追放
「リヒト、お前は今日限りでクビだ…悪く思わないでくれ」
仕方が無い…
この目が悪いんだ。
「やはりこの目が問題なのか?」
「ああっ、その目だ…お前に落ち度が無いのは解かるし、お前が魔物では無い事を俺たちは知っている…だが…」
この目の秘密がバレない様に、特殊な法具を使っていた。
だから、今迄は仲間や村の人しか、俺の目の事は知らない。
それが、最近バレた。
『そんなの気にするな』
そう言ってくれていたが、最近仲間の様子が可笑しかった。
仕方が無い事だ。
俺は自分で言うのも何だが…くせっけのある銀色の髪にやや幼い顔立ちの…ややショタ気味の美少年だ。
だが勤めて目立たない様に生きてきた。
その理由は、この目だ。
俺の目は…獣の様に暗闇で金色に光る。
そして、俺の銀髪で金目の容姿が魔王にどことなく似ているのだとか…
最初は『気にしない』そう言ってくれていたが…
周囲の目に晒されてからは次第に仲間の態度が変わって
今迄俺に好意的だった幼馴染も急に冷たくなってきていた。
以前は俺とガイアを同列で扱ってくれて居たのに…最近では俺はつまはじきされた状態だった。
ガイアは勇者だから…それもあるが…やはりこの容姿のせいだろう。
「そうね、此処から先はもう貴方は要らないわ…魔王に似ている存在がパーティに居るのは不味いわ」
彼女はセシリア…かっては姉の様な存在だった。
年齢は1つ年上で赤毛のセミロングの長身の美少女、そしてジョブは剣聖。
何時も平等に接してくれていて、この容姿をいつも褒めてくれて弟の様に接してくれていた。
だが、この容姿が魔王に似ているという話が広まると途端に手のひらが返った。
「そうね、このパーティに貴方は要らないわ…早く出て行きなさい」
この間まで仲良くしていたじゃないか?
そんな、彼女の名前はリサ、ジョブは賢者…水色髪の背が低い可愛い童顔の女の子だ。
結構その前から仲良くしていた筈だし、この容姿を猫みたいで可愛いって良く嫌がる俺を抱きしめてきていた。.何でこんな事になっているんだ。
「リリ、お前も俺は必要ないのか?小さい時から一緒に居たよな。」
「皆、可笑しいよ? なんでリヒトにこんな事言うの? 幼馴染じゃない」
リリはだけは俺の味方なんだな嬉しいよ。ジョブは聖女、背が低く垢髪で童顔。ポニーテール。胸は壊滅的にないが美少女だ。
本当の妹ではないが親を失ったリリをうちが引き取って育てていた。
そして両親が亡くなった後は俺が育てた。
その為 俺にとっては妹みたいな存在だ。
このパーティでリリ以外、俺が不必要というのは解った。
「そうか…リリ以外は俺が必要無い、そういう事なんだな…ガイアお前もか?」
「ああっ本当にすまない、お前が悪いんじゃない…だが」
勇者パーティに魔王に似た奴が居る…その風評が怖い…そんな所か。
「仕方ないな…解ったよ、それじゃあな」
「ちょっと待って、皆、このまま、リヒトと別れちゃっていいの?」
「リリ、もう良いよ…確かに俺はパーティに迷惑を掛けそうだ」
「ちょっと…リヒト」
「「「…」」」
「皆は何も言わない…それが皆の答えだよ」
「そんな、だったら私も出ていく」
「駄目だよ…聖女なんだから…今迄ありがとう…楽しかった」
そう笑顔で答え、パーティを後にした。
これが最後の俺の意地だ…
…俺は全部失ってしまった。
最早生きていても..仕方が無い…
これだけ付き合いがあるのに別れってこんなに簡単に終わるんだな。
もう俺には…何も無い。
変わる世界
俺は目のせいで街では嫌われる様になっていた。
「幾ら可愛くても、魔王に似ているんでしょう?」
「しかも、夜になると目が光るらしいじゃない」
自分で言うのもなんだが…俺はそれなりにモテていた筈だ。
年上のお姉さんから、求婚された事もある…それが目が光る事と魔王に似ている。
その情報が伝わっただけでこれだ。
「すまないね…泊めてあげたいけど…あんたを泊めると他のお客からクレームが入るんだ」
「はんっ 魔族のガキには売れないな」
「俺は魔族じゃない、ちゃんと冒険者証もあるし、元は勇者パーティだ」
「お前が魔族だから追放されたんだろうが…」
違うと言っても信じてくれない…
お金があっても…物が買えない。
仕方なく、俺は何時もギルドの食堂で食事をし、ギルド直轄の宿屋に住んでいる。
どちらも、お金の無い冒険者用だから、飯は不味いし、宿屋もトイレは共同、シャワーも無いから井戸水で体をふくだけの生活。
冒険者なら必ず使える…これだけは適応されていた。
まぁスラムに行かないで済むだけましだな。
ただ、全てを失った俺にはこれがお似合いかも知れない….
だが、それすらもある日奪われてしまった。
「リヒト…お前依頼をこなしていないだろう?」
「いや、ゴブリンやオーク、オーガを狩っている」
俺は一般依頼を受けようとすると、客側が嫌がるからと受けて貰えない。
だから、自然と常時依頼を受ける事になっていた。
「いや、常時依頼じゃなくて、一般依頼を月に二度受ける必要がある」
「俺は受けようとしたがギルド側が断るんだ…もし義務を言うのなら、受けられる権利を俺は主張する」
「確かに…そうだな..それは解っているが…」
周りから追い出すように言われたのだろう…付き合いが長いから此奴も困っているんだろうな。
いいや…仕方が無い。
「解かったよ…世話になった、ほらよ」
「おい…いやすまない」
俺は冒険者証を投げ返した。
「いいさぁ…ただこれを返したらもう、俺は冒険者でない..ただのリヒトだ。今迄勇者パーティだからと、困った人を助けてきた…だが、これからは見て見ぬふりだ…死にそうな人間や襲われている人間を見ても、見殺しにする…覚えておけ」
「ああっ…冒険者で無い人間に、何も強制は出来ない..すまない」
「あと、金を全部降ろさせて貰う…金貨300枚(三千万円)をおろさせて貰う、早く用意しろ」
「それは待ってくれ、今ギルドにそんなお金は無い」
「いや、ギルドの口座は冒険者じゃないと使えない…そうだろう、今直ぐ返せ…無いなら、受付嬢を売り払え」
「貴様…」
「ルールだろう?」
「解かった、午後まで待て」
「待て…いや今直ぐだ」
「待ってくれ…お願いだ」
「解かった12時ちょうどに受け取りに行く」
「解かった」
これで終わりだな…
12時丁度に金を受取り…収納袋に放り込むと俺はスラムへと落ちて行った。
それからはただの浮浪者として生きるしか無かった。
更に変わった世界
「リヒト君、相変わらず可愛いね」
「そんな事言われると俺照れちゃうよ」
「リヒト君、魔王様に似ているし…爵位まであるんだから凄いよね」
「あはははっ、偶々ですよ」
「良かったら、こんどお姉さんとつきわない?」
「あははっ今度ね」
この一年で世界は変わった。
あれから暫くして…勇者パーティが魔族の幹部に殺された。
死体になったガイアは城門にパーテイの仲間ごと鎖で吊るされた。
一緒に吊るされた仲間も散々レイプされた後に殺されたのが解かる位悲惨な状態だった。体中が精子まみれで、お尻も股の間の穴も大きく開きっぱなしで、胸は二つとも抉り取られていた。
恐らくはオークの苗床の様な生活の末に殺されたのが解かる。
2人とも体は腐り始めて、顔は腐乱していたから…だれか解らない。
幾ら元が美少女でも誰も見たいとは思わないだろう。
その後、魔族の総攻撃にあい、あっさりと世界は魔王の物になった。
そう…最初に俺に挨拶をしたのは人間では無い…魔族や魔物だ。
人間が魔族に負けた事は俺にとっては凄く、ついていた。
◆◆◆
時は少し遡る。
勇者ガイアが負けた後、此処にも魔族が雪崩混んできた。
騎士や冒険者は全員で戦う事となったが…あっけなく負けた。
戦いに参加した者は魔族によって牢屋に閉じ込められ、見せしめの様に無惨に殺されていった。
「助けてくれ~ 命だけは、命だけは~」
「娘を娘だけは助けて下さい」
「無理無理無理無理…だって全員殺すように言われているからね…だから命乞いは無駄」
そう、蝙蝠みたいな魔族はいっている。
そうか…もう殺される運命しか無いのか…まぁ良いや。
やりたい事も無いしこの辛い人生が終わっても…別に良いな。
蝙蝠みたいな魔族が俺を見た瞬間顔色が変わった。
「嘘、魔王種の子がなんで檻に入っているんですか…ごめんなさい、間違えって入れちゃったのね、謝るわこの通り…すぐに出してあげる」
俺と魔族の目があった途端いきなり話かけられた。
巻き沿いで放り込まれた牢屋だったが…俺の容姿は人間に見えない。
助かったのか?
俺が牢屋から出られると解かると周りが騒ぎ出した。
「リヒト君、お願い出られるなら、この子をこの子だけでも助けて」
「なぁ頼む顔見知りだろう?助けてくれ」
「金を払うと言っても俺を泊めてくれなかった宿屋に、お腹を空かした俺が金を払うと言っても食べさせてくれなかった定食屋…赤の他人…いやそれ以下だろう…自分が助けてやらなかった奴を俺が助ける訳ないだろう?」
「そんな娘、娘だけで良いの、私はどうなっても構わない」
「俺はまだ死にたくない」
「知らないな、その子も俺に石を投げつけたんだぜ? 思い出せよ..本当に怖えよな『リヒトお兄ちゃん大好き』そう言っていたくせにな…死んでもどうも思わない、皆、死んじまえ」
「話しは済んだ? それじゃこっちに来なさい」
「はい」
俺は檻から出されて…何かしてくれるのかと思っていたが…
「はい…もう何処でも好きな所にいきなさい」
確か魔王種とか呼んでいたな…出して終わりじゃないよな。
「俺、魔王種じゃないの?」
「そうよ…だから出したわ」
「何か他に言う事は無いのかよ」
「無いわ…確かに貴方は魔王様に縁がある種族よ…だけど魔族は力が全て、貴方大して強く無いでしょう? まぁ見た目は可愛いとは思うけどそれだけ、私が何かする事ある?」
いや、温厚に話しているけど…この魔族恐らく相当強い…何となくそれは解かる。
ガイアでも勝てないな。
命が助かっただけ儲けものだ。
「すみません、有難うございます」
「良いのよ、だけど貴方は魔王種だから…そうね魔王様に会ってみると良いわ。何かくれるかもよ?」
「解りました…色々とありがとうございました」
「別に良いわ」
ここに居ても仕方が無い…俺は外に向った。
魔王と謁見
魔王は、人類に勝利した後…そのまま王国の城を分捕り…自分の城にした。
確かに、あの城は名城だ住みたくなる気持ちも解かる。
しかし…凄いな此処は城下町だが、最早1人も人間らしき存在は居ない。
だが、本当に凄いのは…魔族の適応力だ。
お店がしっかりと機能している。
人間が魔族や魔物に変わっただけで…何も変わらない。
「おい、そこの坊主、串焼きはどうだ…うめーぞ」
そうか…魔族側からしたら、俺は普通…買えるんだな。
久しぶりの串焼きだ、考えるだけで涎が流れてきた。
「2本くれ」
「あいよ」
うめーっ。
柔らかくて、凄くジューシーだ。
「美味いな、おっちゃん、此の肉うめーなぁ」
「当りめーよ、うちは雌の肉、それも若い奴限定に拘っているんだからな」
「へーっ、それでこれ何の肉」
「人間に決まっているだろう?」
「うげっ..人間以外はないのか…」
「豚と鳥ならあるぜ…」
「それじゃ1本鳥に変えてくれ」
「ああっ、確かにオークやゴブリンの中には人間の雌を性処理につかう変態みたいな奴がいるんだってな…確か魔王様の兄弟にも居たと聞いたが…お前もその変態の口か?」
「そうだな」
「確かにオナホみたいに使っている奴は食いにくいかもな…だが、オークやゴブリンは食うから…魔王種は結構神経質なんだな」
どう言うべきか?
「まぁな…ゆくゆくは…そうだ人間をペットにしたいんだ」
「そうか…そう言えば、西側に人間を売る市場が出来るらしいぜ、ペットにするならそこで買えるかも知れねーな」
「ありがとう」
「それじゃ…また贔屓にしてくれ」
やはり、俺は魔族だったのかも知れない。
その証拠に、嫌だとは思ったが人間の肉が不味いとは思わなかった。
嫌悪感があるだけ…人間よりなのかも知れない。
魔王城にて
魔王城まで来てしまった。
俺が魔族だとしても…一般人の筈だ。
ただの一般人に相手に王族が会ってくれる物だろうか?
「魔王様に会いたい? 良いぜ通りな」
鳥頭の魔族は簡単に通してくれた。
何故、こんな簡単なのか…聴いてみた。
「魔王様とは強い存在だ、勇者すら城に招きいれ1対他で戦う様な方なのだ…忙しいから会わないと言う事はあっても、危ないから会わないと言う事は無い…我々が此処に居るのはめんどうな相手をさせないだけだ…お前の姿は魔王種だ、数少ない魔王様の血筋、故に簡単に通す…まぁ魔王種とはいえ若い…この城に居る者でお前を殺せない程弱い者はいないがな、がはははははっ」
俺は血筋の良い…虫けら…そういう事だ。
◆◆◆
「確かに同種だな…恐らくは儂が殺した、兄上の血筋…先祖返りで良く兄上の面影が出ておる」
「それでは」
「本来は魔王に質問は出来ぬが…まぁ同族、特別に許す」
「その兄上様が私の父親なのでしょうか?」
「殺して数百年になる、恐らくは祖先じゃ…兄上は変態で獣姦を良くしておった。 人間も含んでな…その犯された子孫が多分お前だ」
「それが俺のルーツですか」
「ああっ、しかし、珍しい者よ、我々の血は他の種族を殺す、無事に生まれてきても死ぬか知能の低い者しか生まれない…それが血が薄いとはいえよくぞまぁ、無事に生きていた者よ」
「自分でも解りません」
「今となっては最早同族はお前しかおらぬ…まぁ凄く血が薄いがな…だがな、魔王には王子は要らない…死なない種族に後継ぎは不要、しかもお前は若すぎて力も無いから、城勤めも無理だ…此処に居る者は600年は生きた魔族ばかりだ…役立たずだ」
いや…待て、俺はもしかして死なないのか?
「その…俺はもしかして死なないのですか?」
「血が薄いから確実に死なないとは言えないが…数千年の寿命はあるだろう」
「ですが…親も祖先も短命でした」
「それは恐らく、人間の血が強かったからだろう…お前の様に魔王種の血が強いというのは珍しい、恐らくは先祖帰りだな。」
「成程」
「まぁ、薄いとはいえ、同族、そうじゃ爵位…子爵の地位をやろう」
「有難き幸せ…」
「それではもう行くが良い」
爵位を貰ったら、普通は領地や年金がある筈だ。
「魔王様、その領地や年金…」
「ない…がははははっ魔族は上の者は力が全て…爵位以外は奪える。欲しければ奪い取れば良い…弱き下の者からは奪うでないぞ」
またこれか…
「有難うございました」
お礼を言い、俺は城を後にした。
1壺銀貨3枚…リリは銅貨3枚
結局、俺は元通り冒険者になった。
最も、魔物は味方だから狩らない。主な仕事は人間の盗賊狩りと素材の回収だ。
基本、此の世界は昔と変わらない…周りに人間がいないで魔物や魔族に変わってしまった、それだけだ。
俺は今迄人間社会で生きていた。
周りの人間? というか魔族は俺に優しくしてくれて、昔以上に快適に暮らせている。
だが、どうしても魔物や魔族を可愛いとか綺麗とは思えない。
サキュバスやバンパイアやダークエルフは勿論別だが、ここ迄人間に近い種族は少ない。
オークやオーガの女性を見てもセクシーとは思えない。
そう言えば西側に人間を売る市場が出来ると聞いたが、もう出来たのだろうか?
◆◆◆
早速、見に来た…
凄いな…としか言えない。
人間が檻に入ったり、ロープで吊るされた店がまるでお祭りの夜店の様に沢山出ていた。
奴隷商なんてもんじゃない…これ1日じゃ回れないな。
軍資金はたっぷりある。
これだけ居るんだ、一緒に暮らしたいパートナーを探せるかも知れない。
入った途端、ゴブリンの親父に声を掛けられた。
「兄ちゃん、兄ちゃん…新鮮な肉が手に入ったよ…何と雌の子供が多数入荷だ、うめーぞ」
6~8歳位の少女の死骸が氷の上に魚の様に並んでいる。
よく見ると手足が無かったり、あちこち切断された状態の者もある。
「死体ばかりだな」
「当たり前だぜ兄ちゃん、うちは良心的だからなグラム売りも部位ごとの販売もしているのよ、兄ちゃん魔王種の子供だろう? 小食なら手足一本でも売るぞ…どうだ? 大人じゃない雌ガキの肉は柔らくてうめーよ…少し試食してみるか?」
俺は食肉ではなく、奴隷みたいな物を買いに来たんだ。
「おじさん、ペットとして人間を飼いたいんだ、確かに美味そうだけど…生きたのは何処で手に入る」
「なんだ兄ちゃん、獣姦が目当てか? 若いのにすげーな」
「おじさんだってやっているんだろう?」
「馬鹿言うなよ、幾らゴブリンでも、全員が人間犯しているわけじゃねーよ…俺はちゃんと嫁さんとガキがいるぜ、まぁ俺達の種族は女が少ないからオナホで人間を使う奴が沢山居るのは認めるがな…一応は人間使う奴は、変態だ」
なんでか…ゴブリンに変態と呼ばれると傷つくな。
別に性処理目的じゃない…なんというか家族みたいな感じで手元に欲しい。
それだけだ。
「あのこ、若いのに人間で性処理するの?」
「勿体ないな、結構可愛いのに獣姦好きの変態なの…」
「うわぁーっ、獣姦する位なら、あたしにもワンチャンあるかな」
ううっ、地味に恥ずかしいな、ヒソヒソ声が聞こえてくるよ…
しかし、俺はやっぱり魔族だったようだ…何しろ普通に魔物や魔族と話せている。
「解かったごめん」
「全く、ゴブリンやオークだから獣姦好きとは限らねーんだぜ」
「それで、何処に行ったら、生きた人間買える?」
「兄ちゃん、冗談で言ったのに…本当に変態だったんだな…ああっ…一番奥にでっかいテントがあるだろう? あのあたりの8店舗が…まぁ兄ちゃんみたいな奴専用の店だ…スゲーな」
「俺は変態じゃない…ペットとして飼いたいだけだし…」
「はいはい、変態は商売に邪魔だからいったいった」
糞っ…だが言われても仕方がないな…人間に直したらオークやゴブリンと暮らしたい。
そう言っている様な物だ…
「解かったよ」
しかし、あのゴブリンの言っていた事は解かった気がした。
殆どの魔族や魔物は肉として人間を買っている。
ここ迄のお店の殆どが死んだ人間の肉を販売している。
生きていても手足が無く、死に掛けの人間ばかりだ。
これは人間からしたら地獄だろうな…
最も、人間もオークやミノタウルスの肉も売っていたから同じと言えば同じだ。
テントの傍に行くと、今迄と全く光景が違った。
檻が沢山あり、その中に人が入っている。
思った程…いやもしかしたら客は俺しかいないのか?
