幼馴染と姉妹が寝取られました~ そんなの気にするな! 幼馴染と姉妹を勇者に寝取られた弟をたった1か月で立ち直らせた、凄腕商人のクズ兄貴!

全てを失った日
隣村から来た 勇者のジョブを持つマモルが俺に告げた。

「悪いが今日から彼女達に近づかないでくれるか?」

今迄の人間関係が完全に崩れた瞬間だった。

俺の婚約者で将来を約束していた幼馴染 リラ

実の姉なのに俺の事を恋人の様に甘やかしてきた リリアン

お兄ちゃんと将来を結婚する、そう言っていた、マリア。

それが俺を見下すように見ながら、マモルに体を押し付け腕を絡めていた。

時は少し遡る。

隣村のマモルに神託で【勇者】のジョブが現れた。

マモルは近隣の嫌われ者で女の子に嫌われていた。

マモルの村から一番近い村が、俺の暮らす村ココル村だった。

マモルの村には同世代の子が居なかったから良く俺の村に来て遊んでいたが、良く暴力を振るう事で嫌われていて誰も遊ぶ相手がいなかった。

だが、年頃になった時に初めて女の子を意識してきたが…今迄意地悪ばかりしていたマモルは毛嫌いして誰も付き合わなかった。

そんなマモルが好きだったのが、俺の幼馴染リラだった。

だがリラは「ごめんね、私は ジミナ君が好きなの」と答えて振っていた。

俺からしたら当たり前だ、小さい頃から一緒に過ごし、お互いを支えながら生活してきた俺(ジミナ)と意地悪ばかりしていたマモルどう考えてもマモルを取る訳は無い。

年頃になり、俺とリラは婚約した。

だが、そんな状態なのに姉のリリアンは「嫌になったらやめて良いのよ? 、私と一緒に楽しく暮らそう」とか言い出すし、妹のマリアは「リラちゃんは良い子だけどお兄ちゃんには似合わないと思う」と良くやきもちを焼いていた。

ちなみにこの二人にもマモルは交際をせまり、見事に撃沈していた。

俺はマモルがこの村に来るのが凄く心配だった。

勇者の力は絶大だ。

もし、暴力を振るわれても黙るしかない。

だが、マモルは到って紳士的だった。

「久しぶりだな、ジミナ」

凄く紳士的な態度で俺に話し掛けてきた。

良かった、勇者になって変わったんだ。

そう思っていた。

「そう、事を構えるなよ、俺は自分と魔王討伐に行く仲間を探しているだけだ、それ以上では無いからな」

「すまない俺が誤解をしていたようだ」

嫌な予感は少しはしたが…仕方ない。

勇者が仲間を探しに来た以上は邪魔は出来ない。

だが、この時に俺はすぐに行動を起こすべきだった。

次の日にリラが俺に言いに来た。

「ごめんね、私、聖女になっちゃった…だから婚約を破棄して下さい」

「リラ、俺なら討伐の旅が終わるまで待つから」

「ごめんなさい、勇者と聖女は将来結婚する運命にあるの…それに私ジミナよりマモルの方が好きだから」

俺は頭の中が真っ白になった。

それからの事は良く解らない。

そのあと、姉のリリアンが俺の傍に来た。

俺は泣きたくて胸に飛び込もうとしたが…

「ごめんね…私は剣聖になったのよ、もう貴方の姉じゃ無いわ、だからこういう事は出来ない、いい加減姉ばなれしなさい」

何がなんだか解らない。

姉弟の関係はそんな物で斬れない筈だ。

そう思っていたら妹のマリアが俺の所に訪れた。

「お兄ちゃん、私はね賢者になったの、さようなら」

何がなんだか解らない。

婚約解消は解らないでもない…だが姉弟、兄妹の関係は切る必要は無いはずだ。

失意のまま俺は動けなくなり、気がつくと森に居た。

トボトボと家に帰ると、親や姉妹に婚約者のリラが楽しそうに話している。

勇者の指名で四職(勇者 聖女 賢者 剣聖)の中からジョブを貰えたのが嬉しいのか皆が笑っていた。

そして盗み聞きしたら、勇者は複数の嫁を持つ事が出来るから三人とも嫁にするそうだ…

あそこには俺の居る場所は無い…

皆が寝るまで外にいようと思った。

夜中になり、皆が寝ている時間に俺は帰った。

静かにドアをあけ部屋に戻った。

暫くすると、リリアンの部屋からギシギシ音が聞こえてきた。

気になり覗くと…マモル相手に裸で抱き合う三人の姿が見えた。

しかも、リラは正に跨って腰を振っていた。

マモルと俺は目が合った。

その時、マモルは顔を歪ませて…俺にブイサインを送っってきた。

俺は声を押し殺し…ただただ走って逃げだすしか出来なかった。

※多分、主人公が寝て無いのに寝取られなのかと言う方がいると思いますが、今回は精神的な寝取られとしてご判断下さい。

兄帰る。
「悪いが今日から彼女達に近づかないでくれるか?」

今迄の人間関係が完全に崩れた瞬間だった。

俺の婚約者で将来を約束していた幼馴染 リラ

実の姉なのに俺の事を恋人の様に甘やかしてきた リリアン

お兄ちゃんと将来を結婚する、そう言っていた、マリア。

それが俺を見下すように見ながら、マモルに体を押し付け腕を絡めていた。

俺はリラは婚約者だったが今は婚約解消したから他人だ。

だが、あとの二人は姉弟、兄妹の関係にある。

「確かにリラはもう他人だから仕方ない…だけど他の2人は家族なんだ」

「馬鹿ね、私はもうマモルの者なのよ? 姉弟じゃないわ」

「そうよ私もお兄ちゃんだなんて思ってないよ」

昨日の光景が思い出された。

「そうか、それなら仕方ない、それで勇者マモルは何時まで…此処にいるんだ..」

「そうだな、お前の悔しがる顔も見れたしもういいや、明日にはもうこの村を出て行くよ」

「そうか…解った」

どうせ今日もやるんだろうな…そんなの聞きたく無いし、今日は何処か別の所に泊めて貰おう。

だが…

「お前、勇者マモルに嫌われたんだって、関わりたくない」

「悪いな、明後日ならいいが、勇者の居る時は勘弁してくれ」

結局誰も泊めてくれず、俺は村の外れで野宿をした。

遠くから見たらマモルの壮行会をしている様だった。

俺は間違っていた。

もし、あの時にリラを連れて駆け落ちでもすれば、此処まで惨めになんてならなかった。

全てはもう遅すぎたんだ。

全員が居なくなっても、もう俺の居場所は無かった。

実際にはあるが…両親は変わってしまった。

「父さん、畑仕事はしなくて良いのか?」

本当は辛くて仕方が無いが、仕事は仕事だ。

「あははっ もう父さんは働かない、母さんもな、勇者が支度金を沢山くれたからもう一生働かない」

見ると沢山の金貨が入った袋があった。

「そうそう、リリアンもマリアも親孝行だわ、もう税金も納めないで良いんだって…本当にあんたと違って素晴らしい子供よ」

父さん母さん…お金で子供を売るなんて。

そう思ったが、嬉しそうに裸で抱き着いていた姉妹を思い出してそれは言えなかった。

畑仕事をしないなら時間はある。

俺は散歩していた。

両親とリラの親は金が入った事で可笑しくなってしまったが、他の人は普通だった。

「相手が勇者じゃ仕方ない」

「まぁ諦めなね」

一応は慰めてくれるようだ…だがその慰めが俺を余計惨めにした。

幾ら散歩しても気が収まる事は無かった。

何時もの三人がいない…それが此処まで寂しく思えるなんて知らなかった。

今思えばこの村で僕は三人としか過ごしていない。

この周りは農村だから、もうこの齢には婚約者が決まっている。

農家の嫁とりは早い。

俺はあの三人しか歳のちかい女の子と交流をしていない…

笑えるな…俺の全てだと思った女の子が、全部居なくなるなんて…

辛いな…本当に辛いよ….

