない…

「ヤクザじゃねーかって聞いてんだけど? 答えられないなら次は顔だ」

「お前、こんな事してただで済む…」

「なぁ、哲夫(哲也の親父)さんよー、もうあんた終わりだ…だって『かたり』をしちまったからなー-っ、これから大変だなぁぁぁー――っ」

「かか『かたり』ってなんだよ」

まだオイルで焼いてない奴が聞いてきた。

良い大人なのに…知らねーのか?

「『かたり』って言うのは、一般人がヤクザを語ることだ…ヤクザはよぉこういうのを嫌うんだ…だから、お前らのした事を警察じゃなくて、この辺りを取り仕切る『組関係』に伝えるわけよ、さすがに被害を受けたのがヤクザだから警察も介入できない…めでたくヤクザと人生二人三脚、楽しい人生の始まりだ(※ 田向が勝手に言っています)」

「社長…まずくないですか?」

「あははっ、それじゃなくても終わりじゃねーか? だってお前たちさぁ『虐めの被害者』がちょっとやり返したら、仲間集めてヤクザ語って『殺そう』としたんだぜ、あまぁ俺はヤクザが怖いから(笑)戦ったら勝てちゃっただけだ」

「お前みたいなガキが」

馬鹿だな。

「良いところに気が付いたな、そう俺は中学生、未成年中の未成年、何があつても国が守ってくれる…それであんたらは『大人』誰も守ってくれねーな…もし裁判にでもなったら、きっと〇〇会社社長ってなるんだ…ニュースにでもなったら終わりじゃねーか?」

「社長…やばいんじゃ」

「尾上社長…こんなのが表になったら会社が終わる」

「ハァハァ…謝った方がよい…俺は…」

俺は中学生で恐らく進学しない…失う物は全くねーな。

鑑別所や少年院に入っても…母親が嘆くだけ…それだけだ。

可能なら…あの母親に纏まった金を残したい、それだけだな。

「本当に馬鹿な奴…ただ、妻と娘を連れて警察に行けば、世間体さえ気にしなければお前の勝ちだったのに…馬鹿だな」

多分、哲夫はそれができない…俺の虐めの時に態々圧力を掛け無かった事にした事から想像がつく。

クラスの全員が『虐めは無かった』そんな事、哲也1人じゃ流石に出来ない。

恐らくは哲夫が裏で関与しているはずだ。

「…」

だんまりか、まぁ良い。

噂どおりであれば、哲夫は女遊びが派手な筈だ。

「黙っているのは良いけどさぁ…もう終わりじゃないか? それにもし俺がさぁ、腹が立つたら、今なら4人、いや6人皆殺しも可能なんだぜ? そうしたら俺は『ヤクザが怖かった』そんな理由で話して、自首すれば、案外大したことにならねーかもしれねーしな」

「お前は何がしたいんだ…」

俺は千鶴と千春の髪を持って引き擦ってきた。

「それでさぁ…哲夫この二人もう要らないんじゃねぇーか? こんな入れ墨が全身に入った妻に娘、なんて持っていたら、お前の人生終わりだぜ…有名な金融機関は社長が入れ墨を入れていたから大手なのに上場できなかったんだぜ…もうこんな婆捨てて、何人かいる愛人の誰かを嫁さんにした方が幸せってもんよ、本気で惚れた愛人がいるんじゃねーのか?」

「ちょっと勝手な事言わないで…」

「お父さん、まさか私を捨てないよね…」

さぁどうする?

「俺からの提案だ! この女二人を捨てて哲也に今後支援を一切しないなら、俺はもうお前に手を出さない…ついでにこの屋敷と維持する金を払ってくれるなら、このおもちゃ二人も貰ってやるよ…ああ、屋敷は手切れ金代わりに千鶴名義にしてくれてやればいいんじゃねーかな。そのあとは俺に任せてくれるなら『二人はこの屋敷から一歩も外に出さない』これで、お前1人であれば幸せに戻れんじゃねーか?」

「お前…何を言っているんだ…そんな馬鹿な事は」

「よく考えろ、これはお前にとって『要らない者を捨てられる』またと無いチャンスだぜ。入れ墨の入った腐れ婆ぁを捨てて『若い女とやり直す二度とないチャンスだぜ』 なぁ? 普通に離婚したら財産分与を山程とられるが、この家と此奴ら2人の生活費だけで今回は終わるんだぜ…まぁ俺も手数料をもらうがな、一生この屋敷に監禁状態にしてやんよ…それに哲也を切り捨てればお前は晴れて自由だ、どうだ?」

「そうだな…お前本当に『虐められていたのか』まぁ良い。 確かにそんなくたびれた婆ぁで入れ墨の入った女を妻にしていたら、俺の人生は終わってしまうな、千春も傷物で政略結婚にも使えない、もう用済みだ、そんな薄汚い女、娘として手元に置いていたら、確かに人生マイナスしかないね」

「だろう?」

はははっ女二人が絶望した顔をしているぜ。

当たり前だ。

「ああっ、だがお前、何処で私が妻と別れたい…そんな情報を掴んでいるんだ」

「まぁ、哲也は口が軽いからな」

嘘だ…ただの憶測があたっただけだ。

「それは、そうと、良い提案だが、田向、お前が、その二人を手放さない…その保証は?」

今の母親は良い奴だ。

俺みたいな悪党と一緒にいない方が幸せになれる。

「ああっお前と千鶴の離婚の後に、俺が千鶴と養子縁組する、まぁ義理とはいえ親子だ、これでどうだ? あとは信用してもらうしかねーよ…あっ俺の親に纏まった金をあげてくれ、お前からしたら小銭だろう?」

「なんだかな…それがお前がしたかった事か? 知っていたら揉める必要がなかったじゃねーか…いいぜ、のった」

此奴はクズだって事か?

千鶴を切り捨てたいが、一代で財産を大きくした為に離婚をしたら莫大な財産分与を取られかねない…それが少額で済んで慰謝料なしになるんだ、御の字だ。

「勝手に決めないで、あなた何を言っているの? 嘘よね」

「お父さん、もう..私を愛してないの?ねぇ嘘だって言ってよ、ねー――ってば」

「入れ墨入った女なんて家族として要らない、ごみなんだよ、バー-カ」

此奴、本当に言いやがった。

俺の本当の親に近い…思った通りの本当のクズだ。

「それじゃ、哲夫さん…離婚届け持ってくれば? 俺が無理やり書かせてやるからよー」

「お前、本当に中学生か? それならもう持っているから、頼むよ」

「嘘よね..そんな、そんな…」

「書きたくないなら拒否してもいいけど? 顔でも焼こうか?」

流石に顔を焼いたら使えないから…しねーよ。

「いや、いやぁぁぁー-、書きます、書きますから」

泣きながら書いてやがんの…まさに転落人生だな…社長夫人が実質家畜だ。

それと同時に、他の書類も書いていく。

千鶴については

『財産分与は、家+4億円のみ、それ以上は一切払わない』

理由としては『未成年』と浮気したからだ。

まぁ、俺とやったんだから嘘ではないな。

レイプだけど…

千春には

『遺産放棄』

これも未成年と不純な行為を母共々していたから(笑)

その代わり、婚約破棄の慰謝料は最後の情けとして哲夫が払う。

そして、俺。

『おもちゃにされた償い』に千鶴と養子縁組を組む。

それに伴い、元の親に5千万払う。

あとは、税金に計上しないでよいお金として8千万貰う約束をした。

哲也には

『もう一切の支援はしない』

そういう覚書を貰った。

思っていた金額より1桁多い。

良いのか?

だが、尾上家の資産は数百億ともいわれている。

その多くは哲夫が1代で増やした。

その半分近くを財産分与で持っていかれる事を考えたら…小銭だな。

まぁ良い、これで終わりだ。

しかし、嬉しそうに『離婚届』をしまっているあたり、哲夫は本当にクズだ…当たり前だな。

「ほらよ、田向」

哲夫は鍵を俺に放り投げた。

「ああっ」

「今日から実質、この婆ぁ達もこの家もお前の物だ…すげー中学生だな、こんな金持ちのガキ中々いないぞ」

「誉め言葉と受け取るよ、あと、そこの三人に俺の取り分から500万ずつ1千500万やってくれ」

「おい、おい良いのか?」

「なぁ、結構怪我させて済まなかった、三人とも、これで手打ちで良いか」

「ああっ、それでよい」

「金貰えなくても、関わりたくねー、まぁ貰う物は貰うが」

「ハァハァ…解った…それで良い」

何かの拍子に化けて復讐されない為の保険だ。

この位の金で掛けられるなら…安いもんだ。

これで方がついたな。

哲也はこれで終わりでよい。

石川も、もう実質終わりだ。

あとは久保田だな…これで復讐は…まだ終わらねーな。

まぁ良いや、念願の、やり部屋に、雌奴隷2人が手に入った。これで一段落だ。

◆◆◆

哲夫たち4人は先に帰っていった。

「ふんぐうううー-っ」

「うんぐ、ううー-ん」

「それじゃ二人とも明日から頼むわ」

二人を手錠と足錠を使い完全に拘束して猿轡を噛ました。

これでもう逃げられないだろう。

俺はシャッターを下ろし戸締りをして萌子の待つホテルへ向かった。

萌子…

「よう」

「凄いね、よくこんな高級なホテルとったね」

「まぁな」

よく高級ホテルは高い…そんな妄想にガキの時には取りつかれがちだが、普通の部屋なら2万円を切って泊まれる部屋も多い。
また、スイートルームでも5万円を切るホテルもある。

最も、ロイヤルスイートとかだと情け容赦なく10万は超えていき、20万、30万なんてホテルもある。

高級ホテルでもパーティールーム貸し切りでも30万なんて部屋もあるんだぜ。

詐欺師は案外この錯覚を利用して高級ホテルを会場に選ぶ場合も多い。
ちなみに、俺が今日予約したのはエクセレントスイート。

このホテルにあるスイートルームの中では一番下で4万円を切る。
まぁ、エクセレントは恐らく飾りだろうな…

それでも、ベッドはソモンズだし、ジャグジーのついた高級な風呂にリビングのソファーも高級品だし、アニメティも高級な物になる。

何より、部屋にサービスで置いてあるフルーツや飲み物も豪華。

まぁ未成年だから、酒じゃないのが残念だ。

更に高級なモーニングブッフェもついている。

一番下とはいえ『スイートルーム』は伊達じゃない。

「それで今日はどうしてこんな所を取ってくれたの?」

「今日は萌子と色々と話そうと思ってな…」

「急にどうしたの? なんか真剣そうだけど?」

さぁどうするか?

本気で付き合う気があるのなら、すべて話すべきだろう?

「本気の話だ…別に断ってくれても構わない」

「どうしたの…嫌だ、真面目な顔をして」

「マジの話だ」

萌子の顔が真剣になった。

これで良い…

「まず、俺はこれからの人生クズの様にボウフラの様に生きるつもりだ…恐らくは萌子が知っているレベルじゃない位のクズになる。それでお前は大丈夫なのか?」

「何が?」

「お前、俺の彼女だろう? お前の感じだと、なんか結婚したいように思えて仕方ねぇんだが」

なんとなくだが此奴は『明るい家庭』に憧れている様な気がする。

それは俺の生き方とは絶対に違う。

「確かにそうだよ…責任を取るって良治は言ったよね? それは結婚して…そういうわけじゃない訳?」

「そういう責任っていう意味なら取る、だが、俺はまっとうな人生は歩まねぇよ…実質は少し違うが『ヤクザ』『半グレ』そういう人生を歩むつもりだ…それで良いかどうかだ?」

こう言うことをちゃんと伝えないのはフェアじゃねー。

「それが…どうかしたの? 良治がクズなのは十分知っているよ? だって、私たちが付き合い始めたのは良治が哲也の顔を焼いて、付き合わないなら、哲也をバーベキューにするって脅してさぁ…そのままラブホでレイプ…それが始まりだよね」

「ああっ、そうだな…だが、俺と付き合うということは、それが生涯続くという事だぞ?」

萌子はなぜか軽く答える。

これはそんな簡単な話じゃない。

「そんなの解っているって、なんで変わったのか解らないけどさぁ、今の良治がいきなり善人になるなんて思わないよ?」

「そうかよ!…俺は、多分お前が思っている様な人間じゃない、多分、お前が思っているレベルより数段上だぜ! 長い将来の内に人を殺すかもしれねーし、自分じゃやらねーが麻薬にも手を出す、そういう人間だ。それが全部解っているのか? 裏切れば妊婦でもお腹の子事殺しかねないんだ、それが俺だぞ!」

「良いよ、それが良治なんでしょう? しょうがないじゃん!」

本当に軽すぎる…なんだ此奴。

「それに、俺はこんな事しているが、子供が嫌いだ」

「良治…それ笑えない、だったらどう責任を取るの? そこはきちんと説明しな!」

流石にキレたな。

「ああっ、しっかり中絶費用は出してやる、病院も探してやる。そして俺を裏切らねーなら生涯面倒はみる」

「はぁ、意味わからないし、ちゃんと説明しなよ!」

俺は萌子に説明した。

俺みたいなクズの子供に生まれたら『子供がかわいそうだ』

それに恨みを買って殺されるかもしれねー

更に言うなら『女以上に子供は愛せねー』好きな女と天秤に掛けたら子供すら殺しかねねー

まぁ、そんな所だ。

「確かにクズだね…だけど良いや。そうだなぁ~良治にはパイプカット、私は避妊手術…それだけはしようか? それが終わるまでは悪いけど生禁止、コンドーム使うか最後の一線超えるの禁止、それで良いんじゃないかな?」

「お前、それで言い訳?」

「良いよ、別に? あのさぁ…もし良治と付き合わなかったとしたら私の人生どんな感じだと思う?」

何言っているんだ。

「そんなの解んねーよ」

「そりゃそうだね? だけど、中卒で働いても碌な仕事も無い、底辺生活だと思うよ…母さんは高卒だけど私を育てるのに苦労している。それ以下なんだから多分もっと悲惨だよ。多分そこそこ優秀な男や良い男は見向きもしない…試しに仕事を探してみたけど、まぁバイトに毛の生えた仕事しか無かったよ? 哲也も久保田も石川もいや、この学校の殆どの男も『遊び』でしか多分付き合う気は無いよ? クラスでも学年でも『凄く可愛い』なんて、ただのSEX相手に都合の良い相手、そんな価値しかないと思うんだよね」

なんだ…此奴、思ったよりヤサグレてるな。

「だけど、それでも真面な人生じゃないか?」

「あのさぁ…それじゃ多分将来惨めな人生しかないじゃん? 同級生から同窓会の度に見下されてさぁ…今と立場が逆転。それが嫌なら水商売か風俗にでも18歳になったら転向して金を掴むしかないんじゃないかな? そうでもしなければ何かやるお金なんて掴めない」

此奴本当に中学生か?

まさか俺みたいに誰かが入り込んでいるんじゃないか?

「お前さぁ…マジか?」

「ああっ、本当だよ! 最悪、16歳になったら援助交際でも始めるかな? そう思ってもいたよ? だけど、良治のやり方の方が、こんな人生より遥かに良い『だって他人が不幸になって自分が幸せ』になれるならその方が遥かに良いよ! だって恐らく哲也も久保田も石川も体の関係になっても私の人生を助けてなんてくれないからね」

俺はどこかで、こんな考えの女に会った気がする。

何処でだ…湯浅?

「確かにそうだな…」

「そうよ…だから私は賭けたのよ。田向良治、貴方に、貴方って最低最悪の男かもしれないけどさぁ、私から見たら『親切』だよ、責任も取るって言うし、まぁ思っていたのと違うけど…案外優しいし…なんだか他の男に無い、こう一流の男っていうのか変な感じがする」

「それで? 萌子は俺と一緒に『悪党』になれるのか?手を汚せるのか?」

「あははっ、それは無理かも。多分私は人を殺せないと思うし、目の前で泣かれたら、そこから何かなんて出来ないかも知れない。だけど、良治が何をしても止めたりしないし、私もできる範囲では頑張るよ」

「お前、それは手を汚さないで分け前を貰う…そういう事か? ふざけるな!」

「怒らないでよ! 違うよ、私は良治のする事はすべて肯定してあげて、否定しない。『女を犯そうが、人を殺そうが、麻薬で人を中毒にしようが全部受け止める』そして『刑務所に入ろうが出るまで幾らでも待ってあげる』『そして野垂れ死んだら、弔って泣いてあげる』勿論、好きなように私を扱って構わないよ? それじゃダメなの?」

此奴、本当にあの馬鹿みたいな萌子か?

まるで…なんだ?

湯浅?…?

「それだけで十分だ。だが、それは俺がお前の前で人を殺そうが、女を犯そうが、平然としている。そういう意味でもあるんだぜ。その時になって警察になんか行ってみろ…殺すぞ」

「良いよ…私が良治を裏切ったら殺しても」

まさか、此奴。

「まさか、知り合いに裕子とか居ないよな?」

「多分、別人だと思うけど、死んじゃったお祖母ちゃんが裕子って名前だったかな…偶然」

だからだ…だから此奴に親近感がわいたのか…

裕子姉貴の孫…そういう事か?

「まぁ良いや…それなら文句言わねーよ…それじゃしようか?」

「ちょっと、話聞いていた? 避妊…」

「今日だけは許してくれ…お前が愛おしくて仕方がねー」

「はぁ~じゃぁ今日のが原因で妊娠したら…中絶かぁ~ 良治ってやっぱり、悪人だね…仕方ない今日だけは良いよ…次は無いからね」

「解った」

結局、俺は萌子と朝までやりまくり…萌子に朝食の時間に起こされた。

竜二の過去?

はぁ~調子が狂うぜ。

「良治~ホテルのモーニングブッフェって凄いね、目の前で卵やいてくれて、焼き方まで聞いてくれるんだね」

「そうだな」

俺は固い目玉焼きが好きだから『ターンオーバー』を指定した。

萌子はスクランブルエッグにしてパンケーキを山盛りにしてパクついている。

俺はお粥に鮭に味噌汁…まぁ和食だな。

食べ放題とはいえ、そんなに俺は朝は食えねー。

「ちょっとお代わり行ってくる、飲み物でも持ってこようか?」

「そうだな、それじゃアイスコーヒーで…ってまだ食うのか?」

「うん、ソーセージとベーコン、あとコーンポタージュももう少しね」

「あんまり食べると太るぞ」

「大丈夫だよ、私は太らない体質だから…」

「そうか?」

しかし、驚いたな。

まさか、此奴が湯浅裕子の孫か…

どうりで、俺が此奴に心惹かれるわけだ。

◆◆◆

俺は凄く女運が悪かった。

昔の事だ、仲の良い仲間と一緒に、族を立ち上げた。

小学校から仲が良かった、親友とも言える仲間だった。

正面切った喧嘩なら誰にも負けない『徳丸』。

バイクを操らせたら右に出る者はいない『川音』

俺にはもったいなさすぎる親友だった。

だった、というのは『過去の事』だからだ。

俺たち三人で『全日本黒狼会 真夜中の狼』を作った。

なぜ、こんな長い名前にしたのか?

徳丸の奴は兎も角喧嘩が強かった。

その分野望もあった…その為たった三人しかいないのに『真夜中の狼』の上に上部団体として『全日本黒狼会』という看板を作った。

喧嘩無敗の徳丸にバイクの川音、その二枚看板は瞬く間に仲間を増やし徐々にその数は増えていった。

ただ、二人は『頭が悪かった』というより単純だった。

真夜中の狼を看板に『悪いことする奴』が増えていった。

二人は単純…だから気が付かない。

だからこそ、俺がそれをどうにかするしかない。

『喧嘩上等』『最速』それが二人なら俺ができることは決まっている。

『恐怖』だ。

看板を大きくするにつけ碌でもない人間が増えてくる。

看板を利用して恐喝やそれこそ、やりたい放題するような人間もいる。

それを粛正する人間が必要だ。

あの頃の俺はまだ『真面』だった。

「竜二さんちわっす…」

「おう」

「川音さんが…」

「またか?」

「はい」

徳丸はまだ良いが、川音は顔が良く、バイクに乗る姿がかっこよいと女にモテる。

そしてうちの副リーダーだから『碌でもない無い女も寄ってくる』

ガキに下手な権力は持たせるもんじゃねー。

今の俺なら、それが良くわかる。

「ああっ俺がつぶすから皆には黙っておけ」

「はい」

仕方ねーな。

俺がやるしか無い。

徳丸は男気がとか言って女に手をあげない。

川音は女に優しい…いやだらしがない。

また汚れ仕事か?

