寝取られヒロインの復讐物語 ~スキルが解けて~

第一章 聖女ソニア..1話 洗脳から解けて…
パーティーリーダーであり勇者のジョブを持つリヒトが告げている。

「悪いが今日でクビだ」

「そうか、まぁ良いや」

ケインの追放を言っているのに…何とも思わないのは何故なのかな?

「今迄ずっと仲間で支え合いながらやっとここまで来たじゃないか!」

ケインがそう言っているのに何とも思わない可笑しい…

私達は…

 剣聖のケイト

 聖女のソニア

 魔法使いのリタ

 五人揃ってSランクパーティー『ブラックウイング』そう呼ばれていた。

確かにケインはついて来れなくはなって来たが…前衛はもう一人必要。

それについて来れないなら、リタの方が著しいはずだわ…

それは、誰の目にも解る筈…それにケイン以上の前衛は居ない…勇者、聖女、剣聖の私達3人を除けば最強なのは彼だ。

必要無い訳は無いわ。

外すのなら、ケインじゃ無くてリタだと思う。

それだって居てくれた方が助かる筈。

「ついて来れないのは分かっているだろケイン」

「そうだな、勇者として大きな舞台に立つんだろう…俺も一度で良い、そこに連れていって貰えないか?」

ケインは大切な…何だろう?

思い出せないな..大切な…思い出せない。

胸が苦しくなるのに…

リヒト狙いは解っている、リタが欲しいんだ… リタだって魔法使いだ付いてなんていけてない…放り出すなら2人の筈。

何故なの…そんな最低の男が愛おしい..こんな人は嫌いなのに…

「勇者とし大きく飛躍するには大きな手柄が必要なんだ。残念ながらお前とじゃ無理なんだ。なぁ分かってくれよ、パーティーを抜けてもお前が親友なのは変わりないからな。」

全部嘘だ…私は見抜いているのに…

「私もリヒトの意見に賛成だわ!貴方はもうこのパーティーについていけないじゃない。きっと近いうちに死ぬか大怪我をするわ..さっさと辞めた方が良い…これは貴方の事を思って言っているのよ」

リタ、それは間違っているよ…

「リタ…そうか…そうだよな」

ケインの目が涙ぐんでいる..心が痛い。

ふと、リタの左手に目がいった。

薬指にはリヒトの指輪があった、私と同じ。

私は、聖女だから、結婚相手は諦めたわ…だけどリタ可笑しいよ…

私が、欲しくてたまらない、貴方の大切な宝物でしょう..ケインの指輪はさ..

なんでして無いの?

何で、こんな欲しくも無い指輪を貴方もしているの…

「リタ…婚約は解消で良いんだな」

「….」

ほら、黙っていないで…

「君の口から聴きたい」

「もう、貴方を愛していない」

リタ…可笑しいよ…

「大人しく村に帰って田舎冒険者にでもなるか、別の弱いパーティーでも探すんだな」

「俺は自由にさせて貰う」

リタ…駄目だよ。

リヒトは勝ち誇った顔でケインを見ている。

こんな人間は私は嫌いだ…なのに、何で愛おしいそう思ってしまうの…

リタだけなんだよ…幸せになれるのは。

私は聖女だからリヒトと結婚しなくちゃいけない…

だから、一晩だけ契って別れたんだよ。

「これでさようならです…私の貴方へ思いは捨てました…此処からはもリヒトの物になります」

悲しくて、死にたくて…それしか未来は無かった。

貴方はケインの傍に居る…そう言っていたじゃない

「私は魔法使いだから…大丈夫だよ…ずっと傍にいるからね」

貴方が羨ましかったよ..だから貴方はほら..

「貴方より!リヒトの方が素敵だわ」

私は…そんな事思っていない…あれ..思って..

「そんな目で見ないで、もう立ち去ってよ!」

「解ったよ」

「余り酷い事言うなよ リタ。ケインだって俺の親友なんだからな」

「そうね。私も言い過ぎたわ。ごめんねケイン」

何でなの..心が痛い..リタが哀れに思えるのは何で…

街で買い出しをしていた。

自分達に何が起きたのか思い出してしまった。

私は聖女だ、だから起きた奇跡なのかも知れない…

魅了が解けた…

「あああああああああああっケイン…わたし..」

この体がおぞましい…あんな最低の男のオモチャになっていたなんて。

体の全てを汚されてしまった..街から外へでた..街でこんな姿を見られてはいけない。

ケインを好きだった気持ちも全部書き換えられて..

大切な人に最低の行動で傷つけた…

こんな事しなくても、聖女に生まれた私は、どんなに嫌いでも貴方によりそうしか無かった…

だから、リタに託したのに…私の分まで…託したのに..

魅了されていたおぞましい記憶はある…

恐らく、王族も貴族も冒険者ギルドも知っていた…

だが、彼奴が勇者だから…目を瞑ったんだ…

そうだ、ケインは…もう魅了が溶けた…今なら逃げ出せば良い…追手が掛かって来たら、魅了を理由に脅せば良い..

ケインと一緒に…リタには悪いけど、魅了は溶けない…なら私がケインと..

冒険者ギルドに来た。

「ケインさまですか…死にましたよ」

「死んだ?」

「はい、貴方達に追放されたのがショックだったんでしょうね..無茶な依頼を受けて死にました」

ケインが死んだ…もうどうでもよいや…こんな世界。

第一章 聖女ソニア..2話 この世界には絶望しかない..

ギシギシとベッドがきしむ音がする。

本当に虫唾がはしる男だ。

今此奴はケインの元恋人のリサを抱いていた。

近くにはケイトが転がっている。

そして、その横には私が転がっている。

私は心を殺す事にした…こんな奴に玩具にされていた時点でこの体はゴミなんだ…

そう思う事にした…

こんな最低の人間を好きになるよう努力しようとした自分は馬鹿だ。

ゴブリンと同じね…

「もうダメ! 流石にもう駄目だよ…体がうごかないにょー!」

これだけやっても満足しないんだから…薬にも手を出しているのかもしれないわ。

「なんだよ、もう終わりか」

 失神したリサを放り出したわ、このクズ。

 裸で横たわる私達を見ながら鼻で笑ったわね…このクズ。

 多分、私達をおもちゃにして遊んで満足しているのね…

だけど、私とソニアは捨てられないオモチャなのよ…

聖女と剣聖だからね….

