「犯罪者の息子で嫌われ者だったのに急にモテ始めました!理由は元女神の騎士だったから(本人も周りも知りません)」

女神の騎士ってなぁに
魅了する血 ~麻薬の血の怖さ~ の話しに少し繋がっています。

女神の騎士とは 勇者程凄い力は無いが慈愛に溢れ心清き者。

そう言われている。

女神が顕現するなら、その力は高まり、邪神とすら戦える位の能力を持つ。

だが、女神が顕現しないなら、聖騎士より少し強い程度の力に制限される。

この主人公の至高は、何処かの世界で勇者召喚に巻き込まれて女神の騎士になった。

その際に美しい姿形と、血の能力、聖なる剣と聖なる盾の加護を貰い世界の為に戦った。

そして、色々な事情からこの世界に戻された。

だが、女神の騎士としての能力の一部は..残されたままだった。

だが、彼は自分に何で能力があるのか知らない..その為

異世界での彼の事が知りたいなら「魅了する血 ~麻薬の血の怖さ~」を読んでくれても良いかも知れない。

読まなくても解るように書いていきますが…

過去(犯罪者の息子になった)
僕の名前は、松浦京之介、家族は居ない、そして友達も居ない。

だけど、それで良いと思って居る。

人間の絆なんて信じない、簡単に壊れてしまうし、簡単に壊す事も出来る。

そんな物に価値なんて感じない..

昔、僕は両親と楽しく暮らしていた。

父親は規模こそ小さいが会社を経営していて金銭的には困っていなかった。

母は専業主婦で料理と裁縫が趣味で何時も家に居た。

多分、世間的には理想的な家族、そう見えていた筈だ。

だが、そんな理想的な家族も、麻薬のせいで簡単に壊れてしまった。

僕が風邪で小学校から早退して帰ってくると、いつもはいる筈のお母さんがリビングに居なかった。

僕のお母さんは専業主婦で何時もリビングにいる。

だが、この日は居なかった。

2階にあがり両親の寝室を見ると、見知らぬ男性とお母さんがいて下着姿の母と全裸の見知らぬ男性が居た。

そして、その近くには白い粉があった。

今の僕なら、それが何か解る..だが、僕はこの時それが何か知らなかった..

「お母さん、ただ今その人は誰?」

今思えば、この時お母さんは凄く悲しそうな、困った顔をしていた。

「坊主、学校はどうしたんだ?」

見知らぬ男が僕に話し掛けて来た。

「今日は風邪を引いて体調が悪いから早退してきたんだけど….おじさん誰?」

「おじさんはお母さんの友達だよ? そうだ、具合が悪いなら病院まで車で送ってあげるよ、今から支度するから下で待っててくれ」

「解った」

そして、僕はこの見知らぬおじさんとお母さんと一緒に病院に行った。

この時の僕は子供だから、お母さんに何が起こっているのか解らなかったんだ..お母さんが困った顔をしていた事に..気が付かなかったんだ。

病院で治療を受けた帰りに近くのゲームショップの前に車が止まった。

「ちょっと待ってて」

そういうとおじさんはお店に入っていった。

お店からでてきたおじさんの手には、ゲームソフトがあった。

「ほら、坊主、このゲームソフトをやるぞ..その代り、おじさんの事をお父さんには内緒にしていてくれ、約束だ」

「何で?」

「おじさん、お父さんとも友達だけど、今は喧嘩していて気まずいんだよ..仲直りするまで黙ってて欲しいんだ」

「解った、内緒にする」

「良い子だ」

お母さんは泣いていたような気がする。

僕は知らなかった..このゲームでお母さんを売ってしまった事に..

それからも、偶に学校から早く帰ってくると..お母さんとおじさんがいた。

そして必ず近くに白い粉があった。

それを見かける度に、お小遣いが貰えたり、何か買って貰えるので約束を守りお父さんには黙っていた。

だけど、ある時家に帰るとお母さんが居なくなっていた。

テーブルの上には手紙があった。

読んで見ると..

家族には迷惑を掛けれないから出ていきます。

ごめんなさい

          秋絵

と書いてあった。

その事をお父さんに電話すると直ぐに帰ってきた。

お父さんに何があったのか聞かれたが、多分子供ながら悪い事をした、そう考えたんだと思う。

「何も知らない」

そう答えた。

お父さんはそれから必死になってお母さんを探したけど見つからなかった。

僕は怖かったから..何も言わなかった。

それから半年くらいして警察から電話があった。

お父さんと一緒に行くと…

変わってしまった、お母さんが居た。

綺麗な黒髪は金髪になっていて、体も日焼けしたのか黒くなっている。

ミニスカートを履いていてパンツが見えていた。

そしてピアスが耳だけでなく口にまでしてあった…

これがお母さん..悪い人にしか見えない..

だが、僕やお父さんを見た、お母さんは

泣きながら「ごめんなさい」を繰り返していた。

これは後はお父さんから聞いた話だけど、お母さんは被害者だったらしい。

「悪い男に捕まって麻薬を打たれていたようです..奥さんは悪くありません」

そうお巡りさんは言っていた。

「ただ、麻薬が抜けれるまでは通院と施設に定期的に通って欲しい」

そう言われたそうだ。

それでもお父さんはお母さんが帰って来た事を喜んでいた。

だが、それはその日の夜までだった..

お母さんは泣いて謝っていた。

「もういいんだ..無事で良かった..」

そうお父さんは言っていた。

だが、そのお父さんの前でお母さんは裸になった。

お母さんの体には蝶々と薔薇の刺青がしてあり、体のあちこちにピアスがついていた。

お父さんは黙って2階に上がって、中から泣き声と大きな音がしていた。

多分、暴れていたんだと思う。

そして、その次の日からお父さんは酔っぱらって夜遅くに帰ってくるようになった。

お母さんは姿は変わってしまったが、前のお母さんに戻ってくれた気がする。

そんなある日、お母さんがまた、白い粉を使っていた。

そして、それをお父さんが見つけた..

白い粉はお父さんが没収していた..

お母さんは「返して、返して」を連呼していたが..お父さんは無視していた。

「白い粉がなければ..」そういってお父さんはそれを持って出ていった。

だが、それで終わりじゃ無かった…

それから暫くして..お父さんも、白い粉を使っていた。

また居なくなったら嫌だ。

僕はそう思いお父さんとお母さんに思い切って聞いてみた。

「お父さんとお母さんは何処にも行かないよね..」

親が居なくなるのが怖かった…から。

「何処にも行かないから安心しろ」

「もう、お母さんも何処にも行かないわ..お父さんと気持ちよくなれるから..」

それなら良いや…白い粉の怖さをここでも僕は知らなかった…

それからはおかしな日々が続いていた。

お父さんやお母さんが暴力的になり殴られることもあった。

だけど、機嫌が良いと可笑しな位のお小遣いをくれた..

そんな可笑しな日々が暫く続いた後..両親が逮捕された..

何も知らない間に..僕は両親を白い粉の為に失ってしまった。

過去と今
施設に入った。

ここの施設は僕以外にも親を亡くした子が沢山居た。

特に虐められる事無く幸せに暮らしていた。

ただ、それは施設の中での事..

外では..

「あの子施設の子よね、両親が犯罪犯して捕まったんでしょう? 可哀想に..」

「両親が居ない子なんて碌なもんじゃないわ..」

同情されるか蔑まさせるかのどちらか..

実際に、同じ施設の女の子が不良に絡まれて助けに入ったのに、一方的にこっちが悪者にされた。

親が犯罪者というハンデは何処までも続く..

そして、それが麻薬絡みとなれば..そのハンデは更に大きい。

だが、僕はまだついているのかも知れない。

最初に学校に通い始めの時に、虐めにあいそうになり..暴れた..その結果、危ない人間と思われた。

麻薬で捕まった両親の息子が暴れる..確かに少し怖い..その結果が孤立。

孤立したおかげで虐めの輪から外れた。

虐められない代わりに友人もいない..それが僕の現状だ。

だから、僕はクラスでは眠っている事が多い。

僕が眠っていると大体は静かだ..僕は悪い事なんてしてない..だが、両親が麻薬で捕まった。

そして、僕は目つきが悪い。

その結果..風評被害が広がっていく..