ああっムカつくな…仕方がない、行くしかねーか。

トントンッ

「何っ?」

ボロアパートのドアが開いた。

「お前が、うちの川音の女を語る馬鹿か?」

「あん、田向じゃねーの? 私は川音の女だよ? たかが特攻隊長のあんたが偉そうに」

「うちにはレディースは居ねーんだよ。だから俺の序列は3番だ。確かに川音は2番だが、お前はただの虫けらだ」

「それで、あんた何しに来たわけ?」

「お前が、うちの看板を利用して、ガキ脅して売春させているのは解っているんだ、やめろ、そして居なくなれ…それで終わりだ」

「バーカ止めるかよ…お前らルールで女に手をあげ..ええっ痛ぇぇぇぇー――っ」

「悪いな、俺は二人とは違うんだ…平気で女に手をあげるクズなんだ、糞女…さぁとっと掛かってこい」

悪いが、手加減なんか出来ねーよ。

女は刃物を平気で使う…

俺は顔面を思いっきり殴った。

「この野郎っー-っ」

ナイフ、やっぱりな。

「そんな事だと思った…あはははっナイフ出したんだ、もう手加減必要ねーな…おらよっ」

「やめ、やめ、やめてー――っ」

「おらよ、おら、おら、止めるわけねーだろう? 中学生のガキを脅して売春までさせやがってよー-気が変わった…お前は同じ目に合わせてやんよ」

「ハァハァハァ、はん、犯れば良いじゃん…その矛先はまた中坊に向くんだよ? 私がこの場所から居なくなって他でやれば、あんたもどうしようもないだろう? ああん」

此奴は俺以上のクズだ…

もうやるしかねーな。

「だったらよー-っ、お前がどれだけの事をしたか教えてやるよ」

俺はゆっくりとズボンのチャックを下ろした。

「いやいや止めてー――っ嫌ぁぁぁー――」

これが俺の初めてのレイプだった。

「嫌いやいやぁぁぁぁぁー――っうんぐあむ」

「お前噛んだら殺すからな?」

「いやぁいやぁぁぁぁー-許していやぁぁぁー-っ」

この女はヤンキーにしか見えない。

誰が見ても危ない人間だ…だから誰も怖くて通報なんてしなかったんだろう。

5日間こもりっぱなしで犯し続けた。

中坊女の弱みを握って売春させたんだ…これくらいは当たり前だ。

「あのよーお前しつこいんだよ! いい加減、中坊たちの弱みのデーターだせや」

「誰が…出すかよ..ハァハァ..」

じゃあもういいや…

「じゃぁ良いよ…お前の恥ずかしい写真と動画、これを中坊たちに渡すからな、俺や友人にも渡す…もし、今度同じことしたら、これ全部公表してやんよ…ヤンキー女のエロ動画、おもしれーな」

「嫌ぁいやぁぁぁぁ返して、返してよー-っ」

裸で股から精子を垂れ流してしている女を置いて、俺は久々に家に帰った。

◆◆◆

「竜二、俺の彼女の麗美が居なくなったんだ、何かしらないか?」

「解らないな、ヤンキー女は気まぐれだから、他の男の所にでも行ったんじゃねーのかな

「麗美に限って、そんな事するわけねーよ」

川音ちゃんは知らなくていいんだよ。

「まぁ、俺は知らねーよ」

まぁ汚れ仕事は俺の役目っと…

これで終わったと思っていた…だが、これで終わったわけじゃなかった。

◆◆◆

「麗美がまだ同じことやっているって」

「そうなんですよ…俺のクラスの奴、また脅されて…無理やり売りやらせたみたいで…」

「ハァ、あいつの弱み、お前たちにも渡したろうが」

「それが…逆に」

そうか….手回しされたのか…

『確かに『あんた達が私をレイプされた証拠でしょう?そんな物どうするの? 川音にあんた達に脅されたというわよ…それにね、あのレイプが元で妊娠したのよ? 大変ね、これ犯罪じゃないのかな? 裏でも表でも本当に困るのはあんた達だよね』』

「そう言われたのか?」

「はい」

あのアマっ…そこまで腐ってやがったか

畜生が…

◆◆◆

あの野郎ふざけんなよ!

探し出して地獄を見せてやんよ。

俺は麗美を探した…

そして見つけた。

「麗美、ハァハァゼィゼィ、見つけたぞー-っ」

「あら、レイプ魔の竜二じゃない? まだなんか用なの?」

「お前また中坊を脅してお前ぇぇぇー-」

「あのさぁ、その動画って私をあなたがレイプした証拠じゃない? 中学生の売春は証言だけで証拠はない…それに売った相手は大人だけど、やばい奴もいるからね、あんたがやばいんじゃない…私、妊娠しているんだけど…この責任はどうとるの? なんてね…嘘よ…この子は川音の子にするから良いよ…あんたは托卵した重みを背負って生きていけばよいわ…あははははっ」

此奴のせいで何人の中学生が妊娠したのか解らねー。

アイツらは中絶費用をカンパして集めていた…

だが…此奴のお腹にはガキがいる。

しかも恐らく俺のガキだ…しかもそのガキを川音ちゃんの子にして育てる…

訳わかんねー…どうすれば良いんだ…

『仕方ねー腹を括ろう…俺は犯罪者になっても構わねー』

「そうだな、同じ重みを背負うなら…ガキ殺しの責任を負うわ」

俺は歩道橋の上から麗美を突き落とした。

「嫌いやぁぁぁぁー-」

水風船が割れたような音がした。

「おら、おらおらー――っ」

「嫌、やめてやだ、やだぁぁぁぁ赤ちゃんが死んじゃう」

知らねーよ。

「散々、ガキに売春させて妊娠しても、自分たちで中絶させて、脅して売春続けさせてきたんだろうがー―――っあん? 自分がその立場になったら泣くのか? バーカ」

俺は手で庇っているのも構わず蹴りを入れ続けた。

「いや、いやいやだぁ…もうしない、もうしないから…助けて、助けて…」

「あっ…やばい」

やりすぎた…まぁ良いこれで赤ん坊は終わりだ..

「うっうううー――っ」

「これに懲りたらもう馬鹿すんなよ…もしやったらよー」

「うっううう、もしやったら?」

「同じこと何回もしてやんよ、ついでにお前の大事な妹ちゃんも同じ目にあわせてやる」

「妹は関係ハァハァ無いだろうが…ハァハァ」

「関係あるな、お前の妹なんだから」

最初からこうすれば良かった。

此奴は不良だが妹は普通の学生…そして此奴は妹を大切にしている。

「やめてよ…もう中坊にかかわらない…ハァハァ、お前みたいな獣…もう」

「そうか…なら俺は行くわ…じゃぁな」

※ 続く(本当は湯浅裕子のエピソードまで行く予定でしたが長くなりそうなので二つに分けました)

竜二の過去? 親友を失った日
「流石にもう許せねー、お前麗美に何をしたんだー――っこの糞野郎がー――っ」

糞っなんで俺がこんな目にあっているんだ….

時は少し遡る。

さっきまで、俺は徳ちゃん(徳丸)と川音ちゃんと一緒にスナックでカラオケを楽しんでいた。

ここのスナックのマスターは元の族の名前は言わない、だが大きな族の総長だったという噂がある。

その為なのか、ガキでも見逃してくれる。

1時間2980円でカラオケ歌い放題、サワーが飲み放題。

という話だが、混んでなければ何時間居ても追加は取られない。

此処では絶対に揉めない。

それは不良の中では暗黙の了解だった。

徳ちゃんが臨時収入があったからと連れてきてくれた。

俺は今とは違い『青りんごサワー』が好きでよく飲んでいた。

俺は普段は酔わない。

だが、この二人と一緒の時だけは別だ。

昔から馬鹿やった仲だから…浴びるほど飲んで酔いつぶれる。

大体、そうなると、仕方なさそうに徳ちゃんか川音ちゃんが俺をおぶってボロ家まで連れ帰ってくれた。

男が…そういわれるかも知れないが、この『おんぶ』が俺にとっては至高の時間だった。

◆◆◆

だが、今回は違っていた。

可笑しい…ここは何処だ…廃倉庫…なんだ何時もの溜まり場じゃないか?

なんでこんな所に居るんだ?

周りを見回した…徳ちゃんに川音ちゃんがいる。

他に…なんだ中坊が居る。

なんだ、また何か厄介事に巻き込まれたのか?

「お前、本当に竜二が『これをやったんだな』」

「はい」

「徳ちゃん、川音ちゃん、なんの話だよ、揉め事なら俺がどうにか…」

「田向…俺はお前の事を親友だと思っていた。お前は危ない人間だが『親友だと思っていた』だから、手元に置いて面倒見ようと思っていた、だが違ったようだなぁぁぁー――っ」

なんで田向なんて呼ぶんだよ…竜二ってなんで呼ばないんだよ。

「徳ちゃん、俺なにかしたのか? 俺頭悪いからわからねーよ」

なんでだよ…

なんでそんな目で見るんだよ…

「なぁ川音ちゃん、俺何かしたのかよ…なぁ、なんか言ってくれよ…なぁ」

「流石にもう許せねー、お前麗美に何をしたんだー――っこの糞野郎がー――っ」

麗美…あのアマが何かしたのか?

「田向――っふざけんなぁぁー――っ」

痛ぇぇぇ。

川音ちゃん問答無しかよ…

「痛ぇぇな、川音ちゃん、説明するから、説明するからよ…」

「うるせー! お前は、お前は俺の子供を殺したんだぁー-、それに麗美も壊しやがった」

「もう良い…全部話してやんよ。あの女は中坊脅してよー-っ売春させていやがったんだよ。だからハァハァ俺が…」

「嘘言うんじゃねぇー-よ。お前が監禁レイプして…壊したんじゃねーか」

もういいや…言ってやる。

「ああ、そうだよ! だから、お腹のガキは川音ちゃんのじゃねーよ!俺のだ。 俺は…クズだよ、クズ。だがよー中坊脅して売春させてよー-っ妊娠しても降ろさせて売春させるような奴だ。しかも『止めろ』って言っても止めねーから同じ思いさせただけだ。どこが悪いんだ? 俺はクズだが、あの女だってクズだぁぁぁー-」

「お前には失望したよ…なぁ証拠があるんだよ、ほらよ」

これは俺の撮った録画データー?

「徳ちゃん…これが」

「なぁ…さっきの話だったら中坊達はお前に感謝しているだろうが? だがな、川音が聞いたらよ『麗美さんをこれを使って脅していました』そういって証拠として出してきたんだぞ? 動かない証拠だろう?」

「それで…麗美は?」

「去る時、聞いた女友達の話じゃ…男性恐怖所に掛かって妹と田舎に帰ったそうだ…なぁ、嘘ばかり言うんじゃねーレイプ野郎が」

「徳ちゃん、川音ちゃん…俺が信じられないのか? 俺は親友じゃないのか?」

「俺には腐った友達(だち)は居ない」

「お前は友達じゃねーよ」

「そうかよ…そこのガキ、お前はなんでそんな嘘をつくんだ…『助けてくれ』って頼んできたよな?」

「おおおお俺は頼んでない…売春なんて誰も強要されてねーよ」

そうかよ、麗美が居なくなったら『怖い』俺が邪魔になったんだな。

此奴やその仲間がシンナーやっていたから『ぶん殴ってやめさせた』

大方そう言ったことが重なって俺を追い出したいのか?

仲間だ…後輩だ…そう思っていた俺がバカみたいじゃないか?

「そうかよ…俺が全部悪いのかよ…だったら、俺をどうするんだ? 徳丸に川音…なぁ」

「お前は特攻隊長から降ろして…破門だ…」

「それだけじゃ許せねー、命以外の保証はしねーよ」

「そうかよ…」

俺は右手にナイフを握りしめた。

「まぁ良い…それじゃ破門ね…好きにさせて貰うわ…まずはクソガキがぁぁー-」

「ヒィ」

俺は近づくとクソガキの太腿にナイフをサクッと刺した。

「本当の事言えや! 嘘ついたら殺す」

「うわぁぁぁ許して、殺さないで…売春の話は本当です、嘘ついて…ごめんなさい…」

「そうか…正直に話したからこれで勘弁してやるよ」

俺は右耳を掴んでナイフで切り落とした。

「痛ぇぇぇぇー-嘘、俺の耳が耳がぁぁぁー-っ」

もう知らねー。

助けてやったのに嘘つきやがった。

「知らねーよ! それで徳丸ぅぅぅぅぅー――、川音ぉぉぉー-。どうするんだぁ、あん!」

「そいつはお前が怖いから、お前に都合の良いように話しただけだろう?」

「そうかよ川音…それで徳丸は?」

「お前は破門だ、もしお前が言うことが本当でもそれは変わらない…お前は危なすぎる、もし売春の強要が本当でも監禁して犯す必要があるのか? 例え嘘をついたとしてもナイフで刺して耳まで切り落とす必要は無い」

なんだよ…此奴ら、なんで怯えているんだ。

全国制覇…するんだよな。

なんだ『ふかし』かよ。

「もういいや…やってらんねぇー俺は行くわ」

「待てよ…まだ制裁が済んでねーよ」

「訳わかんねーよ…ここには4人しかいねー。どうにかなるのか?」

徳丸、川音、中坊、俺しかいねー。

真夜中の狼、総勢43名居たら怖かったが、これならどうにかなる。

「ふざけんなぁぁぁー-殺してやる、麗美の仇だぁー--っ」

「うるせぇなー-この野郎ぉぉー――っ」

数発食らったが、この程度じゃ痛いだけだ。

俺は、右手に持ったナイフで右肩を滅多刺しした。

「うわぁぁぁぁー――っ」

「うわぁぁぁぁー-じゃねーよ、バイクばかりで喧嘩は弱いからそうなるんだよ。これで終わりじゃねーぞ。 徳丸これはタイマンだ、手を出すんじゃねーぞ」

蹲る川音の右膝めがけてカイザーナックルを振り下ろす。

2回3回4回5回…10回外してコンクリートの床を殴ることもあるが気にしないで殴り続けた。

「うがぁぁぁぁぁー―――っあああっ止めろ…やめろー-」

川音は膝を抑えながら蹲っている。

もう喧嘩も出来ないし…バイクにももう真面に乗れないだろう。

「さぁ、川音はもう終わりだ…さぁ徳丸やろう?」

「竜二、お前…やめ」

「うるせぇーよ、もう遅いんだよ、この偽物野郎がー-っ」

暴れて殴りかかる徳丸のパンチは川音の比じゃない。

だが、気合を入れていれば堪えられる。

俺は川音の血で血だらけのナイフで滅多刺しした。

流石に腹や胸は避けたが、顔だろうが腕だろうが足だろうが滅多刺しだ。

案外、ナイフの痛みはすぐには出てこない。

「この野郎が、卑怯なお前なんか」

「徳丸ぅぅぅー――何が喧嘩最強だよ..ナイフで刺された終わりなんだよー――っカイザーで顎にでも当たれば終わりだー-っ」

事実、徳丸はもう、真面な力が出ない。

ここでナイフで彼方はえぐられた感覚が出てきたんだろうな。

顔が真っ青だ。

「お前、狂っていやがる…これはヤンキーの喧嘩じゃない…こんなの殺し合いだー-っ痛いっいたぁぁぁぁ止めろー」

俺はお前や川音が本気だと思ったから手を貸した。

嫌な事は全部俺が引き受けてきた。

危ない奴、怖い奴それは全部裏で俺がかたずけてきた。

「奇麗ごとだけじゃ族なんてやれねーよ…お前は看板だから、負けさせる訳にいかねー。だから俺が裏でこんな喧嘩をしてきたんだぜ…もういいや、親友でも友人でもねーんだろう…」

「ヒィ…」

なんだよ…根性ねーな。

「おい、中坊…本当の事をもう一度言え…嘘言ったら殺す…」

「はい、麗美は本当に…人を脅して売春させていました…うぐひくっごめんなさい…ひくっ」

「だそうだ…もうどうでも良いや…勝手におままごとでもしてろや、じゃぁな」

なんだよあいつ等…親友じゃねーのかよ。

もうこの辺りにはいられねーな。

痛さで転がっている三人を背にして

俺は逃げるように地元を後にした。

※ すいません、まだ湯浅裕子が出せませんでした。
次の話では出てきます。
申し訳ない。

湯浅裕子
流石に一文無しはまずい。

家に飛んで帰るとシャワーを浴びて着替えてから箪笥を漁った。

「竜二何してるんだー-っ」

「何しているのよー-っ」

「うるせい糞親父に糞婆ぁー-っ、金を持っていくに決まっているだろうが」

普通に考えたら碌でもない無い息子にしか思えないだろうな…

だが、違うんだぜ…俺の親は両方ともクズだ。

親父はヤクザにさえなれないチンピラで薬中。

お袋はピンサロやりながら薬中。

散々ぱら、俺にも暴力を振るっていたが…俺が強くなると同時に立場が逆転した。

ガキだった俺に新聞配達や牛乳配達をさせて俺から搾取してきたんだ…

やり返しても問題ない筈だ。

「うるせーな…まだ俺から搾取した分は返してもらってねーだろうが—っ、どうせ、また薬かギャンブルに使うんだから、関係ねーよ」

「親不孝者――っ」

「そんな」

「あん?また死ぬほど殴るぞ? ちっ10万か」

俺は10万を無造作に突っ込むと家から飛び出した。

◆◆◆

気が付くと俺は新宿に来ていた。

何となくだが、此処なら俺でも生きていける…そう思ったからだ。

だが、現実は甘くない。

水商売だろうが、風俗の仕事だろうが、しっかりと履歴書や身分証が必要だった。

最初の内は漫画喫茶やカプセルホテルに泊まっていたが、お金は無くなる一方…俺が浮浪者同然になるのは時間の問題だった。

『糞っ、俺がなんでこんな思いしなくちゃいけないんだ』

飯も真面に食えねー。

そして…俺は本物のチンピラに落ちていった。

肩がぶつかる、目が合う…それだけで喧嘩を吹っ掛けて金を奪う。

だが、これもそうそう成功しなくなる。

俺に鬼気迫るものが漂い始めたのか…誰も目もあわさず、俺とは距離をとって歩く奴ばかりだ。

『何だよこれ!』

しかも、警官に会う度に追っかけられる。

最初、徳丸や川音の事がばれたのか?

そう思ったが違うようだ。

『未成年の家出少年』そう見えるから追っかけられる…それだ。

財布の中は62円。

最早泊まるどころか飯も食えねー。

いっその事…次会った奴を…駄目だ。

『喧嘩を買わない奴』から奪うのは俺のポリシーに反する。

ハァ~肩がぶつかる…目が合う…その瞬間に謝るんじゃねぇーよ。

そんなんで、なんで不良やってのか解からねー。

「ハァ~腹減ったな…もう丸2日間飯食ってねーな」

俺は噴水のある公園でベンチで眠っていた。

「あんたさぁ…こんな所で寝ていると風邪ひくよ?」

「うるせぇな…放っておけよ」

この糞アマっどうせ…ただ声を掛けてきた、それだけだろうが?

「別に突っぱねるのは自由だけどさぁ? あんた、その分じゃ飯も食えて無いんだろう? 牛丼で良けりゃ奢るよ? さぁどうする?」

糞…

「解った、奢られる…」

「そう、そう、子供は素直に奢られるのが一番よ!」

俺はこの女について行くことにした。

「牛丼の並みと特盛一つ」

「はい」

「私の名前は湯浅裕子…まぁホテトル嬢をしているんだけどね」

※今でいうデリヘル嬢です。

ホテトル? ああっ…

「お前、いきなりそんな事言って恥ずかしいと思わないのか?」

初対面のガキとはいえ初対面の人間に自分が風俗嬢だと言って恥ずかしくないのか?

「恥ずかしくないよ。私は誇りを持ってこの仕事をしているからね」

「そうかよ」

「そうだよ…これから君が食べる牛丼だって私が体を売った金から払うんだ…どんな金でも金は金だよ」

確かにそりゃそうだ…金は金だ。

「そうだな、当たり前の事だ…ありがとうな」

「へぇ~お礼がしっかり言えるんだ、偉い偉い」

裕子が俺の頭を撫でやがった。

人の頭を…結構悪くいないな。

「気安く触んなよ…」

「そう…それで何があった! 言えるなら言ってみ…まぁ嫌なら無理してまでは聞かないよ」

気が付くと俺は自分に何があったのか話していた。

なぜ裕子に話してしまったのか解らないが、此奴に聞いて貰いたい、何故かそう思ってしまった…

「そんな所だ…」

「まぁ、お姉さんが思った以上だね…それでどうするのかな?」

「わかんねー」

「だろうね…仕方無い…何がやりたいか解かる迄、私がどうにかしてやる…但し、甘やかさない」

結局、俺は裕子に連れられて行き、ホテトルの電話番と電話ボックスのカード貼りをする仕事を貰った。

案外、楽で事務所と言いながらコタツが幾つかあってそこで電話を受けるだけだ。

これは案外楽な仕事だ。

それとは別に、電話ボックスにカードを貼りに行く仕事もある。

だが、このカード貼り、意外に大変だ、電話BOX事に貼る位置が決まっていて、ズレて貼ったら大事になるらしい。

この仕事を週に3回する事を条件にホテトルの事務所に住むことをオーナーが許してくれた。

それとは別に週2回、スナックの手伝いをさせられている。

これは『ホテトルなんて所詮は非合法だから、水商売でもなんでもちゃんとした仕事を覚えな』と裕子に言われたからだ。

湯浅裕子という女は、一言で言うなら『おせっかい』それに尽きた。

俺の稼いだ分はしっかりと俺にくれ…ガキだった俺に、寝床や生き方を教えた女…それが『湯浅裕子』だ。

「裕子姉貴」

「なんだよ…私はあんたの姉貴になったつもりは無いんだけどね?」

俺の人生にとって唯一信頼できた人間…ヤクザで言う『兄貴分』そう思える人間、それが『裕子姉貴』だ。

◆◆◆
「良治どうしたのかな? さっきから私を見つめて」

「いや、なんでも無い」

『此奴なら』つい思ってしまう訳だ。

裕子姉貴の孫か…確かに少し似ている。

どうしても特別扱いしてしまう訳だ。

結局、この日は学校をサボる事にした。

【解説】8
昭和の頃はまだスマホが無かった為ホテトル(今のデリヘル)への連絡は電話BOXからが多かった。

今みたいにネットの情報が無いから、風俗専門紙やチラシを見て電話をするシステムだった。

その為、公衆電話にピンクビラと言うカードを貼るのだが、縄張りがあり、どの部分にどの店が貼るのか決まっていた。

その場所はセンチ単位で決まっていてずれて貼ると、店がらみで怒られる程厳しかった。

俺の城
此処からが、萌子の試金石だな。

口では何とでも言える、だが果たして目のあたりにしても同じ事が言えるかどうかだ。

「萌子、サボると決めたら、ちょっと付き合ってくれ」

「付き合うって何処へ」

「俺たちの家だ」

「家…もしかしてアパートでも借りたの?」

「そんなもんじゃねーよ『家』は『家』だよ」

「家?」

訳が分からないという感じできょとんとしている。

俺は昨日のうちに注文しておいた物の組み立てもあるから、この機会に萌子にも見せる事にした。

「まぁ、良いから行こうぜ」

◆◆◆

「ここは、哲也の家…なんで」

萌子の奴驚いている、驚いている。

おう、アルジオンの宅配が届いている。

あそこはすぐに出荷の置き配だから便利だな。

「ああっ実質俺のもんだ、ただ家畜の世話をしないとならないんだがな」

「家畜? 良いから入って、入って…あと荷物持つの手伝ってくれ」

「解ったけど…どういう事?」

まぁ驚くよな。

いきなり、哲也の家が『俺』の物になっているんだからな。

此処からだ、此処から、萌子が本当の意味でパートナーになれるかどうかだ。

「まずは少し寛ごうか? 萌子はコーラで良いか?」

俺はそう言いながら、萌子の返事を待たずに冷蔵庫からビールとコーラを取り出した。

「うん、ありがとう…ってビール」

「ああっ俺はビールが好きなんだ…ぷっは~美味い」

本当に久しぶりだ…すんごくうめえっ。

「随分、美味しそうに飲むんだね」

「まぁな」

さてこれからだ。

「さて、これからだ、俺はこの家を自由にできる代償に家畜の世話をしなくてはならない…これを見たらもう、萌子に後戻りはさせねー…前に言った通り『裏切ったら殺す』最後だ、引き返すなら今が最後だ…どうする?」