「いらっしゃい…良かったら見て行って下さい…金額は箱に書いてあります…他に奴隷紋を刻むので+銀貨3枚です」
「はい…」
う~んどうやら基準が人間と違うようだ。
居る女の多くは腹筋が割れている様な男に近いタイプが多い。
「あの…なんでこう筋肉質ばかり、なんですか?もう少しスレンダーなタイプ…」
「あのお客さん、冷やかしですか? ああっ魔王種だからか、良いですかい、こう言う人間の女で性処理するのはオークが一番多いんだ、壊れない頑丈な女が高値で売れるんだぜ」
確かに、言われて見たらその通りだ。
筋肉質の女が凄い高値がついている。
だけど、本当に客がいないし…男は居ない。
「男の奴隷が居ないのと、お客が少ない様に見えますが…」
「ああっ…戦争が終わったばかりだろう…その時にオークやゴブリンのこう言う趣味のある奴は、戦利品として沢山貰ったからな…折角市場を開いたのに客がこねーんだよ…男は別の場所で売っているからだ」
なんだかたそがれているな…しかし…どうも女の子らしい女の子は居ない。
まぁお店は他にもある、これだけ沢山居るんだ…1人位は人間目線で可愛い子もいるだろう。
1人の女と目が合った。
その途端にあちこちから声があがった。
「買ってーーーっ、買ってーーーっ何でもするからさぁ…お願い」
「オバサンは引っ込んでいなよ…お兄さん、私で決まり、私のフェラは気持ち良いよ…何だったら試してみる?」
「お願いだから、私を買ってよーーっ私安いよ」
「お兄さんっ…お兄さんってば…お兄さん」
「てめーら、声を出すんじゃねーぞ、今度声を出したら、肉屋に売るからなーーっ」
「「「「「…」」」」」
「これ、なんですか?」
「こいつ等、売れ残ると食材として肉屋に売られるから、必死なんですよ…それにお客さん人に近いから多分こいつ等から見たらよい主人に見えるんじゃないですか」
確かに俺は殆ど人間に近い、買われれば死なない。
更に言うならオークやゴブリンとやる位なら俺の方がましだろうからな。
「成程」
店を回ってみたが…全員がシックスパットが割れているような女ばかりしか居ない。
オークやゴブリンなら、壊れないのが良い女と考えるとこのタイプが理想の女になるのか?
ちなみにエルフやダークエルフは亜人として人権?(魔族扱い)を持っているからこの手の市場で売られる事は無いらしい。
『妥協するしかないか?』
そう考えた所…壺が目に入った…気のせいか壺の中から誰かが見ている気がする。
沢山の壺があり、壺から顔だけ出した状態で並んでいる。
嘘だろう…あの顔はリリだ。
忘れるわけが無いリリだ…目が合った。
なんで助けてくれって言わないんだ…まぁ良い買ってから考えよう
看板を見るとゴミ壺と書かれている。
「すみません、ゴミ壺ってなんですか?」
「おや…まぁ…若いですね…ゴミ壺って言うのは、訳ありの奴隷兼食肉を壺に入れて売る事です。まぁ、色々あって商品にならない人間を壺に詰め込んで頭しか解らない様にして売るんです」
「それって意味あるんですか?」
「くじ引きみたいな物で1壺銀貨3枚(約3万円)…大当たりなら金貨1枚以上の価値がある者も入っているし、中当りでも美味しく食べれる位の者がある。まぁハズレはジャンク…ガラクタです、結構なハズレもある…」
「そうですか? それじゃ1回、はい」
俺は銀貨3枚を払って、リリの入っている壺を手にした。
「ちょっと…お客さん、悪い事言わないから、その壺だけはやめな…確実にお大ハズレだ」
なんでそんな事言うんだろう。
「俺はこれが良いんです」
「そいつは、本当の大ハズレだ…そいつの顔見ればわかるだろう? なぁ…やめとけ」
「いや…これが良い」
「お客さん…本当にそれで良いなら、解った。だが、それを銀貨3枚で売っちまったら目覚めが悪い…本当にそいつは誰もが知る大ハズレなんだよ…良いぜ銀貨3枚返すから銅貨3枚(約3千円)寄こしな」
「本当に良いのか?」
「ああっ…良い…そいつはただのゴミ…最悪のな、だから壺代だけで良いよ」
「ありがとう…」
「それでお客さんはそれどうするんだ? 多分食えねーから奴隷にするしかないな…だから奴隷紋の金、銀貨3枚は別にかかるが本当に買うんだな」
「ああっお願いする…返品は絶対しないから、この奴隷について教えてくれないか? そうだな、代金の銀貨3枚+銅貨3枚に追加で銀貨1枚払うからどうだ」
「まぁ、暇だし…良いぜ。だが誰もが知る、有名な話だ…いいのか?」
「構わないよ」
お金を払い俺は壺売り商人から話を聞く事にした。
俺の知らない地獄
「あの顔を見れば解るだろう? あの雌女は勇者の仲間だ…店としては絶対に引かないハズレの壺として遊び感覚で入れていた訳よ、生きている人間の雌の中じゃ最悪の商品だからな」
勇者パーティなのは知っている。
俺も追放されるまでは仲間だった。
「そうだな、それは俺にも解る」
「なら、そこから知らないのか? まぁ良い…その時勇者パーティを破り倒したのが、オークキング、ブータム様の部隊だ」
オークキング…だから、あの二人も散々犯された挙句殺されたのか。
リリが此処に居ると言う事は、あそこで死んでいたのはリサとセシリアという事だな。
「そうだったのか?」
「そうだったのかじゃねーよ、魔国では勇者討伐でお祭り騒ぎだったんだぞ…」
「悪いな、俺は魔国から遠く離れて、この王国の傍に居たんだ」
「それじゃ、知らねーのも当たり前だな…話を続けるぜ」
「頼む」
「それでよう、オークの上位種というのはな、案外清潔で、プライドが高いんだぜ」
それが、どう話が繋がると言うんだ。
「…」
「簡単に言うと、戦場ではしっかりと武人であり、普通のオークと違い、相手を辱めるような事はしない」
「だが、俺が見たのは…」
「話しを聞きな、あの勇者は卑怯な事をしたんだ、名乗りもあげずに強襲を掛けて、後ろからブータム様の腹心のオークジェネラルのブルタ様を斬ったそうだ」
どうして俺が急に魔族や魔物と話せるようになったのか解らないが…普通は話せない。
「人間は魔族の言葉は解らないだろう」
「馬鹿言うなよ…オークジェネラルは上位種、知能も高く人語も話せる…話を戻すぜ。オークの上位種と戦う時にやってはいけないのは、貶す事、卑怯な事をする事だ。その二つをしなければ、尊厳ある死を迎えられる…多分楽に殺してもらえる」
そんな事している人間は見たことが無い。
「それをしないと」
「悲惨な事になる…今回の場合は勇者が『豚』『醜い』を連呼してオークたちを貶めた挙句、卑怯な手段でブルタ様を殺した….だからな…勇者は残酷に殺され、連れの雌たちは…大量のオークに犯された…1人や2人じゃないオークキングブータム様の群れに連れていかれ千に及ぶオークに昼夜問わず、自殺すら出来ない状態で犯され続けられ…食べるエサはオークの糞か人間の肉だそうだ…つまり、苗床にすらしなかった訳だな…子供を産ませる為の苗床であればあれでも、ちゃんと母体を労わるんだぜ。」
聞いているだけで地獄だ。
「…」
「そのエサには勇者の肉も含まれていたらしいぜ…」
「それで…」
「最後には、便所の横に繋がれて、若いオークの性処理便所…まぁ態と獣姦が好きな奴らの場所につないだらしい…もう頭が可笑しくなっていたんだろうな…最後には、飯の為なのか頭が可笑しくなったのか…自分から誘って喜んで食糞していたそうだぜ…気持ち悪いだろう」
可笑しい、それなら三人とも生きていても可笑しくない。
「それなら、なんで二人は殺され…1人だけ活かされたんだろうか?」
「二人は、割とすぐに頭が狂って自殺したらしい…だが此奴は自殺しなかった…まぁ、大量のオークが使い続けた結果オークですら気持ち良くない位穴が広がり、更に性病持ち…流石に怒りもとけたのか肉として払い下げられたんだ」
「何で自殺しなかったんだろう…」
「さぁな…今は真面に言葉を話せねーが、此奴話せるときは、何でも、リフト、リフトって、うわごとのように言っていたらしい、流石にこれ以上は俺も知らねー」
リフト…リヒト、俺の事だ。
そうか…
「話してくれてありがとう」
「これで銀貨1枚ならお安い御用だ…奴隷紋きっちり入ったみたいだぜ…ほらよ」
俺は壺を抱えながら、壺屋を後にした。
二人の過去
壺を抱えて家に向った。
「あの子若いのに壺女買っているわ」
「すげーな人生ギャンブルっていう感じか?」
「あれ、有名なあれだよね」
「食べるのか?いやバッチくて食えねーよな」
「じゃぁ、何に使うんだ」
凄く目立つ。
俺はこの世界では雑魚だから.愛想笑いしながら歩いた。
借りていた宿につき壺を置いた。
リリはニヘラ~と気持ち悪く笑っていたが一切喋らない。
よく見ると顔に痣があり、綺麗な髪はバッサリと切られていた。
俺は壺を割り、リリを出すのが怖かった。
俺の知っているリリは…凄く綺麗だった。
◆◆回想◆◆
「リヒト、私を抱いてくれない…」
一糸まとわぬ姿でリリが俺の前にいた。
月明りに照らされた彼女はまるで女神の様に綺麗だった。
リリはトレードマークのポニーテールを解いていて、どことなく真剣なまなざしで俺を見つめている。
「ねぇリヒト、私は貴方を愛しているよ」
「リリ、僕もだよ…」
どちらからともなく唇を交わした。
「うぐうううっううんぷはぁううん、ハァハァ」
キスの仕方なんか解らないからお互いの貪るように口を合わせて求めあった。
「リヒト…これ、私のファーストキスだよ…覚えておいてね」
リリが何を言っているのか解らない。
だが、こんな嬉しい事俺が忘れるわけ無い。
「俺、忘れないよ」
再びリリは俺にキスをしてきた。
「ううん、うぐっうううん、チュパっううん…ごくごく」
お互いの涎を飲み込みながら決して口を離さないキス…
それが俺にとってもリリにとっても初めてのキスだった。
どの位の時間キスをしていたか解らない…
やがてリリは、顔を赤らめ口を離していった。
「リヒト、好きにして…ううんリヒトを感じたいからお願い」
俺は口を首筋に移しキスをしながらも強く吸った。
「ああっ、ああんあああっ」
リリを自分の者にしたかった。
だから首筋にキスマークがつくようにキスをした。
「ああっ、ちょっと痛いよハァハァでも良いよ」
その顔が凄く可愛くて、そのまま胸に吸い付いた。
「ハァハァ、私胸が小さいくて恥ずかしい…」
「そんな事無いよ…凄く可愛らしくて綺麗だ」
「ハァハァ、そんな事ない..ハァハァ」
そのまま、俺は股間に顔を潜り込ませ、舐めた。
「嫌っリヒト、そこは、そこは汚いよ..ハァハァ嫌だぁぁぁl」
「リリに汚い所なんてないよ…」
「もうしかたないな…良いよハァハァああああーーっあん」
リリの体が跳ねあがり..ぷしゅぅぅーーーっ潮を吹いた。
「は..恥ずかしいよ…」
「リリ、そろそろ良いかな?」
「うん、愛しているわリヒト…きて」
俺はゆっくりとリリの中に入れていった。
「あああっああ、痛いっ痛いよ」
「リリ、大丈夫、抜こうか」
「駄目、痛いっ…我慢できるから動かして、良いから」
リリは足を組んで抜かせてくれない…そのまま苦痛で歪むリリを見ながら、腰を動かした。
「リリ…俺もう..」
「良いよ…そのまま中に出して…」
「ああっいくよ」
「あああっ、あんあんあああーーーっ」
最初の1回は大変だったが回数を重ねていくにつれ…快感が2人とも高まり、動けなくなるまで10回以上お互いにいきまくった。
「リヒト…これでお別れだね」
実際に離れる訳じゃない…傍にいるけどお別れ…
「そうだね」
俺は泣きたかったが、もっと我慢しているリリの為に泣くわけにいかない。
「何で私、聖女になんてなっちゃったのかな…聖女じゃなければ良かったのに…ファーストキスから処女…私の大切な物は全部リヒトにあげれて良かった…だけど、此処から先は…」
「解っている、リリはガイアの者…解っているよ」
勇者が魔王を倒したあと…勇者と聖女は結ばれる…正確には勇者は正室に王族を迎え、側室に勇者パーティの女性メンバーを迎えて結婚する…古からの決まり事だ。
「ねぇ、リヒト、一緒に逃げない? それとも一緒に死んじゃおうか?」
多分、俺が言ったら、一緒に逃げてくれた、死んでくれたかも知れない。
だが、それはリリにとって幸せな未来で無い。
俺とは違いリリは聖女だ、今のままなら輝かしい未来がある。
聖女が逃亡などしたら、真面な生活等送れないだろうし、死んだとしても村の恩人に咎が行くかも知れない。
だから、それはリリを苦しめる事に必ずなる。
俺が黙っていると….
「冗談よ…」
悲しそうにリリは朝まで俺を見つめて横に寝ていた。
これがリリと俺が恋人だった最後の話…
リリはそれからは、俺の恋人でなく聖女としてガイアのパートナーになった。
俺はそのサポートするただの剣士になった。
役には立たない…だけど…傍に居たかった。
◆◆◆
「なんだ、お前処女じゃなかったのか? とんだ聖女さまだな…聖女じゃ無くて性女だな」
「ごめんなさい」
宿屋に泊った時に泣きながら謝るリリの声を聞いた事があった。
俺は勇者じゃない…だから何も出来ない…毛布を嚙みながら涙を流しながら寝た。
それから暫くして…俺は魔道具を付け忘れ…目の事がバレて追放された。
もしかしたら…ガイアに抱かれるリリを見たくないから逃げたのかも知れない。
◆◆◆
そしてリリは俺の前に居る。
会いたかった…本音を言えば、リリが俺の傍にいてくれるなら…何でもする。
そう思った事もある…だが目の前のリリは、口が半開きでニヘラ~笑いしながら涎を流している…そして何も話さない。
あの時、俺が土下座してでも謝ってパーティに居たら…俺も死んでいたかも知れない。
だが、俺は魔王種で魔王に似ている…俺がオークキングに土下座をして『彼女』が欲しいと言えば、彼女だけは助かったかも知れない。
今更後悔しても…意味はない。
どんな形であれリリは俺の元に帰ってきた。
今はこの事に感謝するべきだ。
いつまでこうしていても仕方がない…俺は意を決して壺を割った。
嬉しいのか悲しいのか…解らない。
意を決して壺を割った。
割った瞬間に俺は
「げほっげへげほっげほっうがぁぁぁーーうえぇぇぇぇぇーーハァハァうえっうっ」
凄い臭気がした。
凄まじい悪臭がした…精子が腐った様な臭いに、魚や虫を腐らせたような臭いが部屋中に広がり、それにプラスして、肥溜めのような臭いもして目があけていられなくなった。
そして、俺は咳込み、思わず耐えられなくなり…吐いた。
吐き気が収まらない..ヤバイ、このままじゃ死ぬ…俺は這うようにして窓を開けた。
「うごっごほごほっうえぁ…うえぇぇぇぇーーっハァハァうげぇぇぇぇーーっ」
ヤバイ、吐き気が止まらない。
勇者パーティにいたから…悲惨な死体も見たし、死体の腐った臭いにも慣れている。
そんな俺が…吐き気が止まらない。
これは、肉体が我慢できない。
そういうレベルの汚臭だ。
「うごっごほごほっうえぁ…うえぇぇぇぇーーっハァハァうげぇぇぇぇーーっ」
吐き気が止まらないばかりか目からも涙が大量に出てきた。
どの位たったろうか…
ようやく吐き気が収まり、臭いも我慢できる位薄れてきた。
収納袋から三角巾を取り出し、マスクの様に口にまいた。
部屋を見回すと…臭う筈だ。
割れた壺の中にはリリの物なのだろうか? 沢山の糞尿と…考えたくも無いが、恐らくはオークの精子が腐り黄色く茶色くなった物が入っていたのだろう…それが破片と共に部屋中に飛び散っていた。
そして…リリはそれを無表情で舐めとり飲んでいた。
「うぐっ、ごくぺろぺろ」
見ていて気持ち悪くなるしやめさせたいが…まずは壺の破片を集めて風呂場に運んだ。
俺はパーティを追放された後。
唯一の贅沢がこの部屋だ…湯船のついた風呂に入るのが数少ない楽しみだった。
今思えば、この部屋だから助かった。
壺の破片を綺麗に洗い…片っ端から廃材を入れる袋に突っ込んだ。
部屋中に飛び散った、汚物やら精子やら糞尿を涙を流しながら布でふき取り同じく廃材袋に入れた。
パーティに居た頃、素材の剥ぎ取りは俺がやっていた。
お陰で使える道具があって助かった。
後は、リリの周りだけだ。
「りり、そこを退いてくれないか?」
壺の中に居た時よりは元気そうだが…
「うううっうううーーーっ」
奴隷紋のお陰なのか…凄く怒った顔をしたが退いてはくれた。
リリが舐めていた場所を綺麗にして壺の破片を袋に放り込み、収納袋に突っ込んだ。
これで、少しはましになった。
かなり臭いも薄れたが、まだ、王都にある公衆便所の方がましという位臭い。
「リリ 静止」
さっきの様子じゃ俺なんて覚えていない。
まるで獣の様だったから…念のため「静止」を命令した。
この命令をすれば、奴隷は動かないし、話もしない。
「…」
リリの様子を見る…酷い。
あの可憐で綺麗だったリリが..リリが…
顔は痣があるが、これは簡単に治る…お洒落な彼女が鼻毛が伸び放題。
髪はフケだらけで虫がたかっている…そして、口だ..