「京之介は只の不良ではない、裏でヤクザと繋がっていてヤクの売人をしている」

「タイマンで負けた不良は薬漬けにされる..」

事実無根のそんな噂が広がっている。

実際は違う、最初に虐めにあいそうになった時に倒した奴が、僕の知らない所で危ない人間と繋がっていて中学生なのにドラッグをやって捕まった、俺は全く関係ない。

なのに勝手に結び付け噂になり…そういう事になった。

まぁ、そのおかげで静かに過ごせているから良い、そう思う事にした。

ちなみに僕のあだ名は麻薬男という

その時に「麻薬男は無いだろう」と言って睨んだら..表向きは言わないが裏ではその名前で呼ばれている。

僕は不良でも麻薬の売人でもないのにだ。

基本的には僕の近くでは騒がない…そして静かだ。

だが、いてもお構いなく煩くなる時がある。

それはこのクラスには「有名人が4人いる」その4人絡みだと凄く煩い。

生徒会長
皆神東吾
日本を代表する企業の一人息子、甘いマスクと女性に優しい事から王子様と呼ばれている。

副会長
真珠院麗美
この学園の理事長の娘、天上東吾の彼女、典型的なお嬢様キャラ、見た目は優しく綺麗。

書記
牧野 霊夢
官僚の娘 麗華が綺麗っていうなら霊夢は可愛いって感じ、まぁロリコンならはぁはぁ言いそうな感じ

会計
篠原 梓
剣道部主将、まぁクールビューティー、そんな感じだ。

この4人は生徒会の仕事の関係で全員が同じクラスになるように配慮されている。

この生徒会の4人が何か始めると途端に周りが騒がしくなる。

この四人にはファンがいて、特に東吾と麗美はファンクラブまであって、写真がブロマイド扱いにされ一部で販売されている。

まぁ僕が闇だとすれば、此奴らは光だ。

少し羨ましいがそれだけ、恐らく学校を卒業したら接点はないだろう。

しかし、生まれという物は怖い、僕は何もしなくても 麻薬中毒の親の子供..犯罪者の息子..

なのに、此奴らは親が良いから..リア充だ。

本当に行う事は無い絶対にない..

だが、思う時がある..誰かこいつ等の親..いや本人でも良い..麻薬中毒にしてくれないか..

何もしない僕が..闇..ハンデがあり過ぎるよ

だったら、此奴らも一回闇に落ちてこい..その上でも、光り輝く人生が送れるならその時は、認めてやるよだが掛けても良い。

僕と同じ環境なら、だれ1人輝く事は出来ない..断言できる。

まぁ、考えても仕方ない事だ…

つい、寝てしまった。

気が付いたら外は夕日が差していた。

放課後になってクラスには4人と僕しか居ない。

話掛けられない僕はそのまま寝ていたようだった..

だけど、何時もなら4人は話し合いをしていて、眠る様な事は無い。

寝てるのが見つかればスマホで写真を撮られるだろう..人気者だから。

なのに、4人とも寝ている..可笑しい。

だけど、起こしてもきっと感謝なんてされない..

話す事も無いし、話した事も無い..放って置けば、巡回にきた教師が起こすだろう。

帰ろう、俺は教室を後にした。

うん..? 俺? まぁ良いや。

しかし、変な夢を見たな….あれっ? どんな夢だっけ?

解らないや、まぁ大した夢じゃないだろう?

忘れちゃう位だし…

帰ろう..

《あの子、誰? 凄い美少年じゃない》

《うん、プラチナブランドって言うんだよね…サラサラしていて凄く綺麗な髪だよ》

《まるで王子様だよね》

そんなカッコ良い奴が居るんだ、俺には関係ない話だ。

施設に帰ってきた。

「ただいまー」

「…..?..お帰りなさい至高ちゃん..今日も可愛いね! ご飯も用意してあるから食べなよ」

可笑しい、確かに世間よりは優しいけど..こんな挨拶された事は無い、可愛い? 俺が?

「…?..至高お兄ちゃんお帰り..音夢と遊んで」

「?…ご本を読んで..お兄ちゃん」

可笑しいなこんなに慕われていた筈は無い..特に音夢は俺の事が嫌いな筈だ。

子供だから怒れないが音夢は俺の事を「犯罪者」って陰口を叩いていた。

あれ..可笑しいな..うん? 至高..俺は京之介なんだけどな..

まぁ良いや聞き違いだろう。

何だか疲れたな..風呂入って寝よう..

なんだこの体、細マッチョって言うのか、俺、こんな体していたかな?

あれっ、髪が白髪だらけ..可笑しいな..

まぁ..良いや…今日は何故か疲れた。

寝よう、寝よう..

スタート
可笑しい、俺は何で京之介じゃないんだ。

聞き違いじゃ無かった…施設の皆がそう俺を呼んでいる。

俺の気がふれたのか? それとも変な世界に紛れ込んだのか..解らない。

他の記憶も少し可笑しい。

親は麻薬で身を滅ぼし、刑務所にいる。

施設の子に聞いたけど同じだ。

施設で暮らして友達はいない…

明日学校に行かないと解らないけど多分あっている。

そして、皆んなに怖がられて嫌われている。

これも恐らくあっていると思う。

施設の中では孤立はしていないが親友と呼べるような相手は居ない。

あれっ可笑しいな?

あんなに慕われてはいなかった筈だ。

「…..?..お帰りなさい至高ちゃん..今日も可愛いね! ご飯も用意してあるから食べなよ」

「…?..至高お兄ちゃんお帰り..音夢と遊んで」

「?…ご本を読んで..お兄ちゃん」

可笑しい…差別はされなかったが、犯罪人の親を持つ俺に此処まで優しくは無かった。

音夢が居たから聞いてみたら

「至高お兄ちゃんは、至高お兄ちゃん、親なんて関係ないよ? 昨日気が付いたんだ、至高お兄ちゃんって凄く..何でもないんだよ! うん」

顔を真っ赤にして走っていってしまった。

朝食も俺の好きなオムレツで何故か..ケチャップでハートマークが…うん、悪戯だよな。

学校に行けば何か解るかも知れない。

《うちの学校にあんな人居たかな》

《あんなプラチナブランドの髪の男の子目立つよね》

うん、俺は日本人なのに銀髪でブルーアイだ..やはり俺は頭が可笑しくなったのか..少し前まで黒髪、黒目だ。

「おはよう」

誰も返事はしてくれないが何時もの日課の挨拶をした..虚しが習慣だ。

だが、今日は何時もと違った。

「おはよう! 至高ちゃん、今日もカッコ良いね!」

あれれ? クラスの人気者の霊夢さんが挨拶をしてくれた。

霊夢さんは背が小さいけど、凄く可愛らしい女の子だ。

だけど、俺は嫌われていて、挨拶なんてして貰えた記憶が無い。

凄く嬉しいけど..どうしたんだろう?

《ちょっと霊夢、何で至高に挨拶なんて返すの?》

《あの人、怖いらしいよ..関わらない方が良いよ》

ほら、俺に挨拶するから..こんな事になる。

「ありがとう!」

お礼位言わなくちゃな…

「何でお礼なんて言うのかな? 霊夢は解らないよ?」

「あははは、そうだね」

《霊夢、話すと不味いって》

《麻薬とか怖いよ》

「ごめんね」

何かこのまま話していると霊夢さんに迷惑を掛けそうだから、俺は謝って、一旦廊下に出た。

チャイムが鳴る頃に戻ってくれば良いだろう。

「ちょっと、霊夢どうしたのよ、赤木は怖いから相手にしない方が良いよ」

「邪魔しないでくれるかな? 至高ちゃん、行っちゃったじゃない! 人の恋路邪魔するなら友達辞めるよ!」

「霊夢..恋路って..嘘、赤木の事が好きなの? 何で?」

私、何で至高ちゃんが好きなんだろう? 解らない..だけど、何故か、好きって気持ちが止まらない..

「理由は解らないよ..だけど、凄く大好きで大切な人なの..それだけは解る」

「霊夢、可笑しいよ? 何があったの? 昨日まで怖い言ってたじゃない?」

「解らないよ…だけどあの人は..素晴らしい人何だよ…それだけは解るの」

「何しているのですか?」

今日は凄く可笑しい..何で、理事長の娘で凄い美人の麗美が話しかけてくるんだ..

確か物凄く毛嫌いされていて裏で「犯罪者の息子が何でこの学園にいるんですの」って言っていたのに。

「ちょっと、入りづらい雰囲気なので時間つぶしです」

「至高様が何で遠慮する必要があるのですか?」

至高様? 何でそんな呼び方をするんだ..解らない

「そうですね、そろそろ入ります」

至高様? 何で私があの様な者を「様」等つけて呼ぶのでしょうか?

だけど可笑しいのですわ..あの顔を見たら愛おしさが込み上げてきます。

全てを捨ててでも欲しい、そう思ってしまいます..こんなの私じゃありませんわ。

教室で授業を受けている間も何故か視線を感じる。

可笑しいな、何で剣道少女と呼ばれる梓さんに、生徒会長の東吾さんまでもがこっちを見ているんだ。

何か生徒会を怒らせるような事を俺はしたのか?

「至高くん、私に稽古をつけてくれないか?」

何の冗談だ? 全国優勝している貴方にだれが稽古つけるって?

「えっ、剣道少女と言われる貴方にですか?..」

「駄目かな?」

「駄目かと言われても、俺剣道なんてそんなに出来ませんよ!」

「そうか、少しは出来るんだな..なら放課後に少し相手をしてくれ」

これは何かの虐めなのか?

生徒会の有名人がさっきから絡んでくる..