「引き戻すわけ、ないじゃん」

「なら良い、行くぞ」

「…うん」

流石に緊張しているようだ。

やっぱりな、糞尿垂れ流しだ。

まぁ事前に下半身丸出しで拘束していて良かった。

これなら、おしっこを拭いて、うんこを袋に入れるだけで済む。

「なに、これ…哲也のお母さんとお姉さん…じゃない」

「ああっ、色々あってな此奴ら家畜の世話をする事でこの家を自由にできる…まぁ家畜とはいえ、もうじき、俺の母親と姉になるがな」

「訳が解らないよ」

「後で詳しく話す、とりあえず、うんこをトイレットペーパーで取ってトイレに捨てて、おしっこを雑巾で拭いてくれ、あと2匹の尻も拭いてやってくれ」

「トイレットぺーパーの場所は何となくわかるけど、雑巾は解らないよ」

「適当なタオルで良いぜ」

「ハァ~いきなりこんな事させられるなんて、思わなかったよ」

「十分先に報酬は払っただろう」

「そうだね…嫌だ、凄く臭い」

「ううんうぐうううっ」

「うむー――うん」

「あっ騒いでも無駄だ…萌子はこっち側の人間だから」

この様子を見て騒がない…どうやら大丈夫そうだな。

「あのさぁ…ペットとか家畜の世話は、本当は飼い主がするんだよ?」

「だったら、お前も共通の」

「私は犬や猫好きじゃないんだからね」

「それじゃ、今回だけ頼むわ…俺はこれを組み立てるから」

「何、それ?」

「大型犬用の檻だよ…説明書通りなら土佐犬でも大丈夫らしい」

「そうなんだ」

「これから2個組み立てて設置しなくちゃならないから、悪いな」

「解ったよ」

流石は大型犬用だけあって1つ約3畳ある。

なかなか豪華だ、屋根に下板付きで鍵も掛かるから、これで絶対に逃亡は出来ない。

というか、竜二の時にヤクザが監禁で使っていた。

「結構時間がかかるんだね、良治が夢中で面白くないから、あっちでテレビ見てて良いかな」

「良いよ」

「うううー――っうう」

「うぐううううー-っ」

「煩いな、静かにしていろよ…お前らの家を組み立てているんだからな」

これで良し。

大型犬用のトイレをそれぞれに布性のペットシートを入れて設置。

本当なら布でなく普通のペットシートにしたいが、犬も飼ってないのにシートを捨てたら可笑しがる人間が出るかも知れない…だから、洗って使える布にした。

後は、犬が使う給水機。

これで水が飲める。

「良いか?噛むなよ? 大声だすな? 出したらぶん殴るからな」

そう伝え猿轡を外す。

そして膝の拘束を外した。

これで後ろ手の手錠と足錠だけ、うさぎ跳びみたいな感じなら動けるし、うんこ座りもできる。

この状態でそれぞれの檻に突っ込んだ。

「ハァハァひどい…助けて」

「ハァハァ、今なら言わないし警察にも」

「うるせー――よ! 黙れ、黙らないと殺すぞ」

静かになったので、犬用の皿に、フルーツグラノールを入れ牛乳を掛けて『完全栄養食』を振りかけた。

まぁこれで生きていける最低限の栄養は取れるはずだ。

まぁ、体調しだいでビタミン剤とかやれば良いだろう。

「ほら、飯だ…あとこれもやる」

俺は餌と一緒に毛布も入れてやった。

まぁこれでOKだな。

エアコンも25度のオート設定にしてあるし。

「なんだ食わねーのか」

2匹は恨めしそうな顔をすると犬食いで餌を食べ始めた。

この家は完全防音だから、これで大丈夫だろう。

◆◆◆

「それで、どうしてこうなったの?」

まぁ萌子からしたら聞きたいよな。

俺は、簡単に今までの経緯を説明した。

まぁ、流石に金については説明抜きだ。

「こんな感じだ」

「凄いね、良治、哲也を実質勘当させて、自分が養子になるなんて」

「まぁな」

「だけど、元のお母さんは良いの?」

「ああっ、あいつは凄く良い母親だ、だから俺みたいなバカ息子、いない方が良いんだよ」

「お母さん泣くよ」

「多分な…親不孝な息子…それで良いんだ…最後まで悪人を貫くぜ」

「優しいね」

「どこがだ、金欲しさに親を捨てる悪人だ」

「まぁ良いや」

糞、やりにくい、こんな所迄、似てるのか?

石川はそろそろ終わるだろう…

後は久保田をどうにかすれば一段落だな。

本当の母親を捨てた

「郁美の婆ぁこれでお別れだな」

「良治ちゃん…これはどういう事なの?お母さん解らないよ」

哲夫と千鶴の離婚届けが成立したから、今度は俺の養子縁組の手続きに入った。

哲夫は俺ほどではないが悪党なのだろう。

こんな悪徳弁護士の知り合いがいるんだからな。

「俺は貧乏に飽きたんだ…あんたみたいな婆ぁと一緒じゃ幸せになれねー…だからよ金持ちの家の子になるんだ」

「そんな良治ちゃん…」

「あんたと居ると俺が不幸になるのが解らないのか、糞婆ぁがよ」

郁子母さんには恋人がいる。

だが、俺を高校に行かせるまではと付き合いを控えている。

俺が居なくなればきっとすべてがうまくいく。

「そんな良治…お母さんを捨てるの?」

「ああっ捨ててやる、俺はお前みたいな貧乏な親を捨てて、セレブになるんだ…ああっ可哀そうだからセレブの新しい母親から金を貰ってやったぜ、これで糞じじぃと結婚して店でもだせば良いんじゃねーの…金困っているんだろうが」

「良治ちゃん…あんた」

「うるせーよ…幸せになって死んじまえ糞婆ぁ」

「解ったわ、だけどこの金は要らないわ…それと良治ちゃん、貴方は私の子なの、好きに出て行って構わない…だけど、本当に困ったら何時でも戻ってきなさい」

「駄目だ…金はちゃんと受け取れ」

「良治ちゃん…それなら、少しは素直になりなさい」

「解ったよ…自由が欲しいのは本音だ。だが母さんには本当に世話になった、だから…最後に受け取って欲しいんだ」

「そうお別れなのね…何がしたいか解らないけど、貴方の行く道に私が邪魔なら仕方ないわ…このお金も受け取るわ。だけどこのお金は貴方が20歳になる迄使わない。あなたが20歳の時に不幸だったら全額返すわ。あなたが笑顔で幸せだったら、ありがたく貰うわ」

「勝手にしろよ…」

「これは母親として最後の意地…良治、私にとって幾らあなたが遠ざけても、貴方は私の子なのよ…だから、此処から出ていくなら絶対に幸せになりなさい…良いわね!」

「解ったよ..」

郁美母さんは泣きながら書類にサインやハンコを押した。

これで親子じゃない。

どんな事をしても心が痛まない俺が…心が痛い。

俺の中の良治が知っている。

この人がどれだけ優しく、素晴らしい人だったかを。
俺は良治の母親だったこの人を忘れない。

『沢山の恩がある』

だから、此奴の事は言わないが『母』だと刻んでやる。

俺は悪党…一緒に居ない方が幸せだ。

だが、もし困ったことがあったら、必ず助けてやる。

俺の中の『良治』の母親なのだからな。

俺はこの日、本当の母親を…捨てた。

飼育
これで俺は正式に郁美母さんの子じゃなくなり、家畜まぁ千鶴の子となった。

千鶴は哲夫と離婚したから尾上ではなく今では『二上』に苗字は変わった。千春も同じ。

その為、戸籍上は『二上』になるのだが…色々と問題が起きるから学校に通っている間はこのまま、田向良治のままで過ごさせて貰う事にして貰った。

この辺りも哲夫がうまくやってくれたようだ。

中学を卒業したら二上良治を名乗らないといけない。

何だか本当の意味で『新しい人生』が始まる気がする。

締まらねー話だが、もう一度俺は郁美母さんに会った。

この後、俺の周りは騒がしくなる。

石川の家をだまし取ったから、家に押しかけてくるかもしれねーし。

久保田の親も解らねー。

郁美母さんには…この街から出て行って貰わないと安心出来ねー。

「好きな爺ぃが居るんだから、そいつと暮らせばいいだろう?」

そう伝えたら、一瞬悲しそうな眼をしていた。

「迷惑だ、貧乏な婆ぁが母親だなんて思われたくねーからな」

罵詈雑言を浴びせ非常な顔で突き放した。

だが、この母親は妙に感が良い。

「もしかして良治…私の為に…」

何て言いやがった。

「まぁな、俺が他人になって、この家を追い出されたら『一緒になる』しかねーだろう…コブ付きでも貰ってくれる奇特な爺だ。コブが無くなったら…もうラブラブじゃねーか。沢山子供でも作って暮らせや」

何か言っているが無視だ。

それだけ言うと俺はヒラヒラと手を振って振り返らず去った。

あの親は良い親だ…結局『良治の心』が最後まで郁美母さんの前で『悪党』でいる事を拒んだ。

これで、誰が押しかけて来てもここはもぬけの殻だ。

『直接俺の所に来るしかねー』

まぁ『俺の保護者』じゃねーからもう迷惑は掛からねーだろう。

◆◆◆

俺は萌子に小遣いをやった。

あいつの母親は郁美母さん程じゃないが良い奴だ。

だから15万円の現金と3泊4日の温泉旅行券をやった。

この位が丁度よい。

萌子は俺と学校をサボったり、放課後も遅くまで一緒に居る。

偶に朝帰りまでしているから…バイトしている事にしている。

これも良い誤魔化しになるはずだ。

それに…ハァ~実の母親と縁を切ったせいか…萌子から聞いた母親に代わりに少し親孝行したくなった…のかもな…似合わねー。

◆◆◆

今日から此処が俺の家だ。

約束の金は足がつかないように、元からあったこの家の金庫に入っている。

家の権利書や多額の金が入っている銀行口座も千鶴の名義ではあるがカードも含み全部俺が管理しているから、全部実質俺の物だ。

監禁して支配するのは、そう難しくない。

自由を奪い、俺が居る時だけ制限して自由を渡す。
その繰り返しだ。

食事を与え、排便の処理をする、更に痒くなった体を洗ってやる。

やがてそれらは『依存』という形になる。

逆らえば暴力…従順なら快楽を与える。

その繰り返しで依存は加速する。

後は薬物…『咳止め』を使うか『シンナー(トルエン)』を使うか。

どちらも古いやり方だが…この家から出ないなら有効だ。

「おい喋ってよいぞ、お母さん、お姉さん」

「ううっ…なんでこんな事に、もうおしまいね…これから何をするのよ」

「あんたが弟…哲也じゃなくてあなたが…お父さんも居なくなって…あははっ、私、幸せな結婚をするの…」

薬物を使わなくても絶望からか『もう壊れかかっているな』

一回壊してしまって『自分に従順な人間に作り変える』

そうすりゃ女なんか従順になる。

だが…これをすると良い部分が無くなるから『好きな女』には使えねー。

此奴らの自由は全部俺が管理している。

テレビも何もない真っ暗な部屋で放置している。

「さぁどっちから相手してもらおうか?」

そう言いながら2人の檻のカギを開けた。

すると2人は蹲踞の姿勢で、俺の方に寄って来た。

軽く頭を撫でると作り笑顔で二人は笑う。

命令すれば、自分から俺にまたがって腰を振る。

だが『騙されちゃいけない』

まだ、この2匹のメス豚は暴力から俺に従っているだけだ。

この笑顔が本物になった時…真の俺の家畜が完成する。

哲也 もう戻れない

「哲也、お前はもう孫ではない」

「貴方がそこ迄腐っているとは知らなかったわ」

一体なにが起きているんだ…お爺ちゃんもお婆ちゃんも俺には優しかったはずだ…それがなんでこうなるんだ。

「哲夫くんから詳しく話を聞いた、お前が虐めの主犯格だったそうじゃないか?」

「何が虐めの被害者なの…貴方って子は『自殺ゲーム』と言って人を自殺に追い込む様な事をしていたんですってね、そんな孫になんでなっちゃったのよ…ううっ情けないわ」

俺は…

「確かに俺は昔は…だけど…」

そんな…
「嘘など言わなくて良い、同級生を脅して何百万もせしめていたそうだな…見下げた奴だ」

「俺はそんなにしていない!」

「そんな…語るに落ちるとはこう言うことだ『そんな』とはどういう意味だ…反省の色が無いな。少なくともそのうちの数十万円分の証拠は哲夫から見せて貰った」

「爺ちゃん」

「哲也、貴方のせいでお母さんとお父さんは離婚したのよ、そして千春ちゃんの結婚も無くなったわ」

「そんな、糞野郎、良治の奴殺してやる」

「まだ、そんな事言っているのか? 親や姉がお前の責任を取っていると言うのに…」

「『殺す』ですって、それが貴方の本性なのね。相手の子はかなり長い時間のカウンセリングが必要だというのに」

あいつはそんな玉じゃねー。

「俺は…」

「家族としてお前を甘やかしていたようだ…哲夫も千鶴も中学生には過分な小遣いをやっていた…それなのに、お前ってやつはお金が無い子を脅して金迄とって、聞くに堪えない位酷いことをして金を巻き上げていた…そう聞いた。 もう哲夫も千鶴もお前に対して一切の援助はしないそうだ…あと被害者の良治くんから弁護士を通して正式に『接近禁止命令』が出された。もう良治くんに近づくんじゃない!」

「俺は…そこまで…悪く」

「だまらっしゃい!」

「お前の事だが…北海道の重作さんが人手が欲しいそうだ、転校の手続きをしたから、来週からそこで働きながら中学に通いなさい」

「重作おじさんの家って..」

「農家兼酪農をしている…お前は一回お金を稼ぐ大切さを学ばせる必要がある…中学、高校は重作さんに預ける事にした。高校を卒業した時に迎えに行ってやる、その時に更生していたら孫としてもう一度迎えいれよう…更生してなければそこで縁切りだ」

「爺ちゃん..嫌だ、俺は北海道になんて行きたくない」

「嫌なら出ていけ…1人で生きれるならそれで良い…その場合は縁切りだ」

住む場所が無い俺は…最早その話を受けるしかなかった。

◆◆◆

此処は地獄だ…

朝は3時から仕事をして飯を食って田舎の中学へ通う。

帰ったら、また仕事を手伝いテレビも碌に見ないで飯食って就寝。

少し前まで俺は…楽しく過ごしていたのに…もう戻れない。

石川 すべて失った
今日俺の家に弁護士がきた。

このまま此処に住むなら『家賃』を払え。

嫌なら6か月以内に立ち退いて欲しいという話しだった。

母親が居た時だったが…どう考えても『詐欺』の様な気がしてならない。

俺が間に入り

「警察を呼ばして貰うぞ」

そう伝えたら、静かに

「どうぞ!」

そう言われた。

どう考えても詐欺師だ。

この家は俺の親父名義だし、俺が子供の頃から住んでいる。

絶対に他人の物の訳が無い。

警察が来るまで、更にこの偽弁護士は言い続ける。

「あの…弁護士バッジをつけて身分証も見せましたよね?私が弁護士なのは解ると思いますが、何でしたら登録番号もお教えしますよ?」

「あの、私も主人もこの家も土地も手放していません! 馬鹿な事は言わないでください」

「詐欺になんて引っかからない…警察が来るから、おとなしく待っていろ!」

俺はそう怒鳴った。

どう考えても可笑しい。

警察がくれば、もう終わりだ。

直ぐに警察官がやってきた。

「詐欺にあっているというのはこちらですか?」

「はい、この方が、此処は他の方の物だから、家賃を払うか6か月以内に立ち去れと言うんです」

これで大丈夫だ。

「先方の言い分も聞かないと…それで貴方は?」

「はい、弁護士をしています平山と申します。ちゃんとバッジも見せて身分証も見せたのですが信じてくれなくて」

「そうですか? 念の為、登録番号も教えてくれますか?」

「はい」

何だ此奴、やたら落ち着いているな?

警察官は無線で何やら話している。

「はい、はい、解りました。あーこの方、平山さんは本物の弁護士です」

「なんですって…」

「そんな」

「さっきから言っていますよね? 私はこの土地と建物の正式な所有者、藤原氏からの依頼を受け、不法占拠している、貴方達と交渉の為に来たのです。 他の方に売り渡しておきながら住み続ける、貴方達こそが悪いとは思わないのですか? 私は内容証明まで送っていますよ?」

「そんな…確かに変な手紙は届いていましたが主人が詐欺だと思って捨ててしまって…」

「可笑しいだろう…親父もお袋もこの家を手放して等いないぞ」

「これは、コピーですがもう別の方の物ですよ、ほら事項証明書にも記載がありますし、売買契約もあります。お巡りさんも見て下さい」

警察官が書類を見ている。

「これは確かに…悪いが警察は民事不介入なんです。これで失礼させて頂きます」

「そんな…」

「どちらかと言えば、貴方方が『不動産侵奪罪』を犯している可能性が高いと思われる…まぁしっかり話し合いなさい」

そういうと警察官は帰っていった。

「さぁこれでどちらが悪いか解りましたね? それでどちらを選ばれますか? 賃貸契約の場合は2年契約で1か月18万円が依頼主の希望です」

「待って下さい。本当にこの家や土地は売ってないんです!」

「証拠はありますか?」

「土地と家の権利証があります」

「本当ですか? それじゃ見せて頂けますか? 見せて頂けるならとりあえず今日は一旦、帰らせて頂きますが…」

「解りました、今お持ちします」

これで大丈夫だよな?

「ない、無いわ…何処にも無い、嘘でしょう…何処にも無い、印鑑も無いわ」

「お袋…」

「貴方もボヤっとしてないで探してよ」

「解った」

二人で一生懸命探したが何処にも無かった。

「あの何時迄茶番をしているんですか? 事項証明で名義が藤原氏の物になっているんですよ…いい加減にして下さい」

「そんな、私はこの家を売ったなんて聞いてません!」

「いい加減にして下さい!さっきからグタグタと全く、貴方が知らないだけでご主人が売ったのではないですか? あまりに馬鹿な事を言うなら裁判するしか無くなりますよ!」

「主人に確認とりますから、待って下さい」

結局、お袋が電話して親父が帰ってきた。

そのまま話し合いをした結果…

「そんな、これは本物なのですか?」

「まぁコピーですが、見ての通り所有権は売り買いで移転されています。もう此処は貴方達の物ではありません。早々に立ち去るか、賃貸契約するか決めて下さい。退去の場合は本来は家賃も払ってないから即なのですが特別に6か月待ちます、これは温情ですよ…さぁどうしますか?」

親父の知り合いの弁護士に連絡して来てもらったが…この家も土地も正規の手続きで、すでに他の者の物になっていた。

弁護士の前だと言うのに…二人して罵りあっている。

「お前が俺に隠れて売ったんか? 正直に言えよ」

「貴方こそ、家族に内緒で売ったんじゃない? いい加減にしてくださいな」

「お前ふざけんな!」

結局、返事を3日間だけ待って貰う事で話し合いは終わった。

◆◆◆
だが、これだけじゃなかった。

「お前ら、いい加減借金返せや!」

次の日には借金の取り立てがきた。

何でも親父が2500万 お袋が1500万借金をした…そういう書類を持っていた。

しかも、しっかりと二人の実印が押されていた…

「そんなの知らないぞ」

「私も知らないわ」

「あん? ちゃんと実印が押してあるだろう? 印鑑証明とも同じだぞ…借りてねーわけないだろう? 金が無いなら働いて返してもらう、お前は肉体労働で、婆ぁは泡の国でアワアワしてもらう…」

三人で抵抗していたが…無理だった。

親父もお袋もそのまま車に載せられていった。

弁護士の平山が来て…結局俺は6か月後に立ち退く方を親が選んだ旨を聞いた。

きっとあの闇金とグルだったに違いない。

これをやった奴は…良治位しか考えられない。

空き巣が入ったのでなければ…あいつ位しかこの家に入った奴はいない。

俺は…どうして良いか解らない…だが…仕返ししない。

それは考えられなかった。

石川 猫 化け物
終わった。
あの日連れていかれてから親父もお袋も帰ってこない。

手紙だけが届き、親父は、慣れない漁船に乗って蟹を採っているそうだ。
手紙には『俺は大丈夫だ』そう書かれていた。

だが、その手紙は海水で汚れていてどう考えても大丈夫ではない事は解った…お金の殆どは…しても居ない借金に取られて僅かなお金しか貰えないらしい…その中から4万円が手紙と一緒に送られてきた。

この4万円がどれ程苦労して手に入れたお金なのだろう…それ位は解る。

お袋からも手紙が来ていた『お母さん頑張るから…』そう書かれていたが…この手紙は海水じゃなく涙で滲んでいた。

流石の俺でも『泡』の意味位解る…風俗だ。

親父と幼馴染で、親父しか知らないお袋が、そんな所で働くなんてきっと地獄に違いない。

だが、そんな中でもお袋は親父と同じに4万円送ってくれた。

このお金だけが、今の生命線…

しかも6か月後には、この家も無くなる。

電気代は幾らか?

水道代は?

それよりこれからは洗濯も飯も自分でやらなくちゃ…

『これじゃ駄目だ』 

彼奴に復讐するんだ!

良治の怖さは…何しでかすか解からねー事だ。

顔を焼く奴。

平気で人を刺せる奴。

そんな奴は周りに居なかった。

多分この金から3万も出せば…3年の先輩がボコってはくれる。

だが、その後はどうだ?