リヒトが出て行ったのでシャワーを浴びた。

他のオモチャの2人とは話したくない…壊れたようにリヒトを称えている..親友だった人間がただの性処理の肉となった。

見たくはない。

私の体はゴミ、私の体はゴミ、私の体はゴミ、私の体はゴミ、私の体はゴミ、

私の体はゴミ、私の体はゴミ、私の体はゴミ、私の体はゴミ、私の体はゴミ、

私の体はゴミ、私の体はゴミ、私の体はゴミ、私の体はゴミ、私の体はゴミ、

そうゴミだからクズに抱かせても気にならない。

もうこの体は全てゴミなんだから。

勇者はこの世界に守られている。

例え、証拠迄揃えて裁判になっても、恐らく魔王討伐後の報酬が減らされるだけで終わる。

それも、勝てたらの話。

恐らくは、今回の話は王族も貴族も知っている。

荷担はしてないが…勇者の醜聞を恐れて握りつぶしている。

そうでなければ、人前で、性処理するような聖女、教会から私に文句が来る筈だ。

エチケットに煩い教皇が何も言って来ない…そんな事がある筈は無い。

勇者の非道を断罪したら…勇者の価値が下がる。

教会もグルとは言わないが、勇者側にたっている、そう考えて良いと思うわね..

詰んだ…王に、教皇、貴族全部…何も出来ないわ..

ケイン…私、敵もとれないのかな…

この世界は…絶望しかないわ..だって、聖女ですら救えないんだから。

第一章 聖女ソニア..3話..復讐の果てに 【ソニア編 完】
どれ程、体が汚されたか解らない。

心なんて、もうとっくに壊れて粉々だわ..うふふ。

最後は流石にあのクズも私やケイトを抱かなくなったわね…偶にしか。

だが、それも今日で終わり。

「行くぞ、ケイト、前衛で俺を守れ..」

「ソニア、ホーリーウオールを展開して負の攻撃に備えろ、賢者の石を使って回復を適宜に計れ」

「リタは攻撃魔法で様子見だ」

ようやくクズを倒せる相手と会えた。

どんなに待ち望んだか解らない。

やっとこの時が来た。

世界が敵で誰もが勇者にひれ伏すなか…絶対にひれ伏さない相手..「魔王」

「聖女ソニアの名の元に、光よ魔王を守れ..砕けろ賢者の石」

パリン..音と共に賢者の石が砕けた。

ごめんね..ケイト、リタ..これからは敵..だけど人形として生きる位なら..死んだ方が幸せよきっと。

「ソニア…何をしたんだ?」

「あははははっ、その顔が見たかったのよリヒト…絶望に染まったわね」

「お前が何をしたのか解っているのか? お前のせいで世界が終わるんだーーーーっ」

「うん、知らないわ…あんたみたいなクズを勇者にした世界なんか知らない..魔王様…此奴らを皆殺しにして下さい…」

「何が起こったのか知らぬが…聖女殿助太刀痛み入る…必ずや皆殺しにしてやろう」

「ありがとう…さぁ私も戦うわ..ケインの恨みと私の執念が必ず魔王を勝利に導き、勇者を殺す」

「お前…魅了が解けていたのか? だが、それは罪のない..」

「あははは…あんたが言うの? あんたを勇者に選んだ女神が悪い、教会が悪い..王族が悪い..死ね死ね死ね」

「だが、罪のない市民もいる、後で詫びる、だから..」

「しーみーん、あはっ、あんたのせいで私を性女とか勇者の性処理便器とよぶ奴らーっ..死んじゃえばいいのよ..うん、有罪」

「勇者よ、死ぬが良い..」

魔王の黒い雷が勇者リヒトを襲う..

「くっ..」

聖剣でその攻撃を受け流した..

「そうか、そうか聖剣ね、クズには勿体ないわね..聖女ソニアの名において命ずる聖剣よ眠りなさい…聖剣封印!」

聖剣が光を失っていく

「ソニア、魔王に操られないで..正気になって」

「ソニア、私は攻撃したくない」

「操られているのは、貴方達..解除できないから…殺してあげるわ…ライトバインド」

「えっ」

「きゃああああ」

「流石、剣聖..避けたわね」

「あらら、リタは死んだのかな? 良かったねこれでリタはケインに会えるよ..あはは」

「嘘だ、聖剣が輝かない..これじゃ」

「うふふ、聖剣の導き手は聖女、もう眠らせたわ..」

「この戦いが終わったら、詫びる、命が欲しいなら、やるだから..」

「信じないわ..」

「さてと..えっ」

そうね、貴方ならそうするわね…ケイト

私の腕がケイトに斬り落とされた。

「お前は人類の敵だーーーーっ」

「昔の貴方なら心に響いたわ…お人形の貴方の言葉じゃ心に届かない…光よ聖女の体をもちて敵を滅ぼせ…自己犠牲」

光が爆発して..ケイトは死んだ。

その横でリヒトの首を引きちぎった..魔王が叫んでいた

「聖女ーーーっ勇者は打ち取ったぞ」

ケイン、敵はとったわ…

だけど、多分、私は貴方に会えないわね..人類を売っちゃったんだから..

きっと、貴方は天国…私は地獄いきだわ..

ケイン…あいたいよ..駄目ね..こんなゴミみたいな体じゃ会えないよね..

「おい、聖女..」

「魔王様ですか..ありがとう…」

「おい」

こうして聖女ソニアは魔王に感謝して死んでいった。

第一章 聖女ソニア..+1話..世界は魔族の物 【ソニア編】
「可笑しい…私はケイトと一緒に死んだ筈なのに…何で生きているの?」

魔王との戦いの中で私は魔王側に寝返って死んだ筈だった。

それが何で…生きているの?