放課後になった。

「さぁ、剣道の練習だ、至高くん相手を頼むよ」

冗談かと思ったのに本当に迎えに来た。

「部長、なんで赤木なんかつれて来たんですか? 剣道なんて出来ないでしょう?」

そりゃそうだ、此処には俺なんかより強い人間が山ほどいる。有段者ばかりだ。

「あれっ、何で私は至高くんが剣道が出来るなんて思ったんだろう? まぁ良いや」

良くないだろう? 俺素人だぞ。

《梓、不良とか嫌いだもんね、多分叩きのめすんだわ》

《赤木ってヤバイ奴でしょう? 余程気にくわなかったのね》

《全国優勝している梓に勝てるわけ無いでしょう》

そういう事か?..だから今日は生徒会が絡んできたのか。

「あの、俺剣道は本当に授業で習った事しか出来ません」

「本当にそうなのか? だったら手加減するけど..可笑しいな、何でか私、貴方が強いと思うんだ」

「そうですか..そこ迄言うなら仕方ない、良いですよ」

白々しい..俺が何をしたって言うんだ、親が犯罪者なだけじゃないか..良いよ

「はじめ」

パーン 「一本それまで」

「至高くんは嘘つきだな、初心者がやる動きじゃないぞ..次は本気でやらせてもらうよ」

何で俺はこんな事が出来るんだ…油断しているとはあの梓から一本とったぞ。

《嘘だ、梓様が面を決められる所なんて見た事が無いよ》

《手加減しすぎだよ梓様》

不思議だ、体が軽い、不思議だ体が覚えている..そんな訳は無い。

無い筈なのに 構え方が解る。

「やはり、とんでもない嘘つきだな至高くんは」

「自分でも解らないが、負ける気がしないな」

《梓様を舐めすぎだよね..まぐれで一本とった位で》

《だけど、あの構え..剣道じゃないけど..綺麗..あれっ嘘..あれれ》

《嘘でしょう..何で..騎士に見えるのかな..カッコ良い》

梓はさっきと違う..顔つきが変わった。

可笑しいな、何で隙だらけに見える? 

梓は突きを放ってきた。

《大人げない..あんなの誰も躱せないわ》

《さっきまぐれで一本取られたからむきになっているのよ..主将》

何故か頭に声が聞こえた気がした。

声に従い体が動く..突きがスローモーションに見える。

躱せる..すれ違いざまにそのまま小手を狙う。

パンっ

「一本、それまで」

「嘘でしょう! 梓様が手も足も出ないなんて..本当に強いわよ彼」

「風になびく、あの髪、まるで騎士みたい..綺麗」

「騎士? 赤木が?あんた目が腐って..いないね、私にも騎士、いや王子様に見える..何で?」

「君は凄いね..うん、良かったらこれからもたまにで良いんだ、稽古つけてくれないか?」

「ごめん..」

俺はいったい何なんだ?

何でこんな事が出来るんだ?

解らない、解らない、解らない..

だから、走って逃げだした。

「待て、至高くん」

何でだ、とうとう生徒会長が話しかけてきた。

「どうかされたのですか会長?」

「いや、何でもない..引き留めてすまなかった」

何が何だか解らない一日が終わった。

「おはようございます、至高様!」

「至高ちゃん、おはよう!」

何故だ、冗談だろう?

この二人が何で俺を迎えにくるんだ可笑しい

「むぅ..至高お兄ちゃん、誰かな? この人達?」

「学校の生徒会の人..」

「それがなんでここ迄迎えにくるのかな?」

「知らない」

「まぁ 良いけどさぁ」

何でこんなに施設の女の子が怒っているのか解らない。

「遅れちゃうよ、至高ちゃん」

霊夢さんがいきなり腕を組んできた。

これはどっきりなのか? 霊夢さんは凄く一部の人に人気がある。
こんなに好かれる様な事俺はしたのかな..
幾ら考えても浮かばない..俺の人生は楽しい事なんてなかった。
そんな、思い出があるなら忘れる訳が無い。

「霊夢さん、これはいったい?」

「霊夢に腕を組まれるのは嫌なのかな?」

「そういう、訳じゃないけど..」

「なら良いじゃん..霊夢は至高ちゃんと腕組めて嬉しいんだから..問題無いよね!」

「ちょっと霊夢離れなさい」

「何で! 麗美様にそんな事言われなくちゃいけないのかな?」

「それは、私こそが至高様の恋人だからですわ」

「至高ちゃん、何それ..嘘だよね..麗美様と付き合ってないよね」

何で、そんな泣きそうな顔になるんだ、可笑しいだろう。

可笑しい、そんな記憶無い..麗美さんみたいな美人に告白なんてされたら忘れる訳が無い。

それにこんな高嶺の花に俺から告白なんて絶対しない。

「あの麗美さん、俺告白もしてないし、告白もされた記憶も無いんだけど」

「そうでしたわ..なら伝えますわ、私は至高様を愛しています..勿論、返事はイエスですわよね」

「むぅ..それつきあって無いんじゃないかな? 霊夢だって好きだもん、至高ちゃん霊夢と付き合って下さい」

解らない..こんな夢みたいな話がある訳が無い。

これは夢なんだ..

「あははははっ、これは夢なんだきっと..ゴメン」

「「至高様(ちゃん)待って!」」

「どうしたんだ至高くん」

「梓さん、聞いて下さい、霊夢さんと麗美さんが俺をからかうんだよ」

「何があったんだい!」

「多分、揶揄っているんだと思うんだけど..俺に告白してくるんだ、可笑しいよね」

「スマン、私も至高くんが好きだぞ..剣道カップルって案外良いかも知れないぞ」

「梓さんまで、いい加減にして下さい」

「ちょっと待って、少なくとも私は揶揄って等いないから..逃げないで」

「ハァハァハァハァ..東吾さん」

「何だい至高くん..三人が三人が変なんです..」

「どう、変なんだ..」

「だって、三人とも本当は東吾さんが好きなんですよね? だけど、揶揄って俺に告白してくるんです」

「そうかい? ただ、間違っているよ? 仲は良いけど友人としてだ..それに彼女達を悲しませるのは駄目だが、俺は君が付き合うなら賛成だ」

「えっ」

可笑しい、凄く可笑しい…だが、俺も可笑しいのかも知れない..

皆んなが走ってきた。

「逃げるなんて酷いのですわ」

「何で逃げるのかな?」

「私は揶揄ってなんていないぞ」

「至高くん、何故か解らないが俺は君が決して逃げない凄い奴だと知っているよ」

「俺もやっぱり、可笑しんだ、さっき告白されたばかりなのに何故か皆んなが愛おしんだ..」

「「「至高ちゃん(様)(くん)」」」

「それで、至高様は誰が一番好きなんですの?」

「私だよね至高ちゃん」

「私に決まっているだろう? 困っているじゃないか?」

何が何だか解らない..だけどこれからの毎日はきっと楽しい物になる。

これが夢じゃないなら..俺は寂しくないから..

霊夢…理想の恋人
教室で目覚めてから可笑しくなっちゃった。

私はある人が凄く好きになった。

背も小さくて小学生に間違えられるけど..男の子に憧れはあるよ?

例えば、生徒会長の東吾様..うん美少年だよね..

だけど、付き合いたいとは思わない..デートとかは憧れるけど、キスしたいかって言われると?となる。

だけど、凄く可笑しいんだよ?

頭の中に理想の男の子が浮かんだんだ。

その人は皆んなが出来ない事を簡単に解決して、そして弱い者の味方なんだ。

私は..思い出せないんだけど、死に掛けていた記憶がある。

しかも、死に掛けの状態で捨てられていた..うん現実じゃないよ..多分夢なんだと思うな..

何かに失敗して歩けなくなって捨てられた私を大きな背中で背負って助けてくれた人。

そして怖くて逃げだした私に「戦わなくて良いよ」と言い助けてくれた人。

私の中のヒーロー..

そんな人いる訳が無い..だって本当にそんな経験をした事なんかないんだから夢だよね、解かっている..

これは只の夢..

プラチナブランドの髪にブルーアイの日本人何ている訳が無い。

だけど、可笑しいんだよ..今の私にはこの人しかいない、そう思えるの。

もし、この人に会えたら..うん、何でもしてあげれちゃう..

好きが止まらない..

逢いたい逢いたい逢いたい逢いたい逢いたい逢いたい逢いたい逢いたい逢いたい逢いたい逢いたい逢いたい
逢いたい逢いたい逢いたい逢いたい逢いたい逢いたい逢いたい逢いたい逢いたい逢いたい逢いたい逢いたい

たった一度の夢..なのに私はこの人に会う為に生きている、そんな気がするんだもん。

可笑しいのは解かっているよ..

だけど、もし会えたら..絶対に付き合って貰うよ

望むなら何でも出来ちゃう..

ううん、私がしてあげたいんだよ..だって助けて貰ってばかりなんだもん。

可笑しいな、何で私は寝てるんだろう?