歯がまるで古い便器の様に黄ばんでいて、恐ろしく臭い。
さっき糞尿と腐った精子の様な物を食べていたから..それが口元にこびりついている。
脇の下の腋毛はボーボーで此処すら白く粉を拭いて良く見ると小虫がたかっている。
薬品でも飲まされたのか…胸が大きくなっている…元は小振りだが美乳だったはずの彼女の胸がスイカより大きくなり…しかも大きく垂れさがっている。
可愛く小振りで綺麗でピンクだった、乳輪や乳首は、巨大になり、乳首は親指の第一関節並みになり色は茶色を通り越し黒に近い。
嘘だろう…
ここ迄でも酷いのに…お腹はまるで中年オヤジの様にだらしなく…お尻はまるで牛の様に大きく、股間の間のマン毛は頭髪なみにボーボーで汚い。
そんな状態なのに、前後の穴は大きく開きっぱなしに見える…
両方の穴は下手したら人間の頭部位、入るんじゃないか…その位開いていて閉じない。
股間からは、膿のような物が垂れ流されていて、お尻からは力が入らないのか液状の糞が垂れ流しだ。
オークから筋力を無くしてより豚に近い状態にした…それがリリの体だった。
あの綺麗で美しかった肢体は何処にも面影はない…
『どうしたら良いか解らない』
会いたくて、会いたくて仕方なかったリリが今俺の前に居る。
『俺は、今でもリリを愛している』
それは変わらない…
だけど、どうしたら良いんだ…
喋らず、もぞもぞしているリリ…
涙が出てきた..
「リリ…」
今の俺には泣きながらリリを抱きしめる事以外、何もできなった。
自分でも、もう嬉しいのか悲しいのか自分の感情が解らなかった。
怒られた。
静止を掛けたままのリリを抱き抱え、湯船につけた。
最初はシャワーを使い、体を洗おうと思ったが…かなり体に色々な物がこびり付いていたのに気がつき、ふやかそうと思った。
リリを漬けた湯船の水がドブ以上に汚くなり…さっきの部屋の臭いに近い異臭を放った。
直ぐにお湯を抜き、新しいお湯を入れ直した。
「リリ、このままお湯につかっていて」
「あうあうわぁぁぁぁーーー」
言葉は話せない…だが昔のリリはお風呂が好きだった。
体には切り傷があるから、沁みて痛い筈だ。
だが、それでも…気持ちよさそうにリリがしている気がする。
何となくだが…ご機嫌そうに見えた。
暫く、湯船につかっていて貰おう。
「リリ…湯船に暫くつかっていて」
「ああうあうわ」
意味は解らないが、恐らく簡単な事なら理解している気がする。
完璧に壊れてしまっていたら、意味が解らない筈だ。
これは、リリなんだ、それが解り、少しだけ嬉しかった。
リリとの生活の為には、多分色々必要だ…買いそろえる必要があるな。
ふとドアの方に目をやるとメモが挟まっていた。
メモには…『手がすいたらフロントに来い』そう書かれていた。
◆◆◆
フロントに顔を出すと怒った形相の女性のゴブリンが居た。
この宿のおかみさん、ゴブミさんだ。
「あのリヒトくん、市場で壺を買ったんだって」
「はい」
「壺を割ったでしょう? さっき他のお客様から、異臭がするってクレームが入ったのよ」
確かに凄い異臭がした…此処は宿屋だ。
割と高級だから、外までは臭わないと勝手に思っていた。
「ごめんなさい」
「まぁ良いわ、主人が今謝りにいっている、今日は運よく1客しか居ないから…それでどうする?」
「俺も謝りに行ってきます」
「そう…今後の話は、それが終わってから話そうか?」
「はい」
俺は部屋の番号を聞くと直ぐに走って
「リヒト君、危ないから走らない」
「はい…すみません」
部屋に近づくとドアの所で、ゴブリンがヒツジ頭の魔族に頭を下げていた。
「申し訳ありません」
「私は怒っているのでありません、理由を聞いているのです」
「すみません、俺が悪いんです」
「君は?」
「今回の異臭の原因を作った者です」
「そうかい…理由を聞いて良いかい?」
「その…壺を割りました」
「ほぉう…その年で壺を買ったのか?」
何だか…変な目で見られている気がするな。
「はい」
「それで、君は、その壺に入っていた人間を奴隷兼ペットにするのかい? それとも食べるのかい?」
正直に話すべきだな。
「飼うつもりです」
リリごめん。
「そうか…君は魔族としてはまだ子供、赤子に近い、だからこれで良い、許してやるよ。それに似た様な趣味を持っていそうだから、将来仲良くなるかも知れぬ。 だから、少し教えてやるよ。 壺入りの奴隷は汚いから、外で壺を割るんだ、川の近くがベスト。そうすれば、取り敢えず川で体を洗えるだろう?」
確かにそうだ。
「確かにそうですね」
「ああっ、後な、大体が手に負えない位汚いから、その後に冒険者ギルドで『洗体』を依頼するんだ」
「洗体ですか?」
「何だ、そんな事も知らないのか? 冒険者ギルドで『洗体』という依頼を出す事も出来る。まぁ体の大きなオークやオーガがさっぱりしたい時に頼む依頼だ…その時にちゃんと洗う相手が人間だと言う事を言うんだぞ、そうしないとトラブルになるからな」
「教えて頂き、有難うございます」
「まだだ、それが終わったら、次は神官を呼ぶ必要がある…壺に入って売られる様な人間は不衛生で病気持ちも多い、オークの使った奴は確実に性病持ちだ…治療した方が良いぞ…言って置くが教会に行くなよ…これも冒険者ギルドに代行を頼むんだ」
可笑しいな…教会は性病は治してくれない筈だ、それにオークは性病となにか関係があるのか?
「教会は性病を治してくれなくて…オークは性病と関係があるのですか」
「ハァ~誰がそんな事言ったんだ、邪神官様は性病も治してくれるし、オークやゴブリンは性病に強いから、そんなのお構いなしにやっているから非常に危ない」
そうか…教会に祀られているのは女神じゃ無くて邪神…だからもう関係ないんだ。
「なにから、何まで有難うございます」
「お前は子供だ…しかも壺を買う位だから親も居ないのだろう…知識が何のは仕方ない…これからは、ちゃんと考えて行動するんだぞ」
「本当にすみませんでした」
「最後に、人間だって生き物なんだ、飼った以上は責任もって育てるんだぞ」
「はい」
「まぁ、私も昔人間を飼った事がある…人間は寿命が短いから、悲しい別れになってもう飼わないと決めたんだ…まぁ頑張って育てるんだぞ、少年」
「有難うございました」
そうか…今の神官はそうだよな、邪神を信仰しているんだよな…
それなら、お金さえ払えば、リリは元に戻るかも知れない。
女神は処女神だからか性に対する事に魔法は効かない。
邪神なら多分、そんな事は無い。
多分、きっと治してくれる。
◆◆◆
「それでね、リヒト君、こう言う事は次からちゃんと聞いてからにしてね」
「そうだ、人間を飼うなら…言ってくれないと、宿屋によっては飼育不可の所もあるんだ」
「すみません」
「それでな、うちはOKだが、料金が1.5倍になる、大丈夫か?」
「はい、それでお願いします」
「あと、部屋の方なんだけど、冒険者ギルドに頼んで清掃するから、その金額も負担してもらいます。いいですね」
まぁ、あそこ迄汚しちゃそりゃそうだ…
「勿論、払います、ご安心下さい、それでギルドに頼むのでしたら、先程の方から聞いた方の手配もお願いできますか?」
「なに、それ」
「ああっ、ちゃんと払ってくれるなら構わない」
ご主人が、奥さんに説明してくれた。
「「それじゃ、これからも宜しく」」
「本当にお手数を掛けました」
部屋に帰ると…リリがのぼせた状態で湯船につかっていた。
「ごめん、リリ」
「ううぅーーぅううーーっ」
少しのぼせて顔が赤いリリが凄く可愛らしく見えた。
魔王様は怖い事を言っていたが…魔族の方が人間より優しく感じるのは何故だ…
ただただ、悲しかった。
「うんぐっううん、ううん、ぷはぁううん、ううっうんくちゃくちゃ、あ~む」
なんだか下半身に温かみを感じる…凄く気持ち良い。
このまま…
「うんぐううんううん、ぷはっあむあむ」
何が起きているんだ…えっ。
リリがフェラチオをしていた。
「リリ…何しているんだ」
「ずぶっちゅくちゅくうんうんう~ん。うぐっうぐっうぐっあむあむ、カリカリっあむむぐ~んんん」
俺はやめさせようと頭に手を伸ばしたが…
余計にむきになり、リリはスピードを上げた。
奴隷紋を使えば止めさせられる事も出来るが…
リリは泣いていた。
泣きながらさっき以上にスピードを上げてきた。
リリと新しく暮らしてからの初めての感情らしい感情だ。
だから、止められなかった。
「うっ…」
いってしまった。
俺は今迄リリ以外の女は知らない….そのせいか溜まっていたんだ…
前の時とは違い…リリがしてくれたのに悲しいだけだ。
「うんぐ、ううんっうん、ぷはぁうんぐううん、ゴクリッ」
リリは慣れたように俺の精子をそのまま飲み干した。
リリは俺にてを伸ばしてきた。
握手でもすれば良いのだろうか?
俺はリリの手を握ったが…なんだか不服そうだ…
言葉が伝わらないのがこんなに大変だと思わなかった。
「リリ、どうしたんだ..」
リリは何も言わずに俺の上に跨ると腰を落としたかと思うとそのまま倒れてきた。
「うぷっ…リリ、リリ」
騎乗の状態でそのまま、前に倒れ込み、腰を動かしている。
そうだ、性病…
何も感じない…バケツの中にただ入れただけ。
股間の周りは重さを感じるが、竿には何も触れて来ない。
もう入れられてしまったのだから、気にしても仕方がない。
今日、神官が来てくれるのだから、その時に俺も見て貰えば良い。
大きな胸が当たるのは気持ち良いが、肝心の下半身は駄目だ…
大きな湖に例えてガバガバの女性のあそこを「ラグラム湖」というがそれ所じゃない…湖じゃなく最早海だ。
だけど、ここに来て初めてリリが感情的になり、自分から動いた。
これで何かが変わるかも知れない…
駄目だ、幾ら意識しても駄目だ…
暫くリリはへこへこと動き続けたが、諦めてうつ伏せになり…両手でお尻の穴を開いてきた。
入れろって事か?
リリは何かを言っている。
「あうわうつかうわーーー」
少しだけ、何かいいたそうだ…仕方がない。
俺はお尻に入れてあげたが…やはり大きく過ぎて何も感じない。
ピタン、ピタン、ただ虚しい音だけがした。
リリの穴は前も後ろも普段から大きくあいている。
普段の状態でも人間の頭がすっぽり入るんじゃないか?
そう思えるように。
SEXで感情が蘇るなら、いかせたら…少しは変わるかも知れない。
俺はまだ生臭い、リリの口にキスをした…
「いやっキスは..リフトだけ…うんぐっううん、ハァハァ」
今、リリは何ていった。
『キスはリヒトだけ』そう言ったよな…まだちゃんと俺の事覚えてくれていたのか。
だが、その一言だけで、そこからリリは懸命に舌を絡めてきた。
「うぐううんっうううっううんぷはぅ、あ~む」
SEXで感情や記憶が蘇る可能性があるなら…
俺は下半身に自分の体を移し、リリの両方の穴に手を片方ずつ突っ込んだ。
「ああっ、あうあうあああっ」
リリの穴は濡れていて簡単に両方の拳を飲み込んだ。
結構鍛えた腕なのに..ずぶずぶと入り…中はスカスカだった。
仕方なく、俺はお尻の方の手を抜き…両腕をリリの股の方の穴にに突っ込んだ。
両手ですら肩まで楽々入っていきスカスカだった。
両手を肩幅より広げて俺からリリの穴の中が両眼で見える様になった時、ようやくリリは表情が変わった。
「あん、あんああん、あうあうああーーっ」
これ余裕で頭が二つ入るな..
両手をパンチを繰り出すように動かす事30分。
「ああっあああーーーっあん」
ぷしゅぅぅーーーっジョバジョバーー
リリは潮を吹いておしっこを盛大に漏らした。
リリが少しだけだけど、感情を取り戻したのが嬉しい。
今日の午後には 洗体をしてくれる冒険者に神官も来てくれる。
これなら、もしかしたら…治るかも知れない。
だが…あれっ。
リリが這いつくばりながら俺の方に来て…手を出した。
何か忘れてないか…そうか…
俺は収納袋から携帯食料を出した。
リリは嬉しそうに手を使わずに食料をクチャクチャと下品に食べだした。
俺は何を勘違いしていたんだ…リリは性処理をしてオークから食事を貰っていたんだ…
最初のフェラをした時も手を出していた。
オークにしていた事を…俺にもしただけだ。
大好きなリリとの2回目のSEXは生臭い味と悲しい気持ちに溢れていた。
リリとの日々
「あむっうんぐっううん、ううん~んあむちゅばう~あむん」
昨日の今日だから、もう何が起きているのか解かる。
リリがフェラチオしている。
性的な事をどうするか考えた末に、俺は受け入れる事にした。
性的な事をしていないリリは、ぼやぁっとしているか、ニヘラ笑いをしていて何を考えているのか解らない。
明かに壊れているが…性的な事をしている時だけ、リリは少しだけ感情がある様な気がする。
オークと同じなのは解るが…それでも昨日は一度だけ『リフト』って言葉を言ってくれた。
正直言えば、フェラ以外は全く気持ち良くないが…それでもリリがしてくれている。
そう思うと、複雑だが、少し嬉しい気持ちになる。
「あむっずちゅう、あむあむああん、あむうぐっぐっうん、うんはうあむうぐっぐううううっ」
今リリが『はう』って言ったのは、少し違う気がしたもしかしたら言葉で『どう』って言った様な気がする…気のせいかも知れない…だけど、そのあと、思いっきり奥まで咥えたのはただの偶然だろうか?
あの後、何度か愛を囁いたり、頭を撫でたりしてからSEXをしようとしたが無反応だった。
まぁ、無理やりする事は出来るだろうが….それじゃ意味が無い。
『食事が絡んだ時』だけリリは自分から求めてくる。
恐らくはオークの所での生存本能が絡んでいるのかも知れない。
俺は昨日と同じ様にフェラで気持ち良くなった後…同じ様に両腕をリリに突っ込んでいかせてあげた。
「あああっあああんああああーーーっ」
手が膿で凄い匂いになるが気にしない。
悲しいが今はこの生活を続ける事しか、考えつかない。
リリは腰が悪いのか…真面に歩けない事に気がついた。
何時も這うか転がって移動している。
そう言えば、昨日の騎乗位の時も俺に跨った後倒れて腰を動かしていたっけ。
今日の午後に、洗体の人とその後に神官さんが来る事になっている。
腰や前と後ろの穴についても相談しても良いかも知れない。
少し、時間が経ち、俺はトイレに入った。
俺がトイレに入ると直ぐにリリは這ってトイレに入ってきた。
「リリ…どうしたんだ」
だが、リリは、ニタリと笑うといきなりフェラをしだした…
「うぐっううん、あむううん、ううんあ~む」
これも何かあるのか…
明かに感情があるようだったから、リリに任せた。
リリは、そのまま立ち上がり俺の背中に手を回すと抱き着いて俺の物を迎え入れた。
完全に立てない訳で無いようだ…
そのまま、腰を動かしてきた。
全然気持ち良くない。
暫くリリは何か考え、またフェラを再開しだした。
「うっ」
俺がいくとすぐにリリは便器の中を覗き込んでいた。
中に俺のウンコが無いのを確認すると、リリは悲しそうな顔をしていた。
そうか…壺屋の話では…リリはトイレに繋がれ、食事としてオークからウンコも食べさせられていた…
だから…
「リリ、そんな事しなくてもご飯はあげるから」
俺は慌てて部屋に戻り、携帯食を取り出し渡した。
美味そうに、リリは携帯食を食べていた。
携帯食なんて決して美味しくない…一緒のパーティの時には渋々食べていた物だ。
それをまるで宝物のように抱えて、盗られない様に抱え込むリリを見ていると…
また悲しくて涙が出てきた。
洗体
「あの…割り増し料金貰っていいですか?」
ようやく来てくれた冒険者ギルドの透き通った洗体師のお姉さんの最初の一言がこれだった。
「ちゃんとした理由があるなら構いません」
「いや…汚すぎるでしょう…」
確かに、言われて見ればそうだ。
俺が出来るだけ頑張ったとはいえ、依然として体には汚物がこびり付いていて、虫もついている。
誰が見ても、ホームレスの方がまだ綺麗…そう言うだろう。
よく見たら、俺もリリとしていたから、かなり汚く臭いが移っている。
本来の洗体の料金は通常のオークで銀貨3枚。
だが、リリは汚すぎるから…銀貨4枚は欲しいらしい。
「それじゃ、俺も一緒に洗って貰って銀貨6枚でどうだ?」
「まぁあんたは小さいし、簡単に終わりそうだから、それで手を打つよ」
早速作業に掛かって貰う。
リリが包まっている毛布を剥がし..奴隷紋を使い、制止させた。
リリは顔が真っ青で何か抗議の目でこちらを見ている。
心がチクチクと痛むが無視した。
散々、酷い目にあったからか、体は震えていた。
「へぇ~、貴方が、あれ買ったんだ…まさか買う人間がいるなんて思わなくて壺屋の親父驚いていたよ」
「知っているんですか?」
「知っているも何も、まぁ悪く思わないでくれよ、『豚聖女』って名前で彼女は有名人だぜ、此の世界で一番汚ない女って…知らない魔族を探す方が難しい」
確かに魔族にとっては天敵の勇者パーティの聖女…そして、その後の事を考えたら、当たり前の事だ。
「確かに…だが今は俺の者だから余り悪く言わないで欲しい」
「そりゃ、そうだ…それじゃこれから綺麗にしていくから…私に掛かればどんな、奴でもピカピカだ…」
彼女の体が急に溶けだした。
「スライム?」
「そう、私はクィーンスライム…だから包み込んで、汚物を溶かすのはお茶の子さいさいさぁ…しかし、流石に汚いねー」
リリは、奴隷紋で動けないが、目からは涙を流していた。
何をしているのか解かるから俺は何とも思わないが…知らない状況でみたら、スライムに捕食されている様にしか見えない。
「ぐぼっぼぼぼぼっううぇぇぇlごぼっ」
うん、溺れている様に見えるな…
そんな状態で15分…
「うげぇぇぇーーごばぁ~ごぼっ..ハァハァ~」
スライムの彼女から出して貰ったリリが鼻から口から粘着質の物を吐き出していた。
「さぁ、終わったよ、体中に入り込んで全部汚物をとったから、綺麗になったよ…口の中も股の中も肛門の中も全部ね..ついでにあそこの毛も腋毛も鼻毛も適当な長さに溶かして置いたから、随分、見栄えも良くなっただろう」
確かに言うだけあって、肌の艶は昔のリリだ、臭いを嗅いでも、もう生臭い汚物の香りはしない。
ただ、股からは膿が出ていて、肛門からは液体が流れているが…
膿は病気だし…肛門は開きっぱなしだから仕方がない。
「しかし、綺麗になると服が必要だな」
「それなら、お金くれるなら、女にとって必要な物、買ってこようか?手間賃は銀貨1枚で良いや…どう?」
しかし、リリはかなり汚かったんだな…スライムの彼女がまるでドブみたいに濁っている。
「それじゃ、お願いしようかな? それでそれ大丈夫なんですか?」
「スライムは悪食だからね…だけど、食べれると美味しいは違うから…これは流石に吐き気がする程気持ちが悪い…それじゃ、今度はあんただ…」
「あっごぼごぼっぐえぇぇぇぇぇーーー」
体中にスライムが入って来る感覚に襲われる…ううっ、こんな事なら先にしておくべきだった。
リリの汚物も一緒に口や鼻や目から入ってくるから…気持ち悪い。
俺の方は3分も掛からずに終わった。
「ぐえぇぇぇぇーーっ」
あれ、本当に気分が良い…体臭も全くしない。
「凄いな、お風呂に入った時以上に快適だ」
「そりゃ、そうだよ、これでもプロだからね…それじゃ後は買い物だね? 何が必要かな?」
「洋服と下着、あとは女性に必要な物をお任せでお願いしたい」
「解かった、それじゃ採寸してから行ってくる」
買い物から帰ってきた彼女に少し色をつけて金貨1枚払うと彼女はホクホク顔だった。
「そういえば遅ればせながら、私はスラミーっ…指名依頼宜しくね」
笑顔で手を振りながら帰っていった。
ここは地獄じゃ無くて天国だ。
あの後、スライミーさんが買ってきてくれた服をリリに着せて貰った。
但し、下着はつけてない…肛門がひらっきぱなしのリリはトイレが我慢できない。
つまり…垂れ流しに近い。
これも神官様が来るまでの我慢だ。
きっと…これで元のリリに戻る…そう考えていた。
「やるだけの事はやらして頂きますが、余り期待はしないで下さい」
来てくれた神官様がリリを見ていった一言がこれだった。
魔族だから人間なんか比べ物にならない…そう考えたが違っていた。
「やはり難しいのでしょうか?」
「そうですね…どの怪我も怪我して直ぐなら治療可能でした…ですが、壊れた恥骨や腰は変な感じで治っている…穴も同じです…簡単に言うと、今の状態を体がもう『正常』と判断しているんです。だからこの状態から治せないんです…治せるのは性病だけですね…スイマセン」
結局、俺は金貨1枚払って、2人の性病を治して貰った。
「いやぁ…凄かったですよ、淋病に梅毒にクラジミアに、エイズ…十数種類の性病に一遍に掛かるなんて、人間社会なら確実に死んでいますね」
確かに膿まで出ていたけど、そこ迄凄かったのか…
「そこ迄だったのですか?」
「はい、しかもリヒト君、貴方、我慢できなかったのかい? 性病と解っていてやるなんてオークみたいで、素敵ですね」
素敵…?