「目覚めたのだな、聖女!」

「まおう…魔王様!」

「この度は助力痛み入る…お礼を言いたい」

「そうですか…有難うございます、これで敵がとれました…後は、そうですね…どこか静かな場所で死なせて貰えば..」

「待て、待て…少し話をしないか..」

「まぁ..構いません…もう死ぬだけですので」

「聖女殿は、勇者討伐パーティーのメンバーとして戦った事になった!」

「確かに、最後はそちらにつきましたね」

「そうだ、だからな褒美が貰える」

「そうですか…それなら、死にますので何処かに埋葬して下さい!」

「それなのだが…もう叶えてしまったので無理だ」

魔王様の話では、死にかけている私は治療中に何度も二つの願いを願っていたそうだ。

そして、その願いはすでに叶えているあるそうだ。

「あの…なんだか恰好悪いな俺…やけくそになって無茶な依頼受けて死ぬなんて…」

「ケイン…なの?」

頭に角があるが…ケインにしか見えない。

「ああっ、凄く迷惑かけた…こんな俺なんかの為に..」

「ううん、良いの..良いの…ケインが居ればそれで良いの..だけど私..汚れちゃった..あははは」

「守れなくてごめん..俺が悪いんだ」

「あー感動中悪いが、その体汚れて何ていませんよ…新品なんだから」

「「貴方は」」

「これは自己紹介が遅れまして、私は悪魔神官ジャルダと申します」

「ジャルダ様…ですか?」

「僭越ながら、邪神様の元に貴方様の願いを叶えさせて頂きました」

「願い?」

「はい、一つはケインさまの復活、死後の魂は邪神様の管轄なので、この度の手柄に感動した邪神様が感動して自ら連れて来られました…ですが器、これがどうしても用意出来ないので話し合いの末、デモノプリンスの体を使いました」

「それは」

「簡単に言うなら、魔王になる前に殺された魔族の体です」

「この体、確かに凄そうだ…今ならリヒトすら簡単に殺せそうだ」

「出来ると思いますよ…その体はミスリルの剣でも傷つきませんから…」

「凄いな」

「最高の筈です」

「それでもう一つの願いは?」

「貴方様が体が汚れたって言っていたから..体を交換しました。デモノプリンセスの体に」

「えっそうなの?」

「はい…魔境でステータス見てみます?」

「「はい」」

邪神の加護、聖女 デモノプリンセス、暗黒魔法、闇魔法、邪神の信奉者

邪神の加護、デモノプリンス、暗黒魔法、闇魔法、邪神の信奉者

「加護までついているな」

「私、聖女だったけど…女神から何かして貰ってないわ…こんな事して貰って良いの?」

「何を言われるのですか? 悲願の勇者討伐..そして未来永劫の魔族の勝利…邪神様は喜んでいましたよ」

「未来永劫?」

「はい、忌まわしい聖剣を封印して頂いたので火山に放り込みました…炎の魔人に見させた所完璧に溶けたとの事」

そうね…確かに封印したわ..あはは

「賢者の石の破壊…これでもう強力な回復アイテムを持った敵は現れない」

そうね…

「そして、聖女のジョブを持ったままこちら側について…死なない存在になったからもう人間側に聖女は現れません」

そうだわ

「だから勇者なんてもう怖くない…そんな状態なら魔王様はおろか…私でも倒せますよ!」

「おい、良かったのか…これ!」

「良いんじゃない? 後で話してあげるわ、人間がどれだけ薄汚いかをね」

「あと、勇者リヒトの魂は、悪い事したから邪神側にあるので、未来永劫、拷問を繰り返すそうです…此処までが邪神様からの褒美です」

邪神様から?…まだあるの?

「魔王様からは魔公爵の地位を与えるそうです…領地は人間領が取り放題だから、好きな都でも国でも滅ぼして自分の物にすれば良いだそうですよ…まぁ取り放題には私も参加します..もう人間は全員奴隷になるんじゃないかな?」

「以上です…さぁ、今日はこれから祝賀会ですよ主人公なのですから行きましょう」

それから、世界は魔族の物になった。

100年もしないで、人権を持った人間はいなくなり…全ての人間は魔族の奴隷となった。

魔族になった二人は、沢山の手柄をたて二人を復活させた。

「ねぇ、知っている? 私はケインが自分の命より大切よ…だけどケイトとリタも私の命と同じ位好き」

「同じだな」

「同じだったんだ」

4人は、世界を回りながら欲しい物を手に入れて、楽しく暮らした。

最後には、国を滅ぼして…王城に住み自由気ままに暮らしました..

おしまい

第二章 剣聖ケイト..1話 解けた魅了…
パーティーリーダーであり勇者のジョブを持つリヒトが告げている。

「悪いが今日でクビだ」

「そうか、まぁ良いや」

ケインの追放を言っているのに…私の心が動かない…何故だ? 何時から私は薄情になった?

「今迄ずっと仲間で支え合いながらやっとここまで来たじゃないか!」

ケインがそう言っているのに何か靄がかかる…

私達は…

 剣聖のケイト

 聖女のソニア

 魔法使いのリタ

 五人揃ってSランクパーティー『ブラックウイング』そう呼ばれていた。

確かにケインはついて来れなくはなって来たが…前衛はもう一人必要だ。

私一人では防ぎきれない…S級の者は少ない必要な戦力だ。

それについて来れないなら、リタの方が著しいはずだ…

それは、誰の目にも解る筈…それにケイン以上の前衛は居ない…勇者、聖女、剣聖の私達3人を除けば最強なのは彼だ。

必要無い訳は無いわけない

外すのなら、ケインじゃ無くてリタだと思う。

それだって居てくれた方が助かる全力だ。

「ついて来れないのは分かっているだろケイン」

「そうだな、勇者として大きな舞台に立つんだろう…俺も一度で良い、そこに連れていって貰えないか?」

ケインは大切な…私の何だろう?

思い出せないな..大切な…思い出せない。

思い出そうとすると…頭が痛くなる

リヒト狙いは解っている、リタが欲しいんだ… リタだって魔法使いだ付いてなんていけてない…放り出すなら2人の筈。

何故なんだ? 私がいるだろう…ソニアが居るだろう…そんなガキ女要らないじゃないか?

「勇者とし大きく飛躍するには大きな手柄が必要なんだ。残念ながらお前とじゃ無理なんだ。なぁ分かってくれよ、パーティーを抜けてもお前が親友なのは変わりないからな。」

全部嘘だ…私は見抜いている…二人も婚約者が居ながら、貴様…惚れた弱みなのか? 文句が言えない。

「私もリヒトの意見に賛成だわ!貴方はもうこのパーティーについていけないじゃない。きっと近いうちに死ぬか大怪我をするわ..さっさと辞めた方が良い…これは貴方の事を思って言っているのよ」

リタ、それはお前だ…

「リタ…そうか…そうだよな」

ケインの目が涙ぐんでいる..何故だ心が痛い。

ふと、リタの左手に目がいった。

薬指にはリヒトの指輪があった、私と同じ…此奴も入れるそう言う事かよ

何かが可笑しい…

私は、剣聖だから、結婚相手は諦めたわ…お前は…

誰の事だ? リヒト..?