あはははっ

「どうしたんだ ジミナ、泣いているのか?」

王都に行っていた、オリオン兄ちゃんが声を掛けてきた。

「兄ちゃん…帰ってきたんだ」

「まぁな、とは言え、明日にはまた出て行くんだが? まぁ何があったか話してみな」

俺はオリオン兄ちゃんに何が起きたか話した。

ハーレムかと思ったら…実は
「あはははっ、三人に振られて辛い? ジミナがか~」

オリオン兄ちゃんは笑っていた。

「兄ちゃんも…」

「あの三人はお前と釣り合わねーよ、別れてよかったんじゃねーの!」

「釣り合わないのは身に染みたよ…だからって今それ言う必要ないじゃないぁーーっ」

俺は走って行こうとしたが兄ちゃんが俺を止めた。

「ちょっ、待てよ」

「離して兄ちゃん!」

「良いから落ち着いて話そうぜ!」

【オリオンSIDE】

「良いか…俺がお前に何が起きたか教えてやる」

「兄ちゃん…何か知っているのか」

「ああっ、あくまで仮設だがな」

俺は転生者だ。

転生と言っても、勇者のスキルや何か特典を貰った訳では無く、過去の記憶があるだけ。

しかも、向こうでの俺はただの高校生。

しいて言えば、こよなくライトノベルを愛する高校生だ。

だから、この手の事の想像はつく。

「多分、勇者の中で一部の勇者が持っているという【魅了】というスキルだな」

「それって、どんなスキル」

「簡単にいうなら、どんな女にでも好きになって貰えるというスキルだな」

「そんな…そんな物を使ってマモルは俺から彼女たちを、赦せない今から追いかけて取り返してくる」

「無理だな…まぁ諦めろ」

「そんな、俺は諦められない」

「その前に、お前、なんであいつ等が好きなんだ?」

はっきり言えば俺からしたら彼奴らはゴミ女だ。

ジミナは俺から見たら、悔しいほどの美少年だったりする。

はっきり言えば釣り合わない。

まずは、リラだが。

此奴は性格が凄く悪い。

ジミナに他の女が近づかない様にしていた。

実際にジミナを好きだって女の子は他にも沢山いた。

そういう女の子に裏で虐めをし、脅しをかけて近づかせない様にしていた。

事実、此奴は子供の時に他の女の子を湖に突き落として殺し掛けている。

ジミナには、物凄く優しいから放っておいた。

完璧に悪女、性格破綻者。そういう女だが…俺は放置していた。

ジミナに優しいなら関係ない…ジミナにとっては良い女だからだ。

だって、ジミナの為なら【殺しすら厭わない】なら問題無いよな。

次にリリアンだが、

此奴は本当に頭が可笑しい。

実の姉なのに、本気でジミナが好きなんだ。

ジミナのパンツを自分の枕に入れている事を俺は知っている。

よく枕を抱きしめている姿は可愛いが、実のところは弟のパンツを抱きしめている様な変態。

どうみても、ジミナの童貞を狙っていた節がある。

此奴も頭が可笑しい。

一見優しく、聡明に見えるが、裏で圧力をかけてジミナに近づく女に暴力を振るっていた。

実際に、此奴はジミナを好きだった女の子を突き飛ばして馬車に敷かせた事もある。

まぁ証拠は無いから問題にならなかった…沢山の女友達が遊んでいたと証言したから、そこにいなかった事になった為無罪(多分偽証させたんだろうな)

悪魔みたいな女だが【ジミナを好きなら問題無い】と思い放置。

多分、こんな事が起きなかったら、ジミナと一緒に生涯を過ごし、裏の顔なんて見せないで、死ぬまで【優しいお姉さん】の仮面をかぶって過ごしただろう。

そしてマリア…

多分此奴が一番の変態だ。

ジミナの物なら何でも集めている。

此奴の宝箱には、ジミナの爪や髪の毛に瘡蓋が収まっている。

ジミナが好きで好きでたまらない…そんな奴。

ジミナに近づくと物理的に攻撃する。

事実、沼に嵌って死んだ少女がいたが、その子は「ジミナと結婚する」なんて言っていた子供だったから、癪に触って此奴が殺した様な気がする。

だが、ジミナを凄く好きなのが解るから放置していた。

三人ともクズだけどジミナが好きなら問題は無い。

だってジミナの為なら此処までするんだから…ある意味【真実の愛】なのだろう。

まぁ、排除したくても排除できないしな、まるで三匹の蛇みたいにジミナに絡みついた毒蛇だ。

村から出ないで生活するならこれはこれでジミナは幸せかも知れない。

ジミナはもしこいつが女なら俺が嫁にしたい位できた人間だ。

魅了は相手が好きな存在がいた場合、その記憶に入り込む。

勝手に勇者は自滅していくとみた。

「皆、凄く優しくて、綺麗で可愛くて、とっても素晴らしい女の子だよ…僕には勿体ない」

「他には?」

「だから、凄く優しくて可愛くて綺麗で」

まぁその程度だよな。

「ジミナ、俺と一緒に帝都に行こうか?」

「えっ」

「この村にいても辛いなら、俺と一緒に帝都に行こうぜ」

「そうだね」

ジミナ、俺がお前に掛けられた変な魔法を解いてやるよ。

※本当に魔法という訳でなく、洗脳にちかい、そんなイメージです。

価値ねーよ

勇者に良く幼馴染を寝取られる話を聞くよな。

あれって可笑しいと思わないか?

大体が村人で勇者や主人公の周りで起きるんだぜ…

そして「ざまぁ」系小説じゃ取り戻すために必死になるか…

もっと綺麗な仲間を手に入れ幸せになるか

このパターンが中心だよな。

最初の幼馴染が本当に凄い美人なら、それ以上の仲間なんてまず手に入らないと思わないか?

もっと綺麗な仲間を手に入れ幸せになるか ←

此処に注目して欲しい。

寝取られの多くは【村】や【小さな町】で起こる。

此処が味噌なんだ。

どんなに美人だ可愛いと言ってもね…村で1番じゃたかがしれていると思わないか?

大体の勇者も主人公も元村人のパターンはこの程度の人間の取り合いで泣き笑いしている。

転生者の俺からしたらアホだ。

田舎の小さな村で美人だなんても言ってもさぁ…現代なら秋葉系アイドルにもなれん奴ばかりじゃねーかな。

その事に勇者も主人公も気が付いていないんだよな?