「自分の欲望に忠実なのは若いうちは良い事ですよ…ですが体にも気を付けて下さい」
「はい…所で体は無理でも、心は、心はどうでしょうか?」
「こればかりは何とも、ですが、私が考えるに…今のままが良いのじゃないでしょうか?」
「それは何故ですか?」
「そんな怖い顔しないで下さい! ですが…彼女の話は有名です、もし記憶が蘇り、正常になった時、心が耐えられるのでしょうか? 地獄の様な日々を耐える為に態と可笑しくなったなら…元に戻った途端に自殺してしまうかも知れませんよ…もし耐えたとしても精神が更に崩壊するかもしれない…多分、いまのまま…それが幸せかも知れません」
俺は、勘違いしていた。
記憶が蘇れば、思い出して貰える、また『リヒト』と呼んで貰える甘い日々に戻れる。
そう、思っていた…だけど、記憶が戻ると言う事は、リリにとっては地獄の日々を思い出す事になる。
あの綺麗で可愛かったリリがこんな体になった。
壺屋の話では1000を超えるオークに犯され、便所にまで繋がれた日々。
食料と言う名のウンコを貰う為に自分から体を差し出した日々。
目の前で勇者ガイアが殺され、2人の仲間も犯されながら自殺をした。
それも全部思い出すと言う事だ…
そんな記憶にリリは耐えられるのだろうか…いや、耐えられないから今のリリになったんだ。
もし、元に戻ったら…確かに自殺を選ぶかも知れない。
もしかして…『戻しちゃいけないのか』
あははははっ、このままが良いのか?
リリが俺の傍に居る…それだけで満足しなくちゃいけない…それ以上は求めちゃいけないのかな…
「あの…大丈夫ですか?」
「すみません、神官様、取り乱しました、これ寄進です」
「有難うございます、そうだ、貴方まだ邪神様にジョブをまだ頂いてないでしょう? こんど教会に来て下さい…ジョブの祈りをして差し上げますから」
「有難うございました」
「いえ…頑張って下さい」
神官様は帰っていった。
そうだよな…リリに会えないと思った時が俺にとって本当の地獄だった。
どんな状態だとしても、リリが傍に居る。
それは…地獄じゃない。
「リリ、君は今でも素敵だよ」
多分、意味は解って無い、だが俺がそう言って抱きしめると…リリが俺を抱きしめてくれた。
リリが傍に居てくれる…それだけで此処は地獄じゃ無くて天国だ。
そうだよな…リリ。
そこから始める。
「うんぐううんうんハァハァ」
「おはよう、リリ、だけど朝はそれじゃなく、キスの方が良いな」
そう言うと俺はリリに口づけをした。
「うううん? ううんうぐっハァハァ」
やはり、リリはキスをすると最初に少しだけ抵抗する。
これは、俺に対する思いだ…前に言ってくれた事を俺は忘れてない『リフトだけ』
つまり、この抵抗はリリの中で俺を思っての抵抗だ。
たった一つだけ、これだけが、ここ迄壊れたリリに残っていた。
「リリ今日も凄く可愛いよ」
そう言って頭を撫でた。
神官様が言った事は理解できた。
多分、リリの記憶が戻ったら、自殺するかもしれないし、精神が崩壊するかも知れない。
だから、無理して治すのは諦めた。
今から始めれば良い。
時間は沢山ある。
食糞を治す為にリリとキスをした後、直ぐに料理に掛かる。
もし、リリがこんな事になって無ければ、きっとリリが此処に立っていたんだろうな…
考えても仕方がない、今日のご飯は目玉焼きに腸詰肉炒めにサラダにスープ。
「リリ、ご飯が出来たよ」
「うう?あああう」
リリが何かする前に、食事を出す事にした。
お腹が空かなければ食糞みたいな事はしないと思いこうする事にした。
リリはなんだか少し戸惑っているが…
手でつかみながらクチャクチャ音を立てながら食べている。
気にしてはいけない。
そして、食後は…
「うんぐううん、ぷはっあ~むうんぐううん」
リリは今迄みたいに俺にフェラチオをしてくる。
「リリ愛しているよ…」
リリのフェラチオを堪能したあと….俺は体をかえしてリリの股の間に首を突っ込んだ。
俗にいう69だ。
リリの穴は大きすぎてかなり過激にしないと感じない。
だけど、穴に突っ込むだけがSEXじゃない。
親指並みに大きくなったクリトリスを咥え、まるでフェラするように頬張りしゃぶった。
これには驚く事に…
「ああっ、あああんああっ、ああーーーっ」
今迄と違い、リリが反応してくれた。
オークはだだ突っ込むだけだから、多分こういう行為が無かったのかも知れない。
他の行為では腕を突っ込む様な大事じゃないとリリに感じさせる事が出来ない。
この行為だけが普通の恋人の様にリリと同じ様に感じさせる事が出来る。
「ああっああん、あああっ」
何回かそれを繰り返したお互いにいった後に、リリのふくよかな胸に顔をうずめ…柔らかい体を抱きながら眠る。
こんな感じに生活を変えてみた。
リリが何かした結果、食料が貰える…そんな感じの関係を、俺がリリに尽くした結果リリが俺の愛に応えてくれる。
そういう関係に変えてみた。
これならオークとリリの関係じゃない、俺とリリの関係だ。
便器として扱うのではなく、恋人の様に扱う…
1人よがりの、おままごとなのかも知れない。
だが、それでも『リリを恋人として扱う』 そこから始めよう…そう思った。
勇者なんて要らねーよ
「リリ言ってくるね…リリはこの部屋から出ないで」
「あうわうわ」
一応、リリが外に出ない様に奴隷紋を使いお願いをした。
まだ当分、生活に困らない程のお金がある。
それなりに冒険者として優秀だったからな…
だが、問題はこれからだ。
魔王の天下になったから『討伐』の仕事は無い。
いや、ある事はあるが…相手は人間だ。
都心部で生きる事が出来なくなった人間が森などで盗賊をしている。
それが獲物だ。
ちなみにスラムにも人間はいない。
今現在は、人間から、沢山の物を手に入れた為、魔族は裕福だからスラムは無人だ。
人間は…こんな所に住んでいたら、そのまま食われてしまう。
そろそろ俺もお金を稼がないといけない。
その為には、俺が働いている間にリリの面倒をみてくれる人が欲しい。
普通なら冒険者ギルドに依頼できる。
冒険者ギルドは街の何でも屋を兼ねているからな。
だが、リリは人間だ。
人間をエサに考えている存在に任せるのは怖い。
冒険者だから、最低限の信頼はあるが…例えば料理の食材に人間を使った物を出したり、と種族の差はあるかも知れない。
俺が留守の間、リリを見てくれる人間が必要だ。
そう考えて俺は…再び市場に来た。
しかし…此処は、人間には地獄だよな。
「兄ちゃん、兄ちゃん、雌の肉の5歳もんが入ったよ、柔らかくてうめーよ」
「人肉のステーキ串だ、食べ歩きにどうだい?」
奴隷売り場に行く前に、この道を通らないといけない。
人間の死体や切り刻んだ状態で売られている人肉を見ながら歩かないといけない。
人間にとっては正に地獄だな。
だが、今の俺は何とも感じない。
心が完全に魔族になっているのが解かる。
昔の俺なら…そこで死んでいる人間を守る為に魔族や魔物と戦っていた。
これでも勇者パーティのメンバーだったんだ…
今の俺には…それは気にならない。
何時から俺はこうなったのかな…解らない。
◆◆◆
「買ってーーっ買ってーーっ私を買ってーーっ」
「お買い得ですよーーーっ、絶対に損をさえないわーーっ」
「お兄ちゃん、お兄ちゃんだよね…」
相変わらず凄いなこの場所は….今日も客は殆ど居ない。
確かに、戦争が一方的に終わり、大きな国の殆どの人間は、その時、欲しがった魔族の報奨金の一部として渡されたらしい。
需要と供給で供給が上回っているのだから…来ないか。
人間を奴隷やペット、性処理に使うのは魔族の中では獣姦扱い、オークやゴブリンでも変態扱いだから少数派なのだろう。
しかし、何時見ても、筋肉質の女やデブしか置いてない…完全に美的感覚が違う。
「しかし、見事に筋肉質の女ばかりだな」
「オークやゴブリンは直ぐに壊しちゃうからな…頑丈な女が人気なんだ、良質だろう?」
「亜人は魔族扱いだから、売り物には成らないのは解かるけど…ああいうエルフみたいに細い感じのは居ないのかな」
「あはははっ、確かに一部オークには人気があるが、あれは使い捨てとしての人気だぜ、1回で壊れちまうらしい…その壊れて泣き喚くのがあいつ等好きなんだよ…こう言う所じゃ、流石に使い捨ての粗悪品は売りたくねーから、細いのはさけているんだ」
やっぱりなどう見ても鍛えぬいた男に近い体の存在しか居ない。
多分、強そうだが、魔族社会じゃ意味はないだろう。
見た感じだと家事は出来なさそうだ。
「何だい、兄ちゃん、また壺を買いに来たのかい?」
「ああっ、俺は線の細いタイプが好みなんだよ」
「それじゃ、奴隷にはすくねーな、まぁ壺なら偶にいるけどな…但し」
「解っている、壺はあたりハズレがある? そうだろう?」
「その通りだ、解っているならいいさぁ…だがよ、今は…あたりばかりなんだが、兄ちゃんからしたらハズレしかねーな」
確かに面構えの良い、騎士みたいな感じしかいない。
絶対に家事なんて出来そうもないな。
「またくるわ」
「良かったら3日後に新しい壺女が入荷予定だから、来てみると良い」
「解かったよ!おっちゃん」
俺は収穫も無く市場を後にした。
◆◆◆
そう言えば、教会に来れば神官様が『ジョブ』をくれると言っていた。
だから、教会に来た。
「おや、貴方はリヒト君、早速来られたのですか?」
外は、通常の教会だが、中は凄く禍々しい。
流石は邪神を祀っている。
そう言う場所だ。
「はい、宜しくお願い致します」
そう言いながら、俺は金貨1枚を神官様に差し出した。
勿論、出さなくても良いが、寄進をするのはマナーだと聞いた。
「これは、これは…有難うございます…それではこの紙を咥えながら、邪神様に祈りなさい…すると体が熱くなります…その後に紙を見れば、貴方が授かったジョブが浮かび上がります」
「解りました」
俺は貰った紙を口に咥えて邪神の像の前に跪いて祈った。
俺は、女神イシュタスに祈り、ジョブは貰っている。
果たしてそんな俺に邪神はジョブをくれるのだろうか?
暫く祈ると、辺りに黒い羽が舞う様に落ちてきた。
「まさか…堕天使の祝福…私は今奇跡の瞬間に立ち会っているのか?…」
なにやら、神官様が棒立ちしている。
体が熱い…
紙に文字が浮かびあがった。
「神官様…これ」
「こここ、これは…魔王子…素晴らしい」
魔王子(デモノプリンス)?
「これは、そんな素晴らしい物なのですか?」
「素晴らしいも何も、この世で2番目に凄いジョブでこの世界に1人しか授かれません『魔王』のジョブの次に凄いジョブです」
王子とついているが、魔王は不死だから後継者という訳では無いのだろう..
「良く解らないな」
「このジョブは、魔族の使う全ての魔法を使いこなし、多くの魔族を従えさせる能力があります…この世界で魔王様に仕える未来が待っている最高のジョブです」
副官に手が届く…そういうジョブか。
「それじゃ、リリも治せたりしますか…」
「はぁ…あの奴隷ですか? 好きですねリヒト君も…無理ですね」
「何故ですか?」
「だってリヒト君はまだ十代…赤ん坊に近い子供じゃないですか? ちゃんと魔法が使えるようになるまで200年位かな?人間の寿命が間に合いませんよ」
数千年もしくは寿命が無い 魔王種の十代は確かに赤ん坊だ…200年経ってようやく人間で言う8歳位、そう言う事だな。
「有難うございます」
「それで、リヒト君、ジョブ何ですが、あと1つ読めない文字で書かれた物があるんですが…まぁ大した物じゃないでしょう?」
「見せて貰っても良いですか?」
「はい、どうぞ」
多分、上級剣士だ。
ジョブは悪落ちしても消えない…
女神イシュタスから貰ったジョブがそのまま残っていたんだろう。
だが…嘘だろう…何で『勇者』のジョブがあるんだ…
勇者のジョブは勇者が亡くなった時、身近な人間に移る事もあると聞いた事がある。
ガイアの身近な者は三職以外じゃ俺しか居ない…そう言う事か。
だが..要らねーよ。
くれるなら、聖女の男版、聖人が欲しかった。
こんなジョブ貰っても今更おせーよ。
「どうかされましたか?」
「いえ..大丈夫です」
俺はお礼を言うと教会を後にした。
何かが変わった日
ハァ~ 魔王子のジョブに勇者のジョブ、人類最高のジョブに魔族で2番目のジョブ。
だが、今の俺にはそれ程…大切と思わない…リリと暮らすのにそれ程…待てよ。
何か見落としてないか?
魔王は『欲しければ奪い取れ』そう言っていたが…何処にも奪い取れる環境が無い。
どう言う事だ….
冒険者ギルドで聞いてみた。
「リヒト君…常識知りなすぎ…良い、魔族の法律は街社会でのみ通用するのよ…だから弱い魔族や子供は街で生活しているのよ」
「それじゃ、街や都、村から出れば」
「弱肉強食、但し、余り弱い者ばかりと戦うと、周りから最低のレッテルを張られるわよ、まぁまだ子供のリヒト君は街からあまり遠くに行かない事…流石にまだ赤ん坊に近い貴方と戦う馬鹿は少ないと思うけど…絶対じゃないから気を付けてね」
そうか…魔物を狩っても問題ないのか。
◆◆◆
その話を聞くと俺は王都を出た。
「リヒト君、危ないから気をつけるんだよ」
良く門番さんが声を掛けてくれたのも…このせいだったのかな。
そして、街道沿いに進むと一件の家を見つける。
この近くにはオークの集落があるが離れている。
そして、集落は街じゃない…からそこも適応外。
ならば、簡単だ。
「あれっ、魔族の子か…」
「どうしたんだい…」
「お前どうしたんだ」
俺が子供だからと油断している。
「ごめん…死んで下さい」
俺は剣を抜くと、そのままオークの家族に襲い掛かった。
「待て、なんで同じ魔族…それが俺達を…」
「あなた、可笑しいわ…」
瞬く間に家族の父親を斬り殺した。
おうおう…凄い。
勇者のジョブがあるから、健在だと思っていたが…そうだった。
俺は魔物や魔族を殺しても、ちゃんとレベルがあがる。
「貴方~っ、ひぃ息子だけは、息子だけはーーーっ」
「煩い豚…」
「お母さん…だれか…助けて」
豚を殺すのに情けは要らない…そのまま首を跳ねた。
良質なオークの肉が手に入ったな…
オークの肉は柔らくて美味い。
きっとリリも喜んでくれる。
一応、首も全部収納袋に放り込み…血は全部拭いた。
後は、金目の物を物色して…おおっ金貨が20枚ある…貰いっと。
後は、女物の服か…リリの体は、正直言えばオーク並みの体系だ。
綺麗な感じの物を貰っていけば良い。
大体、偉そうに『正々堂々』?