私が、欲しくてたまらない、指輪は…何だ…

欲しい指輪、ケインの指輪…欲しがるわけ無い…私はリヒト一筋だ。

「リタ…婚約は解消で良いんだな」

「….」

ほら、黙っていないで…

「君の口から聴きたい」

「もう、貴方を愛していない」

何故だ…リタが婚約解消するのが嬉しいのか?

「大人しく村に帰って田舎冒険者にでもなるか、別の弱いパーティーでも探すんだな」

「そうだな、そうさせて貰う」

リヒトは勝ち誇った顔でケインを見ている。

こんな人間は私は嫌いなはずだ…なのに、何で愛おしいそう思ってしまうの…

リタなんで…幸せを捨てるんだ。

私は剣聖だからリヒトと結婚…嬉しくないのか?

可笑しい…ケインと契った記憶がある…一晩だけ契って別れた…何故だ。

「これでもう気持ちの整理はついた…お前への思いは捨てた…此処からはもリヒトの物になる」

悲しくて、死にたくて…それしか未来は無かった。

そんな訳無いだろう…

お前はケインの傍に居る…そう言っていたじゃない

「私は魔法使いだから…大丈夫だよ…ずっと傍にいるからね」

お前が羨ましかったよ..だから私はほら..

馬鹿なあり得ない。

「情けない男だケイン!」

私は…そんな事思っていない…あれ..思っていない..

「そんな目で見ないで、もう立ち去ってよ!」

「解ったよ」

「余り酷い事言うなよ リタ。ケインだって俺の親友なんだからな」

「そうね。私も言い過ぎたわ。ごめんねケイン」

何でなの..心が痛い..リタがケインと別れるのが何故嬉しんだ…

私達の最後の戦いが始まった。

これに勝利すれば、全てが終わる。

長い旅の終わりだ…

だが、それも今日で終わり。

「行くぞ、ケイト、前衛で俺を守れ..」

「ソニア、ホーリーウオールを展開して負の攻撃に備えろ、賢者の石を使って回復を適宜に計れ」

「リタは攻撃魔法で様子見だ」

「心得た..前衛は任せろ..」

魔王との戦いが始まる..これが終わればもう戦わないでゆっくり出来る。

だが、結果は…

リタは前のめりに倒れている…魔力を使い果たし攻撃を受けて死んでいる。

「ちぇっ役立たずが..」

可笑しい私が好きなリヒト?…こんな事を言わない。

「リヒト様、魔力が切れそうです…ホリーウオールが持ちません」

「死んでも持たせろ、俺を守るんだ..」

ソニアを使い捨てにしている…そんなクズじゃない筈だ…

「ぼけっとするな…ケイト俺を守れ」

「幻惑ビジョン..」

体が動き…リヒトを守った…代わりに私は魔法を受けた。

その瞬間にリヒトが斬り込み魔王を倒した。

そうか、やってくれたなリヒト…ケインを諦めた私に..お前を愛そうと努力した私に魅了を掛けていたんだな。

ゲス野郎…

第二章 剣聖ケイト..2話 この世界はクズに優しい…
ソニアの背で意識が目覚めた。

魔王の精神魔法で…魅了が解けたのだな…

自分ではなく、ソニアにおぶらせるのがクズの証だ。

散々弄んだから、最早触る価値も無い…そういう事だろう。

記憶の中で、このクズが私達に飽きて第三王女や貴族の娘に粉を掛けているのを知っている。

だが、私とソニアは教義で妻になるのが決まっている。

捨てたいけど捨てれない壊れたおもちゃ..そういう事だ。

要らないオモチャで捨てられる、リタは殺された。

ちゃんと回復魔法を掛ければ助かったのに…

そして、私やソニアも死んでも良いそう扱った…確かにあの場で死ねば…名誉の戦死だ。

一石二鳥だった…生き延びたがな….

私はリタが嫌いだった。

大好きなケインと幸せを手にするリタが…

そこに付け込まれて魅了に掛かったのかも知れない…

だが、リヒトは勇者だ。

この国では勇者はまず裁かれない。

魅了は死刑…それは王族でも例外ではない。

だが、魔王を倒した勇者に適応されるだろうか?

多分、されない…

人前で、ソニアや私は性処理をさせられていた…私は兎も角、教会所属の「清らか」が売りの聖女。

普通なら必ず問題になる…あの固そうな教皇が動かない筈がない。

動かないという事は認めていた可能性が高い。

魔王を倒した勇者…奇跡が起きて裁かれても恐らくは罰は無い可能性がある。

実質、世界が敵…最早…このクズは裁かれない、そういう事か。

ソニアが転んだ。

「いたたたっ」

「ソニア? ごめん..」

「別に良いよ..」

転んだソニアや私に目もくれないで歩いている…やはりクズだ。

第二章 剣聖ケイト..3話 勇者でも裁かれる罪…【剣聖ケイト編 完】
リヒトの表彰式迄、数日時間が出来た。

リヒトは、私やソニアに興味が無くなったのか、貴族娘の所に行っている。

所詮はクズ…本気で愛を捧げても、最後にはこうなっただろう…

捨てられないから名目だけの妻になる人生しか考えられない。

将来は、持参金付きの貴族や王族を娶って…多分私達は放置だろうな..