彼奴を殺さなければ…必ず復讐される。

しかも…不良なんて比べ物にならないやり方でやられる。

確かに哲也や俺は彼奴を虐めていた。

金も取り上げたし、暴力も振るった。

その結果が…これだ。

今考えれば解る『毎日5万持ってこい』

持ってこれるわけが無い。

持ってこなければ『リンチ』

確かに理不尽だ。

だからこそ、彼奴は俺たちを『人と思わなくなった』のだろう。

彼奴を俺たちが『人と思わない』それと同じ、いやそれ以上だ。

俺たちになら『何をしても良い』そういう化け物になっちまった。

仕返しする『免罪符』があいつにはある。

『やられたからやり返す』当たり前だ。

だがよー…俺はそこ迄してねーよ。

哲也や久保田は知らねーけど。

俺が殴って取り上げた金は、せいぜいが数千円だ。

菓子買って、漫画買っておしまいの小銭だ。

可哀そうだから、殴る時には手加減だってしてたんだぜ。

その結果が…これかよ。

腹がたったなら『俺をぶちのめして、毎日金持ってこい』それで良いじゃねーか…

なぁ、なぁ…家を取り上げて…親は重労働に風俗嬢に…そんな事するなよ…俺が憎いなら『俺を殺せば良かったんだよ』

絶対に許さねーかんな。

俺もお前と同じ化け物になってやる。

そして….

◆◆◆

「にゃぁ~にゃぁ~」

ごめんよ…お前たちは悪くないんだ。

俺は沢山の猫を拾ってきた。

一軒家だから誰も文句は言わない。

一匹の猫をゴミ袋に入れた。

『ごめんなさい』

此奴は悪くない。

「にゃぁ~にゃぁ~にゃ…ふぎゃぁぁぁぁー―――っ」

思いっきり殴る。

「にゃがやぁぁぁぁぁぁぁl―――ふぅー-っにゃがぁぁぁー―――っ」

暫く殴り続けると…猫は死んだ。

『ごめ』 謝っちゃ駄目だ。

田向ならどうだ?

絶対に謝らねー…笑いながらこれが出来るから、彼奴は強いんだ。

出刃包丁を持ってきた。

猫を押さえつけて…

「ふぎゃぁぁぁー――」

何をされるのか解ったのか暴れて俺を引っかいた。

それで良い…俺はお前を殺すんだからな。

押さえつけたまま、首を切り落としに掛かった。

包丁が業物だったせいか猫の首は簡単に斬り落とせた。

「ハァハァ…逃げちゃ駄目だ…俺は笑いながらこれが出来る人間になるんだ」

その後…猫の腹を捌いたり…押さえつけて皮を剥いたり…非道を尽くした。

もう何匹殺したか解らないが…ゴミ袋一杯分は殺した。

もう猫は必要ない。

残りの猫はドアを開けると一目散に逃げた。

『あははははっ、何だ簡単じゃないか? こういう事は田向みたいな奴じゃ無いと出来ないと思ったが…簡単だ』

両親に会う事はもう無いだろう。

家も6か月後には住めなくなる。

なら、お前を殺してやるよ。

お前を殺してもどうせ中学生 少年院か少年刑務所に入るだけだ。

前科もつかねーし…な。

今度はこっちの番だ。

久保田 お願いした

「あん? 1年の坊主をどうにかして欲しいだと? 久保田よぉ~お前は無能なのか? それに1年は哲也に任せているんだぜ! 飛び越えてなんで来るわけ?」

「お前、哲也と2年のメンツ潰すのか? おいそれと俺らに頼むのはおかしいだろうが?」

「それが…哲也は、田向が怖くて登校拒否…連絡がつかないですが、転校の手続きをしているって、噂です…それに2年の先輩には石川が頼んで森崎さんが動いてくれたらしいのですが…大怪我を負わされて、もう空手も出来ない状態です…2年の先輩と仲の良い石川が他の先輩にもあたったのですが…森崎さんがやられたと聞いて動いてくれないんですよ…助けて下さい!」

出来たら3年生には関わりたくなかった。

3年生は1~2年生とは訳が違う。

3年の先輩で不良をやっているのは『暴走族』『犯罪者』予備軍。

本物の『悪(わる)』だ。
暴走族の集会にも顔を出しているし、付き合いもある。

『この人達には絶対に田向でも勝てない』

もし万が一勝てば、それぞれのバックが出てくるから人生が終わる。

つまり…三年の不良と揉めるという事は族や愚連隊と揉める。

そういう事だ。

幾ら田向が強くても数の暴力には勝てねー。

何十という族に囲まれたら…1人じゃ何も出来ねーよな。

今度こそおしまいだ。

「あ~っ森崎やられちゃったんだぁ~可哀そうにな」

「森崎は三年に交じってもそこそこやれたのにな」

「馬鹿じゃねーか? あんなのが強い訳ねーじゃん! 相手に止めをさせねー奴はいつかこうなるんだぜ」

「そんな使えない2年坊なんてどうでも良いじゃん…それに哲也も居なくなっちゃったんでしょう?一年は今度誰に任すんよ」

「そんな事より、久保田くんよぉ~、その田向の討伐、誰に頼むんかなぁ~、あと幾ら出すんだ」

「そうそう、まずは誰に依頼するんだ? あと幾ら出せるんだ?」

「久保田は哲也の仲間なんだから、俺っしょ? それで幾ら持ってきたの?」

「それはちーげーよ…哲也が居なくなったのなら、もう関係ねーよ」

「あの、それは先輩達で決めていただければ…」

「「「あんっ?舐めているんか」」」

この学校の先輩はばらけている。

ヤンキー中学は普通は一つの権力で統一されているがこの中学は違う。

繁華街に近く二つの族の勢力圏に重なる為、この中学には大きく3つの勢力が存在する。
他にも幾つかあるが、基本は余り表には出てこない。

『全日本黒狼会』かっては、喧嘩が強い頭と走りも凄いという族だったらしいが、揉め事が起きて、頭と副リーダーが引退。
その為、規模はかなり小さくなり、走りは二の次『暴力と金』の族になった。数は昔より減り…それでも40名はいる。
金森和也が在籍。

『悪童連合』 自らを『悪』とし、何をやっても許される存在としている。『喧嘩上等』『狂乱』を自負する喧嘩集団。
その反面『走り』も重視し、『最速』『最強』が売り。
その走りは荒っぽく、敵対する族が走っていれば平気で蹴りを入れたり鉄パイプを投げ転倒させる。その数は100を超える。
一応は硬派を売りにしている。
神成純二が在籍。

『極悪少年愚連隊』『喧嘩』『金』『暴力』この三つをこよなく愛する団体。裏にはヤクザがついているという噂の半グレ軍団。
因縁を吹っ掛けては恐喝を繰り返し『金ずる』にする。
数は少なく20名。
森澄夫が在籍。

どうして良いか解らない。

「….」

「まぁ良いや、それで金は幾らまで出せるんだ? まさか手ぶらで来たわけじゃねーよな?」

「あの…これで」

俺は石川みたいに仲の良い先輩はいない。

いつも哲也にくっついて居ただけだ。

石川や哲也みたいに可愛がられていれば『しゃーないお前の為だ』と小遣銭で動いてくれるが…俺にはそんな先輩はいない。

だから、俺が今まで貯めた金の2/3を持ってきた。

「ほう…どれどれ…なんだ、ったの20万か…」

「「20万ね」」

「よかった…持ってきた金が10万以下だったらボコっていたぜ」

「「「それで、誰に頼むんだ」」」

「その…」

「おめぇームカつくな…の野郎っー――!」

バキッ

いきなり顔を叩かれた。

「あああっ」

「あああっじゃねーよ! お前は哲也の金魚の糞だろうがっ! なら俺に頼むんじゃねーの? 確かに三人で1年を任せたが、彼奴は俺の手下だったんだからな! 金森、神成、悪いがこれは俺が受ける。何もしないで良いからよ5万ずつで泣いてくれねーかな!」

「ああ、いいぜ! うちの先輩を動かすのには金が掛かるからな、その方が実入りが良い」

「俺は根性無しは嫌れーだからよ、そのガキには手を貸したくねーからな良いぜ、全くよ…仲間やられて『奇麗な顔』で話し持ってくんなよ! 俺の後輩なら、死ぬほど焼きいれてんぞ…5万は、まぁ、有難く頂くがな」

「悪ぃー-な」

「「いいって事よ!」」
「それじゃ久保田くんよー-っ、この俺、森澄夫が受けてやんよ…良かったな…もう安心して良いぞ」

「ありがとうございます」

◆◆◆

「それで久保田くんよー、あと幾ら出せる?」

「それはどういう? 痛っ」

何で殴られなくちゃいけないんだ。

「あのよーっ10万は手付だろう?こんな金額じゃ先輩に動いて貰えねーよ、こんな金額じゃ、せいぜい俺が呼び出して『もう久保田に手を出すんじゃねー』としか言って終わりだぜ。それで良いならこれだけで良いぜ? ヤバイ奴なんだろう? だったら一回地獄を見せなくちゃ終わらないぜ…先輩1人5万、5人も居れば、この世の地獄の完成だ。だから、あと25万寄越せ…そうしたら久保田君は生涯、田向から守られるぜ…勿論25万のコースはアフターフォローつき、もし田向がお前にまた何言ってきたら『極悪少年愚連隊』が黙っちゃいねー…どうだ?」

「だけど、俺そんな金」

「お前は馬鹿か? 親の金でも何でもあるだろう? これが払えるなら哲也の後釜にもしてやる。クラス全員から1万もとれば、逆に黒字だぜ。余分な分はお前が貰っても良いぜ」

嘘だろう…

「あの…」

「あのじゃねーよ…仕方ねーから、今回は特別、物納で良いぜ。高級腕時計に財布、鞄、それで30万円分で許してやんよ」

5万増えた…ヤバい、ヤバい…不味い。

「あの5万円…」

「換金手数料だ文句あるか?」

「ありません…」

結局、俺は親の腕時計2つと鞄で許して貰い、森先輩に『お願い』した。

誘拐とシスコン
とうとう3年から呼び出しが掛かった。

放課後に河川敷に来い…そういう内容だった。

名前は、森と久保田と連名で書いてある。

決闘状なんて古いな…

しかも、森は『極悪少年愚連隊』とも繋がっていやがる。

今回は『数でくる』そうに決まっている。

それに対してこっちは無勢…終わった…なんて思うか…バーカ。

森も久保田も甘めーんだよ。

こういう奇襲は間髪入れずにやるから効くんだ…相手に時と場所を教え、間を置いた時点で『もうおしまい』先手を打たれて大変な事になる。

とはいえ、余り時間がねーんだよな。

「先生…腹が痛いから早退すんわ」

「おい、田向…そういう事は教師が決める、まずは保健室でだ…」

「うるせーよこの糞教師…痛っいてぇー――っ、早退だっんだー-っ」

「ああっ解った…早退だな」

いちいち文句言うんじゃねーよ。

三年は平気で顔パスで帰るんだからな…

久保田の奴がこっちを睨んでいる。

まぁ『逃げる』そうとるだろうな…

だが、此処で逃げたらこれで俺は終わる。

一度、負けちまえば…落ちるところまで落ちる…だから引く訳にはいかねー。

先公が後ろを向いた瞬間、俺は久保田の頭を思いっきり殴った。

「痛ぇぇぇー――っ」

「お前は…もう終わりだ」

そう小さく久保田に伝えると俺は教室を後にした。

多勢に無勢…俺はどうするべきか?

前の時から考えると対処は3つ。

? 銃を手に入れてぶっ放す…今からじゃ間に合わねー。

? 車を盗んでひいてしまう。…そのあたりにある車で引いてしまえばどんな奴でも終わりだ。

? 人質をとる…この場合は誰の人質を取るかだ…

◆◆◆

「君が大隅歩美ちゃん?」

「うん、そうだけど…お兄ちゃん誰?」

「僕は健くんの友達で田向良治っていうんだ?お兄ちゃんに頼まれて迎えにきたんだ」

「えっ、そうなんだ…それじゃお兄ちゃんの手下なんだね」

「そうだね…確かに手下だぁぁぁー-。それじゃ行こうか?」

「うん」

ここの幼稚園は普通にみんな歩いて帰る。

だが、過保護な大隅健は自分か手下に必ず迎えに行かせる。

『此奴が極悪少年愚連隊の頭、大隅健の弱点だ』

これで随分と状況はこちらに傾く。

◆◆◆

「私、旅行から帰ったばかりなんだけど? これお土産…はい! それで、その子は何? 流石にロリコンには手を貸したくはないけど…」

「萌子…流石の俺もそんな趣味は無い…それで歩美ちゃん、お姉ちゃんと夜まで遊んでいてくれるかな? その代わり、出前で好きな物奢っちゃうよ…あと、そうだ欲しい物ある?」

「うんとね、ゲームソフト…真ん中暮らしが欲しい」

「夜まで、遊んでてくれたら買ってきてくるよ? そのあとは家まで送ってあげる」

「解ったよ」

萌子に目線を送り、キッズスマホとブザーを隠すように指示した。

これで良い…歩美ちゃんと写真を撮ってこれでおしまいと。

「それじゃ、萌子頼んだ…あの部屋は鍵が掛かっているけど近づけさせるなよ…それじゃーね歩美ちゃん」

◆◆◆

俺は歩美から健の電話番号を聞いてある。

これで勝ちだ。

「こんにちわ~健く~ん」

早速電話した…

【電話にて】

「なんだお前ぇ? 誰だ?」

「俺は田向良治…これから久保田と森…まぁあんたの仲間にボコられる予定の者だ」

「なんだ、お前手心を加えてくれ…あっもしかして止めてくれとかいうのか? 良いぜ…金さえ出せば、止めてやっても良いぜ、だがよー-っかなり金積んだみたいだがお前に出せるのか? あん?」

「そうですね…なら300万でどうです」

「300万? 良いぜ!」

「そうですか…いやぁ良かった。実は大隅歩美っていう子をね、さっきさらってきたんですよ。なかなか可愛いから、オタクのロリコン野郎に高く売れそうなんですよ…なぁにこの子ならエロDVDにしても金が取れそうだ」

「おい…おい、まさか歩美って…俺の妹じゃねーか! ふざけんじゃねーよ! お前殺すぞ!」

「ええっ攫わして貰いました…どうですかね? 妹さんの価値…300万処か1千万の価値があるんじゃないですか?」

俺はそう言いながら、俺と歩美が映っている写真も送った。

「おい…本当に歩美じゃないか? なぁ…妹に何する気なんだ…なぁ…」

「さぁ? それは健、貴方しだいだぜ! そうだな…森は兎も角、久保田は殺してくれないか? なぁ久保田を殺すだけで妹ちゃんは返してやるよ…どうだ?」

「お前、ふざけんなよ、流石に殺しはやらねーよ!」

「そうか? もし何だったら森をとおして久保田に聞いて貰っても良いけど…俺も殺しはした事は無いけどさぁ、人の顔を焼いた事はある。…歩美ちゃん顔を焼かれたら、その後の人生どうなるのかな」

「止めろ…そんな事しやがったらお前殺すぞ!」

「なら、久保田を殺した方が良いんじゃねーか? そうしたら歩美ちゃんも無事…俺に関わってこねーなら、二度と関わらねーよ」

どうせこの手の奴は…人は殺せねー。

まぁ三流だ…

「それは流石に出来ねーよ、なぁ頼む…妹、妹を助けてくれ、返してくれよー――っ」

「そうだな…それなら俺の代わりに久保田と森に焼きいれてくれねーかぁ。殺しが出来ねーなら、再起不能でよいや。 あっ、それさえしてくれるなら今後はお互い不干渉で良いぜ、俺はもうお前の妹に手をださねー。そっちは俺の中学から手を引く…どうだ?」

「俺の妹の保証は?」

「それは信じて貰うしかねーな…ただ今現在、お前の妹は美味しい物を食べてゲームして遊んでいるよ…それにな歩美ちゃんにはゲームをプレゼントしてあげる約束をしている…まぁお客さんだ。だが、敵に回るなら、一生会えないかもな? もし会えてもチャイルドポルノスターかもな? ああっ二目と見れねー化け物みたいな妹かもな…」

「解ったやるよ…それで良いだろう…」

「それで、俺は現場に行けばよいか?」

「来なくて良い…お前は、妹に約束のゲームソフトを買って来い、約束は約束だ、怖い思いさせないで家に帰せ…久保田と森には俺がしっかりと焼きを入れてやる…良いな? 妹には一切怖い思いをさせるな…させたら」

これ以上追い詰めたらヤバい。

余り追い詰めたらこっちに牙をむくかも知れねー。

此処で終わりにした方が良いだろう。

「それじゃ…頼むわ。俺は約束だから『真ん中暮らし』買ってくるわ…終わったら写真を数枚メールでくれ…そうしたら妹を指定の場所に送っていく」

「解った」

◆◆◆

「歩美ちゃん、はい約束の『真ん中暮らし』」

「お兄ちゃんありがとう! お姉ちゃんもお寿司ありがとう! ゲーム楽しかった」

まぁここは元は哲也の家だ。

大型テレビにゲームステーション6を繋いでいるんだ…まぁ楽しいよな。

「それで、お兄ちゃん、今忙しくてもう少し此処で遊んでいて欲しいらしいんだ。電話が来たら送っていくから、もうちょっと遊んでいて欲しいんだ」

「うん、解った…それじゃお兄ちゃんも遊ぼう?」

「ああっ解った」

この俺がガキと遊ぶのか…まぁ良い。

久保田と森退治の代金だと思えば安い物か…

「あれぇ~良治は子供が嫌いじゃなかったのかなぁ~」

「ああっ、これはお礼だ、お礼」

何だか妙にニヤニヤしている萌子と一緒に双六みたいなテレビゲームで遊んだ。

暫くしたらスマホに写真が届いたので歩美を送る為に外に出た。

5分も歩くと大隅健に出会った。

「よっ、歩美、随分楽しそうだな」

「うん、お兄ちゃんとお姉ちゃんに遊んで貰ったの、あとねほら『真ん中暮らし』買って貰った」

「良かったな」

「うん」

もっと怖い奴かと思ったが…優しいお兄ちゃんしているじゃないか?

「お前、ちょっと歩美を送っていってくれ」

「解ったよ健くん」

◆◆◆

「お前本当に汚ねーな…だが妹に関して約束を守ったから、俺も約束は守る…二度と妹に手をだすんじゃねー――ぞ」

「それは断る」

「そうか? なら…許せねーな」

「待て、俺のまぁ彼女がお前の妹と友達になっちまった…だから、次は人質じゃねー。友達としてだ」

「そうか…それじゃお前も妹の友達…そういう事か? 糞野郎」

「まぁな」

「ハイハイ…それじゃ仕方ねー…ほらよ、俺からのプレゼントだ」

俺が箱を開けると…指が数本と耳が入っていた。

「あいつらは『まだ手駒』としか思ってねー。妹を危険に晒した…けじめもプラスしてるぜ…まぁもう真面に歩けねーかもな、かなり腰をバットでいわしたからね…殺しは割が合わないからやらないだけだなんだよ~。だって確実に刑務所行きだからねー。二度と歩けない位やっても喧嘩なら、暴行傷害で済むからさぁ」

「そうか、確かにそうだ」

此奴、結構ヤバい奴だ。

俺と同類かもな…
「そうそう…お前の彼女妹と友達なんだよな? 俺がこんなだから歩美、あまり友達が出来ねーんだよ…お前らそのまま友達でいろ…それがお互い幸せだ(笑)」

「俺はガキは嫌いなんだよ」

「おいおい、俺たちはクズだが『友達』は大事にするぜ!田向お前は違うか、あん?」

俺は友達には裏切られてばかりだった…

だが、本当の『友達』なら…大事にするのは当たり前だ。

あのガキと萌子…楽しそうだったな。

「そうだな、お前は正しい」

「そうかだったら『妹を泣かせるな』 それだけ破らなければお前達は『妹の友達』手は出さない…それじゃあな」

そういって手をヒラヒラしながら去って行った。

彼奴『絶対に俺がガキには手を出さない』

そう思っているよな?