卑怯な事した?
馬鹿じゃねーの?
勇者パーティは何時も敵地に乗り込んで不利な状況で戦っていたんだ。
それを俺は知っている。
リリや仲間を犯したオークが1000人居たと言う事は、たった4人に1000もの人数で襲ったって事だ。
正々堂々と、と言うなら、一騎打ちでもするべきだ。
自分の部下のジェネラルだって、卑怯な不意打ちで殺した…馬鹿だよな。
沢山の部下に囲まれて殺されたんだ…これを卑怯って言える訳ねーだろう。
それなのに、それなのに…あそこ迄の事をしたんだ..
だけど『勝てば官軍負ければ賊軍』勝った方の言い分が通る。
ならば、今度は俺が狩る番だ。
オークの肉は人間にはご馳走。
此奴らが俺には肉。
そして、魔族は力が全てで奪っても文句は言えない。
ならば…俺がオークを駆逐しても文句はない筈だ。
魔王子のスキルは中々レベルは上がらなくても勇者のスキルがあるからレベルは上がる。
どうなるかは解らない…だがもしレベルが上がれば、魔王子のスキルが上がればリリを治す力が手に入るかも知れない。
今回は3対1での戦いだった。
卑怯な三人組にたった1人で戦い勝利した…それで良いんだよな。
魔物も人も狩って狩って狩りまくり…リリを治してやる。
最早…俺は魔族でも人間でも無い…ただのリヒトだ。
可愛くて綺麗だから好きになったんじゃない。
更に生活を変えた。
リリがフェラチオを始めるより早く、俺は目を覚ます事にした。
「リリ、おはよう! チュッ」
「う~う?」
そして直ぐに調理に掛かる。
今日の朝食は、オークのステーキにサラダにスープ。
リリはオークが好きだったから喜ぶだろう。
リリは食事をしっかりあげれば食糞はしないみたいだ。
リリが性的な事をし始めるのを先回りして、食事をあげる様にした。
リリは相変わらず手掴みで食事をしている。
だけど、それでもリリは可愛い。
「あ~あ~うーうる?」
これはリリからの誘いだ。
ご飯が食べたいからじゃない、普通の誘いだ。
「リリ…しようか? チュッ」
俺は軽くキスをしてリリを抱きあげた。
「あ~あううるい」
相変わらず何を言っているのか解らない、まるで赤ん坊みたいだけど…嫌な顔じゃない。
そいて、そのままリリのポンチョのような服をたくしあげ、俺はズボンを脱いで69。
失敗を考えて俺は上でリリは下。
リリが苦しいと考えて逆でしていたが、リリの肛門は壊れているから…解るだろう。
「うんぐううんううんぷはぁちゅるううんハァハァ…ああんあああっああーーーん」
リリは頑張って咥えてくれているが…俺がクリトリスを攻めると喘ぎ声をあげ、手で擦り始めた。
「チュッチュッちゅぱぁつちゅうっ、うんうん」
リリのクリトリスは肥大しているから、半分フェラの様に吸える..それがリリは気持ちが良いいらしい。
「ああう、ああん、あうあああーーーん」プッシャーチョロチョロ..
リリが潮を噴きいった頃に俺も
「うっ」びしゅびしゅっーーっ。
同じ様にリリの手の中で果てた。
そして、その後はリリの大きくなった胸に顔をうずめ、少し眠る。
「あああう、あはぁあうと?」
リリは何かいつも言っているが意味は解らない。
だけど、偶に俺の髪を撫でてくれる事がある。
俺はリリが可愛くて綺麗だから好きなったんじゃない。
一緒にいると楽しくてホコホコした気持ちになる。
そこが好きだったはずだ…そしてそれは今のリリの中にもある。
今はそれで充分だ。
◆◆◆
リリは気持ちよさそうに、軽く髪を撫でてから、部屋にある鏡を見た。
姿が少し変わっている。
背が恐らく10?位は伸びて、体はより筋肉質に変わった。
昨日の俺より確実に強い。
これが勇者の力..
宿の窓を開けて、手を突き出し小さく叫んだ…「ファイヤーボール」
手から炎が飛び出して真っすぐ飛んでいった。
それと同時に「ブラックファイヤー」そう叫ぶと手から黒い炎がでた。
やはりそうだ…勇者の能力は急激にただの人間を超人の様にし、簡単にレベルが上がっていく。
そのジョブの影響で時間がかかる筈の魔王子の力も一緒にレベルが上がったようだ。
上級剣士のジョブは勇者のジョブに吸収されたのかも知れないが…剣も使える。
『これで良い』
俺は人間を殺しても魔物を殺してもレベルは上がる。
それなら『敵』だと思う奴を殺しまくれば強くなれるし『魔王子』のレベルが上がれば何時かリリを治す魔法が手に入るかも知れない。
さてと…今日も出掛けますか?
『楽しい豚狩に』
VSオークナイト ブーゴ
昨日、殺したオークの家に来てみた。
まだこの家の住民が殺された事に誰も気がついていない。
そして集落が近い。
ここを拠点にオークを狩れば良い。
と…思っていたが、関係ないな。
何故なら、レベルが低いとはいえ勇者だ。
そして、俺は勇者パーティの一員の時より恐らく強い。
殺せば、殺す程強くなる。
それにオークなら俺が欲しい戦利品を山ほど持っている。
さぁ行くか…
「こんにちは!」
「何だ、子供じゃないか? 子供なら街から出るな! 此処は弱肉強食の世界…殺されても文句は言えない..えっ」
「だから、殺しに来たんだよ…バーカ」
俺は剣を抜き目の前のオークに襲い掛かった。
横に剣を振るうだけであっさりと胴体が真っ二つになり崩れ落ちた。
「あああっお父さんが…お父さんが…」
「うるせい、ガキ豚は死ね」
軽く剣を振るっただけで首が落ちる。
近くに居る雌オークはガタガタ震えているが…関係ない。
此奴らは豚以下なのだから、殺して良し。
「許して、許して…許してよーーーっ」
「なに謝っているの? ねぇ? なにかお前は俺に悪い事したのか?」
「…」
「理由が解らないでしょう? 死ね!」
凄いな…勇者、簡単に殺せるし、簡単に強くなる。
さっきから体が熱くなり、またレベルが上がっていくのが解かる。
「お前、何やっているんだーーーーっガキでも構わない殺すっーーー」
「馬鹿か?」
こっちは元から殺すつもりなんだよ…それで殺す?
いちいち口に出さないで殺せっていうの。
ただ剣を振るうだけで豚は死んでいく…豚って言うのは豚に失礼か?
「何故だーーーっ、何故、こんな事をするんだーーっ」
「俺たちはただ、静かに暮らしているだけだーーっ」
サクサクサク…
最早話すのもメンドクサイ。
「助けて、助けて…お願い…」
「儂は良い、儂は死んでも良いから…孫だけは..」
子豚を生かす趣味はねーな。
爺頑張るな、ガキに覆い被さって守るなんて…意味ねーのに。
ザクッ、ザクッ…
「俺達が何をしたっていうんだぁ~」
お前達が悪いんじゃない…お前の種族と王…オークキングを恨むんだな。
それと肉がうまい事をな…
「なんでこんな事、なんでするんだよ…俺達が俺達が何をしたって言うんだよ」
豚が何か言っているが、知らないな。
だって豚なんだから…
そうだよ…リリに酷い事する様な奴の種族なんだから…この世から消えてなくなれっていうの。
気がついたら、殆どのオークを殺していた。
子供から雌、まで…恐らく殺した数は30を超えるだろう。
「貴様~この集落で何をしている…このガキがーーっ」
馬車に乗った鎧を着たオークが襲ってきた。
「お前は誰..」
「我こそは オークキング、ブータム様の騎士、オークナイトのブーゴだ」
ブータム、ブータム….
「ブータムかぁーーーっ! 卑怯者でゴミ野郎の部下…殺す殺す殺すーーーーっ」
「貴様、ブータム様を馬鹿にしているのか」
偉そうに豚が騎士面するな。
「ブラックファイヤーーーっ、ファイヤーボール」
二つを同時に発動させた…そして狙ったのは両足。
命中。
「ぶひぃぃぃぃぃぃーーーっ」
「豚がよく泣くもんだな…ええっ」
「貴様、貴様ぁぁぁぁぁーーーー卑怯だぞ」
「何処が?俺は30のオークを相手に戦って疲れている状態で連戦…その状態で戦いを挑むんだお前が卑怯だ」
此奴はただじゃ殺さない。
「殺してやるーーっ」
立てない状態で剣を振るってもね…さてと…俺は近づかないでファイヤーボールを投げつけた…今度は腕だ。
腕がまるで焼肉のように焼けて消し炭の様になった。
「ぶもうおおおおおっ、痛ええええええっーーー」
「お前さぁ、勇者パーティを倒した時に居た?」
「ハァハァ、居た、お前こんな事してタダで済むと思うなハァハァ…必ずや」
「ゴミ豚に仕える糞豚が偉そうな口きくなよな…なぁお前はその時に、勇者パーティの雌を抱いたか?」
「我はこれでも騎士だ、獣姦するような変態じゃない..ハァハァ、あんな便器使わぬ」
「そうか…それでオークキングは何処にいる」
「小さな国を貰った、此処から1日行った所にあるオークランド、そこの領主、国王だ…お前は国に挑んだのだ…地獄で..」
「そうか…クズの部下だが…リリに手を出していない..なら楽に殺してやるよ…光よ剣に集え…光剣」
「降伏する…捕虜の」
俺は光り輝く剣でブーゴを斬り捨てた。
リリに手を出してはいないから楽に死なせてやった…
リリが生きた地獄に比べれば…皆、幸せな死に方だ…たった数時苦しんだだけで死ねたのだから。
リリを苦しめた奴がオークランドに居る…いつか必ず皆殺しにしてやる。
ささやかな幸せ
ブーゴが死んだ事で、収納袋から俺でも物が取り出せる。
ブーゴは収納袋に何でも入れるタイプらしく、金貨30枚に宝石がやら薬草などが入っていた。
これでこの集落は皆殺しにした事になる。
1件、1件回っていくと、隠れている子供が数人いたから殺した。
オークの子供の肉は美味しいから殺さない手はない。
「た、助けて」
何も言わないで首を跳ねた。
捕らわれた人間が居たら、貰おうと思っていたが、この集落にはいないようだ。
よく考えたら、家族で暮らしている者が多かったから、この集落では人間を使ってないのかも知れない。
まぁ関係ないな。
集落を周り金目の物を収納袋に放り込み、今度は肉に手を付ける。
幸い解体には慣れているから片っ端から解体をし、収納袋に突っ込んでいった。
勇者と魔王子、そしてレベルが上がったせいか、解体すら素早く出来た。
多分ガイアの方が今の俺より強い。
そう考えたら…数の暴力以外で、あのパーティが負けるとは思わない。
オークランド…いつか全員皆殺しにしてやる。
兎も角、オークだ。
オークを狩れば、気も晴れるし、金もレベルも手に入る。
◆◆◆
「ただいま~」
「リヒトく…いえ、リヒト様お帰りなさいませ」
門番の人の態度が可笑しい…まぁ良いや。
宿に帰ると…
「ひぃ~殺さないで、お願いします…宿なら無料で自由に使って良いですから….」
「貴方に仕えさせて頂きます…だから、命だけはお助け下さい」
宿のオーナーである、ゴブオさんとゴブミさんが受付でいきなり命乞いをしてきた。
一応は体の血を流しているし、服も着替えたから見た目は背が伸びた位しか変わらない。
何が起きているんだ。
「殺す気はないから、安心して下さい…何で急にそんな態度をとるのか? 教えて貰えませんか」
「それはリヒト君…いえ、リヒト様が、そんな禍々しい魔気を放っているからです…我々ゴブリンは弱い存在なんです…宿代は…ハァハァ無料で構いませんから…助けて下さい」
「本当に、怖いんです…蛇に睨まれたカエル、猫に見られているネズミ所じゃないんです…ドラゴンに睨まれたネズミ…そういうレベルで怖いのです…」
「俺は何かする気はないよ…寧ろお世話になっている位だから…その魔気って押さえる事は出来るの?」
「怒りを抑えれば、多分…ハァハァ」
怒り?
俺はオークに対して『殺してやりたい』そう考えていたから魔気という物が出ていたのかも知れない。
リリの事でも考えるか?
「これでどうだ?」
「ハァハァ、これなら大丈夫です」
「はい、大丈夫です」
「そう、世話になっているんだから、代金は払うよ…怖い思いさせて悪かったね…ただいま」
「「お帰りなさい」」
多分、これは魔王子の能力の一つだろう。
勇者にはこんな能力は無い。
こんな能力があるのなら、強く成れば、誰かに命令して治療をさせる事も出来るかも知れない。
◆◆◆
「リリ、ただ今~」
「あうあかあうありまぁ~」
俺が帰ってきたのが嬉しいのか、トドの様な感じで這いつくばりながらリリが出迎えてくれた。
少しだけリリの表情に明るさが戻ったような気がする。
「リリ、今日はお土産があるんだよ…そうだ、つけてあげる」
俺は収納袋から、チョーカーを取り出し、リリにつけてあげた。
本当はネックレスをあげたいが…ひっかけて直ぐに切ってしまうのでこれにした。
首輪に見えなく、白の革製で真ん中に宝石が埋め込まれている。
うん、リリには似合う。
「リリ、今日は子豚(オークの子供)の肉を使ったカツレツとサラダにスープだ、いまから作るから待っててね、チュッ」
軽くキスをしてリリの頭を撫でた。
「ううう?ううん」
リリは俺の足にすり寄ると足にスリスリした後、ベッドの方にいき、器用によじ登っていた。
これは多分、リリなりの『良い子にして待っている』そんな感じなのかも知れない。
会話は成立しないものの、何となくコミュニケーションは取れるようになった。
辛い記憶を取り戻させる位なら、無理しないでこのままでも良いのかも知れない。
そう思う事もある。
「リリ、ご飯が出来たよ」
そう言うとリリは嬉しそうに這ってきた。
リリの事を考えて、テーブルはもう使っていない。
床に食事を置いて一緒に食べている。
うんうん、美味しそうに食べている。
最近では少し笑顔を見せてくれる時がある。
食事の時とSEX…まぁ69をしている時だ。
食事が終わると、その後は…楽しい時間だ。
リリは俺の前まで来ると、犬がお腹を見せる様に転がり、催促してくる。
俺はズボンを脱いでリリの顔に跨り、リリの股に顔をうずめる。
「うんぐううんうん、あむあむううんうんっぷはぁ」
「ちゅくちゅくちゅくペロぺろうんぐううん」
最近ではリリも胸を使い挟み込んでくれている。
コミュニケーションが取れない訳じゃない。
リリは食事の時と69の時だけは笑顔を見せてくれる。
この時俺は、ささやかな幸せを感じるんだ。
肉、悪魔という存在
今日は、また市場にきた。
3日目で壺屋に新しい壺が入ると聞いたのと…肉の売込みだ。
オークの肉は美味しい。
それに豚肉は普通に流通しているから、上等な豚肉として誤魔化せる気がする。
それに一旦美味いと言う事が解り、流通してしまえば『食べた事がある魔族』が街の外でオークを狩るかも知れない。
まぁ、最初は騙して売るしか無いけどな。
「肉って買い取って貰える?」
「まぁ、買い取らないでも無いが、何の肉だい」
「人間が美味いって食べている、豚に似た肉だ…イノブタって物らしい」
※この世界にイノブタはいません、主人公が適当に言っているだけです。
「へぇ~ 売れるかなぁ」
「今回は無料で良いよ…全部置いていくから市場の人でわけて売って…もし評判が良かったら次回にお金の話をしよう」
「それで良いのかい」
「まぁ食べた事無い物に値段はつけられないよね…だからこれは試食分って事で」
俺は収納袋から肉を取り出した。
「こんなに良いのかい」
「ああ、構わない、ただ次からはちゃんとお金は貰うからね」
「勿論だ」
俺は金が欲しい訳では無い…将来的に『オーク』が食べ物になる未来が見たい。
それだけだ。
そして俺はまた壺屋に来ている。
「おう、兄ちゃん…雰囲気が変わったな、それで今回も当たりばかりだ」
確かに見た感じ、面構えが屈強そうな女性しか居ない。
「たしかにそうですね…」
「まぁな、ハズレで四肢欠損も居るが、それは兄ちゃんが欲しい奴じゃないだろう…それで相談だが…今回は、本来は壺にも出来ない程粗悪なのが居るんだよ」
どんな奴なのだろうか?
壺にも出来ない…顔に問題があるのか?
「どんな感じなのでしょうか?」
「体は細くてやせている、本人曰く、人間の高貴な身分の出身らしい…ちゃんと話せて四肢欠損は無い」
本来は壺で見えない分の情報は教えて貰えない…更に言うなら『話』は出来ない様にさせられている。
「それって普通に中当りに聞こえるけど?」
体の線が細いだけなら…ハズレじゃない筈だ。
顔に傷があっても、余り魔族は気にしない…実際に壺にも普通の奴隷にも傷がある女は居た。
「まぁ悪魔様絡みだから、こんなのは他には居ない…本当に薄気味悪いんだ、1つ除けば兄ちゃん好みだから、とって置いた。だだ、兄ちゃんが買わなければ、この女は潰して肉にするしかねー、それ位の欠点がある」
「取り敢えず、見せて貰えますか?」
「ああっ、良いぜ…だが後でこんな者見せやがってと言うのは無しだ」
「解りました」
小さな壺置き場のテントに入るように言われた。
くすんでいるが髪は綺麗な金髪、目は水色でまるで湖の様に澄んだ瞳をしている。
耳は尖っていないからエルフではない。
だが、耳以外だけで判断するなら…エルフの王女だと言われても信じてしまう程の美貌だった。
ただ一つの欠点を除いて。
「これは…口をこんな形に変えたのでしょうか? それともこう言う口をした種族が居るのでしょうか?」
「これはお客様が見た通りの物です。当人の話では悪魔様に恨みを親がかってこうなったのだとか」
「という事は、此処から排泄するのか?」
「小水の方はそうですね」
悪魔とはこんな事が出来るのか?