まぁ小さな田舎で育った奴らで童貞が多いから、そんな事にも気が付かんのよ。

そして勝手に妄想の世界で凄く可愛いとか思い込んでいるんじゃないかな。

あの三人の中で一番かわいくて綺麗なのはリラだが…まぁ奴隷で言うなら金貨5枚位の価値しかねーよ。

所詮【村で一番】なんてそんな物だ。

金貨5枚の価値の人間がとられたからって泣く必要は無い、大げさだ。

まぁ奴隷云々もそうだが、あの三人位なら、帝都の娼館に普通にいる、更に言うならパン屋のマリーちゃんの方がよっぽど可愛い。

だから、俺はジミナを帝都に連れて行きたいんだ。

お前を振った人間は価値が無い…そう思わせる為にな。

感謝した方が良い位だ。
しかし、マモルは馬鹿だな。

ナルファポリスの小説1500冊を読んだ俺からしたら、最強勇者だった。

自らが勇者でありながら、他の三職(聖女 賢者 剣聖)の任命権を持つ。

魔王と戦うという意味ではなく恋愛なら正に最強だ。

通常の相手に【魅了】を掛けても、恐らくはあそこ迄強くは掛からない筈だ。

少なくとも【愛する者】を持つ人間から奪うのは最低でも数日は掛るだろう。

ライトノベルの勇者、他の小説のクズ勇者でもそうだった。

だが、マモルはあの三人がどうしても欲しかったんだろうな。

だから、恋愛の最強の手札を切った。

三職だ、これは俺の考えだが、魔王と戦う仲間には多分、更に強い魅了がかかるのだと思う。

まぁ魔族と戦っている時に後ろからブスッでは困るからな。

だから、即効性の最大の【魅了】が掛かったのだろう…だが、これで彼奴は最強の切り札を失った。

可哀想に…

だって【三職に指名されたら旅にでなくちゃいけないんだ】馬鹿だな。

そして【完璧な魅了に掛かる】そんな最高の切り札をたかが村娘に使っちまった。

あの程度の女なら、性処理奴隷で買っても金貨5枚だ。

しかも、かっこつけて帝国から貰った、莫大な三職を貰い受ける支度金を全部払って…本当に馬鹿だな。

恐らく支度金は金貨500枚~1000枚の筈だ。

そんな莫大な金でたかが金貨5枚程度の女を買ったんだ…今頃家族は小躍りしているだろう。

その三枚の切符は最強なのに…

例えば、その手札を俺が持っていればこんな感じだ。

第三王女のルルーラ姫とかから狙うぞ。

帝国の真珠と言われ帝国一美しいと言われる姫。

聖女にして魅了を掛ければ、例え帝王だって嫌とは言えない。

聖女になる事は名誉な事だから王族とて拒めない。

そして同時に魅了も掛かり、旅に出るならやりたい放題。

帝国一美しい女が手に入るんだぜ。

なぁ、こんなの貴族でも豪商でも絶対に手に入らない女が簡単に自分の物に出来たんだぜ。

権力が欲しいなら第一王女のアエカ姫だ。

帝王には男の子供がいないから、上手く言ったら王配だぞ。

それにルルーラ姫には劣るが、あの三人より遙かに美人だ。

他にも 歌姫や貴族令嬢…この世界のどんな美女にも使える、最高の切符。

エルフの王女ですら手に入る最高の切符。

ただの魅了だけじゃなく三職の栄誉が貰えるから親族だろうが文句言えず認めざる負えない、魔族以外には完璧な布陣。

王族でも貴族でも女を差し出すのを断れない最強の切符だ、おばさんに興味があるなら王妃でも手に入るんだぜ。

それをただの村娘に使うなんて馬鹿だな。

せめて王都に旅立ってから使えば良いのに、そうしたらこんな田舎より遙かに綺麗な女が選び放題なんだぜ。

それはそうと…正当な権利を主張しなくちゃな。

「リナさんお久しぶりです」

「ああっオリオン、帰ったのかい村長も」

「あの、リナさん、申し訳無いですが、リラの婚約破棄の慰謝料を請求しにきました」

「慰謝料? なんでそんな物を」

「今回の件はどう考えてもリラが悪い、婚約者が居るのに他の男に乗り換えたんだ、そのままマモルが渡した支度金をそのままジミナに渡しなさい」

「待って、幾らなんでも全部は可笑しいわ」

馬鹿な奴、お金を貰って誰にも振るまわないから敵ばかり。

俺は、回収できたお金の半分を村長他、権力者に払う約束を証文にした。

村社会では、貴族が来ない限り【村長は王だ】

「あのさぁ、勇者は、そのお金は手切れ金だって他の人に言っていたみたいだよ、ねぇ村長」

「ああっゴダムやソムラ、そして何より儂も聞いた、手切れ金なら、それはジミナの物だ…返せ」

「そんな」

「もし、返す気が無いならそれで良い、今直ぐ村を出ていけ」

「解りました..はい…これでよいんですよね」

此奴は馬鹿だな。

この金貨があれば、帝都でも王都でも出て遊んで暮らせる。

つまり出て行けばよいだけだ。

だけど、村民って村で育って大人になった人間は【怖くて村から出られない】

だから、こんなチャンスを見逃す…馬鹿だな。

そのまま金貨袋を持ち、村長の家に行った。

金貨は500枚(約5千万円位)だったから、金貨250枚村長に渡した。

そして今度は両親だ。

これは出さな可能性もある。

だから、村の若い衆と一緒にボコった。

顔の形がちょっと変わる位。

「このお金はどう考えても、ジミナのもんだよ? 手切れ金だよね?」

勿論、リナの時と同じ様に証文も用意して書かせた。

ちなみにこの書類は4通用意。

1通は当人、1通は俺(ジミナ)の代理 1通は村長 1通は何かあるといけなので商業ギルドに提出。

これで誰も文句は言えない。

こちらは金貨1000枚(二人分で約1億)あったが、半分の金貨500枚は村長に渡した。

これでジミナに金貨750枚(約7500万)が手に入った事になる。

勇者が村に帰ったとしても魔王討伐後、運が悪ければ旅の途中で死ぬ。

もし勝利を収めていたら、王国に行けば良い。

「ざまぁ」なんてしなくても良い。

だって【貧乏くじ】引いてくれて、金迄くれたんだ…本当の意味では感謝だな。

罅がはいった。
ジミナと一緒に俺は帝都に旅立つ為に村を出た。

村長を始め、殆どの村人は別れを惜しむ様に手を振ってくれた。

リナとうちの両親を除いてな…村社会は妬み社会でもあるんだ。

皆から嫌われない様に【富は分け与え、嫌われない様に慎ましく生きて行かなくちゃならない】

そうしなければ嫌われるんだぜ。

もし、リナとうちの両親が、村長にお金を包み村人にも金を分けていたら「さすが」と村長は褒め称えただろうよ。

だが、それをしなかったからこうなった。

俺が村長に別けた金は、更に村長から村の権力者に渡った。

その結果が、村人全員が、ジミナの帝都行きを歓迎してこうやって手を振ってくれる事につながるんだ。

勿論、俺は村と帝都を繋いでいる、村には欠かせない商人だから、村長は助けてくれる。

まぁ、その代わり昨日みたいにお金を包むがな。

誰だってそうだろう? お金をくれる人間とくれない人間どっちを優遇するといえば【お金をくれる人間だ】

ジミナはまだしょぼくれている。

確かに、リラ、リリアン、マリアはあの村の中では美人だし、性格もジミナにとっては最高だろう。

外面が良いと言うのは正にあいつ等の事だ。

ジミナはあの村が好きだった。

村から一生でないならあいつ等とジミナが付き合うのも有りだ。

それはそれで幸せだ。

「まだ、落ち込んでいるのか?」

まぁ、近隣限定なら良い女だからな。

「そりゃぁ落ち込むよ兄ちゃん、婚約者と姉妹がいなくなっちゃったんだから」

俺が転生者でなくて、村からでなければ気がつかんよな。

あの程度の女、大した事無いってな。

「これから俺たちは帝都にいく、まず村の人口は僅か140人、それに対して帝都は人口は9万人以上住んで居る、人の数が全然違うからな」

「そうなんだ」

「ああっ見た瞬間から驚くぞ」

転生者の俺からみたら大した事ないけどね。

「そうなんだ」

「もう、あんな女なんか忘れちまえ、幾らでも可愛い子がいるからよ」

「あははっだけど、リラみたいに可愛い女の子は滅多にいないよ」

うん…ざらにいるな。

「だったら、帝都に行くまでの間にすれ違う女を見ながら話そうか?」

「何で」

「まぁいいじゃんか…そうだ、頭の中で外見だけで良いから、あいつ等より上か下か、見た女を比べながら歩けよ」

一緒に歩きながら帝都に向った。

「解ったよ兄ちゃん」

《そう簡単にリラみたいな可愛い子が居る訳無いじゃ無いか》

暫く一緒に歩き、村から村へ歩いていった。

「…」

まだだな…

「どうだ、リラなんて大した女じゃ無いだろうが?」

「そんな事無い…リラみたいな可愛い子は何処にもいないよ」

まだ、脳内お花畑パラメーターが動いているのか。

実はもう同等の女の子には数人出会っている。

だが、別れた彼女って言うのは意外に【頭の中で美人】に変換されている。

意外に強敵なのだ。

此処から近くの街まで歩いた。

此処の街から王都まで馬車が出ている。

此処はもう街なんだ、村では無い。

帝都程ではないが、人口も多い、娼館は無いが水商売は存在する。

「兄ちゃん、都会にはこんなに美人がいるのか?」

「ジミナよ、此処はまだ都会じゃない、帝都に比べたら田舎も良い所だ」

「此処で田舎なんだな…確かにリラ達より可愛い子はいたけど、俺は外見だけでリラが好きになった訳じゃないんだよ兄ちゃん」

「それじゃ、どういう所が好きだったんだ」

「優しくて料理が上手で良く気がつくんだ…リラは」

「あのなぁ、ジミナ、そんな事は普通に好きになった相手なら誰でもする事だぞ、実際にお前だって色々してあげてただろう?」

「だけど、リラみたいに美味しいご飯は俺には作れない」

「そうか? 帝都行きの馬車は明日らしいから此処に泊まろう、そうだ、今日は美味しい物を食べに行こうか?」

俺は話を少し話すと食堂に向った。

「ミラちゃんご無沙汰あ~」

「久しぶり、オリオンさん今日もこれから帝都に行くの?」

「まぁね、あっ此奴は俺の弟のジミナ、宜しくね?」

あはははっジミナ顔を赤くしてやんの。

そりゃそうだ、ミラはこの店の看板娘。