冒険者ギルドで…ケインについて尋ねたら…ギルドで後輩の育成に努めているそうだ。

ケインらしいな…

ケインに逢いたいけど…こんな汚れた体で会う訳にはいかない。

こんな薄汚れた体でなんてどの面下げて会えばいいんだ…

だが、私は女々しいんだ…一目ケインに逢いたい。

隠れて見ていた。

来た…「嘘だろう」あんな寂しそうな、うすら笑いをするケインは見た事が無い。

多分、傷ついているんだな…

ケインにも会えたし…もういいや。

あの最低な男に地獄を見せてやる…

表彰式が始まった。

普通は、式典に剣は持ち込めない。

だが、今回は違う…魔王討伐の表彰..正装をして私達は模造品だが、武器を持ち込んでいる。

この国ばかりでなく…世界中の国王や重鎮が集まっている。

此処が最後のチャンスだ…だからここでやるしかない。

「勇者達よ…よくぞ世界を平和に導いた..さぁ顔をあげよ」

我々三人は片膝をつき、王の前にいる。

何かやるなら此処だ…

「王を気どるな無礼者よ..神に選ばれし..リヒト様を膝磨づかせるなんて無礼千万..お前が膝磨づくのだ」

私は剣を抜き…王に詰め寄る。

「さぁリヒト様、王を殺し…この国を」

リヒトは余りの事に頭が回って無い。

ソニアなら、本来は動ける…だが、今の魅了された状態の人形じゃ頭は回らないだろう。

私は剣を抜く…

殺しはしない..騎士が阻む様に間に立つのを待って振り上げる。

これで良い…私は殺されるかも知れないが…此処までの事件なら調べる。

そして、リヒトを調べれば…魅了のスキル持ちなのは解る筈だ。

そして、ソニアは魅了に掛けられている…つまり、絶対にリヒトが首謀者になる…

「王国転覆罪」

これなら、勇者でも殺される..勇者の栄光もなくなり…拷問の末殺される。

「剣聖が謀反を起こした」

「偉大なるリヒト様の覇道を阻む愚か者…死ぬが良い」

「待て、ケイト何を..」

もう遅よリヒト、サイは投げられた後だ。

「さぁ、今こそ、この王たちを殺して…世界を手中に」

「勇者が謀反を起こしたぞ..取り押さえろ」

散々暴れた…勿論、死人が出ない様に気をつけて…相手も各国の王の前だ血を流したくないのだろう。

「俺は関係ない..触るなあーーーーっ」

リヒトは騎士を突き飛ばした

馬鹿だ..これで良い..リヒトは此処から反撃にでてきた。

「おい、ソニア…何をしている俺を守れ」

「はい」

「だから、何をしているんだ、お前の特技は聖魔法だろう」

「はい、バインド」

此処で良い…私はそのままとり押さえられた。

これで終わりだ。

だが、リヒトは…思った以上のクズだった。

「聖女が魔法を使っています、勇者も模造とはいえ剣を抜きました…無傷でとり抑えるのは無理です」

「仕方ない…抜剣許可…場合によっては殺害も止む無し…」

リヒトは、ソニアを盾にして逃げようと企み..

ソニアは無数の剣で貫かれて倒れた…

もし、彼女の持っていた杖が本物の聖なる杖なら違っただろう…儀礼用の模造品では本来の力はだせない。

リヒトは聖剣を持っていない、だが腐っても勇者だ捕まえるのに30人からの騎士の死傷を出した。

終わった..これで私の復讐は終わった。

リヒトは押さえつけられ、「審議眼」のスキルを持つ者に見られた。

審議眼は、「鑑定」ですら見抜けない事を見る物だ。

「魅了持ちです」

「やはりそうか? 聖女は?」

しらじらしい、本当はもう前から知っていたのだろう…

「すーはーはーはー」

ソニアは虫の息だ。

「間違いありません..魅了されています」

私は鑑定されない様に力を入れていた。

危ないと思った審議官が近づいて来なかった。

「勇者殿? これはどういう事ですかな?」

「俺は何も知らない…ソニアとケイトが勝手にした事だ」

「今、ソニア殿は息を引き取りました…魅了されている人間は意思が無い事が多い..貴方が命令しなければ行動は起こさない…しかも魔法を使えと指示されたではないか?」

「それは違う」

「それに魅了のスキルを持つ者は報告義務がある…よくよく考えれば前々から可笑しい事があった…聖女のソニアが人前でおぞましい事をするわけが無い..」

「それは..認めるが今日のは違う」

「ほう、それは認める訳だ…なら結論は早い…どっちみち死刑だ」

「なっ、俺は勇者だ…魔王すら倒した..」

「失望したぞ…余は第二王女と婚姻を認め…公爵の地位を用意しておったのだ…顔も見たくはない…連れていけ」

リヒトは連れていかれた。

多分、死刑は免れない…私も恐らく同じだ…

あはははは…リヒトが死ぬならそれで良いんだ..

もうこんな薄汚れた体で生きていても仕方ない。

第二章 剣聖ケイト..+1話 エピローグ シアワセ二ナル…【剣聖ケイト編】
「ケイト、釈放だ!」

可笑しい? 何で死刑じゃないんだろう?

「私は死刑では無いのですか?」

「さては魅了が解けて罪悪感を感じているな」

「あーはい」

「勇者リヒトが魅了を使っていたのが証明されてな…話しあいの結果上で聖女様もあんたも被害者だと言う事になった」

ソニア、死んだら意味無いよな..ただ名誉だけは帰ってきたよ…

「そうですか…」

「ああっ女性なのに公衆の面前であんな事されて辛かっただろうな…勇者だから手が出せなくて済まなかったな…話続けて良いか?」

「はい」

「それでな、今回の件は罪は問わない、全ては勇者リヒトがやった事で終わりだ…国家転覆騒ぎだから死刑、本来は拷問の末殺すのだが、魔王討伐までの功績で貴族扱い…公開だがギロチンで楽に処刑する事になった」