麗美様も梓ちゃんも東吾様も寝ている。

全員が寝ている..こんな事はあるのかな?

可笑しいな..

至高ちゃん..逢いたいよ、霊夢は霊夢は..

あれっ..至高ちゃんって..居るじゃん..

プラチナブランドでブルーアイ..居るよね?

何で居るのかな?

これは霊夢の見た夢の話しの筈なのに..だって、あれ思い出せない..夢が思い出せない、だけど.だけど..何でこんなに苦しいの?

夢の中の事も思い出せない..なのに、なのに、何で至高ちゃんを思うと心臓がドキドキするの?

一つだけ解る事..どうしようもない位に「至高ちゃんが好き」それだけは..本当のような気がする。

麗美…絆
本筋が始まる前に個人の話を幾つか入れてみます。
宜しくお願い致します。

【本文】

私は多分壊れています。

教室で目覚めてから可笑しくなったのですわ。

私はある人が凄く好きになりました。

それが普通じゃない位に好きになりましたの..

これじゃ、まるで変態ですわ..何故か「血が欲しくてたまりません」

誰でもいい訳じゃなく..特定の人の血限定なのですわ..

お相手は解りません。

だって、私の好きな相手は、空想上の人物なのですわ。

その方は、何時も、正義の為に、弱い物の為に戦って居ます..

正直言いまして、偽善者は好きではありません..こう見えても将来は経営者になるのですから。

ですが、この人は、命がけで稼いだそのお金を貧しい人に施してしまいます。

望めば、どんな地位でも得られるのに欲しがりません。

気が付けば、トップの地位になっているのにいつも、損な役回りばかりしています。

だけど、そんな人だから..いつも周りは笑顔で溢れています。

その笑顔で居る、周りの一人が私なのですわ。

彼は私をいつも大事にしてくれて、危険な戦いには何時も1人で行きます。

私や仲間が一緒に居ても、戦うのは殆ど彼だけ..私は何時も守られてばかり…

とても大事にしてくれています..それは解りますの。

だけど、私は戦わせて貰えません..何時も笑顔で..彼が飛んでいきます。

私は何時もその広い背中を見ていました。

だけど、不思議な事に私は彼が強くて優しいから好きな訳ではありません。

不思議な事に運命にでも引き込まれるように彼がどうしようもない位に好きになっていきました。

夢の中の私は更に夢を見ていました…

何時入り込んだのか、不思議な空間に二人でいる夢..

運命とは怖い物です。

こう見えて私は誰も好きになんてなった事はありません。

それは幼馴染の東吾のせいもあるかも知れません。

東吾は凄く優秀ですからね..最も小さい頃からの付き合いだから姉弟のように思えて恋愛相手にはなりません。

私は自分で優秀なのは知っています。

決して自惚れではありません。

そんな私が初めて好きなった方が..その方なのです。

これが夢なのは解かっていますわ..プラチナブランドにブルーアイの日本人なんて居ないのですわ。

手に入らない、そう思えば思う程..狂おしくなります。

あれっ何で居ますの..初めてあった筈なのに..

目の前に居ますわね、プラチナブランドにブルーアイの人が..何で記憶から抜けていたのでしょうか?

「何しているのですか?」

ただ一言声を掛けるのに何故緊張するのでしょうか?

「至高様が何で遠慮する必要があるのですか?」

貴方は..貴方は..何者なのでしょう? 思い出せません..

至高様? 何で私があの様な者を「様」等つけて呼ぶのでしょうか?

様なんてつけて私が呼ぶのは両親だけですわ

だけど可笑しいのですわ..あの顔を見たら愛おしさが込み上げてきます。

全てを捨ててでも欲しい、そう思ってしまいます..

今確信しましたわ、赤木至高様こそが、私の運命の方なのですわ..

絶対に消えない絆を持つ相手なのですわ

梓…剣道少女の恋
私はボーイッシュと良く呼ばれるが….そんな事は無い。

ただ、恋愛と同じ位に剣道が好きなだけだ。

だからと言って、剣道キチガイの天上心美とか、カマキリ女の東条楓みたいに剣道が全てじゃない。

二人には残念ながら勝てた事は無い..‫

今現在、私は高校生で日本一になったが、多分2人が居たら負けたと思う..

密かに目標にしていた2人が何故か居なくなったから拾った日本一…凄く虚しい。

だけど、男子を含み、近くには私に剣道で勝てる者はいない..だから毎日が楽しくない..

まぁ、だから生徒会の仕事をしているんだけど..

私の好みは佐々木小次郎..剣が強くて美形な人…宮本武蔵のような卑怯者じゃない。

麗美や霊夢に話すと何時も笑われる。

「剣道日本一な時点で霊夢は無理だと思うな..まず梓ちゃんより強い人探すのは一苦労だと思うよ!」

「年上で良いなら..達人を探せば良いんですわ..鉄心でしたっけ? この人なら強いと思いますわ」

「おじいちゃんじゃないか!」

「なら、この巌さん」

「結婚して、妻も子供いるよ」

「天上心美」

「ああ、たしかに美形だよね..だけど、女だ..月間剣道から適当に指さしているだけだよね」

「ばれましたわ..だけど、貴方の好みの男性が居ないのは解りましたわ」

「いる訳ないよ? 佐々木小次郎..無理だと思うよ」

「良いよ、態々言わなくても..解かっているから」

この日は可笑しな事に机で寝ていた。

何故か変な夢を見ていた..旨く思い出せないけど..その世界で私は剣の達人だった..期待されていたのに何かに失敗した。

責任から逃れるために逃亡した私は..追跡者に殺された..

なのに、凄く優しい彼は..死んだ私を蘇らせるようにお願いをしていた。

その結果、私は別の人生を与えられ生きるようになる。

そして、彼の噂を聞いた..私達が失敗したから..一人で彼は責任を果たすように戦っていた..凄い、本当にそう思った。

だけど違っていた..彼は私達を助けた為に..責任を背負って戦って..死んだ。

考えれば解る..3人で敵わなかった敵…それより更に強い敵に1人で敵う訳が無い..

本当の強さって何だろう..それが解った..逃げない事だ..

これは私の夢..だけど何故かリアルよりも心に刻まれている。

顔も思い出せない..

だけど、誰よりも愛おしい..

出会っている訳が無い..夢なんだから、まどろっこしい..何で私は思い出せないんだろう。

その日は何故か可笑しかった。

授業を受けている時に気が付いてしまった。

夢のあの人が居る。

プラチナブランドでブルーアイの日本人なんて居ない筈なのに居た。

見ていると解る事がある..絶対にあの人だ。

夢の中の彼が…至高くんと重なった。

これは夢..そんな訳は無い。

「至高くん、私に稽古をつけてくれないか?」

私はどうしても諦められなかった..

間違いだ、解かっている。

だけど万が一があるかも知れない。

心が早まる。

少しでも早く知りたい。

「さぁ、剣道の練習だ、至高くん相手を頼むよ」

多分嫌がっている彼を剣道場に連れ出した。

「部長、なんで赤木なんかつれて来たんですか? 剣道なんて出来ないでしょう?」

うん、私も解らない。

「あの、俺剣道は本当に授業で習った事しか出来ません」

「本当にそうなのか? だったら手加減するけど..可笑しいな、何でか私、貴方が強いと思うんだ」

「そうですか..そこ迄言うなら仕方ない、良いですよ」

渋々受けてくれた。

「はじめ」

パーン 「一本それまで」

強烈な面..やっぱり彼だ…私が憧れている人は彼だった。

「至高くんは嘘つきだな、初心者がやる動きじゃないぞ..次は本気でやらせてもらうよ」

冷静を装ったが興奮が止まらない。

《嘘だ、梓様が面を決められる所なんて見た事が無いよ》

《手加減しすぎだよ梓様》

あの人なら当たり前だ、だってあの人は…あれっなんだっけ。

さっきとは違う、明かに構えが違う..間違いなく強者だ。

「やはり、とんでもない嘘つきだな至高くんは」

「自分でも解らないが、負ける気がしないな」

うん、今の貴方には私は未熟者に見えるだろう..隙が何処にもない。

《梓様を舐めすぎだよね..まぐれで一本とった位で》

《だけど、あの構え..剣道じゃないけど..綺麗..あれっ嘘..あれれ》

《嘘でしょう..何で..騎士に見えるのかな..カッコ良い》

カッコ良いに決まっている..だって彼は、….騎士だ。

本気でいかせて貰う..

《大人げない..あんなの誰も躱せないわ》

《さっきまぐれで一本取られたからむきになっているのよ..主将》

馬鹿な、これを出しても敵わないの…

パンっ

「一本、それまで」

「君は凄いね..うん、良かったらこれからもたまにで良いんだ、稽古つけてくれないか?」

「ごめん..」

何で逃げるのよ..私貴方に言いたい事が沢山あるの..あれなんだっけ。

まぁ良いわ、「剣の達人でかっこよい」そんな男の子は君しか居ないから..