箱の中に耳が3つに指が4本あった…

敵に回したくねーから…関わるのはやめよう。

久保田 俺は…終わった。
「お前、田向ちゃんと来るんだろうなー-っ」

俺は今、森先輩に怒鳴られている。
俺と森先輩がいる河川敷に、まだ田向が来てないからだ…

まだ15分前だが、それを言ったらまたどやされそうだから、言えない。

「来ると思います!」

「来ると思いますだぁ~ふざけんなよ! もし来なくても金は返せねーからな…解っているよな?」

「そんな」

「そんなじゃねーよ! 俺とは違う…これから来る5人は『極悪少年愚連隊』の正規メンバーだ…口には気をつけろよ! もし田向が来なければよー-っお前だけじゃなくて俺だってやばいんだぜ…ちゃんと約束したんだよな!」

「俺はちゃんと約束しました」

「はぁ..お前やべーよ…先に、先輩たちが来ちまった…なんで7人も来ているんだ…しかもサブリーダーの木下さんまで」

「あの、森先輩…」

「お前、頭を下げて挨拶だ…ちわっす」

九十度のお辞儀で挨拶。

俺は森先輩と同じように挨拶をした。

「ちわっす」

「森よ~…お前のせいで…ふざけんなよ!」

「先輩?」

「先輩じゃねーよ! お前なんで大隅くんの知り合いに絡んだ訳?」

「ええっ、どういうことですか?」

「ああっ、田向は大隅くんの知り合いだ…事情は分からねーがな」

「お前ら、そこのガキに金返せや…」

「「「「「解りました」」」」」

「先輩…一体どうしたっていうんですか? いきなり金返すなんて…」

「お前、ふざけんなよ! お前のせいで大隅くんが怒り狂ってこれだ!」

そういうメンバー5人は全員前歯が無く、痣だらけだった。

「そこ迄で良いだろう? 此奴らにはこれからお前ら以上の地獄を味わって貰うからな…今、金返したからこれでお前らとの縁は切れる…それじゃ此奴らを車に乗せろ」

まさか…ああっ。

3台の車が用意されていて、その中の1台に乗せられた。

「森に久保田…素直に車に乗るなら『命の保証』だけはしてやる…乗れ」

逃げなくちゃまずい。

「おい、久保田逃げ出そうと思うな…木下さんから逃げたらマジで殺される」

「…はい」

「それで、すいません田向と何があったんですか?」

「それが大隅は何も言わない…だが凄く怒っている、俺もあそこ迄怒っている大隅は見たことがねぇーな…周り見てみろ、お前らの依頼を受けた此奴ら…これもんだぜ」

確かにボロボロという言葉でしか語れない位酷いありさまだ。

◆◆◆
『極悪少年愚連隊』の怖さは20歳すぎのメンバーがいる、そこにある。

その為、車を自由に使い、彼らで使える倉庫もある。

「降りろ…」

嘘だろう…大隅さんも含んでほとんどのメンバーが居る。

「あの、大隅くん…あの」

「大隅さん…俺金払って」

「あのよ~お前ら、なに馬鹿やってんの? 森さぁお前は出入りは許したけど、まだメンバーじゃねぇ…しかも間で金をピンはねしているらしいじゃん? しかも俺も通さずに勝手にうちのメンバー使うんじゃねーよ! お前らもガキに使われやがって馬鹿か? 」

「「「「「すいません」」」」」

「あの、俺は…」

「お前ら5人は制裁済みで今回はこれで良い…それでな、森と久保田にはお前らから制裁しろ…お前らの十倍以上でな」

「大隅、流石にそこ迄しなくても良いんじゃないか?」

「いや、今回は駄目だ…木下にも言わねーが、半端で済ます訳にいかねー…良いか『命だけは助ける』それ以上は何も保証するな…良いな、もし焼きの入れ方が生ぬるかったら…お前らにも焼きを入れる」

何故こうなったんだ…わかんねー-っ。

隣で森先輩が土下座して謝っているが情け容赦なくバッドで殴られている。

「許してくれー――っ、勘弁してくれー-っ」

そして俺も…

「許して下さい、勘弁して下さいー――っ」

幾ら、謝っても許して貰えない。

涙や鼻水よりも多分血の方が多い。

それでも、まだ終わらない。

「良いか腰だ腰をバットで思いっきり殴るんだ…そうすると歩けなくなる」

「二度と立てねー位足やひざを殴るんだー-っ。此奴らで本物の暴力を学べー-っ。頭や顔は殴るなよ…それさえしなければ、簡単には死なねーからな」

ああっ…俺は死ぬのか。

どれくらい暴力を受け続けたか解らない。

隣の森先輩はもう人でなくゴミにしか見えなかった。

もう悲鳴すら聞こえてこない。

多分気絶している…俺も気絶したい。

「大隅さん…ハァハァこれで良いですか? 多分此奴らもう歩けませんよ」

「そうだな、後は指を数本と耳を切ったら終わりで良いぜ」

「大隅、それはやりすぎだ」

「木下、甘いこと言ってんじゃねーよ。 おい、どうする木下の言う通りにしたいならすればよい…但し、そんな奴『俺は嫌いだ』」

「おい、お前ら止めてやれ」

「やれ」

結局、木下さんが止めてくれたにも関わらず…俺たちの指や耳は切り落とされた。

「うわぁぁぁぁー――っ」

「痛えぇぇぇぇぇー-っ」

泣いても謝っても許して貰えない。

「大隅…俺はお前についていけねーよ」

「木下、止めて良いぜ…ゴッコで済ますなら『族』でもやってろ。まぁ立ち上げメンバーのお前だからけじめは要らねーよ」

「そうか…それじゃ救急車位は呼んでやってもいいだろう?」

「ああっ、良いぜ…ただ口止めはお前がしておけ…もし此奴らが口を割ったらお前にもけじめが行くぞ」

「解った…二人とも、良いな絶対に口を割るなよ…そうすれば悪夢は終わるから」

「「ううっ解かりました」」

多分、もう俺は真面な生活は送れない。

この体じゃ進学も働くことももうできない…

そんな事を考えながら俺は出血のせいか意識を手放した。

◆◆◆

此処は…病院か…母さんが泣いている。

父さんも泣いている…俺は動けない…

多分俺の人生は…終わった。

石川の最後
「それじゃ萌子、また明日な」

「うん、手伝ったんだからね、何か買って欲しいな」

確かに今日は萌子に頼りっきりだった。

歩美の世話から、俺の家族(笑)二人の世話までまかせっきりだ。

「それで、何か欲しい物でもあるのか?」

「歩美ちゃんと友達になったからね…ゲーム機が欲しい」

なんだかな、こう言うところはまだガキなんだな。

「それなら…俺はやらないからこの家の奴をやるよ」

俺はやらないから…別に要らないしな。

「それは駄目だよ、良治も歩美ちゃんの友達なんだからゲーム持ってないとね?」

「解った、それじゃ今度の休みにでも買ってやるよ」

「ありがとう」

よく考えたら俺も萌子もまだガキなんだよな。

普通はこんな物か?

そのまま萌子を送り出した。

◆◆◆

俺は今現在パイプカットをしている。

ガキが嫌いなら、最初からこうすれば良い。

萌子も避妊手術をした。

勿論、裏でだ。

ヤンキー系は裏ルートで堕胎をこっそりしてくれる産婦人科に知り合いがいるが腕が怖い。

だから『新宿』ルートを辿った。

裏の仕事とはいえ、医者だから『まだ子供だろう』と諭されたが…俺が、自分が如何に悪人かを語ったら…受けて貰えた。

こんな手術をしたら子供はもう無理だ。

本来なら俺一人で良い筈だが萌子も手術を望んだ。

男の俺と違って妊娠が出来ないのは女には致命傷だ。

だが、幾ら言っても萌子は意見を曲げなかった。

手術をしても2か月間は妊娠させる可能性があるらしいから…萌子との行為はピルを使っている。

まぁ家にいる家族にも使っている

一応は養子縁組した親子だ、妊娠は不味いだろう。

檻に閉じ込めて、最初は反抗的だったが今は従順その者だ。

殆ど裸で過ごし、食事から排泄まで他人の世話になり、排泄後の尻ふきから便の処理までやられていれば…依存するしかなくなるだろう。

風呂まで手錠のまま入れているから、髪を洗うのも体を洗うのも俺。

その状態で、日常的に犯されていれば…依存がやがて『偽の愛情になる』

今ではもう、何時でも抵抗なく抱ける…半分奴隷みたいな者だ。

◆数日後◆

哲也はもう終わりだし、久保田は学校に来ていない。

病院でリハビリをしているが、もう生涯車椅子は確定、指も数本無く耳も片側なければ社会復帰は無理だ…親が裕福だからか、自然豊かな場所に引っ越すそうだ…これは報復を恐れた久保田が警察に一言も話さなかった。
その結果だ。

『息子が何かとてつもない事件に巻き込まれている』

だったら、そこから切り離すには『逃げた方が良い』そう判断したようだ。

多分、哲夫と違って久保田の親は裏の顔が無いのだろう。

仕事やしがらみを捨ててまで逃げる…ある意味良い親父だ。

石川ももう家を取られた事だろう…此処暫く学校に来ていない、終わりだ…

これでもう暫くはやることは無いな。

さてお腹もすいたしファミレスに飯でも食いに行くか。

「良治~貴様ぁぁぁぁー――死ねぇぇー――」

暗がりからいきなり石川が飛び出てきて俺を刺した。

「痛ぇぇぇぇぇー―――っ」

腹から血が滲んでいる。

案外此奴、根性あったんだな…

だが此奴は馬鹿だ…此処はコンビニの前、だからカメラがある。

直ぐに足がつく…その位の事も解らないのか。

確かに人通りはこの時間は無いが…目の前の車道に車は走っている。

車と自分のタイミングを合わせる。

俺は逃げるようにして車道に飛び出る。

大きなワゴンが来るタイミングに合わせて。

「待て! 田向―――っ 殺してやるぅー-!」

「助けてー-っ」

わざと被害者になる為に叫んだ。

終わりだ…追いかけてきた石川は見事に車にぶつかった。

グシャッ、バキ、バキバキッー――キキ――ッ。

ブレーキは踏んだようだが、間に合わず石川は跳ねられた。

俺は119番に電話して救急車を呼んだ。

これをしないと救助義務違反で罪に問われる事もある。

石川は生きていたが、どう見ても終わりだ。

体がどう考えても可動域を超えて曲がっていて血の水たまりが出来ている。

暫くすると救急車がきた。

そのまま石川は救急車に乗せられた。

救助隊員が「知り合いなら付き添いをお願いできますか」と聞いてきた。

よく考えたら俺も腹を怪我しているから、そのまま救急車に乗った。

◆◆◆

病院につくと石川はそのまま手術室に運ばれていった。

俺はというと…

「ちょっと刃物の先が当たっただけですね…一応縫っておきますね」

3針縫うだけの小さな傷で済んだ。

危ねーっ。

昔の習慣でさらしを巻いて無かったら死んでいたかもしんねー。

きつく巻いておいて良かったな。

その後、警察が来て俺に色々聞いてきたが…

『逆恨みで殺されかけた』そう説明すると…

「確かにそのようですね」と簡単に話だけ聞いて帰っていった。

恐らくコンビニのカメラで事前に調べていたのだろう。

危ねー-っ。

親に話を聞きたい。

そんな事になったら藪蛇だ。

石川の両親は恐らく此処には来れない。

誰かしら来るだろう…俺には関係ない。

俺は静かに病院を立ち去った。

石川 あ、や、ま、ら、な、い
眼が覚めるとそこは病院だった。

一体、俺は…そうだ田向を刺そうとして俺は車に跳ねられたんだ…

田向の奴絶対許さねー――っ。

だが…もう無理だ。

それは、見れば解る。

手も足も動かない…布団をかぶっているから直接見えないが…所々が無い。

手足の所がへこんでいるのが解った。

多分…その部分のパーツが無い…

終わった…もうすべてが終わった。

もう俺はきっと歩くことも儘ならない。

復讐なんて…きっと出来ない。

親は頼れない。

どうなるんだよ…

そのまま薬のせいか眠くなり、俺はそのまま眠った。

◆◆◆

目が覚めると爺がいた。

「全く親が親なら子も子だな」

「あんた誰だ..痛っ」

「糞、お前など孫とは思っていないが血縁上は祖父だ」

「おじいちゃん?」

「おじいちゃんでは無い…お前の父親も母親もクズだ。やはり結婚を反対したのは間違いなかったわい、儂の息子もお前の母親も身を持ち崩して逃亡…連絡がつかんでは無いか」

「違う、それは…」

「違わん…その証拠に犯罪者になったお前の保護者として連絡がつかないから儂に連絡が来た…勝手に駆け落ちしたくせに何処までも儂の顔に泥を塗りやがって」

「…」

俺のせいだ。

俺の親父もお袋も堅実な生活を送っていた。

小さいながらも高級住宅地に家を持って親父は会社では役職につきお袋は主婦をしながら、在宅ワークをしていた。

多分、その状態なら、この祖父も認めざるおえなかった筈だ。

だが…今や漁師に風俗嬢…とても言えたもんじゃない。

誰が悪い…俺だ。

「何も言わんのか? 儂はお前を孫とは思わん、親が親なら子も子だ…警察から聞いたぞ、散々虐めをした挙句、ちょっとやり返されたら逆上して殺そうとしたそうだな!」

「いや違う、彼奴にされた事はそんな生易しいものじゃ」

「ふん、また嘘を、随分長いこと虐めていたそうだのぉ、警察が学校に聞き取り調査をしに行ってきいたそうじゃ」

「警察、学校?」

「馬鹿なのか? ナイフで人を刺したんだ、相手の子は軽症だが…よく考えても傷害、悪くすれば殺人未遂だ…此処の支払いはしてやる。本当に腹が立つが…仕方がないから最低の面倒は暫く見てやる…それが終わったら障碍者雇用の会社を直ぐに探して家から出て行ってくれ」

「解ったよ…」

◆◆◆

俺は最後の最後で運が良かった。

まだ14歳に満たない為刑事罰は受けないで済んだ。

但し、警察から児童相談所に連絡がいき…退院の後は一時保護になるそうだ…その後は解らない。

家庭裁判所と児童相談所が話し合いで決まるらしいが…親と連絡がつかないから…どこかの施設に行く可能性が一番高いらしい。

児童相談所の職員と警官が『未成年だから前科はつかないが、自分がどれだけの事をしたのか噛み締めろ』と言われた。

何がいけなかったんだろうか…

『虐め』をしたからいけなかったんだ。

俺が虐めに加わったから、田向が化け物になった。

虐められる前の田向は…おどおどしている気弱な真面目な奴だった。

そんな奴を追い詰めたから…可笑しくなり化け物になった。

もし、虐めに俺が加わらなければ…エリートサラリーマンの親父に専業主婦のお袋とあの家で楽しく暮らしていた。

俺は幸せだった。

俺はなんで田向を虐めていたのだろう…

彼奴は母子家庭で貧乏で、生活に困っていた。

鞄も制服すら誰かのおさがりだった気がする。

哲也も久保田も凄い金持ちだ。

俺だって二人ほどではないが、そこそこ裕福だ。

『構う必要は無い』筈だ。

只でさえ生活がきつい奴から万単位の金を無理やり脅し取った。

化け物になるはずだ。

『犯罪にでも手を染めなければ』金が用意できないんだから…

田向を作ったのは俺たちだった。

なんだ…結局自分の幸せを壊したのは俺だ。

だが…どうだ。

哲也や久保田の誘いを俺が拒めたのか?

拒めない…もし拒んで嫌われたら、俺が田向と同じことになった。

何だ…どうやっても俺は幸せになれなかったんじゃないか。

親父、お袋…ごめんな。

少しだけ楽にしてやるよ…

動かない体をどうにか引きずりながら窓にたどり着いた。

『結構高いな…窓は開くのか』

これなら楽になれる…

俺はそのまま窓から乗り出した。

ずるずると俺の体は滑るように窓枠から離れて落ちて行った。

ぐつっしゃー―――っ。

凄く痛かったが…これで終わりだ。

俺は悪いことをしたんだろうな…だが田向、お前には…あ、や、ま、ら、ない。

「きゃぁぁぁぁー―――っ」

看護婦の叫び声がこだました。

※次のエピソードで第一部が終わります。

ボウフラのように 【第一部完】

此処迄やったが、大きな問題にはならなかった。

まぁガキの喧嘩なんてそんなものだ。

石川は死んだ。

その件で俺は警察に数回呼ばれたが…結局は被害者で終わった。

俺は強烈な仕返しを行ったが…それは短期間だった。

それが功を奏したようだ。

石川の件に関して言うなら『被害者』として扱われた。

両親や土地については恐らく警察も掴んでなかったのだろう。

『長い間虐め続けていた人間に反抗された為に逆上した少年が殺人を犯そうとした』

そして『殺されそうになった被害者を追いかけて事故にあった』

それで終わり。

更に家から猫の死体が複数見つかり、ただただ石川の異常性のみが目立った。

石川の病院での出来事は『自殺』で終わった。

哲也や久保田の件も言及されなかった。

ある意味危なかったのかも知れねーな。

まだ俺は『虐められる側』そういう認識が周りにある。

さらに言うなら俺になる前の『良治』はおどおどして真面目な好青年だった…だからこそ、裏で暗躍するような事は無い。

そう見られたのだろう。

此処から半年1年たって…本当の俺を知る人間が増えた後だったら、どっちに転ぶかは解らなかった。

今の俺は…まぁまだいじめられっ子の印象が周りにはあるから、助かった。

◆◆◆

石川の葬儀が行われた。

クラス全員参加だそうで…仕方なく参加した。

石川も俺なんかに拝まれたくないだろうに…

まぁ仕方ない…

香典を3万包んでやった。

石川の両親が居なかったせいか誰にも絡まれないで終わった。

俺の顔が解るのは当人と親位…親類は誰も気が付かなかったのだろう。

『馬鹿な奴、お前に悪党は無理だ』

そう言い手を合わせた。

◆◆◆

哲也は…引っ越していない。

親父の哲夫は俺側の人間だが…もう哲也にも俺にも会わない。

母親と姉は実質俺の奴隷だ。

まぁ金持ちのボンボンが孤児状態に近い。

久保田も再起不能。

石川は死んだ。

後は雑魚ばかりで大した事はされてねーな。

適当に当たり散らして暮らせばよい。

◆◆◆

「お兄ちゃん、お姉ちゃん今日も宜しく」

「宜しくね歩美ちゃん」

何だ…なぜだ。

「なんだ、その顔はよー-っ! お前たちは妹の親友なんだろう?なぁケロべロス」

俺は友達と言ったが『親友』なんて言ってねーぞ。

それにケロべロスってなんだ此奴。

「てめー健、ふざけているのか? 人を犬扱いしやがって」

「別にふざけてねーよ! 俺はこれでも人を見る目はあるんだぜ。お前は俺と同じ悪党だが、ガキには甘い! それが解ったから歩美を預ける事にした…どうだ嬉しいだろう?」

此奴は馬鹿か?

誘拐した奴に預けてどうするんだ。

「お前、俺は誘拐したんだぞ」

「解っているぜ? それで妹と親友になったんだろう? 横の彼女と一緒に」

糞…なんだ此奴。

「確かにそうだ」

「それじゃ、妹は預けた…ケロべロス」

「犬扱いかよ…ふざけんなよ!」

「…」

「ふざけていねーよ! 俺はお前を気に入った。それじゃ妹を頼んだぜ!ケロべロス…じゃぁな」

俺は保育士じゃねーぞ。

勝手に妹を置いていきやがった。

「凄いね」

「何がだよ、彼奴俺を犬扱いしやがって」

「違うよ…『極悪少年愚連隊』では幹部のみあだ名があるんだよ…メンバーのうちで『あだ名』があるのは創業からいる3人だけなんだよ…あだ名で呼ぶという事は『幹部』そういう事だと思う」

「俺は誰の下にもつく気はねーよ…だが、仕方ねーな。今日はガキと遊ぶか?」

「歩美はガキじゃないもん」

「そうだよ…失礼だよ」

まぁ良い…今後はどうなるか解らねーが、今はやることは無い。

暫くは『ボウフラのように漂いながら生きていくか』

【第一部 完】

第一部 あとがき
最近、本やアニメで不良の話を見ます。

ですが、昭和は凄くバイオレンスで…多分ですが漫画で最強の不良でも勝てないような奴が結構いました。

何しろ…知っている限りの一番ヤバい不良は『改造拳銃』を持っていましたから。

そして小さい所で『トルエン』の売人…凄くなれば『麻薬の売人』です。

小学生~中学生で麻薬中毒で捕まる。

そんな危ない世界で生きてきた主人公なら…

そう思って書いてみましたが…結構難しかったです。

第二部は…少し時間が空きます。

ありがとうございました。

第二部スタート 金森と神成
『田向良治は変わった』

それが俺たちの間での共通の見解だった。

俺の名前は金森和也…この中学の番格の一人だ。
バックには『全日本黒狼会』がついているが、逆を返せば、それだけだと言える。

俺は恐らく不良としては二流なのだと思う。

中学生としては喧嘩も強いしまず負けない。

だがこれは『中学生』としてという制限がつく。

黒狼会では下っ端も良い所だ。

お化けパー券を売り払い、1枚3000円のステッカーの20枚の販売ノルマをこなし…集会には顔出しは許されるが、そこでの俺はただの雑用だ。

つまり兵隊ですらねー…中坊で番格なんて、そんなもんだ。

神成は最近族の喧嘩に参加したと聞いたが…まぁ次の日見た感じボロボロだった。

中坊で強いなんて言ってもそんなもんだ。

本物の兵隊になっている先輩には簡単に負ける。

中坊でそれに勝てるような奴はまずいねー。

◆◆◆

可笑しい。

田向というガキをバックを使ってしめる。

そういう話だった…だが…その次の日から、森も久保田も居なくなった。

正確には次の日から学校に来なくなって…一度包帯だらけで親と職員室にきたが…そのまま転校して行ってしまった。

真実は解らない。

田向をしめる…その翌日から森も久保田も来なくなり『転校』

この状況なら馬鹿でもわかる。

返り討ちにあった。

そう考えるのが妥当だ。

田向良治…一年坊主…簡単に言えば少し前まで小学生のガキだった奴だ。

1年に聞けば少し前までいじめられっ子…そんな奴が頭角を現して強くなった。

哲也を潰して『1年の中で』これならあり得る。

強いとは所詮は1年、大したことはねー。

だが、それだけじゃなくて『森崎』まで潰しやがった。

あいつは2年の中では強い。

正直いえば、俺と神成、森でそろそろ何処につくのか話す所迄きていた。

『つまり、どの団体に入るのか?』

そこまで考えていたが…田向に潰された。

普通は此処迄だ。

自分たちが1年の時を考えれば…俺も神成も森もここ迄は出来た。

そこからが解らねー。

情報が全く入ってこねー。

森も久保田も転校してスマホの番号も変えやがって連絡はつかねー。

哲也もスマホは解約されて連絡がつかねー。

これじゃ田向が強いのか、そのバックが余程の存在なのかがわかねーよ。

本当に使えねーな。

◆◆◆

「金森…お前知っているいか? 石川が死んじまったそうだ」

石川と言えば久保田と哲也とつるんでいた奴だ。

「なんだ? まさか田向が殺したのか?」

「そうじゃねー、ナイフを使って追っかけまわして車に敷かれたそうだぜ」

「それで死んじまったのか?」

「いや、病院送りになっただけだ」

「なんだ、それ死んでねーじゃん」

「いや…その入院中に自殺して死んじまった」

なにか…まだ1年のガキが、哲也と久保田、森を転校に追い込んで…森崎をスクラップにして…石川を自殺に追い込んだ…そういう事か?

「ありえねーだろう」

「だがな金森…田向の奴、健くんと仲が良いらしいぞ」

「大隅健と…」

「ああっ、あくまで噂だがな」

「神成…それはありえねーって」

「まぁ、俺もそう思うが…一応調べさせている」

「そうか…まぁ何かの間違いだろう」

「そうだな」

漫画じゃあるまえし…馬鹿らしい。

缶コーヒー
「俺は、暫く様子見だ…今後どう動くか、俺たちへの態度で決める。 逆らうなら潰す。従順なら取り込む。そんな所だ」

「そうか、神成はそうするんか…俺は『攫う』になった」

「マジか? 得たいが知れねー奴だぞ! 大隅くんと仲が良いという噂も聞いたぞ」

「ああっ、だけどな…噂が上にまで伝わっててな…上が締めるって決まったんだ」

「おい、たかが1年なのに田向は『全日本黒狼会』に目がつけられるような奴なのかよ!」

まさか、そこ迄の大物なのか?