田舎町とはいえ、村では無い、王都と比べちゃいかんが、充分村娘より垢ぬけている。

「ジミナくんか…うん結構、美形だね、宜しく!」

「よよよろひくお願いします」

あっ…噛んだ。

これで流石に、リラなんて大した事無いと認めざる負えないだろう。

「あっ、ジミナ、ミラちゃんは人妻だから幾ら顔を赤くしても無理だからな」

「兄さん」

兄ちゃんじゃなく兄さんね。

「それで、ミラちゃん、此奴ちょっと家庭の味に飢えているから、ミラちゃんの特性シチューをお願い」

「あいよ」

シチューが来るまで、ジミナと話した。

「どうだ、ジミナ…これでもリラより…か.わ.い.い.女なんていないっていうんでちゅかーーーっ」

「うう、兄さん、ごめん、さっきも言ったけどリラはそれだけじゃ無いんだ」

「はいよ、シチュー二つ」

「ほらジミナきたぞ、このシチューは裏メニューで常連しか食べられないんだ、これはなぁミラちゃんが愛する旦那の為に作ったメニューなんだぞ」

「あははっ照れるね…確かに手間暇が掛るからね、常時メニューには出来ないね」

奥の厨房で熊みたいな旦那が顔を赤くしている。

ミラちゃんはもう他のお客の所に行った。

「美味しい…」

「だろう、これはミラちゃんが旦那の為に考えたシチューだ、愛情が沢山詰まっている、どうだ!」

本当は嘘だ、此処は街だから調味料が沢山手に入る。

村みたいに、塩位しか味付けが無い場所じゃないからだ。

だが俺は敢えてそれを言わない。

「本当だ、体の中から温まる…」

「これが愛情の詰まった料理だ、リラの様に適当に作るんじゃない、旦那の為に時間を掛けてじっくり作った料理、違うだろう」

「確かに…これが愛情のこもった料理だと兄さんが言うなら、今迄のは違うかも知れない」

ジミナのリラへの想いに罅が入った瞬間だった。

【勇者マモルSIDE】 汚くて気持ち悪い
その頃、マモルのパーティーは破綻しつつあった。

行為をしている最中にリラがマモルの顔面をグーで殴った。

「いきなり何をするんだ!」

「何をするんだじゃないよ…なんで、ねぇなんでちゃんと愛してくれないの?」

「いや、幾ら何でも、それは出来ない…」

だがリラはいう事を聞かない。

「なんで、なんで…ふざけるな」

何時もの様にマモルは宿屋に入り楽しもうとしていた。

ただ、今日泊った宿屋は村の宿屋なのでシャワーや風呂が無かった。

だがヤリタイ盛りのマモルは我慢できずにやる事にした。

最近は1人と長い時間楽しみたいから順番制にしている。

今日は順番でリラだった。

魅了により、ジミナへの愛はマモルに塗り替えられた。

だから、三人はジミナを愛するようにマモルを愛している。

そこに問題が起き始めた。

リラの怒鳴り声が聞こえたからリリアンとマリアが駆けつけてきた。

「どうしたのリラちゃん」

「リラお姉ちゃん何があったの?」

泣きながらリラは2人に抱き着いた。

「マモルが、マモルが私を愛してくれないの…」

リラが2人に言った事は大まかに言うと、こうだ。

シャワーもない宿屋なのにマモルがしたいと言うから応じた。

私はマモルがして欲しい事は何でもしてあげた。

【私はマモルの為なら何でも出来るからだ】

二人はうんうん頷いた。

なのに、マモルは私の股間も肛門も舐めてくれない。

自分だけ満足したら、それで終わりみたいな態度をとった。

そういう事だった。

それを聞いた二人は般若の様な顔になった。

「二人とも聞いて欲しい、流石にトイレから出た後の肛門なんて舐められないし、股だってさっき俺が出した後だ…そんな事出来る筈がない」

「マモルちゃん、お姉ちゃん か.な.し.い.わ. 先にして貰ったんだからちゃんとしてあげないと」

「そうだよマモルお兄ちゃん、優しいマモルお兄ちゃんがそんな事言うなんて信じられない」

「いや…なんだその目は..嫌だーーっ」

マモルはリリアンに羽交い絞めされ、マリアに頭を掴まれた。

「ほうら、ちゃんと舐めて綺麗にしないとね」

無理やり頭を押さえつけられリラの股間からお尻に掛けて、こすりつけられた。

なまじっか剣聖なんてジョブを与えたから怪力で逆らえない。

物理的な力なら勇者より剣聖は上だ。

「やめろ、やめてくれ、紙と茶色いのがーーっ嫌だ、嫌だーーーっ、自分の物も口に入るいやだー」

口を開かなったから顔じゅうに自分の白い物と汚物がついた。

「いいかげんにしてマモルちゃん! こんな子に育てた覚えないわ」

「お兄ちゃんいい加減にして」

今度は鼻をつままれ無理やり口を押し付けられた。

「やめろーーーやめてくれーーっ」

結局俺は舌は出さなかったが長い時間お尻と股に押し付けられ、息が出来ない為開けた口に汚物と紙と自分の白い物が入った。

本当に気持ち悪くて俺は吐きそうになった。

「もしかして体調が悪かったんだごめんね」

そう言いながら、リラが俺にキスをしようとした。

逃げようとしたが、リリアンに押さえつけられた。

「やめろ、やめてくれーーーっ」

リラにはさっき口でして貰って出した後だ、その後ゆすいで無いし、何より口の横に俺の陰毛がついている。

「嫌だーーーっ」

だが、やめて貰えなかった。

そのまま舌を突っ込まれた。

「よかったね、リラちゃんにキスしてもらって、これで元気が出るでしょう」

「お兄ちゃん明日は私だから」

俺は怖さと気持ち悪さから井戸に走った。

「うげぐおわぁぁぁぁぁぁぁーーっ」

盛大に吐いた。

だが、幾ら濯いでも汚物と自分の物の味が消えない。

鼻にも入ったのか汚物の臭いも消えない。

「ああああーーーーーーーーっ」

勇者だって泣きたくなるだろう…

これが童貞を卒業して間もなく起こったのだから…

【だが、これがリラの愛なんだから仕方がない】

時は少し遡る。

リラは村一番の美少女だ。

だから男の子は皆が夢中だった。

それこそ【付き合ってくれたら何でもする】そんな男の子は山ほど居た。

だが、リラが夢中になっているのはジミナ一人だった。

最もこの頃のリラにとってジミナは【ナンバー1であってもオンリー1】では無い。

他の男の子も侍らせていた。

だがある日、リラと男の子で山で遊んでいたら、ついて無い事にキラービーの巣を見落としてぶつかった。

怒ったキラービーは巣から大量に飛び出し襲い掛かってきた。

一番近くにいたリラはキラービーに刺されまくった。

キラービーとはスズメバチを更に大きくした様なモンスターだ。

足の遅いリラをそのまま囮にして足の速い男の子は一斉に逃げた。

命からがら逃げたリラは全身をキラービーに刺された事により化け物の様な姿になった。

その姿を見た男の子達は手のひらを返した。

「化け物だ」

「やーい、化け物リラ~っ」

元から女の友達はいない。

男の子は手のひらを全員返した。

「皆んな…嘘ばっかり」

「あはははっ所詮好きだ、愛しているそんな事言ってもこんなもんよ」

顔は三倍に腫れあがり、体もブクブク。

親ですら目を背ける。

もう外に出るのも嫌だ…リラが一人部屋で寝ていると..頬っぺたに暖かい感触を感じた。

チュッぺっ、ちゅっぺっ、チュッぺっ、ちゅっぺっ、チュッぺっ、ちゅっぺっ。

誰かが私にキスしている。

昔ならグーパン物だが、一体誰が今の化け物みたいな私にキスなんてしているのだろうか?

気になり、薄目を開けるとジミナがキスしていた。

幸せ過ぎる~ そう思ったが昔ならいざしらず、今の私に何でキスなんてしてくれるのか..そう思った。

だから、つい、声をだしてしまった。

「なに、しているの?」

「ごごご、ごめんなさい、あのっ兄ちゃんから聞いたんだキラービーの毒を抜くなら針ごと吸いだすと良いって」

よく見ると近くに唾と一緒に針みたいな物が吐き出してあった。

綺麗な時の私なら兎も角、良く今の私にこんな事出来るわね。

ゴブリンの方がマシに見える化け物なのよ。

「そんな事、しなくて良いから、汚いしね」

恥ずかしさと申し訳なさでそう答えた。

「駄目だよ、女の子なんだから…それにリラみたいな可愛い子に汚い所なんてあるわけ無いじゃないか?」

心臓を包むガラスがはじけた気がした。

この瞬間、ジミナが【ナンバーワンからオンリーワンになった】

こんな醜い私の体をキスする様に吸うなんて…

全然違うじゃない、他の男なんてゴミだわ。

この人だけが私の王子様だ…ついうっとりして意識を手放してしまった。

私が目を覚ますと、体中の膿と針を吸い尽くしジミナは倒れていた。

そりゃそうだ、毒を吸っていたんだ王子様の様に綺麗な顔は唇が腫れてタコみたいだった。

しかもお腹も下したのか下痢迄して漏らしていた。

だが、その全てがリラには愛おしく思えた。

倒れたジミナを今度はリラが看病した、醜い自分に此処までしてくれたんだ。

そう思うとジミナの全てが汚いと思えなくなった。

普通にオムツを交換したりお尻を拭くのも苦にならない。

起きないジミナに食料を口移しで流すのも寧ろ愛おしく思えた。

ジミナが目覚めた時には涙が止まらなかった。

先に声を掛けてきたのはジミナ。

「良かったねリラ、元の顔だよ」

ジミナは何時も私の欲しい物をくれる。

思わず抱き着いて泣いてしまった。

それからリラは変わった。

男の子は全部ゴミ…死のうが生きようが関係ない、寧ろジミナと自分が幸せになれるなら死んでください。

だが、ジミナには…自分の全てを捧げられる。

ジミナの幸せの為に他の子が敵わないくらい勉強した。

ジミナのみに最高の笑顔で答える

それがリラだった。

ジミナには天使、他の人間には見た目は天使だけど、中身は悪魔…それがリラ。

魅了は好きな人との記憶すら蝕み書き換える。

それはジミナがしてくれた事全てがマモルがした事になる。

リラの愛は【ジミナの為なら何でも出来る、例えそれがどんなに淫らな事でも汚い事でも】だがそれは【自分の全てを綺麗で汚い所なんて無い】そこ迄言い切ったジミナへの愛だ。