「あの、それで私は..」

「だから、釈放だ…ただ、討伐の功績が無くなったから、報奨は何も出ない…だが、王が哀れだと金貨5枚下賜された、受取れ」

「そうですか」

よくぞ値切ってくれたな…まぁ死刑にならないだけ良かった…そう思うべきだな。

「後は、魅了された人間は洗脳されやすいから…後見人が付く事になる、これから迎えにくるからそれまで待て」

誰が私の後見人になるのだろう…

もう身内は死んでしまったから居ない筈だ…

「よう、久しぶりだな?」

「ケイン…なのか..何でだよ..私はお前に酷い事したんだぞ」

「魅了だろう? 仕方ないさ」

「だが、私の体はもう汚されてしまったんだ..これでもかという位にな」

「それも魅了だ仕方ない…それに俺はお前のもっと汚い姿を知っている」

「何を言っているんだ..ケイン」

「お前が疫病に掛かった時に、オムツ変えたのは俺だ! ゲロ付きシーツを変えたのも俺..これ以上汚いケイトは居ない筈だ…それでも俺はお前が可愛いと思っていた」

「そういう意味では無いし…それいい加減忘れてくれないかな?」

「ウンコまみれのゲロまみれのお前でも嫌わなかったんだ…関係ない」

「それでも私の体は…汚れている…嫌いな彼奴に何度も抱かれたんだ」

「悪いがちょっと嫌な事言うぞ…魅了って相手の言う通りになるスキルだよな!」

「ああ、そうだ、それで?」

「お前の初めてを貰った時…お前はそれこそ野獣みたいに自分から腰振っていたぞ!」

「お前…私だって女なんだ…何を言うんだ…恥ずかしい」

「そう、その目…ああいう事は、相手が喜ぶ事を考えて自分からする物だよ」

そう言えば、ケインは…手慣れたような感じだったから聴いたら…「違うよ..俺はケイトが喜びそうな事を俺がしたいからしているだけだ」そう言っていた。

「そうか…そうだよな」

「だから、ケイトが自分からやった奴は俺だけだ…それで良いんじゃないか?」

「まぁ、ケインがそれで良いなら…良いんだ」

「良いよ、俺さぁお前らじゃないと駄目なんだ…酷い奴だろう? ケイトじゃなくちゃ駄目じゃなくてリタとソニアも同じなんだ」

「何だよ、それ…」

「お前達が居なくなって寂しくなってな、奴隷を買いにいったんだ」

「ほう」

「凄い美人も居たし…エルフすら買える金はあった…お前らと違ってまぁ無駄使いしないからな」

「ほう…それで」

何で起こるんだ..顔が怖いぞ

「だけど、何処を探しても幼馴染は売って無いんだよ…お前達に俺は魅了されていたんだな、きっと」

「えーと何、それ」

「一緒に馬鹿やって、殴り合って..喧嘩出来る奴..そんな奴は売っていない! 病気した時にオムツ迄交換してやれる自信がある奴はお前らしか居ないんだよ」

「そうなのか?」

なんだろう顔が赤くなってきた。

「もう、幼馴染はケイトしか居ない…だから、俺の者になってくれないか?」

「それは..えーとだなプロポーズか?」

「ああ、そうだ…」

「あのよ、朝から晩までずっと傍に居てくれるかな」

「勿論、寧ろ俺が一緒に居たい」

「私..男っぽくてガサツじゃん..エッチの時また野獣みたいになるけど良い」

「良い」

「私の事好き」

「好きだ」

「愛してるか」

「愛してる」

「それなら良いや…ただ最初に言って置くけど引くなよ…私リタが死ぬ程羨ましかった」

「当たり前だろう」

「そうなのか?」

「追放された時、俺はリヒトが羨ましかった…そして殺したい..そうも思ったんだ..人間は綺麗なもんじゃない」

「ケインがか?」

「そうだ..」

「なら、同じだな..良いよ、受けるよプロポーズ」

「ありがとな」

「私の事愛しているんだよな?」

「ああっオムツだって変えれる位にな」

「解ったから、それは忘れてくれ!」

「うん、冗談だよ…愛しているよ」

「私も愛している」

多分、今夜は私は野獣になっちゃうと思うな…うん、よく考えてみたら全然違うわ。

ケインとの夜が本当に愛ある行為なら…リヒトの相手は只の性処理…私が便器として使っていた、そう思えば良い..うんそれだけだ。

リヒトの処刑の日、私はケインの手を引っ張って見に来た。

「悪趣味だぞ…」

「嫌いになった?」

「こんな事で嫌いにはならないよ」

「なら良いや」

ギロチンに掛けられたリヒトと目が合った…

私はケインの腕に思いっきりしがみ付いた。

声には出さず…口パクで

「クズヤロウ ジゴクにオチロ ワタシハ シアワセ二ナリマス」

そう言ってやった…

それを見た、リヒトは暴れたが直ぐに押さえつけられた。

馬鹿な奴…死ぬ前に殴られて..

ギロチンの刃が落ちてリヒトの首が跳ねられる…

首はそのまま桶に落ちた。

この後1週間、この首は晒されるらしい…

貴族式の処刑なら..そんな事は無い筈だ。

高札を見たら..「俺は無罪だ」「嵌められたんだ」そう叫びながら、処刑迄の間に暴れて逃亡を企て騎士に怪我をさせたらしい…

その分の罪が加算された…そう言う事だ。

「それじゃケイン行こうか?」

私は、婚約したケインに腕を絡ませながらその体を預けて歩き出した。

【FIN】

第三章 魔法使いリタ..1話 おもちゃにされていた…
パーティーリーダーであり勇者のジョブを持つリヒトが告げている。

「悪いが今日でクビだ」

「そうか、まぁ良いや」

ケインの追放を言っているのに…私の心が動かない…何故なのか解らない?

「今迄ずっと仲間で支え合いながらやっとここまで来たじゃないか!」

ケインがそう言っているのに頭に靄がかかる…いて欲しいのに..リヒトがそう言うなら良いんじゃない..

私達は…

 剣聖のケイト

 聖女のソニア

 魔法使いのリタ

 五人揃ってSランクパーティー『ブラックウイング』そう呼ばれていた。

確かにケインはついて来れなくはなって来たが…それは私も一緒の筈..ううん私の方が役立たずな筈だ。

私の詠唱の時に守ってくれる人は必要…S級のケインは必要よ。

それについて来れない、それが理由なら私の方が必要無い…

それは、誰の目にも解る筈…それにケイン以上の前衛は居ない…勇者、聖女、剣聖の人を除けば最強なのは彼だ。

私の方が必要無い…

外すのなら、ケインじゃ無くて私だと思う。

それだって居た方が良い筈だ。

「ついて来れないのは分かっているだろケイン」

「そうだな、勇者として大きな舞台に立つんだろう…俺も一度で良い、そこに連れていって貰えないか?」

ケインは大切な恋人…私の何だろう?

思い出せないな..大切な..結婚…思い出せない。

思い出そうとすると…頭が痛くなる

リヒト狙いは解っている、私が欲しいんだ… 私だって魔法使いだ付いてなんていけてない…放り出すなら2人の筈。

しかも、その理由は解っている…私をおもちゃにしたいからなんだ…それなのに何で…リヒトが好きなの?