正直、私は混乱している。

だけど、赤木至高くん..私は貴方が死ぬ程好きだ。

それだけは間違いない。

それだけ解れば、他はどうでも良い。

東吾…親友?

俺は常に一番で無くてはならない。

財閥の御曹司等はそんな物だ。

皆神グループの総帥、それが親父だ。

確かに、皆神グループは日本一の企業だし金もある。

だが、日本一という物は常に守らなくてはいけない。

油断していれば常に2番手、3番手に抜かれる。

実際に、我がグループのコンピューター部門は既に1番ではなく2番手に落ちた。

総合力で1番でも負けている部門もあるんだ。

普通の家に生まれれば一流大学に入れば、それで一流。

だが、皆神家ではその中で一番で当たり前だ。

実際に、この学園の成績で、麗美に負けた時には..親父にゴミを見るような目で見られた。

俺が親に認められたいなら…世界で戦わないといけない。

皆神とはいえ世界規模なら1番ではない。

同年代にもライバルは沢山いる..そして、その中で俺は一番ではない。

俺の周りは女ばかりでハーレムなんていう奴がいるが、彼女達は友人として認めただけで恋人ではない。

麗美は幼馴染だが半分ライバルであり兄妹のような物..最も彼奴は姉弟のように思って居るだろう。

梓は女として見れず、男友達の様な者だ。

霊夢は、まぁ妹みたいな感じだな。

ただ、彼女達は共通して優秀だ。

俺が自由で居られるのは、この高校時代だけ..

大学になったら、帝王学に経営習う事が多くてかなり自由な時間は減るだろう。

だから、将来的に仲間や駒になる人間を探す貴重な時間だ。

だが、この学園には…馬鹿しかいない..使い物にならない..そんな人間しかいない。

成績の良い者=優秀な人間という事ではない..それが解らない人間しかいない。

例えば、クラスでよく孤立している赤木だ。

彼奴は、無能ではない..自分が犯罪者の息子でハンデがある..このままいけば間違いなく「虐めの対象だ」だから最初に強い奴を倒して「怖さ」を示した。

そして、それ以降は何もしていない..そう、ここぞという時に力を示したんだ。

結果、彼奴は「関わって来ない」と言う名の自由を得た。

仲間は出来ないが、面と向かっては揉めてくる人間は居ないだろう..まぁ、仲良く出来るかと言えば出来ないが..

なかなか優秀なのだ..

最近、夜遅くまで考え事をしているからだろうか?

眠ってしまった。

不思議な事に他の三人も寝ていた。

だが、俺は誰かにとんでもない借りを作った気がする。

良くは覚えていない..だが、俺は仕事で取り返せない失敗をして犯罪を犯して逃げていた。

そこで追跡者に殺されたのを、彼奴が助けてくれるように頼んでくれていた。

そして、そいつは..俺の仕事の尻ぬぐいをした挙句…死んじまった。

返せる訳ない…俺は自分が逃げた事を、俺より能力のない人間に全てを押し付けた。

勝手に彼奴なら大丈夫だと考えて押し付けて…その結果死なせてしまった..

取り返せない事をした。

これは夢の話だ..現実ではない..そしてほとんど覚えてない..

だが、可笑しい..心の何処かで..それが夢である事を否定する。

夢の中で彼はプラチナブランドでブルーアイだった。

そして日本人だった..そんな奴いる訳が無い..いる訳が….居るじゃないか?

至高がそうじゃないか?

あれは夢では無いのか..解らないな。

だから彼奴を見てみる事にした..どう見ても同じだ。

面白い..梓と剣道をするとはな..

梓に剣道で勝てる相手はまず居ない..俺だって勝てない。

これで、解る筈だ..

あっさり勝ってしまった。

夢の事なんてどうでも良い..

犯罪者の息子って色眼鏡を外してみれば..凄いじゃないか此奴。

あれ程、綺麗に剣を振るい、あの立ち振る舞い..

「立ち振る舞い?」俺は何を知っている。

まぁ良い..俺は自分から友人を欲しいと思った事は無い。

だが、何故か此奴には惹かれる。

「親友」と呼びたくなる。

大切な仲間を任せられる程に…

俺は可笑しくなってしまったのかも知れない。

施設で?
「至高お兄ちゃん、可笑しいよね..何で学校の人が迎えにくるのかな?」

俺にも解りません。

困っている俺を何故かチビ迄含んで沢山の女の子が囲んでいる。

そして、その周りで男の子がニヤニヤしながらこっちを見ている。

何故かこの施設で高校生は俺一人..中学生も居ない、他は小学生だ。

実際には俺と同年代の子供も昔は沢山居た。

だが、皆んな里親に引き取られていった。

まぁ俺はハンデがあるから誰も引き取ってくれなかった..まぁ売れ残こりのペットみたいな物だ。

「音夢には関係ないだろう!」

「関係あるよ! 至高お兄ちゃんは同じ施設の仲間だもん」

良く言うよ、裏で陰口を叩いていたくせに…

「そうだよ、お兄ちゃんの事が私も心配..」

「あたしもそうだよ..うん」

「俺は本当の、仲間じゃないんだろう..助けてあげても怖いっていたじゃないか?」

「あの時は、ごめんなさい..」

「ようやく線引きが出来たんだよ、同じ施設で暮らしている! 同じ様に親は居ない、そういう意味では仲間だな!だけど、本当の仲間じゃないんだろう?俺は「犯罪者」なんだろう! 俺は何も悪いことはしてないよ..親が犯罪者なだけだ!なのに「犯罪者」なんだろう! 俺はお前達のプライベートに踏み込まない..だからお前達も俺のプライベートに踏み込んでくるな..心配何てしないで良い..もう一人でいる事になれたから」

「音夢は..本当にごめんなさい..ごめんなさい」

「お兄ちゃん..」

「あたしも ごめん」

「謝る必要は無いよ! 嫌いな人間とは付き合いたくない、当たり前の事だ..だけど、自分を嫌う人間と付き合う人間も居ないだろう?これまで通りで良いそれだけだよ」

「待って、至高お兄ちゃん」

「待ってよ」

「あたしは..」

「付いてくるな」

俺は逃げるように部屋に帰った。

この部屋には俺一人しか居ない。

2人部屋なのに一人だ、他に3人の部屋があるのに..

俺と一緒の部屋が嫌だ、そういう奴が多いからこうなった。

もし、本当に仲間だと言うなら、此処にもう一人いる筈だ。

ここでは面と向かって、俺の悪口を言う人間は居ない。

同じ様に両親が居ないからだ..

虐めもなかった..皆んなが弱いから

そういう意味では幸せだ..だがそれだけだ。

「犯罪者」そんなあだ名で呼ばれているのを知っている..

それでも、知らないふりして生活してきた。

此処しか居場所が無いから…

そして、こんな奴らでも、仲間は此処にしかいない..

どんなに頑張っても輪に入れて貰えない..

同年代の人間がどんどん里親が決まって居なくなるなか…俺だけが取り残される。

お前達はまだ「売れる犬」なんだよちゃんと飼い主が現れるさ..

俺は「売れ残り」あと暫くしたらここを出て働く人間..違うんだ。

齢も違うし、ようやくそれが解ったんだ..

今更、仲間なんて言わないで欲しい..俺だってお前達が兄妹みたいに思っていた時があったんだ。

本当の家族の様に思っていた時期があったんだ。

ようやく、「これで良い、仕方ない」そう思えたんだ。

だから、今更..辞めてくれ。

施設で? 心

部屋に入ってカギをかけた。

明かりもつけずにそのままベットに寝そべった。

高校生にもなって小学生みたいな子供に八つ当たりしているのは解るさ。

だが仕方ないだろう?

俺は1人で生きてきた。

誰1人仲間は居ない、居たらこんなに思いをして居ない。

だが、可笑しいんだ、そんな生活はしてない、絶対にしていない、それは解かっている。

なのに、仲間が居て、凄く大切で、死なせたくないから頑張って、頑張って守っていた記憶がある。

顔も思い出せない、高嶺の花のような女の子が自分をいつも心配してくれていた。

同じ様に背の低い女の子二人、1人は妹のようにちょこまかして居て。

もう一人は俺を心配して家で待っていてくれた。

そんな記憶が霞かかっているがある。

俺は何をして居た? それすら解らない..

だが、守るために必死だった、可笑しい、そんな現実は何処にも無い。

たった一人の理解者、たった一人で良い、傍に居て貰いたい、その1人を手に入れる為に卑怯な事をした、そんな記憶もある。

どんな事をして、何をしたのか記憶にない。

その負い目からか、その子や仲間を助けるために…命を投げ出した。

自己犠牲? 違う。

その子達が居なくなるのが寂しい..仲間と思ってくれる人間が居なくなるのが死ぬより嫌だった。

だから、その子達が死ぬ姿を見る位なら、自分が死んだ方が良い、そう思った、それだけだ。

だがそんな現実がある訳はない。

多分、寂しさが産んだ空想だろう。

寂しすぎて頭が可笑しくなっているのかも知れないな。

何せ自分の名前すら間違えている位だ。

鏡に映る、自分の姿が別人に見える位だ。

何故俺の髪が白髪になっているんだ..ネットで恐怖で一瞬で白髪になった話があった。

だが、それでも、目が青いのは説明がつかない。

両親は日本人だし..