ジミナは綺麗なだけでは無い。

自分を常に過小評価し相手を常に最大評価する。

だからこそ、女の子は彼を好きになる。

綺麗な男の子がまるで捨て身で愛しに来る、これは間違いだがそう錯覚させてしまう、これで愛さない女は少ないだろう。

マモルがジミナと同じようにに愛せないなら…それはきっと苦痛しか生み出さないかも知れない。

【勇者マモルSIDE】 暴力と絶望
リラはあれから人が変わったように俺に冷たくなった。

それと同時に他の二人も俺を見る目が変わっていった。

可笑しい、ちゃんと魅了は効いている筈だ。

特に三職(聖女 賢者 剣聖)に掛かる魅了は絶対だ。

俺を嫌いになる筈はない。

その証拠に離れて行こうとはしない。

でも、何かが可笑しい…そう思えて仕方がない。

だが、それは勘違いだったようだ。

最近では三人の中で特にマリアと過ごす事が多い。

年下で可愛いし、何より献身的に世話をしてくれる。

今日も献身的に世話をしてくれている。

「あーむカリっはぁはぁ、つぎいくね」

何をしてくれているかと言えば爪を切ってくれている。

しかも爪切りを使うのでなく自分の口で指をくわえながら歯で噛み切ってくれている。

そして切った爪は横の布の上に吐き出す。

なんとも背徳的な光景だ。

しかし、魅了って恐ろしく凄い。

だって、あの性的な事とは無関に見える、マリアがこんな事をしてくれるんだからな。

本当に信じられない。

あそこ迄俺を嫌っていたのに。

多分、ジミナはこんな事して貰ってないだろうな。

そうマモルは思っていた。

「マモルお兄ちゃん…」

「どうしたんだ」

「なんでも無い…なんでもないんだよ」

そう言いながらマリアは部屋を出て行った。

マモルと離れてから、マリアは宝物のコレクションを引っ張り出した。

そして独り言を繰り返していた。

「おかしいなー、おかしなー…マモルお兄ちゃんの宝石のような爪が凄く汚いよ」

「ほんとうにおかしいーな、髪も汚い…少し前まであんなに綺麗だったのに」

独り言を繰り返し違和感を感じていた。

しかも、外でも私たち以外の女を見ているときがある。

「お兄ちゃん..なんで他の女を見ているの?…マリアと一緒の時はマリアを見てよ」

「そうよねマモルはなんでリラや私、マリア以外の女の子を見ているのかな? あんまり他見ていると目を潰しちゃうぞ」

「あはははっごめん」

「解れば良いけどさぁ、ちゃんとマリアや私たちを見てよね」

マモルは違和感を感じていたが、これも魅了のせいだ思っていた。

【よくある女の焼きもち】そう思っていた。

その後もマモルは他の女の子を見ていたが今度は文句を言われなかった。

「マリアちゃん、いつものだから大丈夫だよ」

「そうか、それなら仕方ないよね」

彼女たちの会話の意味がマモルには解らなかった。

その日の夜の順番はマリアだった。

今日の宿屋はちゃんとシャワーがある。

先にシャワーを浴びた。

これで今回は大丈夫だ。

この前の様な事が起きても、これなら大丈夫だ。

「マリア、先にシャワーを浴びたよ、マリアも浴びてきな」

「うん、解ったよ」

何故かマリアは死んだような目をしていた。

マモルはベッドに寝ていた。

小さな胸の可愛らしい穢れを知らないような女の子が、体を舐めまわしてくれる。

なんでこんな事してくれるのかマモルは解らない。

まるで娼館でだってしてくれないようなサービスだ。

マモルはその感触がすきだった。

小さな口で大切そうに、それこそキャンディーを舐めるように舐めてくる。

そんな快感に酔って目を瞑っていた。

だが、この日は少し違っていた。

暫く舐めまわしていたマリアがきょとんとした顔で手が止まった。

「おかしーな、おかしーな何でだろう? お兄ちゃんが美味しくない」

「どうしたんだ、マリア」

様子が可笑しいのに気が付いたマモルが聞き返した。

「おかしーな、お兄ちゃんが優しくないし…意地悪するし…凄く不味い、なんでだろう?」

目が腐った魚の様に見えた。

何時もキラキラしている目がレイプされたような、絶望しかけた目に見えた。

「俺はなにかしたのか? もし体調が悪いなら、リリアンかリラに変わって貰おうかっ、痛ぇーーーーーーーっ何するんだーーーっ」

マリアは小さなナイフでマモルの太ももを切りつけた。

「あはははっ、お兄ちゃんごめんね、だけどマリアはお兄ちゃんがなんで不味いのか、うぐっ」

マリアは突き飛ばされ、ガンッという音と共にテーブルに頭をぶつけた。

「なんで、こんなひどい事するのーーーーーーっ」

マリアが魔物の様に怒鳴った。

手にはナイフを握りしめている。

「お兄ちゃんは、お兄ちゃんもマリアが嫌いなんだーーーーっ」

「マリア…待て」

「うわーん! お兄ちゃんを殺してマリアも死んでやるんだからーーっ」

その声を聴き、リラとリリアンが飛び込んできた。

「何があったの?」

「マリアちゃん大丈夫」

「うわーん、マモルお兄ちゃんが、お兄ちゃんが不味くなって、意地悪して、ひくっすん、優しくないの」

マモルは意味が解らなかった。

マリアは泣きながら二人に話をしていた。

二人はマリアの話を聞くと、マモルに近づいた。

「ま.も.る、ちょっと良い」

そう言うとリリアンはマモルの頬っぺたを舐めるようにキスをした。

「本当に、マリアちゃんが言うとおりね」

「本当? じゃぁ私には爪を見せてね…これじゃ怒るはずだわね」

「そうだよね、マリアが可笑しいんじゃないよね?」

「そうね、マモルくんが悪いわ…それでマモルくん、スカートは?」

「スカートってなんだ?」

マモルはなんだか意味が解らなかった。

「うわぁ、最低、いつからそんな最低の男になり下がったのかな」

「今回もマモルくんが悪いわ、そうだマリアちゃん何か欲しい物はあるかな?」

「えーと、私まだお兄ちゃんの歯は一本しか持ってないから歯が欲しい」

「そうね、仕方ないわ」

そう言うとリリアンはマモルの頭を押さえつけ顔の口の部分に思いっきりパンチを打ち込んだ。

「いややめろーーーーっうぐぶはっ…痛いうわーーーーううわ」

前歯が二本転がる様に落ちた。

「お姉ちゃんも手が痛いわ、だけど可愛い弟や妹の為ですもん我慢してあ.げ.る、これで良いかなマリア」

「うん、お姉ちゃんありがとう…あっお兄ちゃん酷いよ」

マリアが手にした歯をリラも覗き込んだ。

「本当に最低だよね、この間の事もあるけどさぁ、昔の優しいマモルに戻ってよ、今日のは頂けないからさぁヒールは明日までかけてあげないからね」

「うん、反省してねマモルちゃん」

「ああう、おりゃがわういのかー(俺が悪いのか)」

だが、幾ら考えてもマモルには何が悪いのか解らなかった。

その日マモルは太ももの痛さと口の痛さで眠れなかった。

【時間はかなり遡る】

「お兄ちゃん、マリアまた振られちゃった」

マリアはまだ6歳、恋愛には流石に早すぎる。

「そうか、だけど馬鹿だなマリアみたいな可愛い女の子振るなんて馬鹿みたい」

「お兄ちゃんは本当にそう思う?」

「本当にそう思うよ?兄妹なのが凄く俺は不幸に思うよ?」

「だってマリアみたいな可愛い子と結婚できないんだから」

「(てれっ)本当にそうだよね、お兄ちゃん可哀そう」

ジミナは凄く天然だった。

マリアは実際に凄く可愛い。

ただ、男の子に振られるのは【束縛が強い】からだ。

マリアは可愛いから最初の頃は大抵の男の子は喜ぶ。

だが、その本性が解ってくると…怖くて逃げるしかない。

例えば、最初の彼氏の話だ。

彼はマリアが好きで自分から告白して付き合った。

暫くデートして凄く喜んでいたが…流石に1週間もたつと子供だから他の男の子と遊びたくなる。

だが、マリアは許さない。

「マリアちゃん、今日はルーくんと遊んじゃダメかな?」

「マリアが嫌いなんだ…だから他の子と遊ぶなんて言うんだ…浮気者」

そういうとマリアは相手の男の子をフルボッコした。

運が良いのか悪いのか、マリアには腕力があった。

だから結構な怪我になった。

その日の夜には両親が来て、二度とその子に手を出さない約束をさせられた。