「勇者とし大きく飛躍するには大きな手柄が必要なんだ。残念ながらお前とじゃ無理なんだ。なぁ分かってくれよ、パーティーを抜けてもお前が親友なのは変わりないからな。」

全部嘘だ…私を見ている…二人も婚約者が居ながら、私をおもちゃにしているのに…惚れた弱みなのか? 文句が言えない。

「私もリヒトの意見に賛成だわ!貴方はもうこのパーティーについていけないじゃない。きっと近いうちに死ぬか大怪我をするわ..さっさと辞めた方が良い…これは貴方の事を思って言っているのよ」

なんで…言いたくないのに口から出てくるの?

「リタ…そうか…そうだよな」

ケインの目が涙ぐんでいる..何故だ心が痛い。

なんで、私….ケインの指輪じゃなくて..私をおもちゃにしている男の指輪をしているの…

ケインの指輪…私はリヒト一筋だよね

「リタ…婚約は解消で良いんだな」

「….」

頭の中でしたくない…そういう思いが霞める。

「君の口から聴きたい」

「もう、貴方を愛していない」

何故….解らない

「大人しく村に帰って田舎冒険者にでもなるか、別の弱いパーティーでも探すんだな」

「そうだな、そうさせて貰う」

リヒトは勝ち誇った顔でケインを見ている。

こんな人間は私は嫌いなはず…なのに、何で愛おしいそう思ってしまうの…

なんで私…幸せを捨てるの。

私はケインの傍に居る…そう言っていたじゃない

「私は魔法使いだから…大丈夫だよ…ずっと傍にいるからね」

なのに何故…

「情けない男だケイン!」

「そんな目で見ないで、もう立ち去ってよ!」

何故、こんな言葉が出るの…

「解ったよ」

「余り酷い事言うなよ リタ。ケインだって俺の親友なんだからな」

「そうね。私も言い過ぎたわ。ごめんねケイン」

何でなの..心が痛い..

暫くして..オークキングの討伐の依頼があった。

「行くぞ、ケイト、前衛で俺を守れ..」

「ソニア、ホーリーウオールを展開して回復を適宜に計れ」

「リタは攻撃魔法で様子見だ」

「心得た..前衛は任せろ..」

戦いが始まる..そして、私は守って貰えず…そのまま倒れた。

私は前のめりに倒れている…魔力を使い果たし攻撃を受けて死に掛けている。

「ちぇっ役立たずが..」

可笑しい私が好きなリヒト?…こんな事を言わない。

「死んでも持たせろ、俺を守るんだ..」

「ぼけっとするな…ケイト俺を守れ」

死にかけて、魔法が解けた..

そうか、リヒト…魅了の魔法..か…そんな物で、私をおもちゃにしたんだ…幼馴染なのに…ケインごめんね…

第三章 魔法使いリタ..2話 二人だけ幸せ… (三部作、完結)
気が付いた時はソニアの背中だった。

ケイトはも怪我をして剣を杖替わりに歩いている。

本当なら、オークキング位楽勝だった…ケインが居た時なら。

魅了の洗脳が解けて、気が付いた…

自分は、玩具にされていた…性処理奴隷以下のオモチャ。

最初は、散々抱いたくせに飽きはじめたら…口しか使わない。

最近ではそれにすら飽きて、暴力を楽しんでいるだけだ…

生きた虫を食べさせて嫌がる私を笑ったり…一番酷いのはお尻に虫を詰められた事もあった…

魅了された私がキスをしたら「お前の口は汚いんだよ」そう言って顔が変わる位まで殴られた。

私は「魔法使い」賢者じゃない…そう考えたら…捨てる事が出来るオモチャなんだ…二人と違う。

悔しいな…此処までされても…リヒトは勇者だから…きっと罰されない。

全部信じて貰えても…精々が褒美が減る位だろう…悔しいな。

こんな人間が…幸せになれて…ケインや私が幸せになれない…

リヒトは貴族の女の所に行っている。

お金があるのに安宿…これは帰って来ない証拠だ。

2人ともぐっすり眠っている…疲れているからもう起きない。

そして、私は…日課の武器の整備をさせられている…

「うふふ、あはははっバーカ…」

思わず、笑いが込み上げてくる。

此処には、聖なる武具がある…

無くなったら…私が不味い。

私の今の服には…ソニアの血がついている。

リヒトは二つの剣を持っている。

聖剣と普段使いの剣…

何故2本あるかと言えば…この聖剣は慈悲深き女神ノートリアに作られていて…人を斬ってはいけないからだ。

リヒトは本当は「グランと言う万能の聖剣」が欲しかったようだけど100年も前に失われていた。

その為、この慈悲の聖剣を抜くしか無かった。

この慈悲の聖剣は…人を斬ると能力を失う…その為、魔物や魔族しか斬れない。

それに…シニアの血をつけてみた…慈悲深い女神の作った聖剣に聖女の血を擦り付けると…

やっぱり、聖剣と言えど…剣だ…斬ったの血と擦り付けた差が解らない…もう曇り始めた。

もうこの剣は終わりだ。

一応、念の為、私の指も斬って血を塗った..これで良し…見た目を誤魔化す為に星の銀粉で色付け磨きをする。

杖の宝玉も軽く叩いて罅をいれた。

賢者の石も一旦割って、補修しておいた。

これで、いつ壊れるか解らない…

「ごめんね..いつも任せて」

「気にしないでいいよ…聖女様じゃ解らないんでしょう」

「ごめんなさい..」

剣聖のケイトは自分で整備はするけど…魅了のせいか、昔の様な真剣には見ない…

これで良い…

朝になった…

宿を引き払う時..ここがチャンス…

「リヒト…私愛しているけど、もう無理よ、貴方の足を引っ張りたくないの…」

「あん! 何を言っているんだ…この便器」

「私が居たら、リヒトの足を引っ張るし、私評判が悪いから…捨てた方が良いよ…勇者が性処理飼っているって噂だもん」

ヤバイ…そんな噂が..たってるのか..

「そうだな…解った…好きにしな」

「ごめん…」

二人には謝るよだけど人形みたいに生きるよりは死んだ方がましよ、まし。

二人は何も言わなかった。

やはり、魅了は怖い。

何処にもあの優しい笑顔がなく…リヒトの顔色ばかり見ている。

お金から、何から全部とられた…やはりクズなんだね…もう何処にも幼馴染の面影はない。

これでも昔はケインの次に好きだったんだけどな…歪んじゃったんだね…

私はトボトボと落胆して歩き始めた。

ゆっくりと最速で…気が変わってまだ玩具にされたくない…

曲がった所で直ぐに隠れた。

危なかった…直ぐにリヒトが走ってきた

「あのガキ…よく考えたら居なくなったら、オモチャ兼荷物持ちが居ないじゃないか…しくったわ」

ギルドでケインの行方を聴いたら…田舎に帰ったらしい..