こんな事が出来る存在なら、リリなんて楽勝に治せるかも知れない。
将来力をつけて、悪魔に命じてリリを治させればよい。
「悪魔様って頻繁に会えるものなのですか?」
「ハァ~あんた何を言っているんだ? 普段は魔界に住んでいるんだから、まず会える訳無い…魔王様にでもならなければ顔を合わせる事も殆ど無いだろう」
多分、人間側と考えが違う。
人間側では魔王の方が悪魔より上だと思われていたのだが…本当は魔王=勇者 悪魔=天使だった。
「そうだったんですね」
やはり人間側で育った俺は間違った知識も多いようだ。
この女性は…悪魔に怒りを買って…顔の口の部分が女性器になっていた。
口が悪い言い方だが…しっかりと毛が生えたマンコが口の代わりにある。
「それで、口は何処にあるんですか?」
「本来、壺は見えない部分の情報を与えないのがルールなんだが、本来の性器の場所にある…一応喋れるぞ…どうする? この気持ち悪い生き物?」
魔族から見ても気持ち悪いらしい…買わないと死ぬ運命。
だが、悪魔絡みでリリの体を治すヒントになる。
この人間は少なくとも『リリの体を治せる存在』を知っている。
「幾らでしょうか?」
「これもハズレ確定だが、肉には出来る、だから銀貨1枚でどうだ?」
「解かった買うよ」
俺にとって可愛いリリだが、あの体じゃ同じ人間から馬鹿にされる可能性がある。
彼女なら、そんな事にならない気がする。
「有難う」
俺は銀貨1枚渡した。
前と同じ失敗をしない様に気をつけないとな。
新しい壺の中身
今回は2回目のせいか落ち着いて話せる。
相手はプロなんだから相談した方が良いだろう。
「この前、壺を割ったとき悪臭がこみ上げて吐いたし怒られたんだ、何か良い方法は無いかな」
「ああっ、それは兄ちゃん銀貨1枚払えば、此処で割ってやるよ、洗体まではしないけど簡単にシャワーを浴びさせて引き渡しするぜ、+銀貨1枚で神官様の簡易治療付きであと銀貨1枚くれたらラブラブパック付きだ」
なんだ、そんな方法がちゃんとあるんじゃないか?
「神官様の簡易治療付きって何ですか? あとラブラブパックって何?」
「神官様が性病と簡単な治療をしてくれる、あくまでも簡単な治療だ。ラブラブパックは人間用の服も大量に手に入っているから5枚、下着と靴もセットでこの金額で提供している」
リリの時に言ってくれれば苦労しなかったのに…
「それはなんで前回の時に言ってくれなかったんですか?」
「いやぁ、銅貨3枚の壺を欲しがるくらいだから、金が無いかと思っていたんだ、悪ぃ」
「それじゃ、今回はフルセットでお願いします…あと出来たらマスクもお願いいたします」
「まぁ…流石にこの面じゃ連れて歩くのは恥ずかしいだろうな…解ったぜ、奴隷が銀貨1枚、奴隷紋が銀貨3枚、壺割が銀貨1枚 簡易治療銀貨1枚 ラブラブパックが銀貨1枚、合計銀貨7枚だ」
「はいよ」
俺は銀貨7枚を収納袋から取り出して払った。
「それで兄ちゃん、まだ線が細い奴がいたら欲しいかい?」
「積極的にはもう考えないけど、まぁ見させては貰うよ」
「そうか…それじゃ、全部終わらせておくから2時間位したら来てくれ…あと魔気は格上には使えないぞ…まぁ覚えたての頃は使いたくなるよな、ははははっ」
「使って問題はないんですか?」
「ああっ街の中だったら、問題ないな、魔族の魅力は力だから、強ければ待遇が良くなるのは当たり前だ…まだガキのお前に腹立てるような奴は街中じゃいねーよ…だが兄ちゃん筋は悪くないぞ、この前から随分強くなったな、一瞬だけ、兄ちゃんじゃなくて『お客様』って呼んじまった」
確かに数百年、数千年生きる魔族から見たら、俺はガキ、下手したら赤ん坊だな。
魔族の世界で生きてみて感じたのは…そこらへんの親父ですら強者がゴロゴロいると言う事だ。
こんな壺屋の親父が、多分ガイアより強い。
「気のせいか、おじさん凄く強く思えますよ」
「今は人生に疲れて壺屋しているが…これでも2800年前は8人衆の一人だ」
「8人衆?」
「ああっ、今は四天王とか言って四人だが、昔は8人居たのさ…その一人が俺だ」
「だからですか、お見逸れしました」
「いや、今はただの壺屋だ…だが兄ちゃん、あんたは赤ん坊の癖に親も居ないのに良くかんばっていると思うぞ、孤児だろう? 筋が良い1000年も頑張ればそこそこ強くなれそうだな、まぁ頑張れよ」
「ありがとうございます」
「ああっ、そして稼いで沢山の壺を買ってくれ」
「はい」
オークナイトを倒せるくらい強くなった筈なのに、この街に居ると全然強くなった気がしねーっ。
◆◆◆
時間が出来たから、市場を見て歩いた。
あいも変わらず、市場で売っているのは『筋肉質で大柄な女』が多い。
今のところ、顔見知りには合わない。
だが、もし顔見知りを見つけたら…その時、俺はどうするのだろうか…自分でも解らない。
「兄ちゃん、この肉結構いけるな」
「ああっ、油が乗っていて、最高級の豚肉みてーだ」
「次持ってきた時、うちが買ってやる」
「ちょっと待て、そこの兄ちゃんはうちに話をもってきたんだぞ」
オークの肉は思ったよりも人気が出ていた。
「また手に入ったら持ってきます…」
そう答える
「「「「ああっ頼むぜ(よ)」」」」」
今日、渡した肉屋の親父をはじめ何人かのお店から返事が返ってきた。
オークのいや、イノブタの肉はこれから大量に仕入れるから、良い商売になりそうだ。
2時間が過ぎ、壺屋に戻った。
「まぁ、こんな感じだ…どうだ?」
流石はプロだな。
リリの時と違ってばっちい気はしない。
いや、それどころかマスクをしている姿は本当に美少女にしか見えない。
綺麗な金髪の長い髪にやや高い身長。
切れ長の目につんとした感じ。
小ぶりな胸にすらっとした長い手足。
可愛いというより、クールな美人。
もし、マスクの下がちゃんとした口だったら、人間の奴隷商なら金貨千枚位で取引きされるに違いない。
今すぐ話したい..そういう気持ちに駆られるが…まずい話になる可能性もあるので、今は堪えた。
それに、人前で股間から声が聞こえてくるのも何かシュールだ。
「流石はプロ、綺麗ですね」
「おうよ、金さえ貰えればしっかりと仕事するぜ」
これで銀貨7枚(約7万円)なら安い。
「ありがとうございます…それじゃ連れ帰って良いですか?」
「ああっ、構わない」
「『黙って、俺についてきて』」
「…」
「それじゃ、失礼します」
「ああっ、また、買いにきてくれよ」
「はい」
俺は壺屋の親父にお礼を言って市場を後にした。
そういえば…宿屋の方にもう一人迎え入れたという話をしていない…
まぁ良いか、割増し料金でどうにかなるだろうし…無理なら魔気を使えば文句は言われないだろう。
ロザリア
「リリ帰ったよ~」
「あう、うあ~うわぁぁぁう?」
リリが返してくるが、何を言っているか解らない…意思疎通が出来たら、本当にそう思う。
「あっゴメン、もう話しても良いよ…自己紹介した方が良いかな、俺の名は…」
「知っていますわ…リヒト、勇者パーティの方ですわね…そしてそちらは聖女リリですわ」
勇者パーティと解っていて…俺は兎も角リリに『様』をつけないなんて。
かなりの上級貴族だったのだろう。
「それで、貴方はいったい?」
「私はプランドール侯爵家の娘ロザリアと申します」
侯爵家の令嬢…やはり、魔族が世界を制覇したから…こうなったのか。
「それが何でこんな姿に…」
「それは、私の呼び名に由来するのですわ、私は自分では言いにくいのですが『プランドールの白百合』と呼ばれていましたの…ですが、悪魔の中に同じく『百合』と呼ばれる悪魔が居ましたのですわ」
それがどうかしたのか?
「それがどうかしたのか?」
「ええっ、その悪魔が私の国に顕現しまして、自分の美貌にかなり自信があったようでかなりの方に『自分とどちらが美しい』かを悪魔という事を隠して聞いて歩いたのですわ」
この姿に変えられたと言う事は…多分悪魔が負けたのか。
「それで、貴方の方が美しいと言われ…その結果、その姿にされた…そう言う事か」
「その通りですわ…それで、聖女リリ様、お願いですわ…この姿を…」
「あうわうわ~」
「『あうわうわ~』って…まさか…」
「リリや勇者に起きた事は知っているだろう? この通りリリは心も体も壊れてしまった…これを言うのは忍びないが、リリが全盛期の聖女の時であっても…その姿を元には戻せなかったと思う」
ロザリアの表情が青くなり落胆したのが解かる。
「そんな人類最強の癒し手、聖女様で無理なら、もうこの姿は戻せないのですわね」
これだけの美貌の持ち主が、こんな事されたら、苦痛で仕方ないだろうな…
良く命を絶たなかったな…
正直に話す必要はない。
「だがな、リリは、聖女としての最強呪文『パーフェクトヒール』は覚えて無かった。 死んでいなければどんな物でも治せる究極呪文だ、これなら治せるかも知れない」
「そんな呪文があるのですね」
これは嘘だ…邪神に仕える神官が言っていた。
体が今の状態を正常だと思っている以上…例え、その部分を切除して治そうが…今の状態になるだけだ。
だが…そんな絶望的な事を態々いう事はない。
「まぁな、だがリリは、この通り、精神的にも肉体的にも壊れている…多分、もう治らない」
「確かに、そうですわね…私も噂で勇者パーティの最後は知っていますわ…壊れても仕方が無いですわ」
「ああっ…だが俺は諦めてはいない…どうにかリリが幸せになれる未来を探している」
「そうなのです? リヒト様の武勇は知っていますわ、ですがそれでも勇者には届きませんわ」
ロザリアは何を言っているんだ?
「俺は、別に魔王を倒そうなんて思ってないぜ…リリが幸せならそれで良いんだ! リリが幸せなら、人間も魔族も幾ら死のうと構わない。もし、リリを治してくれるなら、喜んで人類でも、魔族でも笑いながら皆殺しに出来る」
「リヒト様は…勇者パーティに所属していた筈ですわ…」
「そうだ、だが、俺は人間に良く似た魔族、しかも魔王種という種族だった。だから、種族なんて関係ない」
「そんな…それでは、リヒト様は…狂っていますわ」
「ああっ狂っているかもな? 魔王が勝利して全てが狂ったんだ…リリも俺も…だがな、世界は本当は、はるか前から狂っていたんだよ…そんな事にだれも気がつかなかったんだ」
「どういう事ですの?」
「だってそうだろう? ガイアやセシリアやリサが門に吊るされる時に、誰も魔族に石すら投げないでただ見ていた」
そうだ、あいつ等は誰も魔族に何もしなかった。
騎士だっていた筈だ。
「それは、誰だって魔族は怖い、当たり前ですわ」
そこが間違っている。
「だが、俺達はどうだった? 勇者パーティは、魔族相手に死ぬ気で戦わされていたんだぜ、馬鹿だよな、そして死んだら、罵倒だよ…負けたからこんな事になった、だとよ」
「…それではリヒト様はどうお考えですの」
「自分達だけが良ければ良い。それが皆の考えなら『俺も同じにすれば良かった』結果が解っているなら..魔族側に寝返えるだけで…リリも俺も幸せだったかも知れない…いや、戦いにそもそも参加しない…そういう選択もあった…一緒に逃げて二人で暮らせば幸せだった」
「確かにそうかも知れませんわね」
「あっさり認めるんだな」
「私もこんな姿になった途端に、沢山の婚約者候補が全員居なくなりましたわ…そして屋敷からも追い出されましたわ…正直言いまして魔族の世界になった時は、少しざまぁ見ろと思いましたわ…まぁ、まさか自分が最低の奴隷にまで落とされるとは思いませんでしたわね…まぁ食肉よりはましですわ」
しかし、股間から声が聞こえてくるのは何と言えないが…
「だから、俺達は『自分を優先』していきていく、主な目的はリリを元に戻す事だ…だからロザリアを買ったのは、悪魔の情報を知りたかった」
「私は…今話した通り、何もしりませんわ」
「ああっそれなら、俺が外に出ている間のリリのお守りを頼む…まぁ友達みたいにしながら、色々面倒をみてくれ…対価は衣食住の保証とロザリアの体を元に戻す手助けをする事でどうだ?」
「私は奴隷ですわ…そんな存在にそんな対価宜しいのですか?」
「ああっ、俺が欲しいのは奴隷でなく仲間だからな」
「それなら、お願いしますわ」
「あうあうわうわぁぁぁぁーーー」
「ああっ、リリごめん..すぐにご飯の支度するから、ロザリアも少し待っててくれ」
「リヒト様がするのですか?」
「ああっ」
仕方ないだろう…俺しかできねーんだから。
俺は優しいだろう
「リリ、ロザリア、行ってきます。」
流石に、1人加わった状態での愛の営みはしにくい。
「あうあうわぁ~ チュ」
キスだけで我慢した。
「本当に仲がよろしいですわね…それで何処にいきますの?」
「働かないと食えないから仕事…それじゃあな」
二人に見送られながら、宿を後にした。
「行ってきます」
「「ヒィ…行ってらっしゃい」」
やはり、ゴブリンのせいか宿のオーナー二人は最初の頃とちがって偶に怖がっている。
その足で、途中おもちゃのお面を買って…向かうはオークランド。
正々堂々…戦えば良いんだよな?
◆◆◆
案外近い…国とは言うが…見た感じは砦だ。
街中で襲ってはいけない…それは此処でも通用する。
だが、ここの領主はオークキングのブータムの国。
つまり、ブータムが責任を持って守る義務があるだけだ。
領主=国王…つまりブータムを殺してしまえばそれでおしまい。
他の国の存在が絡んでくることはない。
『こんな国王の居る国を選んだ』
それだけで…充分死に値する。
『さぁ、皆殺しの時間だ』
「入国ですか? 冒険者証を確認させて頂きます」
俺は買ってきた仮面をおろした。
「いえ、戦争です…豚を皆殺しにする為にこの国に来ました」
「あはは、子供は冗談が好きだな…よかったなガキ…此処はギリギリ街扱い、教育で..あっ」
俺は剣で門番を刺し殺した。
「馬鹿なの? こちらはしっかり、宣戦布告をした…ぼうっとしている奴が悪い」
「ひっ、人殺しだぁ~」
近くの普通のオークが騒ぎ出す。
「騒ぐ、騒ぐ…馬鹿だなぁ~騒ぐ前に逃げ出せば助かったのになぁ~」
「ひぃ~俺はただの農夫だ」
「俺は商人、殺すのは…」
「あははははっ、何を言っているんだ? だけどオークだ! オークに生まれた以上..死ね」
しかし、本当に弱すぎる…こんなのが沢山居た所で『勇者ガイア』が負けるだろうか?
絶対に『卑怯な事』した以外に考えられない。
「貴様ぁー罪もない人を殺したなーこの国ではそれは死刑となる」
此奴は何を言っているんだ?
俺の仲間を3人も殺して…リリを殺した。
「いや、こいつ等全員に咎はある」
「お前に何をしたっていうんだ? 話は聞いてやるこっちへ来い」
馬鹿なのか?