中坊の名前何て殆どの族は覚えてないぞ。

「いや、違うな『田向』という苗字が気に入らないそうだ。特に今の頭の徳丸力也さんがなぁ」

「どういう事?」

「黒狼会の初代は今の力也さんの身内だ、その創設メンバーに田向って奴が居たらしいんだ」

おいおい、田向の奴黒狼会がバックに居たのか?

だから、あんな事が出来たのか?

「かぁ~お前の所の身内かよ…まさか中一で兵隊か、幹部なのか?」

「違う! 今の田向じゃねーが、創設メンバーの田向って奴が当時の頭とナンバー2を卑怯な手で潰して逃げたらしんだ…そのせいでうちはこんな規模なんだと今の総長の力也さんが言い出してな…まぁ今の田向とは関係ないと思うが『苗字が気に要らないからヤキを入れる』と言い出したんだ」

「なんだ、そりゃ田向はとばっちりじゃねーか」

「ああ、だが決まっちまった事だ仕方ねー」

「なんかちょっと田向が可愛そうになってきたわ」

「まぁ目立った彼奴が悪いんだ…しゃーねーだろう! 俺やお前の仲間じゃねーんだから、どうでも良いな」

「まぁな…それでお前は?」

「田向を呼び出さねーといけなくなった…本当にめんどくせー」

「まぁ番格っていっても中学のなかだけ、まだ兵隊にもなってねーから仕方ねーよ」

「だな…」

◆◆◆

「田向よー-っ」

誰だ此奴…見た感じヤバめだが…

「あんた誰?」

まぁ良治の元の記憶にはある。

金森和也…この学校の番格…胸糞悪い『黒狼会』に入っているんだったな。

「まぁ良い、俺は金森和也だ…この学校を締めている3人の一人だが…話がある」

大体、こういう話をする時は碌な事は無い。

「断る」

「はぁ~お前ふざけんなよ! 話も聞かないだと、ぶん殴るぞ」

馬鹿なのか此奴…殴ると態々いう必要があるのか?

「あのよ…先輩! 俺はあんたの下についてねーよ? 何か知らねーけどよ…碌でもない話だろうが! あんたの話を聞いて俺に何か良いことでもあんの?」

「いや…」

「いやじゃねーんだよ! 詰まらない話で時間取らされて、本当にムカつくわ…それじゃ、俺は行くぜ」

本当に此奴ムカつくわ~ 此奴の顔をみたら、ムカつく奴らを思い出しちまったじゃねーか。

徳丸に川音…思い出したくもねぇな。

俺はそのまま立ち去ろうとするが、なんだ此奴…

「頼むから、話だけでも聞いてくれよ…そうだジュース位奢るからよ!」

「そう? それじゃ無糖のコーヒーで良いや」

何だ此奴…此奴はこれでもこの学校の番格。

この学校には番格が三人いて…一人はこの間の森だ。

事実上此奴はこの学校で恐らく2番目の存在の筈。

幾ら俺が哲也たちをどうにかしたって所詮は1年の話だ。

2年で倒したのは森崎一人…本来なら此処が下手に出るわけがねーな。

「解った、無糖のコーヒーな…おいそこの奴、無糖のコーヒーとコーラ買って来い5分以内だ、遅れたら解っているな!」

「ひぃ…すぐに行ってきます」

ほらな…こういう奴だ。

「コーヒーは買いにいかした…さぁ話を聞いてくれ」

「ああっ、解ったよ」

どう考えても可笑しい…訳解んねー。

「単刀直入に言うとよ、うちの頭がお前に会いたがっている…悪いが今日の放課後付き合ってくれ」

「俺はお前の所の頭なんて知らねーんだが、何か用なのか?」

「詳しくは俺も知らねーよだが黒狼会の頭がお前に会いたいらしんだ…雲の上の総長、徳丸さんが会ってくれるんだぞ良かったじゃ…」

「ああ、そう? メンドクサイから行かねーよ! 用事があるなら自分から来い!と言っておけ」

「お前…自分が何を言っているのか解ってるのか? 黒狼会の総長徳丸さんが呼んでいるんだぞ?」

徳丸…まさかな…俺みたいな事じゃないなら爺の筈だ。

「なぁ徳丸って下の名前はなんていうんだ?」

「ああっ力也さんだよ」

やっぱり別人だな。

興味ねーよ…

「そうか…それじゃ話は聞いた…それじゃあな…行かねーよ」

「おい…まだコーヒーも届いてねーじゃないか」

「そうだな…約束だ、もう少し居てやんよ」

「お前、徳丸さん怒らして怖くないのか?」

徳丸ね…名前でムカつく。

「ああっ思わねーよ」

「お前は知らねーから、そう言えるんだ」

「ハァハァ…買ってきました」

「おせーよ」

「す、すみません」

一般人脅して馬鹿か此奴…しかも、金払わねーつもりか?

「おい金…」

「払う訳ねーだろうが…」

「なんだお前…まぁ良いや、ほら釣りは要らねーよ」

500円玉1枚放り投げてやった。

「あああっ、ありがとう」

「こき使って悪かった…ほらあっちに行け」

「はい」

「随分、景気が良いな…」

「それじゃぁな! 先輩」

「おい…話し」

「お前馬鹿だな…俺はコーヒーを奢ってくれるから話を聞くと言ったんだ、お前は奢って無い。おれが金を払った…お前の分もな、だからもう聞いてやる義理はねー」

「ふざけんな!田向! 的にすんぞ!」

「バーカ…お前は本当に馬鹿だ、少なくともコーヒー代を出せば、話は聞いてやったんだ…出さねーお前の話を聞く意味ねーよ。的にするだー-っ! 上等上等、徳丸って奴に俺に会いたければ自分で来るように行っておけや…黒犬なんて怖くもなんともねーかんな」

「お前…俺はそのまま伝えるぞ」

「良いぜ」

俺もガキになっているのか『全日本黒狼会』その名前を聞いただけで『ムカついた』

迎え

「暫く揉めそうだから、登下校は別にしてくれ」

「相変わらずバイオレンスだねぇ~今度は何処と揉めそうなの?」

「ああっ黒狼会とちょっとな」

「あははははっ!田向良治の行く所に暴力と血ありだね。了解」

まぁ、女を襲うほどのクズじゃねーだろうが巻き沿いが怖いから少し距離を置くことにした。

まぁ、家には家族という名の奴隷がいるからそっち方面では不自由はしない。
無事パイプカットの後の2か月も過ぎたから『もう妊娠の可能性は無い』今日から生解禁だ。

◆◆◆

やはり来たか…相変わらずだ。

人通りの少ない場所にワゴンが近くに止まっている。
馬鹿な奴ら。

なんでチームジャンバー着ているのかね。

バレバレだ。

麻袋を持って後ろから被せようとしてきた。

本当に馬鹿だ…

だって、これ考えたのは『俺だ』

そこ迄の映像は小型カメラで撮影済みだ。

今は本当に便利だ。テントウムシ位の大きさのカメラを簡単に好きな所につけられる。

ここで動画を切って…俺はしゃがみ込んでサクッとナイフを一人の男の太腿に刺した。

まぁ軽い挨拶だ。

「うがぁぁぁー――っいきなりなにすんだぁぁぁぁー-」

「痛ぇぇぇぇぇー――――っ」

「馬鹿か? 麻袋持ちながら『監禁』しようとするのは見え見えなんだよ! それじゃ続きをしようか?な?」

俺は蹲って奴にジッポのオイルを掛けて火をつけた。

「うあわぁぁぁぁぁー-っ」

転げまわってやんの…それにもう一人いるのに…何やっているんだ?

「お前、なんでここ迄すんだよ…こんなの喧嘩じゃねーよ」

何泣き言言っているんだ。

「泣き言言う位なら不良やってんじゃねーよ!これだから『黒狼会』は嫌れーなんだよ! 馬鹿じゃねーか!」

ナイフでやっても良いがカイザーナックルを使う事にした。

アッパーの要領で顎を殴る。

「うごっうががががががががー――っ」

「あはははっ、狼らしくなったじゃねーか…顎って簡単に割れるんだぜ武器を使えばな…ほら、しゃがみ込むと大変だぞ」

俺は笑いながら同じようにオイルを掛けて燃やす。

此処迄してようやく車に居た人間がこちらにやってきた。

「お前ら、何やってんだ! ガキ一人攫えないのか役たたず…えっ」

「役に立たない兵隊だな、随分黒狼会も落ちたもんだ…全国制覇はしないのか…まぁお前らじゃ無理な話だな」

「お前、殺されてのーか?」

相も変わらず、こんなクズばかりか?

「あのよ…お前の所の初代の中に俺と同じ苗字の奴が居た筈だ」

「仲間をだまし討ちして逃げたクズがどうした」

「そいつが言っていた事だ、よく覚えておけ」

「なんだ…ぎゃぁぁっぐわっぐふっ」

本当に馬鹿だ…話しに集中しすぎだ。

「『殺すとか、殴るとかいう位なら手を出せ』ってな…覚えておけよ」

「ああっあががががっ」

三人をそのままにして俺はワゴン車の方に歩いていった。

「おい」

「うわぁぁぁー――」

まだ、金森の他に一人居た…運転手か?

「怯えなくていいぞ…乗ってやるから連れて行けよ…なぁ金森先輩、つまんない話だったら…覚えておけよ、あいつ等以上に酷いことになる」

「…」

「…」

二人してだんまりかよ。

「もういいや…さっさと車を出しやがれ」

「あいつら…」

「折角、スクラップにしたんだ、死にはしねーから放っておこうぜ…ほら車出せよ」

「いや」

「…」

「いやじゃねーんだよ! 俺を連れて行かないと困るんじゃねーのかよ? 嫌ならもう俺はついていかねーぞ」

「解った…すぐに出す」

痛みで動けない三人を置き去りにして車は走り出した。

流石に両脇を固めさせる程、うぬぼれはしねーよ。

劣化版
後ろの席に陣取り前の席を睨んでいた。

まぁ王様気分だな、ただ睨んで居ただけなのに…なんで此奴ら震えているんだ?

俺は安全を考え後ろに座っているが…なんで両脇に誰も居ねーんだよ。

『何されるか解からねーだろうが』

此処は金森が俺の横に座るべきだろうが…

『攫い方』ひとつなってねーな。

俺が特攻隊長時代ならグーパン物だ。

まぁ良い…此奴ら俺に生殺与奪権を掴まれた状態だ…馬鹿じゃねーの。

弱小組織のままの訳だ。

「おい…一体、何の用なんだよ!」

「俺は知らないんだ…」

「俺も知らない」

どんだけ、俺が怖いんだか、震えながら話してもな…

迎えを寄越すならもう少し人選を考えるべきだ。

相手が対抗する族の頭だったら、こんな奴らを寄越したら沽券にかかわるし、攫うにしても能力不足だ。

「なぁ、本当に理由も聞いてねぇーの? 馬鹿にしているのか?」

「いや、本当に聞いてねーんだよ!…なぁ怒るなよ」

「金森は?」

もう此奴は敵決定だ。

先輩とつける意味はねーな。

「俺みたいな下っ端が知るわけねー」

随分舐めたもんだ。

ただの兵隊とそれ以下かよ。

「なぁ、さっきのした奴の中に幹部とか居たか」

「…居ない」

此奴ら本当に駄目だな。

そうこうしていると倉庫についた。

ハァ~相変わらず、こういう趣味なのか?

徳丸の身内らしいわ。

そのまま車ごと倉庫に入り車が止まった。

◆◆◆

やっぱりそうだ…金属パイプにバッド。

ヤバいな30名くらいは居る。

まぁ、甘そうだからどうにかなるか…

「ほら車から降りろよ」

わはははっ、この人数なのにビビッてやがんの

そのまま俺は運転手側の扉から車を降りた。

「それで、俺はこれからどうなるんだ?」

「名前がむかつくから徳ちゃんがしめるって言っていたぜ」

「このパイプ見て解んないのかぁ~可哀そうに」

一応此処も録画はしてある。

俺は二人が車から降りるのを見て、素早く運転席に乗り込む。

「貴様ぁぁぁぁぁー-逃げるのかー-っ」

馬鹿な奴、逃げねーよ。

俺はそのままワゴンを走らせ此奴らをはねる事にした。

人を跳ねるコツは跳ねた瞬間にブレーキを掛ける事。

こうする事により人は巻き込まれずに跳ね飛ばされていき、相手も死なない…まぁ障碍者になる可能性はあるが『それは喧嘩だからしょうがないよな。

キーは刺しっぱなしだった。

そのままエンジンを掛けた。

少しだけ窓を開けて「デスゲーム開始だぁぁー--っ」

俺がそう叫ぶと周りの奴らが金属パイプで車叩き出した。

「おらぁぁぁー-降りてこいや」

「閉じこもっていてもお前はもう終わりだ」

「殺すぞ」

馬鹿か、走らないと思って前側に回るなんて…甘いな。

勿論『俺は止まらない』軽く急発進してブレーキを掛ける。

これが、軽傷に跳ねるコツだ。

余程、運が悪く無ければ『死なない』し『派手にぶっ飛ぶ』まぁそれ以上は期待されても困るがな。

BGMを掛けながら鼻歌交じりで、跳ねる。

「うわぁぁぁぁー-っ伴くんが跳ねられたぞ…」

「此奴、気が狂っていやがる…喧嘩で車で跳ねる奴なんて…」

だが、俺はそれでは止まらない。

俺が昔やったやり方の『穴』だらけ版。

それで俺を倒せるわけがねぇ。

「おら、おら、おら、お前らすげー馬鹿だな、車と人間ぶつかればどちらが勝つか解りきっているだろうがー――っ」

とはいえ時速15キロ以下に制御しながらあてるように跳ねていく。

人が派手に飛ぶのは見ていて楽しい。

「うわぁぁぁぁー-やめろ」

「ふざけんなよ! これは喧嘩じゃねー、ただの犯罪だぁぁぁぁーー――っ」

「不良語る奴が犯罪語るなー-っ」

ドラム缶の裏に隠れたりしているがそれ事跳ねた。

自分の車じゃやりたくねーが…俺のじゃねーから痛くない。

跳ねて、跳ねて、跳ね続けた。

今度はバイクか…まぁ車が無いから仕方ないな。

「てめーっ殺してやるからなー――っ」

CB400Fか…此奴が徳ちゃんの身内だな…この愛車は徳ちゃんのだ。

なんだか懐かしいな。

顔がガタイが似ている…ああっ徳ちゃんみたいだ…

本当に馬鹿な所まで同じだ。

「お前は馬鹿か? バイクと車で喧嘩すれば…勝つのは車だ」

良く暴走族がバイクに乗りながら車を攻撃しているが…あれは相手が反撃しないから成り立つんだぜ。

もし、相手が幅寄せ、接触をすれば…それはバイク側の大きな事故になる。

徳ちゃんに似た顔…すげームカつく。

「おら、おらおらー――っ、さっさと降りやがれー-っ」

だから躊躇しないで『幅寄せ』をした。

「どうしたんだぃ? 徳ちゃん…ほらほら、ハンドル誤ると死んじゃうよ」

「うわぁぁぁぁー――っ」

そのまま俺はバイク事車で壁に押し付けた。

「ぎゃぁぁぁぁー――――っ」

そのまま徳丸はバイクから転がるように落ちた。

「貴様、殺してやるからなぁー-っ、お前らー-っ」

「やるのか?」

周りを見渡した。

まだ、半分くらいは無事だが…戦意は完全に喪失したようだ。

「いや…俺たちは…」

「これはタイマンだ、お前ら見ておけー-っ」

そう言いながら、俺はポケットからナイフを取り出した。

「止め、止め、止めろー――っ」

バイクで転んだ拍子に徳丸は足を折ったのか動けない。

俺は…その足を更にナイフで滅多刺しにした。

「うおぉぉぉぉー――っ」

だが、それだけで終わらす気は無い。

カイザーナックルを嵌めると両手を殴り潰した。

徳丸は足を刺した時に気絶したのか動かない。

これでもうバイクも喧嘩も真面にはできねーな。

俺はチャックを降ろして、徳丸に小便を掛けた。

此処迄やっても兵隊が動かない…此奴、徳ちゃんと違って人望が無いのか。

「あばばっ汚ねぇぇぇぇー-やめろー――っ」

「お前…もう終わったぜ…追ってこないならこれで終わりで良い…あのなぁ族をするなら『汚い奴』が居ないといけないんだぜ…お前達が『薄汚い』そう言っていた俺の身内だが…汚れ仕事を一身に引き受けていた。お前の身内が『全国制覇』なんて馬鹿な事いったから、真剣にな…だが、お前の身内の徳丸も川音も遊び半分だった…だからボコって出て行った、それだけだ」

「お前もそいつも、汚ねーだけじゃねーか?」

「ああっ、そうだ、だがそう言う奴が居ないと…こうなるんだ…お前ら…族は向いてねーよ…辞めちまえよ。辞める奴はジャンバーを捨てていけや…そうしたら追い打ちをかけないぜ」

「お前ら…今なら勝てる、やるんだ」

無理だな、約半分が車に跳ねられて重体だ。

「解った…こんな殺し合いみたいな事やってられるか」

ジャンバーを叩きつけるように投げ捨てると去っていった。

1人、1人…動ける奴は全員バイクに乗り去っていった。

「さて、残りだが…徳丸よぉー-これは内輪揉めだよな? 俺は関係ないよな!」

「貴様、何を言って」

「それ以外は言うんじゃねーよ」

「馬鹿言うな…警察」

「お前、不良の癖に警察に言う訳? そんな事したら人生終わるぞ…お前の家族…そうな母親とかある日突然、後ろから跳ねられて死んだりするかもな? 若い女のが家族に居たら、ある日突然攫われて犯された挙句死体で見つかるかもな? いやなら『身内同士の紛争』それでかたずけな..良いな…他の奴も! そうすればこれ以上の不幸は起きないぜ…」

「…」

「後、お前らが俺を拉致ろうとした動画もあるから訴えても、多分正当防衛だな」

俺は返事を待たずにそのまま倉庫を後にした。

徳丸SIDE: 器じゃない

俺はスマホで119番に電話を掛けた。

あそこ迄やる奴だ…この事に気が付いていない筈はない。

どうにかスマホのボタンを押してスピーカーを押し救急車を呼んだ。

指がかろうじて動く…多分これが田向の慈悲なのだろう…

それだけ終わらせると…俺は意識を手放した。

◆◆◆

此処は何処だ…

白い天井に壁にカーテン、鼻に刺してあるチューブ…そうか病院…だ。

体が動かない…手足は包帯でぐるぐる巻きだが…力を入れても動かせない。

俺の人生は終わったんだ…それが解った。

あの時、俺は足の骨を折った…その状態の俺の両足を彼奴はナイフで滅多刺ししていた。

凄い激痛が手足に走るが動かせない。

俺の手は潰されている。

田向に殴られて潰された時に俺の指の数本が飛び散ったのが見えた。

骨も飛び出しぐちゃぐちゃだった。

俺はきっと…もう真面に物を持つ事も出来ないだろう。

俺は…爺に憧れた。

自慢話で『喧嘩上等』『タイマン無敵』そんな爺に憧れた。

だが、親父は俺に言った。

「親父は俺には絶対に不良になるな…そう言ったんだぞ」

俺の親父は…多分喧嘩は強い。

だが健全に武道をしていた。

柔道三段、空手五段、剣道二段。

それが俺の親父だ。

だが、俺は親父を馬鹿にしていた。

幾ら試合に勝ったと言っても、インターハイで優勝したと言っても、使えなくちゃ意味が無い。

爺はなんなんだ?

自分の喧嘩自慢はするくせに人には『暴力NG』とかふざけている。

だが…親父と爺に言われるまま、俺は暴力を使わない人生を歩んでいた。

◆◆◆

そんな俺に転機が訪れたのは小学生3年生の時だった。

抵抗しないからと、クラスの奴らが俺にちょっとした虐めをしていた。

掃除当番、給食当番全部押し付けてきやがった。

殴っても殴りかえさない…そのせいだ。

「徳丸は木偶の坊だから、何しても怒らないから」

「あいつは奴隷な」

「女より弱いなんて最低…皆で無視しよう」

幾ら口で言い返しても無駄だ。

友達も居ない…好きな女の子にも馬鹿にされる毎日…地獄だ。

そして虐めはエスカレートして行く。

「徳丸…土下座しろよ」

「僕、何もしてないよ」

「関係ねーよ、ムカつくから土下座だ」

「土下座…土下座、土下座ぁぁぁー-」

「土下座」

「土下座」

給食のデザートも取られ続けても我慢した。

一人で掃除当番を毎日させられても我慢した。

だが…何もしていないのにクラスの皆に『土下座』これは我慢できなかった。

「うるせーよ」

「徳丸の癖に生意気だぞ」

「そうだ、そうだ、また殴られたいのか?」

「頭にきた…俺は全日本黒狼会、初代総長徳丸の孫だぁぁぁー――っ」

俺は思いっきり、虐めの首謀者を殴った。

そして、その暴力は止まらなかった。

「止めろ、止めてくれー――っ、いや助けて、ごめ」

「殺してやんよー-、ほら今までされた分全部返してやんよ」

「徳丸止めろ…もう伸ちゃん動けないよ…」

「知らねーな」

「可哀そうだから止めてあげなよ~」

「だったら、良子お前が身代わりだ」

「いやぁぁぁー-やめてー-っ」

俺は馬乗りになり良子を殴った。

「いや、いやぁぁぁぁー――助けてー-っ」

スカートを脱がしそのまま蹴りを入れて放り投げた。

「はぁはぁはぁ…次は誰だ」

誰も名乗り出なかった。

◆◆◆

その次の日から全てが変わった。

「今まで俺が給食当番と掃除当番1人でやっていたから、これから、伸二一人でやれよ…」

「なんで僕が」

「また殴られたいのか…次は殺すかもな」

「ひっ…解った」

「良子…なんだ白か色気のないパンツだな」

スカートをめくった。

「いや、やめてよ、いや」

「あのさぁ、殴られるのとパンツ見せるのどっちが良い? 好きな方選べよ」

「ひっ」

俺の好きだった奴は良子だった。

だが見下すような態度が許せなかったから殴った。

「今度から俺がめくるんじゃなくて、俺が見たいと言ったら自分からめくれよな…ほら早速めくれよ」

あはははっ泣きながら、めくってやんの。

ついでにませていた俺は、クラスの女の子でかわいい子全員と無理やりキスをした。

多分、このクラスの可愛い女の子の殆どのファーストキスは多分俺だ。

まぁガキだったからその程度だ。

だがこれが俺のスタートだ。

『暴力は正しい、強い方が良い思いが出来る、弱い奴は何をされても泣き寝入り』

強ければなんでも手に入る。

爺が作った黒狼会はまだ残っていた。

力をつけていつか、そこの頭になってやる。

そう思い喧嘩に明け暮れていた。

そして…俺はとうとう黒狼会の頭に上り詰めた。
初代の爺と当時のナンバー2はまさに伝説となっていた。

だが…その二人を妬んだ田向という野郎に裏切られ…今ではこんな小さな族になっていた。

『俺が来たんだ、またいつかは全国制覇だ』

初代総長の孫の俺だ…爺の意思は俺が….