こんな体で遭わせる顔は無いけど謝ろう…お金の管理もずさんだから、結構ちょろまかしたら…旅費に困らない。

ケインを追って、田舎迄きた。

ケインは畑を耕していた。

「ごめんなさいケイン」

私は土下座をした..

「リタ…どうした..」

私は自分に起きた事をそのまま伝えて謝った。

「しゃーないな…魅了じゃ..それでリタはどうしたい」

「馬、扱い、家畜扱いで良い..優しくしてくれなくても良い..傍に居て謝りたい..」

「それじゃ…俺が決めて良い訳だ」

「う..ん」

「それじゃ..リタは俺の嫁ね!」

「えっ…何で許してくれるの?」

「あーあー、俺は今でもお前が好きだ」

「そう…だけど、私汚されちゃったよ..」

「俺たちは幼馴染だから、特殊なんだよ..冒険者の男や女なんて汚れているさ…体なんて」

「何?」

「まぁ、俺もお前もお子様だったんだよ…良いか? 幼馴染じゃなくてソロの冒険者をしているとするぜ」

「うん..」

「まぁ普通は、お金が入れば女を買ってお酒を飲むし、女冒険者もあと腐れも無い様に男娼を買うんだぜ」

「そういうもんなの?」

「ああっ、そんな中で出会って結婚するんだ…お互いの過去は気にしないのがルールなんだ」

「….そういう物」

「そういう物…女でギルマスになったターニャさんなんてよ…今の旦那と結婚するまで200人も経験しているんだぜ」

「どうして」

「ターニャさん曰く、「男って馬鹿だからやらしてやると、危ない時に命がけで守ってくれるんだ」とよそして笑いながら「あたしがギルマスになる為までに30人の男が死んだ」って自慢しているんだぜ」

「そうなんだ…知らなかった」

「だから、幼馴染としてでなく…冒険者として出会った…それで良くないか?」

「それで良いの」

「ああ…但し冒険者どうしの結婚は結婚したら、お互いに操を守って浮気しないのがルールだからな…そこは厳しいからな…」

「私はケインしか見てないから大丈夫よ」

「なら良いよ..それに本当のリタは俺しか知らないだろうかな」

「なにそれ…」

「魅了なんてされている女抱いても人形抱いているのと同じなんだぜ….お前は俺の為なら何でもしてくれる、俺もお前の為なら何でもしてやれる」

「えーと」

「笑顔で喜んで、朝まで腰を振る…あんな凄いのは多分してないと思うけど違うか…」

「あははは….してない」

「ああいうのは恋人じゃなきゃやらないだろう、だって9時間連ちゃんなんて出来ないよな」

「あはは…そうだけど、恥ずかしいからもう辞めて」

確かに、あれは別物…あれとリヒトがしていたのは違う。

「だから、リタはリヒトという性処理便器を使っていた…性処理にリヒトという男娼を使っていたそれだけだ」

「ケインがそれで良いんなら良いよ」

「汚れたというなら、俺も一緒だ..お前を忘れる為に酒飲んで、娼婦買ってたしな」

あのケインが….

「そう」

「ああっ 裏切られたくないから奴隷まで買おうとした…」

「何で買わなかったの?」

「お前が浮かんで買えなかった…王都の奴隷商でも幼馴染は売って無いからな」

「そりゃ、そうだ…」

「それじゃ行こうか?」

「どこ行くのよ…」

「教会」

「教会…何で」

「結婚するからに決まってるだろう」

あはは、旅をしてきたから汗だくで汚い…

ケインは…農作業していたから土だらけ…

指輪も無い…

だけど…うん仕方ない..だって私はケインを待たせ過ぎた。

そして、私も、もう待てない..

「うん、結婚しよう」

二人で教会で誓い合って、この村のギルドに届けだして終わり..凄く簡単な結婚式だ。

そして…その日の夜は…燃えちゃった。

気が付いたら、次の日の夕方になっちゃた…ケインが喜ぶ事「自分から全部して」

「ケインが私が喜ぶ事を考えながら全部する」…これが多分本当の愛のある行為だ。

あんな30分から1時間で終わる物は違うよね…

そういえば、ケインは私が大量の毒虫に刺された時に…あの気持ち悪い私の毒を吸いだしてくれたわね。

逆に私はケインが疫病に掛かった時に下の世話までしたわ…

多分、魅了に掛かっていた私は人形みたいだったから…間違いなく進んでこんな事しない。

命令されてしていた私は嫌々していた気がする…

確かにこれなら…リヒトは性処理便器だ..うん。

「しかし…これ凄いな」

「しかた無いじゃない? ケインを感じたかったんだからさぁ..」

「お互い愛しているんだから仕方ないな」

「うん、愛しているんだから…当たり前よ」

気が付いたら…2日間…こんな愛し方も愛され方も二人じゃ無いと出来ないでしょう。

結局、リヒトたちは魔王と戦う前に地龍に負けて死んだという話を聴いた。

王からは役立たずと言われ、英雄墓地(功績のある者を埋葬する墓地)には埋葬されずにそのまま死んだ場所に埋められたそうだ。

それ以上は解らないけど、態々調べる必要もないよね…

二人には申し訳ないと思うけど…魅了はまず解けないし、早めに死んだ方が人形みたいに生きるより幸せだと思う。

魔王はもう知らない…こんな田舎じゃ影響は無いし…来たとしても雑魚だからS級の私達二人ならまず大丈夫。

というか、私達で無理なら冒険者じゃ無理だ。

最悪、2人なら四天王がきても逃げ延びられる…

「どうかしたのか?」

「幸せだなと思って」

「うん、俺もだ」

王都が落ち、世界は危機に陥っても、2人は幸せに暮らしました。

END

あとがき

最後まで読んで頂き有難うございます。

これで、三人のお話は終わりです。

ですが、近々、この三人をモデルに新しい小説を書く予定があります。

それこそが…寝取られヒロインの本当の逆襲になります。

この作品の完成にアイデアをくれた方有難うございました。