次の彼氏の時は、マリアはその子が可愛がっている犬を川に捨てて殺してしまった。

「僕の僕のタウローーっ」

「何でないているのかな? マリアが好きなんだよね? マリアが一番なんだよね? そんな犬要らないんじゃない?」

勿論振られる。

そんな事が何回もあった。

多分、マリアは頭が可笑しいのかも知れない。

だが、マリアからしたら「自分から愛している」そういったから私も愛したのに…

拒むなんて酷いそういう理屈だった。

泣いているマリアに兄妹の関係にありながら、あんな天然なセリフで慰めていたから、ジミナはマリアの恋愛対象になってしまった。

「だってマリアみたいな可愛い子と結婚できないんだから」←

「(てれっ)本当にそうだよね、お兄ちゃん可哀そう」

ある時、マリアの頭で鐘が鳴り響いた。

こんなに優しいお兄ちゃんを不幸になんて出来ない。

だからマリアが幸せにしてあげなくちゃ。

そう思うようになった。

此処までならまだ兄妹とはいえギリまともな話だ。

だが、マリアの暴走は止まらない、お兄ちゃん大好きヤンデレ娘はお兄ちゃんの全てをやがて欲しがるようになった。

髪の毛から爪、場合によっては涎まで…

最初は爪切りで

「お兄ちゃん爪切ってあげる」

そう言っていたのが進化して自分の口を使って切る様になった。

普通ならドン引きだが、ジミナはとんでもなく妹に甘かった。

ジミナにとって姉弟の関係はリリアンによって形成された。

恐ろしいまでにブラコンの姉と生活していたジミナは姉が自分にしていたことが真面だと思っていた。

ゆえにそれに負けない位、妹コンになっていた。

妹が口をつけた時に不衛生でない様に暇があれば手を洗っていた。

さらにマリアが爪をコレクションしているのを知ってからは磨き始めた。

髪の毛も同じで、ことこまめにに髪を洗うように心がけた。

更にマリアの闇は深まり、とうとうマリアはジミナの涎や汗にすら手を出すようになった。

此処でもジミナは恐ろしい事に、妹コンを発動した。

マリアが美味しく汗を舐められるように、薔薇の花びらから調合したお茶にいくつかのハーブを混ぜたお茶を飲むように心がけた。

これはジミナに聞かれオリオンが教えた物だ。

此処までするとどうなるか…うんこまで薔薇の匂いやハーブの匂いがして臭く感じなくなる。

ちなみにマリアはうんこも収集しようとしたがオリオンに【多分それをしたらジミナに嫌われるぞ】と言われこれだけは諦めた。

マリアの宝箱には爪やら髪が大量に集められている。

だが、マモルはそんな事を知らない。

マリアからしたら至高のお兄ちゃんコレクションが急に質が落ちた。

宝石の様に綺麗だった爪が垢がつまったゴミになり。

キラキラした髪が、輝きが無い髪にかわった。

何時からか、コレクションの質がさがった。

マリアは汗を舐めるのが好きなのにシャワーを浴びるし…

しかも汗の味は凄く不味い。

これで怒らないわけが無い。

更に運が悪い事に、ジミナだって偶に他の女の子を見てしまう時があった。

そんな時の言い訳は【女の子でなく他の物を見ていた】+【マリアに】でごまかしていた。

例えば

「お兄ちゃん、今他の女の子見ていたでしょう?」

「違うってスカート見ていたんだ」

「ふーん、本当かな?」

此処までなら普通だが、ジミナはその後に似たようなスカートを買ってくる。

「はい、これ」

「お兄ちゃん、このスカート」

「うん、さっき見ていた奴、マリアは足が綺麗だから似合うと思うよ」

「(てれっ)お兄ちゃんありがとう」

自分を過小評価して女の子を過剰評価する男ジミナは、こんな事ばかりしている。

こんな人間と入れ替わって大丈夫なのだろうか…

ジミナの愛し方を理解しない限り、そこには絶望しかないのかも知れない。

【勇者マモルSIDE】 旅の終わり
私の名前はリリアン。

私は弟が大嫌いだった。

私は今迄は、一人っ子みたいな扱いだったから、結構可愛がってもらっていたと思う。

実際には上に兄が居たが、絶縁されて家から出されていた。

村ではなかなか手に入らない、砂糖を使ったお菓子も買って貰ったし、玩具も偶には買ってくれた。

うん、確実に可愛がってもらえてたと思う。

だが、弟が生まれてから全てが変わってしまった。

今迄私に注がれた愛情はすべてもう、弟に行ってしまった。

今では、なんでもジミナが一番。

私はもう2番….

こんな田舎の村じゃ仕方ない。

後継ぎが一番大切、それは農家では当たり前の事、そんな事は昔から【知っていた】

オリオンお兄さんが普通に存在していたら、多分今の境遇をを受け入れられたと思う。

だが、勘当されて物心ついた時には居なかったし、和解はしたけど、商人で飛び回っているから半分他人の様にしか思えない。

だけど…仕方ない、私は男で無いし、長男でもない。

長男は家の後継ぎだから仕方ない…何しろ【次男、三男犬の糞】そんな事がまかり通る村だ。

まして女なんか、長女であっても価値はない。

だから、当たり前だ。

だけど私はそれに耐えられなかった。

自分への愛情がジミナに塗り替わっていくそれが辛かった。

普通なら諦める。

だが、私はあきらめたくなかった。

「ジミナ、お姉ちゃんと一緒に川に遊びに行こうか?」

「うん、行くよ」

この子さえ居なければ…私が可愛がられる。

だから私は殺そうと思った。

川に私はジミナを突き落とした。

そして、そのまま自分も飛び込みジミナの頭を押さえた。

「ジミナなんて、死んじゃえ」

「ぐほっごぼっ…なんで僕が死なないといけないの、ごばっゴボ」

「ジミナがいると…私が、私が..」

「ならば良いよ、僕を殺して、それでリリアンお姉ちゃんが幸せになれるのなら…いいよ」

なんで笑うの、なんでわらうの..訳が解らない。

だけど、私は…結局、ジミナが殺せなかった。

「ごめんね、ジミナ」

「いいよ、お姉ちゃん」

私は怖かった。

もし、ジミナが口を滑らせたら私は家を追い出されて、行く所が無くなる。

だが、ジミナは喋らないでくれた。

ある日どうしても、その事が気になり、「ジミナはなんで喋れないでくれたの?」

そう聞いてしまったわ。

「だって、僕お姉ちゃん大好きだもん、お姉ちゃんがいなくなったら悲しいから」

そう言って私に抱き着いてきた。

頭をハンマーで殴られ様な気がした。

殺そうとした私が大好き…可笑しいよジミナ。

だが、その【無邪気な笑顔は私を一瞬で虜にしてしまった】

あはははっ殺そうとした私なのにジミナは私が好きなんだ。

そうなんだ…だったらお姉ちゃんもジミナを好きにならなくちゃ。

【自分の命よりお姉ちゃんが好き】なんてどうしようもないな。

そんなにジミナが私を好きならうん、仕方が無い。

【お姉ちゃん受け入れちゃうよ】うん、こんな愛され方したら仕方ないよね?

こんな可愛い事言われたら弟コンになるのは仕方ないと思う。

よく見ると天使みたいにかあーーーいし。

性格だって凄くいいーーーよね。

あははははっ。

その日から私は努力した。

ジミナにとって【素敵なお姉さん】になる、その反面裏でジミナに近づく女の子には徹底して意地悪をした。

場合によっては暴力を振るい、顔が腫れるまで殴った。

リラとはもしかしたら、どちらかが死ぬんじゃないか、そこ迄やりやったが。

お互いに利害が一致したので【本当の姉妹】の様になった。

お互いがジミナの前で猫を被り、私がリラを褒めて、リラが私を褒める。

そして、脅しても効かない女は…死をもって排除。

その為の仲間に必要な人間だから認めた。

一度山に、ジミナを好きで諦めない女を殺して、リラと埋めている時にオリオン兄さんに見つかった…

「お前は兄妹、ジミナは兄弟、リラは将来妹になるかも知れない、それは他人だ、だから俺は何も見てない」

そう言って去っていった。

どうやら兄は味方らしい…そして兄弟としてジミナが好きなようだ。

なら問題ない…オリオン兄さんにも【優しく出来る】だって同じ様にジミナを愛しているのだから。

【此処からは現在、その為ジミナへの想いがマモルになっています】

なのに…なのに…今のマモルはなんなのかな?