一応、さり気なく施設の管理者に聞いたら、

「来た時からそうだったよ? 忘れたの? 先祖に外人が居て、その影響と聞いてます、それにそれ白髪じゃなくて銀髪、プラチナブロンドって言うんですよ?」

「そうですか」

生まれた時からこの容姿なのか..俺は何故だか、黒髪黒目だと思って居た。

やはり俺は頭が可笑しいのかも知れない。

可笑しいな? まるで、異世界にでも転移したみたいだ。

異世界? そんな物あるはずないじゃないか…

気が付いたらそのまま寝ていた。

不思議な事に寝ていると誰かが抱きしめてくれている気がした。

女神の様に美しい女性と凄く頼もしい男性だ。

《貴方はそんな女々しい男じゃないでしょう..誰よりも心が広く、誰よりも優しい人じゃない》

俺はそんな人間じゃない..

《お前は誰よりも勇ましかった…それは誰よりも私が知っている..》

そんな筈は無い。

《だから許してあげなさい..無いならこれから築けば良いのよ》

《お前なら、出来る..お前ならな》

君達が言うならもう一度頑張ってみるよ..

《貴方なら出来るわ、貴方は….なのだから》

《お前なら出来る..》

解ったよ…誰だか知らないがありがとう..

うーん、中途半端に寝たから変な時間に目覚めたな。

何だか気分が良いな..

だけど、汗でびっしょりだ…シャワーでも浴びよう…

ドアを開けた。

「何で、お前達がいるの?」

今は夜中の1時だ、さっきから居たなら6時間近くたっている。

俺の目の前に土下座状態で女の子がいた、しかも音夢を含む女の子全員が。

「至高お兄ちゃん..ごめんなさい、私謝るっていってもこんな事しか出来ないから..ごめんなさい」

「私もごめんなさい」

「あたしもごめんなさい..」

俺は犯罪者ではない、だけど犯罪者の息子なのは本当だ。

小学生位の子が「自分とは違う者」を虐めるのはよくある事だ。

「おしっこを漏らした」「歯が汚い」「デブ」「ブス」それだけで虐めるのが子供だ。

陰口は叩いたが、それ以外は何もしてこなかった..仲間外れにされただけだ。

高校生の俺が小学生に仲間外れにされたからって怒るのはかっこ悪い。

まして相手は素直に「自分が悪かった」と謝ってきたんだ、許すのが当たり前だ。

馬鹿だな。

俺は仲間が欲しいのなら、ここからやり直せば良いじゃないか?

「もう良いよ…怒って無いからさぁ、俺も言い過ぎたよごめんな」

「ううん、音夢が悪いんだよ、ずうっと酷い事言っていたんだもん..許してくれてありがとう」

「私もごめんなさい」

「あたしもごめんね」

「もう良いって、俺もごめんね! お互いに謝ったからこれで無し、それで良いよ」

「ありがとう..至高お兄ちゃん」

「ありがとう」

「許してくれてありがとう」

「そう、それじゃ..仲直りもした事だし..俺汗かいたから風呂に入ろうと思うんだ..一緒に来るか?」

「一緒にくるかって、至高お兄ちゃん..まだ心の準備が..はぁはぁ..ごめんね」

「お兄ちゃんと仲良くしたいけど、まだ早いよ..それに恥ずかしいから..」

「ああああ、あの..ね..もうちょっと待って..そういうのは恥ずかしいから」

蜘蛛の子を散らすように居なくなっちゃったな..

昔はよく入れてあげたし、洗ってあげていたのに..

まだそこ迄、信頼は回復してないのかな..

それに、何を言っているんだ..大人になったら流石に恥ずかしくてお風呂なんて入れてあげれないよ「まだ」って何だ。

まぁ良いや..今は夜中だから静かにシャワーを浴びたらもう一度寝よう。

施設? 変わる努力
体が軽い、心の疲れが抜けたような気がする。

どうせ、いじけて居ても良い事なんてない。

俺じたいマイナス中のマイナスの人間なんだ。

だったら、変わろうとすれば良いんじゃないか?

今迄が何もしなさすぎたんだ、少し位努力位しても良いのかも知れない。

仲直りした事だし、こっちから挨拶をしてみるか?

今迄の仏頂面でぶっきらぼうで返していたからいけなかったんだ。

笑顔を作って..

「おはよう! 音夢ちゃん、瑠璃ちゃん、麻衣ちゃん! 今日も可愛いね!」

この位で良いだろう?

確かこいつ等がもっと小さい時には「ちゃんをつけて」「可愛い」って言ってあげていた気がする。

だって、俺たちは捨てられた者や家族が居ない者同士だから少しでも愛情を感じて貰いたかったんだよな。

いつの間にか言わなくなっちゃったけど。

「….?」

「……えっ」

「?」

流石に、馴れ馴れしすぎたのか、返事が返ってこない。

「ごめん、仲直りしたからって馴れ馴れしすぎたかな」

「ちが、ちが、ちが、違うから..今ちょっと…あの、そう、考え事してたんだよ! うん、ごめん気が付かなかったんだ音夢.お、おはよう!」

「あたあたしも、そう、ごめんね、至高お兄ちゃん..おはよう」

「私は朝弱いからぼーっとしちゃってた..ごめんね、お兄ちゃん」

「そう、それなら良かった、じゃぁね!」

「うん、ううん」

「じゃぁね」

「それじゃぁ」

「何で気が付かなかったんだろう? 至高お兄ちゃんってさぁ、凄いイケメンだよね」

「本当に..何年も居たのに最近まで気が付かなったよ…綺麗な髪にブルーアイ、何で..」

「お姉ちゃん達は良いよ..私小さいから、沢山恥ずかしい事でお世話になっちゃってたよ」

「まぁ、麻衣ちゃんが小さい頃おねしょした時にシーツからパンツまで変えたの至高お兄ちゃんだもんね」

「言わないでよ..今のお兄ちゃん見てたら、顔から火を噴きそうになっちゃうから」

「私、何で悪口何て言っちゃったのかな?」

「あたしも同じだよ..」

「それ言うなら、私何か妹みたいにして貰ったのに..」

「だけど、あれどうする?」

「あれって?」

「ほら、一緒にお風呂入ろうって言われたじゃない..」

「困るよ..お兄ちゃんの裸は見たいけど、恥ずかしいよ」

「うん、私だって恥ずかしい」

「当たり前だよ、あのお兄ちゃんだよ、音夢だって無理だよ」

「だけど、昔は一緒に入っていたよね」

「うん、確かにいれて貰ってた」

「それで、どうする? 至高お兄ちゃん寂しそうだったよ」

「うーん、無理だよ、恥ずかしくて無理」

「私も無理」

「だよね? それに至高お兄ちゃんが入るかって意味は、子供扱いって事だものね」

「うん、彼女って意味で言われるなら、真剣に考えなくちゃいけないけど..あれは違うよね」

「お姉ちゃん達は良いじゃん、5年生と6年生だから、私は1年生なんだよ..どんなに頑張っても妹としか見て貰えないよ」

「どうしようか? あんな至高お兄ちゃんに今迄みたいに出来ないよ」

「だけど、あんな王子様みたいなのになんで今迄気が付かなかったのかな?」

「可笑しいよ、絵本の王子様より綺麗なんだもん」

「あの笑顔…思わず真っ赤になって喋れなくなっちゃったよ」

「うん、私も同じ..見惚れちゃった」

「麻衣も..」

「何やっているんだ?」

「至高兄ちゃん、カッコ良い必殺技について話しているんだよ」

「カッコ良い必殺技?」

「そう、ほらヒーローとかの必殺技..どんなのが凄いか」

「そう?」

「そうだ、兄ちゃんも昔剣道していたんだよな? 何か見せて」

剣道? そう言えば中学の時に近所のお爺ちゃんが教えてくれて、その流派の初段をとったけどその後辞めちゃったんだよな..

そう言えば..有段者だから、満更素人でも無かった..悪い事したな、篠原さんに謝らなくちゃ。

そうか? だからこの間、思い出したのか..やってたわ..確かに。

まぁいいや、何かやってあげよう..

「五月雨突きからの古月」

こんな感じか..