憲兵みたいな恰好をした豚が俺の方へ歩いてきた。
俺はちゃんと宣戦布告をしたぞ。
「豚が喋っている…死ね」
そのまま剣を横殴りに払い真っ二つにした。
「く、狂っている…一斉に飛び掛かれ、一般人だから殺すな、手足の1本も斬り..えっ」
遅いな…こんなの何人いた所で意味無いな…
こんな会話をしながら、簡単に殺せる。
殺せば、殺す程、体が熱くなり強くなる。
勇者の成長は速い、それに引き摺られるように『魔王子』の方もレベルが上がるようだ。
どれだけ殺したか解らない…気がつくと沢山の衛兵と騎士数人に囲まれていた。
「貴様、罪なき人々を殺して何の意味がある…何かの復讐か」
「この国の王は卑怯者だ…卑怯な事をして俺から大事な者を奪った」
「なっ、我らオークは正々堂々と来た者には、正々堂々と受けてたつ」
嘘ばっかりだな…
「なら、戦えば良い…俺はちゃんと門から入り、戦線布告をした」
「だがいきなり…」
「その場にいたオークは30人を超える…その場で1対30、国に対するなら、この国全部だ…これを卑怯と何故言える…武人、騎士だと言うなら、正当性を認めろ」
「なっ、もう良い…」
「死ね…これが奥義…光の翼だーーーーっ」
頭の中にこのスキルが浮かんだ…だが現れたのは光を纏った美しい鳥ではない。
なんだこれ、山ほどある真っ黒な三つ首の漆黒の巨大な鳥…それが現れ羽ばたく、その鳥に触れた者は黒い炎に焼かれて燃えていった。
可笑しい..これは『光の翼』じゃない…強いていうなら黒き翼だ…
だが、此の攻撃はこれで終わりでは無い…鳥はそのまま羽ばたき上空まで行くと羽ばたいた。
その羽ばたきで無数の羽が黒き炎になり地上へ落ちてくる。
その羽に触れた物は人、建物全てが燃えていく。
「ぎゃぁぁぁぁーーーーっ体が、体が燃えるーっ」
「助けてーーっ嘘、水を被っても消えないーーっいやだーー死にたくない。死にたくないーーーっ」
「いやだーーっ死にたくない、死にたくないんだぁぁぁぁぁーーーっ」
「結構、燃えたな…」
「貴様、いえ、貴方様は何者ですか?」
態と攻撃を避けた、騎士のような、オークが顔を真っ青にしながら俺に話しかけてきた。
「俺は復讐者だ…オークに大切な者を壊され、殺された者だ…たった一人で此処に戦争をしにきた..この状況で正々堂々と戦争をしにきた…これを卑怯とは言うなよ…」
「これは虐殺だ…」
「ブータムは俺の大切な者にこれ以上に酷い事をしたのだ…今更遅い…さぁ城に伝えろ、戦争しに来たとな」
もうメンドクサイ…面は要らない…
魔気を込めて…伝えた…
「ヒィーーッ ぶもっ…その目は魔王…魔王様~」
「さっさと伝えるが良い…」
確かに俺は魔王に似ているらしい…見間違えても仕方ない。
大量に魔力を消費したはずだが…成長の方が速く、全然魔力が減った気がしない。
今なら、魔王城に居た奴や壺屋のおっちゃんすら怖くない。
俺はやはり信じられない…ガイアは『光の翼』は使えた。
対魔王ようの必殺技だ…
それが魔王ならいざ知らず、オークキング如きに殺されるわけが無い。
「…たすけて…」
「ゆるして…」
最早消し炭状態だ…放って置いても死ぬだろう。
殆ど街が焼けつくされているな…城は…持ちこたえたようだ…
◆◆◆
城に着くと流石に待ち構えていた。
「まま…魔王様はいったい何をお怒りなのでしょうか?…我々が一体何をしたというのですか…」
「お許し、お許し下さい」
勘違いしているなら都合が良い。
「ならば聞こう…この中に勇者討伐に加わった者はいるか」
「はぁ、この城にいる者の多くは、栄えある討伐に加わりました」
「嘘をついていないか? 正々堂々では無かった筈だ…真実を述べよ」
「いえ…我々は…」
俺は魔気を込めて再度聞いた…
「嘘は許さぬ…」
「人質、人質をとりました…苗床に使っていた..ハァハァ人族の雌を….」
「それで?」
「無抵抗になった勇者を殺し、雌を犯し尽くしました…ブータム様の…ハァハァ命令で」
「それで、オークジェネラルは?」
「ただ、戦っただけで、卑怯な事はされていません」
やはり嘘だったな…
「そうか…ならば俺を騙したんだ..死ぬが良い」
『魔王子』のスキル『魔霧』という物が頭に浮かんだ。
それを唱えると、周りのオークは断末魔の末….死んだ。
多分、此処に居たのは…オークナイトやオークジェネナル等、上位種が多いのだろう。
さっきよりも凄い勢いでレベルが上がっていくのが解かった。
街のオークも含み、既に殺した数は3千位は越えただろう。
それでも体の成長はまだ止まらない…此処にいた上位種が如何に強かったのか解かる。
『魔霧』は城の中に広がり…俺が歩くたびに次々とオークが死んでいく…勝手に死んでいくので階級すら解らない。
魔王種とは良く言った物だ…この体は生物として規格外だ。
恐らく、成長が遅いのが唯一の欠点だが、それは勇者のスキルでカバーされた。
間違いなく…俺は強い。
◆◆◆
そのまま歩いていくと、王の間に簡単にたどり着いた。
そこには王の他に雌のオークが2匹居た。
「ぶひぃぃぃぃーーっ魔王様、お許し?…貴方様は何者でしょうか?」
「俺は魔王ではない…魔王子だ」
「何で、私達が何か、何かしたのでしょうか?」
「お父さんが何かしたの..」
「したよ…俺の友達を三人殺して…1人は壊した…しかも1000人ものオークに犯させてな…これで恨まない奴はいるのかな?」
俺は小さな雌オークの顔を軽く剣で傷つけた。
「娘は娘は助けて下さい」
「なぁブータム、卑怯な事をして勝った挙句…その後、凌辱の限りを尽くしたお前の家族に命乞いをする資格はあるのか?」
「待って下さい…私は、その様な卑怯な真似はした事はありません」
「部下が吐いたぞ…勇者パーティにした事を」
「勇者ですよ?…勇者には何をしても良い筈です」
「確かにな…だが、嘘をつくのは良くないな…何が正々堂々? お前も、オークジェネラルも、卑怯な事をして勝ち、凌辱の限りを尽くした…違うか?」
「それが魔王様の気に障り、貴方がきたのですか…謝ります…そして貰った報奨は…なにしているんだぁぁぁぁーーーっ」
俺は剣をそのまま娘に突き刺し殺した。
「お前の娘を殺しただけだが…なにか悪い事したのか?」
「確かに、嘘の報告をした事は悪い事です…ですが手柄には嘘はありません、それが何でこんな仕打ちを受けなければ…ならんのですかーーーっ」
「今回の事は、オークランドへの俺個人の戦争…そして俺は、元勇者パーティでお前が壊した女の恋人だった」
「そんな…魔族なのに…可笑しい」
「もうどうでも良いよ…ただ..お前等オークがさぁ、そんな残酷な事をする癖に、普通に家族を持って暮らしている事が許せねー…理解なんてしないで良い…どんな理知的な面があろうと…豚として扱う…ただ豚として殺す…それだけだ」
「あなたーーーっ娘が、娘がーーーっ」
「このチクショウがーーっ」
「その子は幸せだぜ…綺麗な姿で殺してやったんだからな…これは慈悲だ。俺の彼女は1000人のオークに犯されてボロボロだ…ウンコまで食わされて許しを請いながら生きたんだぜ…そして幼馴染は…失意の中で死んでいった…なぁ…それなのに加害者のお前達は街の中で城の中で..普通に生きていやがる…なぁ同じ様に殺した方が良かったのか?」
「待て、余はそんな事は命じて無い…部下が勝手にやったのだ」
「そうかもな…だが、お前なら止められた筈だ…王である以上お前のせいだ…」
「そうね…私はその事を知っていました…私と主人が死ぬ事で…」
「バーカ…騙されるかよ」
さっきから後ろを気にしているのが見え見えだ。
俺は、走っていきクローゼットを開いた。
居た居た..豚が1匹…
「やっぱり隠していやがったな…さっきのが娘だとしたら、反応が可笑しい、大方侍女でも替え玉にしたのか?」
「そんな、ブートリア…ああっ、お願い、お願いします…何でもします。なんでもしますからブートリアを助けて下さい」
「そうだな…だったらお前の旦那を殺せ、そして殺した後、脳味噌を全部食ったら…娘の命を助けてやる」
「そんな..」
「お前…ブートリアの為だ、余を殺せ…それで許してくれるのだな..」
「残念…手遅れでした~ ファイヤーボール」
「嫌、嫌ぁぁぁぁぁーーー熱い熱いよーーっ」
遅えーーーんだよ。
「あああーーーーーっ、あああああーーーーっブートリアーーーっ」
「さっさとしないお前が悪いんだぜ…バーカ」
俺はリリが助かるなら、あの場に居て同じ条件を出されたら、躊躇なく仲間を殺した。
こんなチャンスをやったのに…躊躇したお前が馬鹿なんだ。
「そんな、そんな…私のせいで…ああああーーーーっ」
「リリの時にはこんなチャンスすら無かったんだぜ…俺は優しいだろう?」
「もう良い…余が悪かった、悪かったのだ…言い訳かも知れぬが、余は勇者パーティの女には手を出しておらぬ…大勢で勇者を倒した、それだけだ…だが、その後の事は…知ってはいた。だが憎き相手…仲間を沢山殺されたから『地獄を味わえ』そうは思ったよ…お前からしたらオークは性欲の塊、そう思うかも知れぬがそれは1/3だ…残りの2/3は普通に家族を持ち生活をしておる…女を犯したオークの大半は城に居たから、お前が恐らく全部殺した筈だ…だが、お前はそれだけじゃ無く…普通に生活している罪もないオークを殺した…お前が殺したオークのメイドには、結婚を控えていた者もいる…」
「それが何だ?」
「解らぬか…狼に誰かが殺された…普通はその殺した狼を憎むが、種族事手当たり次第に殺したりはしない…そういう話であれば、沢山の生き物や魔物を殺し続けた人間はとうの昔に滅んでいる筈だ…お前は復讐者ではない、殺戮者だ」
「ああっ、それで良いぜ…俺はこれからもオークを殺し続ける、子供だろうと、女だろうと容赦しない…あの世で1000人のオークと後悔していな…あの時温情を掛けて楽に殺したら…ここ迄恨まなかった。 もし温情を掛けて解き放てば…俺は生涯お前に感謝したかもしれない…」
「そうだな…」
「お前達が、俺をオークスレイヤーにしてしまったんだ…それだけだ…全員楽に殺してやった…凌辱はしていない…相手は数千、俺は1人『正々堂々』戦って勝った、文句はあるか?」
「無い…さぁ殺すが良い、もし最後の慈悲があるなら、余は構わぬ、妻と娘は楽に殺してくれ」
「ああっそうしてやる…俺は優しいからな」
何故か残酷に殺してやる…その意識が無くなった。
俺は素早く剣を抜き、三人の頭を跳ねた。
これで、復讐は終わってしまった。
オークランドはその日…滅びた。
エリクサール
オークランドは、滅びた。
あとは残党を殺しながら…戦利品の回収だ。
部下はブータムが犯すように指示したと言っていたが、城には苗床の様な女が居なかった。
妻が居て娘が居たのだから…ブータムが言った通り部下の方が悪かったのだろう。
いずれにしても…戦利品の回収だ。
宝物庫の中を漁ると…価値が解らないのか、リサが持っていた、収納袋(無限)があった。
流石に無限ではないが…多分、小さな城が丸ごと入る容量を持つ。
聖剣すら転がっていた。
そのまま貰っておく。
めんどくさいから、全部丸ごと入れる…えっ、嘘だろう…まさかガイアのパーティの誰かが持っていたのか…神秘の薬、エルクサール
これは、死んでさえなければ全ての病気…怪我を治す奇跡の薬…確か全世界に12本しかない…そのうちの2本が此処にある。
やった…これなら、これなら…リリが治せる。
これこそが、人類最強の治療薬…これで治らなければ、人類の方には治療手段がない。
はやる心を押さえながら、城の宝物や使えそうな物を全部収納袋に突っ込んだ。
リサの袋は同じパーティのせいか使う事が出来る。
城の方が終わったら…横の大きな屋敷に入った。
なんだ、まだ残党が居たのか…
「うわぁぁぁぁーーーっ」
「死ね」
さっきと全然違う…ただのオークを幾ら殺してももうレベルは上がらないのかも知れない。
王城程では無いが此処の宝物庫にもなかなかの物がある…だが、問題はもう一つの扉だ。
「ううっううーーー」
「誰かたすけて…」
やはり、嘘をついていたのは部下だったな…
この世界にはもう人の生きる場所は無い。
逃がしてあげても、誰かに捕まり、殺されるか…さらにひどい事をされるだけだ…
今の俺には彼女達は守れない…
『ごめん』もう俺は人間ではない…「
「魔霧」
オークが簡単に死ぬんだ…人間は簡単に死ぬだろう…
俺は苗床になっている女や檻の中の男を霧を使って殺していった。
皮肉な事に俺の体は人間を殺してもレベルが上がる。
まるで人間は別腹とでもいう様にレベルが上がった。
1件ずつ全て見て周り…生き残りのオーク、苗床状態の人間の女を殺して歩いた。
これだけあれば、一生所か二生三生は遊んで暮らせるだけの物がある…
最初に焼いたり霧で殺してしまったから、少ないが残りのオークは刃物で殺して解体していった。
もしかしたら、これで全員殺したと思うが…最後に
「ファイヤーボール」「光の翼だーーーっ」
瞬く間に炎が広がっていく…これで良い筈だ。
◆◆◆
エルクサールに莫大な金や宝石に経験値…今回の収穫は大きい。
これなら…リリが治せる…これで俺の目的は達成されたのかも知れない。
俺は…リリに少しでも早く会いたくて…これでもかと素早く走って帰った。
少しでも早く…リリに会いたい。
昔のリリに早く会いたい…これで会えるんだーーーっ
奇跡は…
飛び込む様にして宿に帰った。
「どうしたのです、そんなに急いで、何かあったのですか?」
「あう~?」
「ああっ、もしかしたら、お前もリリも治せるかも知れない」
「本当なのです…ああっなんて素晴らしい日なのでしょうか」
俺はエリクサールについてロザリアに話した…
「あの、伝説の秘薬が…手に入ったのですか?…それなら、絶対に治る筈ですわ」
「だが、これで治すには一瞬が勝負だ手伝って欲しい」
「解りましたわ…そのリリさんが終わりましたら…私も」
「安心しろ..必ず治してやる」
「うん?」
リリは無邪気にこちらを見つめている…
◆◆◆
「うぐぅぅぅぅぅーーーーっ」
俺はリリをロザリアと一緒にベッドに括りつけ猿轡を噛ませた。
今から、俺はリリに酷い事をする。
手に入れた聖剣をかざした。
「良いか、俺が首を跳ねて、体の方を投げ飛ばす…その瞬間に…」
「私がエリクサールを振りかければ良いのですわね」
そう、これは一瞬の勝負、エルクサールは『元に戻す』ここ迄壊れてしまった状態であれば、壊れた部分を切断して…正常な部分から再生する必要がある。
だから、首を切断して…リリが死ぬ前にエリクサールを頭に振りかける。
それが必要だ。
「行くぞ…」
「任されましたわ」
「うぐぅぅぅぅぅーーーーっ」
俺は聖剣を振り下ろし、一瞬でリリの首を跳ねた。
その瞬間リリの体を蹴り飛ばす。
「今だ」
「はいですわ」
ロザリアがエリクサールを振りかける。
リリの首が光り輝きだした。
「やった、成功だ」
「やりましたわ」
リリの首から体が生えてきた…だが見た瞬間…
「ああっ、駄目ですわ…リリさんがこれなら…私も、私も…ああっ女神の奇跡が通じないなんて..あああああぁぁぁぁぁぁぁーーーっ絶望しかありませんわーーーっ」
生えてきたリリの体は、切断前の体と全く同じ体だった。
そうか…確か、神官様は言っていた。
『今の状態を体がもう『正常』と判断している』
つまり…エリクサールすら、今の体を正常と判断してこの状態に戻してしまう。
駄目だ…もう人間側には…リリを元に戻す手段はない。
これからは『魔族側』で治す方法を探すしかない。
リリ…ごめん…
その時、リリの猿轡が暴れたショックで外れた…
「リヒト、リヒトーーーーーっ助けて、いやぁあぁぁぁぁーーーっ、嫌だよーーー」
嘘だろう…まさか、エリクサールのせいで…精神の方が治ってしまったのか…
不味い
「死ななきゃ…リヒト見ないで死ななきゃううううーーーっ」
ヤバイ、ヤバイ、リリが舌を噛んでいる、血が出ている。
咄嗟に俺はリリに覆い被さり鼻をつまもうとした。
「嫌ぁ、いやぁぁぁぁぁぁぁーーーっ、このまま、このまま死なせて…今の私を見られたくないーー死なせてーーっ」
何とか鼻を摘まんで..息継ぎの瞬間..指をリリの口に突っ込んだ。
「痛いっ」
だが、痛みなんて気にしている場合じゃない。
噛まれた指を気にしないでもう片方の腕でリリを抱きしめた。
それでも、リリは狂ったように指を噛んでくる。
「うぐ。しましゅてーーーっ」
指からは血が滴り…指の骨が見えている。
リリの為なら指の2本位…要らない。
泣き叫ぶリリを抱きしめながら…絶望から座り込むロザリアを見て…ただただ絶望するしか無かった。
新しい始まり
記憶が戻ったリリは大変だった。
「こんな汚れた姿で、どうして、どうしてリヒトの前に居られるというのよ…」
「私、本当のゴミだから…捨てるか、殺した方が良いよ..」
これで良い方だ…
悪い方に傾くと…
「いやぁぁぁぁぁぁーーーっ、殺して、私を殺してーーーっ」
と殺してくれと叫びまくるか…油断していると自殺を図ろうとする。
幸い、お金には困っていないのと、ここの宿屋の主人や奥さんはゴブリンなので怖がって俺には文句を言ってこない。
だからリリに付きっ切りで居られる。
ロザリアと俺が交代交代で見ているが…目を離すといつ死ぬか解らない。
だから…仕方ないから脅しを掛けた。
「リリ、俺はお前が好きだ…だからお前が死んだら生きていけない。それで良いなら死ねば良い…だが、お前が死んだら、俺は直ぐに後追って死ぬからな…もし死ぬなら、それは俺を殺すのと同じだ」
それを言った途端、リリは真っ青になった。
「ずるいよ…それを言われたら、私、死ねないじゃない…こんな雌豚…公衆便器以下の姿を晒しても、生きろ…そう言うの」
「ああっ、それでも俺はリリに生きて欲しい」
「解ったよ…その代わり、リヒトが要らなくなったら言って…自分で死ぬから」
「その日は絶対に来ないな」
リリの『死にたい』その気持ちは異常なほど強い。
奴隷紋ですら止められないのだから。
◆◆◆
「リリ、ロザリア、ご飯が出来たよ」
「はーい」
「はいですわ」
悪夢のような一夜が明けて朝が来た。
お金というならもう腐るほどある、もしかして寿命も無いかもしれない俺は兎も角、二人が一生どころか三生生きても使えない位はある。
エリクサールで治った場所が他にもある。
それはリリの腰だ。
流石に歩けない程の異常はエリクサールも可笑しいと捕らえたのだろう…歩けるようになった。
「今日のご飯は卵焼きとサラダとスープにパンだ…懐かしいだろう」
「そういえば、よく昔食べたわね、懐かしいわ」
「美味しそうですわ」
リリが座れるのだから、テーブルで食べても良いが、ロザリアの事情でそうはいかない。
ロザリアの口は股間にある。
ロザリアは大きく股を開くと、ナイフとフォークで股の間の口へと食事を運んで食べている。
男の俺から見ると実に悩ましい。
「リヒト…なんでロザリアを見ているのかな?」
「ちょ、恥ずかしいですわ」
「あっ…ごめん」
二人から白い目で見られた。
「リリ、ロザリア…少し話をして良いか?」
食事が終わり、紅茶を出した後、俺は少し話をすることにした。
「どうしたの? リヒト改まって」
「どうかされましたか?」
「二人の外見、だけど、そのままじゃダメなのか?」
「リヒト…どういう事?…」
「リヒト様…酷いですわ」
最近になって思う事がある。
俺がどんどん魔族として成長しているからかも知れない。
今の俺には外見の拘りは…あまりない。
だって、今や魔族が支配した世界なんだ、人間の美しさに価値なんて無い。
実際に奴隷市場で売られている人間で価値があるのは「筋肉質で壊れない女」だ。
リリもロザリアも人間の目から元は美少女だが…壺屋で売られる程魔族にとっては価値が無い。
「いや、俺が好きになったのはリリの外観じゃない中身だ…そういう意味なら、今のリリでも十分すぎるほどそばに居てくれて嬉しい。ロザリアだって一緒にわずかだが居て良い奴だと解る」
「リヒト?」
「リヒト様?」
「簡単に言うなら、今の姿でも十分魅力的だと言う事だ、それ俺の姿を見てみろよ? 最早魔王その者だぜ…人間の世の中なら、ガイアが聖剣もって追ってきて教会に殺されかねない、醜い姿だ」
「確かにリヒトの姿は美青年だけど…確かに魔王そのものに近く見えるね」
「魔王ってそんな姿なのですか…」
「世界は魔族の物になり…人間の美しさその物の判断基準が今は違う…外を歩けば魔族しかいないし、この宿のオーナーもゴブリンだ…人としての美しなんて最早価値はないと思う」
「そうか…そうだよね人間が負けたから…価値が違うんだ」
「それでも、私は…魔族からも気味悪がられていましたわ」
うっリリは兎も角、ロザリアは違うな。
駄目だ…上手く言えない。
「あーあ、あーあ、上手く言えないけど…充分二人は綺麗だと言う事だ…悪い、ちょっと出かけてくる」
「リヒト…ありがとう」
「リヒト様、ありがとうですわ」
なんだか恥ずかしくなり…俺は振り返らずに外に出た。
魔王とヒント
「リヒト殿、魔王様がお呼びだ」
朝一番に魔王様からの使いがきた。
しかも逃げられない様に馬車で…
身に覚えは…ある。
横で寝ている、リリとロザリアに…
「ちょっと行ってくる」
「むにゅ、むにゅリヒト解かったぁ~」
「リヒト様、行ってらっしゃいですわ~」
挨拶だけして直ぐに出掛けた。
俺の組んだ相手はなんでこう朝が遅いのか…まぁ良いけどな。
◆◆◆
『殿』ね。
明かに使いの態度が違う。
それは俺が多分急激にレベルが上がったからだ。
『勇者』のジョブはやはり破格値だ。
急激にレベルがあがり、成長する。
しかも限界突破があるから際限なく強くなる。
今迄敵わないと思っていた魔族が…今じゃ雑魚に感じる位だ。
馬車に揺られながら、城についた。
しかし、魔王は此処を気に入って住んでいると言うが…魔王城は放って置いて良いのだろうか?