私達三人を愛して居ない様な気がする。

こっそり後をつけたら、娼館に通っていた。

マモルはお姉ちゃんが大好き。

そしてリラもマリアも好き…それ以外の女を愛するなんて考えらえない。

最近は可笑しい

だから、だからね…三人で話し合ったんだよ…

「リラちゃんにマリアちゃん…マモルちゃん可笑しよね」

「本当に可笑しいよね」

「お兄ちゃんが可笑しくなっちゃった」

「それでね、私思ったのよ? マモルちゃんの手足要らないと思わない?」

「そうかも知れないわ、手足が無くなれば、娼館にも行けないし何時も一緒にいられるよね」

「お世話は私達ですればよいし…お兄ちゃんにご飯を口移しであげれるし、問題はないよね?」

「「「うん、問題はないね」」」

その日の夜、マモルは酔って帰ってきた。

今のマモルは三人を手に入れた事を後悔してきた。

王都に向う途中の街で他の女を見る度に、彼女達位の女が山ほど居るのに気がついた。

実際に娼館に行ったら高額だがエルフの美少女でも買えた。

だが、三職に選んだ以上…一緒に居ないといけないし、近い未来一緒に戦わないとならないから捨てられない。

だから、ここ暫くは遊び歩いて夜に帰った。

その日、夜遅く帰ったマモルは違和感を感じた。

気がついたら手足をベッドに固定されていた。

口に何かの液体が流し込まれた。

手足には…鎖…

意識が遠くなる中…音が聞こえてきた。

ギリギリゴリゴリ

「ふぅーこれでようやく1本か」

「すぐヒールかけて」

「解ったわ」

…………..

…………

「可笑しいな…何だか手足が重みが無い気がする」

目を開けると…

無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い

「俺の手足が無いーーーーーっ」

「マモルちゃん起きたのね、大丈夫だからね」

「気にしないで良いよ」

「マリアがちゃんとお兄ちゃんのお世話をするから、夜もね」

「「「だから、安心して」」」

あんなに可愛いと思っていた三人が化け物にしか見えなかった。

何を間違ったのか….俺は勇者になったのに、今後の人生はただの障害者だ。

もうオモチャとしての人生しかない。

「あああああああああーーーーーーーーっ、もう終わりだあははははっ終わっちゃったよ」

「大丈夫だからね」

「私がいるわ」

「お兄ちゃん、大丈夫だからね」

俺は勇者になったのに…ただパーティーを組んだだけで…人生が終わってしまった。

寝取られなんてこんなもんだ。
ようやく、帝都についた。

此処に来るまで、色々なお店を連れ歩いた。

まぁ、主に女性がいる飲み屋に売春宿だ。

多分、ジミナが三人と肉体関係になっていたらもう少し手こずったかも知れない。

だが、まだジミナはそこ迄いって無かった。

だから、簡単だった。

前世がある俺からしたら、寝取られたって…それが何だ。

そんな気持ちが強い。

前世の記憶だと【初恋を実らせて結婚までした奴】なんて数人しか知らない。

小学生の時の初恋は、頭が良くてスポーツが出来る男の子によって破られる。

中学校~高校生の恋愛は、野球少年やサッカー少年、場合によっては、カッコ良い不良もしくはリア充の男に負けて実らない。

社会に出てからもイケメンエリートサラリーマンや若くてして起業したIT社長とかに負けて終わる事もあれば、同期の同僚に負けて取られる事も多い。

事実は小説と違うよな。

異世界と違って前にいた社会で都心で暮らせば【初恋の幼馴染と結婚する奴】なんて一握りも居ない。

大体が、振られて、仲間が酒を一緒に飲んでくれたり、一心不乱に仕事をしたりして【忘れる】だけだ。

それこそ、長く引き摺ったら…【女々しい】と言われるよな?

つまり、異世界じゃ無ければ【日常茶飯事】で幼馴染が寝取られるなんて当たり前だ。

特に、俺の様に年上を好きになったら…当たり前の様に起きる。

初恋の年上の姉ちゃんは、いつの間にか結婚して一時の母になっていた。

しかもヤンキー世代だったから次に好きになった子は、中学生なのにヤンキーの先輩の子を妊娠して、卒業して結婚した。

つまり、異世界じゃない前の世界のリアルはこんな物だった。

【寝取られ】気にする必要ねーんじゃね!

本当にそう思うぜ。

それじゃ、何でライトノベルの寝取られは、あそこ迄主人公が引きずるのか?

それは、田舎や貴族社会で起きるからだ。

田舎だと同世代は少ない。

村単位だと結婚の対象になる人物が少なければ数人、多くても20人んなんて事もザラにある。

そして農業を続け無ければいけないから、早いうちに結婚しないといけない。

だからこそ【結婚相手に執着する】し【貞操観念も強い】

だけど、これは村だからだ。

帝都や王都では、案外貞操観念は弱く、ナンパして楽しむ男や酒場でお持ち帰りされる女もいる。

貴族社会も同じで、早くから婚約者が決まり【お互いに婚約相手は自分の者】そう思うから、たかが寝取りで人生が終わった気がするのだろう。

地球なら、普通に婚約破棄も多くあるし、結婚後に不倫が元で離婚なんてよくある事だ。

確かに【魅了】は卑怯だが初恋の女が、ただ他の男に取られた。

簡単にしたらこれだけだ…なぁ? 地球にしたら普通に皆が経験する苦い経験それだけだ。

さてと…我が弟の失恋物語は、次回で解決する。

うん、きれいさっぱりとね…こうご期待。

最終話 ロザリオと…
帝都についた俺は少し休むと【奴隷商】にジミナをつれて行った。

もうジミナにとって三人との思い出は苦い記憶程度になっている筈だ。

本来なら、俺は帝都で普通にジミナに生活させれば良いとも考えたが、それじゃクズ勇者のマモルにまたとられたらジミナが落ち込む、そう思いジミナの結婚相手を此処から選ぶ事を考えた。

商人にとっては情報は命だ。

昔し、奴隷商に【魅了】と【奴隷紋】どちらが強いか聞いた事があった。

その結果は【奴隷紋】だった。

「奴隷紋が刻まれたら、主人には逆らえません、例え愛し合った夫の目の前でどんな辱めの命令を受けても従います…奴隷紋の苦痛は地獄ですからな」

そう言う事だった。

だから、もしマモルが今度ジミナから女を取りたくても、そう簡単に取れない。

それに勇者として活躍したら醜聞があるから、他人の財産の奴隷を奪うなんてしにくいだろうし…嫌な言い方だが【中古女】になった女を手元に置きにくいだろう。 貴族や王族等の権力者は側室や愛人にすら処女を望む位だからな。

「お久しぶりです、オリオン様」

「久しぶりだな」

「兄ちゃん此処は?」

「奴隷商だ…此処で、お前の嫁さんを買ってやろうと思ってな」

「そんな…兄ちゃん、人が買えるの?だけど、買ったって、愛してなどくれないんじゃないの?」

こうジミナが言うのは解っていた。

だから、奴隷商の主人に少し話す時間を貰う事にした。

こう言う奴隷商にはサロンがあり、談話するスペースもある。

本来は奴隷と話すスペースだが、あらかじめ此処の常連で俺が奴隷を買うきっかけになった人に来て貰った。

その人の名は【奴隷冒険者ダラス】

冒険者をしながら、そのお金で奴隷を買いハーレムで暮らす男。

まぁA級だからこそ出来るのだがな。

「兄ちゃん、そんな事はねーぞ! 奴隷になる様な奴はエルフを除き大体が、悲しい過去や辛い過去を背負っている、だからこそ優しく真摯になってあげれば、本当に好きになって貰えるんだ」