「兄ちゃん、それ凄いね! 剣道じゃないんじゃない? 侍みたい!」

「良く学校でやる剣道じゃ無くて、知り合いのお爺ちゃんが教えてくれた奴なんだ、だから違いがあるかも知れないね」

「そうなんだ、だけど凄いよ、至高お兄ちゃん」

「他にも何かやってよ、兄ちゃん」

「それじゃ、その棒貸して」

「うん、はい」

「そうだな! よし、行くよ….あれっ、まぁ良いや」

俺は棒を借りるとそのまま走りながら近くの木を斬りつける、2回、3回、4回..もっと素早く、風のように…竜を斬るように。

そして、木は..そのまま切り刻まれ倒れた。

「「「「「……」」」」」

《あれっ、本物じゃ無いのかな? 》

《あれなら、怪人だって斬れると思うよ..至高兄ちゃんって改造人間なんじゃないのかな?》

《兄ちゃんって変身前のヒーローみたいじゃん》

《俺、至高お兄ちゃん怒らせるのやめよう》

「こんな感じしか出来ないよ? これで良い?」

「うん、充分だよ..至高兄ちゃんって改造人間だったりしない?」

「しない」

「実は惑星から宇宙人だったり」

「いやだな、しないって」

「まぁ良いや、お兄ちゃんありがとう」

「女って、本当に見る目が無いよな?」

「本当にさぁ、最近まで至高お兄ちゃんの魅力に気が付かないんだもんな」

「本当、昔から影があって怖かったけど..カッコ良かったよな」

「うん、でも最近は、凄く優しそうだよ」

「昔の至高兄ちゃんは、近寄りがたかったよな..まぁあれはあれでダークヒーローみたいで良かったけど」

「うん、でも最近は怖さが無くなって凄く優しそうだよな..」

「うん、だけど、至高兄ちゃんが優しくなったら無敵じゃん」

「可哀想だけど、うちの女じゃ釣り合わないよな」

「「「うん、うん」」」

至高は気が付かないうちに「本当に欲しかった物」を手にしつつあった。

だが、これが「何の影響」なのかはまだ誰も知らない。

剣について考えてみた
朝、早くに家を出る。

多分、何時もの時間に施設を出ると霊夢さんや麗美さんが迎えに来るから。

記憶があるなら、付き合うのも良いと思う。

霊夢さんは可愛いし、麗美さんは美人だ。

2人とも俺には絶対に手が届かない高嶺の花だ。

好きになってくれた理由が解るなら、すぐにでも返事をする。

だが、どう考えても好かれる理由が解らない。

それどころか、2人とは会話をした事が無い..

時間ができたら、話して見るのも良いかも知れない。

早目に学校に向かったから、いつもと違い人はまばらだ。

チビ達も寝ているから、何も騒がしくない。

とりあえず、俺は、変わってしまった容姿と名前について知りたいが、まぁ無理な感じがする。

まずは..篠原さんに会ってみる事にした。

「篠原さんおはよう」

篠原さんは朝早くから、剣道の練習をしているのは知っていた。

「至高くん、もしかして稽古つけにきてくれたの?」

いつも凛々しい筈の篠原さんが笑うと、可愛いらしい笑顔になった。

「まずは、謝りにきたんだ、俺、すっかり忘れていたけど、近所のおじいさんから剣道ならってたよ」

「やっぱりね、だけど随分変わった構えだったよ..それに凄く強いじゃない?」

「うん、変わったお爺さんで、「わっぱ、自信を持て、お前には初段をやる..だからそう卑屈になるな..」そう言っていた」

「うーん、剣道ってちゃんと試験があって、受からないと段は貰えない筈なんだけど..どこかの剣術とかかな?」

「ノートに初段として認めるって書いてくれたよ..まぁお爺さんの落書きだけど」

「それある?」

「一応、持っている..まぁ冗談だと思うけど、認めてくれた初めての人だから」

「見せて貰って良いかな」

「どうぞ..」

うん、ナニコレ? (天上鉄心 初段を認める) 心美のお爺さん、生きる剣聖の 直筆じゃない?

天上流はキチガイみたいな剣道をするので有名だわ..あそこの段は半分で見ろ。

そう言われる位に荒行をしている、そこの初段なら、普通の剣道にしたら2段。

最も正式では無いけど。

「至高くん、それは正式じゃない! だけど一部の人の間では、本物の段位よりも価値があるわ」

そうか、お爺さんに感謝しないとな…両親の事が元でしょげていた俺に、教えてくれた事は本物だったんだ。

「ただの落書きじゃ無かったんだ..教えてくれてありがとう」

「大した事じゃないよ…それで、もう一度、竹刀を交えて貰えないかな」

「良いですよ」

「至高くんの剣術は(天上流)って言うんだ..その技を見せて欲しい」

「解りったやりましょう」

篠原さん相手に竹刀を構える。

うん、清々しい、俺は施設に居たから続けられなかったけど..多分こう言うのが好きなんだろう。

だけど、不思議だ、もっと凄い何かと戦った記憶がある。

「それじゃ、篠原さん行きますよ」

「来い」

竹刀を握ると顔つきが変わった、うん凄いな。

小手調べだ。

五月雨突き。

「五月雨突きだね、粗削りだけどまるで、心美の技を見ているみたいだ、だけどそれは対策を練っていたから躱せるよ」

《まさか、(天上心美)ようにしていた対策をつかう事になるなんて思わなかったけどね》

「なら、これはどうですか?」

お爺さんが、「儂の娘の編み出した技じゃよ! 初見じゃ躱せぬ奥義みたいな技じゃ」と言っていた。

「これが出来たらいっぱしの剣士じゃ…しょぼくれないで自信を持って生きよ…まぁ爺がしてやるのは此処までじゃ」

何故か聞いたら「儂もまだ修行中なのでな」そう言っていた。

五月雨突きからの古月、俺が僕だった時に好きだった技..だけど、こんなのは、あいつ等に通用しない..あいつ等ってだれだ。

まぁよい、人間には通用するだろう。

「五月雨突きなら、通用..えっ」

パーン

うん、決まった。人間相手なら充分通用する。

人間..何考えてんだ俺、中二病じゃあるまいし。

「それ、古月..天上百合子の必殺技じゃない?」

「確かに、名前は古月だけど..」

「至高くん、君は初段なんて力じゃないよ、私は二段だけど、正直言えばもっと上の有段者だって軽々倒しているんだから」

「まぐれですよ、まぐれ」

「まぐれで、勝てるほど私は弱く無いわ..そうか、生きる剣聖鉄心から学んだんだ、強い筈だ」

「あの、篠原さんは凄く剣に詳しいんですね」

「梓で良いよ? うん、好きだからね」

俺には、教わった物じゃない物がある..気になる。

「だったら、少しやってみるから、これが何か教えてくれないかな?」

「良いよ」

本当は、剣であいての剣をおるんだけど、竹刀で打ち込んで固定された竹刀を叩き折った。

高く飛び上がり、面を叩いた。

体をこごんだ状態で斬り込み、竹刀を胴に叩き込んだ。

もっと沢山あるけどとりあえず3つ。

「そんなの知らないよ..だけど、もしそんなの大会で使ったら躱せないと思う..もしかして「鉄心の真奥義」なのかな?」

「いや、これはお爺さんは関係ないと思う」

《あはははっ、佐々木小次郎かと思ったら、塚原卜伝じゃない..凄いな》

「多分、それ何処かの流派の奥義だと思う、一般には知られてない様な技だよ」

《実戦なら強いと思うけど、反則になりかねないし》

「そう、なんだありがとう..俺、入るかどうか解らないけど、剣道部でも見学してみるよ」

「えっ、男子剣道部なら..無いよ」

剣道なのかな?
「男子剣道部って無いんだ!」

「いや、正確にはあったんだけど..ちょっと厳しいこと言ったら無くなっちゃったんだよ」

「そんな厳しい事言ったの?」

「そんな厳しい事言ってないんだ、弱かったから努力が足りないって注意したら、「精一杯努力しているんだ」って言うんだよ」

「それで? 何かさせたの?」

「うん、だったら、せめて素振り1000回を3セット毎日やれって、言ったら..気が付いたら無くなっちゃった」

「たったの1000回で..」

「うん、女子ならともかく男がそれでどうするんだって話しだよね、女の子だって500回やる子はやるんだからさ」

「確かにそう思う..」

お爺さんからも、素振りは基本だから暇さえあればやるように言われたな..懐かしい。

「そうだよね? 私きつい事言ってないよね?」

「梓ぁーおはよう..あれ、至高さんも?」

「おはよう、先輩」

「おはようございます」

「その人が、鬼の様な梓先輩よりも強いんですか? 見えませんが?」

男子と違って女子は多いんだな。

「ああ、稽古つけてくれてたんだよ」

「そう、でしたら、私達にも稽古つけてくれませんか?」

《本当に強いのかな?》

《梓が2本取られたんなら本物じゃない?》

《私、見て無いけど、手加減でもしてたんじゃない?》

《だけど、凄く美形じゃない?》

《うん、凄く綺麗、梓先輩が気になるのも解るわ》

「それじゃ..全員で掛かって来て下さい」

あれ、俺なんでこんな事言っているんだ?