「あのな、親だから言うがお前に族は無理だ」

「俺は親父とは違う」

「俺の親父、お前の祖父だって器じゃなかったんだ、諦めろ」

「族にもならなかった親父に言われる筋合いはねー」

「そこ迄言うなら、もう何も言わん…だが、親なりに一言言わせて貰う…『本当に凄い奴は強いんじゃない、怖いんだ』」

「何を言い出すんだ親父」

「俺の親父も偉そうな事未だに言うし、お前も喧嘩の自慢をするが、俺にはどう考えてもお前達が『人を殺せるような怖さ』を持っているとは思えない」

「親父、何を言っているんだ、俺は殺しなんてしない、そんなのは爺だってしてないだろう?」

「だから駄目なんだ…本当に危ない奴は違う…人を殺すのも、目を潰すのも、女を犯すのも、笑いながら出来るんだ。お前にできるか?」

「俺は」

「出来なければ、いつか潰れる…逆にそれが出来る外道なら、親子の縁を切る」

「親父…」

「まぁ、いつか解る」

◆◆◆

ようやく今になって親父の言っていたことが解った。

爺は、そこ迄強くない。

恐らく、裏で竜二が工作していたから『強いまま』でいられた。

多分、本当に強かったのは『田向竜二』だったんだ。

それを怒らせたから潰されたんだ。

そして俺は今回『本当の怖くて強い奴』とぶつかって潰された。

それだけだ…

人をおもちゃの様に跳ねて、笑いながらナイフを刺す。

俺にはできない…器じゃなかった…それだけだ。

苦手

「もう大丈夫な訳?」

「ああっ、もう既に黒狼会は終わりだ…だから平気だ」

「良治が何を言っているのか解らない…幾ら良治でもそんな事出来るわけないよ…冗談だよね?」

「いや、本当だから…」

「まぁ良いや、それじゃ行こうか」

「ああっ」

◆◆◆

「田向さんちわっ…流石田向さんモテますね」

「なっなっ…何事?」

「金森! お前何やってんだ?」

此奴、昨日ので頭が可笑しくなったのか?

「何って、田向さんの舎弟にして貰いたくて朝から待っていたんですよ! パシリでも何でもやりますから、お願いします! よっ伝説の男!」

何だ此奴…一応この学校の番格でナンバー2なんだよな。

「伝説の男?」

「そりゃそうでしょう? 1人で『全日本黒狼会』を壊滅に追い込んだんだから…もう有名人です…嫌ぁ憎いねこのこの…」

「良治、さっき言っていた事本当だったんだ…凄いじゃん!」

「俺はお前には嘘は言わない」

「そうだよね…それじゃ今日は久しぶりにデートしよう?」

「それは無理だろう? 今日は大隅の妹と遊ぶんだろう?」

「そうだった…歩美ちゃんと遊ぶ約束していたんだった…今からキャンセル」

「あのガキ、スマホ持ってないだろう? 大隅にお前断れるのか?」

「ううっ…出来ない。だけど良治なら出来るよね?」

「あのよ…萌子、相手はガキでも約束は約束だ。俺はクズだが、こういう約束を破る奴は嫌いだ」

「あっそうだよね…うん、今日は歩美ちゃんと遊ぶ…決まり。その代わり良治だって『歩美ちゃんの友達』だから一緒に遊ぶんだよ」

「まぁ、しゃぁーねーな、一応新しいゲームを仕入れて置いたから、それで遊ぶか? あとは帰りにおやつでも買えばあのガキご機嫌だろう」

「そうだね…だけど良治、優しいね」

「そんなんじゃねーよ」

確かに俺はガキの頃からつまらない人生を送っていた。

俺の前世の親が真面だったら…きっとああいうガキと遊んでいたのかも知れねーな。

「そうかな? まぁ良いや」

「あの…田向の兄貴…俺…」

「そうだな、入れ墨と小指飛ばし…どっちが良い? それが済んだら舎弟の兼考えるわ」

「なんで俺が…」

「だってお前、俺を拉致るのに協力しただろう? どの面下げて言っているんだ! まずはけじめが先だろうが? 解っているのか? あん!」

「…」

何だ彼奴無言で逃げやがって…本当に番格なのか?

マジ使えそうもねーな。

◆◆◆

「あのよ…ガキは良いにしても、なんで大隅までいるんだよ!」

「ごめんなさい良治お兄ちゃんに萌子お姉ちゃん…お兄ちゃんがどうしても来たいって言うから…グスっ」

俺が不機嫌な顔をしているせいか歩美が涙交じりで謝ってきた。

「まぁ、お前は悪くないから謝らないで良いし泣くな。それで大隅、お前は帰れ」

「なんでさぁ~ 俺とお前はもう友達だろう? なぁ『伝説を作ったケロべロス』狼、食っちゃったんだって」

流石は頭だけあって情報は早いな。

「まぁな狼というより子犬だったわ…よっなんだ4かよ岡山駅、仕方ねーキビ団子や買い占めか」

「えっ、ワンちゃん…お兄ちゃんワンちゃん飼うの?」

「あっ違うよ、良治が…えーと…なんだっけ?」

「公園でかわいい子犬を見かけた…それだけだ」

「なんだ歩美つまんない…3、嘘なんで会社が倒産してんの」

まぁTVゲームやりながら話しているわけなんだが…

俺はなんで大隅が此処迄俺にまとわりつくのか気になった。

「なぁ大隅、お前なんで俺に纏わりついてくるんだ」

「なんでて、なんとなく気に入ったからだな? それでお前、中学どうすんのよ? 番格二人潰したんだ、実質お前のもんだろう?」

「まぁな…でも俺はそういう器じゃねーから、5か今度はフグ屋でも買うか? 番なんか関わらないぞ」

「そうか? ならうちのナンバー2やらない?」

「いや、お前は友達だろう…利害が絡むと皹が入るからやりたくねーな」

「そうかよ…まぁこれからも妹を頼むわ」

「仕方ねーな…困ったら何か言え…少しは手を貸すぞ」

「そうか…まぁケロべロス、お前に助けられることはねーな」

「それなら結構だ」

ハァ~この兄妹は苦手だ…つい俺にこんな兄妹が居たら、こうはならなかった…そう思えてしまう。

千鶴 千春 SIDE: 監禁完了

「あのぉ…あなたは私に何を望んでいるのですか?」

「あの…何かして欲しいことあるの…解らないよ」

千鶴と千春がSEXをした後にこんな事を言い出した。

「なんで、そんな事言いだすんだ?」

「私は貴方の母親位の歳なのよ…若い彼女が居るじゃない? それなのにこんな事迄して…私がそんなに欲しかったの? 私は貴方に会った記憶は殆ど無いんだけど…こんな事するくらい好きだったのかしら」

「そうよ…あんな酷いことをした癖に…気のせいなのか、最近は『愛』を感じるの、私の事好きなの?」

解からねーな。

結構な地獄だと思うけどな。

「なんで、そう思うんだ?」

「あの…恥ずかしいんですが、お風呂にしっかり入れてくれて体を洗ってくれたり…汚物も嫌な顔しないで処理してくれる。入れ墨は怖かったですが、食事だって手作りのしっかりした物か、てんやものもお寿司とか好きな物を食べさせてくれます…それにSEXだって最初は酷かったけど、今は優しく…こんな夫も抱かない様な年増なのに…何回も何回も求めてくれます…愛されているんでしょうか?」

「私だって同じです、閉じ込められていますが、優しくして貰っている様にしか思えません。じゃなくちゃウンチの処理なんて嫌な顔しないで出来ません…こんな事して、まさか介護がしたかったとは思えません、恥ずかしい話、今の私は貴方とのSEXが嫌じゃない…いいいえ嬉しく思えてしまいます」

俺は昔から性欲が異常な程強い。

その気になれば一か月、毎日飯だけ食ってSEX漬けの生活だって出来る。

まぁ、この二人にしてないことは最早ない。

頭から、足の先まで触って無い場所は無いし…使ってない穴は無い。

汗だらけで臭くなろうが、多少バッチくても普通に抱ける。

精子が口の中にある状態でも平気でキスが出来る。

だからなのか…監禁やレイプでものにした女にもかなりの確率で『愛される』

『どんな状態でも愛するようにSEX』を何日も続けるからかこうなる。

それに監禁した女の世話は嫌いじゃない。

汚物の処理や世話が出来ないなら『監禁』なんて出来ない。

大体が女が多少好きな奴がこんな物に手を出したら…大体後悔する。

レイプして抵抗されて殴った女なんて大体顔が腫れて化け物だ。

犯して放置していたら精子と女の匂いが合わさって気持ち悪い匂いを放つ。

それにかなりの女でも監禁して1週間もしたら飽きる。

風呂に入れてやらなくちゃ直ぐに汚くなる。

涙で化粧が崩れ化け物みたいに見える。

股間も肛門も臭いし…精子はちゃんと洗わなければ乾いてこびりつくし、穴の中の精子を放置していたら黄色く変色。

大体、困って殺してしまうか、放り出して逃げ出す。

そうなる奴が多い。

簡単に言えば『監禁』は老人介護よりはるかに大変だ。

裏社会で喜ぶのは新人位で…大体がしばらくしたらやりたがらなくなる。

それでも俺は『女の監禁』は好きだ。

俺は…かなり頭が可笑しい。

親が最低だったからか…

俺はかなりSEXに依存している。

肉体関係の先にしか『愛』を感じられない。

やれない女に一切の愛を感じない。

『好きならやらせろ』まぁクズだな。

「好きか嫌いか、そう言うなら二人とも好きだぜ…嫌いなら世話なんて出来ねーからな…俺の愛はかなり特殊だ…お前らの言う『好き』とは違うな…だが一生手元に置いて置きたい位の愛情はあるぜ」

「まったく…仕方ないわ、こんな入れ墨が入った女、もう貴方しか相手しないわ…それにあんなに激しく愛されたら他には行けないわね…愛されているなら仕方ないわ…受け入れてあげるわ」

「そうよね、あんな恥ずかしいことに汚いこと、愛してないなら出来ないよね…入れ墨だらけで良治専用とも書かれちゃったし…一生愛する…なら良いよ」

その日二人は俺でも驚くほど献身的なSEXをしてきた。

自分から咥え、胸を押し付けたり、積極的に奉仕しはじめた。俺の顔に股間を乗せていわゆる69をしたり、最早俺がするのでなく『俺を貪るようなSEX』をしていた。

特に千鶴は…熱心に俺の体を舐めまわした。

「「ああん….ああっあああー――ん」」

二人の声がこだまする。

朝になり日が差し込む頃…二人は俺を抱きかかえスヤスヤと眠っていた。

此処迄くればもう手錠は要らないし、檻も要らないな…

『嫌いな人間が自分に心を開く瞬間…それが監禁の醍醐味だ』

誰が俺に言ったのか…今の俺には思い出せなかった。

キスマーク

檻はもう要らないから片付けた。

これでようやくストレスが無く生活が出来る。

『監禁』から解放された。これは凄く大きい。

「おはよう貴方」

「おはようございます貴方」

「貴方?」

「体をこんなに合わせているんだから夫婦みたいなものじゃないですか?」

「私もそう思って、旦那様を呼ぶつもりで『貴方』にしたのですが間違っていますか?」

確かに関係だけで言うならそうかもな。

だが、本当の関係というなら親子と姉弟だ。

そうだな…
「千鶴は良治さん、千春は良治くんって感じでどうだ?」

「その呼び方に拘りがあるのですか?」

「なんでくんなの?」

「一応戸籍上は母息子、姉弟だからな…まぁ実質は違うけど」

「ああっ、確かにそうね、だとしたら私達、近親相姦しているのね」

「なんだかすごく背徳的…」

「まぁ血が繋がってないから問題ないんじゃねー」

「「うん、そうね」」

一体、何を考えているんだか…顔が真っ赤だ。

◆◆◆

しかし…この二人…マジで使えない。

料理に掃除も真面に出来ないんだ…

「二人ともなんで家事が全く出来ないんだよ」

「私はセレブでしたから、そう言ったことはした事がないのよ…ごめんなさい」

「私もお母さまと全く同じでごめんなさい」

「仕方ねーな、それじゃ俺が作るか…肉じゃがと焼き魚…こんな物で良いか」

「「はい」」

◆◆◆

「本当に良治さんは料理美味いわね、本当に凄いわ、SEXだけじゃなく胃袋ももう掴まれちゃったわ」

「本当に美味いよね、良治くん。もう私良治くん無しじゃ生きていけないわ」

「そりゃどうも」

『監禁.洗脳』が終われば…楽が出来ると思っていたが…

結局、家事は殆ど俺がやるのか…まぁ前世のせいで慣れてはいるが、ハァ~下着まで洗わせるのかあいつ等、羞恥心は…もうあるわけ無いな。

まぁ汚物処理や体を洗ってやる必要が無くなった分だけ楽に…

「良治さん一緒にお風呂に入ろう」
「良治くん、三人で入ろうよ」

二人して俺の体を洗ってくれるのは良いんだ…

だが監禁していた習慣で『俺も洗ってやらない』とならない。

「ああっそうだな」

風呂から出ると二人はスケスケのネグリジェに着替えた。

千鶴は黒と紫、千春は赤とピンク…まぁ目の保養にはなるわな。

「今夜も眠らせませんわ」

「朝まで頑張ろうね?」

二人は良い…昼間寝ているんだからな。

俺は一応は学生だ。

◆◆◆
「また今日も眠そうだね!」

「まぁな」

「あの二人とまた朝までやってたんでしょう?」

「まぁな」

「あのさぁ…一応私彼女だよね! 避妊手術までしたんだけど」

「そうだな」

「そうだなじゃ無いよ…少しは構いなさいよ」

「それでどうすればよい?」

「だったら、今日は放課後デートする事。日曜日もだよ」

「別に構わないが、何で怒っているんだ?」

「良治…凄く鈍感、首筋を見なよ」

萌子が俺に手鏡を渡してきた。

確かに…首筋にキスマークがある。

「キスマークが…あるな。つけたいなら萌子もつけて良いぞ」

「そう…解った」

萌子は俺の首筋に吸い付いてきた。

「あれ…凄い」

「凄く大胆なこと事するね」

「あー-熱い」

今は登校中だから沢山の学生がいる…もちろん同級生もな。

しかし…痛い…だが必死に吸い付いているから、文句を言わない方が良いだろう。

「ハァハァ…終わったよ」

そう言って萌子は手鏡を渡してきた。

ついていたキスマークの二つは萌子のキスマーク?で上書きされていた。

だが…紫の痣にしか見えないなこれ…痛かったわけだ。

「萌子」

「悪い? 良治は私の男なのよ! それは忘れないでね」

そういうと萌子は顔を赤くして走っていってしまった。

金森SIDE 強い奴が凄いんじゃない怖い奴がすげーんだ。 
「金森、お前、何で田向に媚び売っているわけ? お前はこの学校の番格なんだぞ…今すぐ止めろや」

神成の奴が言ってきた。

「金森さん、あんただってこの学校の看板なんだ、安くせんといて下さい」

「俺たちの頭の一人でもあるんですし、中には全日本黒狼会に入りたい奴もいるんすからね…」

神成とその取り巻きが言ってきた。

馬鹿な奴らだ…もう黒狼会は無い。

たった一晩で田向に潰されてしまった。

彼奴は悪魔だ。

『伝説』なんて作る奴は、ああいう悪魔みたいな奴の事を言うんだ。

きっと、森も潰されたに違いない。

良く考えろ…あそこ迄すれば普通は警察沙汰だ。

だが、伝説に残る不良やヤクザは…捕まらない。

どんな過去があり…それを語っても捕まらない。

それはなぜか…『怖いからだ』

本物の不良は『強い』んじゃねぇ…怖いんだ。

だから誰も訴えないし、口を噤む。

どんな怪我をしようが口を噤む。

『次は自分が殺される』もしくは『家族が殺される』

その恐怖があるから『何があろうと話さない』

俺は田向が怖い…だが、そんな反面、不良として…惹きつけられる。

あの野獣の様な暴力。

良く一匹オオカミなんて言うが…あいつはまるで、そうライオンだ。

普通の奴が何人束に掛かっても敵わない。

大体、車で人をひけば勝てる。

そんな事は誰でもわかる。

ナイフで滅多刺しをすれば勝ち。

そんな事は誰でも解る。

だが『それを実行する』そんな奴は居ない。

『殺してしまったら』その恐怖から『実行できない』

つまり、全く別の生物だ…同じ生物だと思っていないから…あれが出来る。

彼奴は…人間じゃない。

同じように『殺しても良い』そこに行かなければ敵にもなれねー。

俺にそれは出来ない。

人の一生を潰して、笑いながら生活するなんて俺には出来ねー。

何人もの人を壊して笑ってなんていられねーよ。

彼奴は、あれだけの人をひいたのに、笑って日常を過ごしている。

徳丸さんを滅多刺しした姿は…獣、悪魔だ。

あれだけ強者がいる『全日本黒狼会』で…徳丸さんを慕っていた奴に親衛隊まで居たのに…怖くて誰も動けなかった。

俺も…内心ブルっていたし…足もすくんでいた。

彼奴に勝てる奴はこの辺りには居ない。

だから、俺は『あいつの下につく』もし無理なら『不良から足を洗う』

その二択しか考えてねー。

「神成よぉー、俺の番格はもう田向に譲るわぁ~ もし彼奴がこの学校を仕切るなら、俺はあいつのサブに回るぜぇ。」

「金森…マジかお前何を言っているんだ…相手は1年坊だろうが、解っているのか?」

ああっ、確かにこの学校は上下関係に厳しい。

だが…あいつは規格外だ。

「ああっ、言っておくが黒狼会は、田向が潰しちまった…徳丸さんごとなぁ」

「嘘だろう、徳丸力也といえば、タイマン上等無敗だった筈だ。あの総長の強さがあるからうちも避けていたんだ」

「ああっ、田向1人で20人を再起不能にして、徳丸はぶっ壊された…あいつに勝てる様な奴を俺は知らねー…兎も角、俺の番格はあいつに譲る…決めた事だ」

「そうか?じゃぁ金森、今日から俺には『さん』つけな」

「そうだな神成さんに『さん』もしくは『くん』をつけないとな」

「バーカつけるかよ!」

「番格でもないのに? 粋がるなよ!」

「だったら、こうしよう! 誰でも良い…田向と正面からやりあって勝った奴がいたら…そいつに俺の番格を譲ってやるよ…期間は1か月だ、まぁ出来なかったら、田向が番格だ。もし田向に勝てる奴が居たら…そいつの舎弟にでも何でもなってやるぜ」

「金森…お前はいた唾飲むんじゃねーよ」

「神成…はっきり言うが俺はお前相手なら10回やれば7回は勝てる自信はあるぜ…だが田向相手じゃ0だ。お前らもやりあえば解る…何睨んで居るんだ? 俺は行くぜ。じゃぁな」

バーカ…不良にとって必要なのは相手の戦闘力を知る事だ。

俺のスカウターじゃ、お前らは100もねーよ。

田向は1万じゃきかねーよ。

田向狩り

「田向に勝ったら番格になれる…嘘じゃねーだろうな」
「間違いないですよ! 金森さんが自ら言っていたそうです、念の為神成さんにも確認したら『そうだ』という事でした」

ようやく俺の時代が来たな。

この学校は上下関係が厳しすぎる。

2年であるだけで『本物』の番格には成れない。

1年の番格、2年の番格には成れるけど、それだけだ。

例え2年の番格に成れても3年の不良には逆らえねー。

だが…そのピラミッドがいきなり崩れた。

ただ、1年の田向に勝つ…それだけで金森さん、いや金森の後釜に座れる…チャンスだ。

この情報に不良たちは沸いた。

◆◆◆

「それで俺に絡んできたのか? あん」

「ああっ…」

「ああっじゃねーよ! 女連れの所を襲ってきやがってよー-っ、それでいま、お前幾ら持っているんだ! その金額でお前の運命は決まる」

こんな雑魚なら萌子に『逃げろ』なんていう必要は無かったな。

「お前、卑怯だぞ…俺が喧嘩に負けた…それだけで良いじゃねーか? なぁ…勘弁してくれよ」

「馬鹿野郎、俺をぶちのめすつもりで来た奴をなんで無料で許さなくちゃならねーんだよ…それで幾ら持っているんだよ! ほら財布出せ」

幾らあるかで此奴の運命は決まる。

「解った…ほらよ」

この糞ガキ、財布を放り上げやがった。

なんだ…3千円か…駄目だ。

「たったの3千円…しかも放り投げやがって…許して欲しい。そういう態度じゃねーな!」

金を持ってないお前が悪い…制裁だ。

「おい…何を…おい」

バーベキューの刑だな。

俺は黙ってジッポオイルを振りかけた。

「そんな金じゃ許せねーよ…目をつぶれ…」

「いや…やめろー―――っ」
「良いから目をつぶれよ…そうしないと失明だ」

そのまま火をつけた。

「ぎゃぁぁぁぁぁー―――っ」

転がる、転がる。

「そこまでする事無いだろうが」
「土下座までしていただろう?」

「残酷すぎるよ…」

あ~あ、うるせいな。

「あのよ…俺はこの学校で虐めが元で自殺未遂までしてんの! 今回だって俺から仕掛けたんじゃねーよ…酷い思いしたく無ねーなら絡まなければ良いんだぜ! お前ら…俺はあそこ迄されてもチクらなかった…チクったら男でも女でも…只じゃおかねーよ」