「本当ですか?」

「実際にダラス様が購入した奴隷は奥様になって皆さん幸せそうですぞ」

ジミナはダラスや奴隷商と色々と話していた。

暫く話すと、ダラスに頼んで奥さんとも話していた。

そして納得したらしく

「ダラスさん、奴隷商さん、ありがとうございます、兄ちゃん本当に買ってくれるの」

「ああっ、その代わり兄ちゃんと一緒に、暫くしたら働くんだぞ」

「うん、解ったよ」

「それじゃ、色々中を見て回らせて貰え、店主お願いします」

「ええっ、自由に見て貰って構いません」

資金は沢山ある。

最初の奴隷位自由に選ばせてやろうと思ったから、ジミナには自由に見て貰う事にした。

まぁ資金から言えばエルフだって余裕で買える位だ。

女奴隷たちは必至でアピールしている。

さっきワザと大きな声で「此処で、お前の嫁さんを買ってやろうと思ってな」と言った。

【嫁さん】…大切に扱って貰えると解っているから必死になるだろう。

そして、ジミナは美少年だから、地獄から天国にいけるかも知れないのだから当たり前だ。

じっくり見て回った末、ジミナが選んだのは 元は綺麗だったかも知れないが…死んだような目をした女だった。

奴隷は自分からは声を掛けられない。

「君の名前を教えてくれるかな?」

「ロザリオ…うふふ、今はゴミみたいな女ですわ」

「話しをしてもよいかな」

「良いわよ、私みたいなゴミで良いのなら」

ロザリオは本当かどうかは解らないが、王国のロンベルグ侯爵家の令嬢だったそうだ。

学園で決闘に負けて、売り飛ばされた。

本来なら貴族だからそんな事は出来ないのだが、【初露の儀】の相手が欲しかった王族にその決闘に勝った人間は売り飛ばした。

初露の儀とは王族が童貞を卒業する為の儀式との事だ。

「本当に地獄…地獄でしたわ」

初露の儀で無理やり犯され、その次は子供が出来ると王位継承権問題になるから、無数の貴族や騎士、更には下人にまで犯される。

ロザリオに話で聞いた数では400名を越えていた。

貴族の娘が王族にレイプされ400名からの人間に、まるで性処理便器の様に犯される。

そんな地獄で暮らしていたら…本当に地獄としか思えないだろう。

【奴隷商とオリオンの会話】

「あれは本当なのか?」

「はい、本当は、その後殺される運命だったのですが、下人が金欲しさに、こっそりと売りに来たのです、多分推測にしかすぎませんが、本当かも知れません…ただ保証はしかねます」

「確かに王都じゃなく帝都なら売れるか」

「そう言う事ですね」

「だが、ロンベルグのロザリオって言えば…」

「ギルリアという冒険者を使い、決闘を吹っ掛けていた、悪名高き令嬢ですね」

「それじゃ、誰も買わないな」

「性格の悪い悪役令嬢の成れの果て、しかも、あそこ迄の数の男に抱かれた女、そして貴族だったという事は口外できない、家事は何も出来ないし、性格は悪い、まぁ売り物にしていいかどうかすら考えるレベルの奴隷ですね」

「地獄に居たんだね…本当に辛かったね」

《なんで、この方は泣くのでしょうか? 馬鹿にするのが普通ですのに》

「髪はくすんでしまっているけど、綺麗なプラチナブランド、肌は痣だらけだけど、多分雪の様に綺麗だったんでしょうね」

「昔はそうかも知れません…わ」

「俺は此処に嫁を買いに来ました、情けない話ですが幼馴染たちは他の男にとられてしまう様な情けない男なんです」

《この人が何故振られるのでしょう? 女の私から見ても色が白くて婚約者だったクラソスより綺麗ですわ》

「その様な事がありましたの?」

《まぁ、嫁が欲しいのなら平民とはいえ、こんな使い古し買いませんわね》

「はい、それでロザリオさん、宜しければ俺の嫁になってくれませんか?」

「あの…話しを聞いてました? 私は、その汚い女ですわ」

「僕はただの平民です、しかもこれから兄ちゃん、いや兄さんに仕事を教わりながら生活するから、それ程裕福でありません、上位貴族だったロザリオさんには不釣り合いかもしれません…ですが俺は貴方が気に入りました、私が過去に好きになった方よりも貴方は素晴らしく見え、正直一目惚れです嫁になってくれませんか?」

《何が起こったのか解りません…ゴミにまで落ちた私に、天使のような美少年がプロポーズしています、このまま多分鉱山送りになりそうな私にです…前回は悪夢で、今回は福夢ですか…》

「私でよければ、不束者ですが宜しくお願い致します」

「兄ちゃん、決めましたこの人でお願い致します」

「おい、ジミナ、他の奴でも良いんだぞ? ほら、あそこに1人エルフがいる、あっちにしないか?」

「俺はこの人がどうしても欲しい…兄ちゃん駄目かな」

「本当に此奴で良いんだな」

「はい、この人がどうしても良いです」

《おい、奴隷商にダラスも口を開けてポカンとしているぞ》

「はぁ~ まぁこういう事にはお前は頑固だからな、だそうだ此奴は幾らだ」

「奴隷自体は金貨2枚ですが、奴隷紋が金貨3枚ですので合計金貨5枚になります(約50万円位)」

「安いな」

「鉱山送り寸前の奴隷ですから」

「解った、主人はジミナで契約してくれ」

「お買い上げ有難うございます」

俺は誤解していたようだ。

ジミナが巻き込まれるのでなく、此奴が多分危ない女を呼びよせているんじゃないだろうか?

エルフに着飾った令嬢、優しそうな女にセクシーな女。

その中でピンポイントに選んだのが、ロザリオなんて有名な悪女。

将来伝説の【拷問王妃 黒薔薇】みたいになると言われた悪女、それを選ぶんだからな。

こんな危ない女を檻から出した途端に抱きしめて凄く幸せそうにしているジミナ。

そして…まっかな顔してどうして良いか解らず手をわなわなしているロザリオ。

この悪女キラーめ…思わずそう、言いそうになった。

(完)

※ 一応締めくくりますが、エピローグとあとがきは書きます。
  
  最後まで有難うございました。

エピローグ
俺はジミナにリラの親や実家からせしめたお金について話した。

そして俺は取り分として半分を貰う事にして残りはジミナに渡す事にした。

全部やれって?

俺は商人だぜ無料じゃ動かない、これでも家族割だ、まぁあの中で本当に家族の様にしてくれた此奴だけの割引だな。

そうしたら、ジミナは金貨100枚手元に置き、俺にそのまま預かって欲しいと言うから預かる事にした。

俺は商人だから、預かるからには運用してちゃんと利子をつけてプラスにしていく。

そして、金貨100枚だが、奴隷商を出て直ぐにロザリオを連れて服屋に行きやがった。

「おじさん、この店で上等な服は幾ら位であるの」

「金貨2枚位だな」

「それじゃ、それで俺の嫁にあうサイズを5枚」

「待て待て、ジミナ、ロザリオはもう貴族じゃない、普通の物じゃないと駄目だ」

「そうですわ、今の私はあなたの妻ですわ、もっと質素な物じゃないと不味いですわよ」

ロザリオが常識人で良かった。

「そう、ごめん…ついロザリオの綺麗な姿を見たかったから…俺は悪いけど村育ちで服とかよく解らないから、それじゃ好きなの選んでくれる」

確かに嫁であるが奴隷だぜ、我が弟ながら怖いな此奴。

悪名高いロザリオが顔を赤くして俯いている。

その次は宝石商に香水売り…相変わらずジミナは女を甘やかすよな。

それが本心からだから余計たちが悪い。

悪魔みたいなロザリオが、さっきから狼狽えているし顔が真っ赤だ。

マモルは大丈夫なのか?

よく考えたら、あそこ迄甘やかされた女相手に真面に生活が送れるのだろうか?

まぁ彼奴らは王都、こちらは帝都だから、もう、会う事も無いだろう。

【2週間後】

ジミナは俺の商会を手伝っている。

人当たりの良いジミナは案外、受付に持ってこいで、交渉事や営業もかなりこなせる。

多分半年もすれば一人前になるだろう。

そして、ロザリオは俺に聞きながら裏の方の仕事を勉強している。

恐らくは【汚い世界をジミナに見せない為】だと思う。

案外この結婚は正しかった気がする。

夜の生活もジミナは凄いらしい。

ロザリオ曰く「体が蕩けそうで、何でもしてくれます…今迄の物は多分営みですら無かったのですわ」だと。

我が弟ながら…凄いな。

悪女限定の魅了でも持っているのか? そう思う位にな。

実は俺はそこそこの商会を経営しているから…屋敷を持っていて妻も3人いる。

妻3人は奴隷だ。

2人には離れを使って貰っている。

「ロザリオ、ジミナの仕事のライバルが突然失踪したらしいのだが」

「さぁ、多分どこかの森で自殺でもしたんだと思いますわ」

《多分、此奴が犯罪者ギルドを使って殺したのだろう》

「まぁ良いや」

ジミナも立ち直っているし、幸せだから良いか。

そう思い、俺はその先は追及しなかった。

あとがき
最後まで読んで頂き有難うございました。

最近、ライトノベルでで寝取り物を見たのですが…

幼馴染が寝取られるのって、復讐する位悔しいの?

そう思い、本作品を書いてみました。

私の幼馴染は彼氏をどうやったら口説けるかとか…私に聞いて来たし。

ラブラブな彼氏とツーショットの写メを自慢していましたから。

小学生の時に好きになった女性は年上だったので私が中学に上がる前に結婚して子供までいました。

(ついやらしい事は妄想しましたが、それだけです)

普通に考えたら、我々の世界は恋愛においては多分ライトノベルより悲惨な気がします。

有難うございました。

ちなみに、ロザリオは私の作品を沢山読んでくれている方へのサービスです。

知っている人は…彼奴か。と楽しんで下さい。

また何処かで

                     石のやっさん。