「幾ら何でも舐めすぎでしょう?」

「私達、これでも団体戦で日本一にもなった事があるんだよ!」

「梓抜きでも、この中には全国大会3位も居るんだよ!」

「梓さんも加わって良いですよ!」

「至高くん、本気で言っているのか?..私はそこまで君との差は無い筈だ..24人全員だなんて」

「大丈夫ですよ..多分、さぁ掛かってきて」

嘘だ、何でこんな事言っているんだろう俺、多対一なんて経験無い筈なのに..

だが、体の中の何かが..「それ位のハンデをつけてあげろ」と語りかけてくる。

「流石に頭に来たわ、梓先輩、ここ迄馬鹿にするんならやっちゃいしょう」

「そうだね、馬鹿にしすぎ、梓が止めてもやるわ」

「さぁ、どうぞ」

やっぱり、可笑しい相手の動きがスローモーションのように見える。

竹刀を掻い潜り、こちらは竹刀でなく軽く手で頭を押した。

そこに他の人間が竹刀を振ってきたが軽く躱せる..竹刀で叩かないで胴の部分を手で押した。

「何、何これ、凄いじゃない」

今度は三人で打ち込んできたが掻い潜り1人の竹刀を奪い取って、取り上げた。

取り上げた竹刀と持っていた竹刀で受けた瞬間手放して2人の小手に手とうを入れて竹刀を落とさせた。

「剣道的にはどうかと思うけど、凄いわ24人総がかりで追いついていないわ」

「凄い、綺麗..」

「ちょっと見てないで貴方も掛かっていきなさいよ」

やはり人じゃ相手にならない..

結局、数分も掛からずに、全員の竹刀を落とすか、尻もちをつかせた。

「はぁはぁはぁ..さっきのも手加減してくれたんだね」

「本当に強かったんですね..全員相手にこんな事できるなんて」

「至高先輩、本当にカッコ良かったです!」

「うん、だけど、至高くん..この勝負は私達の勝ちだよ」

「そうだね、途中で竹刀を捨てちゃったから俺の負け..ただ気負わず竹刀を振り回すのもたまには良いんじゃない?」

「うん、何か何時もの稽古と違って楽しかった」

「型に拘っていたら実戦で通用しなくなるよ」

「至高くん、実戦って」

あれっ俺何言っているんだ? 実戦なんてしてないよな..

「うん、勘違い、勘違い..」

《そうか、至高くんは「天上流」だから多対一も経験していたんだ》

「だけど、久しぶりに竹刀を振り回したから楽しかったよ..ありがとう!」

「だったら、そうだ、うちの特別コーチにならない」

「えー、他の人が嫌がるんじゃないのかな?」

「それなら、嫌がらなかったら引き受けてくれる?」

「それなら喜んで! 皆んな、今日は楽しかった練習に参加させてくれてありがとう..」

「勉強させて下さり有難うございました」

「ありがとう」×23

「それで、さっきのコーチを至高くんに頼む件なんだけど皆んなどうする」

「私は賛成..シルバーブロンドに青い目、騎士様みたいだったよ..しかも強いし」

「一人で全員相手にあんな事できる人なんて居ないよね..頭下げて頼むべき人だと思う」

「うちには正式にコーチが居ないし、顧問も名前だけで剣道を知らない..良いんじゃないかな?」

「そうだよね、それ以前に梓より強い人なんて知らないからね」

「カッコ良いし..うん問題無し」

「うん、凄いイケメンだし、あんな人が傍に居てくれたら更に頑張れると思う」

「うん良いよね、至高先輩、あんな綺麗な人が居るなんて何で気が付かなかったんだろう」

「うん、外見のカッコ良さでも東吾生徒会長と並ぶんじゃないかな?」

「私もそう思うよ..綺麗なプラチナブロンドの髪にブルーアイ…そしてあの剣技、まるで騎士か王子様です」

「何か不純な話が多いけど、全員賛成で良いのね?」

「うん」×23

「だけど梓っ、女子剣道部なのに大丈夫?」

「任せておいて、これでも生徒会役員なんだから..無理でも通しちゃうよ..絶対に至高くんは剣道部に必要な人だから」

「そうだね、梓なら簡単だわ」

逃げ出した
結局、俺は剣道部の特別コーチを断る事にした。

女ばかりの中に男が1人、凄く問題があるような気がするが、あっけなく決まったらしい。

だけど、梓さんや霊夢さんに麗美さん、皆んな生徒会の関係者だ。

しかも、全員が皆神生徒会長と仲が良い、そしてこの学校の教師は生徒会の決定に基本的に文句言わない。

多分、無理やり押し通したんじゃないか?

そんな気がする。

本来のルールを曲げるのは良くない気がする。

あの時は、勢いで「嫌がらなければ引き受ける」なんて言ってしまったが..

男子の方では恐らくやっかみが入るだろう。

そう考えたらおいそれと引き受ける訳にはいかない。

俺は自分が何者なのか解らない。

俺は京之介の筈なのに至高と皆んなが呼ぶ。

今迄話した事も無い女性からいきなり告白を受けたり解らない事ばかりだ。

施設でも同じで、今迄、俺を嫌っていた人間から何故か好かれる。

自分に何が起きているのか解らない。

だから、素直に、認める事が出来ない。

考え抜いた末…俺は逃げ出す事にした。

どうせ、犯罪者の息子だから..これ以上落ちる事は無いだろう..

このまま此処に居たら頭が可笑しくなる。

だから、全てを捨てて逃げ出す事にした。

自分を知らない人達の居る場所に…

最終話:REスタート

結局、逃げ出した先で補導された。

前の施設に戻されそうそうになったが…

「同情されるのが辛かった、優しくされるのが辛かった」そういう説明をした。

その結果、

「事情は解ります、確かに貴方の場合は特殊ですからね」

警察で同情され、別の施設に保護されることが決まった。

名前についても聞いたが、これは「至高」の方が正しかった。

だが、施設に入る前の医者のカウンセリングで

「犯罪者の息子という、自分に嫌気がさした事から別人のような記憶ができた」

そういう話だった。

「こういう場合は、至高という名前がプレッシャーなのですから名前も変えた方が精神的に良いのかも知れません」

結果、俺は、名前も「京之介」という名前に変えて貰う手続きを施設がしてくれた。

ようやく、悪夢から覚めてやっと「松浦京之介」に戻れた気がする。

新しい、施設の所長から

「此処には貴方の過去を知る者は、私と一部の職員しか居ません、辛いでしょうが、やり直すつもりで頑張って下さい」

やり直すチャンスを貰ったんだ..頑張ろう。

施設の仲間は男も女も俺には優しかった。

前の失敗をしないように笑顔でいた。

「京之介のお兄ちゃんは王子様みたい..綺麗」

「京之介お兄ちゃん、大きくなったら真知子のお婿さんになって真知子勉強頑張るから」

少しませているが..それだけだ。

「京之介兄ちゃん、仮面バイカーの必殺技見せて」

「こんな感じだったよな」

「スゲーっ、兄ちゃん本当はヒーローじゃないのかな?」

これは前の時とは違い、一から俺が手にしたものだ。

学校は前の学校程の名門では無い。

だが、「特別扱い」はされないので楽しい。

ここにも俺の過去を知る者は居ない。

前とは違い、よく笑うようにした。

「京之介、お前運動神経半端ないな..うちの陸上に入らないか?」

「いや、剣道部に来いよ! そくレギュラーで良いぜ」

目立ちたくないので丁重に断った。

「京之介くん..私と付き合って下さい」

「いや、私と」

「はははは..ごめんね、今は考えられないから、君だからじゃなくて、今は愛よりも友情が欲しいんだ」

「じゃぁ、友達なら良いの?」

「うん」

「それじゃ、私も友達からお願いします」

女の子の友達が100人出来た。

「京之介くん、帰りにヤクドでハンバーガー食べない?」

「持ち合わせがなくて」

「だったら、私が奢るよ、友達だから」

奢られてばかりだから、相談してバイトでも始めようか?

新しい人生、新しい生活が此処から始まった。

過去は関係ない..自分が何者かなんて考える必要は無い..

一からスタートすれば良い、それだけだ。

あとがき ありがとう
この話しを書いて見たのは、「異世界転生物」で記憶が消されて元の世界に帰る勇者の話があったからです。

ですが、記憶を消されて帰った勇者のその後の話は余り書かれていません。

そこで、近い物を書いて見よう、その辺りからです。

この作品は私の作品の中では読者が余りつかず、ポイントも伸びませんでした。

でも、いつも感想をくれる人が居たので書き続けました。

私は今、闘病生活を送っています。退院はしていますが、体はポンコツです。

期間は長いですが、余命も宣告されています。

それでもお金が無いのでに働いてもいます。

小説を書いて「感想」を貰えたりブックマークが増えたり評価されると、

「お見舞い」を貰ったような気がして、幸せな気分になりました。

これからもライフワークで書いていくかも知れません。

有難うございました。