「「「ヒィ」」」

俺みたいな危ない奴と関わらない…それが無難な生き方だぜ。

◆◆◆

「はん、あの金森が一年に日和っているだって?」

「姉さん!」

「冗談はやめな! あいつはあれでもいっぱしの男だ…この学校で彼奴と対をはれるのは神成位だけだよ」

「姉さん…ですが、田向の奴…噂ではたった一人であの黒狼会をぶっ潰して…あの徳丸を…」

「そんな馬鹿な事信じろっていうの? そういうのは尾ひれがつくもんさぁ…でも、あたしが田向を潰せば『男も含んだ番格』になるだ…悪く無いね」

「姉さん、かみそり使う気ですか?」

「ああっ、田向には一生顔に残る傷をつけてやんよ」

「姉さん…残酷っすね」

「私に掛かれば男なんて、皆ごみさぁ」

「や…やめろ….いやだぁーー-っ。嫌だよー――っ」

「姉さんから手を放せー-っ」

此奴らは馬鹿か。

人気のない場所に呼び出して…カミソリにナイフ迄使って襲ってきやがってタダで返すわけねーだろうが…

「お前らさぁ…顔を切る様に人を襲ってきてよー-負けたらタダで済むわけねーだとうがー――っ」

「だからって…これは..うぐっ…やめろ、うがぁぁぁぁー-やめてー-」

「姉さん」

大した事してねー。

ただ、裸にひん剥いて蹴とばしているだけだ。

「人の顔に一生残る様な傷を作ろうとした奴が…何を言っているんだ! 負けたんだから地獄見るのは当たり前だ」

「いやぁー――っぐっうえぇぇぇぇー――、やめて、やめて下さいー-っ」

案外、男でも女でも裸にされて暴力振るわれると、簡単に心が折れる。

「それでどうする? 女を使って暴力を止めるか…このまま受け続けるのか? 好きにして良いぜ」

「あう…私経験無いんだ…頼むからやめてくれよ…なぁ」

顔が腫れて体も痣だらけ…元はそこそこ美人だけど萎えるな。

鼻血だして顔が腫れてちゃな…

「あんた、最低だよ…女いるんだろう」

「お前さぁ…だったら次はお前が俺とやる? そうしたら、此奴の制裁は終わりで良いぜ」

「ああっ」

「ああっじゃねーよ」

「ヒィ..私は」

あーあ、座りこんじまった。

そろそろ痛ぶるのも飽きてきたな。

「なぁ、これ以上蹴られたくない無いなら…自分から俺に」

「いあやぁぁぁぁぁー-許してぇー-」

結局…此奴も本物じゃ無かったな…

「それじゃ…これで許してやんよ…抱くのも止めてやる」

胸の乳首にナイフを当ててそのまま持ち上げた。

「いやぁぁぁぁー―――酷いー-っ痛ぃぃぃぃぃー―――っ」

乳首がキレて…ポトリと音を立てて落ちた。

「あああっあああああー――――っ」

「姉さー――ん、あああっあああー-っ」

「嫌、いや、いやぁぁぁぁぁー――私の、私の乳首がぁぁぁぁー」

一生懸命血が出た胸を押さえてやがんの…腫れた面しておもしれーな。

「馬鹿じゃねーの? 人を傷つける覚悟はあっても自分が傷つく覚悟はねーのか? 乳首はもう一つあるじゃねーか…ほらよ」

「いやぁぁぁぁぁー―――っ痛いのやだぁぁぁぁー-っ…酷い、嫌だって言ったのに..やだぁぁぁぁー――痛い痛い痛いよぉぉぉー-っ」

手で隠そうとしたがナイフで手を切って…手をどけた瞬間に乳首を切り落とした。

「ああっ…ああああー-っ」

「これで終わりで良いぜ…しかし、お前の人生どうなるのかな? 好きな男が出来て、裸を見せたときに乳首が無い…どんな顔を男がするのかおもしれーな」

「ううっううっうわぁぁぁぁー―――ん」

「お前、もう男とつきあえねーかもな…乳首がないんじゃ」

「うっうっうううー-っ。殺してやるー-っ」

もう真面に動けねーじゃん。

「バーカ、折角終わる所だったのにな..」

「うごっううう、うんぐわぁぁぁぁー-」

ブチブチ。

俺はナイフを口に突っ込みそのまま力任せに横に引っ張った。

「姉さぁぁぁぁぁー――――ん」

「うがうがうが…いやぁぁぁぁー-うぐうごっうえあぁぁぁぁうわ」

片側だけの口裂け女だ。
わははははっおもしれーな。

「お前じゃおもちゃにもならねー…そこの女…そいつ病院連れていった方が良いんじゃねーか…ああっ、もしチクったら、今度はこんな物じゃすまねーからな」

返事を聞かずに俺は立ち去った。

安心する為に
「金森――っ、彼奴は何者なんだよ!」

「どうした? 神成? 随分1年が暴れているようだが?潰せないのかぁ」

本当におもしれ―な。

校内の空気がピリピリしていやがる。

不良に一番必要な『危機感』が無いなんてアホだ。

頭がいい奴なら『彼奴に関わらない』それ一択の筈だ。

番格の椅子に群がって…本当におもしれーな。

「あの田向って奴はなんなんだ…普通じゃねーぞ! 簡単に2年が狩られちまう、金森よー」

「あん? それを考えるのは今は『1人』しかいねー番格のお前の役目だろうが? 俺はもう関係ねーだろうが…まぁそのうちお前も食われちまうんじゃねーかな! 早めに『悪童連合』に尻ふき頼んだ方が良いんじゃねーか? そうしないと…マジで死ぬかもな」

俺は『悪童連合』と田向の戦いに興味が出た。

黒狼会を彼奴はぶっ潰したが、あれは奇襲に近い。

まさか徳丸さんでも車でひかれるような事は考えていないだろう。

俺は…

「だったら、こうしよう! 誰でも良い…田向と正面からやりあって勝った奴がいたら…そいつに俺の番格を譲ってやるよ…期間は1か月だ、まぁ出来なかったら、田向が番格だ。もし田向に勝てる奴が居たら…そいつの舎弟にでも何でもなってやるぜ」

そう言った。

これが何を意味するか。

『正面からやりあって』名乗りを上げてからのタイマン。

そうとったようだ。

『仲間を引き連れていても、仲間は手を出させない』

そして…終わった後には恐怖から『その取り巻きはタイマンをはれない』

彼奴がこのルールで負けるかよ。

『ステゴロ』そういうルールならいざ知らず。

『なんでもありの一対一』

そのルールで彼奴が負ける所は考えられない。

「お前本気で言っているの? 馬鹿じゃねーの?」

此奴ら本当に駄目だ。

危機感が無さすぎる。

あの化け物を倒す方法は…数の暴力、それだけだ。

それをしないなら…漫画の主人公だって絶対に彼奴には勝てねー。

『喧嘩上等無敵?』 車で後ろからひかれたら終わりだ。

『ぐちゃぐちゃのミンチにしてやる?』いや田向ならお前と違って本当にやりそうだぜ。

「神成…お前、本当に嗅覚が鈍ったな。黒狼会が潰された。森はどこかに居なくなった、そして大隅さんは田向と仲が良い。この現状でこの学校で『田向を狩れる奴』はお前しか居ないぞ? それがなぜ解らねーの?」

「そうか、俺しか居ねーのか…」

お前だけじゃねーよ。

お前+悪童連合だ。

お前だけなら…1分も持たねーよ。

◆◆◆

次から次へと一体何なんだ此奴ら。

「田向良治…俺と立ち会え」

昨日から凄くうざい。

なんで、元いじめられっ子の俺がこうも毎日不良に絡まれなければいけないんだ。

まさか…金森絡みか?

彼奴、まさか俺を的にしたんか…

「お前で3人目だが、何故俺なんだ? 俺は1年だから狩っても自慢にならないだろうが?」

「お前を狩れば、番格になれる、そう金森先輩と神成先輩が約束してくれている…お前には恨みがないが俺の野望の為に狩らせて貰う」

だからか?

態々、声を掛けてから喧嘩を売ってくるなんて可笑しいと思ったぜ。

しかも雑魚ばっかりだと思ったらそういう事か?

「野望ね…ハイハイ。それでそれはお前の人生賭けてまでやりたい事か?」

「ああっ、俺には何を置いても叶えたい夢や野望がある」

「そうか? ならもう文句は言わねーし、受けたぜ。ただ後になって文句をいうなよ」

「いう訳ねーよ!」

なんだ? 此奴もあっけねーな。

「やめて…やめてくれー――っ」

「お前は何を差し置いても叶えたい野望があったんだろう? それに付き合ってやったんだ…指位は安いもんだろうがっ…命を取らないだけましだと思え」

殴り倒して蹴りをなん十発も入れた。

顔だろうが腹であろうが背中だろうが構わず蹴り続けて動けなくなった。

俺は此奴の手を掴んだ。

喧嘩に勝つという事は『関わりたくない』そう思うまでやる事だ。

中途半端に終わらせると…報復される。

漫画や小説は中途半端だが、あんな終わらせ方じゃ『絶対に報復』される。

ナイフ、拳銃…幾らでも簡単に人を殺す方法はある。

本当なら『殺してしまいたい』『そいつの家族や友人ごと皆殺し』

そうしたい。

そうしないと怖くて仕方ねー。

だが、そんな事したら人生が終わる。

だから、相手が『二度と関わりたくねー』そのレベルまで恐怖をあたえなくちゃならねー。

最も、前の人生はそれでも『足りなくて』結局は殺されたわけだ。

「ハァハァ~もう俺は動けない位ボコられた。もうお前には逆らわない。それで良いだろう」

駄目だ…『お前』って言った分だけ逆らう可能性がある。

俺はあらかじめ買っておいた『葉巻カッター』を取り出した。

まずは右手の小指をはめると…バチンッ。

「ぎゃぁぁぁぁー―――っ、俺の俺の小指がぁぁぁぁっー――」

ヤクザ映画や漫画で『葉巻カッター』で指を切断するが、今売っているやつは簡単には切れない。

キューバやヨーロッパ製のアンティーク物じゃ無ければ無理だ。

そうじゃなければ、ハサミで指を切るようなもんだ。

俺は欲しかったから…アンティーク品をネットで買った。

これを中古で見つけた時には小躍りした位だ。

流石に指を切断すると暴れるな…。

「これは温情なんだ…俺はこういう喧嘩しか知らねーよ。本当ならこんな事じゃ済まさねー…だがガキだから両手の小指と薬指で終わりにしてやるんだぜ…優しいだろうが」

「止めろーっやめてくれーー――――っ」

「これ以上は妥協は出来ねーな」

指が三本ずつになれば…ヤクザにもなれねー! はじきもドスも真面に使えねー。

これでとりあえずは安心だ。

引退を勧めるぜ

「ああっ…」
「ああっじゃねーよ…お前、歯を食いしばれ」

「やっ、やめろぉー――っ」

「うるせーっ」

俺は金森をぶん殴った。

俺はこの学校で番をはりたい訳じゃねーし、目立ちたい訳じゃねー。

「いきなりひでーな…」

しれっとしてやがる。

此奴、殴られる覚悟はしていたな。

「ひでーのはお前だろうが…お前のせいでもう6件絡まれているんだぜ…殴られた位で許されると思うな…どうしてくれるんだ? 俺は女と面白く可笑しく」

「それはもう大丈夫だ!」

収まるとは思えねー。

「何が大丈夫なんだ!」

「そりゃもう手を出さねーよ…順子の乳首切断に、勝の指切断に亮の顔焼き。これでもう雑魚は怖くて手を出さないだろう。俺も言っておいたぜ、番格になるんだから『女なら負けたら犯される、刻まれるは当たり前』『男は指の一本や二本で泣き言言うな』ってな。」

「ほぉう…お前、俺は不良で目立ちたい訳じゃねー。もしそうしたいなら大隅の所でナンバー2にでも収まるさぁ。こんな学校になんて居ねーよ。ふざけんじゃねー」

こんなちんけな中学でてっぺんとっても意味がねーよ。

「マジ…田向、いや田向さん『極悪少年愚連隊』から幹部の話しまで来ていたんですか?」

「うるせーよ…断った」

「なんでですか? ナンバー2ですよ、そんなすげー話」

「あのよ…ガキの中で幾ら上をとっても大して金にならねー。今はまだ出るべきじゃねーんだよ…損得勘定だ」

本格的になにかやるなら…まだ早い。

「田向さん…あんた何がやりたいんだ?」

「馬鹿だな…金、女、そして権力、男ならそれ以外あるか? まぁ俺の場合は、それプラス自由。この4つが欲しいだけだ」

「番格になれば、この学校だけなら…」

「馬鹿か? 自分の事考えてみろよ…黒狼会の兵隊以下だろうが、奴隷みたいな物だろうが? お前、黒狼会の誰かに逆らったことあるか?どうせ無いだろう」

「ああっ…なら『極悪少年愚連隊』のナンバー2から始めたら良いじゃないですか?」

「バーカ、大隅と俺はダチみたいなもんだ。ナンバー2になんかなったら対等な関係じゃなくなる…だからダチのままで良いんだ」

「おい…まさかお前…」

「ああっ、俺は誰の下にもつく気はねーよ。昔、下について馬鹿見たからな」

「昔ってお前、中一だろうが」

「まぁな…ダチや手下なら欲しいと思うが…お前を含め碌な奴がいねー」

「俺が舎弟になるって言ったじゃねーか?」

「お前じゃ要らねーよ」

「なんでだ?」

「お前は同類じゃねーからな」

「同類じゃない?」

「お前ガキじゃん? 指を切り落としもしなければ、人を焼くことも女犯すした事もねーだろう? 殺しは経験あるか?」

「ねーよ」

「だろうな? 俺の仲間になりたいなら、人を殺せるような奴…笑いながら指を切り落としたり、女を犯せる奴…それが条件だ。 そうだな、神成先輩だっけ…再起不能に追い込んでみろよ。そうしたら考えてやるぜ…あっ最低限指2本以上切断な」

どうせ此奴じゃ出来ねー。

「俺には無理だ」

「だろうな…なぁ、お前じゃ『本物』には成れねー『引退』を勧めるぜ…」

此奴は器じゃねー、恐らく神成って奴も…

精々がチンピラで使い潰されるだけだ。

『舎弟になりたい』そう言った此奴に…せめてものアドバイスだ。

だが二度とは言わねー…どうするかは此奴が決める事だ。

「そうだな…俺は不良はもう辞める」

「それが良いな」

「それで、田向、お前はどうするんだ? この学校…どうするんだ?」

「さぁな…だがここ迄話が進んじまったら、神成はどうにかしないとならねーな…まぁどうするかは…これから決めるさぁ」

「そうか」

「ああっ、それで金森、お前はもう不良を辞める…間違いねーな」

「ああっ」

「それじゃ、もう俺と関わることはねぇー それじゃもう行くぜ。じゃぁなパンピー」

「ああっ」

本当に面倒くせー…神成かぁ…今更ガキ一人ぶっ倒してもなんも得にならねーのに。

終わり

今の所、神成の奴はまだ動いちゃいねー。

金森の馬鹿の話じゃ、そろそろ動く頃だろう。

めんどくせーから、先に『悪童連合』でも潰しておくか?

やることは簡単だ…

まぁ引っかかればだが。

用意するのは鋼線…細くて丈夫な奴。

このままだと反射してばれるから…鋼線に黒い塗料を塗っていく。

「あのさぁ、何やっているわけ?」

「釣りの準備」

「私たちも手伝いましょうか?」

「色塗る位ならできますよ」

「まぁ、大丈夫だ…これで終わり、あまり気にしないで良い」

「そう? それでさぁ…今日はどうするの?」

三人に詰め寄られていた。

最近、萌子は俺の家に入り浸っている。

最初は取っ組み合いの喧嘩をしていたが…いつの間にか千鶴と千春と仲良くなっていた。
そして…今は本当の家族の様に仲良くなっている。

まぁ義理とはいえ近親相姦をしている。

それでも俺は…この奇妙な家族関係を愛するようになっていた。

最も義理とはいえ母親と姉と関係している…それを除けばだが、家族だ。

「そうだな…それじゃ飯でも食うか? 今日は角煮を仕込んでおいたから、まぁうめーと思うぞ!」

「うわぁ~良治のごはん…嬉しいわ」

「良治くんのごはんだぁ~」

「良治って、何でそんなに家事が出来るのぉ~」

「いや…まぁな」

前世でほぼ一人だったから…そうは言えねーな。

蓋をあけてみれば今の家族は俺なりに満足している。

俺は善人じゃねーから、此の位の生活が凄居心地が良い。

郁美さんは…キラキラしすぎて俺には家族には思えないからな。

あの人の前じゃ悪事は出来ねー。

美味しい物を食べて、金もあって…女も抱けて…俺なりの愛がある。

これで十分じゃねーかな。

スケスケのキャミソールに透けたパンティを着て胸が丸見えの三人を見ながらそう思った。

◆◆◆

暗い林道…あいつらは必ずここに来る。

昼間、あらかじめ作っておいた鋼線をバイクに乗った時に首の位置に来るように張る。

別に俺は悪童連合に恨みは無い。

だから、接点は無い。

だが、今後神成と揉める事を考えたら潰しておく必要がある。

可哀そうだが…しらねーな。

彼奴の知り合いだから悪ぃー-んだよ。

まぁ、これで数が減れば…おもしれーんだが。

◆◆◆

『今日未明、暴走族の一団が、張られていたワイヤに―気が付かず突っ込み…多数の死傷者を出して…その数は100人近くに…警察は怨恨…いたずら、両方から捜査を…』

結果から言うと…これは成功した。

ニュースの話では…

何も知らないで突っ込んだ数人は死んだらしい。

それでひっくり返ったバイクに次々にバイクが突っ込んで、更に死人が増え…重体者も数知れず…まぁこれは朝のニュースの話だ。

一体誰がやったんだろうな!

『まぁ沢山恨まれていたから仕方ねーんじゃねーの?』

俺は知らねーな。

「物騒な事件ですね」

「本当に物騒だね」

「本当、良治誰がやったんだろうね?(笑)人に恨まれるのは怖いね」

良いたまだな。

この位の奴が俺には丁度良い。

俺が作った卵焼きに味噌汁にサラダを食いながら話す3人が無性に大切に思えた。

まぁ、その結果…流されて学校には遅刻して登校するはめになった。

◆◆◆

学校に行くと…金森が待ち構えるように校門の前に居た。

「おい…田向…まさか、あれ」

「しらねーな! だがかなり恨みを買っていたみたいだからな誰かにやられたんじゃねーのかな? それで神成はどうよ?」

「ああっ、彼奴なら…俺と一緒に『不良はやめる』ってよ」

「なんで?」

「いや…本当にお前がやったんじゃないのか? まぁ良いや…お前がした事を最初は冗談だと思っていたらしいが…指が無くなった奴や、本当に乳首切断の話を聞いてブルちまった…そうだんする後ろ盾も…あれだしかも総長の和樹さんが首ちょんぱだと生き残ったメンバーから聞いて…最早、不良どころか引き篭もりだ」

「引き篭もり?」

「ああっ、彼奴結構無茶していたから敵も多い…自分も殺されると思ったらしい」

そうか…しかし、この学校の親は、子供に甘いな。

そんな奴はまず、不良は無理だ。

「そうか? それじゃこの学校から『番』はいなくなるな」

「田向…さん、やらないのか?」

「俺はパス、後輩の面倒など面倒くさいからな」

「そうか…残念だ」

◆◆◆

結局、俺は中学では『番』をはらなかった。

だが、誰もが怖がり、事実上…この学校から『不良』はいないくなった。

番を張ると、俺がスクラップにする…そういう噂が流れたからだ。

◆◆◆

萌子はほぼ俺の家に入り浸っている。
もうほぼ同棲と言っても良い位だ。

流石に不味いと思って萌子の母親に会った。

「あはははっ責任取るなら文句はないわ…とるんだよね?」

「…成人したら結婚します」

「そう? それなら文句なし、子作りでも何でもして良いよ、若いんだから」

なかなか大らかな人で…元ヤンだ。
自分自身が早めに子供を作ったから『私は文句は言えないからね』だと。

こうして、ほぼ親公認で萌子は俺の家に入り浸るようになり、千鶴に千春と一緒に家ではほぼ下着姿で過ごしている。

しかし、此奴ら…SEX以外、なんにも出来ないな。

炊事に洗濯は俺…掃除も俺だ…なんだこれ。

お嬢様という名前の役立たずに、それに影響される俺…

まぁ家事は俺は好きだから問題ない。

この生活で幸せを感じる俺は…可笑しいのかも知れない。

◆◆◆

高校にはいかずに、金があるから、出会い系のサイトを作って運用した。

ちゃんとしたサイトではなく、いわゆるセフレを得る為のサイトだ。

これが案外儲かる。

大隅とその妹とは付き合いは続いている。

俺は恐らく愛情が欲しかったのかも知れない…

絶対に離れていかない女三人を手に入れたからか、尖った面が随分無くなった気がする。

それとも、もしかしたら俺の中に良治が居るからかは解らない。

良く考えたら…萌子は裕子姉の孫、此奴の母親は裕子姉の子供なんだよな。

此奴の面倒を見れば『裕子姉への恩返し』になるか…

きっと俺はもう昔のようにはならない気がする。

まぁ良い….

これから先も俺は面白可笑しく自由に生きていく…それだけだ。

FIN

あとがき

この話…結構めちゃくちゃに思えるかもしれませんが…

一つ一つのエピソードは本当に近い事件があります。
1980年代は今よりかなりバイオレンス。

新宿等歩けば、援助交際する女子高生はすぐに見つかるし、ホ別3万(ホテル代別で3万円という意味です)

不良でもナイフを使う人も普通にいたし。

有名な不良で改造拳銃を持っていて捕まった奴もいました。

漫画や小説の世界に持ち込んで良いか解りませんが…多分拳銃を撃たれたら…かなりの主人公が負けるような気がします。

鋼線の話しに、指切断、乳首切断…全部バラバラですが、行った奴がいた時代。

更にいうなら、残酷だから不良映画ですら変えられた『鼻鉛筆』『鼻割りばし』もありました。

そんな時代の危ない奴がもし、今いたら…そんな感じで書いてみました。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

次回作は…いくつかプロットを考えていますが…少し時間がかかりそうです。

『異世界転生』『残酷な話』『美醜逆転』『勇者物』

4つの話からどれにするか考え中です。

ありがとうございました。