門番が何も言わずに頭を下げた。
前とは随分違うな。
「久しいな、リヒト子爵」
名前で呼んでいる。
この前の時とは随分と違う物だ。
「魔王様には久しく」
「それは良い、儂と同じ魔王種…どうしてそうなったか解らぬが…成人しており、この城の中の魔族でも上位に匹敵しておる、まさに魔王子…そう扱う事にする」
「それは有難うございます」
勇者のジョブのせいか…魔王すら怖く感じない。
「うむ、魔族は力が全て、文句は言わぬ。だが何故オークランドを滅ぼしたのだ」
「うちのペットに酷い事をしたから…あとオークは美味いからですね」
「美味いのか?」
「なんなら、食べられますか?」
俺は収納袋からオークの肉の燻製を取り出した。
「これは燻製にした物ですが結構いけますよ」
「ほう…それがオークの肉か?」
豪快だな、あとで食べるかと思えば、いきなり食べた。
「これは中々美味い…もし他にあるなら献上せぬか?」
オークはまた狩れば良い。
魔王が気に入って食すなら…これでオークを完全に食料と言い張れる。
「それでは、今の手持ち全部を置いていきます、他の方にも振舞って下さい」
「うむ、そうしよう」
俺は手持ちの肉の大半を収納袋から出して床に置いた。
「これでいかがですか?」
「暫くはオークに困らぬな、まぁ魔族は力が全て、オークランドの土地はどうする? お前の物にしても良いのだぞ?」
燃やしてしまったから意味はないな。
「今暫くは領地を持たずにブラブラしたいと思います」
「そうか…それで、お前の爵位は、オークランドを滅ぼした事から伯爵に格上げしてやろう…魔王種で成人誰も文句は言わぬだろう…あと、お前のペットだが、聖女の成れの果ては…もうお前は治す術をもっている筈だ」
俺のスキルの中に…あるのか?
「そうなのですか?」
「ああっ、魔王、魔王子のスキルの中に…『合成』というスキルがある…体をどうにかしたいのなら、首を斬り落として、体を別の者から手に入れくっけてしまえば良い…どうだ」
どうだも、何も…これで解決じゃないか?
「有難うございます」
「いや、良い…あともう一体のペットは、何も出来んぞ?」
「何故でしょうか?」
「あれは、悪魔様の気まぐれだが…あれは呪いでなく『プレゼント』だ」
あれがプレゼント?
「あれがですか?」
「悪魔様の感覚は儂にも解らぬ…自分と同じ『百合』のあだ名を持つ者が居たが、人間で年を老いたら可哀想だと…悪魔化したのだそうだ」
「ですが…あの容姿は」
「だが、そのおかげでたかが人間が、数千年の寿命を得、齢をとらなくなった…まぁ、あの姿は儂も可笑しいとは思うが…そこは悪魔様仕方がないだろう…最も、特に能力は無く、ほぼ寿命が無くなった…それだけのようだ」
それでは、ロザリアは治らない…そういう事か?
「それでは、治せないですね」
「無理だな…合成で首から下を他の種族に変えたら食料が搾取出来ないで死ぬだろうし…体の構造その物が悪魔様が特別に改造したから手が付けられない…こちらは諦めるしかないだろう」
「所で、なんでそんな事を教えてくれるのですか?」
「お前に貸を作るのも良かろう? それに、お前の弱点を調べるついでだ」
「弱点?」
「お前の弱点は…あのペットだ。儂に敵対すれば、即座にあの2匹を始末する…リヒトお前は逆らえぬよな? 儂からしてもあの2匹が居なくなると、お前の弱点が無くなり困るから、治せるように調べた、それだけだ」
そう言いながら魔王はにやりと笑った。
魔王は…怖えな。
エルフの首チョンパ
「ダークエルフが良い…」
「いや、リリは…どう見てもエルフだろう?」
「リヒト、私の何処を考えてエルフって言っているのかな? そこんところ…説明して」
「いや、リリは色白だから、ダークエルフの肌は合わないだろう?」
「そうよね…私の雪の様に白い肌にはやっぱりエルフの方がお似合いよね」
「そうだよ! やっぱり、リリと言えば、チビで貧乳がトレードマークだから、うんやっぱり..」
「リヒトーーーっ、やっぱりそれじゃない!」
「まぁな、だけど、そんなリリが好きなんだからいいんじゃないか?」
「う~まぁ良いわ、どうせ抱くのはリヒトなんだから」
「あの…結構、2人とも恥ずかしい事いっていますわ…自覚ありますの?」
「「あっ」」
「幸せそうで何よりですわ…私なんか…絶望ですのに」
「一応ロザリアの事も考えているから大丈夫だから」
「そうよ!」
「一応なんですね…ハァ~どうせ私は恋人でもなんでもありませんから仕方ないですわ」
「まぁ、ちゃんと考えてやるから」
「そうよ、私だって元聖女、人類最強の癒し手だったんだから、任せて」
「ハァ~ 解りました」
魔王から聞いた『合成』について考えていた。
此の世界は既に魔族が支配している。
そんな中で、エルフとダークエルフは亜人として魔族と同じ扱いになっているので、今更人間と合成するよりは、亜人と合成した方が良いと思って提案した。
そうしたら…まぁリリは昔、貧乳を気にしていたから、こんな話の流れになった訳だ。
更に言うなら、エルフやダークエルフは魔族からは人気が無いので、次の悲劇に会いにくいからお勧めの様な気がする。
◆◆◆
オークランドの先にエルフの集落があるという情報をギルドで聞いたので、そちらに向かった。
リリとロザリアは留守番。
連れていくかどうか最後まで迷ったが…リリもロザリアも優しい所があるから…罪もない者を殺す。その瞬間を見たら止められるかも知れない。
二人には一応『死体を買いに行く』そう言って出てきた。
何も、態々こんな事を伝える必要はない。
汚い事は全部、俺がやれば良い。
ここがエルフの集落か…
流石は自然を愛する森の種族.だけあって村だな。
戦闘力は多分、オークと変わらない。
オークよりは強いかも知れないが数が少ないので皆殺しでも問題が無い。
だが、何もそこ迄する必要はない。
必要な人数は『たった2人』だけだ。
「ようこそ森の民の国へ、こちらにはどう言った御用でしょうか?」
集落…村にしか見えないが…これでも国なのか。
「今回は、観光で来ました」
俺は冒険者証を渡した。
「はい、確認しました。それでは小さな国ですが楽しんで行って下さい」
「有難うございます」
さぁ此処からどうするか?
折角だから『出来るだけ綺麗な肉体を用意したい』
目移りするな…美男美女しか存在しない。
誰もが美しい。
人通りの多い場所を選び人選に入った。
背が低くてリリに近い体のエルフ。
それと出来るだけ綺麗なエルフ。
最低2体。
「あ~あ気持ち悪い…エルフだからってジロジロ見るなんて…最低」
「本当に気持ち悪いわね…あの男露骨すぎるわ」
まぁ確かにジロジロ見ているから、言われても仕方ない。
だが、リリの為だ…中傷は我慢だ。
暫く見ていると…
「あそこに不審者が居ます、捕まえて下さい」
何やらエルフの騎士が来た。
「ちょっと君、此方へきたまえ」
「いや、俺はただ見ていただけだ…それが罪になるのか?」
「嘘です、その人さっき、女の人に抱き着いていました」
「私も触られました」
なんだこれ…温厚な森の民と言うが違うのか?
どう考えても冤罪を着せようとしている気がする。
「俺は、そんな事はしていない」
「そうか~だが複数の人間の証言があるのだ、取り調べは受けて貰うぞ」
「どう考えても、こんな場所でそんな馬鹿な事をする訳ないだろう」
「良いから来い」
今騎士が笑った様な気がした…これはグルだな。
◆◆◆
エルフの砦にて。
「此奴が不埒な事をしていた人族か?」
そうか、亜人だから、俺が魔王種だと言う事が解らないのか…好都合。
しかし、このガキ…だれだ。
「なんだ、このガキ…」
「無礼者めがーーっ! この方はこの国の女王にてハイエルフであられる、クリスティーナ様であらせるぞ」
「ほう…それで?」
「貴様が我が民に不埒な事をしたのは騎士のエルダから聞いておる..それで、お前どうする気だ?」
騎士所か国絡みか。
「どうするとは?」
「罰金を支払い、このまま何事もなく過ごすか? それとも牢屋にぶち込まれるかだな。ちなみに牢屋に入ったら最低3年は出さない」
ハイエルフと言う位だから…他のエルフより上なのだろう。
しかも背は低くて貧乳。
リリの体に丁度良い。
もう一体は、あの騎士で良いか?
大体、此の間に30人、男が8人だから…女が22人。
こんなのは相手にならないな。
「脅しですか?」
「脅しではない..罰だ」
「そうですか?」
聖剣を収納袋から聖剣を取り出し、俺は一足飛びに、クリスティーナを斬りに掛かる。
「貴様…何を」
「遅い」
クリスティーナの首は胴から離れて転がり落ちた。
その瞬間急いでクリスティーナの体を収納袋へ回収した。
「貴様ぁーークリスティーナ様をーーっ」
此の騎士の体は出来るだけ全部欲しいし首も欲しいから聖剣を構え横殴りに斬った。
聖剣はまるでバターを斬る様にエルフの騎士を上下真っ二つにした。
そのまま全部、収納袋に放り込んだ。
これで欲しい者は手に入った。
後は、このままずらかれば良い…だが折角だから、失敗した時の為に予備も貰うか?
「貴様ぁぁぁぁぁーー女王様を殺すなんてーー死罪だ」
「きゃぁぁぁーーー人殺しーーっ」
「只では置かぬぞーーーっ」
「卑しい人族の癖に」
煩いな。
「俺は人族ではない…正当な魔族のそれも貴族階級の者だ」
俺は魔気を強く放った。
「まま魔族…?」
「そう、それも貴族階級のな…それを罠に嵌めたんだ殺されても仕方なかろう」
俺は魔霧を放ち、周りのエルフを皆殺しにした。
全てのエルフの女の死体を収納袋に放り込んだ。
結局、他のエルフには気がつかれないまま、俺はエルフの国を後にした。
合成
早速、宿に戻ってきた。
俺は収納袋から出してハイエルフの誰だっけ?の体を取り出した。
「これが、リリの体にする予定なんだけど、どうかな?」
「へぇ~貧相な体…まぁ…リヒトがそれが良いなら別に良いわ…その抱くのはリヒトだからね」
「それじゃ、やろうか?」
リリが目を瞑った。
2回目とはいえ…やはり、緊張はする。
「スパっとやって頂戴!」
「いくよ…」
俺は聖剣を抜き、リリの首を跳ねた。
合成は、死体からキマイラを作る様なスキル。
そう考えたら、急ぐ必要はない。
リリの首とハイエルフの体を繋いだ。
「合成」
首と体が光り輝き…繋がり一つになった。
傷口も無く完璧に見える。
「リヒト、もう終わったの?」
「ああ、見事に繋がっているよ」
「ああっこれ」
何か問題があったのか…またも失敗したのか?
「どうしたリリ、なにか問題でも…」
「この体、胸が元より小さいし、お尻も小さい…うっ、しかも身長も低い」
「そうか…俺には元と変わらないと思うが」
「そんな事無いわ」
「そう..取り敢えず、良かったよ」
リリは体のあちこちをペタペタと触っている。
それを羨ましそうにロザリアが見ている。
◆◆◆
「ロザリア…一応、俺なりに考えた事はあるんだ」
「どうせ、私は無理なんですよね…」
「いや、そうでもない…ただリリとは違って別人になると言う事なんだが…」
簡単に言うと、ロザリアの脳味噌を取り出して、エルフの死体の中に入れて合成させる。
姿形は変わってしまうが…これなら体は治った事になる。
「そうですね…あのどんな体か見せて貰っても良いですか?」
「ああっ、取り敢えずこれなんてどうだ?」
「それエルフの近衛騎士団長のエルダですわ…リヒト、何をしていますの? う~それで手を打ちますわ」
此奴、これでも有名人だったんだな…まぁ良いや。
「それじゃ行くよ」
聖剣でロザリアの目から下の辺りを狙って切断した。
そのままの状態にして…吐き気を押さえながらエルダの頭部を切り脳味噌を掻きだす。
その部分にロザリアの頭部から慎重に脳味噌を取り出し、エルダの頭に納めて頭部の骨で蓋をする。
その状態で下半身も持ってきて…
「合成」
体が光り輝き…傷口が塞がっていく…
見た目には、うんあの小生意気な騎士が蘇ったように見える。
「どうだ…ロザリオ…」
「他の体に入ると言うのは不思議ですわ…等身が違うので微妙ですが、うん凄いですわ」
ロザリアの抜け殻は収納袋にしまって置く。
「リヒト…なんで私の体はチビで貧乳なのかな?」
「リリの体は、元に近い体を選んだ、それだけだよ」
確かにロザリアのほうは…うんエルフにしては確かに肉つきが良いな。
「まぁ、良いや…これリヒトにとっては好みの体なんだよね」
答えずにいると…リリとロザリアに押し倒された。
「あんな醜い体でもリヒトは中身が私なら愛せるんだよね? これなら何日位出来るかな?」
「私の体も、折角だからやりませんか?」
リリは、あの経験があったせいか…かなり..凄い。
まぁ、良いんだが…俺も含んで殆どSEX中毒に近い。
気がつくと…朝になっていた。
※ あと1話か2話で完結です。
【最終話】永遠に続く恋
結局、あの後、リリの耳をエルフの様にとがらせて合成は終わった。
二人を鑑定紙を買ってきて鑑定した。
リリは、ハイエルフ。
ロザリアはエルフ。
になっていた。
これで、もう、魔族の世界でも二人は生きられる。
亜人の人権はこの世界でもある。
つまり、街では魔族と同じに扱われる。
これでようやく三人で大手を振って歩ける。
ここ迄…永かった本当にながかった。
実際にはそこ迄長くはない…だが、俺にとってはまるで何十年、何百年に感じた。
「それじゃ行こうか?」
「うん」
「はいですわ」
もう此処でやる事はない。
だから、帝国に引っ越す事にした。
帝国は、サキュバスとのハーフの女帝が治める国。
魔族に支配されたこの世の中で数少ない『元と余り変わらない国』だ。
亜人も多く、2人にとって生活がしやすい国に違いない。
そこでなら、恐らく二人は問題無く自由に生きられる。
こうして、俺達は帝国へと旅立った。
きっと、俺がもう、何かの為に戦う事はないだろう。
家でも買って…残りの人生は2人と一緒にダラダラと過ごすだけだ。
◆◆◆
数千年が経った。
魔王は死なないから、継承は何も無いが、俺は魔王子の為正式に『王族』扱いされる様になった。
気がつくと俺のスキルに『色欲』と『怠惰』が宿っていた。
それは2人も一緒だった。
多分、今戦えば魔王にすら余裕に勝てる…だがそんな事はしない。
そんなメンドクサイ仕事等したくないからな。
俺は、小さな城を作り..そこで毎日…
「あっ、あああん、あああああーーーーっリヒトぉぉぉーーっ」
「リヒト様、そこは、あっああああんっ愛してますわーーーっ」
数千年経ってもいまだに二人とやりまくっている。
避妊紋は解いていない…怖い事にお互いに好き過ぎて、恐らく『子供が出来ても』二人を愛するようには愛せない…二人も同じ様だったから、此方は解かなかった。
あれから…オークは食肉と扱われ、多くの魔族や亜人から狩られる様になり、滅亡しかけていて、探すのは難しくなった。
「リリ、ロザリア愛しているよ」
「「愛している(ますわ)」」
数千年たっても変らないのだから…多分この恋は永遠に続く…
絶対にもう離れない…そう三人で誓って。
FIN
あとがき
今回の作品は、前作の感想欄から、より絶望した状態からの物語を見て見たい。
そういうリクエストからスタートした物です…まぁ、余りに酷い状態からのスタートで、自分でもどうやって、治療するか試行錯誤して完結に至りました。
こういう、かなりハードな作品はお気に入りの人数を見て頂ければ解るように…読み手を選びます。
私が前のサイト時代に一部の方から評価されついたニックネームは『隙間作家』でした。
これは、他の方が書かない様な作品を書くからついたあだ名です。
この作品、前の作品は…昔から応援してくれる方の為に、人気が出ないのを覚悟で気ままに書いてみました。
次回作は、二つプロットを考えていて『不良?』の話か『召喚』か迷っています。
多分、少し、人気とりに走ると思います。
不良の方は…かなり残酷な描写があり。
召喚は…わりと王道な話。
どちらになるかは暫くお待ちください。
最後まで読んで頂き有難うございました。
また次の作品でお待ちしております。
石のやっさん。